著者
鎌田 とし子 鎌田 哲宏 大野 剛志 栗田 克実 羽原 美奈子 高波 澄子 信木 晴雄 佐々木 悟 豊島 琴恵 嶋崎 東子 松浦 智和 松岡 昌則 北島 滋 山下 由紀夫 中澤 香織 石川 紀子 菅原 千鶴子
出版者
旭川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、北海道北部地域にある集落を3か所(北海道中川郡音威子府村、増毛郡増毛町、上川郡東川町)選び、①限界集落、②維持集落、③再生・発展集落とし、3者の比較を行うことで、集落の限界化が進行する社会的要因を探求する実態調査を行った。その結果、人口流出を阻止する要因は5万円程度の雇用機会であり、最低生活を維持できる自給経済と、無償の相互援助関係の存在であった。生産性の高い農地は、借り手と買い手がいるため、農業企業が出現し、周辺地域に雇用市場が発生した。また、子育て支援策と団地造成で人口流入が進むことが明らかになった。
著者
山名 淳 宮本 健市郎 山﨑 洋子 渡邊 隆信
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、新教育運動期において、児童・生徒の「本性」に基づいて彼らの自己活動の余地を保持するために、学校における「アジール」的な時空間(教師の明確な計画性を逃れる曖昧な時空間)の重要性が認識され始めたことに注目し、新教育的な学校における「アジール」との関わりにおける教師の技法を、新教育運動の影響が最も鮮明にみられたイギリス、ドイツ、アメリカ合衆国を考察対象として比較史的に究明することを心試みた。日本との比較考察という視点も導入し、今後の継続的な研究の展望を示した。本研究の成果は、報告書『新教育運動期における学校の「アジール」をめぐる教師の技法に関する比較史的研究』にまとめて公にした。
著者
前田 しほ
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.34, pp.75-82, 2002

