著者
落合 信寿
出版者
自治医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,安全色の国際規格と諸外国の規格との規格整合化に寄与するため,日本,中国,韓国の東アジア3カ国4地域における安全色のリスク認知の普遍性と文化的差異について国際比較を行い,東アジアにおける安全色(特にJIS独自の採用色であるオレンジ)の有効性を検証することを目的とした。調査結果から,東アジア3カ国4地域においては,黄より高い危険レベルを示す安全色としてオレンジを用いることが不適切である事などが明らかになった。
著者
佐藤 豪 木村 穣 小崎 篤志
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では生活習慣の変容を促進し、また従来から問題とされているせっかく新しい生活習慣を身につけてもそれが逆戻りしてしまう現象について、基本的に無理をして生活習慣の変容を行っても、その後その効果が持続しない、そこには安心感というものがベースになっていないためであるということを検討してきた。このような点の検討を行うために、喫煙者と非喫煙者との性格特性や身体的な感覚の相違などについての分析を行い、これについての知見を得た。それに基づいて、生活習慣変容のためのプログラムを策定し、それを WEB 上で展開するという研究を行った。
著者
山崎 龍
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

環の中に軸が入って抜けない状態にある分子をロタキサンと呼び、これまで多くの合成法の開発が試みられてきた。ロタキサンに機能を付与するためには、これまで多くのロタキサンにおいて環成分に用いられている軟らかい構造の環を堅い構造とすることで分子全体の構造を規定でき、デザインがしやすくなるのではないかと考え、その合成法確立を目指した。その結果、堅い構造かつ非対称な環(SPM)の合成法確立に成功し、さらに環の中で嵩高い置換基をもった軸同士をクリック反応によりつなげることで堅い環構造をもったロタキサンの合成を行った。
著者
古森 徹哉 宮本 智文
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

沖縄県那覇近海で採集した有棘目動物オニヒトデの棘の凍結乾燥粉末について、魚毒活性を指標に溶媒分画、従来法による各種クロマトグラフィ-並びに購入設備を駆使して毒成分の精製を行い、メタノ-ルエキスより1種のステロイドオリゴ配糖体サルフェ-ト(20S-thorasterosideA)及び、2種のアルキルグリセロリン脂質(sn-1-0-hexadecylglycerol-3-phosphorylcholine,sn-1-0-octadecylglycerol-3-phosphoryl-choline)の単離同定に成功した。これら3種の化合物はいずれも強い溶血作用を有し、従来不明であったオニヒトデ棘の溶血毒はこれら3種の成分に起因することが判明した。次に、上述棘粉末の水エキスについて購入設備を駆使したゲル濾過によるクロマトグラフィ-を繰り返し、in vitroで細胞毒性を示す2種の蛋白質(Protein I 並びに Protein II)を得た。Protein Iは最終的にμBondasphereを使用したHPLCで精製した結果、分子量は約14650であり、アミノ酸分析により、Asp_<17>・Thr_<11>・Ser_8・Glu_<15>・Pro_5・Gly_<18>・Ala_9・Val_<12>・Met_2・Ile_7・Leu_6・Tyr_2・Phe_7・Lys_<14>・His_1・Arg_2の16種のアミノ酸組成を明らかにすることができた。また、N末端配列分析の結果、末端より25種のシ-クエンスが判明した。この結果をもとにGENASを用い、既知蛋白質との比較を行ったが、類似シ-クエンスを示す酢蛋白質は検索されず、新規蛋白質と考えられた。Protein Iはin vitroで選択的細胞毒性を示す結果を得ており、現在1次構造解析が進行中である。Protein IIについては、まだ、単離には至っていないが、SDS-PAGEで分子量約8万と推定され、マウスに対しては未精製ながらも強い致死作用を示すことから、Protein IIがオニヒトデ棘毒成分のマウスに対する致死毒の本体であることが推察された。
著者
斎田 真也 氏家 弘裕 和氣 典二 和氣 洋美 横井 健司
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

