著者
笹倉 秀夫
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稻田法學 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.1-49, 2020-03-20
著者
佐藤 宏亮
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.88, no.809, pp.2169-2178, 2023-07-01 (Released:2023-07-01)
参考文献数
17

Differentiation by annual income level was analyzed from the following three aspects.1. The annual income and its changes of each town was estimated over time.2. Classification and its characteristics of each town was analyzed according to their changes over time.3. Differentiation of residential areas according to income levels was analyzed according to the population structure and spatial characteristics of each classified area.
著者
中條 曉仁
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.13, pp.979-1000, 2003-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
30
被引用文献数
3 1

本稿は,過疎山村における高齢者の生活維持メカニズムを,高齢人口の残留傾向が顕著な島根県石見町を事例として検討した.分析には「戦略」概念の枠組を導入し,高齢者が生活を維持するための「適応戦略」の展開メカニズムに注目した.過疎山村で多数を占める子どもと別居する高齢者を対象に,彼らが他者と形成する社会関係を適応戦略の「資源」とし,高齢者を取りまく他者(別居子・近隣者・友人)を資源の源泉として位置付けた.適応戦略の展開は,高齢前期において自ら他者を取り込んで資源を調達する傾向にあるが,高齢後期に至ると他者が資源調達を支援しており,その主体性に変化が生じている.そこには高齢者と他者との空間関係が作用しており,近隣者は加齢に対して最も社会関係の安定した他者となっている.これは同時に高齢者による適応戦略の展開に,加齢に伴う限界が生じていることを示すものである.過疎山村における高齢者の生活維持は,高齢者をめぐる他者の関係性が加齢に伴い,その構築主体を含め柔軟に変化することで成立しているものと考えられる.
著者
山地 康大郎 隅 健次 田中 聡也
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.823-828, 2016-05-31 (Released:2016-11-30)
参考文献数
24

子宮全摘後に膣断端離開により小腸脱出をきたした2症例を経験したので報告する。症例1は33歳,女性。卵巣腫瘍に対し腹腔鏡下子宮全摘,付属器切除を施行され,術後2ヵ月目の性交渉直後より腹痛を自覚し当院を受診した。膣より小腸の脱出あり緊急手術を施行された。膣断端が離解し回腸が80cmにわたり嵌頓していた。腸管壊死はなし。膣断端閉鎖を施行された。また総腸間膜症が認められた。症例2は53歳,女性。子宮筋腫に対し腹式子宮全摘を施行され,術後2ヵ月目に排便後,腹痛と膣脱出物を自覚し当院を受診した。膣より小腸の脱出あり緊急手術を施行された。膣断端が離解し回腸が1mにわたり嵌頓していた。腸管壊死はなし。膣断端閉鎖を施行された。本症でも総腸間膜症あり。子宮全摘後の膣断端離開はまれな合併症だが,小腸嵌頓が生じると症状が激烈であるため緊急手術の必要がある。また総腸間膜症が小腸脱出を助長する一因となることが示唆された。
著者
今井 雄太 肌勢 光芳 内橋 基樹 入江 大介 倉田 博之 中原 祥文 中村 隆志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1476-1482, 2010 (Released:2012-04-24)
参考文献数
14

