著者
水谷 房雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

果樹の主幹部に幅数mmの連結用樹皮を残し、部分的環状剥皮を施し、連結用樹皮の再生を種々の方法で抑制することによって、果樹の小樹化を図ったところ、樹体成長が抑制された。連結用の樹皮を定期的に元の幅に切り戻すと新梢の成長が抑制された。また、植物成長抑制剤のABA, ヒノキチール、トロポロンなどを連結樹皮に処理すると、樹皮の再生と樹体成長の抑制に効果があった。これらの化学物質を連結樹皮部位にのみ処理するので環境にも優しい技術といえる。また、全樹種に適応できる技術であると思われる。
著者
片岡 靖景 伊東 一典 池田 操 中澤 達夫 米沢 義道 今関 義弘 橋本 昌己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.74, pp.23-30, 1998-08-07
被引用文献数
3

近年、カラオケの普及により、一般の人が人前で歌う機会が増加しており、上手に歌いたいと練習に励む姿を見かける。また声楽を学ぶ人も自分の習熟度を客観的に評価したいと考えている。そこで本研究では、声楽経験の異なる被験者の歌声を分析して、音高と音長の精度、音量に着目した強弱記号の表現など、種々の歌唱情報を抽出して、習熟度の程度を伝える歌唱支援について検討したので報告する。In recent years, many average people have begun studying how to sing because, with the surge in popularity of Karaoke, they have many chances to sing in front of an audience. On the other hand, people who professionally study vocal music want to receive an objective evaluation of their singing. The instrumental assessment of singing development requires musically relevant stimuli which give accurate information about musical pitch, length of tone, loudness control and other vocal skills. In this paper, we propose a support system for singing evaluation based on the vocal analysis of subjects whose musical experience is markedly different.
著者
片柳 憲雄
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.121, no.12, pp.665-669, 2007-12

一般病院でもがん治療とともにがん痺痛治療を同時に行う必要があるため,緩和ケア研究会の幹事メンバー(医師,薬剤師,看護師,栄養士)とともに,緩和ケアチームを立ち上げ,全病棟のラウンドを開始した.2007年4月1日から,がん対策基本法が施行され,率先して痺痛治療を行わなければならなくなった.当院はがん診療連携拠点病院であるとともに,研修指定病院にもなっており,若い研修医や看護師,医学生や看護学生への影響が多大である.がん疼痛治療を実践してくれない常勤医に代わって,常に患者の傍にいる研修医などを教育することでよい結果が得られてきた.2007年4月現在,ラウンドは毎週火曜日に医師1名以上,看護師,薬剤師と栄養士は1名ずつで,全病棟を巡回している.これに,研修医,医学生,薬科大学院生などが加わる.ラウンド後に全症例のカンファレンスを開催している.2007年3月までの最近の2年間にラウンドした207例の依頼理由は80%以上が疼痛関連であった.ラウンド回数は平均5回(1回〜75回)であり,ラウンド回数が多くなるほどチームとのかかわりが親密になりよい影響を与えていた.WHOが推奨するがん癒痛治療法は以下の5原則に要約されている.(1)By mouth(経口的に),(2)By the clock(時間ごとに),(3)By the ladder(段階的に),(4)For the individual(個別的な量で),(5)With attention to detail(細かい配慮を)であり,これを熟知し,除痛により延命が可能になることを他の医療者,患者,家族に啓蒙する必要がある.当院での入院患者の徐放性オピオイドの使用状況は,2006年時点でMSコンチン^[○R]4%,オキシコンチン^[○R]58%,デロテップパッチ^[○R]31%,アンペック^[○R]7%となっている.オキシコドン速放製剤がレスキュー使用可能となり,オキシコドン徐放錠がさらに使いやすくなった.経口摂取可能な間はオピオイドも経口でということで,オキシコドン徐放錠をFirst Choiceで使用している.ASCO(米国臨床腫瘍学会)のガイドラインにもあるように,フェンタニル貼付剤は痛みが安定していて経口摂取に問題がある症例に勧めている.医療者はWHO方式がん痺痛治療法を熟知し,癌治療と平行してがん痺痛治療も行っていかなければならない.
出版者
京都大学附属図書館
雑誌
静脩 (ISSN:05824478)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, 2001-12

京都大学附属図書館報
著者
矢野 隆 新開 志帆 井上 久雄 森口 一志
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.711-717, 2000-11-15
被引用文献数
4 3