観察者が3次元空間内の情報処理を行う範囲を推定する方法の開発を行った。観察者に向かう移動物体に対する3次元有効視野の形状は観察者から奥行き方向に向かって樽型の形状をしていた。静止物体における奥行き探索課題のとき、両眼視差が1度以内では探索時間は手前ほど短かった。高齢者が視線を遠点から近点に移したときのターゲット検出に要する反応時間は若年者のそれより顕著に長かった。眼球運動解析から情報処理能力の向上には有効視野の拡大のみではなく視線移動の効率化や認識時間の短縮など複数の質的に異なる方略が存在した。
著者
伊藤 亮 山崎 浩 中谷 和宏 高後 裕 中尾 稔 藤本 佳範 迫 康仁
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究における主要研究テーマは、現在地球規模で流行が深刻化しているエキノコックス症(多包虫症、単包虫症)に関する信頼性の高い免疫診断法(国際標準診断、早期診断、治癒判定法)の開発と実用化である。(1)現在、国際的に最も信頼性が高いと評価されている多包虫症特異診断抗原Em18を遺伝子組み換え抗原(RecEm18)として作成し、その過程でEm18の生化学的特性の解析がなされた。世界各国で別個に検索されてきた診断抗原の中でEm18のB cell epitope活性が最も高いことが判明した(Sako et al.2002.J Clin Microbiol 40,2760-2765)。(2)フランスとのブラインドテストによる共同研究から、RecEm18を用いる血清診断法はフランスにおける多包虫症と単包虫症を100%鑑別できることが判明した(Ito et al.2002.J Clin Microbiol 40,4161-4165)。現在、フランス、スイスにおいて認定された300例以上の多包虫症例の血清学的確認要請を受けている。(3)単包虫症の血清診断法についても遺伝子組み換えAntigen Bを作製した(Mamuti et al.2002.Clin Diag Lab Immunol 9,573-576;Mamuti et al.in prep.)。(4)血清診断上、最も交差反応が高い致死的寄生虫疾患、有鉤嚢虫症に関する遺伝子組み換え抗原を作製した(Sako et al.2000.J Clin Microbiol 38,4439-4444)。血清診断上鑑別を要する多包虫症、単包虫症、有鉤嚢虫症すべてに関する遺伝子組み換え抗原作製に成功し、国際的な評価を得た。現在、合成ペプチド抗原作製を試みている。(5)北海道を中心に、主治医から直接相談を受けた多包虫症疑診例において、Em18抗原を用いる血清検査で多包虫症と他の疾患を術前に100%鑑別し、術前確定血清診断法を確立した。国内での現行の血清検査が確定検査として機能していないことから、Em18を用いる血清検査の導入が望まれる。(6)ミトコンドリアDNA解析により、遺伝子診断法の開発が可能になった。遺伝子解析、遺伝子診断研究も含め、これらの研究成果は現在印刷中を含め国際誌に原著論文総説29編、国際会議録14編、著書5篇として発表した。和文総説、報告書も22編発表した。
著者
嶽村 智子
出版者
奈良女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度に引き続き、多様なモデルに対応する確率過程の構築を目指し、その性質を研究することを目的とし、研究を行った。昨年度の成果をもとに、斜積拡散過程と調和変換に関して研究を行った。一次元拡散過程と球面上のブラウン運動によって構成される斜積拡散過程を考察し、コンパクト多様体の内部を運動し、境界ではジャンプや消滅が起こりうる過程に対する再帰性の判定法について結果を得る事ができた。これは、昨年度取り扱った極限定理で現れる極限過程に対応する過程についての再帰性の判定法である。斜積拡散過程に対する再帰性については、今までも議論はあったが、斜積拡散過程を構成する過程と斜積を構成する測度の性質から斜積拡散過程の再帰性を判定するものであり、斜積拡散過程の性質から斜積拡散過程を構成する過程についての性質を得るというものについては研究がなされていなかった。本研究では、一次元拡散過程と球面上のブラウン運動との斜積拡散過程を取り扱う事により、一次元拡散過程の再帰性と斜積拡散過程の再帰性が一対一に対応していることがわかった。この結果は、球面上のブラウン運動という非常に良い性質をもつ過程を取り扱ったことにより得る事ができるが、球面上のブラウン運動に限らず、コンパクト多様体に関しても同様の結果を得ることができる事が予想される。これらの研究により、多様なモデルを取り扱うことができ、力学モデルの分野において応用が期待される。また、調和変換と呼ばれる場に依存する確率過程の変換について研究を行った。
著者
小栗 明彦
出版者
奈良県立橿原考古学研究所
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

