著者
政宗 貞男 比村 治彦 三瓶 明希夫
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

球状RFPではヘリカル配位に遷移する確率が高いことを明らかにした.このヘリカルRFP配位で磁気計測と軟X線イメージング計測を実施し,高温//高密度のヘリカルコアの存在と電子エネルギー輸送障壁に対応する放射強度分布の勾配形成を確認した.さらにm/n=1/2キンク不安定性(RWM)のフィードバック安定化により,放電時間を50%以上伸長させた.トムソン散乱電子温度測定により,Ip~120kAで~200eV,電子ベータ値が10%程度のRFPプラズマ生成を確認した.電子系に関してRELAXの目標値を達成した.
著者
森 幸雄
出版者
創価大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、2つの異なる地域のシンボル性について考察している。ひとつは居住する住民や周辺の人々の性質が反映するようなシンボル性であり、もう一つは空間そのものに付与されているようなシンボル性である。このうち、前者については実証的な研究をおこないやすいが、後者については実証的な研究が容易ではない。しかし、後者については、住民や地域をとりまく状況が変化していく中でも維持され続けていく地域のシンボル性をとりあげることで研究できると考える。都市景観をめぐり浮上してきた都市イメージや地域シンボル性にまず注目した。都市景観の整備は多くの都市で重要な施策となっているが、その過程で都市イメージや地域シンボル性が重要な問題となってくる。そうしたものが住民・行政などで共有されていて都市景観の整備が進む場合もあり、逆に大きな差異から対立が生じる場合もある。金沢の「こまちなみ」づくりは、共有されるシンボル性を生かしている例であり、京都の新JR京都駅や鴨川の架橋計画などでは差異がある場合をよく示している。さらに、シンボル性を考えるうえで注目したのは護国神社である。明治から現在まで、何度かそうしたものをめぐる社会的価値体系が変化するなかで、所在地や建物の構造を変えながらも、現在まで維持され続けてきたものが少なくない。そうした変遷から、都市内での地域シンボル性の変化が読み取れる。また、都市伝承のなかでの「異人」の存在も注目される。当該都市の住民にしか知られていないが、実在の人物が「異人」として伝承されている場合があり、地域シンボル性を具現するものが具体的な人物となっている点が興味深い。
著者
石井 研士
出版者
国学院大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

俗信や民間信仰は、表現形態は変わっても、日本人の基層信仰に深く関わる領域として認識されてきた。しかしながら、一部の民俗学研究の成果や、日本人の宗教意識・宗教行動の変化に関する研究から、基層的な信仰形態に大きな変化が生じていることが指摘されている。こうした俗信・民間信仰の変化に関する資料は、ごく一部を除いて存在しない。日本人の宗教性は、欧米のような教会帰属型の、自覚的意識的な宗教ではなく、日常生活の中で発揮される。こうした日常生活における宗教性の総体の変化を知ることが重要であると考えられる。本研究目的は以下の二点である。第一は、過去に行われた比較可能な俗信・民間信仰に関する調査結果の収集を行う。第二は、収集した資料を基にして、数量的な変化を把握することを目的として設定したときに有効な調査項目(質問文と回答のための選択肢)を考察する。俗信や民間信仰の現状に関する研究を概観すると、そうした現象があたかも「現代日本社会」において「誰でもが関与」しているかのように分析されていることに気づく。友引の葬儀、仏滅の結婚式、葬儀の際の清め塩、北まくら等、こうした現象に言及することで、あたかも現在も広く日本人の間に見られるかのようである。しかしながら世論調査の結果によると現在は少数派である。他方で、口割け女、ピアスの女、走り女、学校の二宮金次郎など、メディアに景況されながら、新しい都市伝説、民間信仰が生まれているのも確かである。世論調査によって明らかになる日本人の基層信仰はきわめてわずかであって、時系列上で比較なデータはさらに僅少である。日本人の宗教性のもっとも日常的で基層となる宗教性に関するデータの蓄積は研究の基本である。定時的で計測可能な世論調査によるデータ収集の実現が望まれる。
著者
石井 正己
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

『遠野物語』の話し手であった佐々木喜善は、その後、時代の最先端を行く学問を進めていた。ザシキワラシの研究はその始めであったが、今回はカードや書簡などの資料を翻刻して分析した。昔話の研究では、男性の語る昔話と女性の語る昔話に着目し、動物昔話や笑い話の中に込められた精神性を追究していたことが明らかになった。それだけでなく、現代伝説や都市伝説という視点をもって、新しい研究に臨んでいたことがはっきりした。
著者
伊庭 幸人
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05272997)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.657-677, 1996-02-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
西村 安代
出版者
高知大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

