著者
冨士田 亮子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

子どもの出産や成長の段階で入手される子ども専用生活財や子供室は、子どもの独立後には主たる目的を失う。家族縮小期の生活財と住空間のあり方に影響の大である子ども専用生活財や子供室は、子ども独立後にはどのように考えていったらよいのかについて1,集合住宅及び戸建て住宅居住者を対象としたアンケート調査、2,戸建て住宅居住者を対象とした聞き取り調査、3,住宅情報誌編集長、及び木材の製材及び加工業者などによる聞き取り調査を行った。1.集合住宅及び戸建て住宅居住者に対するアンケート調査集合住宅では、子ども独立後には、学習机と椅子は処分、オーディオやテレビは子ども自身の住まいに持参、節句人形は収納空間に収納、冷暖房機器、本棚やシングルベッドは他の家族が使用しており、元子供室にそのまま置かれている家具は少ない。子供用生活財は、子ども独立後には現住宅内で家族が活用したいと考えている。一方、子供室は、子ども独立後もそのままにされている。戸建て住宅では、子供用生活財は、元子供室にそのままの状態が多い。2.戸建て住宅居住者への聞き取り調査元子供室は、夫や妻の専用室、また下の子の居室に用いられることもあるが、そのままの状態である。子ども用生活財も使われないまま室内に置かれている。床面を占める家具ばかりでなく、衣類や学用品などについても課題が多い。3.企業への聞き取り調査住宅情報誌編集長からは、子ども独立独立後には、現在の住宅に住み続けるのではなく,住み替えの希望が都市部でみられる。木材の製材及び加工業者からは、木廃材をパーティクルボードにし、これからユニットボックスやサイズオーダーデスクに製品化し、使用後は製造会社に返却でき、それを更に新たなパーティクルボードに蘇らせるリサイクル保証付きの家具が試みられ冠家具そのものとして使用できない場合にも再生の方法があることが明らかになった。
著者
上村 想太郎
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-03

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1885号 ; 学位の種類:博士(理学) ; 授与年月日:2004/3/15 ; 早大学位記番号:新3760
著者
生藤 昌子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

カタストロフィーは起きる確率は非常に低いが一度起きると経済的損失は莫大となる。本研究は、そのようなリスクが存在する状況下での政策分析を可能とする理論的枠組みを探ることが目的である。経済学では一般的に、リスクあるいは不確実性のもとでの意思決定について、リスク回避度一定の効用関数と期待効用理論が用いられる。しかし、1970年代に期待効用理論に整合的な確率変数の分布制約について議論され、その後その制約のもとで分析されてきた。それに対して最近のカタストロフィック・リスクのもとでの環境政策の研究において、期待値が発散する(つまり期待値の無くなる)状況を避けるために、損害の確率分布にその裾部を狭めるような仮定を置く分析の有効性について議論されている。本研究は裾野の広い確率分布に対して期待効用分析可能な効用関数の特性に着目した。環境政策に関する本研究の成果として、昨年度にワーキング・ペーパーのかたちで公表した"Expected utility and catastrophic risk in a stochastic economy-climate model"は、さらに改訂を行い"Weitzman Meets Nordhaus : Expected Utility and Catastrophic Riskina Stochastic Economy-Climate Model"として海外の専門誌に投稿中である。同様に昨年度公表した"Burr Utility"は効用関数の特性を詳細に分析している。絶対的リスク回避度は消費に関して減少し、相対的リスク回避度は増加するが有限であるPareto utilityが、どのような確率分布関数に対しても期待効用分析が可能であることが示されている。論文表題を改めた"Paret-Utility"は、査読付きの国際的な学術誌に掲載が予定されている。
著者
熊田 陽子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、性風俗世界(性風俗産業を中心に成る経済・文化・政治の複合的世界)の適法性をめぐる政治を明らかにしながら、日本の都市的生活様式の核である都市的"性"様式を解明することにある。平成22年度の成果は以下の通りである。第一は、「当事者」概念を使った本研究の方法論に関する検討である。本研究は民族誌的方法を用いた実証研究であり、実証性の確保には、調査研究方法、データの質・量、分析の妥当性などが鍵となる。研究の意義や意味を問う「当事者」議論の蓄積には、同時に実証性への問いが多く含まれる。現象学的な視点から「おんなのこ」(性労働者)と「私」(調査者)の関係を再考し、「当事者か否か」ではなく「(調査の場にいることを)許されるか否か」という点を重視して「当事者」概念を理解した本成果は、様々な実証研究に対する援用が可能である。第二は、本研究の軸となる性風俗世界と法の関係の検討である。詳細な分析の蓄積が薄かった「風営法」の条文を精査し、そのうえで、性風俗営業主体と性労働者が「適法性」を確保すべく行う諸実践を重点的に検討した。性労働者の視点を軸に、客や営業者とのつながりから性風俗世界を捕捉する本成果のアプローチは、(女性)性労働者と客・営業者を対立しあう存在として捉えることの多かった女性学や法学の成果に対して新たな視点をもたらす。第三は、「『おんなのこ』の民族誌」に向けた情報収集及び執筆活動である。東京都市部の性風俗店における参与観察調査の中で、性労働者と関係者を対象に、性労働に限られない様々な経験について情報を収集した。現在執筆中の本成果は、性風俗産業を経済・文化・政治の複合的世界として捉える本研究の根幹を成す。性の問題系から都市の人々の生を理解することは現代日本社会に生きる人々のありかたについて考えることに他ならず、都市研究を始め多くの研究分野に対する成果還元が可能である。