現代ロシアの代表的な女性作家であるワレーリヤ・ナールビコワは,1958年にモスクワに生まれ,ゴーリキー名称文学大学を卒業し,1988年にЮность誌にデビュー作『昼の星と夜の星,光の均衡Равновесие света дневных и ночных звезд』を発表した。80年代後半から90年代にかけてロシア文学界は,ソ連時代の抑圧から解放された作品群が堰を切ったように登場し,華々しい時代を迎えていた。それらの中でもナールビコワの作品は言語に対する豊かな感性と官能的な言葉の響きで読者を圧倒し,その「過激さ」はソビエトの読書界に大きな衝撃をもたらした。作家アンドレイ・ビートフは上記の作品の序文で,彼女の作品世界は「驚くほど魅惑的で,透明で繊細で」,その文体は「息遣いのように彼女固有のもの」だと賞賛した。その一方で,ナールビコワの作品が保守的な読者や批評家からは大きな怒りと反発を買ったことも指摘せねばなるまい。ウルノフによれば,ナールビコワの小説は「技巧的な言葉使い」によって複雑にされた陳腐なものにすぎない。性や生理を正面から取り上げたため,当時は「スカートをはいたマルキ・ド・サド」「ポルノグラフィ」「官能小説」といった風評が流れたという。しかし実際は,ナールビコワの描写はエロティックではあっても,ポルノグラフィの性質はまったく欠いている。性行為そのものの描写は避けられ,隠楡やほのめかしを駆使した言葉遊びが展開される。エロティックなのは文体のかもしだす雰囲気なのだ。ナールビコワにコンセプチュアリズムとの関連性が指摘されるのも,言葉遊びを駆使した文体ゲームによるところが大きい。代表的な例だけでも,しゃれ,文字・言葉の入換え,くりかえし,否定のнеを多用した言葉遊びなどがあげられる。まるでゲームでもしているかのようだ。また,ロシア古典文学をはじめとして,聖書や史実,おとぎ話,スローガン,子ども向けテレビ番組などからさまざまなテキストが借用される。作品の題名や人物名にもその遊び心はよくあらわれている。これら文体的特徴については別の場で論じているので,本稿では深く立ち入らないが,ナールビコワの官能性は文体と密接に結びついたものである。しかしエロティシズムがいかにして生生れ高められているかという構造を解明するには,文体との関係だけでなく,プロットの面からの考察も必要だろう。従来の議論では,文体の濃密さに対してプロットの稀薄さが目立つと指摘されてきた。確かにプロットは動きが少なく,劇的な変化も展開も期待されない。しかしそれは男女の恋愛に描写を集中するために,それ以外の事物が極力省略されているからだろう。ナールビコワの描く恋愛は常に「不可能」であることを前提とした,いってみれば禁じられた恋だが,まさにこの禁止こそがエロスを生みだす要因である。なお今回の分析にあたっては『一人目のプランと二人目のプランПлан первого лица. И второго』(以下『プラン』と略す)と『オコロ・エコロОкодо зкодо』の二作品を題材とした。
著者
三浦 徹 安田 次郎 神田 由築 新井 由紀夫 菅 聡子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究は、アジア(日本を含む東アジアと中東・イスラーム世界)の社会文化の特性を、比較研究を通して明らかにし、人類文化におけるアジアの可能性を見いだすことを目的とする。同性愛というテーマを主題にとりあげたのは、当該社会のなかで、両義的なイメージを賦与されていた現象を、比較文化の視点から研究することにより、新たな分析観点を探るためである。16年度は、以下の研究を実施した。1.韓国での調査・研究会(2004年9月23-25日) 男寺党(ナムサダン)とよばれる芸能集団の調査を、国立文化財研究所朴原模研究員の協力をえて実施し、同研究所と淑明女子大学で研究会を開催した。一般に儒教文化の影響で性についてのタブーが強いとされる韓国においても、日本と同様の性の役割に関わる問題群があることが確認された。2.基本資料の収集と文献データベース作成 15年度までに収集した文献データベース4000件に500件の追加を行い、全体の校正・整理を行った。なお、当初大学のホームページに公開を予定していたが、インターネットのセキュリティ管理が強化され、その技術的な問題が解決するまで公開を延期することとした。3.2年間の研究成果を問うために『越境する性:同性愛の比較文化史』(山川出版社)を刊行する。5名の研究分担者が執筆し、ヨーロッパ、イスラーム世界、日本中世、日本近世、日本近代の同性愛の文化を、比較の観点からとりあげ、アジア社会の柔軟な性文化とその変容が明らかにされる。
著者
松元 英樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.417, pp.187-190, 2002-09-16

日没後30分までの空を狙う/花火は露出オーバーにも注意/光に合わせて最適な露出を選ぶ/デジタルカメラを使って天体撮影に挑戦
著者
丸山 真純
出版者
長崎大学
雑誌
經營と經濟 : 長崎工業經營専門學校大東亞經濟研究所年報 (ISSN:02869101)
巻号頁・発行日
vol.92, no.3, pp.71-91, 2012-12-25

This article examines English proficiency test scores of first-year students of Economics in Nagasaki University in the following two tests: the G-TELP (Level 3), administered in July of 2011 and the TOEIC, administered in October of 2011. All the first-year students in the Faculty of Economics (N=364) took the G-TELP, with 163 of these students also taking the TOEIC. The average total score of the G-TELP was 182.2(SD=35.3)for those who took both tests and 178.3 (SD= 30.1) for all students. The average total score of the TOEIC was 435.2 (SD=103.1). This study conducted a regression analysis of G-TELP score as an independent variable and TOEIC score as a dependent variable. The analysis revealed that the model was statistically significant to predict TOEIC score from G-TELP score (R2=.52). By using the conversion equation derived from the analysis, TOEIC scores of all 364 students from their G-TELP scores were estimated. Finally, the estimated TOEIC scores were examined in terms of G-TELP's official TOEIC conversion score and the actual TOEIC scores of 163 students. The examination proved the conversion scores were not very accurate. In particular, the G-TELP-TOEIC conversion equation derived from this study overestimated TOEIC scores when G-TELP scores were lower, while the equation underestimated TOEIC scores when G-TELP score were higher. To examine the correlation between the two tests in greater depth, another study should be conducted with a larger sample size.
著者
Carlito B. Lebrilla
出版者
日本質量分析学会
雑誌
Mass Spectrometry (ISSN:2187137X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.Special_Issue, pp.S0016-S0016, 2013-04-15 (Released:2013-05-03)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

