著者
伏見 岳人
出版者
拓殖大学国際日本文化研究所
雑誌
拓殖大学国際日本文化研究 = Journal of the Research Institute for Global Japanese Studies (ISSN:24336904)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.105-140, 2023-03-25

本論文は、「オンライン版後藤新平文書」に所蔵されている桂太郎や小松原英太郎らの後藤新平宛書簡などの資料を読み解き、台湾協会学校、東洋協会専門学校、拓殖大学に至るまでの学校運営に、後藤がいかに関わっていたのかを、一次資料に基づいて論じたものである。草創期の台湾協会学校に対する台湾総督府の補助金交付や、日露戦後の東洋協会への組織改編過程、桂没後の小松原会長時代の拓殖館設立構想などに関する後藤の関与の実態を明らかにした上で、大正八(一九一九)年に小松原の後を継いで東洋協会会長と拓殖大学学長に就任する過程を、当時の資料からあらためて再現し、植民地経営に尽力する人材育成に後藤が強い関心を抱いていた様相を歴史資料から考察する。
著者
佐藤 健人 奥村 康
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.11, pp.858-862, 1987-11-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
1

1957年, センダイウイルスを用いてin vitroでの細胞融合がはじめて報告されて以来, この技術がなした最も重要な貢献はモノクローナル抗体の作製であったろう. いまや全世界の至るところでモノクローナル抗体の作製が行われている. 本稿では, その作製の手順と原理について概説する.
著者
堀 雅宏
出版者
一般社団法人 室内環境学会
雑誌
室内環境 (ISSN:18820395)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.9-19, 2010 (Released:2012-06-01)
参考文献数
95
被引用文献数
5 2

この総説ではTVOCの定義,測定法,生体影響と基準値,効用と限界などについてまとめるとともに,その使い方あるいは使われ方,TVOCのおかれている状況やTVOCを巡る経緯や諸問題について述べた。TVOCは室内空気中に多種類存在するVOCの総合的簡易表記法として,またその汚染影響の可能性を示すものとして提案され,多くの調査研究で用いられてきたが,TVOCは本質的に毒性学的な指標にはなりえず,また,現行のVOC・TVOC測定法では見逃される微量刺激成分の存在により,汚染レベルを示す指標としての欠陥が指摘されている。しかし,TVOCは基準値の設定されていない多くのVOCが共存する中で,発生源や建材の評価や監視を通してまた,VOCリスクの低減をはかるための大まかな環境管理指標として意義がある。
著者
武川 正吾
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.46-48, 2008-04-01 (Released:2012-10-30)
参考文献数
2
著者
下稲葉 かおり
出版者
大分県立看護科学大学看護研究交流センター
雑誌
看護科学研究 (ISSN:24240052)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.90-95, 2018 (Released:2018-12-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1

医療者はケア提供を通して、患者・家族のさまざまな喪失体験や死と向き合うことになる。それらを通して、医療者も喪失・悲嘆を経験する可能性がある。本稿では、医療者の経験する喪失・悲嘆の特徴とそのケアについて述べる。喪失経験のあとに悲嘆を経験することは自然なことであっても、それが仕事を通して蓄積すると大きな影響がでたりバーンアウトの原因なるといわれている。同時に、ケア提供を通して医療者としてのやりがいや達成感を感じたり、専門職・人としての成長を感じることができている。この内なる強さはresilience(レジリエンス)と呼ばれる。レジリエンスを育て強めていくには、大きく2つの要素があり、サポートを受けること(外からの要素)と自己認知とセルフケア(内からの要素)が含まれる。ケアを通して経験する喪失・悲嘆について知り、医療者が十分なサポートを受け、さらにセルフケア実施していくことは、良いケアを提供していくためのひとつの鍵となるのではないだろうか。
著者
平野 悠一郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.100, no.2, pp.55-64, 2018-04-01 (Released:2018-06-01)
参考文献数
27
被引用文献数
2

