著者
横井 慶子
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2017

[研究の目的]論文を雑誌上でOpen Access化(以下ゴールドOA)する際に支払うArticle Processing Charge(以下APC)は年々増加傾向にある。その一方で購読誌への支払いも続いており, APC支払額の増加は大学にとって大きな負担である。本研究では, ゴールドOAを推進するイギリスの事例を調査し, 同国のAPC支払いの最新実態を明らかにすることで, わが国における最適な学術雑誌契約モデルを検討することを目的とする。[調査方法]Research Councils UK(RCUK)やCharity Open Access Fund(COAF)等のイギリスの助成団体の報告書を中心とする文献調査, 及びRCUKが助成したゴールドOA論文18,215件のデータ分析を通し, APC支払い状況を調査した。また一部の大学職員へは直接インタビューを行い, 具体的な大学の対応事例を調査した。[調査結果と考察]OA論文数の増加, 及びAPC価格の上昇により, イギリスのAPC支出額は上昇傾向にあった。RCUKの支出額は10,793,817ポンド(2014-15年)から15,935,714ポンド(2015-16年)と1年で47%上昇, COAFの場合は4,992,434ポンド(2014-15年)から6,600,690ポンド(2015-16年)と32%上昇していた。RCUKから2014-16年間に助成を受けたゴールドOA論文18,215論文のうち, Russell Groupに属する大学の平均は616論文であり, Russell Group非所属大学の平均63.3論文の約10倍の値だった。ただしRCUKからの助成額は, Russell Group所属大学では平均284,445.96ポンドで, Russell Group非所属大学の42,426.45ポンドの7倍であり, Russell Group所属大学は, 外部資金への依存度が低い中でAPC支払いを行っていると推測される。Russell Groupに属しOA論文生産数が2番目に高かったCambridge大学では, 大学がAPC補助を行うことはせず, 外部の助成団体から得た助成金の使途を管理しているだけとのことだった。ただし, オフセット契約に対する予算は大学からついており, APC支出額を抑えるための努力はしている。日本でも論文生産数の多い研究中心の大学では, このような措置をとることで全体の支出額を抑えられる可能性がある。
著者
三根 慎二
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は,1)プラットフォーム概念の整理および2)学術情報流通におけるプラットフォームの事例調査に向けた調査計画の立案を行った。プラットフォーム概念の整理に関しては,まず国内外のプラットフォーム研究関連の先行研究と学術情報流通におけるプラットフォームを扱った研究の網羅的文献探索を行った。前者に関しては,主に中心的研究者の著作やレビュー論文を対象に,エンジニアリング・デザイン(新製品開発,オペレーションズマネジメント,技術戦略)と経済学(産業経済学・産業組織論)におけるプラットフォーム概念(①製品プラットフォーム,②サプライチェーン・プラットフォーム,③産業プラットフォーム,④多面市場プラットフォーム)について整理した。一方,学術情報流通においては,特定のサービスをプラットフォームと呼ぶことはあるものの定義なしでの利用に留まっていること,プラットフォーム概念を扱った研究は学術雑誌の価格構造に関する経済学分野のものを除いて,ほぼ皆無であることが分かった。収集した関連文献リスト(図書・雑誌論文・ウェブサイトなど)は,ホームページ上で公開・随時更新している(http://lis.human.mie-u.ac.jp/post/161536774281/how-platforms-reshape-scholarly-communication)。学術情報流通におけるプラットフォームの事例調査に関しては,特定商業出版社の電子ジャーナルプラットフォームを対象に,なぜ現在のような先導的役割を果たし,他社への強い影響力を保つことができたかを明らかにすることを目的として事例調査の研究計画を立案した。
著者
葛原 和三
出版者
陸戦学会
雑誌
陸戦研究
巻号頁・発行日
vol.58, no.683, pp.1-26, 2010-08
著者
葛原 和三
出版者
陸戦学会
雑誌
陸戦研究
巻号頁・発行日
pp.1-28, 2013-07
著者
秋田 英万
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1059_1, 2016

グリベラ(Glybera<sup>&reg;</sup>:ユニキュア)は,2012年にEuropean Medicines Agency(EMA)より認可された,先進国初の遺伝子治療薬である.アデノ随伴ウイルス(adeno associate virus:AAV)を用いた遺伝子導入技術を基盤としている.本薬は,リポ蛋白質リパーゼ欠損症(lipoprotein lipase deficiency:LPLD)を抱え,再発性急性膵炎を発症する患者を対象としている.極めて希少な遺伝性疾患が対象となっているものであり,多くの患者が恩恵をうけるものではないが,永年停滞してきた遺伝子治療の重要性を再認識させる歴史的な快挙である.
著者
石井 国雄 田戸岡 好香
出版者
清泉女学院大学人間学部
雑誌
清泉女学院大学人間学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Human Studies Seisen Jogakuin College (ISSN:21893632)
巻号頁・発行日
no.15, pp.1-12, 2018-02-28

