著者
中野 清治
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.93-100, 1990-03

英語の進行相の中核的意味は「進行・継続」であると一般に言われており,事実そのとおりである。しかし,進行相には他に付随的意味がいくつかあり,「非断言的・押し付けがましさがない・遠慮がち・丁寧」といったニュアンスを伝えると各種の語法書・文法書は指摘している。I'm hoping you'll be willing to join us. l was hoping you'd lend me some money. When will you be paying back the money? Should you happen to be passing, do drop in.この付随的意味を「進行相の丁寧効果」と呼ぶことができるが,この効果は進行相の動詞構造そのものが持つ本質的な意味,すなわち「時間幅」「未完了」にまで遡ることができるのではないか,本稿はこのことを検証するとともに,EFL学習者がとくに不得手とされている未来進行相に重点をおいて検討してみた。
著者
尾場 友和
出版者
大阪市立東淀工業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

就職氷河期から一転し、就職戦線はバブル期に匹敵する売り手市場で活況を帯びている。高卒労働市場においても求人倍率の点からは同じく好況には違いないが、高校教育が産業界を支える質の高い人材を輩出しているのかという点については等閑視されてきた。本研究ではまず近年の高校教育を取り巻く状況について、学校・生徒・社会のそれぞれの視点より文献に基づき分析をおこない現状認識を深めた。つぎに高卒労働者の質について評価する指標づくりとして、全国1020の事業所高卒採用人事担当者を対象に「高校生の採用と企業が求める教育像に関する調査」を郵送法にておこなった。調査は「採用時に重視したポイント」と「企業が高校教育に望む教育活動」の2つから構成し企業側の視点による高卒採用の実態について迫った。その結果、高等教育機関への進学率の上昇や学力低下を主因に、企業の高卒採用は決して順調に進んでおらず、「人手は足らないし、質も確保できない」という高卒労働市場が危機的な状況にあることがわかった。詳細については「専門高校と企業との接続に関する研究」(『教職教育研究-教職教育研究センター紀要』、関西学院大学教職教育研究センター、第13号、2008年3月)に小論としてまとめた。さらに、そうした状況を打開するためにはどういった方策が必要であるか。その手かがりを探るため「新規高卒若年社員(事務職以外)における職場適応に関する調査」を全国139の事業所高卒採用人事担当者を対象におこなった。内容は「社内研修の内容」と「早期離職の要因」を中心に構成し、就職後の高卒生の課題について考察を深めた。以上2つの調査結果に基づき、専門高校でのキャリア教育を企業との接続の観点から検討し、産業界を支える専門高校のあり方について明らかにした。
著者
土屋 健治
出版者
京都大学東南アジア研究センター
雑誌
東南アジア研究 (ISSN:05638682)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.120-134, 1969-06

この論文は国立情報学研究所の学術雑誌公開支援事業により電子化されました。
著者
澤田 敏樹
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

繊維状ウイルスからなる機能性ハイドロゲル構築を目的とし、繊維状ウイルスの一種であるM13バクテリオファージ(ファージ)の末端と金ナノ粒子が特異的に相互作用するよう分子設計して用いた。適切な濃度比で混合すると、両者は自己組織的にハイドロゲル化した。その際、ファージは三次元的に配向しながら集合化して液晶化し、また金ナノ粒子はフラクタル様のネットワーク構造を構築し、構成要素それぞれの構造が制御されたゲルとなることがわかった。両者の間の特異的な相互作用を制御したゲルを調製することで、ゲルの機械的強度が分子間相互作用に支配されることもわかった。また、自己修復能や大腸菌応答性を示すことも見出した。
著者
稲葉 美由紀 杉野 寿子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

私たちの日常生活は自然災害、新たなテクノロジーやグローバル化の影響を受けている一方で、様々なリソースは減少しています。そのような状況を背景に、本研究は貧困や格差の問題が深刻化している「豊かな国」において、従来の救済的・治療的な社会福祉の枠組を超えた社会開発的なコミュニティワークモデルづくりへの手がかりを模索することを目的とした。社会開発的なアプローチとして、社会企業・ソーシャルビジネス、少額融資、コミュニティガーデン、認知症カフェなどの地域を基盤とした新たな活動が展開されていることを確認することができた。研究成果は日本社会福祉学会などを含む国内外学会で発表し、論文として出版した。
著者
中北 英一 鈴木 賢士 坪木 和久 大石 哲 川村 誠治 橋口 浩之 高橋 劭 城戸 由能 田中 賢治 中川 勝弘 岩井 宏徳 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 若月 泰孝 相馬 一義 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