3〜6世紀の全羅南道地域産土器の日本列島での出土例を集成した。その結果、土器搬入状況の様相は、3〜4世紀代には、塔ノ首2号石棺墓例、西新町遺跡例など、対馬、北部九州のみに集中的に両耳付壺、鋸歯文土器が搬入されている。5世紀前葉〜中葉になると、北部九州の集落遺跡を中心に、夜臼・三代遺跡群例、井原上学遺跡例、吉武遺跡群例、在自小田遺跡例、冨地原川原田遺跡例など、鳥足文土器が出土し、継続して搬入が続けられている様相が見られる。それに加え、畿内においても、大庭寺遺跡例、伏尾遺跡例、小坂遺跡例など、土器生産関連遺跡から両耳付壺が、城山遺跡例、メノコ遺跡例、八尾南遺跡例、布留遺跡例など、集落遺跡から鳥足文土器が出土し、新たに搬入が始まったことが分かる。6世紀前半に入ると、北部九州では、在自下ノ原遺跡例、冨地原川原田遺跡例など、集落遺跡に鳥足文土器が搬入し続けられる他に、番塚古墳例、ハサコの宮2号墳例、梅林古墳例、相賀古墳例などのように、新たに古墳副葬品として鳥足文土器が搬入されるようになる。同時に、畿内においても、杣ノ内古墳群赤坂支群14号墳例、星塚1号墳例のように、鳥足文土器が古墳から出土するようになるが、集落遺跡には搬入されない。本研究の目的である、6世紀前半の継体朝の様相としては、北部九州と畿内中心部の古墳に、全羅南道地域産土器が搬入されている。それ以前には、古墳からの出土がほとんどないだけに注目できるが、継体擁立勢力の地域と重なるものではなかった。この様相は、上部支配層間の交流を示すものでない可能性が高いため、今後、全羅南道地域勢力、継体擁立勢力の上部支配層間の関係究明には、古墳墳形、埴輪、副葬品中の威信財など、政治性の高い属性の総合的な検討を進める必要がある。
著者
濱田 奈保子 中田 絵里子
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

鮮度指標K値と積算温度に基づく非破壊の鮮度評価および管理ツールとして、従来のMTT型に加え、WST-3型BTMを開発した。食品のトレーサビリティに導入するにあたり、MTT型BTMおよびWST-3型BTMの発色に伴い生成される色素成分についてin vivoマウス経口投与試験により安全性を確認した。BTMによる鮮度の可視化が可能な魚について,両BTMの発色度から生可食期限(消費期限)を求めたデータベースを作成した。
著者
宮地 尚子 後藤 弘子 坂上 香 大矢 大 田辺 肇
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

トラウマとジェンダーの相互作用を、(1)精神病理的側面から、(2)犯罪行為や逸脱現象の側面から、(3)文化創造的な側面から探り、明らかにした。(1)では複雑性PTSDの分析を行った。性被害に関するシンポジウムの開催、ハンドブックの翻訳・出版を行った。(2)では薬物依存女性のトラウマ被害の影響について論文にまとめた。加害者更生プログラムや修復的司法プログラムについて分析を行った。(3)ではメディア発信・アート表象に関するワークショップを開催した。(1)~(3)を統合し、トラウマの入門書を執筆・出版した。東日本大震災の発生に伴い、そのトラウマについてもジェンダー視点からの研究を行った。
著者
井上 邦雄 白井 淳平 三井 唯夫
出版者
東北大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2009

ニュートリノのマヨラナ性を検証するニュートリノレスニ重β崩壊研究において、巨大・極低放射能環境のカムランドに^<136>Xeを大量導入することで、迅速かつ効率的に世界最高感度での探索を実現した。同各種を使う実験との統合解析により、^<76>Geでの信号発見の主張を排除し、マヨラナ有効質量の上限値120~250meVを与えた。並行して、原子炉停止時のデータから地球ニュートリノ観測を高精度化し、地球モデルの選別を開始するに至った。
著者
東 哲司 平野 達也 笹山 大輔
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

アマゾン野生イネ種Oryza grandiglumis の2つの系統は,部分的深水で浮稲と同様に節間の伸長を示し,冠水状態では,冠水耐性イネ品種と同様に成長を停止し,気中に戻すと正常に成長した。これらの系統において,SUBMERGENCE1(SUB1A)遺伝子とSNORKEL (SK)遺伝子は共に検出できなかった。これらの結果は,O. grandiglumis のこれらの系統は,SUB1AとSK遺伝子が関与しないメカニズムによって相反する2つの成適応反応を有することを示す。これらの系統の深水下での節間の伸長促進にはエチレンではなく過湿度環境が引き金となっている。
著者
杉本 充 津川 光太郎 加藤 淳 菱田 俊明 三宅 正武 立澤 一哉 冨田 直人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

フーリエ積分作用素の大域的な有界性の理論を整備することにより、偏微分方程式の解の様々な評価式を導出する際に標準形へと変換してから考察する手法を確立し、さらには二つの偏微分方程式の表象の比較からそれぞれの解の評価式を比較する新しい手法も整備して、非線型問題にアプローチした。
著者
大門 寛 松井 文彦 松田 博之
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