症例は71歳, 男性. 左冠動脈前下行枝閉塞による急性心筋梗塞で入院し, 第6病日に右冠動脈の残存病変に対して待機的に経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)を施行した. 右冠動脈近位部へのステント留置直後より心電図上V1~2においてcoved型ST上昇をきたし, 造影ではステントでjailされた円錐枝の閉塞を認めた. そのほかの血管に造影遅延や閉塞はみられなかった. ST上昇は持続していたが, 胸痛がなく小血管であったため治療を終了した. 帰室約1時間後に突然, 心室細動(ventricular fibrillation; VF)を発症したが, 迅速な蘇生術により心拍は再開し, 第24病日に独歩退院した.近年, 右室流出路(right ventricular outflow tract; RVOT)を灌流する冠動脈円錐枝の単独虚血によりBrugada症候群に極めて類似した心電図変化が出現することが報告されている. 今回, われわれは冠動脈円錐枝の閉塞によりBrugada型心電図とそれに続く致死性不整脈を発症した症例を経験した. 右冠動脈近位部に対するPCI時には, 冠動脈円錐枝にも注意を払い, 右側胸部誘導のST上昇をきたした際には, 催不整脈性を示すRVOTの虚血が不整脈を誘発するリスクが高いことを念頭に置き, 心室性不整脈の発生にも十分注意すべきである.
著者
安達 友広 久保 勝裕 西森 雅広
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.546-552, 2015-10-25 (Released:2015-11-05)
参考文献数
24
被引用文献数
1

明治期の北海道内陸部で建設されたグリッド市街地の多くは、「殖民地区画制度」に基づいて計画された。これらは合理的に農耕地を開拓するための原野区画と一体的に形成され、空間的には原野区画とその軸性が一致するのが特徴である。特に、原野区画の基準となった「基線」は、開拓道路として地域で最も早くに開削され、沿道に市街地が開設された場合が多いことから、市街地の空間構成を考える上でその性格を把握することは重要である。一般的に、北海道の空間計画における「基線」は、高燥地であること、勾配や凹凸が少ないこと、原野区画の基準線として当該原野を長く貫くこと、等の合理的な理由に基づくものとされてきた。しかし、基線上に山当ての現象が見られる等、それだけでは説明できない場合も指摘されている。本論では、歴史的資料を用いて原野の空間計画の考え方を分析すると同時に、羊蹄山周辺地域の事例分析から「基線」の設定と山当ての関係を考察し、それらが合理性だけではなく、デザイン的要素も加味した計画手法であったことを明らかにした。
著者
伊藤 崇志 東 純一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.123, no.5, pp.311-317, 2004 (Released:2004-04-27)
参考文献数
29
被引用文献数
6 10

高脂血症や糖尿病,高血圧症などの生活習慣病の増加に伴い,冠動脈疾患をはじめとする動脈硬化性疾患が増加の一途をたどっている.タウリンは,循環器疾患に有効である可能性がこれまでの研究から明らかにされつつある.また近年,数々の報告から,タウリンが動脈硬化病変形成にいたるまでの様々な段階で抑制的に働くことが示唆されている.高コレステロール血症モデル動物において,タウリン投与によるLDLコレステロール低下作用やHDLコレステロール上昇作用,脂質酸化抑制作用を介し,動脈への脂質の蓄積が抑制されることが報告された.また,動脈硬化発症の引き金となる血管内皮機能障害がタウリン服用により抑制されることが報告された.タウリンは次亜塩素酸に対してスカベンジャー作用をもつことが知られ,近年の研究から,LDLの酸化にマクロファージ中のミエロペルオキシダーゼにより産生される次亜塩素酸が関与していることが明らかにされ,タウリンがLDLの酸化を抑えることが示唆された.さらに,タウリンと次亜塩素酸との反応物タウリンクロラミンは,NF-κBの活性化を阻害することにより白血球におけるサイトカイン産生を抑制することが報告され,サイトカインが動脈硬化の進展に大きく関与していることからも,動脈硬化抑制メカニズムの1つとして注目すべき作用である.
著者
石 純姫
出版者
苫小牧駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

前近代期末期から近代期初期、戦時期、戦後においての朝鮮人の移住と定住化の形成過程について調査を行った。北海道においてはアイヌ民族との非常に緊密な繋がりを確認した。また、北海道立文書館から明治16年、朝鮮人に対して、鳥獣猟を許可する公文書を発見した。これは明治初期における朝鮮人の定住化を示唆するものと考えられる。朝鮮人の移住と定住化は、幕末や明治期の早い時期から進んでおり、従来の説を根底から覆すものと考える。また、歴史的背景は異なるが、サハリンにおける朝鮮人とアイヌ民族、その他の先住民との繋がりとアイデンティティーの重層性と複雑さを考察した。
著者
大隅 典子
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.44-47, 2022 (Released:2022-06-25)
参考文献数
17