1 0 0 0 OA 雨山遺稿

著者
渡辺輝之助 著
出版者
法律新聞社
巻号頁・発行日
1910
著者
高岡 哲子 紺谷 英司 深澤圭子
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.49-58, 2009-03

本研究の目的は、高齢者の死生観に関する文献検討から、高齢者がどのような死生観を持っているのかを明らかにし、高齢者のみを対象とした死の準備教育を確立させるための基礎資料を得ることである。資料とした文献は、『医学中央雑誌Web(ver.4)(1998年-2008年)』で、「高齢者」と「死生観」の「AND」検索によって抽出した。これによって得られた文献は、160件であった。なお検索は、2008年5月に行った。この結果、高齢者の死の迎え方に関する希望が多岐にわたっていたこと、死を考えることで不安や恐怖と結びつくことがあること、死の準備が必要であることは高齢者にも認識されていることがわかった。しかし、実際に高齢者に対する死の準備教育を体系的に行っているという報告はなく、研究としても見当たらなかった。これらのことから、今後は高齢者の特徴をふまえ、死に対する過度の不安や恐怖から健康障害を起こすことがないような、死の準備教育が行われる必要性が示唆された。
著者
西野 正彬 安田 宜仁 湊 真一 永田 昌明
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

本稿ではPersonalized PageRank (PPR) を高速に計算する方法について述べる.PPRを計算するためには隣接行列を対象とする行列の乗算を繰り返し実行する必要があるが,グラフが大規模になると乗算にかかる計算コストが膨大になる.提案手法は隣接行列をゼロサプレス型二分決定グラフ (ZDD) を用いて圧縮した形で表現し,行列の乗算に必要な演算回数を削減することによって高速化を実現する.
著者
前川 喜久雄 山崎 誠 松本 裕治 傳 康晴 田野村 忠温 砂川 有里子 田中 牧郎 荻野 綱男 奥村 学 斎藤 博昭 柴崎 秀子 新納 浩幸 仁科 喜久子 宇津呂 武仁 関 洋平 小原 京子 木戸 冬子
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

当初の予定どおりに、5000万語規模の現代日本語書籍均衡コーパスを構築して2011年に公開した。同時に構築途上のコーパスを利用しながら、コーパス日本語学の確立にむけた研究を多方面で推進し、若手研究所の育成にも努めた。現在、約200名規模の研究コミュニティーが成立しており、本領域終了後も定期的にワークショップを開催するなど活発に活動を続けている。
著者
矢ケ崎 典隆 山下 清海 加賀美 雅弘 根田 克彦 山根 拓 石井 久生 浦部 浩之 大石 太郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

