著者
高橋 滋 岡森 識晃 小舟 賢 寺田 麻佑 ヨアヒム ザンデン
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

憲法における環境関連規定の在り方につき、わが国において憲法改正の動きも前提として活発な法律上の議論が行われ、さらにそれらの議論が沈静化した現状を踏まえつつ、学問的議論を比較法的に深めた。特にドイツ、フランス、その他EU諸国並びにアメリカにおける環境権規定及びこれに関する議論を詳しく分析し、その結果、環境保護について憲法的価値を認めるとしても現実には多くの限界があり、環境意識、環境保護に資する特別な訴訟制度の充実等が必要であることが確認された。
著者
斎藤 彰子
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

公務員の職務遂行に際しての不適切な行為や不作為が原因となり国民の死傷結果が発生した事件・事故につき、公務員個人の刑事責任の適正な根拠と限界を探究し、それによってその責任の不当な拡張を防止するために、刑法理論上検討する必要のある問題のうち、作為犯と競合する不作為の評価(正犯か共犯か、その区別の基準)、過失犯における正犯と共犯の区別、過失犯の共同正犯の肯否・要件などに関する日独の議論を分析した結果、とくにわが国において注目される複数の重要な判例に対して、理論的な検討を深めることができた。
著者
高林 龍 竹中 俊子 渋谷 達紀 張 睿暎 竹中 俊子 渋谷 達紀 張 睿暎
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究プロジェクトは引き続き次の2つを目的として研究してきた。a 早稲田大学21世紀COE《企業法制と法創造》総合研究所のプロジェクトで確立したデータベースに、更にインドの判例を追加し、データベースをより総合的なものにすること。b 判例データベースや、「東アジアにおける産業財産権関連紛争の裁判上の処理に関する実態調査」報告書を基に、アジア各国の異なる知的財産権エンフォースメントを比較研究し、知的財産権紛争の解決の新しいあり方について模索すること。上記研究目的を果たすために、平成20年度には次のような研究活動をした。2008年5月13日にインドの判例88件が、2009年3月6日には91件、2009年3月31日には56件がアジア知的財産判例データベースに追加されて、無料公開されている。(http://www.21coe-win-cls.org/rclip/db/search_form.php)また、2007年5月13日には「IPエンフォースメントin India」というタイトルで、デリー高等裁判所判事Arjan K. Sikri氏やデリー大学法学部教授S.K.Verma氏など、インド知的財産権を代表する有識者を招いて、国際シンポジウムを開催した。 (http://www.21coe-win-cls.org/project/activity.php?gid=10096)
著者
平子 友長 赤間 道夫 浅川 雅巳 竹永 進 森下 宏美 窪 俊一 鳥居 伸好 内田 博 大谷 禎之介 伊藤 武 出雲 雅志 天野 光則 出雲 雅志 伊藤 武 内田 博 大谷 禎之介 小黒 正夫 神山 義治 窪 俊一 高畑 明尚 竹永 進 鳥居 伸好 森下 宏美 吉田 傑俊 ANNELIESE Griese ROLF Hecker JURGEN Herres NEUHAUS Manfred ROJAHN Jurgen RICHARD Sperl VASINA Ljudmila
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、マルクスの抜萃ノートを活用した世界で初めての本格的なマルクス研究である。これによって、(1)『資本論』第1巻成立過程において「草稿」と「抜萃ノート」がどのように利用されたのかが初めて詳細に解明された。(2)マルクスの農芸化学、地質学、鉱物学に関する抜萃ノートを検討し、それを同時代の自然科学史の中に位置づけた。(3)『資本論』第1版刊行直後から開始される古ゲルマン史研究者マウラーの抜萃ノートを検討し、それがマルクス最晩年の世界史把握の形成に決定的役割を果たしたことを文献的に証明した。本研究は、ドイツ語版マルクス・エンゲルス全集の編集に日本人研究者が参加するという意味でも、その国際的意義はきわめて大きい。
著者
山口 庸子 片山 倫子 生野 晴美 尾畑 納子 後藤 景子 大矢 勝 板垣 昌子 多賀谷 久子
出版者
共立女子短期大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

