著者
小島 毅
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.107, pp.1-87, 1988-10

Correlative cosmology was the heart of the political theory in justification of all the dynasties in China.Various kinds of natural anomalies showed Heaven's warning to the ruler against his political errors.This theory, which was established under Han dynasty, was still effective in Song, by changing its substance.It is explained in Chapter One how the correlative thought served political purposes in Northern Song.Some of the scholars criticized the schematized form that said a phenomenon was the response to one particular governmental misconduct, but they also relied on correlative theory.In Chapter Two, the samples are introduced from the texts on the crop losses by locusts and on the solar eclipses.While refuting Han schema, the scholars insisted that emperor should recfify his mind.When the Song philosophers were changing the schema, they were giving a higher position to the term of li (principle).As it is made clear in Chapter Three, in the new scheme of correlative theory, li was pursued in one's mind.
著者
ブランチャード フランソワ
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的はTHz電磁波を用いて、様々な生体物質の化学組成・特性を非破壊で評価可能、生体活動に伴う物質移動をリアルタイムで可視化可能な手法を構築することである。これまでに構築してきたTHz近接場顕微鏡を改良し、共同研究先であるオリンパスの顕微鏡を組み合わせて、より使い勝手の良い顕微鏡システムを構築した。この顕微鏡ではビデオレートで370×740μm^2と広範囲の画像を分解能10μm以下(THz電磁波の波長は数百μmなので、波長/100以上の分解能)で得ることが可能である。また、様々な環境下で測定が可能なように、この顕微鏡専用のインキュベータや、パージボックスも同時に設計、作成した。この顕微鏡を用いて、本年度(最終年度)行ったことは以下の通りである。1.電場増強のための大口径リング共振器の評価をおこない、リング共振器内での電場増強効果(3倍)を確認した。リング内にサンプルを設置することで、より高強度THz電磁場による高感度な評価が可能となると予想される。2.この共振器のデモンストレーションとして、微少量(~10ng)の機能性物質(porous coordination polymers(PCPs))の特性評価を行った。THz近接場顕微鏡で共振器内にPCPのあるものと、共振器内に無いもののTHz応答を空間分解して同時測定することで、長時間でもS/Nの良い測定が可能となる。この研究期間内に6本のレビューを含む論文、および1本の特許出願を行った。レビュー論文では本研究課題を含むこれまでの成果をまとめるとともに、最近の成果についても述べている。最近の成果であるメタマテリアル近傍の電場、放射電場の観測についてはこの8月に論文が掲載された。機能分子PCPのにおける分光イメージの結果については論文化する予定である。
著者
矢吹 朗彦 杉浦 幸一 加藤 俊明 桑原 惣隆 木村 晋亮
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.29, no.8, pp.913-921, 1977-08-01

1974年から1975年にかけ,石川県七尾市を中心とした無脳症の集中的多発的発生を見,能登地方をはじめ北陸三県に於ける本症の疫学的調査と病因的ウイルス感染の存在について検討し,次の結果を得た. (1) 1975年迄の過去5年間で,石川県を中心とした北陸三県に於いて78例の無脳症が確認された. (2) 本症の男女比 : 41対35(75例調査,双胎1例),初産経産婦比 : 26対31(57例調査)であつた. (3) 妊娠初期経過(24例調査) : 無症状3,悪阻9,感冒及び発熱9,性器出血8及び糖尿病2例あり,16例が投薬を受けた. (4) 無脳症娩出後,次の妊娠分娩を追跡し得た12例は正常児分娩9,反復無脳児分娩3であつた. (5) その他の事項として,羊水過多症11(27例中),双胎無脳症1,母体疾患として糖尿病2,心疾患1,精神分裂症1例があつた. (6) 1975年迄の過去5年間の北陸三県に於ける無脳症罹患率は,平均0.08〜0.4%であり,最高は七尾市能登病院の0.4%で,その発生には地域的集中傾向がうかがわれた. (7) 年次的には1974-1975年に多発傾向を見,しかも1974年に妊娠初期を経過したものが多数を占めた.年次的最高罹患率は,能登病院の1974年に於ける0.6%であつた, (8) 10症例の無脳症及びその両親の血清22検体について,ウイルスHI抗体価11項目とCF抗体価20項目について検査し,抗サイトメガロウイルス抗体を19検体に,抗コクサッキーBウィルス4及び5型抗体を,夫々21及び20検体に証明した. (9) 結論として,無脳症の発生病因は,まず遺伝的因子の存在(又は欠除)が考えられ,さらにそれを誘発する要因として,サイトメガロウイルス及びコクサッキーBウイルスの重複感染があり得ると推論された.
著者
桜井 厚二
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究 (ISSN:03873277)
巻号頁・発行日
no.33, pp.9-15, 2001-09-20
著者
園山 繁樹 秋元 久美江 伊藤 ミサイ
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.107-115, 1989-12-28
被引用文献数
1