新しく発明した立体光電子顕微鏡(楕円メッシュ二次元分析器)を完成して、試料の拡大像を観測し、微小領域だけからの二次元光電子分光を行ない、微小領域の電子状態と原子構造を立体的に詳しく観測することを目的としている。放射光施設(SPring-8)にて光電子を用いた性能評価実験を行い、0.2%という高いエネルギー分解能、25ミクロンという顕微鏡の分解能、±50度までの放出角度分布を確認し、微小グラフェン試料からの光電子回折実験にも成功し、目的の性能が達成された。
著者
櫻井 しのぶ 小島 照子 小島 照子 中野 正孝 池田 浩子 櫻井 しのぶ
出版者
三重大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

平成11年度に行われた研究の結果、「女性」では、従来からの「女性性」を表現する言葉が多く挙がる一方で、「心・芯は強い」という従来には見られなかった女性性の概念が抽出された。また「男性」では、「たくましい」「強い」「頼りになる」等の、従来の「男性性」と一致した表現となっていた。しかし「女性」とは反対に「気が弱い」等の精神的な弱さを挙げた者も多く、これらの傾向は20代の対象者に強く見られた。これらを元に、平成12年度は、「看護」との関連性に焦点を当て調査した。分析した結果では、「看護」に対し、「優しい」「大変・しんどい」「強い・強い精神力」という項目が上位を占めた。さらに、「女性・女性中心の仕事」という項目も、対象者の10%が挙げていた。また、看護に対するイメージと「女性性」、「男性性」としてあげられた項目において、共通する言葉を分析したところ、「女性性」との共通の方が有意に高いことが確認できた。以上の結果から、一般の人々が抱いている「看護」に対するイメージは、従来の「女性」をイメージする「優しい」等と、新しい「女性」を表す「強い」というイメージの両方を持ち合わせていることが明確となった。看護教育を考える上で、「看護」と「女性性」というものが強く結びついていることを理解し、看護者は看護に対する伝統的な女性的役割である「やさしい」だけでなく、「頼りになる」「強い」という看護の側面も、社会的に要求されていることを事実として受け止めなければならない。以上の結果をもとに、現在論文を作成中である。
著者
沢田 史子 大薮 多可志 村上 嘉代子 吉田 武稔
出版者
北陸学院大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

古写真や古絵図などの歴史資料を活用した外国人向けスマホアプリにおける情報発信技術を開発した.評価実験より,当時の人々の暮らしを伝える地域歴史文献を英訳し古写真を添えて作成したコンテンツが外国人旅行者に対し有効であり,旅行者による地域歴史資料を活用した情報発信が満足度を高めることが明らかとなった.さらに,外国人旅行者の積極的な情報発信を促進する仕組みの必要性が明らかとなった.
著者
波田 重煕 吉倉 紳一
出版者
高知大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1988