本稿では,日本でのトレイルランニングの普及と課題解決に携わってきた有志ランナーへの聞き取り調査をベースとし,関連資料・データを踏まえて,その林地利用の現状と動向を体系的に把握した。トレイルランニングは,主に山や森林に続くトレイルを走る新しい林地利用として,日本でも2000年代以降に,主要な大会開催,ランニングブーム,中高年を含めた健康・体力維持や自然志向を背景に普及が進んだ。その一方で,ランナーや大会の急増に伴い,ハイカー等の従来の利用との軋轢が増加し,トレイルの植生破壊や事故等の安全管理面も懸念され,最近では東京都「自然公園利用ルール」(2015年)等を通じて,トレイルランナーの林地利用の規模・要件を制約する動きも生じてきた。この課題解決に向けて,各地での大会開催や普及活動を担ってきた有志ランナーによる「日本トレイルランナーズ協会」が設立され,ランナーのマナーや社会的地位の向上を組織的に担う動きが見られている。また,過疎化に直面する自治体・集落等との連携に基づき,大会開催,普及活動,トレイルの維持再生を通じて,森林の有効活用による地域活性化を積極的に担おうとする取り組みも確認された。
著者
安達 亙 塩澤 秀樹 小松 修
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.327-332, 2022 (Released:2022-06-29)
参考文献数
20

背景・目的本邦ではFecal impaction(FI)への関心は低く臨床的検討は少ない.FIで医療機関を受診する患者の特徴を明らかにすることを目的とした.対象・方法外来を受診したFI症例60例の診療録を解析した.結果平均年齢は74.6歳,男性36例,女性24例,併存疾患として精神神経疾患を10例に認めた.便秘のある症例が半数以上を占めたが16例では便秘の既往はなかった.51例でFI発症の誘因はなかった.自覚症状は排便困難,肛門部痛が多く診断は比較的容易であったが,8例に溢流性便失禁が認められ,認知症の併存頻度が有意に高かった.浣腸,摘便で改善したが,3例では麻酔を要した.7例に再発を認めた.結論FIは高齢者に一般的にみられる疾患である.診断,治療は比較的容易であるが,溢流性便失禁の認識が必要であり,特に認知症患者では重要である.
著者
清水 将吾
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.58, pp.191-202,24, 2007-04-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
9

The body is a subject in the sense that it is that which perceives. But, at the same time, it is also an object. In this paper, I hope to take a step towards understanding this peculiar twofold character of the body.The question I will consider is : are bodily sensations able to locate the body in space? I take up this question because arguments have already been advanced for an affirmative answer. If they are found persuasive, that would seem to support the claim that bodily sensations afford an objective aspect to the subjective body.Such arguments, however, are not at the level relevant to my interest, since they appear to deal not with the intrinsic or indipendent affect of such sensations.The first aim of this paper is to therefore secure the relevant level through making critical examination of the existing arguments. The second aim is to answer the question articulated at that level. The answer I give will be a negative one.
著者
御手洗 光祐 藤井 啓祐
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.74, no.9, pp.604-611, 2019-09-05 (Released:2020-03-10)
参考文献数
42

