著者
谷口 一雄 三辻 利一 中井 泉 吉村 作治 宇高 忠 中村 浩
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は文化財資料や考古学資料等を持ち出すことなく"その場分析"を行いつつ、かつ非破壊な分析を要求する資料に対して資料の化学構造、化学種の情報を与え、かつ定量分析を可能とする文化財分析用可搬型X線分析装置を試作し、あわせてこの試作装置による文化財・考古学分野への適用評価を行うことである。このため、文化財・考古学分野でX線を用いた分析手法でどのような情報の抽出が求められているか、いかなる条件の下で測定しなければならないか等を含めて測定要素の検討を研究分担者の専門分野ごとに行い、2001年3月末までに試作装置を完成させた。この間、研究分担者、吉村、三辻、及び中村らはそれぞれ個別に適用評価に係わる予備調査を行った。特に吉村はエジプト古王国・新王国時代の埋蔵副葬品・貴金属類への適用を、中村は日本国内における銅鐸等金属類への適用を、また三辻は古代・中世土器への適用評価に向けての予備実験・調査を行った。平成13年度は岩石分析の問題抽出の為の岩石フィールド分析の実習を兼ねた研究会を実施し、この成果をもとにエジプトでの出土遺物のレリーフとステラのその場分析を実施した。本研究で開発を行った考古学分析用可搬型X線分析装置による考古学分野への適用評価研究として、平成14年度はエジプトでのフィールド測定を行った。ポータブル蛍光X線分析装置1号機の改良を行い、よりその場分析に適した装置を開発した。本装置は、モノクロメータにより単色化したX線と白色X線の二つの励起源が選択でき、また1号機に比べて、分光ヘッド部の大幅な軽量化及び先端形状を細く円錐上に改良することで、湾曲した面など様々な形状を持つ考古資料の分析に対応できる特徴を持っている。本装置とともに、高いS/N比が実現した新開発のポータブル粉末X線回折装置をエジプトのアブ・シール南丘陵遺跡の発掘品収蔵庫に設置し、その場分析を行った。両装置を用いて遺跡から出土した彩色プラスター、彩文土器の顔料等を分析し、エジプシャンブルー、アマルナブルー、赤鉄鉱、軟マンガン鉱などが青、赤及び黒色の顔料として同定できた。
著者
宮部 直巳
出版者
東京帝国大学地震研究所
雑誌
東京帝国大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.297-306, 1936-06-05

昭和11年2月21日,大阪府と奈良縣との境界上の二上山附近に震央を有する強震が起つて,大阪,奈良の兩府縣下に幾分かの被害を與へた。この地震に伴つて氣付かれた2~3の現象に就いて,踏査,及び各地に問合せて得た所の囘答によつて調査した結果を述べたい.この地震に限らず多くの場合地震に伴つて認められる現象であるけれどもこの地震に於いても(1)地震に伴つた音響(2)井水位の變化(3)發光現象等が認められてゐる.以下是等の項目に就いて梢々詳細に叙述したいと思ふ.
著者
根岸 弘明
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.724-727, 2011-12-01
参考文献数
12

緊急地震速報は地面が揺れる前に警報を発するという全く新しいタイプの防災情報であるが,発表プロセスすべてが自動処理によることと,対処可能時間が秒単位であることから,効果を上げるには速報の持つ特性を理解した上で的確な用途に利用する必要がある.本論では,高度利用者向け緊急地震速報の利活用を念頭に置き,実際に自動制御による被害減少や人命保護に活用している例を紹介するとともに,地震という物理現象から来る独特の留意点と利活用に向けた課題について議論する.
著者
角井 俊樹
出版者
イタリア学会
雑誌
イタリア学会誌 (ISSN:03872947)
巻号頁・発行日
no.28, pp.105-114, 1980-03-10
著者
常田 邦彦 鳥居 敏男 宮木 雅美 岡田 秀明 小平 真佐夫 石川 幸男 佐藤 謙 梶 光一
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.193-202, 2004-12-25
参考文献数
28
被引用文献数
14 5