環境負荷の少ない家庭洗濯の提案(環境調和型家庭洗濯)に向けて、洗剤、洗浄用水、汚れ、機械力、機械乾燥、洗濯行動の見直しを行った。その結果、毒性を抑えた界面活性剤の組合せ、酵素配合による界面活性剤使用量の削減、汎用的な洗浄力および機械力の評価方法の提案、地域特有の衣類乾燥の現状と環境負荷を抑えた乾燥法を言及した。更に、教員向け情報支援として、身近な体験的ツールに加えてWeb情報等ペーパーレスを望む意向を明らかにした。
著者
河合 正朝 渡邉 妙子 中村 麻紀 伊藤 公久 赤沼 英男 廣井 雄一 廣木 順一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

日本刀用可搬式デジタル画像撮像装置を開発し、鎌倉時代から江戸時代までの75件の短刀と3件の太刀を撮像した。得られたデジタル画像には、従来の記録方法では困難であった、各流派および各時代を代表する日本刀地金の特色が細部に至るまで表示されていた。これまで、日本刀の鑑識家に独占されていた日本刀表面形態を一般に提示するうえできわめて有効な方法であり、当該方法による日本刀デジタル画像データベースの構築が可能であることが確かめられた。
著者
石黒 慎一 神崎 亮
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

プロトン性イオン液体(PIL)中には解離性のプロトンが過剰に含まれる.PILを電気化学デバイスへの組み込みや酸塩基反応媒体として応用する場合、溶存するプロトンの状態を知ることが不可欠である.本研究では、様々なPIL中における酸塩基性や酸塩基反応メカニズムについて、熱力学的手法をベースに明らかにすることを目標とした.【PIL中の酸塩基反応】EAN中におけるα-アラニンのカルボキシル基の酸解離定数を電位差滴定法によって調べると3.95であり、水溶液中(2.33)より大きかった.このことは、EAN中におけるH^+供与体がHNO_3であり、水溶液中(H_3O^+)より強酸であることを反映すると考えられる.すなわちEANは酸性溶媒に分類される.しかしながら、他にもいくつかの化合物の酸解離定数を決定したところ、そのシフト幅は一様ではなく、広い範囲の化合物の測定が必要である.【PIL中の溶媒和】PIL中では自己解離平衡が起こっており、自己解離定数pK_<IL>はPILの酸塩基性を示す指標となる.幅広い陽イオン・陰イオンの組み合わせからなるPILについてpK_<IL>を決定すると、水溶液中から見積もられた対応する物理量ΔpKaに対しpK_<IL>=ΔPKa-2に近い値であった.しかし、PIL中におけるこの反応のエンタルピー・エントロピー変化を調べると、水溶液中とは大きく異なっていた.酸塩基反応は化学種の電荷の増減をともなうため、PIL中と水溶液中では溶媒和状態が大きく異なるためだと考えられ、PILの酸塩基性を水溶液中の情報から予測することが困難であることが示された.
著者
花井 一光 尾崎 まみこ
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

動物(ヒドラ、アリ、マウス)の行動(10-160分程度)をディジタルビデオカメラで撮影して、パソコンに取り込み、30枚/秒の連続画像ファイルとして書き出す。こうして得られた画像フレームから、自動的に動物を高精度に抽出し、その重心の位置や高次モーメントを高速に算出するCプログラムglanaを作った。本年度はglanaからバグを出来る限り除去して、時々生じていた目標物を見失ってしまう不具合をなくすことが出来た。こうして得られた重心の33ミリ秒ごとの時系列データを解析する方法を検討した。各時刻での重心の座標のデータからその移動のダイナミックスを解析することを試みた。120分以上の長時間のデータから大量の移動データを集め、統計的誤差が小さくなるようにして解析してみた。動物が各時刻で移動した距離を調べると、実際には、時刻ごとに大きく変動していた。それで、あるしきい値を設定し、その各時刻での移動距離がしきい値より小さい状態(slows state)、大きい状態(move state)に分けて、それらの持続時間を調べてみた。すると、slow stateは持続時間の対数と持続時間の累積頻度の対数とが直線関係を示し、この分布はスケールフリーであったが、一方、move stateの方は持続時間と累積頻度の対数が直線関係を示し、分布はポワッソン分布であった。このことから、moveの制御系は時間に関して指数関数的な分布を示す単純な速度過程であり、制御しているシステムには、特性時間(速度定数の逆数)がある。slowを制御しているシステムにはそのような時間が存在しないことを示している。この関係はアリでも、マウスでも同じように観察された。これは大変面白い結果であり、ロコモーションの制御系の適切なモデルを利用すれば、このシステムの性質を探ることに利用できる可能性がある。
著者
松本 健志 小笠原 康夫 片岡 則之 後藤 真己 梶谷 文彦 MOCHIZUKI Seiichi MATSUMOTO Takeshi TACHIBANA Hiroyuki
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