幼稚園において2年6ヵ月にわたりメインストリーミングの保育を受けた1名の自閉性障害男児について、特に発話の出現過程と社会的相互作用の変化を検討した。入園当初はほとんど無発話であったが徐々に模倣的な発話が増え、卒園時には3〜4語連語の発話が可能となった。社会的相互作用においても、当初は身体的な接触を拒否していたが徐々にかかわりが増え、卒園時にはことばによる自発的なかかわりが可能となった。これらの変化をもたらした要因として、教師や健常児との人間関係の形成と拡大を図ることが考えられた。発話は社会的なものであり、その出現と発展のためにはまず第一に幼稚園における様々な場面と活動を通して教師との人間関係を確立し、その後に発話を引き出すための手法を適用すべきであることを指摘した。
著者
大野木 和敏
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.497-516, 1998-08-25
被引用文献数
1

気象庁の数値予報システムにおいて、誤った観測データを除去するための新しいデータ品質管理方法を開発した。品質管理は、すべての観測値に対し、予報から与えられる第一推定値との差を評価することによって行われる。この差は統計調査の結果を基に観測要素・観測レベルごとに設定されたしきい値と比較され、許容範囲から外れた観測データは誤データとして除去される。従来の静的品質管理では、気象状態に関係なくしきい値は一定であった。新しい方法である動的品質管理では、観測点付近の第一推定値の場の状態を考慮する。しきい値は局所的な水平勾配と3時間の時間変化によって線形的に変化させる。統計的な調査によって、観測値と第一推定値の差は、第一推定値の局所的な水平勾配と時間変化に近似的に比例することがわかった。動的品質管理はこの関係を品質管理に適用したものである。静的品質管理では、誤ったデータが静穏な領域で誤って採用され、正しいデータが変動の激しい領域で誤って除去される誤判定がしばしば見られたが、動的品質管理によってこれが全領域で大幅に減少した。動的品質管理を適用した予報実験では、熱帯と南半球で予報スコア及び予報値とレーウインゾンデ観測との整合が向上した。予報期間にして1日分以上に相当するアノマリー相関の改善がみられる場合や、レーウインゾンデ観測との整合が平方根平均二乗誤差(RMSE)で10%以上改善される場合もある。北半球では予報結果は変わらなかった。動的品質管理は1997年3月17日に気象庁の数値予報システムに組み込まれ、その後現業全球予報の成績は大幅に向上している。
著者
高橋 志郎 新家 光雄 福井 壽男 小林 俊郎 長谷川 二郎
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.577-584, 1996-11-25
被引用文献数
12