ファインマンが指摘したように,量子系は粒子数に対して指数的に自由度が増えるため,従来コンピュータでのシミュレーションは難しくなる.量子力学の原理によって計算を行う量子コンピュータは,このような問題を根本的に解決することができると期待されている.今では,原子や電子,そして量子化された電気回路など,個々の量子系を精密に制御する量子エレクトロニクス技術の進展に伴って,量子コンピュータの実現が現実味を帯びつつある.現在,Google,IBM,Microsoftなどの巨大IT企業に加え,ベンチャー企業であるRigetti computingなどが量子コンピュータの実現に向けた基礎研究開発を行っており,すでに数十量子ビット程度の規模の量子コンピュータが実現している.さらに,ここ数年で数百量子ビット規模の量子コンピュータが実現されると期待されている.十分に精度の高い操作が可能な100量子ビット程度の系ができれば,スーパーコンピュータを用いても完全にシミュレーションすることは難しく,このような規模でも大きな潜在能力を秘めている.一方で,量子誤り訂正を実装できるほどの規模がないため,複雑な量子アルゴリズムを実装することはできない.このようなデバイスは,Noisy Intermediate Scale Quantum(device)を略しNISQデバイスと呼ばれている.NISQデバイスはノイズの影響から,多くのステップを要するような複雑な量子計算を実行することができない.できるだけ,量子計算をコンパクトに設計し有効活用する方法が求められており,物理分野でも古くから行われてきた,変分法による量子系の解析が注目を集めている.従来のコンピュータ上で実行する変分法では,量子状態を効率のよい試行関数によって表現する必要がある.密度行列繰り込み群やテンソルネットワークなど,計算コストをできるだけ抑えて量子相関を取り込む方法が検討されてきた.それに対して,量子コンピュータ上の量子状態を試行関数として利用すれば,複雑な量子相関を取り込んだとしても,その状態の生成からエネルギーや観測量の評価は,物理法則を用いて効率よく実行することができる.まさに,ファインマンが指摘したように,量子力学で動作する量子コンピュータを用いて変分法の試行関数を表現するのである.このようなアプローチで,量子多体系の基底状態を求める変分法が変分量子固有値法(Variational Quantum Eigensolver, VQE)である.試行関数によるモデル化は,物理分野だけでなく,ニューラルネットワークなどの機械学習においてもよく行われている.最近では,量子多体系をニューラルネットワークで表現したり,物質相を機械学習で分類する,といったアプローチの研究も進んでいる.我々の最近の研究では,教師あり機械学習に量子回路を用いた変分的なアプローチを利用することを提案している.量子ビットに対して指数的に大きな次元となるヒルベルト空間を機械学習のための特徴量空間として利用しようという試みである.また,このような量子コンピュータを用いた機械学習を基底状態などの量子系を学習するために応用する研究も行っている.このように,変分アプローチによる量子古典ハイブリッドアルゴリズムは,NISQデバイスでの利用が期待されており,発展が期待される分野である.
著者
粟屋 徳子 春原 則子 宇野 彰 金子 真人 後藤 多可志 狐塚 順子 孫入 里英
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.294-301, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
参考文献数
25
被引用文献数
12 3

発達性読み書き障害児に対し, 春原ら (2005) の方法に従って漢字の成り立ちを音声言語化して覚える学習方法 (聴覚法) と書き写しながら覚える従来の学習方法 (視覚法) の 2 種の漢字書字訓練を行い聴覚法の適用を検討した。対象は発達性読み書き障害の小学 3 年生から中学 2 年生の 14 名で, 全例, 全般的知的機能, 音声言語の発達, 音声言語の長期記憶に問題はなかったが, 音韻認識や視覚的認知機能, 視覚的記憶に問題があると考えられた。症例ごとに未習得の漢字を選択し, 視覚法と聴覚法の 2 通りの方法で訓練を行い, 単一事例実験研究法を用いて効果を比較した。その結果, 2 例では両方法の間の成績に差を認めなかったが, 12 例では聴覚法が視覚法よりも有効であった。この 12 例はいずれも, 視覚的認知機能または視覚的記憶に問題を認めた。この結果は, 聴覚法による漢字書字訓練の適用に関する示唆を与えるものと思われた。
著者
里見 龍樹
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.161-179, 2016 (Released:2018-02-23)
参考文献数
18

