著者
原 哲也 稲冨 千亜紀 小出 史子 前川 拓治 趙 成三 澄川 耕二
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.316-320, 2009-05-15 (Released:2009-06-18)
参考文献数
11
被引用文献数
1

エホバの証人に対する帝王切開術の麻酔を, 動脈圧心拍出量 (APCO) から算出した酸素供給量を指標として管理した. 患者は40歳代の女性. 身長150cm, 体重56kg. 子宮筋腫合併高齢出産であったが, 宗教的信条から輸血を拒否したため, 帝王切開術が予定された. 麻酔は0.5%高比重ブピバカインによる脊髄くも膜下麻酔で行い第4胸髄レベル以下の知覚低下を得た. 術後鎮痛は0.2%ロピバカインによる持続硬膜外麻酔で行った. 同種血および自己血輸血は行わず, 貧血による酸素供給量の減少に対して, 輸液および昇圧薬で心拍出量を増加させ代償した. APCOの測定は低侵襲であり, 酸素供給量を指標とした麻酔管理に有用であった.
著者
沢田 大樹 木嶋 恭一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2003年度秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2003 (Released:2004-05-11)

片方のプレイヤーが相手の主観について誤認識しているような2人ゲーム、特に、この誤認識を解消することがいずれのプレイヤーにとっても利得の増加に繋がるようなゲームにおいて、誤認識解消のために仲裁行為が果たす役割について、ハイパーゲーム理論を用いて分析する。そのような典型的な状況を考え、そこでは、仲裁者を用いずプレイヤー同士が直接に情報交換を行う形式のプレコミュニケーションによって誤認識を解消することは不可能であるが、仲裁者を介して間接的に情報交換を行う形式のプレコミュニケーションによって誤認識を解消することは可能であることを示し、その意味について考察する。
著者
Manasvini Bhatt Manish Soneja Farhan Fazal Surabhi Vyas Prabhat Kumar Pankaj Jorwal Upendra Raj Janya Sachdev Gagandeep Singh Immaculata Xess Shah Alam Ashutosh Biswas
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
Drug Discoveries & Therapeutics (ISSN:18817831)
巻号頁・発行日
vol.12, no.6, pp.374-378, 2018-12-31 (Released:2019-01-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2 8

Mucormycosis is an uncommon aggressive fungal infection usually seen in immunocompromised hosts or patients with burns and trauma. The common presentations include rhino-orbital-cerebral and pulmonary involvement. Osteoarticular involvement is a rare presentation of this disease. We present two cases of osteoarticular mucormycosis of pelvis and long bones of the lower limb, one in a patient with burn injury and other one in a patient with chronic granulomatous disease, hitherto a rarely reported association. Delayed diagnosis in a setting where tuberculosis is a common cause of chronic osteomyelitis, challenges in medical and surgical management of these patients are discussed in this report.
著者
Ryohei SHINOHARA Kengo SASAKI Jun INOUE Namiko HOSHI Itsuko FUKUDA Daisuke SASAKI Akihiko KONDO Ro OSAWA
出版者
BMFH Press
雑誌
Bioscience of Microbiota, Food and Health (ISSN:21863342)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.159-163, 2019 (Released:2019-10-30)
参考文献数
31
被引用文献数
9

Microbial production of butyrate is impaired in patients with ulcerative colitis (UC); however, this inhibition is not well understood in Japanese UC patients. Therefore, we quantitatively analyzed genes encoding butyryl-CoA:acetate CoA-transferase (but) and butyrate kinase (buk) in the gut microbiota of Japanese patients with UC and healthy volunteers (HVs). But showed higher levels than buk. Moreover, patients with UC showed significantly decreased levels of but associated with Roseburia sp./Eubacterium rectale compared with HVs. But, which is associated with Faecalibacterium sp., was maintained in patients with UC, with an unchanged relative abundance of Faecalibacterium sp. microorganisms in patients with UC compared with HVs.
著者
Kang Byeong-Teck Jung Dong-In Yoo Jong-Hyun PARK Chul WOO Eung-Je PARK Hee-Myung
出版者
Japanese Society of Veterinary Science
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.779-782, 2007-07-25
参考文献数
18
被引用文献数
4