多民族社会として知られるアメリカ合衆国では、移民集団はいつの時代にも異なる文化を持ち込み、それが蓄積されて基層(古いものが残存するアメリカ)を形成してきた。従来のアメリカ地誌は表層(新しいものを生み出すアメリカ)に注目した。しかし、1970年代以降、アメリカ社会が変化するにつれて、移民の文化を再認識し、保存し、再生し、発信する活動が各地で活発化している。多様な文化の残存、移民博物館、移民文化の観光資源化に焦点を当てることにより、現代のアメリカ地誌をグローバルな枠組みにおいて読み解き直すことができる。アメリカ合衆国はまさに「世界の博物館」である。
著者
横山 幸生 島田 尊正 竹村 淳 椎名 毅 斉藤 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.1050-1058, 1993-08-25
被引用文献数
11

睡眠の深度やその時間変化の異常は,精神疾患や脳の基質的障害を反映しているため,その状態を把握することは臨床上極めて重要となる.睡眠時の脳波には睡眠深度に応じて瘤波や紡鍾波などの特徴波が現れるので,医師はその特徴波を認識して睡眠深度を判定する.しかし,この判読には熟練を要するだけでなく,1回の計測で千ページ以上にもなる膨大な脳波データを見るため,医師の労力と多くの時間を必要とする.本論文では,計算機により睡眠脳波の短区間スペクトルの特徴を抽出し,それにより睡眠脳波中の特徴波を自動的に検出する新たな手法を提案している.手法手は,(a)脳波の短区間スペクトルについてその形状の主成分分析により数次元の特徴ベクトルを抽出する処理と,(b)瘤波,紡鍾波,徐波などの睡眠脳波中の特徴波の特徴ベクトルを教師データとして学習させたニューラルネットワークを用いて,被検査用脳波の特徴波検出を行う部分よりなる.本手法により脳波データを処理した結果,教師データと同一被験者において80%以上の高い判定率が得られ,多少の波形ひずみにも対応できることが示された.
著者
老木 成稔
出版者
福井大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-04-01

膜蛋白質は膜平面上で制限された拡散運動を行い、同種蛋白質間で集合・離散を行うものがある。しかし膜蛋白質の中でもイオンチャネルは、細胞膜上でごく少数のチャネルで細胞機能を担うものもあり、自己組織化によってチャネル機能の発現にどのような関連があるのか十分に検討されてこなかった。私達は原子間力顕微鏡(AFM)によってチャネル蛋白質の新しい動的秩序構造を発見した。チャネルはゲート開閉構造変化に連動して膜状で可逆的な自己組織化を行うのである。一方、チャネルと膜脂質の相互作用がチャネル蛋白質の新しい構造モチーフ(センサーへリックス)を介して行われており、しかもセンサーへリックスがゲート構造変化を制御することも発見した。この2つの発見から導かれることは、チャネル機能発現においてチャネル蛋白質の構造変化が膜脂質との相互作用を変化させ、チャネルの膜内での孤立状態と自己組織化状態の遷移を引き起こしている、というシナリオである。生体膜と異なり、脂質2重膜に精製したチャネルを再構成するにはチャネルの向きを揃えることが不可欠であるが、これまでに方法が確立していなかった。この方法の確立のために多くの実験を行った。またチャネル集合離散状態によってチャネル機能の差を捉えるためには原子間力顕微鏡で捉えられる事象でなければならず、様々な方法を試みてきた。その中で隣り合うチャネル機能に差があるという結果を得つつある。チャネルが膜とどう相互作用するかという点を明らかにする上で膜リン脂質の組成はきわめて重要である。私達は様々なリン脂質を使ってリポソームを形成し、膜上での集合離散状態を蛍光色素で測定した。その結果、リン脂質の組成だけではなく、膜の相分離・厚さなど膜の物理的特性によって集合離散状態が大きく変化することを明らかにした。これらの実験と並行して、複数の共同研究を開始し、新しい結果を得た。

1 0 0 0 OA 地球全圖

著者
司馬江漢峻 寫并刻
出版者
司馬江漢峻
巻号頁・発行日
1794

司馬江漢(1747-1818)による我が国最初の銅版世界地図で、地球が球体であることがはっきりわかるような図様になっている。初版は『輿地全図』と題されて寛政4年(1792)に出版された。以後刊記をそのままに改題増補され、『地球全図』としては少なくとも4種の刊本がある。本書は欄外の風景動植物図が追加された第3版。司馬江漢は画家だが、平賀源内の影響で蘭学に関心を持ち、日本初の腐食銅版画の製作や西洋科学知識の紹介に力を注いだ。(電子展示会「江戸時代の日蘭交流」より)