ユスラウメ台木を用いたモモ栽培においては, '川中島白桃'では衰弱症状が発生しやすいが, 'あかつき'は衰弱症状の発生が少ない.そこでユスラウメ台木樹における衰弱症状発生に関わる要因を炭水化物栄養の面から明らかにするため, 普通台木とユスラウメ台木に接いだ両品種について, 細根, 1年生枝, 新梢, 葉のデンプンと可溶性糖類の季節的消長を比較した.休眠期のデンプン, 可溶性糖類の消長は, 同じ台木では, 品種による明らかな差はみられなかった.ただし, 両品種ともにユスラウメ台木樹では開花前の細根のデンプン含量が普通台木樹の半分程度であった.果実生育期のユスラウメ台木の'川中島白桃'における細根, 新梢のデンプン含量は果実生育期間を通じて普通台木のものより低かった.これに対して, 'あかつき'の細根, 新梢のデンプン含量は両台木間で顕著な差はみられなかった.これと同様な傾向は細根の総糖およびソルビトール含量についてもみられた.なお, 新梢の糖含量や1年生枝, 葉のデンプン, 糖含量等については, 両品種間で樹勢衰弱につながる顕著な差は認められなかった.これらの結果から, ユスラウメ台木の'川中島白桃'で衰弱症状が発生しやすい一つの原因は, 果実生育期における細根のデンプンおよびソルビトールや, 新梢におけるデンプンの欠乏によるものと考えられる.
著者
光延 忠彦 ミツノブ タダヒコ MITSUNOBU Tadahiko
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.21, pp.1-13, 2010-09

政党政治が「都政」において扱う対象の変遷は、「五五年体制」成立以降、60年代前半期までの「保守都政」、60年代後半から70年代までの「革新都政」、さらに、80年代から90年代にかけての「保守中道都政」へと推移した。90年代に入って、政党の支持を受けない知事が登場すると、「無党派都政」とまでいわれ、「都政」はこれまで政党間の対立と協調による伝統的なダイナミズムによって語られてきた。 しかしながら、こうした見方に立つと、自民、公明などの政党の支援を受けた知事候補に対抗して、政党からの協力を得ずして勝利した青島知事は、都議会内において少数の勢力の支持さえ困難であったにも拘らずなぜ「都政」を運営できたのかという疑義が生じる。そこで、本稿は、知事選挙における政党の支持の状況を、都政における知事のリーダーシップの在り方に帰する既存の議論とは異なる点から都政を検討する。
著者
菊池 洋 田中 照通 梅影 創
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

遺伝子発現が関連する難病の治療薬として人工的な小分子RNAなどが期待されている。しかし、現在のRNA合成法は、手間やコストがかかり、創薬という点で問題がある。本研究は、意図したとおりの配列をもつ人工RNAを微生物により生産させることを目指し、圧倒的な低コストでの高機能RNA医薬の製造法を開発しようとするものである。本研究では、自然界で自身のRNAやDNAを培地に放出する性質をもつ海洋性光合成細菌、Rhodovulum sulfidophilumを操作し、機能をもつ人工RNAアプタマーをこの菌の培地中に生産させることに世界で初めて成功した。
著者
芦田 淳
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

安全・安心・安価で環境親和性の高い全水溶液プロセスによる ZnO/Cu2O 系太陽電池の実現を目指し、両層の薄膜を作製した。ZnO はロッドなどになりやすく連続膜を得にくい問題があったが、核形成と初期成長の詳細な解析を行い、成長初期の水酸化亜鉛の生成を回避することでこれを解決した。また Cu2O では酸素源である電解液中の水酸基濃度と溶存酸素濃度を制御することでキャリアの起源となる Cu 欠損量を変化させうる可能性を見出した。
著者
松井 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. USN, ユビキタス・センサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.254, pp.21-29, 2010-10-21

