著者
井上 善文
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.3_255-3_260, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
10

本邦におけるNST活動は、稼動施設数やJSPEN会員の増加など、大きな成果を残しているように見える。しかし、このNST活動が施設内に定着し、すべての患者に対して適切な栄養療法が実施されるようになったかと考えると、数多くの問題が残されている。医療従事者の栄養療法に関する知識不足も1つの問題である。最も根本的な問題が医師の栄養療法に対する姿勢である。医学生に対する臨床栄養教育、卒後教育が明らかに不足している。医師が栄養療法の意義・重要性を認識し、適切な栄養療法を実施しようとすれば、自ずとNSTの必要性が実感されて活発なNST活動が実施できることになる。TNTおよびNST医師教育セミナーなどを積極的に推進し、医師の臨床栄養に関するレベルアップを図ることがNST活性化のための最重要課題である。
著者
岸本 暢将 駒形 嘉紀 要 伸也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.2173-2180, 2021-10-10 (Released:2022-10-10)
参考文献数
5

近年,分子標的治療薬を含む薬物療法の進歩により,乾癬性関節炎(psoriatic arthritis:PsA)や体軸性脊椎関節炎[代表疾患:強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis:AS)]に代表される脊椎関節炎患者の予後は大きく改善している.それに伴い,早期診断を目的に分類基準が整備された.また,2020年以降,本邦においてもIL(interleukin)-17阻害薬のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(non-radiographic axial spondyloarthritis:nr-axSpA)への適応追加,新規IL-23阻害薬や経口分子標的治療薬であるJAK(Janus kinase)阻害薬もPsAの治療薬として登場し,関節リウマチより多くの分子標的治療薬が承認されている.本邦や欧米の治療推奨やガイドラインを熟知し日常診療の治療選択の一助としていただきたい.
著者
難波 敦子 宮川 金二郎 大森 正司 加藤 みゆき 田村 朝子 斎藤 ひろみ
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.907-915, 1998-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
25

This report continues our study of post-heated and fermented tea which are produced in the northern area of South-East Asia and Japan. A search of Chinese literature for Suancha (a sour, non-salted pickled tea) reported it to be produced by hill tribes in the south-west of Yunnan province in China by a two-step fermentation process (under aerobic and anaerobic conditions) like Goishi-cha in Japan. Our study, however, clarifies that the present Suanchas are produced by a one-step fermentation process under anaerobic conditions like Lepet-so in Myanmar, Miang in Thailand and Laos, and Awa-bancha in Japan. Suancha is now produced by the Bulangzu living near Mt. Bulang in Xysanbanna and by the Daizu in Dehong province of Yunnan. Edible pickled teas, including Liangpan-tea and Yancha that is the other kinds of pickled tea in Yunnan are also discussed.
著者
堀尾 強 河村 洋二郎
出版者
Japan Human Factors and Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.143-150, 1998-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

本研究では健康な男女大学生15名を対象に, 体脂肪率の変動に平素の栄養摂取と運動トレーニングがどのように関与するかを調べた. 栄養摂取状況は食事調査により行い, 運動は自転車エルゴメーターを用いて1日20分, 週2~5回, 5カ月間行った. あわせて血漿中コレステロール, 中性脂肪, 最大酸素摂取量, 歩数計を用いた1日の生活活動量およびアンケートによる体調の自覚についても分析した.トレーニング前の体脂肪率の平均値は男子22.0%, 女子28.2%と肥満と正常の境界域であったが, 運動トレーニング開始後男子で2カ月目, 女子で4カ月目から体脂肪率は有意に減少し始め, トレーニング5カ月目で男子19.3%, 女子23.8%と正常範囲になった.食事調査の結果, 女子では1日の摂取エネルギー量が多いものほど, 運動による体脂肪率の減少率が低かった. 三大栄養素の中の割合では, 脂肪の摂取率が高く糖質の摂取率が低かった. 安静時の収縮時血圧, 拡張時血圧, 心拍数, 血漿中の空腹時血糖値, 総コレステロール値, HDLコレステロール値, 中性脂肪値には大きな変化はみられなかった.以上より, 体脂肪率の減少には, 運動トレーニングとともに, 栄養摂取の仕方が関与することが示唆された.
著者
重冨 貴光
出版者
日本弁理士会
雑誌
別冊パテント (ISSN:24365858)
巻号頁・発行日
vol.75, no.27, pp.99-122, 2022 (Released:2022-11-24)

第4 次産業革命としてAI・IoT 技術が進展し,産業構造が「モノ」から「コト」に急激に変化し,新たなサービスに向けた技術開発が従来にもまして活発化する中,サービスの提供に向けられた特許として,方法特許の効力をどのように考えるべきかという問題意識が生じている。 物の特許の実施品(方法特許の専用品)を譲渡した場合において,当該物を使用する方法特許が消尽するかという論点については,産業構造の変化を踏まえつつ,サービス提供手段に係る物の開発製造業者に開発成果に対する代償が還流される仕組み作りを行うべく,少なくとも一定の場合には方法特許について消尽を否定する解釈論を明確化することが望ましい。消尽しない方法特許発明の選別手法として,方法特許発明の使用態様(同時に2 以上の複数拠点に対して方法の使用がされているか否か)を判断基準として採用するアプローチ(方法の使用態様基準アプローチ)を採用することが望ましい。
著者
鶴 宏史 中谷 奈津子 関川 芳孝 Hirofumi TSURU Natsuko NAKATANI Yoshitaka SEKIKAWA
雑誌
教育学研究論集 (ISSN:21877432)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-8, 2016-03-20

