著者
北川 裕子
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、自殺リスクの高い若者を特定するための実用的なリスク予測アルゴリズムを構築し、高リスクの対象への早期の適切な支援促進に貢献することである。具体的には、学校・医療機関の両面の多施設共同での研究遂行により次の2点を実現することである。1)自殺企図および自殺に関連するリスクを予測するアルゴリズムの構築:学校・医療現場から収集される多様な情報を活用し機械学習を用いて自殺リスクを有する若者の特徴・パターンを解明する。2)潜在的に自殺リスクの高い若者と接する学校教員(養護教諭)や医療従事者のリスク発見促進とケアの意思決定を補助するツールの開発:データの収集システムは携帯端末およびクラウドを活用する。システムには国際的に評価されている自殺リスクに関する質問項目に加え日常的な事象に関する項目を搭載し、入力後に個人のリスクの程度が可視化されるシステムを構築する。また若者が精神不調を回答しやすい構造の工夫も進める。以上を達成するために、2019年度中に実施したことは次の通りである。・新潟県教育庁からの要請で、県立高校22校に代表者が開発した「精神不調アセスメントツール(RAMPS)」を導入し、保健室での自殺リスクを含む精神不調スクリーニングを実施。学校でのリスク評価と事後対応(保護者・医療機関等との連携)に寄与した事例が複数件報告された。この実施実績が新潟県に認められ、全県へのRAMPS導入が決定しており、2020年度は33校で実施、段階的に実施校を拡大していく。また、東京都内の高校2校、茨城県内の高校1校での導入要請があり実施準備を進めている。得られたデータをもとに予測指標の妥当性・信頼性を確認し、より予測精度の高いリスク評価指標の構築を目指し、データ解析を進めている。
著者
田戸岡 好香 石井 国雄 村田 光二
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.112-124, 2015

ステレオタイプ抑制後にはステレオタイプのアクセスビリティが増加するリバウンド効果が生起する。これまでの抑制研究では,スキンヘッド男性のような少数派や高齢者のような地位が低いとみなされる対象に関する抑制が扱われてきたが,本研究では嫉妬的ステレオタイプを抑制した後のリバウンド効果について検討した。ステレオタイプ内容モデルによれば,我々は成功した外集団に対して有能だが冷たいとみなすことがある。ただし,そうした対象をいつも冷たいとみなすわけではなく,特に競争意識を知覚した時にネガティブな特性が顕現的になることが示されている。そこで,本研究では,抑制対象に対する競争意識の知覚がリバウンド効果の生起を調整することを検討した。参加者はキャリア女性(実験1)もしくはエリート男性(実験2)が他者と働いている場面を記述した。その際,半数の参加者にはその人物の冷たいというイメージを抑制するよう教示し,半数にはそういった教示は与えなかった。その後,ステレオタイプのアクセスビリティを測定した。実験の結果,抑制対象に競争意識を感じやすい場合にはリバウンド効果が生起し,感じにくい場合にはリバウンド効果が生起しなかった。ステレオタイプ抑制を対人認知の観点から検討することの意義について考察した。
著者
田島 弥生
出版者
岐阜大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2015-08-28

日本語母語話者の周辺認知の高さと、周辺情報から先に言語化するという日本語の言語習慣との関連性を検証するために、日本語、英語の母語話者を対象に、言語描写を求められているときといないときの2つの条件下で、静止画像に対する眼球運動を計測した。同時に、談話レベルに観察される情報構造の特徴を明らかにするために、静止画像に対する言語描写を録音し、データ分析を実施した。諸事情により、当初の計画通りに実験が進まず、残念ながら、未だ、データ採取、およびデータ分析の途中である。今年度中に研究を完了させる予定である。
著者
酒井 美紀
出版者
九州大学大学院比較社会文化学府比較文化研究会
雑誌
Comparatio (ISSN:13474286)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-19, 2007

Koyo's Natsu-Kosode is an adaptation of Moliere's L'Avare, in which all the original scenes and personae are modified in Japanese style. In this paper I analyzed homogeneous and heterogeneous elements between the two dramas in order to illuminate Koyo's method of adaptation. Besides style, Koyo added some modification in the plot to give a fresh impression. He harmonized Western elements with Japanese traditional ones to please and satisfy the Japanese reader.
著者
柳井 正
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.241, pp.48-50, 2004-10