集中豪雨やゲリラ豪雨による水災害軽減のための総合的基礎研究を実施した。最新型偏波レーダーとの同期フィールド基礎観測実験においてビデオゾンデ観測の汎用化をはかることでこれまで夢に描いてきた積乱雲内の多地点連続観測を実現するとともに、ヒートアイランドの影響を受ける都市域での積乱雲形成・発達過程のマルチセンサー同期観測の緒も開いた。それらを土台に積乱雲のモデル化と豪雨予測手法の開発を行い、加えて早期警戒情報提供や水位予測などの水管理に重要な手法をも構築した。特に、開発したゲリラ豪雨の早期探知・危険性予測手法は国土交通省で現業化され試験運用が開始されており、科学的にも社会的にも意義深い貢献を果たした。
著者
原田 貴史 中村 明美 友竹 正人 大森 哲郎
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.33-40, 2007-01-01
被引用文献数
1

看護職は高い専門性や自律性を求められると同時に,確認や清潔などの徹底も要求される.職場適応障害や燃え尽き症候群など心身医学的治療を要する症状を訴える者も多い.女性看護職に対する質問紙調査では強迫傾向が指摘される.われわれは,心身医学的見地より女性看護職の強迫傾向を検討し,強迫傾向と抑うつ度がQuality of Life (QOL)に与える影響の違いを比較した.自己記入式質問紙MOCI邦訳版(Maudsley Obsessional Compulsive Inventory)による強迫傾向群は16.3%と多かった.心身症患者の心理的特徴とされるアレキシサイミア(失感情症:alexithiymia)傾向は,強迫傾向に有意な相関を示した.アレキシサイミアの中でも「感情の同定困難因子」が,強迫傾向の「確認」「優柔不断」「疑惑」の高さと関係していた.抑うつ度は年齢層やQOL構成項目に限定されず,主観的QOLの低さと相関した.しかし強迫傾向は,若年女性看護職では「身体的領域」「心理的領域」の主観的QOLの低さと相関し,熟年看護職においては「社会的関係」の主観的QOLの高さと相関し,年齢や主観的QOLの領域により異なる影響をもたらす可能性が示唆された.若年看護職は強迫傾向と同時にアレキシサイミア傾向も高く,アレキシサイミアの中でも感情の同定困難と主観的QOLの低さとが関係していた.今後,このような若年看護職に対する心理的サポートをどのようなかたちで,どのような方法で行っていくのかが問われ,心身医学的検討が待たれるところである.
著者
肥塚 隆 深見 純生 淺湫 毅 丸井 雅子 小野 邦彦 橋本 康子 デュルト ユベール 藤岡 穣 デュルト ユベール 藤岡 穣
出版者
大阪人間科学大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

研究成果の概要:東南アジアの遺跡や博物館等に遣されているヒンドゥー教や仏教の造形芸術資料を渉猟し、それらを過去の王朝、民族、あるいは現在の国ごとに分類して検討するのではなく、東南アジア全体を一まとまりとする歴史体系の中で総合的に位置づけて考察するための基礎資料の集成に努めた。特筆すべき成果としては、分担者の深見純生が東南アジアのモンスーン航海の確立が4世紀前半にさかのぼることを明らかにした点である。
著者
二宮 浩彰
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、都市型市民マラソンを調査研究の対象とし、経済価値評価手法であるトラベルコスト法(TCM)および仮想評価法(CVM)を援用することによって、スポーツイベントの経済価値について評価することを目的とした。都市型市民マラソンのランナーを対象として、インターネット調査を実施した。その結果、スポーツイベントの経済波及効果、消費支出傾向、および支払意思といった経済価値について実証することができた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.287, pp.66-69, 2008-08

「今、分からんのはしょうがない。僕が工場から帰るまでに、出荷数をまとめた表を作ってくれんか。君も、身の回りのどこにムダがあるか分かるようにいつも意識しなくちゃいかんよ。毎朝起きたら、今日はどんなカイゼンをするか思いつくぐらいになるとええんよ」 山田の指摘を受け、出荷場の担当者たちは、慌てて出荷管理表を作り始めた。
著者
下平尾勲著
出版者
新評論
巻号頁・発行日
1999
著者
多々見 純一
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

走査型プローブ顕微鏡に付設可能な小型試験機を開発した。安定破壊を目的として、片側シェブロンノッチ試験片を用いた。Si_3N_4セラミックスでは、き裂は連続的に進展するとは限らず、先端あるいはき裂近傍にマイクロクラックを生成しながら、それらが連結して不連続に進展していくことが観察された。また、磁歪材料であるTerfenol-Dでは、き裂の進展に伴いき裂近傍の磁区構造が変化していく様子が確認された。