本研究の目的は,保育ソーシャルワーク(以下、保育SW)に関する研究のレビューを通して,保育所における保護者支 援の課題を明確にすることである。保育SW に関する35 本の文献を,保育SW の機能,保育所内での組織的対応の有無,保育SW の対応課題に生活課題までを含むか,保育SW の基礎となる援助理論,の4 つの枠組みで分析した。その結果,保育SW の主な機能は相談援助機能と連携機能である点,組織的対応の重要性が指摘されていたが具体性には乏しい点,子育て以外の生活課題への言及はあったが具体的内容は不明であった点,基礎となる援助理論としてジェネラリスト・アプローチとエコロジカル・アプローチの重要性が指摘された点が明らかになった。今後の保護者支援の課題として,面接技術及びアセスメント技術の習得,連携の具体的方法の明確化,保育所内の組織的対応の具体化,継続的な現任者への研修体制の確立が挙げられた。
著者
Haiyang ZOU Wengang ZHAO
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
IEICE TRANSACTIONS on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences (ISSN:09168508)
巻号頁・発行日
vol.E105-A, no.12, pp.1591-1603, 2022-12-01

It has been widely recognized that in compressed sensing, many restricted isometry property (RIP) conditions can be easily obtained by using the null space property (NSP) with its null space constant (NSC) 0<θ≤1 to construct a contradicted method for sparse signal recovery. However, the traditional NSP with θ=1 will lead to conservative RIP conditions. In this paper, we extend the NSP with 0<θ<1 to a scale NSP, which uses a factor τ to scale down all vectors belonged to the Null space of a sensing matrix. Following the popular proof procedure and using the scale NSP, we establish more relaxed RIP conditions with the scale factor τ, which guarantee the bounded approximation recovery of all sparse signals in the bounded noisy through the constrained l1 minimization. An application verifies the advantages of the scale factor in the number of measurements.
著者
山野 広大 村松 大吾 武村 紀子 八木 康史
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J105-A, no.12, pp.146-155, 2022-12-01

本論文では人物の歩行時の特徴(歩容特徴)を用いた年齢推定手法を提案する.歩容特徴に基づく年齢推定においては,自由に歩行している人物の歩容が対象となるため,撮影角度の違いに対する頑健性が求められる.複数の撮影角度からの歩容特徴を学習に利用することで,頑健性を強めることができるが,学習に用いられる歩容特徴の撮影角度と一致しない撮影角度の歩行人物に対しては,推定精度は大幅に劣化する.そこで,本論文では,学習に含まれない撮影角度の歩容特徴の推定精度を改善する手法として,撮影角度抑制学習を用いた年齢推定を提案する.撮影角度抑制学習とは,撮影角度の影響を抑制する副課題のもとで主課題の学習を行うものである.高精度な角度分類器を用いた制約項を考慮しつつ主課題用の特徴空間を構築することで撮影角度の影響を抑制する.提案手法は,歩容公開データベースを用いて,複数の設定で評価を行った.その結果,提案手法は,学習に用いられていない撮影角度の年齢推定において大幅な精度改善を実現した.

1 0 0 0 日本の石仏

著者
日本石仏協会
出版者
木耳社 (発売)
巻号頁・発行日
1977
著者
田中 成典 山本 雄平 姜 文渊 中村 健二 清尾 直輝 田中 ちひろ
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.821-830, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
14
被引用文献数
1

スポーツにおけるICTの活用として,選手をトラッキングする画像処理の研究が行われている.しかし,アメリカンフットボールなどのフィールド上での選手のオクルージョンが頻発する競技では,選手位置が正確に取得できない.そのため,選手の移動軌跡が分断され,正確なトラッキングが難しいことが課題となっている.そこで,本研究では,複数地点から撮影した映像から得られた移動軌跡を用いて,それらを相互に補完することでオクルージョンに頑強な選手のトラッキング手法を提案する.これにより,GNSSセンサなどのデバイスを相手選手へ装着ができない課題を解決する.
出版者
Walter Rentsch AG
巻号頁・発行日
0000
著者
田中 はるみ
出版者
関西大学史学・地理学会
雑誌
史泉 (ISSN:03869407)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.17-37, 1995-03-31
著者
Masatsune Takeda Shane T. Ahyong Naoya Ohtsuchi Hironori Komatsu
出版者
National Museum of Nature and Sciece
雑誌
国立科学博物館研究報告A類(動物学) (ISSN:18819052)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.147-191, 2022-11-22 (Released:2022-11-22)
参考文献数
165

The crabs collected by the RV Hakuhō Maru (KH-72-1 cruise) in the South China Sea are recorded as the fourth part following the previous three parts of the series (Sulu Sea and Sibutu Passage, Timor Sea, and Sahul Shelf). They are mostly shallow water inhabitants, representing 35 species of 31 genera in 13 families, with two new species of the family Epialtidae, Naxioides elongatus sp. nov. and Samadinia hakuhoae sp. nov. Taxonomic comments are given for each species. In this fourth and final part, biogeographic notes on all the species collected by RV Hakuhō Maru (KH-72-1 cruise) are briefly summarized, together with a list of the crabs collected by the RV Hakuhō Maru (KH-73-2 cruise) in the South China Sea.
著者
西村 塁太
出版者
物理教育研究会
雑誌
物理教育通信 (ISSN:24238988)
巻号頁・発行日
vol.181, pp.33-38, 2020 (Released:2020-11-05)
参考文献数
3

高校2年生対象の物理基礎の授業で,休校期間中の探究課題として,「スマートフォンを用いた身の回りの運動の解析」を課した。生徒たちは自らの興味・関心に基づき,エレベーターの運動や水滴の落下運動など,様々な運動をスマートフォンを用いて解析し,グラフ化して分析した。未提出者も相当数いたものの,多くはオンライン授業で学習した運動の知識・理解を,活用することができていた。