種々の熱処理を施した歯科用金銀パラジウム銅合金につき, 引張試験および動的破壊靱性試験を行い, 引張および衝撃破壊特性に及ぼす熱処理条件の影響について検討した.引張強さおよび0.2%耐力は, 溶体化まま材および溶体化時効材とも, ほぼ溶体化温度の上昇に伴い増加する傾向にある.溶体化時効材では, いずれの溶体化温度でも時効温度の上昇に伴い, 引張強さおよび0.2%耐力が増加する傾向にある.一方, 伸びは, 溶体化まま材では, 強度特性値とは逆に, 溶体化温度が高いほど低下する傾向にある.動的破壊靱性値は, 一部の例外を除き, 強度特性値の場合と同様に, 溶体化温度の上昇とともに増加する傾向にある.これは, 本合金の動的破壊靱性値に対して, 延性の低下に比べ, 強度の増加がより大きく寄与したためであると考えられる.動的破壊靱性値は, 溶体化まま材の方が溶体化時効材に比べ大きい.強度, 靱性, 延性バランスを考慮すると, 溶体化温度1073Kの熱処理条件がより適切である.特に, 溶体化まま材で, 溶体化後空冷の熱処理は, 冷却工程が簡便で, 時効工程を省略でき, より有利な熱処理条件といえる.
出版者
時事通信社
雑誌
内外教育
巻号頁・発行日
no.6078, 2011-05-13
著者
西脇 仁一 川口 恒夫
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京帝國大學航空研究所彙報
巻号頁・発行日
vol.192, pp.265-309, 1940-08

この頃の様に發動機の性能が向上したり,又飛行機の速度が増したりすると,油冷却器の抵抗も却々大きなものとなつて來る.本實驗は現在各種飛行機に實用されてゐる各種滑油冷却器の抵抗並びに放熱試驗等を行ひ,航空機用としての性能を比較した.實驗に使用した冷却器は平行板型(ヴィカース,ランブラン),蜂の巣型2種,空冷發動機用環状型(圓管型,偏平管型)の6種類である.實驗の結果,蜂の巣型冷却器が航空機用としては性能が勝れてゐる.供試冷却器が少いので詳しくは分らぬが,蜂の巣型冷却器で管長の長い方が性能としてはよい様である.(これは水冷却器と同様の性質である,この點に關する詳細は續報に譲りたい).本實驗では冷却液として水及び油を使用して比較した,一般に油を使用すると,水の場合に比べ油の粘性の影響で放熱量が低下する,この低下の度合は流量や油の温度にもよるが,油の通路が狹くて曲つてゐると低下の度合が少くて濟む様である.本文中には滑油冷却器設計の資料として實驗データを記載して置いた.
著者
倉内 伸幸 古庄 雅彦 寺島 竹彦 谷口 きよ
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.258-263, 1997-12-01
被引用文献数
1

1990年から1992年にチュニジアで収集したオオムギ遺伝資源について, 農業形質に関する一次特性および二次特性調査を行い, チュニジアオオムギの育種素材としての有用性について検討した.また, 収集地域別に形質の地理的傾斜があるかどうかを検討した.一次特性は, 300系統を調査した.供試系統は, すべて並性でかつ皮性であり, 芒が多く, 粒大であった.また, 出穂期, 成熟期, 稈長および穂長にはそれぞれ大きな変異がみられ, 日本品種と比較すると, 出穂, 成熟がやや遅く, 長稈で長穂の傾向が認められた.1000粒重は53.0gであり, 日本品種の35.4gに比べ種子が大きかった.地域別の農業形質の特徴をみると, 北部の系統は長稈で穂が短いのに対し, 南部の系統は短稈で穂の長い傾向が認められた.中部の系統は, 北部と南部の系統の中間を示した.二次特性は, 縞萎縮病抵抗性について, 158系統を検定し, 2系統が抵抗性を示した.縞萎縮病抵抗性を示した系統は北部および中部から収集した系統であった.うどんこ病抵抗性については, 149系統について調査し, 75系統が抵抗性を示した.北部, 中部, 南部から収集した系統から, うどんこ病抵抗性を示す系統が見出された.播性については206系統について調査した.135系統(66%)の系統がII以下の低い秋播性, 57系統(28%)の系統がIII, IVの中程度の秋播性で, 14系統(6%)の系統がVI以上の高い秋播性を示した.高い秋播性を示した系統は, チュニジア西部のアトラス山脈山麓から収集された系統であり, そこでは強い耐寒性と高い秋播性が要求されるためと推定される.以上のように, チュニジアオオムギ在来種から, 多収性および耐病性育種に利用が期待される系統が見出された.
著者
吉村 臨兵 北 明美
出版者
福井県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