本稿では、ソロモン諸島マライタ島北部で特徴的な海上居住を営んできたアシ/ラウにおける葬制とその変容について考察する。オーストロネシア語圏の複葬慣習に関する一群の研究には、葬制が、生前の通婚・姻族関係を儀礼的に解消し、死者を集合化することを通じて社会集団を再生産するという共通理解が見出される。本稿では、反復的な移住の中で海上に居住してきたアシの葬制が、この通説に回収されえない独自性をもつことを示す。 キリスト教受容以前のアシの葬制は、死者の頭蓋骨を切除・保管した後、特定の場所に海上移送する「トロラエア」という慣習を中心としていた。遺体の取り扱いの3つの段階からなるこの葬制は、個別的葬送から集合的葬送へと明確に移行する。とくに最後の段階は、同一氏族に属する死者たちの頭蓋骨を、父系的祖先のかつての居住地へと移送するものであり、氏族における祖先崇拝の一体性を維持する意義をもっていたとされる。 ただし以上の側面は、アシの伝統的葬制の一面にすぎない。他面において女性の個別的葬送は、出身地と婚出先という2つの場所・集団の間における女性の二面的な立場を明確に反映している。しかも注目すべきは、通婚・姻族関係をたどって移住を繰り返してきたアシにおいて、氏族の集合的葬送が一面で、女性の個別的な移住と葬送を再現しているという事情である。本稿では葬制に おける集合性と個別性のこのように逆説的な関係に、アシの葬制の独自性を見出す。 しかし、20世紀を通じて進展したキリスト教受容により、アシの葬制は根本的な変質を遂げる。新たに形成されたキリスト教的葬制において、死者はあくまで個別的に埋葬され、またコンクリート製墓標の普及により、埋葬地の個別性と固定性はいっそう強められた。本稿では、このような葬制が現在のアシにある困難をもたらしていることを指摘する。
著者
谷 洋介 小村 真央
出版者
公益社団法人 有機合成化学協会
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.492-500, 2023-05-01 (Released:2023-05-10)
参考文献数
42

Phosphorescence is a unique luminescence property with a number of advantages that are complementary to those of fluorescence. However, achieving efficient room-temperature phosphorescence (RTP) using metal-free organic molecules is a challenging task owing to the spin-forbidden nature of phosphorescence. Extensive research in the last decade has revealed that decent RTP can be obtained from organic crystals based on the suppression of nonradiative decay. Nonetheless, once the rigid crystalline lattice is destroyed by applying mechanical stimuli, such RTP often disappears. We have recently developed heteroaromatic 1,2-diketones as a novel scaffold of organic RTP. Unlike conventional phosphors, the diketones exhibit efficient RTP in various noncrystalline states/environments. This article describes the RTP of halogenated thienyl diketone derivatives, focusing on their response to mechanical stimuli and the multiple and indispensable roles of halogens therein.
著者
山本 哲 山本 定光 久保 武美 本間 哲夫 橋本 浩司 鈴木 一彦 池田 久實 竹内 次雄
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.173-177, 2011 (Released:2011-07-27)
参考文献数
6

北海道函館赤十字血液センター(以下函館センター)の製剤部門は2006年に北海道赤十字血液センター(以下札幌センター)に集約され,管内供給は北海道ブロックの需給コントロールによって管理されることとなった.製剤部門の集約は,在庫量の少ない血小板製剤に影響が現れやすいと考えられたので,同製剤の緊急需要(当日受注)に対する供給実態について,受注から配送に至る経過に焦点をあて回顧的に調査した.当日受注で,在庫分に由来すると思われる配送所要時間が2時間未満の血小板製剤の割合は集約直後の2006年度で減少したものの,在庫見直し後の2009年度は2005年度並みに回復した.在庫分がなく札幌からの需給調整に由来すると思われる所要時間6時間以上の割合は2005年,2006年に比べ,2009年度では半減した.時間外発注で1時間以内に配送した割合も在庫見直し後の2009年度に有意に増加し88.5%に達した.製剤部門の存在は,血小板製剤の緊急需要に対し,一時的な在庫量の増加をもたらすものの安定供給の主要な要因とはならず,適正な在庫管理が最も重要な要因であることがわかった.血小板の緊急需要に対しては,通常の需要量を基礎にして在庫量を設定すること,需要量の変化に応じてそれを見なおすことにより対応が可能であった.供給規模が小さく,在庫管理の難しい地方血液センターでは,血小板製剤の広域の需給調整を活発にすることで経済効率を保ちつつ医療機関の需要に応えるべきと考える.
著者
加茂 智彦 荻原 啓文 田中 亮造 遠藤 まゆみ 角田 玲子 伏木 宏彰
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.242-249, 2019 (Released:2019-08-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2