本稿では,近年増加の一途をたどる自閉スペクトラム症などの神経発達障害の病因の理解のために,「精子の老化」に着目する。精子細胞は,生命の起源としてゲノムの半分を供給するだけでなく,DNAのメチル化,ヒストン修飾,マイクロRNAなどのエピジェネティックな変化(エピ変異)を持ち込むことによって付加的な情報を伝達しうる。実際,筆者らはマウスをモデルとして,父親の加齢に伴い生じる精子DNAの低メチル化が次世代の神経発生に影響する分子機構について明らかにした。精子に生じるエピジェネティックな変化(エピ変異)がどのように次世代の病気や障害を引き起こすのかについての理解は,神経発達障害の新たな治療法や予防法の開発に資するものである。
著者
神林 崇 今西 彩 富永 杜絵 石戸 秀明 入鹿山 容子 韓 庫銀 木村 昌由美 近藤 英明
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.503-507, 2021 (Released:2022-04-28)
参考文献数
7

Even though we are currently in the midst of pandemic from coronavirus infection, the new influenza (H1N1) epidemic in 2009–2010 was unforgettable. Concurrently with the H1N1, narcolepsy surged in post–affected children in China. In Northern Europe, narcolepsy surged in children after H1N1 vaccination. Although there were many cases of H1N1 in Japan, there was no change in the incidence of narcolepsy because anti–influenza drugs prevented the disease from becoming more severe and the vaccine did not contain an adjuvant. It has recently become clear that the Spanish flu that prevailed about 100 years ago was also H1N1. Economo's encephalitis lethargica, which was prevalent at the same time, is thought to be autoimmune encephalitis rather than H1N1–induced influenza encephalitis. It has been reported that Economo's encephalitis caused damage to the hypothalamus, including the orexin system, resulting in lethargic symptoms.Since the 2010s, the number of patients with neurodevelopmental disorders (ADHD, ASD) has been increasing among the patients who complain of hypersomnolence. Consideration of the course of symptoms revealed that the patient was originally below the threshold of the diagnostic criteria for neurodevelopmental disease, that hypersomnolence occurred from around adolescence, and that the case also met the criteria for neurodevelopmental disease. Although hypersomnolence was not noticeable in early childhood and inattention was the main symptom, the diagnostic criteria were not met. Hypersomnolence, on the other hand, increased from around adolescence, was added, and attention deficit was exacerbated. Therefore, it is considered that there are many cases that satisfy both the diagnosis of ADHD and central hypersomnia. ADHD characteristics such as attention deficit, hyperactivity, and poor impulsivity may be observed in children who have recovered from Economo's encephalitis and are called post–encephalitis behavioral disorders. The pathophysiology of Economo's encephalitis is presumed to be a disorder of the hypothalamus, including the orexin system, but it is possible that the disorder remained even after recovery.We believe that impaired attention, and restlessness caused by the hypersomnolence in neurodevelopmental disorders can be explained by dysfunctions of the orexin system and its arousal system. H1N1 morbidity may trigger neurodevelopmental disorders accompanied by hypersomnolence.
著者
平井 一臣
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.216, pp.11-37, 2019-03-29