The role of glycosylation and their biological functions whether as free oligosaccharides or glycoconjugates has been made possible by the recent advancements in the analyses of these compounds. The heterogeneity and the large structural diversity have made oligosaccharide analysis significantly more difficult than other biopolymers. The next stage of development is to achieve high throughput analysis. However, the structural elucidation of oligosaccharides remains an extremely difficult task. Recent reports reveal that the diversity of structures in a given biological system is finite and may not be large. It may be possible to create a database of structures that can be used to determine the identity of known compounds. This capability would therefore make high throughput glycomics possible. Achieving this task depends on the proper selection of chemical characteristics to identify the compound. In this presentation, nanoflow liquid chromatography retention times, accurate mass, and tandem MS is used to determine structure with a high degree of certainty. The method is used to determine the biological function of milk oligosaccharides as well as to discover glycan-based biomarkers for diseases.
著者
筆保 弘徳
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、まず、これまで難しかった回転水槽実験で発生する水面運動の定量化と、運動パターンを定量的に分類する解析手法と定義を提案した。粒子画像流速測定法により運動場の定量化を行い、運動エネルギーを算出した。この運動エネルギーを用いた定義により、すべての実験の運動パターンを客観的に分類した。今後は、まだ成功していない回転水槽実験を用いた台風コア領域の再現を目指し、本研究での手法を適応して台風の非軸対称構造の形成メカニズム解明を行う。
著者
高橋 雅紀
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.14-32, 2006-01-15
参考文献数
115
被引用文献数
15 39

関東地方に分布する中新統の地理的および年代層序学的分布を総括し, 現在の利根川を挟んで岩相, 層厚, 地質構造, 堆積様式, 構造方向等に顕著な不連続を認めた.この地質学的不連続は, 西は赤城山の南麓下から伊勢崎と太田および館林の間を通り, さらに利根川に沿って柏付近から東方へ成田と竜ヶ崎の間に延び, さらに多古の北東付近で南東に向きを変え, 銚子の南の片貝海底谷へと延びる伏在断層である.この断層を挟んで東北日本弧と西南日本弧が大きく斜交しつつ接しており, その起源は前期中新世の日本海拡大時期に形成されたものと考えられる.断層に沿って相対的に東北日本弧が海溝側(東側)に数10km以上ずれており, また断層の西半部では落差の大きい南落ちの断層として, 平野側に厚い海成層を堆積させている.この断層をもって, 従来の利根川構造線を再定義した.
著者
Shuichi Masuda Shoko Uchida Yumeko Terashima Hiroko Kuramoto Mika Serizawa Yuya Deguchi Kazuhiro Yanai Chitose Sugiyama Itaro Oguni Naohide Kinae
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
Journal of Health Science (ISSN:13449702)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.211-220, 2006 (Released:2006-06-01)
参考文献数
32
被引用文献数
7 16