最近数10年間におけるシカ個体群の増加は,農林業被害の激化をもたらしただけではなく,シカの摂食による自然植生および生態系の大きな変化を各地で引き起こしている.自然環境の保全を重要な目的とする自然公園や自然環境保全地域では,この問題に対してどのような考え方に基づいて対応するかが大きな課題となっている.知床半島のエゾシカは一時絶滅状態になったが1970年代に再分布し,1980年代半ばから急増して,森林と草原の自然植生に大きな影響を与え続けている.知床半島のシカは冬季の気象条件と餌によって個体数が制限されているとはいえ,メスの生存率は高く,かつ自然増加率が高いために高密度で維特されている.メスも大量に死亡するような豪雪でも来ない限り激減することはない.そのため,自然に放置した場合には,植生への影響は軽減されないだろう.知床におけるエゾシカの爆発的増加が,自熱生態的過程か人為的な影響による要因かを区分することは,現状ではできない.管理計画策定にあたって重要なのは,半島全体の土地利用と自然保全の状況に応じて地域ごとの管理目標を明確にし,総合的な計画を策定することである.また,モニタリング項目として絶滅リスク評価につなげられるような「植物群落の分布調査」が不可欠である.知床国立公園内や周辺地域での生息地復元や強度な個体数管理などを実施する場合は,生態系管理としての実験として位置づけ,シカと植生の双方について長期のモニタリングを伴う順応的な手法を採用していく必要がある.
著者
山田 宏之 丸太 頼一 中村 雅展
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.291-308, 1992-03-26
被引用文献数
6 8

長野市を対象に1989年8月8日〜11日,14時,22時,4時における気温および相対湿度の移動観測を行った。測定結果から気温分布図,相対湿度分布図,絶対湿度分布図を作成し,それぞれについて考察を加えた。次に,測定範囲内から50地点を抽出し,各々の地点を中心にした直径500m,250mの範囲内の樹林地率,草地率,水田率,裸地率,水面率を航空写真より読み取り,緑被率,緑地率を算出した。それらの値を説明変数に,各地点における気温を目的変数とし,回帰式を作成した。気温-絶被率,緑地率間の単回帰式,気温-各緑地の種類別土地被覆率間の重回帰式のうち,最も良好な結果を示した式を用いて長野市における現状の緑地評価を行った。
著者
大島 茂樹
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.49-54, 2010
参考文献数
30
被引用文献数
1

記録メディアの劣化・陳腐化やファイルフォーマットの陳腐化は,デジタル情報保存にとって大きなリスクとなる。これらの問題への対処としては,適切な記録メディアの劣化防止策をとること,マイグレーション(新しい記録メディアへのデータ移行)を行うこと,ファイルフォーマットの陳腐化のリスクを管理し,フォーマット変換等の対策をとることなどが考えられる。本稿では,主な記録メディアの劣化寿命および劣化防止策について述べ,そのマイグレーション方策についても検討する。また,主に海外で行われている,ファイルフォーマットの陳腐化のリスクを管理するための取り組みを紹介する。
著者
森 嘉兵衛 MORI Kahee
出版者
岩手大学学芸学部学会
雑誌
岩手大学学芸学部研究年報
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.99-136, 1956-11-01
著者
Dinara ZHARLYGANOVA Hironori HARADA Yuka HARADA Sergey SHINKAREV Zhaxybay ZHUMADILOV Aigul ZHUNUSOVA Naylya J. TCHAIZHUNUSOVA Kazbek N. APSALIKOV Vadim KEMAIKIN Kassym ZHUMADILOV Noriyuki KAWANO Akiro KIMURA Masaharu HOSHI
出版者
Journal of Radiation Research 編集委員会
雑誌
Journal of Radiation Research (ISSN:04493060)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.549-555, 2008 (Released:2008-09-19)
参考文献数
33
被引用文献数
18