1965年4月に発足したベ平連(ベトナムに平和を!市民連合)は,戦後日本における市民運動としての反戦平和運動の展開のなかで大きな役割を果たした。このベ平連の運動を牽引した知識人が,ベ平連の「代表」となった小田実だった。これまでのベ平連研究のなかでも小田の思想と行動はしばしばとり上げられてきたものの,彼がベ平連に参入した経緯や,難死の思想や加害の論理という小田の思想の形成のプロセスについては,依然として未検討の部分が残されている。本稿では,企画展「『1968年』無数の問いの噴出の時代」に提供された資料のなかのいくつかも利用して,ベ平連に参入するまでの小田の行動の軌跡,ベ平連発足時の小田起用の背景,難死の思想と加害の論理の形成のプロセスや両者の関係といった問題を検討する。このような問題意識の下に,本稿ではまず小田の世代的な特徴(「満州事変の頃」に生まれた世代)に着目したうえで,この世代特有の経験と結びつきながら難死の思想がどのように形成されたのか,その軌跡を明らかにする。次に,ベ平連発足に際しての小田の起用について,小熊英二や竹内洋に代表される従来の説明を検討し,ベ平連の代表として「小田実か石原慎太郎か」という選択肢は存在しなかったこと,60年代前半の小田の言論活動の軌跡は戦闘的リベラルに近づく軌跡であり,ベ平連に結集した知識人のなかでの小田に対する一定の評価が存在していたこと,などを明らかにする。さらに,これまで1966年の日米市民会議と結びつけて説明されてきた小田の加害の論理について検討する。実は,加害の論理はベ平連参加以前の段階で小田の問題意識のなかに存在していたが,むしろ回答困難な課題と小田は捉えていたこと,この問題に小田が積極的に向き合うきっかけとなったのが沖縄訪問での経験であったこと,そして加害の論理は当時の小田特有の考え方というよりも,当時の運動のなかで練り上げられていったものであったこと,などを明らかにする。
著者
藤井 歌倫 川上 敬子 宮本 真豪 明樂 一隆 三澤 亜純 中尾 紗由美 田内 麻依子 宮村 知弥 中林 誠 丸山 大介 中山 健 佐々木 康 森岡 幹
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和学士会雑誌 (ISSN:2187719X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.266-271, 2023 (Released:2023-08-30)
参考文献数
15

子宮内膜症のリンパ節での発生は稀少部位子宮内膜症とされている.子宮内膜症のリンパ節病変は骨盤内リンパ節が多く,骨盤内の深部子宮内膜症を伴うことが多い.今回,深部子宮内膜症を伴わない傍大動脈リンパ節子宮内膜症の一例を経験した.症例は44歳,過多月経による貧血のため,当科へ紹介となった.MRI検査で子宮腺筋症および子宮筋腫を認めた.子宮筋腫は8.7cm大で,拡散強調画像で軽度高信号とADC mapで一部低信号を呈したため悪性を否定できなかった.全身検索のため造影CT検査を施行したところ,多発肺動脈血栓と左下肢静脈血栓,12×25mm大の嚢胞状に腫大した右傍大動脈リンパ節を認めた.抗凝固療法および下大静脈フィルター留置後に腹式子宮全摘術と両側卵管摘出術と右傍大動脈リンパ節生検を施行した.術中所見では,骨盤および腹腔内に内膜症病変を認めなかった.術後病理診断では,子宮筋腫と子宮腺筋症に悪性所見を認めなかった.腫大リンパ節に内膜症病変を認めた.子宮内膜細胞がリンパ管や血管を介して骨盤外臓器に出現することが報告されていることを考慮すると,孤立したリンパ節に子宮内膜症が発生したものと考えられた.今回は偶発的に発見されたが,嚢胞状に腫大したリンパ節病変を認めた場合,悪性疾患によるリンパ節転移のほかにリンパ節子宮内膜症を考慮する必要がある.
著者
中村 大輝
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.223-228, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
7

学校現場の業務量が増加する中で,学力調査の実施負担を軽減することは喫緊の課題である.本研究では,調査の対象となる教科の学力得点が教科への態度得点と相関を持つことに着目し,質問紙によって得られる態度得点の情報を利用して教科の学力を推定する方法を検討した.全国学力・学習状況調査の個票データを用いたシミュレーションの結果,教科への態度を補助変数とする一般化回帰推定量(Generalized Regression Estimator)を利用することで,従来よりも効率的に誤差を減らすことができることが示された.これは,現在の調査方法よりもより少ない調査学校数で同程度の精度を実現できる可能性を示唆している.