7年間にわたり毎日植物(雑草)を食べては嘔吐することを繰り返していた11歳去勢雄ミニチュアプードル犬が来患した。犬は散歩に行くたびに雑草を食べ、その後嘔吐することを繰り返していた。医学的検査では異常は認められなかった。行動学的検査と稟告を通して、我々はこの犬が植物を摂食する何らかの理由を有していると診断した。我々は犬が餌に欠乏しているものを補充するため、あるいは消化を助けるために植物を摂取していると推測したので、飼い主に現在の餌を与えることを中止し、高繊維食餌を与えるよう指示した。その結果、餌を高繊維食餌に変えて3日後より植物摂食と嘔吐が無くなったことを飼い主から聞いた。餌を高繊維食餌に変えて13ケ月間、犬に臨床検査上問題は無かった。以上のことは、特に繊維欠乏食が犬の植物摂食行動に関係している事を示唆している。

1 0 0 0 OA 人生の夕べに

著者
ミュラー マックス 津城 寛文 Müller Friedrich Max TSUSHIRO Hirofumi
雑誌
人生の夕べに
巻号頁・発行日
2003-11-30

2017/09/05 レイアウト変更のため差替
著者
横塚 保 大下 克典 菊地 忠昭 佐々木 正興 浅尾 保夫
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.189-196, 1969 (Released:2008-11-21)
参考文献数
30
被引用文献数
4 4

(1) 液体培養により,わが国の麹菌工業に関連の深い種麹菌類およびその他の麹菌類約70菌株について,とくに注意を要する麹菌の生産毒と考えられるAA, KA, β-NPAおよびOAの生産性を検索し,それぞれのものは個々の菌株によって生産性に非常な差異のあることを知った.同時にX-1やNo. 48のように,それらの生産に関して特異的な菌株を野生菌の中から見いだした. (2) 固体麹中のAAの定量法として,銅塩を作り分離定量する新法を設定した. (3) AA, KA, β-NPAおよびOA生産菌の代表株をそれぞれ2,3株ずつ選び出し,それらを用いて固体麹(醤油麹)を作って,それぞれの生産量の経時的変化を求めた. (4) AAは経時的変化の結果,著しくAAを生産するX-1においてですら,わが国の麹菌工業で使用する通常の製麹期間では30mg/kg koji程度しか生産されず,毒性的問題量が3030mg/kg kojiであるのに比し,きわめて少なく,通常は全く問題にならないが,その性質から,味噌,味醂,清酒工業等においては考慮すべき点のあることを指摘した. (5) KAはその毒性も弱く,毒性的問題量が15,150mg/kg kojiであるのに比し,実際の固体麹中での生産量は最高時で約2001mg/kg kojiであリ,問題なかった. (6)β-NPAは比較的毒性が強く,水溶性であり,通常の製麹期間内に生産量が最高を示す点等,問題はあったが,その生産量は特異的な生産菌No. 48ですら最高15mg/kg koji程度であり,毒性的問題量が1515mg/kg kojiであるのに比し,きわめて少なく,しかも,β-NPA自体が代謝中間産物で,容易に生産菌の代謝系によって分解される点を考慮し,問題ないことを指摘した. (7) OAは固体麹中から検出されなかった,生産を考慮しても,それは330mg/kg koji以下であり,毒性的問題量が4545mg/kg koijであるのに比して問題はなかった. (8) いずれにしろ,わが国の麹菌工業にとって純粋食品の立場から,AA, KA, β-NPAおよびOAのごとき有毒成分を最初から生産しない種麹菌を使用することが望ましく,事実,そうしたものは幾らもあるから,それらを種麹菌とすべきで,今後の種麹菌選択の一項目としてこれらの生産性を考慮すべきであることを指摘した. (9) マウスを用いて醤油および醤油麹のエーテル抽出物について毒性試験を行ない,それらの無毒性を裏づけた.
著者
和田 千鶴 豊島 至
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