柳井 前々から、自分が50代になったら早めに社長の座をバトンタッチしようと考えていました。でも、交代がちょうどユニクロブームの反動の時期と重なっていたので、マスコミには引責辞任と勝手に書かれましたけど。 確かに、01年8月期に4000億円だった売上高は、02年8月期に3400億円に下がった。
著者
斎藤 正
雑誌
成城大學經濟研究
巻号頁・発行日
no.16, pp.31-54, 1962-10
著者
福光 正幸
出版者
北海道情報大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年, 「ブロックチェーン」や「IoT機器」の活用に期待が高まっている. しかし, 内在する次の2つの問題により, これらはいずれ破綻する恐れがある. 1つ目は, 生成される署名データ量の肥大化問題であり, 2つ目は, 量子コンピュータが実用化された場合の安全性の破綻問題である. これらは共に, 使用される署名技術の性能に起因しており, 前述の問題を同時に解決できる署名技術は未だ存在していない. そこで本研究では, 前述の問題を同時に解決できる「圧縮可能性」(膨大な署名データ量を縮小できること)と「耐量子性」(量子コンピュータからの攻撃に耐えうること)を共に備えた署名技術を新たに開発する.
著者
Huizenga Wayne 佐藤 正明
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.923, pp.62-65, 1998-01-12

がっしりした体躯だが、身の丈は平均的な日本人とさほど変わらない。自然なスキンヘッドと顔のあばたが、若い時代の苦労を物語る。唇は薄く、キラキラ輝いたブルーの小さな目で凝視されると、吸い込まれそうになる。 「ミスター・ハイゼンガ、『タイム』をはじめとする米有力週刊誌に掲載されたあなたの顔は、映画に出てくるギャングを連想させる。
著者
吉村 修 中島 新助 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.G3P2557, 2009

【目的】身だしなみは人の印象を決定する重要な要素である.特に臨床の場では人間関係を良好にする基本的なマナーとして必要とされる.今回、当院の患者及び職員に対し、臨床現場における理学療法士(以下PT)及び実習生(以下PTS)の身だしなみについてのアンケート調査を行ったので報告する.【方法】理学療法施行中の患者36名(男性15名、女性21名、平均年齢59.0歳)、看護スタッフ(看護師・看護助手)141名(男性14名、女性127名、平均年齢34.7歳)、PT・作業療法士・言語聴覚士のリハビリテーションスタッフ(以下リハスタッフ)31名(男性12名、女性19名、平均年齢27.4歳)を対象として、PT及びPTSの身だしなみに関する質問紙調査を無記名方式で行った.対象者に対しては事前に説明をして同意を得た.アンケートの内容は、男女の茶髪、男女の指輪、男女のピアス、男女の香水、女性の化粧、女性のマニキュア、伸びた爪、男性の長髪、無精ひげ、カラーの靴下、白衣の下にカラーのシャツを着ることの15項目からなり、質問は全て「~していてもかまわない.」の文章構成とし、回答は「そう思う」「そう思わない」の2件法で選択してもらった.回答の「そう思う」「そう思わない」をそれぞれ1点、0点と得点化(満点15点)し、合計点を尺度得点としたが、点数が高いほど身だしなみに寛容であることを表す.統計処理には二元配置分散分析を用いて検討し、その後、Scheffeの多重比較検定を行った.なお、統計解析には StatView 5.0 を用い、統計的有意水準を5%とした.【結果】PTに対しての身だしなみ尺度得点の平均±標準偏差は、患者8.0±3.6、リハスタッフ6.7±2.3、看護スタッフ4.6±2.7であった.PTSに対しての身だしなみ尺度得点の平均±標準偏差は、患者7.3±3.7、リハスタッフ3.9±3.0、看護スタッフ3.8±2.9であった.PTの身だしなみに関しては、患者とリハスタッフは、看護スタッフより有意に高い得点をつけていた(p<0.05).PTSに関しては、患者は、看護スタッフとリハスタッフより有意に高い得点をつけていた(p<0.01).【考察】患者は、PT及びPTSに対して寛容な見方をしており、看護スタッフは、両者に対して厳しい見方をしていた.このことから、患者と看護スタッフは、両者を区別せずに、同様な見方をしていると思われた.リハスタッフは、PTに対しては寛容な見方をしているが、PTSに対しては厳しい見方をしていた.このことから、リハスタッフは、PTには、ある程度身だしなみが乱れても良いのではないかと考えているが、PTSには、身だしなみを整える必要があると考えており、PTとPTSを区別した見方をしていると思われた.身だしなみに関して患者、看護スタッフ、リハスタッフの意識の差を認識することが、良好な人間関係の形成に役立てると考える.また、年齢や性別の影響が考えられるので、今後は対象数を増やしそれらの要因を調整した分析が必要と考える.
著者
小浜 耕己
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.250, pp.62-67, 2014-02

