著者
芳村 毅 工藤 勲
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.185-193, 2003-03-05
被引用文献数
2

河川から噴火湾への栄養塩負荷量を明らかにするために,噴火湾に流人する8河川および発電所排水路1か所において,流量および栄養塩濃度を一年にわたり観測した。その結果,河川流量は雪解け時の4月に特異的に高い明瞭な季節変化を示した。また,河川水中の栄養塩濃度は河川によって大きく異なったが,全河川の加重平均濃度は硝酸塩が24μM,アンモニウム塩が2.9μM,リン酸塩が0.30μM,ケイ酸塩が270μMであり. DIN:DIP比が非常に高いことが明らかとなった。河川から噴火湾への一年間の淡水負荷量は2.1×10^9m^3であり,溶存無機窒素,リン酸塩,ケイ酸塩負荷量はそれぞれ57×l0^6mol,0.6.3×10^6mol. 570x10^6molだった。これらの栄養塩負荷量が噴火湾の基礎生産に与える影響は総生産を考慮した場合は非常に小さなものだった。しかしながら,新生産を夏期のリン酸塩の減少量から見積もった結果,河川由来の栄養塩が噴火湾の夏期の新生産の最大10%を支えていることが明らかとなった。
著者
金原 いれいね
出版者
釧路公立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

発話と、手を使って図像的に概念を表すことができる身振りの関連性について、発話処理の過程で、二つのモジュールが独立しているのか、相互にモニタリングを介して結びついているのか調べた。手を板に固定して身振りの産出を制限する条件と、自由に身振りが使用できる条件のもとで、説明課題に参加してもらうことによって、話し手の流暢性、擬音語・擬態語の頻度、声の質など、発話の側面に変化が生じるかどうか明らかにした。
著者
吉村 季織 岡崎 正規 中川 直哉
出版者
Society of Computer Chemistry, Japan
雑誌
Journal of computer chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.49-56, 2003-06-15
被引用文献数
1 1

Microsoft Excelに添付されている最適解の検索ツール、ソルバーを用いて滴定曲線から試料溶液のp<I>K</I>分布を見積もった。p<I>K</I>分布はp<I>K</I>と濃度の関係を示し、不均一表面などの分析に用いられている。滴定曲線は、クエン酸水溶液を水酸化ナトリウム溶液で滴定することによって得た。滴定曲線の式を線形で表し、Excel ソルバーの線形計画法によって実験値にフィッティングした。Excel ソルバー によって見積もられたp<I>K</I>分布は、シンプレックス法を用いた自作プログラムで見積もったp<I>K</I>分布と比べても遜色がないものであった。p<I>K</I>分布の見積もりに、Excel ソルバーを充分に活用できることを示すとともに、すべてのExcelユーザが気軽にp<I>K</I>分布を見積もることができることを示している。
著者
浅井 紀久夫 大西 仁 大澤 範高
出版者
独立行政法人メディア教育開発センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、三次元仮想物体の操作感覚を向上させて存在感を増すための触覚インタラクション技法を開発し、視覚・聴覚・触覚によるマルチモーダル情報可視化システムを構築した。仮想物体との接触感を提示するデバイスとして振動子付き手袋を利用し、インタラクション・システムに実装するための仕組みを構成した。現実物体を触ることにより仮想物体を操作する手法について被験者実験による評価を行った。その結果、触知インタラクションが仮想物体の操作性向上に寄与することが示唆された。
著者
今川 和幸 呂 山 猪木 誠二 松尾 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.8, pp.1787-1795, 1998-08-25
被引用文献数
22

手話動画像から両手を追跡するシステムにおいて, 手袋やマーカーを用いずに手を追跡する手法について述べる.素手の追跡の場合, 顔や首といった肌色領域の前では, 手が隠れて見えるという問題がある.そこで, 手話の場合, 手に比べ顔や首の動きが少ないことに着目し, 手話動画像から肌色領域(手・顔領域)を抜き出した画像と, その時間差分画像から求められる領域(ブロブ)をもとに, カルマンフィルタを用いて両手の位置を追跡する.更に, 肌色領域を抜き出す際に, 顔の前の手の動きが差分画像として安定的に得られることを目的とした色領域抽出手法を提案する.聴覚障害者の実際の手話動作による動画像に対して本手法を適用し, 肌色領域の前で動作する手の追跡に対して有効性を示し, その限界を明らかにする.
著者
加納 純也 張 其武 齋藤 文良 加納 純也
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