It is known that bone marrow is a sensitive organ to ionizing radiation, and many patients with acute myeloid leukemia (AML) or myelodysplastic syndrome (MDS) have been diagnosed in radiation-treated cases and atomic bomb survivors in Hiroshima and Nagasaki. The AML1/RUNX1 gene has been known to be frequently mutated in MDS/AML patients among atomic bomb survivors and radiation therapy-related MDS/AML patients. In this study, we investigated the AML1 mutations in radiation-exposed patients with MDS/AML among the residents near the Semipalatinsk Nuclear Test Site (SNTS), where the risk of solid cancers and leukemias was increased due to the radiation effects. AML1 mutations were identified in 7 (39%) of 18 radiation-exposed MDS/AML patients. In contrast, no AML1 mutation was found in 13 unexposed MDS/AML cases. The frequency of AML1 mutations in radiation-exposed patients with MDS/AML was significantly higher compared with unexposed patients (p < 0.05).We also found a significant correlation between individual estimated doses and AML1 mutations (p < 0.05). Considering these results, AML1 point mutations might be a useful biomarker that differentiates radio-induced MDS/AML from spontaneous MDS/AML.
著者
山田 武士 中野 良平
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.1126-1138, 1997-06-15
参考文献数
32
被引用文献数
11

ジョブショップスケジューリング問題(JSSP)はNP?困難な組合せ最適化問題の中でも特に難しい問題の1つとされている.本論文では,JSSPの近似解法として,局所近傍探索と遺伝的アルゴリズム(GA)との組合せによる多段階探索交叉GA (MSXF?GA)を提案する.MSXF?GAは,アクティブスケジュールのクリティカルブロック(CB)上の作業の移動に基づく近傍であるアクティブCB近傍に基づく近傍探索と,問題空間の距離と近傍構造に基づく交叉である多段階探索交叉(MSXF)を用いたGAから構成される.さらに,アクティブスケジュールに対し「スケジュールの反転」という概念を導入し,与えられた問題に適した方向を適応的に選択する機構を取り入れて,解法の高速化を図る.MSXF?GAを含むいくつかの解法をジョブショップスケジューリング問題(JSSP)のベンチマーク問題に適用したところ,高品質の解が高速かつ安定して求まるという,MSXF?GAの優れた性能が明らかになった.The job-shop scheduling problem(JSSP) is one of the most difficult NP-hard combinatorial optimization problems.In this paper,an approximation method for JSSP called MSXF-GA is proposed using local neighborhood search and evolutionary computation,especially Genetic Algorithms(GA).MSXF-GA is composed by a neighborhood search that uses active CB neighborhood based on an active scheduler and operation permutations on the critical path,and Multi-Step Grossover Fusion(MSXF) that utilizes a neighborhood structure and a distance measure in the search space.The "reversal of the direction" of an active schedule is also introduced and MSXF-GA can adaptively select an appropriate direction for a given problem.Experimental results showed such a promising performance of MSXF-GA that it quickly found near optimal schedules in most cases.
著者
吉川 周作 山崎 秀夫 井上 淳 三田村 宗樹 長岡 信治 兵頭 政幸 平岡 義博 内山 高 内山 美恵子
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.107, no.8, pp.535-538, 2001-08-15
参考文献数
20
被引用文献数
1

The explosion of a plutonium atomic bomb over Nagasaki city took place on 9 August 1945. After the explosion, a cloud formed, which passed over the Nishiyama district, where 'black rain' fell. Thus, the Nishiyama reservoir, located approximately 3 km from the hypocenter, received the heaviest radioactive fallout from the Nagasaki atomic bomb. Sediment samples were collected from the bottom of the Nishiyama reservoir in 1999 and analyzed for their ^<137>Cs, ^<241>Am and charcoal concentrations. The stratigraphic distribution of ^<137>Cs and charcoal clearly indicate that the 'black rain' horizon is recognized in the Nishiyama reservoir sediments. The 'black rain' horizon contains anthropogenic radionuclides (^<137>Cs and ^<241>Am) and charcoal in high concentrations.

2 0 0 0 OA Official gazette

出版者
Govt. Print. Bureau
巻号頁・発行日
vol.1946-11-03, 1946-11

2 0 0 0 OA 国史大辞典

著者
八代国治, 早川純三郎, 井野辺茂雄 編
出版者
吉川弘文館
巻号頁・発行日
vol.挿絵及年表, 1908