園芸地帯の地下水は、施肥量や頻度、栽培作物の影響を受けており、肥料特性も水質に反映されていた。肥料流亡試験では、堆肥からも肥料成分が多量に流亡していた。養液栽培では、かけ流し式でなくてもEC値を基準とした循環式の簡便な方法で同等以上の生育と収量が得られ、養液土耕では、従来の元肥施与栽培よりも大幅に肥料を削減でき、カニガラ等の資材も肥料として十分な効果が得られた。生理障害に関しては肥料の過不足よりもそのバランスが重要であることが明らかとなった。これら結果を活かすことで、肥料施与量や肥料流亡を削減でき、環境保全型農業に寄与できると考えられた。
著者
山下 浩
出版者
筑波大学
雑誌
言語文化論集 (ISSN:03867765)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.238(1)-230(9), 1989
著者
大杉 満 門脇 孝 植木 浩二郎 窪田 直人
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

(1)膵β細胞のIRS-2量調節では、グルコース刺激が重要である。(2)グルコース刺激がCaMK-4、CREBを介してIRS-2を調節している。(3)db/dbマウスなどの膵β細胞代償不全モデルでは、グルコース・センシングに重要なグルコキナーゼ、Glut2の発現低下が見られ、糖流入が減ることにより、IRS-2が低下し、膵β細胞の保護システムが破綻すると考えられる。
著者
原 正利
出版者
植生学会
雑誌
植生学会誌 (ISSN:13422448)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.1-12, 2006
被引用文献数
4

&nbsp;&nbsp;1. 八溝山地および阿武隈山地,北上山地を中心とする東日本太平洋側におけるブナの分布について,標本(196点)および文献(233件),研究者からの私信(28件)を情報源として分布情報データベースを作成した.さらに,これに基づいて72地域で現地調査を行い,あらたに206個体のブナの分布データを得た.<BR>&nbsp;&nbsp;2. 上記の分布情報を解析した結果,ブナはこれらの山地に点々とではあるが水平的に広く分布し,垂直的にも海抜約100m前後から1000m以上の広範囲に分布することが確認された.<BR>&nbsp;&nbsp;3. ブナの垂直分布下限は暖かさの指数WI=90℃・月,寒さの指数CI=-10℃・月,1月の平均気温=1℃とほぼ一致した.ブナは常緑広葉樹の分布上限(北限)に平行して,一部,分布を重複させつつ,分布下限(南限)を形成していることが明らかとなった.<BR>&nbsp;&nbsp;4. ただし,内陸に位置する八溝山地中部の鶏足,鷲子の両山塊とその周辺地域では,ブナの垂直分布下限が著しく下降しWI=105℃・月まで達していた,この地域は関東平野内陸における常緑広葉樹の分布北限域であり,冬期の低温や季節風が常緑広葉樹の分布を限定的なものとしていることや,植生史的にみて常緑広葉樹林の分布拡大が遅れたために,ブナの個体群が低海抜地に遺存分布していると考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;5. ブナの分布下限を規定する要因として,常緑広葉樹との競争関係が重要と考えられた.<BR>&nbsp;&nbsp;6. 東日本太平洋側において,ブナが種としては低海抜地まで分布するにもかかわらず,ブナ優占林の分布が比較的,高海抜地に限られる原因について推論した.<BR>&nbsp;&nbsp;7. ブナの垂直分布域は,緯度的に南部に位置する八溝山地・阿武隈山地では山地の山頂付近を除き大部分,下部温帯域に含まれるが,北上山地では,上部と下部を含む温帯全域に及んでいることを指摘した.
著者
佐藤 文彦
出版者
金沢大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究は1920年代の両大戦間期にドイツで流行し、同時代の日本でも受容されたプロレタリア革命童話を、作家や挿絵画家、出版者の活動を鑑み、後期表現主義の潮流と相まった国際的な芸術文化運動として位置付けた。その上で、国民童話を素材にして書かれた日独のプロレタリア革命童話を、狭義の左翼文学ではなく、国民文学史の書き換えを試みた20世紀都市モダニズム文学の一種として理解し、プロレタリア革命童話は今日、パロディ文学として読み直せることを指摘した。
著者
木下 武志 三池 秀敏 一川 誠 長 篤志
出版者
山口大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