自動車のマフラーに使用される触媒は,自動車が寿命になると,白金などの貴金属を回収するために,積極的に回収される.しかしながら,その中から貴金属のみを効率的に回収する方法は,いまだ確立しておらず,その効率的な回収法の開発が望まれている.マフラーの中にはアルミナに白金などの貴金属が担持されており,そのアルミナから貴金属のみを分離するのが回収の重要な鍵を握る.そこで本研究では,メカノケミカル法を利用して自動車廃触媒からの貴金属を分離し,回収技術の開発を行う.すなわち,メカノケミカル法により,自動車廃触媒を微粉化し,活性化状態にし,その後,抽出処理により,貴金属のみを回収する.メカノケミカル法では,転動ボールミルあるいは遊星ボールミルを使用し,自動車触媒を粉砕し、得られた粉砕産物に対し王水を用いて抽出処理を行った。王水に溶解した貴金属をICPで濃度を測定し,評価した。自動車廃触媒中の白金などの貴金属はメカノケミカル法を適用しなくてもある程度は王水により抽出できる.ただその回収率は極めて低い.そこで、貴金属の回収率を向上するために抽出処理を行う前に転動ミルを用いて粉砕処理を行い、粉砕産物をいくつかの粒径ごとに分級処理を行った。その結果,粒径の小さなグループほど貴金属の回収率が高まることが確認された。このことを利用すれば、白金族金属の回収がより効果的に行えると考えられる。また、他の粒子サイズのグループにも貴金属が含まれているので,そのグループからも金属を回収する技術が今後の課題である.
著者
神谷 信行
出版者
社団法人日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.740-744, 1994-11-20
著者
野田 由美意
出版者
成城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

昨年度の調査結果をまとめた論文「1919-1920年代前半における読書を通じてのパウル・クレーとアジア・オリエントの関係」(『美學美術史論集千足伸行教授退任記念』19輯、2011年、219-233頁)で、クレーのアジア・オリエント関連文献の蒐集期には、1909年~第1次世界大戦期に第1次ピーク、1919~24年に第2次ピークがあることを取り上げ、その読書体験の分析を行った。本年度では、この第2次ピークにクレーがアジア・オリエントに関する作品をやはり多く制作していることに注目し、関連作品の精査を行った。昨年度から調査を行っていた作品《中国風の絵》(1923年)が、本年度の調査過程で《中国風の絵II》(1923年)ともとは1つの作品であり、クレーが制作のある時点で縦方向に2つに切断したという可能性が非常に高いことが発見された。そこで本年度は、ベルンのパウル・クレー・センターと宮城県美術館でこれらの作品についての情報収集と、作品調査を中心に行った。また、ヴァイマール・バウハウスにおけるアジア・オリエントの関心や当時のドイツと中国やインドとの政治的関係を明らかにするために、ベルリンのバウハウス・アーカイヴやヴァイマールのテューリンゲン州立中央文書館等で資料調査を行った。その調査結果を、美術史学会例会(於東京藝術大学)で「パウル・クレー作《中国風の絵》(1923)と《中国風の絵II》(1923)の制作背景について」として発表した。本発表では両作品やインドに関する作品を中心に、クレーがヴァイマール・バウハウスの当時の環境にあって、クレーがアジア・オリエントの芸術や社会に積極的に接近し、その関心が作品の源泉となり得たこと、そしてその関心は、画材や制作過程についての取り組みにまでも及んだということを明らかにした。これにより、クレーとアジア・オリエントへの関心とその作品制作への反映に関して従来の研究で取り上げられなかった局面が新たに実証され、クレー研究に新たな地平を開いたと考える。
著者
行場 次朗 三浦 佳世 北岡 明佳 川畑 秀明
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、R.L. Gregoryの「心のデザイン」モデルを援用し、人間情報処理の主要な3つのストリームに由来するクオリア、アウェアネス、知覚ルールを次元的にクロスさせて、体系的に視覚芸術の基底をなす共通項とその心理・脳科学的基盤を明らかにする世界に類がない試みを行った。その結果、心理・脳科学的には、視覚美の様相は多数存在し、それぞれが機能的に特殊化した脳内のモジュール活動に結びついており、本研究で示した分類法の妥当性とともに、美を感受するモジュールやストリームの多重性が明らかにされた。
著者
池田 一
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.44-52, 1961-03-25