【目的】本研究では日本におけるめまい症に対する理学療法士による個別リハビリの効果を検証した。【方法】本研究は,後ろ向きのコホート研究である。対象はめまい患者20 例とした。介入群には個別リハを週1 回,1 回40 分,4 週間実施に加え,自宅における自主的な前庭リハビリを指導した。対照群には自主トレのみを指導した。測定項目はDizziness Handicap Inventory(以下,DHI),Dynamic Gait Index(以下,DGI),Functional Gait Assessment(以下,FGA)とした。【結果】介入前後の変化率はDHI_Emotional,DHI_Total,DGI,FGA において介入群とコントロール群間に有意差が認められた。【結論】本研究の結果より,理学療法士による個別リハビリはめまい患者におけるバランス・歩行能力,めまいに関連した日常生活活動を改善させることが明らかとなった。
著者
秋山 佳那子 田中 文子 阿部 礼 臼井 秀仁 新開 真人
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.41-45, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
10

Foreign body ingestion in small children is common. Because most foreign bodies pass innocuously through the gastrointestinal tract, it is not so often for them to require endoscopic removal or emergency surgery. We herein report a case in which emergency surgery was required after the ingestion of multiple magnets. A 1 year old boy was referred to our hospital for vomiting and drowsiness. An X-ray revealed 5 small magnetic balls in the right abdomen, in addition, CT revealed free air in the abdominal cavity. We diagnosed the patient with gastrointestinal perforation caused by the ingestion of multiple magnets and he was quickly transferred to the children’s hospital for surgery. During the operation, one magnet was found in the stomach in apposition to 4 magnets in the abdominal cavity. These 4 magnets had caused multiple perforations associated with pressure bowel necrosis in the intestine wall. In the present case, the boy had ingested neodymium magnets, which are small and powerful. Recently, the incidence of magnet-related injuries has increased with the spread of neodymium magnets. Because such magnets can be easily obtained, the restriction of their use and sale is desired, and appropriate education must be provided for people including health-care workers.
著者
田中 耕市
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.264-286, 2001-05-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
31
被引用文献数
1 4

本研究は,福島県いわき市を対象地域として,個人属性で秀類した住民グループからみた生活関連施設に関する利便性をGISによって測定した.そして,グループ間における生活利便性の差異,および都市中心部と周辺部の生活利便性の格差を定量的に明らかにした.生活利便性を測定する際には,客観的なアクセシビリティ評価に加えて,住民からの主観的な評価を考慮に入れた生活利便性評価モデルを構築した.その結果,以下の点が明らかになった. 多数の生活関連施設が都市中心部に分布しているため,都市中心部ではすべてのグループからみた生活利便性が最良であり,グループ間における利便性の差異も小さかった.また,都市中心部から遠ざかるにっれて,生活利便性は徐々に悪くなる傾向にあった.都市中心部からの距離の増加に伴って生活利便性が悪化する割合は,各グループによって大きな差異がみられた.自家用車の所持率が高い就業者や男性高齢者では,生活利便性が悪化する割合は比較的小さかった.その一方で,自家用車の所持率が低い学生や女性高齢者は,都市中心部から遠ざかるにっれて生活利便性の悪化する割合が大きく,都市中心部と周辺部における生活利便性の格差が著しかった.
著者
山本 祥之
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.109-118, 2017-03-25 (Released:2017-06-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

これまでに、複数の抗がん剤内包リポソーム製剤が開発され、その臨床的有効性が示されてきた。近年、新たにイリノテカン内包リポソーム製剤であるOnyvide®が、転移性膵がんに対して5-FUとロイコボリンとの併用療法として米国で承認された。本稿ではこの新規リポソーム製剤の特徴および臨床開発経緯について概説する。
著者
高野瀬 惠子
出版者
総合研究大学院大学
巻号頁・発行日
2009

identifier:総研大甲第1215号