著者
鈴木 崇文 高橋 正樹
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第52回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.203, 2009 (Released:2010-01-22)

本研究では,幅・奥行きの異なる自律全方位移動ロボットのサイズを考慮し,並進運動と回転運動を同時に制御可能なファジィポテンシャル法に基づく障害物回避アルゴリズムを提案する.ロボット形状を考慮し,環境に応じて回転速度を決定することにより,効率的な移動および回避が可能となる.横幅のある自律全方位移動ロボットを対象としたシミュレーションによりその有効性を検証する.
著者
武田 英明 南 佳孝 加藤 文彦 大向 一輝 新井 紀子 神保 宇嗣 伊藤 元己 小林 悟志 川本 祥子
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

本発表では筆者らが現在進めている生物種に関連するデータをLinked OpenData化する試みについて紹介する。生物種の情報は生物多様性問題や環境問題において重要であるが、様々な分野に関わるため、相互にうまくリンクする仕組みが必要である。このためにはLinked OpenDataの方法が有効と考えて現在基盤システムを構築している。この構築にあっての課題や現状について説明を行う。
著者
日経コンストラクション
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.350, pp.36-39, 2004-04-23
被引用文献数
1

「ダイオキシンをはじめとする汚染物質が処分場から染み出してこないものかと長年の間,不安を感じながら生活してきた。その処分場がいまではソフトボール場に生まれ変わり,休日になると毎週,少年たちが汗を流している」と,神奈川県愛川町三増区の高木雅夫区長はうれしそうに話す。 高木区長が「生まれ変わった」と語るのは,愛川町が管理する志田残灰処分地のこと。
著者
岡田 宣子 渡部 旬子
出版者
社団法人日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.87-98, 2008-02-15
被引用文献数
2

ユニバーサルデザインの設計要件として,身体機能の低下が反映された腕ぬき・腕入れしやすいかぶり式上衣のゆとり量を一般解としてとらえるために,介助されずにどうにか自立している高年(29名)に更衣を行ってもらい若年(83名)と比較し検討した.6サイズの実験衣の中から最適なサイズを選び,ゆとり量3種とAH下げ寸法を2種変化させた6着の実験衣table tableを用いて椅座位で実験を行い,腕ぬき・腕入れ動作所要時間を測定した.高年では身体への負担を詳細に評価するため同時に重心動揺測定を行った.腕ぬき可能となる時の被験者の体形とパターンとの関わりをみるために身体計測を行った.主な結果はつぎのとおりである.1)円滑な更衣動作を行うためには,腕ぬき可能となるBL上の最小ゆとり量より若年では4cm,高年では8cmゆとり量を多く要する.これは若年では腕ぬきしやすいゆとり空間を確保するため,実験衣を左腋下までずらせ,脊柱を側屈し柔軟かつ敏速に対応しているが,高年では身体機能の低下が影響して,若年のように細やかに対応できず衣服をずらさず,着たままの状態でAHから腕ぬきしている傾向があることによる.若年・高年ともに腕ぬきの方が腕入れより身体負荷が高く生体への負担が大きいことがわかる.2)身体計測値と腕ぬき可能な最小ゆとり量の実験データを含めた18項目について主成分分析を行ったところ,4つの主成分が抽出された.第1主成分は体幹の太さ,第2主成分は肩峰幅,第3主成分は腕ぬき可能なバスト最小ゆとり量,第4主成分は肘丈と解釈された.累積寄与率は76%である.各主成分の主成分得点の平均値を高年と若年とで比較した.高年が若年より第1・第3主成分では大なる,第2主成分では小なる有意差が認められた.3)解析項目の平均値の検討から,高年と若年とでtableは,腕ぬき可能なバスト最小ゆとり量はそれぞれ28cmと19cmである.このように腕ぬき可能な最小出来上がりバスト寸法は高年が10cm程大きい(腕ぬき可能な最小出来上がりAH寸法は54cmと49cm).4)円滑に腕ぬきできるゆとり量を確保するには,胸囲に高年では36cm,若年では23cm多く加える必要があることが明らかになった.これらには,素材やデザイン・パターンによる工夫で見栄えを良くするための配慮が求められる.
著者
近田 文弘 北川 淳子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.125-132, 1989-12

