著者
中岡 加奈絵 田辺 里枝子 奥 裕乃 山田 麻子 野田 聖子 星野 亜由美 祓川 摩有 五関‐曽根 正江
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.57-63, 2016 (Released:2016-04-15)
参考文献数
37
被引用文献数
3 6

高脂肪食におけるビタミンD制限によるアルカリホスファターゼ (ALP) 活性への影響について検討した。11週齢SD系雄ラットをコントロール食 (C) 群, ビタミンD制限食 (DR) 群, 高脂肪食 (F) 群, 高脂肪食でビタミンDを制限した食餌を与えた (FDR) 群の計4群に分けた。実験食開始28日後に, 大腿骨のALP活性は, DR群がC群と比べて有意に低値を示し, FDR群もF群と比べて有意に低値を示した。また, 十二指腸のALP活性においては, FDR群がF群と比べて有意に低値を示した。小腸ALPは, 腸内細菌由来のリポ多糖 (LPS) などを脱リン酸化して解毒していることが示唆されており, 高脂肪食摂取時におけるビタミンD制限が小腸ALP活性を低下させることにより, 腸内ホメオスタシスに影響を及ぼしている可能性が考えられた。

1 0 0 0 OA 勝間田町誌

著者
権田甚四郎 編
出版者
勝間田町
巻号頁・発行日
vol.正篇, 1927
出版者
訓点語学会
雑誌
訓点語と訓点資料
巻号頁・発行日
no.51, 1973-04-20
著者
大愛 崇晴 オオアイ タカハル Oai Takaharu
出版者
同志社大学人文学会
雑誌
人文学 (ISSN:04477340)
巻号頁・発行日
no.194, pp.392-364, 2014-11

本稿は、17世紀イギリスの音楽理論家トマス・サモン(1648-1706)による、純正律で演奏可能なヴィオルの構想について論じたものである。その構想は、科学者団体であるロンドン王立協会主催の演奏会において実現するに至ったが、ピュタゴラス以来の思弁的な数学的音楽理論の伝統にのっとりつつも、演奏実践や聴覚的な快を重視する彼の姿勢には、同時代のイギリスにおける経験主義的な思潮が反映されているものと思われる。p.376, l.2の表記に誤りあり。(誤)「ガスパーロ」→(正)「ガスパロ」
著者
藤村 健一
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2006年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.16, 2006 (Released:2007-03-01)

京都をはじめとした国内の多くの観光地では,著名な仏教寺院が重要な観光資源となっている。こうした「観光寺院」は,現代の日本人にとって馴染み深いものであるにもかかわらず,人文地理学や観光学,宗教学では等閑視されてきた。そこで本発表では,観光寺院に付与された意味について予察的に考察する。第一に,現在の観光寺院に付与された意味が,主として「観光地」・「宗教空間」・「文化遺産」の3概念に集約できると仮定する。そして, 3概念の関係を既往研究に基づいて整理することにより,観光寺院の意味の構図を仮説的に提示する。第二に,この構図に基づき,観光寺院の意味をめぐる主体間の対立を,京都の文化観光施設税(文観税)・古都保存協力税(古都税)の紛争を事例として分析する。 上述の3概念のうち,観光とは一種の娯楽の販売・消費であり,観光地はそのための場所であるのに対して,宗教の目的は一般に利潤追求と相容れないとされており,宗教空間としての寺院は,観光地であることと潜在的に矛盾する。また,文化遺産ことに文化財に関しては行政が保護を担当するが,行政による宗教空間の保護は,潜在的には政教分離原則に抵触する恐れがある。このように,「宗教空間」-「観光地」,「宗教空間」-「文化遺産」の関係は対立の可能性を孕む。一方,「観光地」-「文化遺産」の間には相対的に親和性が認められる。確かに,観光客による文化財の毀損は跡を絶たないが,文化財は極力一般に公開されるべきものとされており,所有者である仏教教団でも拝観を制限することは稀である。また,寺院への観光は主に文化観光の一環として行われているため,観光寺院には文化遺産であることが求められる。 文観税・古都税紛争では,寺院に「文化観光財」・「文化財」という意味を付与し,その「観賞」行為への課税を試みる京都市側に対して,教団側は寺院や「拝観」行為の仏教的意味を強調し,課税を政教分離原則の違反と見なした。これは,「宗教空間」-「観光地」,「宗教空間」-「文化遺産」の対立の顕在化として理解できる。
著者
林 正之
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部考古学研究室
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:18803784)
巻号頁・発行日
no.24, pp.65-125, 2010-03-20

近年東北地方で鉄製鍬先の出土例が増加し、鍬先研究の盛んな関東地方との比較研究が可能になった。本稿では、東北・関東の古代の鍬先を集成してその規格を検討し、鍬先出土遺跡の性格を分析して鍬先の生産・流通体制を考察した。その結果南東北以南では7 世紀後半の国家による新規格導入以後、11世紀まで鍬先の規格が統一され、鍬先の生産・流通に国家や、国家に結びつく勢力が関与したことが判明した。他方北東北では、8 世紀代から南東北以南とは異なる鍬先が作られ、9世紀末の鉄生産の隆盛とともに独自の規格が確立されて製鉄集落を中心に自給的な鍬先生産が展開したが、10 世紀後半の集落再編でこれらの規格は断絶し、以後製鉄機能をもつ防禦性集落単位で多様な鍬先が生産されたことが判明した
著者
橋本 空