アドホックネットワーク技術の研究は1970年代に米国国防関係で開始された.1997年にはIETF MANET WGで標準化活動が開始され,現在,標準化の一歩手前まできている.また,メッシュネットワークの標準化もIEEE802.11sで行われており,これについても,標準化が見えてきている.一方,アドホック/メッシュネットワークの実用化に向けての実証実験も行われている.主な,適用先は,イベント監視システム,災害対応システム,農地監視システムなどである.更に,実システムへの適用も始まっている.アドホックネットワークの実システム適用に向けた課題として,通信の信頼性向上や,マルチホップ時のスループット低下防止等が上げられるが,これらについても,無線品質を考慮したルーティング方式や,複数チャネル使用等の技術開発が進んでおり,解決のめどがたってきている.最近,アドホックネットワークの新たな適用先として,スマートメータや車車間通信等が注目されている.スマートメータについては,限られたリソースを前提に,500-1,000程度のメータからなる大規模アドホックネットワークを構築する必要がある.これについては,このような環境を想定した新たな標準を作るため,IETF ROLL WGが設立され,RPLというルーティング方式が議論されている.また,車車間通信については,エリアに向けたマルチホップ通信を行うGeoCastルーティングが必要であり,是についても,いくつかの提案がなされている.スマートメータや車車間通信では,500-1,000台規模のアドホックネットワークが構築する必要があり,隠れ端末問題が今まで以上に顕在化してくると考えられる.これについては,TDMA方式の導入が検討されているが,実用化に向けては,まだ,課題が多いと考えられる.
著者
小島 浩之 東京大学東洋文化研究所図書室 編
出版者
東洋文化研究所
巻号頁・発行日
pp.165-181, 2008-03-31

アジア古籍保全講演会第2回(平成19年 1月23日)開催。この記録集は、東京大学東洋文化研究所が主催したアジア古籍保全講演会(第1回~第3回)について、当日における講演、事例報告、ワークショップ、総合討論の内容を取りまとめたものである。 文中における講演者等の肩書きは、発表当時のものである。
著者
岩瀬 達哉
出版者
新潮社
雑誌
新潮45
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.210-219, 2009-07
著者
橋本 征也 田口 雅登 能澤 孝 藤木 明 萱野 勇一郎
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

医薬品を適正に使用するためには、薬物動態特性と個体間変動機構を明らかにし、患者個々に投与設計を行う事が必要である。しかし、一人の患者から速度論的解析に耐えるほど数多くの血中薬物濃度データを得ることは多くの場合困難であることに加え、市販後に一施設で行う臨床薬物動態試験では、対象患者が多くても数十人に限られるため、従来の薬物速度論的解析法は適用が困難である。本研究では、症例数および採血点数が少ない探索的な臨床試験データの解析法として、最近申請者らが考案した三段階の解析法が有用であることを検証するとともに、臨床試験のデザインとデータ解析の発展を目指した。
著者
前田 理
出版者
長崎大学風土病研究所
雑誌
長崎大学風土病紀要 (ISSN:00413267)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.67-72, 1960-03