中堅時代Episode 11小浜 耕己 2年先輩の津川の顔つきを見て、檜山はショックを受けた。目が血走っていて視点が定まらない。顔色は青白く、無精ひげの目立つ頬はこけている。髪はぼさぼさで、昨日から着替えていないらしく、ネクタイもシャツもしわくちゃだ。
著者
高瀬 由嗣
出版者
明治大学文学部心理社会学科
雑誌
明治大学心理社会学研究 (ISSN:18844618)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-21, 2009

本稿では,ロールシャッハ人間運動反応(M)の定義と解釈仮説の歴史的な発展についての文献的検討を踏まえたうえで,Mの内容分析の意義について考察した。ついでMの可視性(顕在型,精神活動型,複合型)に基づいた新しい内容分析を提案し,この分析法がさまざまなタイプの精神病理を特徴づけることが可能であることを示した。さらに,Mの内容分析の可能性と将来展望を,事例および理論の検討を通して議論した。人間運動反応(human movement response, 以下Mと略)は,ロールシャッハ・テストの分析および解釈上,もっとも重要な変数のひとつである。それに付与される解釈仮説は,共感性や創造性といった個人の内的資質を表すものから,精神病理査定に関わるものまで実に幅広い。
著者
正木 晴彦
出版者
長崎大学教養部
雑誌
長崎大学教養部創立30周年記念論文集(Bull. Faculty of Liberal Arts)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.25-80, 1995-03-27

昭和50(1975)年に植物状態となったK・クィンランさんの呼吸器取り外しの訴えがニュージャージー州の高裁へ提出され、その3年後には世界初の試験管ベビーとしてルィーズちゃんが誕生、その後、政府のいわゆる「脳死臨調」の最終答申を経て、今年2月に厚生省が北大の遺伝子治療にゴーサインを出す迄で丁度20年になる。筆者は偶々その当初より、生命科学の展開に関心を有し、データを蒐集して来た。此度、その膨大な資料の中から約750の出来事を抽出し、それ等を3つの項目に分類整理して見た。第1は「出生に関する諸問題」即ち、人が生れて来る迄の、体外受精及びそれに伴なう代理母、男女産み分け、受精卵選別、更には遺伝子診断等々。第2は「AGINGへの努力」、つまり長生きへの努力の如きものである。脳死者や生体からの諸臓器の移植や世論の動向、更には密売や検死体、処刑者からの摘出問題等。第3は「人生の終り(らせ)方に関する諸問題」で、安楽死、尊厳死、脳死、死ぬ権利等を巡る裁判、がん告知、自殺装置、安楽死法などをこの項に含めた。以上のグループ別の3種の資料を一瞥すれば、生や死に関する人々の考え方や態度等がこの20年間に大きく変化しつつある事が判る。即ち、生や死に関する新しい「理論的な枠組」(パラダイム)が出現して来ている事を、具体的事例の列挙に依り提示せんとするのが小論の第一の目的である。次に上記の資料の中から「遺伝子治療」、「体外受精」、それに「死のとらえ方」の3つを取り挙げて、この間にどの様な問題が発生したか、また、生死に関するパラダイムがどの様に推移して来たかを追って見た。臨調の最終答申は「脳死を人の死」としつつも、それに反対する少数意見も付記している。後述する如く国民世論も、脳死や臓器移植について今の処、是非がほぼ拮抗関係にある。最近、脳死直前の「蘇生限界点」(この段階で延命治療を中止すると言われている)から生還した幾人かの事例も報告されており、これ等の問題の一元的解決は益々困難になりつつある。小論では最後に、賛否が相半ばし、価値観の多様化が進行する中でそれ等の問題に対処する現実的エートスを探り、諸先学の新見解を参考にしつつ試案を提示した。
著者
川尻 将守 渡邊 尚 井上 愛 岩谷 理恵子 平塚 明倫 保科 斉生 山本 泉 丸山 之雄 大城戸 一郎 横尾 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.31-35, 2021 (Released:2021-01-28)
参考文献数
14

新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019: COVID‒19)が世界中で拡大し,感染による急性腎障害(acute kidney injury: AKI)の発生に伴い透析を必要とする患者が増加している.血液浄化装置を介した感染拡大を防ぐ必要があるが,装置の汚染状況が不明確なため,現在は約10日間装置をウイルスから隔離した状態で静置した後,他の患者へ使用する運用を行っている.今回,COVID‒19患者の血液透析に使用した直後の血液浄化装置に新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2: SARS‒CoV‒2)が存在するか調査し,今後の装置の運用に役立てることを目的とした.血液浄化装置の9か所で採取した検体において逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(reverse transcription polymerase chain reaction: RT‒PCR)検査はすべて陰性であった.COVID‒19患者に使用後の装置待機期間短縮は慎重に検討すべきであり,検体の採取箇所や環境等の条件を変更した追加調査が必要と考える.