著者
長江 徳和 榎並 敏行
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.887-893, 2000 (Released:2001-06-29)
参考文献数
12
被引用文献数
7 8

水100%移動相を用いた場合の逆相固定相の保持挙動を評価した。水100%移動相をカラムに通液すると核酸塩基などの試料の保持は時間の経過とともに,また一度通液を停止した後に保持時間が短くなり,このときのカラムの重量差から水が充填剤から抜け出していることが示された。水100%移動相を用いた場合の保持の減少は充填剤の細孔から移動相が抜け出し,その結果移動相と固定相の接触している分離の場が減少することにより起こることが推察された。細孔径,固定相のアルキル鎖長,カラム温度又は緩衝剤などにより保持挙動は大きく変化し,22nm以上の細孔径の大きな固定相であれば,水100%移動相条件でも再現性の高い保持が得られた。また,長いアルキル鎖長のC30固定相は10nmの細孔径でも同様に再現性の高い保持が得られた。固定相や移動相の様々な条件を変えることにより,一般的な逆相固定相でも水100%移動相条件下で再現性の高い分離が可能であることが示された。
著者
松尾 範久
出版者
パーソナルファイナンス学会
雑誌
消費者金融サービス研究学会年報 (ISSN:13493965)
巻号頁・発行日
no.2, pp.29-34, 2002-11-01

日本経済がバブル崩壊後の後遺症から容易には立ち直れない中で、93年以降、軒並み上場を果たしてきた消費者金融サービス業界は、業績の好調さが際立っている。各社ともにテレビCMを活用するなど知名度向上に努めてきたほかIT化の推進や業界のイメージアップ活動に邁進。低金利下での無担保ローン残高の増加により収益拡大につながってきた。ただ、それぞれの企業毎に業績推移に違いも見られるほか、リストラによる失業者の増加から貸し倒れの増加が懸念されるなど不安定要因も想定される。市場規模がかなり大きくなってきたことから、これまでのようなビジネスモデルの延長線上で収益の伸びがどこまで維持されるのかは予見しずらい状況でもある。足元の業績好調に支えられた株価形成が、今後どこまで続くのかがアナリストとしての関心の的であるが、それとは別に消費者金融サービスの上場8社の時価総額が5兆円を超え、経常利益が7000億円を超えてきた現状において他の金融ビジネスや産業との比較においてもそのパワーが感じられる点や過去のインデックスとの比較から相対的な期待の高まりが感じられる。企業の実態を分析し、投資家に伝える役割を担うセルサイド、バイサイドのいずれの組織にも属さない独立した証券アナリストとしてこれまでの消費者金融株の動向を分析し、今後の各企業の課題等を明らかにしていきたい。今回は最後にインターネットを活用した投資家へのアンケートを実施。個人投資家の消費者金融株への認識度を調査した結果を示しておいたので参照願いたい。
著者
神蔵 美枝子 義平 邦利 合田 幸広
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.455-459_1, 1999-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
3 5

食用赤色104号 (R104) 中の2種の副成色素 (P1, P2) を単離し, 各種機器分析を用い構造決定を行った. その結果, P1は, R104のキサンテン部の2位, 7位の臭素が脱離した4′,5′-ジブロモ-4,5,6,7-テトラクロロ-3′,6′-ジオキシドスピロ [イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H] キサンテン]-3-オン, P2は, 7位の臭素が脱離した2′,4′,5′-トリブロモ-4,5,6,7-テトラクロロ-3′,6′-ジオキシドスピロ [イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オンであることが判明した. 更に, HPLCを用い市販R104 (4社9試料) 中の混在量を調べた. その結果, すべての試料でP2が検出され, 0.08~5.21%の混在量であった. 他方, P1は, 5試料で検出されず, 最大検出値は, 0.06%であった.
著者
Ikuo Horii
出版者
日本毒性学会
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Special, pp.SP49-SP67, 2016-12-31 (Released:2017-03-01)
参考文献数
65
被引用文献数
7