The effects of repeatedly brewed green tea infusion on the formation of nitrosamine in vitro and in vivo, and on cancer mortality were examined. The first and second brews of green tea infusion inhibited the formation of nitrosomorpholine in the presence of morpholine and nitrite (nitrosation of morpholine), but the third to eighth brews accelerated it. The green tea infusion brewed from 5 g of leaves in 200 ml hot water (strong tea infusion) inhibited the nitrosation of morpholine, but that brewed from 2.5 g or less (weak tea infusion) promoted the nitrosation. The brewed green tea infusion that inhibited nitrosation of morpholine contained catechins at a high concentration, and that that promoted nitrosation contained catechins at a low concentration. The effects of green tea administered to Wistar male rats and that consumed by humans on the formation of nitrosamines were also examined. In both rats and humans, nitrosamine formation was inhibited by strong green tea extract but was increased by weak green tea extract. The concentration of catechins in the green tea infusion brewed by the general households in tea-producing areas was significantly higher than that brewed in non-producing areas. We examined the relationship between the concentration of catechins in green tea infusion brewed in different areas and the standardized mortality ratio (SMR) of cancer in respective areas, and found that the catechin concentration in green tea infusion correlated inversely and significantly with the SMR of cancer in that area. We concluded that strong green tea might inhibit the formation of nitrosamines and decrease the risk of carcinogenesis.
著者
池田 博 岩坪 美兼
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バラ科キジムシロ属キジムシロ群に含まれる広域分布種と、それらから派生したと考えられる地域固有種について、形態学的・細胞遺伝学的・分子遺伝学的解析をおこなった。解析の結 果、1) キジムシロ群植物は全て 2 倍体(2n=14)である、2) P. freyniana var. sinica は、別の種 として取り扱うべきである、3)ヒメツルキジムシロは雑種ではなく、独立した種と考えられる ことが判明し、4) P. koreana とキジムシロ、ヒメキジムシロとテリハキンバイとの雑種を見出 した。
著者
小林 徹也
出版者
茨城県立竜ヶ崎第一高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

1. 研究目的 : 高校生に考える力をつけるため, 数学の問題を解く際「結論から仮定へ」の推論をより利用させることを目標とし, 今回その推論を「解析」とし, 次の2つの解明を目的とした.A : 「解析」をその意識的な指導, 方向, 機能および名称に着目して整理することB : 高校生の「解析」の利用がどのようなものであるか同定すること.2. 研究方法 : 上記Aについては「解析」に関する国内外の先行研究を検討し, Bについては生徒へのアンケートを分析した.3. 研究成果 : 以下のことなどが明らかになった。Aについて :(1)「解析」指導については意識的に指導されているが限定的であること.(2)「解析」には3つの方向性と4つの機能が存在すること.(3)我が国では, 結論を得るために仮定の方に遡る推論の方向と, 解を発見する機能へ着目することが多かったこと.(4)「解析」に対して統一した名称がないこと.Bについて :(1)数学の問題の解答を分析した結果, 生徒は問題を解く際に, 誤った「解析」をすることがあり, それは公式や定理の記憶違い・適用の誤り・計算違い等であること.(2)数学の問題の解答を分析した結果, 正しい解析によって別解を作る例が存在したこと.(3)アンケートの分析により, 解析をどのように有効性を認識したかについては, 学校の指導よりも自分で気づいたとする割合が多いこと,(4)アンケートの分析により, 調査における決定問題を解く際に解析をしたとする生徒が少ないこと.4. 今後の課題 : 以上の成果を活かした授業実践研究が課題である.
著者
Yukiko Hirabayashi Yong Zang Satoshi Watanabe Sujan Koirala Shinjiro Kanae
出版者
水文・水資源学会/日本地下水学会/日本水文科学会/陸水物理研究会
雑誌
Hydrological Research Letters (ISSN:18823416)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.6-11, 2013 (Released:2013-03-09)
参考文献数
23
被引用文献数
10 38

We report a time series (1948–2100) of global-scale meltwater from mountain glaciers and ice caps (MGI) estimated by the global glacier model HYOGA2. HYOGA2 calculates the temporal fluctuation of the mass balance for 24,234 individual glaciers worldwide. It covers 90% of the total glacier area, except for glaciers in Greenland and Antarctica. HYOGA2 also accounts for regionally distributed changes in glacier area and altitude associated with glacier retreat and advance. By computation of individual glacier changes, future dissipation and glacier mass and area changes can be simulated in the model. The cumulative volume loss of water between 1948 and 2005 was estimated to be 25.9 ± 1.4 mm sea level equivalent (SLE). A future projection under a high-emission scenario demonstrated significant losses of water from MGI equivalent to 60.3 ± 7.9 mm SLE between 1948 and 2060 and 99.0 ± 14.9 mm SLE between 1948 and 2099.
著者
青梨 和正 柴田 彰 劉 国勝
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.617-637, 1996-10-25
被引用文献数
7