米国の最低賃金規制についてリビング・ウェイジ(生活賃金)条例を中心に数カ所で聞き取り調査を行った。そうした制度を実現して実効性を維持するための取り組みがどんな社会集団によってどのように行われているか、具体的な情報が得られた。また、連邦最低賃金が毎年上昇する時期に重なったこともあり、リビング・ウェイジが直接の賃金上昇よりも、むしろ労働基準の広範な改善のきっかけとしての機能を強めつつあることがわかった。
著者
工藤 与志文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

知識の活用において重要視される操作的思考の活性化要因ならびに抑制要因について検討した。活性化要因としては, 属性の共変関係に関するルール教授や事例情報による思考の方向性の制御などが挙げられたが, その効果は部分的であった。また, 抑制要因としては, 科学的思考における操作の役割について, 全般的に低い評価しか与えられていない点が挙げられた。今後, 操作の論理的側面に加え, イメージ表象や背景知識の影響についてさらに検討する必要がある。
著者
清家 剛 三牧 浩也 原 裕介 小田原 亨 永田 智大 寺田 雅之
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 = Papers on city planning (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.451-456, 2011-10-25
参考文献数
5
被引用文献数
9

急速な人口減少や高齢化に直面し、我が国では詳細な人口変動分析に基づく都市の再構築が必要になっている。しかし、国勢調査などの既存の基幹統計では、都市内部における人口変動を十分に捉えることができない。NTTドコモのモバイル空間統計は、携帯電話サービスを提供するために必要な運用データから時間毎に変化する人口の地理的分布を推計した統計情報であり、都市解析の新たな手段となることが期待される。本稿では、千葉県柏市におけるケーススタディを通じて、モバイル空間統計の信頼性の検証並びに、まちづくりにおける活用可能性の検討を行った。
著者
新垣 吉也 羽生田 雅也 永塚 守 都竹 愛一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.15, pp.1-6, 2001-02-16
被引用文献数
3

東京タワーのデータ等を用いて、風で送信アンテナが揺れることにより発生する受信信号のドップラーシフトの概算を行なった。計算機シミュレーションにより、OFDM復調の等化回路、周波数同期回路の検討を行なった。OFDM復調器を用いた室内実験を行ない、周波数オフセットを有する遅延波が存在する場合の受信特性を調査した。またシュミレーションと室内実験との比較を行なった。
著者
佐々木 敬泰 高山 毅 弘中 哲夫 藤野 清次
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.76, pp.127-132, 1997-08-20
参考文献数
5
被引用文献数
1

本稿では,著者らが提案している投機的問合せ処理をマルチトランザクション環境下で高速に行う手法を提案する.投機的問合せ処理とは,ユーザが検索条件を入力する前の検索条件を考慮している間に,投機的に間合せ処理を開始することにより応答時間を短縮するものである.従来の実装方式では,投機のためのプロセス生成を動的に行っていたため、マルチトランザクション環境下において,通信/OSのオーバヘッドの累積が無視できず,応答時間が必ずしも十分短いとはいえなかった.本稿では,プロセスの起動を静的に行うことにより,上記オーバヘッドを低減することで高速化を行う.シミュレーション・プログラムを用いた評価によると,本稿の提案手法では,従来よりも応答時間の短縮が図れることがわかった.This paper proposes a methodology in order to reduce a response time of speculative query processing in multi-transactions environments. The speculative query processing is a technique, we propose to reduce a response time. That is, the DB system starts to process, in parallel some candidate queries corresponding to their distinct selection conditions before a single true selection condition is inputted. This paper proposes an effective algorithm for multi-transactions environments. With the algorithm, it is possible to keep the overheads down on communications and OS, and to reduce a response time. According to our experiments, this algorithm is more effective than the conventional method.