Pharmaceutical (drug) safety assessment covers a diverse science-field in the drug discovery and development including the post-approval and post-marketing phases in order to evaluate safety and risk management. The principle in toxicological science is to be placed on both of pure and applied sciences that are derived from past/present scientific knowledge and coming new science and technology. In general, adverse drug reactions are presented as “biological responses to foreign substances.” This is the basic concept of thinking about the manifestation of adverse drug reactions. Whether or not toxic expressions are extensions of the pharmacological effect, adverse drug reactions as seen from molecular targets are captured in the category of “on-target” or “off-target”, and are normally expressed as a biological defense reaction. Accordingly, reactions induced by pharmaceuticals can be broadly said to be defensive reactions. Recent molecular biological conception is in line with the new, remarkable scientific and technological developments in the medical and pharmaceutical areas, and the viewpoints in the field of toxicology have shown that they are approaching toward the same direction as well. This paper refers to the basic concept of pharmaceutical toxicology, the differences for safety assessment in each stage of drug discovery and development, regulatory submission, and the concept of scientific considerations for risk assessment and management from the viewpoint of “how can multidisciplinary toxicology contribute to innovative drug discovery and development?” And also realistic translational research from preclinical to clinical application is required to have a significant risk management in post market by utilizing whole scientific data derived from basic and applied scientific research works. In addition, the significance for employing the systems toxicology based on AOP (Adverse Outcome Pathway) analysis is introduced, and coming challenges on precision medicine are to be addressed for the new aspect of efficacy and safety evaluation.
著者
加藤 宏之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.7-12, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
20

脳卒中後に見られる片麻痺の回復の脳内機序の詳細は不明である。最近開発されたfunctional MRI(fMRI)や光トポグラフィー(NIRS)を用いると脳卒中患者の麻痺手運動時の脳活動を非侵襲的に画像化することができる。また,拡散テンソル・トラクトグラフィーにより錐体路を描出することもできる。これらの評価法により,片麻痺の回復には,既存の運動ネットワークの損傷の程度に応じて,可逆的障害からの回復や大脳皮質運動ネットワークの再構築を駆使して,運動機能を回復させることを示唆するデータが得られている。さらに,この機能回復には発症後1ないし2ヶ月の臨界期が存在することも示唆されている。
著者
永井 英明 池田 和子 織田 幸子 城崎 真弓 菅原 美花 山田 由美子 今井 敦子 遠藤 卓 大野 稔子 河部 康子 小西 加保留 山田 三枝子
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.628-631, 2008

Human Immunodeficieny Virus (HIV)感染者の中で, HIV感染症は安定しているが中枢神経系の後遺症のために長期療養が必要な患者の増加が予想されている. 彼らを受け入れる可能性のある施設として, 介護老人保健施設, 特別養護老人ホーム, 療養型病床保有施設, 障害者施設等入院基本料の施設基準取得病院の4施設に対してHIV感染者の受け入れについてのアンケート調査を行った. 11, 541施設中3, 723施設(32.3%)から回答が得られた. HIV感染者を受け入れる基準を決めている施設は1.6%にすぎず, 75.5%は受け入れを考えていなかった. 受け入れられない主な理由としては, 院内感染のリスク・不安, 診療経験がない, 職員不足, 設備・環境が整っていない, 医療費の問題などが挙げられた. HIV感染者の受け入れを可能にするためには, 職員に対する積極的な研修活動が最も重要と思われた. さらに診療報酬の面からの支援および医療面での拠点病院の支援が必要であることが明らかになった.
著者
平 修久 タイラ ノブヒサ
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:9152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, 2014-03

全国の市区の協働推進部署にアンケート調査を実施し,?指針等は,協働適用の判断などにある程度有効であるが,職員の理解不足や協働希望の職員不足の解消に十分な効果をもたらしていない,?3分の1弱の市区が協働人材養成の方針を明確にしている,?定期的に協働の研修を実施していない市区もある,?協働人材養成の方針を有する市区の大半が職員採用に地域活動の経験を考慮しているが,昇任試験では約半分にとどまる,?人事ローテーションへの協働人材養成の考慮,協働関連部署の職員の庁内公募,人事考課への協働の考慮は限られていることがわかった。さらに協働を推進するためには,協働推進部署と人事部署との一層の連携が必要である。
著者
金井 康子 溝川 信子
出版者
Japanese Society of Gerodontology
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.94-99, 1997