最近、秩父累帯は、複数のテレ-ンからなる複合地帯であると考えられるようになってきた。そのようなテレ-ンの中でも、黒瀬川テレ-ンは先シルル紀基盤岩類を含み、古地磁気のデ-タなどに基づくと、それが、ゴンドワナ大陸に起源を持つ可能性がでてくるなど、西南日本のテクトニクスを解明するためには鍵となるテレ-ンであると考えられる。そこで、黒瀬川テレ-ンが本当に先シルル紀基盤岩類からなる大陸と、そこから由来した屑物を含む大陸被覆層からなるStratigraphic terraneなのかと明らかにしようとして2年間このプロジェクトと取り組んだ。そのために、主に、(1)花崗岩質岩礫で特徴づけられる“薄衣式礫岩"の年代を放散虫化石を用いて再検討する。(2)年代の明らかになった礫岩の花崗岩質岩礫の岩石化学的特徴を明らかにし、基盤岩類との類線性を比較検討する。(3)花崗岩質岩礫及び基盤の花崗岩質岩よりジルコンを抽出し、U-pb年代を測定する研究方法を取った。その結果、(1)については、ペルム紀中世からジュラ紀中世にわたる種々の年代の薄衣式礫岩層が存在すること,それらが、大陸地域の成層岩層であること、(2)については、礫には黒瀬川構造帯の基盤岩類に対応するものが存在すると同時に、風化変質の影響があるとはいえ、それらと特徴を異にする花崗岩質岩礫も含まれること、そして、(3)については、最終的な結果がまだ出ていないが、薄衣式礫岩の花崗岩質岩の礫には、予想もしていなかった程若いものが含まれることが明らかになってきた。(3)の点は新しい大変重要な事実で、その解釈としては種々の考え方が可能と思われるが、1つの重要な可能性として、従来、黒瀬川陸塊への海洋プレ-トの沈み込みが、例えば、古生代末からトリアス紀初期の時代に想定されていたが、花崗岩質岩礫の年代は、その直接的な証拠となるかもしれないことを指摘しておきたい。
著者
山本 千映
出版者
関西大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本年度は、昨年度に収集したスタッフォードシャー州文書館所蔵の四季裁判所記録、Calendars of Prisonersのデータベース化を進めた。デジタルカメラで撮影した1777年から1860年までの記録のうち、1777年から1820年まで、タイプされている部分のみであるが、データ入力が完了している。欄外に手書きで評決や判決等の追加情報が書き込まれているケースも多々あるが、これは未入力となっている。平成19年2月9日から3月2日まで、資料収集のために渡英し、国立公文書館(NA)およびスタッフォードシャー州文書館(SRO)を訪れた。昨年度は、NA所蔵の巡回裁判の起訴状(indictments)のトランスクリプトを行ったが、情報量は豊富なもののデジタルカメラでの撮影が難しいため、数週間の渡英では意味のある年数分のトランスクリプトが不可能と判断し、代わりに、情報量は落ちるが、冊子の形態をとっていて撮影が容易な、Crown Minute Books(National Archives, ASSI 2)を閲覧し、1775年から1791年まで撮影した。これにより、Calendars of Prisonersに掲載されている拘留者のうち、巡回裁判での判決によるものの罪状があきらかになる。また、SROでは、Quarter Sessions Order Booksを閲覧した。これは、犯罪のみならず、民事訴訟や行政手続について、四季裁判所が下した判断を網羅したものであり、Calendars of Prisonersの作成の背景を知る上で重要な史料である。昨年8月には、早稲田大学社会科学部中野忠教授の科研セミナーにて「生存戦略と非公式経済」と題して、公式の経済活動以外の、生存(make shift)のための活動について報告した。またCalendars of Prisonersのパイロット的な分析を、「産業革命期イングランドの貧困と犯罪」として執筆中である。
著者
村田 惠三 吉野 治一
出版者
大阪市立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では数GPa-10 GPa級の圧力域に重点を置き、磁場と組み合わせて有機物における物性開拓と統一理解を研究目標とした。紙面の都合で4つの成果に限る。1)κ-(Me-DH-TTP)_2AsF_6縮小□電子系で電子相関を増大させ金属-絶縁体転移における量子臨界点の議論を行った。κ型は結晶構造から2量体化していると思われるが、2量体エネルギーが他のκ型に比べて1/10で電荷移動も3/4充填の系と思われることから、絶縁相は電荷秩序と思われ、現在(2009年)でも未解決の興味深い問題点を残した。2)(TTM-TTP)I_3は1次元1/2充填Mott-Hubbard系であり、圧力による金属化を試みた。Mott絶縁体における鎖間相互作用の重要さの問題として、理論家の興味を引いた。3)杉本塩、pi-d相互作用に基づく新物性が期待できる擬二次元伝導体beta″-(EDO-TTFVO)_2 FeCl_4において、T<3K, H>8Tで磁場誘起相転移を発見し、H>17Tではシュブニコフ-ドハース振動の観測に成功した。□-d系有機伝導体(EDT-DSDTFVSDS)_2FeBr_4のスピンフロップに伴う磁気抵抗の巨大異常とGaBr_4塩の物性との比較による□-d相互作用を詳細に調べることができた。4)TTF-TCNQとTSeF-TCNQの温度圧力相図の作成と物性測定を行った。TTF-TCNQの電荷密度波の研究では30年前の3GPaまでの測定を再現した。今回、8GPaまでの研究をすすめ、電荷移動に伴うCDWが圧力とともに不整合=>整合=>不整合と変遷して低温までの金属化していく様子が明瞭に示された。さらに、類型のTSeF-TCNQについての研究を進め、TTF-TCNQより低い圧力で、金属化に成功した。電気抵抗の温度の冪の圧力変化から揺らぎ伝導の特異な性質が明らかになった。
著者
目黒 強
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、明治時代に刊行された雑誌(教育雑誌・文学雑誌・総合雑誌・少年雑誌)における読書活動関連記事を検討した。その結果、「小説」が子どもに悪影響を及ぼすという社会通念のもと、子どもが読む雑誌に「小説」を掲載することについての合意が形成されているとは必ずしもいえないこと、課外読み物観が形成されつつあること等が明らかとなった。