小麦品種の発芽種子,幼植物,葉身におけるアミラーゼ活力の変異と遺伝について研究し次の結果を得た。1. 発芽種子と幼植物のアミラーゼ活力の間には+0.90,また発芽種子と出穂期における葉身のアミラーゼ活力との間には+0.87の相関係数が認められた。2.この研究の範囲においては,アミラーゼ活力の強い形質は単因子で優性に遺伝した。3. アミラーゼ活力における温度の後作用が認められた。しかしこれは一つの例外を除き1代で消失した。4. 異る土壌型の後作用もまた認められた。そしてこの場合,発芽種子のアミラーゼ活力と同じ土壌に育つた葉身の活力との間の相関係数は+0.74であった。5. 発芽種子のアミラーゼ活力は,主要品種の試料の産地が寒い地方から暖い地方に移動するにつれ,2.41ccから0.35ccの範囲において漸次減少し,その地理的変異は2月の平均気温と密接た関係を示した。以上の結果から,小麦におけるアミラーゼ活力の地理的分布は,温度に対する遺伝的及びそれと同様な傾向をもつ非遺伝的な適応現象であろうと推察した。
著者
深井 喜代子 前田 ひとみ 佐伯 由香 關戸 啓子 兵藤 好美 樅野 香苗 大倉 美穂
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,看護ケア技術の科学的根拠を明らかにし,看護界におけるEvidence-Based Nursing(以下,EBN)推進の一役を担うことであった。清潔ケア,感染看護,寝床環境,食のケア,そして痛みのケアのそれぞれの領域において,ケア技術のエビデンスを探究する研究を遂行した結果,以下のことが明らかになった。1)39℃の湯を用いた10分間の片手の手浴は,事後に保温することによって1℃以上の両手の皮膚温上昇と温感が手浴後少なくとも30分間は保たれた。2)手浴終了後の薬用クリームの使用で保湿効果が持続し,皮膚の生理機能が維持された。3)学生の手洗い行動を習慣化させるには,行動化に向けた教育方法の検討が必要なことが分かった。4)シーツ素材の吸湿性が低いと,寝床気候の悪化を招来することが示唆された。5)ヒトの話声は,話の内容に係わらず,70dB以上の大きな声の場合,不快感や交感神経系の緊張を高めることが明らかになった。6)欠食は疲労の原因になるほか,やる気や精神状態の安定にも影響を及ぼすこと分かった。7)一側の手の手浴で反対側の手の実験的疼痛閾値が上昇することが明らかになった。8)看護行為で発生する様々な音のうち,比較的持続時間が長く,大きな音は鎮痛をもたらすが,一時的にストレス性の生体反応を引き起こすので,看護行為中の不用意な音の発生を避けるとともに,事前に音についての説明を行うべきであることが提案された。9)4基本味うち,甘味と酸味にpricking painに対する鎮痛効果があることが分かった。10)温罨法の鎮痛効果は,皮膚温38℃以上の加温で始めて現れることが,実験的に誘発したpricking painで証明された。
著者
小野江 和之 河合 聖子 丹羽 さやか 八木 健郎 馬場 研二 山口 悦郎
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2519-2521, 2007-11-10
被引用文献数
1 1

症例は61歳,女性.持続する微熱,乾性咳嗽あり当科受診した.外来検査中に症状増悪し緊急入院,自然経過のみで自他覚所見の改善を認めた.過敏性肺炎を疑い精査したが血清学的には抗原同定困難であった.誘発試験にて羽毛布団に原因抗原が含まれることを確認した.<br>
著者
岡 明憲
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