20 世紀における疾病構造の変化を経て主要な死因となった慢性疾患の予防および治療においては, 患者自身の日々の生活上の行動の管理, すなわちセルフケアが非常に重要なものとして注目されている。そうした中, 患者が自身の病気に対して一貫して抱く信念である病気認知を正確に把握し, それを患者の予防や治療に対するアドヒアランスを高めるために活かすことの意義は大きい。そこで, 本論文では慢性疾患患者における病気認知およびアドヒアランスの日本における研究の現状と今後の課題について論じた。
著者
北島 信正
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.478-482, 1994-07-20 (Released:2017-07-11)

金属タンパク質は電子伝達体, 酸素運搬体, 酵素, 遺伝子発現の調節因子などとして生体にとって必要不可欠な働きを行っている。合成金属錯体では得られないこれら精緻な機能を実現している最大の秘密はその金属サイトの特異な構造にある。最近になりX線解析をはじめ種々のアプローチによってその構造が原子レベルで解明されつつある。ここでは代表的な例としてヘモシアニン, メタンモノオキシゲナーゼ, ニトロゲナーゼを取り上げ, これらの研究の現状と今後の展望を簡単に述べる。
著者
宇田 忠司 高橋 勅徳
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.33-45, 2014

The purpose of this paper is to put discursive analysis into practice empirically. Discursive Analysis has gained attention in recent years as a methodology in institutional organization theory. However, few case studies offer suggestions regarding the agnostic stance-a fundamental and significant concept in discourse analysis-mainly because of the difficulty in understanding the distinctive standpoint of discourse analysis. Therefore, in order to understand the methodological viewpoint of discourse analysis, we first clarify the meanings of and relationships between key concepts related to institutional organization theory and discourse analysis. We then attempt to analyze discourses concerning freelance workers and to consider the theoretical implications of the results.
著者
新目 真紀 神沼 靖子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2011-04

情報システムの評価に関する議論がなされているが,評価の対象が曖昧であるために情報の共有が不十分である.そこで,評価の対象を二つの視点に絞って議論する.一つは開発した情報システムの有効性評価であり,もう一つは情報システム研究における評価方法の妥当性に関する評価である.我々は,この両方を視野に入れた研究方法としてアクションリサーチに注目し,質的評価の視点での有効性について分析することを考えた.本論文では,アクションリサーチによる研究のサーベイから得られた知見をもとに有効性に関する考察を述べる.The discussion concerning the evaluation of the information system is not performed enough. Because the object of the evaluation is vague as the cause, the sharing of information might be insufficient. Then, The purpose of the evaluation is focused to two viewpoints and discusses it. One is an evaluation concerning the effectiveness, and another is the validity of the evaluation method. We paid attention to the action research, and analyzed effectiveness in the aspect of a qualitative evaluation. In this report, consideration concerning effectiveness is described based on the finding obtained from the survey of the research by the action research.
著者
山本 知世 百田 武司
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20180117003, (Released:2018-06-13)
参考文献数
21

目的:在宅高齢脳卒中患者の服薬アドヒアランスとCGA評価項目のうち身体面ではADL,精神面ではQOLのなかの精神的側面,社会面ではソーシャルネットワークとの関連を明らかにした。方法:在宅で生活をしている65歳以上の脳卒中患者で,服薬治療を行っている者を対象に他記式調査を行った。CGAは,ADLにはFIM,QOLにはSF-8,ソーシャルネットワークにはLSNS-6を用いた。服薬アドヒアランス尺度の中央値で2群に分類し,CGAを比較した。結果:服薬アドヒアランスの高い患者は,低い患者より,ADLの「記憶」が高く(p = .035),LSNS-6が高かった(p = .038)。しかし,精神的側面では,服薬アドヒアランス尺度全合計点では関連がみられなかった。結論:服薬アドヒアランスの高い在宅高齢脳卒中患者は,低い患者よりも,記憶が高く,ソーシャルネットワークが機能していた。
著者
増成 直美
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学紀要 = Bulletin of the Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing (ISSN:21868042)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.25-36, 2012-12-28

近時、薬剤師の法的責任が問われる判例が目立ち始めた。そこで、近年の調剤過誤事件やそれに対する裁判所の判断等を中心に、とりわけ薬剤師の視点からの法解釈を通じて、現行の薬剤師の法的義務およびその限界を検討することにしたい。具体的には、調剤過誤事件11 件を「医師が交付した処方せんが存在しない場合」、「医師が交付した処方せん自体には問題がない場合」および「医師が交付した処方せん自体に問題がある場合」等に大きく分類し、それぞれについて詳細に検討を加えた。行政法上の規定の遵守、取締りの強化により、調剤過誤事件の防止が期待できるように思えた。