老年者のQ.O.L (生活の質) の維持向上に口腔の担う役割は大きい。今回, 我々は口腔機能の向上を目指す一環として, 老年者の口腔の現状を調査し, その結果とADL (日常生活動作) との関係を報告する。<BR>阪和泉北病院は1, 900余床を有するいわゆる老人病院で歯科受診者の85%が70歳以上である。そのうち当科で義歯作製または床裏装をした65歳以上の入院患者538人を対象とした。調査方法は受診理由・咀嚼能力・残存歯数・ADLの4項目について, まず受診目的とどんな食品が食べられるかもしくは食べているかを問診したのち, 固定性の残存機能歯数を調べ, 厚生省の寝たきり老人判定基準により判定したADLについて比較検討を行った。その結果<BR>1) 受診理由は義歯不適合232人 (43.1%) が圧倒的に多く, 次いで義歯初作製101人 (18.8%) 紛失94人 (17.5%) などであった。<BR>2) 咀嚼能力では流動食, らっきょう, たくあん・おかきを食べている者の合計は98人 (18.3%) と少ないのに対し, お粥138人 (25.7%) ご飯157人 (29.2%) 蒲鉾145人 (27.0%) とその合計は81.7%を占めておりこれらの食品を食べられる者が多かった。<BR>3) 残存歯数が10歯未満の者は442人 (82.2%) と大部分を占め, 10-19歯の者は79人 (14.6%) 20歯以上はわずか17人 (3.2%) であった。また義歯使用者は310人 (57.6%) であった。<BR>4) ADLは「屋内でのみ自立」群2-11人 (39.2%) 「準寝たきり」群176人 (32.7%) 「寝たきり」群151人 (28.1%) であった。<BR>5) ADLと咀嚼能力をみるとADLが高いほど咀嚼能力が高かった。<BR>6) 残存歯数とADLでは残存歯数が多いほどADLは高く, 残存歯数が少なくても義歯で補うことによりADLは高くなることがわかった。
著者
高橋 大介 南條 悠太 大山 淳一 藤井 直紀 福森 香代子 武岡 英隆
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1-19, 2010-01-05
被引用文献数
2

四国西岸に位置する法花津湾において2005年から2007年の夏季にビデオモニタリングを行い,湾内表層で形成されるミズクラゲ集群出現頻度の時間変動について調べた。ミズクラゲ集群出現頻度には,8月中旬から増加し,9-10月に減少する長周期変動と,10-15日周期で増減を繰り返す短周期変動が存在した。特に,短周期変動の強弱の経年変化は,四国西岸域で生じる急潮の強弱の経年変化と一致していた。そこで,急潮とミズクラゲ集群出現頻度の短周期変動との関係を明らかにするため,2007年の夏季法花津湾において係留観測と海洋観測を行った。法花津湾へ到達した急潮は湾内に暖水流入を引き起こすとともに,湾スケールの海水交換を励起した。この暖水流入にともなって湾外の既存水塊中にいたミズクラゲが湾内へ輸送され,湾内表層で受動的に集群することによって,夏季法花津湾表層ではミズクラゲ集群出現頻度が10-15日周期で変動していると考えられる。
著者
菊川 明
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.141-146, 2009-01

鹿児島県立農業大学校は、鹿児島県の南西部、薩摩半島西部の日置市吹上町と南さつま市金峰町の町境に位置し、東は霊峰「金峰山」、西は日本三大砂丘の吹上浜に囲まれた風光明媚な場所にあります。当地域には、早期水稲、かごしまブランドのかぼちゃ、砂丘らっきょう、キンカンの栽培のほか畜産では肉用牛、酪農などがある農業地帯です。農業大学校の歴史は古く、その前身は戦前昭和16年4月に設置された県立農民道場までさかのぼります。終戦後は海外引き揚げ者の開拓入植に対する訓練施設、海外移住または国内開拓を志す青年を対象にした講習施設、農業後継者の養成施設、畜産・園芸を専門に研修する高等営農研修所などを経て、昭和53年4月に県立農業大学校として創立されました。平成15年4月には県内5カ所に分散配置されていた5学部6学科を2学部7学科に再編し、現在地に移転開校しました。あわせて、農業機械研修施設や農村婦人の家等を再編統合し、研修部を設置しています。平成18年4月には農業関係試験場と農業大学校を再編統合し、技術の開発と担い手の育成を総合的に推進する「農業開発総合センター」として再オープンしました。平成19年7月には専修学校化しています。本校の教育は、その歴史からも推測されるように、現場の課題を解決するプロジェクト学習を基本とした実技と理論の総合的な教育を柱の一つとしており、校訓も「自立」「実践」「協調」となっています。
著者
辻 澄子 中村 優美子 外海 泰秀 柴田 正 内堀 伸健 川田 誠 小林 建夫 鈴木 宏 室井 順子 鈴木 由記子 兼田 登 鈴木 英樹 宮本 文夫 伊藤 誉志男
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.111-123, 1990
被引用文献数
2 6