Makeup is an important dress for women, and is an important form of self-expression. The present study examined the effects of pink and blue makeup on self-cognition and gender-related choice among female college students. We hypothesized that female participants would perceive themselves more feminine and choose feminine things when they applied pink makeup than when they applied blue makeup. In the experiment, Japanese female college students were applied pink or blue makeup. Then participants completed a gender-related self-rating scale, and then chose which one they wanted feminine things or masculine things. Results showed that among participant in blue condition, frequency to makeup in everyday life predicted the gender related choice: the more frequently they do makeup, the more they chose feminine things. We discussed the role of makeup color on the feeling and gender-related self-cognition for women.
著者
Masahiro Ishibashi Tohru Idogawa
出版者
Acoustical Society of Japan
雑誌
Journal of the Acoustical Society of Japan (E) (ISSN:03882861)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.139-144, 1987 (Released:2011-02-17)
参考文献数
5
被引用文献数
2

Input impulse responses of several bassoons are presented. The impulse responses are obtained by the inverse Fourier transform of measured input impedances of the bassoons as seen from the bocal entrance. Method of input impedance determination are outlined. Comparison of the impulse responses shows such differences between a particular bas-soon and the others as can be found only by test blowing.
著者
柴田 幸一
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

3歳以下の乳幼児について、登園時での母子分離による(直後)不安反応や保育園への適応状態などについて定期的に観察を続け、分離不安や保育園への適応状態の程度を測定するための尺度の検討を行なった。同時に、主たる養育者である母親に、養育態度や学歴などについての質問紙調査を行なうことによって、子どもの不安反応や適応状態との相互作用を分析し、以下の知見を得た。1.登園時に母親と別れる際の分離不安反応は、やはり1歳代の子どもで最も強く、その後、年齢の経過とともに減少していく。0歳代にはほとんど起こらない。不安反応は入園後1か月項までに急激に減少していくが、3か月を経ても減少しない子どもの場合には母子関係に問題があり、母と子との愛着関係が成立していないか希薄な場合に見られるようである。母が子どもを非常に溺愛している場合は、分離不安反応が発達的にはより早く現われる。その意味で、分離不安反応がいつ項強く現われるかは、母子関係の絆がどれ程早くしかも強く形成されているかによると言える。2.保育園への適応過程は、分離不安反応の生起程度と負の相関を示すようである。つまり、分離不安反応が薄くなるにつれて、子どもの朝の機嫌もよく、保育園への適応状態も次第によくなってくると言える。3.0歳代の入園児に分離不安反応がほとんど現われないのは、認知能力がまだそこまで発達していないと判断されるが、それと同時に、0歳児の知的能力の柔軟性も予想された。つまり、母子関係と保育園側での対応がしっかりしていれば、0歳児は複数のコミュニケーション能力を別々に発達させていく可能性がある。それ故、特に言語面での能力が促進されるのではないかとの印象を受けた。今後は、この面での可能性も理論的に検討し、また、実証していきたいと思っている。
著者
松尾 妙子 面出 和子
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.37, no.Supplement1, pp.65-70, 2003 (Released:2010-08-25)
参考文献数
7

のぞき眼鏡とは、西洋から伝わった遠近法を用いた絵を、凸レンズをはめ込んだのぞき穴から見る装置である。こののぞき眼鏡を使って絵を見ると、鑑賞者がまるで絵の中に入り込んだかのような錯覚に陥り、あたかも三次元の世界のような奥行き感が得られるらしい。本研究では、なぜこのような視覚効果が得られるのかを、のぞき眼鏡のために描かれた眼鏡絵と呼ばれる絵を通して考察する。そして私はのぞき穴の位置とこの眼鏡絵の視心の位置が関係していると考えそれぞれの絵を分析した。つまり、のぞき眼鏡の箱ののぞき穴に合うように、視心Vcが画面の中心に近いほど、のぞく人が絵の中に入ったかのような臨場感が味わえるはずである。対象とした眼鏡絵は、円山応挙、司馬江漢、亜欧堂田善の3人の画家の7作品である。分析の結果、描かれた絵の風景の視心Vcが、画面の中心にある絵は1枚もなかった。この分析から果たして当時の眼鏡絵にどれほどの臨場感があったのか疑問をいだいた。彼らは、視心Vcに向かって線が集まって奥行きをあらわす遠近法を経験的に知っていたが、視心Vcが絵の中心に一致しないことから、視点の位置を理論的に考えるまでには至らず、西洋の遠近法を正確に理解していなかったことがうかがえる。
著者
宇賀 貴紀
出版者
順天堂大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