【目的】糖尿病に認められる血液レオロジーの変化は微小血管分岐部における血流分配にも影響し,局所的に心筋酸素需要-供給バランスを悪化させ,糖尿病と高率に合併する冠微小循環障害の原因になり得ると考えられる.本研究では血液レオロジー変化がもたらす心筋血流異常について基礎的検討を行うために,血液,タイロード溶液,および人工赤血球+血液による摘出潅流心モデルを対象に,冠微小循環単位レベル(最小の細動脈が潅流支配するサブミリメートルサイズの心筋微小領域)で心筋潅流分布評価を行った.【方法】血液,NRC+血液潅流では交叉潅流モデルを用いて潅流液を酸素化し,タイロード溶液については酸素バブリングにて心筋潅流を行った.人工赤血球にはテルモ社製Neo Red Cell(NRC,粒子径=200nm)を利用した.各潅流液での潅流中に血流マーカーであるHDMI(2μCi)を心筋内ボーラス投与し,心停止後,心表面に平行に心筋スライスを作製し(10μm厚,28枚/心筋),デジタルラジオグラフィによってスライス内のHDMI分布を測定した(空間分解能100μm).潅流分布の評価には,局所血流の不均一性の指標である変動係数(CV[%]=局所HDMI密度の標準偏差/HDMI密度の平均)を用いた.【結果及び考察】潅流量,左室発生圧は,NRC+血液潅流心では5.4±0.4ml/min/g,109±6mmHg,血液潅流心では2.8±0.1ml/min/g,108±15mmHg,タイロード潅流心では13.6±2.7ml/min/g,107±18mmHgであった.なお,NRC潅流ではヘマトクリット,リポソームの体積率は各々20±1,9±2%であった.局所心筋潅流のバラツキCVはタイロード溶液潅流心で最も低く,次いでNRC+血液潅流心,血液潅流心で最も大きかった.NRCは赤血球径の1/40であることからNRC+血液の粘性は血液に比べ低く,その結果,潅流量は増加し,さらに潅流不均一性の低下が認められた.加えてNRC添加により酸素供給不均一化の原因となる微小血管分岐でのプラズマスキミングも低減すると考えられ,NRC代謝改善効果に寄与するものと考えられた.
著者
鬼澤 陽子
出版者
日本女子体育大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,新学習指導要領で体育の学習内容として明示されることとなった「知識」の評価に寄与するものとして,バスケットボールの戦術的知識の理解度について測定できる「映像を用いた状況判断テスト」の開発を目指した.従前からの課題を克服するために,ハイビジョンのデジタルビデオカメラに広角レンズを装着するだけではなく,カメラクレーンシステムを導入した撮影技術やデジタル映像の加工技術を用いることによって,ゲーム状況を可能な限り忠実に提示できる「映像を用いた状況判断テスト」の開発をすることができた.
著者
奥 直人 浅井 知浩 清水 広介
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

花粉症などのアレルギー疾患では脱感作療法などが行われているが、根本的治療法はない。本研究では、アレルギーの基となる免疫細胞の活性を恒久的に抑える根本的治療法を開発する。すなわち薬物送達システムを利用し、特定の薬物を運ぶキャリアーに抗原を結合することで、抗体産生細胞に特異的にキャリアーを認識させ、特定の細胞のみに薬物を送達し細胞の活性を抑える新たな治療戦略を確立する。
著者
市原 恒一 陣川 雅樹 山田 健 豊川 勝生 井上 昭夫 小林 洋司
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