ガガイモ科の植物は約2000種が知られている。これらの種は主に熱帯を中心に分布しており,特にアフリカやアジアの熱帯には原始的と考えられる種を含め多くの種が分布している。ガガイモ科の分類を考える時,花の形態が重要な形質として取り上げられて来たが,取り上げられた形質は,顕微鏡レベルの組織や構造にまで立ち入ったものは少ない。近年ではSAFWAT(1962)が指摘するように,顕微鏡レベルで花の構造を比較しようとする研究が行なわれるようになったが,それはほとんどアメリカ合衆国に特徴的に分布するトウワタ属の植物を用いたものであり,アフリカやアジアの植物を対象としたものは極く少ない。タイ国は東南アジアの大陸と熱帯の島々の中間に位置し,アジアの熱帯のガガイモ科を研究するのに好適な場所であるCRAIB(1951)はタイ国で42属146種のガガイモ科植物を報告している。筆者の一人近田は1982年以来三回にわたってタイ国でガガイモ科の調査を行い,顕微鏡レベルの花の構造を研究する材料の採集に努めたが,ガガイモ科の植物は,ガイガンダバコCarotropis gigantea BR.のようなタイ国北部の路傍に雑草のように生える潅木のような種は別として,多くの種の花を野外で容易に採集することはできないものであった。また種の同定には隣接する中国の植物を比較する必要も多いと考えられる。中国のガガイモ科の分類の研究について最近情報が効率良く得られるようになり,我々は中国の研究者と共同研究も行なえるようになった。このような状況を背景として,タイ国のガガイモ科植物の花の顕微鏡レベルを主とする形態を比較し,その知見を積上げてタイ国産ガガイモ科の分類を研究することにした。本報文はその研究の最初として,Dischidia raffresiana WALL., Marsdenia glabra COST., Secamone ferruginea PIERRE ex COST.の3種の花の構造と分類形質のいくつかについて記載したものである。Dischidia raffresianaは樹木にはい登るつる植物で,長さ5-7mm,巾3-5mmの小さな壺状の花を着ける。花は小さいが,その構造は複雑で,特に雄蕊の背部から発生する副花冠は複雑な形態を示す。また,花冠筒の咽頭部の内側に花冠筒の膨大したものがみられる。花粉塊は扁平で長楕円形をしており,二個が小球と花粉塊柄で連結して直立した双花粉塊を形成する。この植物の葉は厚い革質で,長さ6-9cm,巾2-6cmの袋状のものが茎の下部に密生していおり,長く伸びたつるの上部には長さ1.5-2.0cm,巾1.0-1.8cmの小型の葉が長い節間を置いて着いている。袋状の葉の空所には蟻が巣を作っていて,この植物を採取することはとても大変である。多分,花粉塊は蟻によって運ばれると予想されるが,その仕組みは分からない。本種はガガイモ科の中の顕著な蟻植物myrmecophyteと考えられる興味深い種である。Marsdenia glabraは,ソメモノカズラMarsdenia tinctoriaと同属の植物で,低山帯の潅木材のつる植物である。外観は,Dischidia raffresianaに似た壺状の小花を着けるが,副花冠は後者に比べて簡単な形態をしている。花冠筒の内側に突起状の膨みがあることや,長い毛が密生していることは後者と同様である。この種は,幾つもの場所で採集することができ,標本庫に蓄積された標本の数も多かった。タイ国では広く分布する種のひとつであるらしい。Secamone ferrugineaは,つる性の植物で5弁に平開した黄色の小さな(直径5mm)花冠を持つ。Secamone属は,4個の葯室が一個の葯内に生じることで,2個の葯室を持つグループより原始的と考えられている。この種の葯も4個の葯室を持っているが,その内2個が大きく,他の2個は明らかに小さい。4個の花粉塊が一組となる。花冠裂片の内側基部には2個の小豆状の突起がある。3種に共通な形態として,花粉4分子は線型で,花粉塊中の花粉の数は夜来香やイケマに比べて少ないこと,胎座式は亜周辺胎座で胚珠の数も花粉の数同様少ないこと,雄蕊の背面から生じる雄蕊性副花冠の他に,花冠筒の内側や花冠裂片の内側に生じる突起があること等であった。花冠筒や花冠裂片の突起をどのような構造として理解するかは今後の問題であるが,SAFWAT (1962)の見解に従って,本報告では,これらのものを花冠性副花冠としておきたい。
著者
高橋 信 奥田 健太 杉本 直哉 狩川 大輔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.26, pp.143-148, 2008-05-05

This paper describes the two experimental studies on the cognitive issues concerning air traffic control (ATC). In the first experiment, the effectiveness of the communication style adopted in ATC has been confirmed through the communication experiments. In the second experiment, the possibility of controlling the cognitive control modes proposed by Hollnagel has been investigated based on the ATC simulation.
著者
本間 経康 高井 良尋 吉澤 誠 成田 雄一郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