長期の学習によって、感覚情報により鋭敏に反応できるようになる学習過程を「知覚学習」と呼ぶ。知覚学習の脳内メカニズムに関する現在の定説は、「感覚情報を担うニューロンの感度が、学習の結果、より鋭敏になることで実現されている」というものである。しかし、サル第一次視覚野ニューロンの感度は学習によってほとんど変化せず、個体の学習能力を説明できないことが知られている。本研究では、知覚学習では感覚ニューロンの感度が上がるのではなく、「学習により、情報量の多い有用な感覚ニューロンから選択的に情報を読み出すことができるようになる」という新しい説を検証する。昨年度までに、サルがランダムドットステレオグラムの奥行きを答える奥行き弁別課題を学習する過程を行動レベルで追いながら大脳皮質MT野ニューロンの活動を記録した。その結果、ニューロンの弁別閾値は学習過程で変化しなかったのに対し、ニューロン活動からサルの答えを予測できる確率が訓練により上昇することがわかった。今年度はさらに、短期の学習、すなわち日内学習ではどのようなニューロン活動の変化が見られるのかを解析した。すると驚いたことに、日内学習ではニューロンの感度が上昇するのに対し、ニューロン活動からサルの答えを予測できる確率は上昇しないことがわかった。これらの結果は、短期の学習では感覚情報を担うニューロンの感度がより鋭敏になるのに対し、長期の学習では感度の高い感覚ニューロンから上手く情報を読み出すことができるようになることを示唆する。
著者
坂本 久子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.60, 2013

本報告は、1876年前後の主としてフランスとイギリスにおける日本趣味を感じさせる美術と工芸の作品5点、すなわち、クロード・モネの「ラ・ジャポネーズ」、ファリックス・ブラックモンの「セルヴィス・パリジャンの皿」、エミール・ガレの「壺・日本の怪獣の頭」、ジェームス・A・M・ホイッスラーの「孔雀の間」、ミントン社の「日本風俗図扁壺」を事例的に取り上げ、その作品が生み出された経緯、日本の美術と工芸品との関わり、作者の簡単な略歴などを紹介して、この時代のヨーロッパ、主にフランスとイギリスにおけるジャパネスク・スタイルの状況を考察するものである。僅か5点の作品から状況をみるのは困難であるが、これらの作品に関った人々は、19世紀後半の新しい芸術と工芸の胎動に寄与した人々であり、日本の美術と工芸がいかに多くの示唆を与えたかを知ることが出来る。

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1943年12月22日, 1943-12-22
著者
伊藤 セツ 姉歯 暁
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.725-730, 1995

1993年に, フィレンツェで開催された第49回国際統計学会において, ジェンダー統計に関するセッションが設けられた.そこでは, 家計・消費統計の分野でのジェンダー統計あるいは, ジェンダー明示的統計の作成とその重要性と可能性が議論された.<BR>本論文は, まずはじめに, ジェンダー統計あるいはジェンダー明示的統計とは何かを, 国際統計学会の文献をもとに考察した.<BR>次に, 家計・消費面でのジェンダー明示的統計の日本における現状を日本の総務庁統計局の「1989年全国消費実態調査」を用いて検討した.<BR>その結果, 収入に関しては, 不十分ながらジェンダー統計は得られるが, 消費に関しては単身男女の場合しか得られないことが明らかになった.<BR>最後に, ジェンダー明示的家計・消費統計作成のための, 総務庁に提言すべき最も容易で明白な改善点を示した.
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュータ = Nikkei computer (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.966, pp.28-31, 2018-06-07

「親会社の破綻を経てここまで来るとは」。小売り向けにPOS(販売時点情報管理)システムやMD(マーチャンダイジング)システムなどを手掛けるヴィンクスの長田光男執行役員は東京証券取引所市場の第1部に上場した2017年10月、感慨深げにつぶやいた。 同社は現…
著者
江後 迪子 山下 光雄
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.106-113, 1997-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
35

The Japanese sweets which appeared intherecord of the 16th and 17th century were studied by employing the literature “Onari” and “Chakai” from the 16th to the 17th and “The Menu of Chosentsusinsi”. The introduction of the processed sweets and the historical changes of the sweets were investigated.The result showed that nuts and fruits were popular in the 16th century, while the processed sweets and Nanban sweets were increased in quantity and variety. It was greatly influenced by the entertainment of Chosentsusinsi.