間伐を実行して二酸化炭素の吸収量が多い健全な森林を作るため、および集材の際に排出される二酸化炭素量を削減するために、新しいモノレールを開発した。このモノレールは材を積載し斜面を降下する際に発電し、そのエネルギーを空荷で荷積み地点まで戻る際に利用するシステムを有する。このモノレールを用いて化石燃料の消費量が極めて少ない集材を実行し、間伐材を収穫して二酸化炭素の吸収固定量が多い健全な森林を作り、ゼロ・エミッション、すなわち廃棄物を出さない循環型の木材収穫システムの実現を目指した。試作機を用いて電気エネルギーと重力エネルギーの変換効率を測定すると、上りで0.50〜0.68、下りで0.18〜0.33と低い値になり、ゼロ・エミッションを達成することはできなかったが、化石燃料使用量を削減することができた。効率の高い直流モータとバッテリーおよび発電量を増加させるために歯車を入れるなどの改良点を明らかにした。地球環境を改善するために、環境倫理学に基づいた森林の管理法について検討を加えた。間伐材の集材ではコストを押さえることが重要である。このため、モノレールに搭載されたクレーンによる合理的な木寄せ法とモノレールへの積載法、最適複合路網計画法および軌条敷設作業能率などモノレール集材における作業の高能率化について検討した。ここで提案した木寄せ・積載法については、保残木を利用するためアウトリガーが不要で車両の軽量化と木寄せ地点間移動の簡素化を実現した。複合路網とは、急傾斜地ではモノレール、緩傾斜地では林道を敷設するものである。遺伝的アルゴリズムを用いて、敷設と木寄せに関わるコストが最も低い最適路網を求める方法を提案した。敷設作業能率については、軌条勾配と作業能率の関係を明らかにし、急傾斜地における敷設法に関する提案を行った。モノレール導入による、労働負担の軽減について定量的な効果を証明した。
著者
佐々木 えりか 富岡 郁夫 高橋 司 井上 貴史 前田 卓志 岡原 純子
出版者
公益財団法人実験動物中央研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

コモンマーモセットは霊長類で唯一導入遺伝子が次世代へ伝達する遺伝子改変個体の作出が可能であるが、より多くの疾患モデル作製のためには機能欠損型の遺伝子改変マーモセットの作出が求められる。本研究は、機能欠損型の遺伝子改変マーモセットの作出技術基盤を構築した。
著者
川田 善正
出版者
静岡大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では、アキシコンプリズムを用いた新しい表面プラズモンの励起法を提案するとともに、表面プラズモンを局在化させて、高いクウカン分解能をもつ表面プラズモン顕微鏡を実現し、局在プラズモンによる新しい結像理論を構築することを目的として研究を進めてきた。円錐形状のアキシコンプリズム側面で表面プラズモンを励起し、それらをプリズム先端まで伝搬させ、プリズム先端に大きな電場増強を実現することが目的である。特に提案手法の有効性を検証するために、フレネルの多層膜反射計算手法から最適なプリズム形状を設計し、実際に試作した。金属には金を仮定し、ガラス基板上にコートするクロムと金薄膜の最適膜厚、プリズムの頂角を設計した。試作したプリズムにレーザー光を入射し、プリズム側面で表面プラズモンが励起され、反射光が減少することを確認した。表面プラズモンはp偏光によってのみ励起されるので、入射光の偏光状態回転させることにより、反射高強度の減少する方向が変化することを確認した。また、蛍光薄膜を試料として用い、表面プラズモンにより、蛍光を励起することを試みた。本実験は、近赤外レーザー光を用いた2光子励起による蛍光発光である。さらに、全反射の際に生じるエパネッセント波を用いて、プリズム先端と試料との距離を制御するシステムを開発した。試料表面に局在化するエパネッセント波をプリズム先端で散乱させ、その強度を測定することにより、数ナノメートルの分解能で試料とプリズムの距離を制御した。
著者
都築 暢夫 加藤 文元 志甫 淳 山崎 隆雄 中島 幸喜 山内 卓也 河村 尚明 阿部 知行 諏訪 紀幸
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

リジッド解析的な手法と微分形式から定まるコホモロジー理論(p進コホモロジー)などの数論幾何におけるp進的方法の基礎付けを行い、数論的多様体の研究に応用した。複素単位円板上の半安定族のモノドロミー作用の核と余核を記述する完全列のp進類似として、正標数代数曲線上の半安定族におけるp進Clemens-Schmid完全列を構成した。正標数幾何的単枝多様体上のアイソクリスタルの純性に関して、開集合への制限関手の充満忠実性を得た。この結果、完備幾何的単枝多様体の1次リジッドコホモロジー群が重さ1の純であることを得た。さらに、p進コホモロジーの重み理論や数論的D加群の理論を深化・発展させた。
著者
島田 真杉 川島 昭夫 川島 昭夫 島田 真杉
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