放射線治療において,肺腫瘍などの位置・形状変動(動態)に応じた連続追尾照射により治療効果向上と副作用低減を汎用機を用いて短時間で実現するための必須要素技術である,腫瘍の3次元動態の画像計測法とその変動予測法の開発を行い,臨床上有用な性能を達成した。とくに,呼吸統制による呼吸変動予測性能を制御工学的に解析し,より患者負担が少なくかつ効果的な統制法に関する知見を得た。また,リアルタイム適応追尾照射法が実現された場合の効果について,治療計画システムを用いた線量解析を行った。その結果,従来の移動全領域照射法,同期(待伏せ)照射法などと比較し,提案追尾照射制御の有効性を明らかにした。
著者
北中 千史 根本 建二 佐藤 篤
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究ではグリオブラストーマ幹細胞を非幹細胞に分化誘導できる薬剤の探索を行った。その結果、糖尿病治療薬であるメトホルミンがFoxO3a活性化によりグリオブラストーマ幹細胞を非幹細胞化することを見出した。また、グリオブラストーマ幹細胞維持にシグナルキナーゼJNKが必須の役割を果たしていることを見出し、JNK阻害薬がグリオブラストーマ幹細胞を非幹細胞化する作用を有することを明らかにした。
著者
堀部 直人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

昨年度までのニューラルネットワークを用いたコンピューターシミュレーションならびにキイロショウジョウバエを用いた研究に引き続き、運動における記憶の効果、ならびに多様な運動の生成機構を解析するため、自律運動を行う油滴の運動について解析を行った。この油滴は無水オレイン酸とニトロベンゼンを混合したものであり、pHを調整した微量の界面活性剤を含む溶液中で不規則な運動を行う。これは、単純な履歴情報を用いて運動するシンプルな系であり、運動における記憶の効果を調べるのに適したものである。キイロショウジョウバエと同様の解析を行った結果、油滴からもLevy walkを見いだすことで、効率の良いとされる運動の生成にさほど記憶情報を参照する必要がないことを示した。さらに、油滴の運動軌跡を自己組織化マップを用いて分析し、運動要素を特定、油滴の形と対流との相互作用で多様な運動要素が生成されることを示した。複雑な運動が、さほど記憶情報を用いることなしに生成されていることを示すとともに、油滴の形といったなんらかのパラメーターを変化させるだけで多様な運動が生成されうることを示している。小数のパラメーターを調整することで、記憶情報に頼らずに複雑で多様な運動を次々と生成していくことは、生物の適応的な行動にとっても重要と考えられる。本研究は、この機構がシミュレーション上ではなく、実際に存在する物理系で起こることを発見したという点で、新奇で意義深いものである。
著者
Dyke Gareth
出版者
日経サイエンス
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.64-70, 2010-10

鳥が小型肉食恐竜から進化したことははっきりしているが,現代的な体形の鳥がいつ登場したのかは,はるかに不透明だ。化石に基づく従来の考え方では,現代的な鳥が現れたのは,6500万年前の小惑星衝突で恐竜など多くの生物が絶滅した後とされる。
著者
西田 真樹
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学研究紀要 (ISSN:13447459)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.A25-A51, 2000-03-31

三河国渥美郡の田原藩と尾張藩とは、政治・経済・文化において多角的な交流があった。経済面では、尾張の経済力が新田開発や大名貸しや取引・出店において活動の場を田原に得ており、田原は産物の売り込み先の一つに尾張を据えていた。文化面では、尾張の高い技術が田原藩および藩主を満足させた。尾張の医者・大工・鍛冶・紺屋・黒鍬は、その技術にたいする田原からの信頼に十分に応えた。はるばる来演する芸人は田原領民に歓迎されていた。しかし、博打打ち・尾州浪人・小悪党は尾張からの頽廃文化の来襲であり、遊山客の享楽とともに、田原藩には迷惑このうえなかった。渡来する神も田原士庶の信仰心を満足させる反面、祭のもつ非日常性には藩は為政者として向き合わねばならなかった。政治面では、尾張藩主に礼をつくす機会に恵まれることもあったが、漁業権や司法権をめぐり、また海難救助に際し、藩役所・役人同士の接触がほとんどで、いずれにしても田原藩からの謙譲の配慮が提示された。田原藩にとって尾張藩は単なる大藩ではなく、「公儀」相当の特別な藩であった。