農産物39種類195試料,水産物23種類115試料及び畜産物8種類40試料の生鮮食品合計70種類350試料並びに農産加工品58種類331試料,水産加工品38種類323試料,畜産加工品19種類147試料,菓子類18種類90試料,嗜好飲料31種類250試料,油脂・砂糖・調味料など15種類75試料及び調理加工食品11種類55試料の加工食品合計180種類1271試料中のH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を酸素電極法により測定した. <BR>生鮮食品70種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は56種類であり,平均値として1mg/kg未満のものが9種類であり,1mg/kg以上のものはピーナッッ(乾)(3.3mg/kg),カレイ(1.7mg/kg),ホタテ貝(4.0mg/kg),ホタルイカ(3.4mg/kg),及びカニ(1.2mg/kg)の5種類であった. <BR>一方,加工食品188種類中,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>を含有していない食品は47種類であり,平均値として1mg/kg未満が82種類,1~5mg/kgの範囲の食品が41種類であり,5mg/kg(以下単位省略)以上の食品としては甘らっきょう(5.7),干ししいたけ(7.4),いかなご佃煮(9.1),焼のり(8.9),ひとえぐさ佃煮(7.8),乾燥ひじき(8,5),玉露(葉)(6.7),煎茶(葉)(6.2),玄米茶(葉)(6.4),番茶(葉)(6.4),ほうじ茶(葉)(30.4),紅茶(葉)(18.0),ウーロン茶(葉)(35.3),麦茶(45.0),コーヒーいり豆(140.3),インスタントコーヒー粉末(368.5),ココア(62.8),こいくちしょうゆ(7.6)の18種類であった.茶類及びコーヒー類は飲用状態ではいずれも5mg/kg以下となった. <BR>調理による食品中のH2O2含有量に対する影響について,加熱調理では,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量の増加傾向が,水もどし調理では,干ししいたけ以外はH2O2量の減少傾向が示された. <BR>従って,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>含有量は調理方法により大きく変化することが判明した. <BR>更に,干ししいたけのように,水もどしすることにより,H<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>量が増加傾向を示し,ばらっきも大きいことから,しいたけ成分からのH<SUB>2</SUB>O<SUB>2</SUB>生成の可能性が示唆された.
著者
志賀亀之助 編
出版者
大日本工業学会
巻号頁・発行日
vol.上, 1922
著者
嶋田 泰幸 大塚 弘文 山本 芳一 松本 勉 川路 茂保
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.3_99-3_104, 2007 (Released:2007-06-13)
参考文献数
8
被引用文献数
3 4

There have been literatures that have focused limited topics of teaching material, educational robots etc. There have been also literatures to teach control engineering in the robotics. It seems to be no reports that have discussed the framework, curriculum for system control engineering education. The present paper describes the design of curriculum for system control engineering of technical college in Japan. The feature of the curriculum is line tracer oriented. In the proposed curriculum, basic line tracers are developed to high technology tracers as grade in college advanced. Basic tracers are developed with simple logic devices. High technology tracers are controlled by microcomputers, such as H8. Students can develop line tracers based on the course programme, and it is expected that students will be more aggressive in learning technology. The paper introduces basic concept of a line tracer oriented curriculum and shows educational perspective for embedded technology. The proposed idea in the paper can be applied to other education sectors.
著者
松本 幸礼 泉川 達哉 金城 洋
出版者
沖縄県工業技術センター
雑誌
研究報告
巻号頁・発行日
no.9, pp.111-113, 2006

近年、健康食、沖縄ブームにより、本県特有の農作物の需要が県内だけでなく県外にも波及しており、農作物加工の機械化を要望する声も上がっている。本調査では、収穫した農作物を加工技術の観点から調査し、加工方法別に分類し、現状の問題点、課題等を抽出することを目的とした。調査対象については、県内の農作物加工業者の加工方法、過去の取引量、国内の最新加工技術、加工機の特許、実用新案について調査を行った。県内の業者は、多品種少量生産が多く、皮むき、わた取りについてはほとんど人の手に頼っており、スライス、カットについては半自動の汎用機械を利用している。費用対効果を考慮すると機械化のメリットが小さい例も見受けられた。島らっきょうについては、需要がのびており単価も高いため、機械化のメリットが大きい。
著者
畑 明美 南光 美子 長谷川 明子 南出 隆久
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 理学・生活科学 (ISSN:0075739X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.35-41, 1988-11-18

京都府及び福井県産らっきょうを供試し, 試料重量の1%食塩を用いて1週間下漬を行った後, 食酢1ιに対して砂糖200gを添加した漬け酢を, らっきょう1kgにつき漬け酢1250mιの割合で本漬したものについて, ヘクチン及び無機成分の経時的変化を調査した。その結果, ヘクチン, 特に水溶性ヘクチン, 及び無機成分(Ca, Mg, K)は, 漬け日数の経過とともに減少した。次に, らっきょうのテクスチャー改善の試みとしてCaCl_2 (0.5,1,3%)を漬け酢に添加したところ, 総ヘクチン及び水溶性ヘクチン含量は増加し, また, 硬度も増大した。同様にMgCl_2を添加した結果, ヘクチン及びMgを除いた他の無機成分含量には大きな変化はみられなかったが, 硬度は多少増大した。