スギヒラタケ関連脳症は,スギヒラタケ摂食後意識障害,痙攣をきたし,脳画像所見で両側基底核病変を認める致死的な疾患である。これらは中国で流行したサトウキビカビ脳症にきわめて類似している。われわれはサトウキビカビ脳症の原因物質である3-ニトロプロピオン酸(3-NPA)のスギヒラタケ関連脳症への関与を検討した。その結果、患者血清,髄液,スギヒラタケに3-NPAの有意な高値を認めず,また,付着真菌のいずれも3-NPAを産生しなかった。両側基底核病変を起こす可能性のある毒素は3-NPAの他にも数多く存在し,いずれもミトコンドリア毒素であり,基底核の酸化ストレス脆弱性に関連すると考えられている。ヒトの中毒例がない物質でも,実験動物で両側基底核病変が証明されており,今後,原因物質として検討に値する。一方,スギヒラタケは従来無毒のキノコであり、スギヒラタケ関連脳症はサトウキビカビ脳症と比べると,摂食から神経症状出現までの潜伏期が日単位と長く,不定である。摂食したスギヒラタケの量と重症度が相関しない。サトウキビカビ脳症と異なり,発熱,髄液細胞数増多を伴う炎症反応が強い症例も多いなど従来の中毒疾患として説明できない事項が多い。また、脳症患者は腎不全を高率に合併した。腎不全には種々の代謝異常、易感染性・免疫異常が現れるとされている。これらの異常が脳症発症に関与した可能性が考えられる。しかし、スギヒラタケを摂食した腎不全患者のうち、脳症発症者は2〜3%に過ぎないという事実から、脳症発症者個体としての免疫応答の異常や毒性物質代謝酵素活性低下についての検討も必要と考える。
著者
堀井 翼 櫻井 義尚 櫻井 恵里子 鶴田 節夫
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.771-772, 2019-02-28

近年、人々は様々な苦悩を抱えている。それに対してカウンセラーは少ない。そのため人々は苦悩をぬぐい切れずにいる。そこで、私たちはヴァーチャルカウンセリングエージェント(VCA)を開発した。本稿では、VCAと既存の対話システム(ELIZA, CRECA)の比較実験を行った。その結果、VCAの有用性が証明された。
著者
新開 省二 渡辺 修一郎 渡辺 孟
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.577-581, 1993

基礎代謝量と関連が深い除脂肪量 (LBM) は加齢とともに減少する. しかし, 40歳代から60歳代の中高年者の基礎代謝量とその関連要因についての重回帰分析の結果からは, LBMの減少のみで加齢による基礎代謝量の減少は説明できなかった. そこで, 除脂肪組織成分 (EBM) と脂肪組織成分 (FTM) ごとの基礎代謝産熱量を性別, 年代別に推定した結果, 男女とも40歳代から60歳代にかけ, EBM単位重量当たりの基礎代謝産熱量が漸次減少していることが判明した. すなわち, 加齢に伴う基礎代謝量の低下には, 活性組織量の減少とともに活性組織単位重量当たりの基礎代謝量が減少していることも関与していることが示唆された.<br>中高年肥満女性に15週間の有酸素運動トレーニングを処方した結果, 全身持久力が向上し, 体構成でEBMが増加し, さらにEBM単位重量当たりの基礎代謝産熱量が21%増加した. 他方, FTMの基礎代謝産熱量には変化を生じなかった. このことから, 中高年者の活性組織の代謝活性ひいては全身の基礎代謝を向上する上で, 有酸素運動トレーニングが有効であることが示された.<br>さらに, 70歳代および80歳代の高齢者では個人差が大きいものの, 日常生活活動レベルが高いほど基礎代謝量が高く維持されているようであった. 身体的運動を継続する, あるいは活動的な生活を送ることによって加齢に伴う基礎代謝の低下を抑制し, 老人のエネルギー代謝を改善することが期待できる.
著者
Jin Endo Motoaki Sano Yasuhiro Izumiya Kenichi Tsujita Kazufumi Nakamura Nobuhiro Tahara Koichiro Kuwahara Takayuki Inomata Mitsuharu Ueda Yoshiki Sekijima Yukio Ando Hiroyuki Tsutsui Mitsuaki Isobe Keiichi Fukuda
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
pp.CJ-19-0811, (Released:2019-11-16)
参考文献数
4
被引用文献数
18