従来、Lucile Brockwayの研究に代表されるように、19世紀後半から20世紀初にかけての帝国主義時代について論議されることの多かった、イギリスの帝国拡大と植物資源の確保をめぐる政策を、18世紀半ば以降の重商主義時代に原型を見出そうとしたのが本研究の目的である。われわれは特に西インド諸島におけるイギリスによる植物園の設立の動機と経緯に注目し、その企図と構想が、イギリス本国における、ロンドン勧業協会の経済的活動に対する一連の奨励策の実施の中で発案されたものであることを確認した。さらにジャマイカにおける植物園設立の背景には、北米大陸のイギリス植民地の独立運動への傾斜の中で、食糧自給の要にせまられたプランテーション経営者の奴隷主たちの従来のモノカルチュアから多角化、新作物導入の必要の認識があったことを明らかにした。とりわけその理論的指導者Edward Longとジャマイカ植物園との関与はブリティッシュ・ライブラリ蔵Dancer MSSの文書で検証しうる。
著者
高倉 統一 荒木 誠之
出版者
熊本学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

1999年5月、日本社会保障法学会(於:早稲田大学)にて、本研究課題に関連するテーマ(イギリス社会福祉と個人情報開示請求権保護のスタンダード-法的基準と立場強化(エンパワーメント)の行為準則-)の学会報告をおこない、当該テーマについて日本社会保障法学会編『社会保障法第15号』に論文掲載した。今年度は、8月にイギリスの社会保障省を訪問し、2000年に制定された新立法の概要の聞取りと同10月にミルトン・キーンズのDe Montfort大学を訪れ、ソーシャルワーカー専門家養成課程における情報管理を含めた利用者権利擁護のヒアリングを行なってきた。その調査の一部は、2000年9月29日国際学術コンファレンス(第1セッション)に発表した。2001年、国内の調査を行い、国際比較として、個人情報保護制度の調査結果を報告書にまとめた。
著者
大野 秀樹 木崎 節子 櫻井 拓也 木崎 節子 櫻井 拓也 小笠原 準悦
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

運動トレーニングは、内臓脂肪の酸化ストレスと、マクロファージ関連の炎症性アディポカインの発現を減少させた。酸化ストレスの低下は、抗酸化酵素の上昇によっていた。さらに、運動トレーニングはマクロファージによる細胞性免疫反応を増強し、一酸化窒素産生能を亢進して、感染防御能を高めることが示唆された。脂肪組織に対する効果は、皮下脂肪よりも内臓脂肪に強く現れる事実は、運動トレーニングが生活習慣病の予防・治療に有用であることを示唆する。
著者
陶山 佳久 中澤 文男 PARDUCCI Laura BENNET Keith D.
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

湖底堆積物や山岳氷河に含まれる古代花粉試料のDNA分析により、花粉試料の種識別や種内系統に関する情報を取得する研究を行った。湖底堆積花粉のDNA分析では、スカンジナビア半島の北方針葉樹が最終氷期から生き残っていたことを明らかにした。また、花粉分析法と堆積物DNA分析による古植生解析の比較を行った。山岳氷河から得られた花粉のDNA分析では、形態からは同定できない節レベルの識別に成功した。これらの成果は、堆積花粉のDNA分析による過去の植物の遺伝情報取得法として新たな提案となる。
著者
紙野 健二 市橋 克哉 下山 健二 高田 清恵 高橋 祐介 豊島 明子 大沢 光 山田 健吾 前田 定孝 大河内 美紀 林 秀弥 藤枝 律子 稲葉 一将 岡本 裕樹 宮澤 俊昭
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

グローバルな規模で展開再編する市民社会は、少子化、大規模災害や自然環境の破壊が典型的であるように、自らの存続にとっての数多くの脅威に直面して、国家に解決すべき、しかし困難な多くの課題を突きつけている。このような国家と市民社会のそれぞれの運動に対抗するものとして、双方性を有する行為である契約が観念される。それは、国民生活に必要な役務の交換が国家から市場へと転化した結果一方的に提供される役務の「選択」の法制度に対して、またこのような法制度に対する多数の国民意思を正確に反映できなくなっている民主主義の機能不全に対して、ますます強く観念せざるをえない。このような意義を有する契約が、いかなる行政領域の法を反映して、どのような実体法手続法的な形態となって表現しているのかを論証するべき必要を明らかにしたことが、本研究の成果である。研究成果の一書による公表が、計画されている。