著者
池田 忍 イケダ シノブ Ikeda Shinobu
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.259, pp.192-201, 2013-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第259集『空間と表象』上村清雄 編"Space and Representation" Report on the Research Projects No.259
著者
竹端 寛
出版者
国際ボランティア学会
雑誌
ボランティア学研究 (ISSN:13459511)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.15-38, 2010

本稿ではボランタリー・アクションの未来を検討する為に、障害福祉政策における一人の社会起業家の足跡を振り返った。ベンクト・ニィリエはノーマライゼーションの原理を成文化し、当時の世界中の障害者福祉政策にパラダイムシフトをもたらした実践家である。当時、入所施設での処遇が「ノーマル」と言われ、それ以外の支援方策が考えられていなかった<制度の未成熟>状態であった。その実態を変える為に、彼は現場に何度も足を運び、その中で問題の本質を洞察し、一般市民の「ノーマル」な生活と対比するというノーマライゼーション原理の本質を思いつき、それを人々の前で語る中で結晶化し、やがて8つの原理というプロトタイプを作り、世界中に広めていった。このプロセスを複雑系モデルやU理論で再解釈することにより、社会変革をもたらした社会起業家の実践として捉えることが出来る。彼の実践の再解釈を通じて、今日の<制度の未成熟>に立ち向かうボランタリー・アクションの未来とはどのようなものであるべきか、のヒントを掴む事が出来た。
著者
時実 象一 小出 直輝
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.71-76, 2012

文庫本などシリーズで長期間にわたって刊行されている書籍を対象にレイアウトがどのように変化してきたかを調査した. 愛知大学豊橋図書館が所蔵する19種類の文庫本等 (新書含む) の文字サイズ, 字間, 行間はほぼ同一であった. 「岩波文庫」の面積あたりの文字数は2007 年前後に低下した. 村上春樹著「ノルウェイの森」(講談社) では, 単行本版は行間・余白が最も広く, したがって文字密度が最も低い. 電子書籍では, Kinoppy (iPad, HTC), i文庫 (iPad-ゴシック体, HTC), はこの字間/行間の比率はほぼ同一であったが, i文庫 (iPad-明朝体), GARAPAGOS (HTC) は字間が行間に比べて広めであった.
著者
岩井 大 宇都宮 啓太 小西 将矢 安藤 奈央美 宇都宮 敏生 藤澤 琢郎 馬場 奨 友田 幸一
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.235-241, 2014 (Released:2015-02-11)
参考文献数
13

甲状腺全摘後の甲状腺分化癌高リスク症例に対するI-131の外来内用療法が認可され,われわれの施設でも本法の適応と考えられた22例中19例で実施できた。当初,東日本大震災の福島原発放射能汚染事故に関連し,本法に躊躇される例があった。甲状腺ホルモン休薬法に比しrhTSH(Recombinant human thyroid stimulation hormone,ヒト遺伝子組み換え甲状腺刺激ホルモン)法では合併症が少なかった。19例中3例に局所再発と1例に遠隔転移が認められた。これらの症例はいずれも頸部再発歴があり,再手術のあとにI-131内用療法を受けた症例であった。したがって,今回のI-131内用療法は,甲状腺癌再発症例の再々発予防に対する効果は十分でない印象であったが,さらに十分な症例数と観察期間をもって判断すべきと思われた。
著者
杉本元気
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.437-438, 2013-03-06

ソフトウェア開発において、コードの記述や修正は避けて通れない工程である。そのため、開発期間の短期間化に実装工程の短縮化が必要である。コーディングを効率化する機能を持つエディタに、VimやEmacsが挙げられる。しかし、これらのエディタの機能を有効活用するためには操作の習熟が必要であり、その学習を支援する仕組みが存在しない。そこで本論文では、ユーザによるVim上でのキー入力を解析し、Vimやそのプラグインが有する機能により入力を短縮化できる箇所を検出して、その情報をユーザに提示することで学習を促す仕組みを提案する。被験者実験を通して、提案手法によりVimの操作の学習を支援できることを示す。
著者
平本 毅
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
no.13, pp.18-31, 2014-05-31

近年、サードセクターに属する市民団体への社会的な期待が高まるにつれ、NPOの数が増加している。NPO/非NPOの境界は曖昧だが、本稿ではこれを研究者にとっての定義上の問題と考えるのではなく、当事者にとっての実際的な問題として捉える。このことを考える際に、「志縁」組織として特徴づけられるNPOの、活動の現場における「志」をめぐる組織成員の相互交渉のあり方が注目されるが、これまでのNPO研究は組織活動の現場での、組織成員自身にとっての「志」のあり方を、少なくとも正面からは取り上げてこなかった。そのため本稿では小規模なNPO法人Yの事務局会議および理事会の録画データを使った会話分析から、組織成員が「志」として理解可能な事柄が相互行為の中で可視化され、それにより組織のNPOとしての性質が焦点化される「やり方」を記述する。調査の結果、次の事柄が明らかになった。1)「志」は、ランダムにあらわれるわけではない。2)「志」は、議論へのガバナンスの視点の導入を経由して可視化される。3)そのガバナンス上の意見を「正当化」するものとして「志」が使われる。4)意思決定上の具体的な意見に乗せられ、反論-再反論といった意見交換の中で示しあわれることによって、「志」は組織成員間で交渉される。これらの結果は、組織を特徴づけるものとしての「志」の性質にNPOの組織成員が志向していることを示す。
著者
柴田 和祈 高田 眞吾
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.647-658, 2013-02-15