私は、当年度において、光学的に厚い原始惑星系円盤におけるスノーラインの位置とその進化を数値計算によって求めるという研究を行った。特に、これまで円盤の温度構造に大きな影響を持つと考えられてきた氷粒子の減光による影響について調べた。まず、計算のための準備として、シリケイトと氷の2種類のダスト粒子による減光(吸収・散乱)を考慮した1+1次元の輻射輸送計算コードを開発した。この計算コードは輻射輸送方程式を高精度で解いており、世界的にもレベルの高いものである。今後、このコードを用いて様々な応用が期待される。計算の結果、スノーラインは、円盤進化初期においては中心星に向かって移動し、円盤進化後期には中心星から遠ざかっていくことが分かった。また、円盤進化初期においては、中心面の上層に生じた氷粒子の雲が中心面で発生した粘性加熱による熱エネルギーを円盤外部へ逃げにくくし(毛布効果)、中心面付近の温度を上昇させ、氷なしの場合と比べてスノーラインの位置を中心星から遠い位置に追いやることが分かった。その遠ざかる比率は円盤ガス中の水蒸気量に依存し、それを見積もるための式を導出した。本研究の成果により、これまで不明であった、氷粒子を考慮したときの現実的なスノーラインの位置の振る舞いを解明することができた。これにより、惑星形成や円盤内の化学進化などについて、より精度の高い議論がでさるようになると思われる。また、近年原始惑星系円盤において氷粒子が観測されるようになってきており、本研究で開発した計算コードを用いることによって観測における理論的サポートを行うことができた。
著者
王 文涌 池田 満 仲林 清 柏原 昭博 乙守 信行 林 公生 長谷川 忍
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.315, pp.11-16, 2008-11-14

本研究はカスタマイズ可能な学習コンテンツを中心にした知識循環型e-Learning環境を提案する.本環境では,SCORM,LOMという標準化技術とオントロジーに基礎にして,学習コンテンツをカスタマイズする機能を提供することにより,学習者が学習共同体に蓄積された学習コンテンツやWeb学習リソースから学習情報や経験知,応用知,理解知などを参照・利用しながら,自分自身の知識を獲得・再構成する場を提供する.そして,再構成された知識を学習共同体に蓄積して,集合知の形成と知識の再利用に貢献しながら,自らの学習を続けるという知識循環型e-Learningを実現する.
著者
幸福 輝 佐藤 直樹 渡辺 晋輔 栗田 秀法 金山 弘昌
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、16世紀から17世紀にかけ、版画という媒体において古代がどのように表象され、また、この媒体を通じて古代文化はどのように伝播されていったかという問題を、西欧各国の具体的な事例に基づいて、明らかにしようとする目的でおこなわれた。もとより、きわめて大きな問題であり、われわれの目的はその基礎的な概略図を描くことでしかないが、それぞれ異なる分野を専門とする者が協力しあったことにより、当初の目的は達成できたのではないかと考えている。はじめに、イタリア、ドイツ、ネーデルラント、フランスの順で、ごく簡単にこの主題について各国の状況を略述し、次いで、各研究分担者による研究成果を掲載する。佐藤はデューラーとイタリア版画の関係について、幸福はヒエロニムス・コックの版画出版活動について、金山は古代建築の復元図とバロック建築との関係について、渡辺はズッカレリの風景画に見られる古代彫刻のモティーフについての議論をおこない、栗田はフランス・アカデミーにおけるラオコーンに関する講演の翻訳とその解題を寄せている。なお、国立西洋1美術館に属す研究代表者の幸福と研究分担者の佐藤および渡辺は、2005年と2007年に本研究に関連するふたつの版画の展覧会(『「キアロスクーロ:ルネサンスとバロックの多色木版画』と『イタリア・ルネサンスの版画』)を同館で企画・開催した。別冊資料1、同2として、それら2冊の展覧会図録を本研究成果報告書に添付して提出する。
著者
舩尾 日出志
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 教育科学 (ISSN:0587260X)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.17-30, 1991-02-20