本研究は,ベーシックデザイン教育(基礎デザイン教育)の分野横断的内容と参加型表現(造形)学習であることに着目した.理数系科目と連係させた実習課題を児童生徒に制作することによって理科や算数(数学)に関する興味・関心を高めることの可能性について,課題の考案や学習効果の定量的に評価することを目的とした.具体的な研究内容としては,同研究テーマの平成14年度からの研究成果を継続し,次の事項を行なった.1)つの実習課題を考案.2)小学生対象の実験授業の実施,及びインタビュー調査とその結果の統計分析による学習効果の明確化.3)画像処理計測による課題作品の定量的評価方法の検討.4)授業支援用Webサイトの制作.5)課題考案のための海外調査.6)研究成果の国内での発表,学術論文の投稿.研究成果として,a)実習課題については幾何学的形態の作図を行ない,それを実際に手でちぎって自由に2分割した形態をさまざまに組み合わせながら構成を考えさせた.その組み合わせをアイデアスケッチとして12個作図させ,その中から2個の形態を選択し,彩色する課題内容を考案した.また,ピクセルで描かれたキャラクターを四分木により符号化し,その符号から元のキャラクターを描く課題を考案した.b)考案課題の学習効果を調べるために小学生(山口県美東町立綾木小学校と同町立鳳鳴小学校の4年生〜6年生の12名)を対象としたに実験授業を4日間実施した.c)視覚心理に関係する講義の授業を1回実施した.d)インタビュー結果の統計分析は途中段階であるが,理数系科目への目的意識の変容と発想力,作画的造形力と興味と理数系科目への興味・関心との関連性が示された.e)評価項目の各色画に対する面積,明度,色相の「ばらつき」,構成エレメント間の「まとまり」,視覚的重心位置について課題作品を画像計測し,教育者の評価と相関関係の高い結果が得られた.f)実験授業の内容を小学校で実践することを目的とした教諭対象の授業支援用Webサイトの制作とユーザビリティテストを行なった.g)ベーシックデザインの教育者であったパウル・クレーに関する調査を行なった(スイス,ベルン).
著者
古木 葉子 (鬼頭 葉子)
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

社会学者ギデンズの議論とティリッヒ思想を比較検討し、社会状況におけるティリッヒ思想の役割について研究を行った。近代以降、伝統的な共同体が変化する中で、個人の行為の基準とは何か、道徳的判断について考察した。ティリッヒまたギデンズによれば、我々の時代において、近代以前の伝統的な共同体の物語や展望が揺らいでいる。そのため、個人の行為の基準や体系的認識に対する信念が個人の判断に委ねられるようになった。しかし、人間は何らかの共同体に起源を持ち、自分がどこへ向かうのかを、自らの行為によって選択していかざるを得ない存在である。ティリッヒは、個人が共同体において、何をなすべきかの基準を「道徳的命法」として提示した。道徳的命法とは、共同体において他者の人格を肯定せよ、という命令であり、その根底には宗教的次元がある。現在、個人の行為が影響を及ぼす「他者」の範囲は拡大しつつあり、この基準は、より個人の高い見識や判断を必要とする困難な問題である。また、ティリッヒの死の思想について、同時代の実存主義・実存哲学ならびに同時代のキリスト教神学における死についての考察と比較しつつ明らかにした。ティリッヒは存在論に基づく実存の分析を行う点で、ハイデガーやヤスパースとの接点を持つ。また、「私個人の死」を思惟の対象とする点で、ジャンケレヴィッチの方法とも共通する。二つ目に、ティリッヒはさらに死の向こう側について語るが、この立場は、人間から見た時間軸(過去-現在-未来)と、神の時間軸(始め-終わり)が異なるという時間概念の特徴に基づく。三つ目に、ティリッヒの死の思想に関する問題点。ティリッヒが希望を見出している「永遠」については「わからなさ」を残し、モルトマンのように今「わかる」希望を語る立場とは異なる。また実存的分析に基づく「死」は、他者や世界との関係性といった観点から捉えることは難しい。
著者
近江谷 康人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.80, pp.85-90, 2005-08-04
被引用文献数
1

コンピュータ製品開発において,市販の高性能マイクロプロセッサを用いてバイナリ互換を実現するアーキテクチャエミュレーション手法は,開発効率面で有効である.特に動作原理が単純かつホストアーキテクチャ依存度が低いC言語実装によるインタプリタ方式は,開発費,品質,保守性の点で実際的である.本稿では,将来の製品性能の予測を行なうため,インタプリタの性能(CPI)を分析している.複数種のインタプリタを複数種のホスト上に構築して,命令頻度とともに実行時間を計測した結果,コアループが44~70%占めていることが判った.また,上位約20命令の処理時間と頻度から見積もったCPU時間は実測値とほぼ同等であり,見積りの正確性を示している.Architectural emulation technique using high-performance microprocessors is a cost-effective tool for developing a new computer product with keeping the binary compatibility. Especially the interpreter written in C language, based on simple structure and architecture-free implementation, is practical in development-cost, quality and maintainability. Here, CPI (Clock cycles Per Instruction) of interpreters is analyzed in order to forecast the future product performance. Through the analysis by counting frequency of each instruction and measuring emulation time of several interpreters versions on multiple host architectures, it appears that the core-loop wastes 44 to 70 percent of time. This paper also shows that an estimated total CPU time, calculated from top-twenties of each instruction's time and frequency, is well matched to the real emulation time, thus, it is useful to prospect the real performance.