Transthyretin cardiac amyloidosis is a progressive and life-threating disease that is significantly underdiagnosed, and the actual number of patients with the disease is presently unknown. Accumulation of wild-type transthyretin-derived amyloid in the heart is a common finding in very elderly patients. Recent clinical trials demonstrated that tafamidis reduced all-cause death and the number of cardiovascular hospitalizations when compared with placebo. The Japanese Ministry of Health, Labour and Welfare approved tafamidis (Vyndaqel®, Pfizer Inc.) for the treatment of cardiomyopathy caused by both wild-type and mutated transthyretin-derived amyloidoses. This scientific statement on transthyretin-derived cardiac amyloidosis summarizes the conditions for reimbursement of the cost of tafamidis therapy, and the institutional and physician requirements for the introduction of tafamidis.
著者
佃 栄吉
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.40, pp.p235-250, 1992-12
被引用文献数
5

西南日本弧を大地形および要素的活構造の特徴をもとに, 南より 1) 陸側海溝斜面帯, 2) 前弧海盆帯, 3) 四国帯(前弧隆起帯), 4) 瀬戸内(剪断)帯, 5) 中国帯, 6) 山陰帯, の島弧にほぼ平行に配列する6つの構造帯に分割した。四国帯には剣山背斜, 紀伊向斜など, 帯に平行な方向の圧縮の結果と考えられる南北軸の構造が卓越する。MTLの北側の幅80~100 kmの瀬戸内帯は顕著な右ずれ剪断運動を示す構造が発達し, 中部九州の雁行地溝群分布域まで連続する。西南日本弧の活構造を形成する基本的メカニズムは, フィリピン海プレートの斜め沈み込みを原因とする前弧海盆帯および四国帯からなる前弧スリバーの西進運動である。前弧と背弧の境界であるMTLの右ずれ運動および瀬戸内帯の右ずれ剪断運動もそれで説明できる。南九州南方ではトラフ軸・島弧の屈曲にともない, プレート間収束方向がプレート境界に対してほぼ直交するために, 前弧スリバーを西進させる力がなくなる。その結果, 前弧の"追突現象"が起き, 四国帯の南北軸の圧縮構造が形成されたと考えられる。
著者
中野 常男 橋本 武久 清水 泰洋 杉田 武志 三光寺 由実子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,不正会計・財務に関連する歴史的事件を取り上げ,それぞれの事件が持つ歴史的意義を分析した。対象となる国,時代はイギリス(南海泡沫事件,東インド会社),オランダ(チューリップ狂事件),フランス(ミシシッピ会社事件),アメリカ(公益事業会社規制)と様々で,それぞれ歴史的重大性を持つ事件である。それぞれの事件において会計の持つ役割は決して主導的なものではないが,不正会計の事件においては会計の持つ道具性が強調されたことを明らかとした。
著者
岩下 篤司 小西 有人 吉田 正樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.183-187, 2013 (Released:2013-06-25)
参考文献数
28
被引用文献数
2

〔目的〕ペダリングとトレッドミル歩行,スクワット時の下肢筋活動量を比較検討することとした.〔対象〕健常成人9名とした.〔方法〕筋電図を用い,仕事率60 Wと120 Wでのペダリング,4 km/hと6 km/hでのトレッドミル歩行,60回/分でのスクワットの動作における筋活動量を計測した.〔結果〕歩行時と比較した筋活動量を見ると,大腿四頭筋ではスクワットとペダリング(120 W)で,腓腹筋は歩行(6 km/h)で,ハムストリングスは歩行(6 km/h)とペダリング(120 W)で,前脛骨筋は歩行(6 km/h)やスクワット動作でそれぞれ高値を示した.〔結語〕大腿筋群の強化にはペダリングとスクワットがよく,またペダリングとスクワットでは腓腹筋が,ペダリングでは前脛骨筋が歩行よりも筋活動が少なく訓練効果が少ない.