センチニクバエの大量増殖ならびに殺虫試験を進めるのに必要なこの虫の生態をよりはつきりさせるために,幼虫期間の密度が発育におよぼす影響,成虫の生存期間ならびに産仔数などについて調べた.魚粉10,ふすま10,エビオス3の混合物100gに水を200cc加えて,その中へ産まれたばかりの初令幼虫を10,20,50,100,200匹ずつ入れて,幼虫,蛹期の長さ,死亡率,蛹の大きさなどについて調べた. 10から100の飼育密度の範囲では,幼虫期の長さ,蛹の大きさには大差はないが, 200匹になると幼虫期間が長くなり,蛹の大きさが小さくなつた.しかしこのような飼育密度の範囲内では死亡率には大きな影響はみられなかつた.また飼育密度が高くなるにつれて,蛹化曲線および羽化曲線に2つの山ができる傾向がみとめられた.次に同じ日に羽化した雌雄50匹ずつの成虫を,30cm立方のサラン網籠に5つに分けて入れ,蝿成虫用配合飼料とミルクをあたえて,毎日の死虫数と産仔数を調べた.その結果約6日間の産仔前期間があり,その後6日の週期をもつて産仔数に大きな山ができる.成虫の生存期間は平均約1ヶ月で,雌雄の間に有意な差はみられなかつた.In Japan, Sarcophaga peregrina is one of the most important species of the flies breeding out in the privy of the usual dipping-out-night-soil type, where the maggots are unavoidably to be controlled by insecticides because of the difficulty of converting
著者
加藤 徹 倉島 栄一
出版者
宮城県農業短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、地球温暖化が積雪地河川の融雪流出へ及ぼす影響の予測を試みたものである。研究対象流域としては、東北地方の名取川水系大倉ダム流域(宮城県)と北陸地方の小矢部川水系刀利ダム流域(富山県)である。地球温暖化が融雪流出へ及ぼす影響をみるため、気温上昇による両ダムにおける月別総流出高、月別融雪流出高、月別融雪水依存度、旬別総流出高、旬別融雪流出高、流域の積雪水量および消雪日等の変化によって検討した。なお、地球温暖化シナリオとしては、気温上昇に伴う降水量増加を考慮したものをシナリオI、気温上昇を全く見込まないものをシナリオIIと設定した。その結果の概要は、下記のとおりである。"(1)"気温上昇に伴い、降水のうち降雪となる割合が小さくなり、積雪水量が小さくなる。また、融雪時期や流域の消雪日も早まる。そのため、融雪流出の早期化と減少化が顕著となる。"(2)"月別総流出高、月別融雪流出高、月別融雪水依存度、旬別総流出高、旬別融雪流出等はいずれも融雪最盛期の4月、5月には減少し、逆に3月、2月にやや増加して平滑化される。"(3)"気温上昇に伴う降水量増加を見込んでいるシナリオIよりも降水量増加を見込まないシナリオIIの総流出高、融雪流出高等が大きく減少する。"(4)"大倉ダムと刀利ダムとの比較では、気温上昇に伴う総流出高、融雪流出高の減少割合には大きな差異が認められないが、流出高そのものの減少は刀利ダムの方が大きく、大倉ダムの2〜3倍となる。"(5)"以上のように、地球温暖化は、積雪地河川の融雪流出へ大きな影響を及ぼすことが予測される。
著者
霜川 修
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,正常線維芽細胞のγ-線照射を行った後に細胞をクローニングして,個々の細胞のゲノム変化を定量化することを目的とした。正常男性ヒト線維芽細胞に4グレイのγ-線照射を行い限外希釈して再培養して,細胞クローン10個を得た。また,対照としてγ-線照射を行わないでクローニングした細胞クローン10個を得た。ゲノムコピー数の解析を行うためにaffymetrix社製のGeneChipシステムを用いて,γ-線非照射細胞クローンとγ-線照射細胞クローンを解析してゲノムの大きな構造変化数を比較した。結果,γ-線非照射細胞とγ-線照射細胞クローンの両方にコピー数変化をともなった大きな部位(>1Mb)を検出できたが,γ-線非照射細胞において明らかにコピー数変化部位数が増加している傾向は認められなかった。理由としては,実験に用いたクロンーン化細胞数が少ないことが挙げられるが,明瞭な差異を検出できないのであれば解析細胞数を増やすことは,研究費用内では無理であったので,次の実施計画に移った。DNAの塩基変異を検出して定量化することを試みた。方法は,正常男性ヒト線維芽細胞に4グレイのγ-線照射を行いそのまま10万個の細胞を1日培養して,DNAを抽出してPCR後にプラスミドヘクローニング後シークエンス解析を行い変異部位の数を数えてγ-線非照射群と比較するのである。現在,xxx遺伝子,yyy遺伝子,zzz遺伝子をhigh-fiedility Taq polymeraseで増幅しクローニング後のシーケンス解析を行っている。一遺伝子当たり,500bp/clone x800clone=400,000,のべ400kbを解析している最中である。
著者
会田 雅樹 高野 知佐 小頭 秀行 中村 元
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.1430-1444, 2010-10-01
被引用文献数
1

通信ネットワークに関する各種データ(トラヒック量,ユーザ数等)には,何らかの形で人間社会の活動の特性が反映されていると考えることができる.我々はこれまで,情報通信サービスのデータに現れるべき乗則を利用して,人間の情報交換関係に関する社会ネットワークの構造を調べてきた.結果として得られた社会ネットワークの構造は,分析のもとになった特定の情報通信サービスのデータに関する表面的なサービス種別に左右されるものではなく,背後にある普遍的な社会ネットワーク構造を記述していることが望ましい.これを確認するためには,特定のデータ分析から得られる社会ネットワーク構造の分析結果を,他の通信サービスのデータによって検証することが有効であると考えられる.本論文では,複数の情報通信サービスのデータを相補的に用いて,データの自己無撞着性から許される社会ネットワークの構造やユーザ行動特性の分析を行う.また,得られた次数分布特性が現実のデータとよく一致することを確認する.