Webアプリケーションの高速化の一技術としてプリフェッチがある.プリフェッチとは,Webページをサーバ側からクライアント側へと先取りすることによって,ページ遷移にかかる時間を短縮する機能である.プリフェッチには様々な手法がある.従来の手法はWebページの遷移が固定である静的なWebアプリケーションにのみ対応しており,ユーザの入力によって遷移先のWebページが変化する動的なWebアプリケーションには対応していない.しかし,現在,静的なページのみで構成されているWebアプリケーションはごく少数であり,動的なWebアプリケーションのためのプリフェッチ手法はない.その最大の原因は,ユーザのクリック先は予測できても,ユーザがフォームなどにおいて入力する内容まで予測することができないからである.本研究では動的なWebアプリケーション(PHPアプリケーション)のためのプリフェッチ機構を提案する.提案機構の基本コンセプトは,Webページを静的なコンテンツと動的なコンテンツに分離することである.分離後,静的コンテンツはリンクプリフェッチを用いてあらかじめ取得し,動的コンテンツはAjaxを用いて後から補完することで,動的なWebアプリケーションにおけるプリフェッチを可能にする.
著者
森上 亜城洋 西田 裕介 三谷 美歩 中村 昌樹
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1027-1031, 2014 (Released:2015-01-21)
参考文献数
28

〔目的〕排泄行為と下腿最大周径,身体組成および栄養状態の間の関係性ならびに影響度から排泄行為能力に与える要因を把握することとした.〔対象〕後期高齢入院患者66名.〔方法〕排泄行為(バーサルインデックス)と,下腿長を100%とする腓骨頭下端から26%の部位での下腿最大周径,身体組成(予測身長,体重,BMI,筋肉量),および医科健診での栄養状態(血清アルブミン)との間の関係性を,相関および回帰分析により調べた.〔結果〕排泄行為は下腿最大周径と身体組成と栄養状態との間に有意な相関関係を示した.重回帰モデルにおいて排泄行為に影響する要因として下腿最大周径とAlbが選択された.〔結語〕下腿最大周径とAlbにより排泄行為能力を予測できる.
著者
水本 篤
出版者
外国語教育メディア学会(LET)
雑誌
外国語教育メディア学会機関誌 (ISSN:21857792)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.1-19, 2009

This paper aims to highlight the problem of multiple significance testing with several dependent variables (i.e., items or tests). In many research. papers, researchers report the results of multiple significance testing without realizing they are committing Type I error, in which it can be erroneously concluded that there is a statistically significant difference, when in fact there is no statistical difference. In order to address this problem, a series of Monte Carlo simulation studies were carried out. Five artificial sets of dependent variables for two groups of subjects were generated in the simulation. Three types of data sets which varied in their degrees of intercorrelations (r=.00, r=.50, r=.95, respectively) were then compared. The results indicate that multiple significance testing, with several dependent variables, inflate Type I error, and thus caution should be exercised to control the experimentwise error rate. Implications for the strategies for controlling Type I error rate are then discussed.
著者
松本 啓吾 武野 計二 大島 義人 小林 真
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.48-54, 2015-01-20 (Released:2015-01-20)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

福島第一原子力発電所事故による放射性物質汚染地域の有効活用のため,草本系エネルギー作物であるエリアンサスを栽培し,ガス化発電するシステムを想定した基礎検討として,ガス化炉を模擬した管型試験炉を用いた基礎試験および平衡計算結果をもとに,放射性物質で最も危険性が憂慮されるCsの各機器への移行について評価した.エリアンサスを用いた管型試験炉による基礎試験の結果,電気炉後流の冷却過程におけるCs回収率は,ガス化時に近い熱分解条件では0.4%以下となり,燃焼条件(10%以上)に比べて非常に低いことが示された.この理由を平衡計算により考察した結果,燃焼条件では低温でも高分圧で存在するCsNO3が熱分解条件では生成しないためであることが示された.また,マスヒートバランス検討をもとに放射性物質の気相中への飛散や排水中への混合を極力低減したガス化システムを提案し,平坦農地を確保可能な福島県浪江町の居住制限区域を例としてケーススタディを実施した結果,ガス化プロセスが放射性物質汚染地域活用の有効な手段のひとつであることが示された.
著者
恒次 祐子 芦谷 浩明 嶋田 真知子 上脇 達也 森川 岳 小島 隆矢 宮崎 良文
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.347-354, 2005-08-15
被引用文献数
3 1

5種類の味と香りの異なるチョコレートに対する主観的快適感と被験者の性別およびパーソナリティの関係を検討したところ, 以下の結果が得られた.<br>1) 女性群においては,<br>i) チョコレート全体に対する快適感が男性群よりも有意に高いこと, ならびに個別のチョコレートについては, 苦みを強くしたチョコレートにおいて快適感が男性群よりも有意に高く, オーク材抽出物を添加したチョコレートにおいても高い傾向にあることが認められた.<br>ii) 快適感に対する男性性ならびに女性性の有意な正の影響が認められた.<br>2) 男性群においては,<br>i) 快適感に対するタイプA型傾向の有意な正の影響が認められ, 特性不安の有意な負の影響が認められた.<br>3) チョコレート別の快適感とパーソナリティとの関係について,<br>i) 男性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートの快適感と女性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>ii) 女性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートならびに甘みを強くしたチョコレートの快適感と男性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>以上により, チョコレートの快適感に評価者個々人のパーソナリティが影響を与えていることが明らかとなった. 今後個人の価値観や好みを重視したチョコレートの創造を検討していく上で, 有用な示唆を与えるものと考えられる.