In diesem Aufsatz handelt es sich um die Darstellung der Ergebnisse unseres sorgfältigen Durchsehens von P. Oestreichs einigen Schriften in den Jahren 1925-1927. Mit dem Artikel "Ein Fußtritt" (1925) rechnet Oestreich wiederum mit den rechten SPD-Schulpolitikern ab. Der Artikel "Die Begabung der Begabten" (1926) ist seine Auseinandersetzung mit Dr. Wilhelm Hartnacke, Stadtschulrat von Dresden, der mit seinen reaktionären biologischen und rassenkundlichen Begabungstheorien zum Wegbereiter der faschistischen Pädagogik wurde. Darauf haben wir folgende Erkenntnisse durch das Durchsehen von seinen weiteren Schriften in der Jahre 1927 gewonnen : "Prüfel als Schul-'Strafe'?" ; Sind Kolonien Erzieher zu volklicher Persönlichkeit? ; Die Not Front!. (1) Aus humanistischer Haltung wendet sich er gegen die Prügelstrafe. (2) Er hat zusammen mit seinem Kampf gegen Nationalismus, Chauvinismus, Rassismus und Militarismus den fortschrittsfeindlichen und antidemokratischen Charakter der Kolonialpropaganda als einen wesentlichen Bestandteil der ständigen intensivierten imperialistischen Erziehung angegriffen. (3) Besonders eingehend hat er sich mit den Bestrebungen reaktionärer Kräfte auseinandergesetzt, durch Wiederherstellung der konfessionellen Gebundheit aller Volksschulen den EinfluB fortschrittlicher politischer und weltanschaulicher Lehren zurückzudrägen.
著者
松友 知香子
出版者
札幌大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、以下の3項目についての研究を行った。まず1920年、30年代ドイツにおける芸術表象としての<天使>と近代都市の関係性の考察である。パウル・クレーとエルンスト・バルラハの両作品における<天使>の造形は、美麗なキリスト教の天使像から逸脱し、近代的な造形へと還元される一方で、<都市>という生活世界で苦悩する人間の内面を映す媒体として天使像が選ばれたことを確認した。次にフィリップ・オットー・ルンゲの版画作品『一日の諸時間(Die Zeiten)』を取り上げ、<天使>と<子ども>の関係性について考察を行った。この作品は<時>の循環を、連作という形式で実現し、各作品は中央部分とそれを取り囲む枠の二重構成となっているが、その中央部分に<天使>が唯一登場する「夜」に着目し、ルンゲの意図する「最後の審判」としての『夜』の意義づけと、<天使>と<子ども>の造形的特徴と身振りの分析から、両者の関係性を解釈しようと試みた。この十全な解釈には、本作品に先行する『アモール神の凱旋(Der Triumph des Amor)』における<アモール神(クピド)>と人間の諸段階(幼少期、青年期、壮年期、老年期)を表象する<子ども>の考察が不可欠であり、そしてバロック・ロココ的な愛の神クピドではなく、ギリシア神話に由来する原初神エロスとしての解釈が成立するかということが次の課題になることを確認した。最後に現代社会における<天使>表象を考察した。当初の計画では、現代日本のサブカルチャーにおけるキッチュな<天使>や人造人間としての<天使>を主な対象とする予定であったが、その領域が広範囲にわたることが判明したため、ドイツ文化圏における天使像に限定し、先行する研究との連続性から、ヴェンダースの1987年の映画『天使の詩(Der Himmel uber Berlin)』を対象とした。この作品には、キリスト教の天使や図像から派生した様々な天使を集約した<天使ダミエル>と<天使カシエル>が登場する。有限の時間を生きる<人間>の運命に<天使>が共鳴するというストーリー展開であり、そこには、かつての<天使>に対する人間の憧憬の反転が見られる。これを近代の「倒錯」と見るか、それとも<天使>の本来の姿と見るかについては、結論は保留としたい。
著者
有光 秀行
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

これまで積み重ねてきた「ネイション・アドレス」研究を最終構築段階に入れるべく、国内で参照不可能な地方史関係刊行物、さらにイングランド司教文書・ノルマン朝国王文書・12世紀を中心とした教皇庁文書などのうち、これまで未検討であった史料にあたって分析を行ない、とくに「文書形式」そのものの伝播・継承・変化についてデータを充実させ、総合的な像の構築をこころみた。同時に、地域の実情(「ノルマン人」の定着度)とのかかわりについても考察した。