本研究はSpecial Sensor Microwave Imager (SSM/I)の多波長輝度温度データを用いた海上での降水強度リトリーバルアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムの考え方の特長は、多波長の輝度温度の観測値との差が最小になる輝度温度の計算値を与える、降水強度の水平方向の分布の"最適値"を求めることである。このためLiu and Curry(1993)の放射伝達モデルを用い、25km毎の格子点での降水強度からSSM/IのFOV(field of view)の19.35、37、85.5GHzの垂直偏波の輝度温度の計算値を求めた。垂直偏波の輝度温度を選んだのは海上風速の影響を最小限にするためである。この計算の際に、降水雲のモデルとしてGARP Tropical Experiment(GATE)のデータから得られた、降水の非一様性と鉛直プロファイルの統計的特性を利用した。多波長の輝度温度の計算値の観測値に対するfitnessを表すのに各波長の観測値と計算値の差を統計的に求めた標準偏差で規格化した値の2乗の和で表されるcost functionが用いられた。このcost functionのgradient equationを解くことで25kmの水平解像度を持つ降水分布の最適値が求められた。このアルゴリズムを用いた降水のリトリーバルを2つの事例(1990年9月17日21UTCの台風9019号、1988年4月28日21UTCの温暖前線の降雨)について行った。リトリーバルされた降水量は気象庁の現業レーダ網で観測された降水量と比較された。その結果、本研究のアルゴリズムは大規模な降水域内のメソスケールの降水のパターンを増幅している、またこの増幅がリトリーバルされた降水量をレーダで観測された降水量とより線形に対応させている事が分かった。この改善は本研究のアルゴリズムが高周波のチャンネルのデータの有効な利用によるものである。高周波のチャンネルのデータは大規模な降水域内の降水域の再分配に役立っている。またTOGA-COARE(Tropical Ocean-Global Atmosphere Coupled Ocean-Atmosphere Respose Experiment)期間中の船舶レーダデータとこのアルゴリズムの降水リトリーバル値の統計的比較も行われた。この期間平均の(降水リトリーバル/レーダ降水強度)の比は0.944であった。この比は降水の非一様性と鉛直プロファイルに大きく依存するので、上記の比の統計値は本研究のこれらのパラメータの値が妥当なものであることを示すと考えられる。
著者
前田 英俊 田崎 信幸 竹内 公博 小川 義雄 松場 貢
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会九州支部会報 (ISSN:02853507)
巻号頁・発行日
no.59, pp.9-12, 1992-12-21
被引用文献数
5

1.平成3年9月14日に台風17号,次いで27目に19号が長崎県に襲来し,水稲に大被害を及ぼした。とくに諌早地域を中心とする県失地帯に大被害を及ぼしたので,31地点の坪刈調査により,被害要因の生態的解析を行った。2.品種による差異 早生の日本晴は被害が最も少なく,早生の晩のヒノヒカリから強く影響を受けており,出穂期の遅い品種ほど被害が大きかった。出穂期から登熟期のごく初期に台風にあったものがとくに登熟歩合への影響が強く,登熟が進んでいたものは影響が少なかった。また,出穂期の遅い品種ほど粒厚の薄い方に分布が多くなった。3地形による差異 海岸近接地および平坦地で直接海からの暴風にあった地点での被害は著しいが,回りを山に囲まれ風をあまり受けなかった地点は影響が少なかった。4.海岸からの距離による差異 海岸から離れるほど収量,品質ともに向上した。とくに海岸から2.5?以内に作付されたものは品質低下が著しく,塩分濃度の高い潮風がこの範囲までは強く吹いたことを示した。

1 0 0 0 OA 地から出る月

著者
矢田插雲 著
出版者
東光閣書店
巻号頁・発行日
1924