著者
林 直人
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では,通常プラズマCVD(chemical vapor deposition)法など高エネルギー・高コストプロセスによって作られるDLC(diamond like carbon)皮膜を,加速されたボールの衝突によって常温・常圧条件下で誘起される瞬間的な高温・高圧反応場(メカノケミカル効果)を利用して迅速に形成することを目的とする。そのために鉛直方向に高速振動加速したボールによって繰り返しインパクト処理を行う新規のメカノケミカル法(ボールインパクト法)を提案し,密着性の高いDLC皮膜の創製を目指すと共に,離散要素法を基づく数値シミュレーションによってプロセス条件の最適化を図っている。本年度はまず,電気モーターによる機械的な回転を鉛直方向振動に変換し,ボールが装入された振動チャンバーが任意の周波数および振幅で振動するようにした,ボールインパクト法実験装置の作製を行った。周波数は最大100Hz,振幅は最大50mmまで上げられる。処理雰囲気を変えることができるよう,振動チャンバー全体をアクリルカバーで多い,騒音防止のためにカバー内部に吸音材を貼り付けた。予備実験として,粒子皮膜を作ることが困難なヒドロキシアパタイト粉末を利用し,空気雰囲気下で周波数および振幅を変更させて実験を行い,迅速に緻密かつ密着性の高い粒子皮膜の形成を確認した。また高速振動に基づく装置の負荷を計算し,安全な運転範囲を求めた。また同時に,ボールインパクト法の数値シミュレーションモデルの構築も行った。離散要素法に基づき,各ボールにかかる全ての力を時々刻々計算することで,全ボールの挙動が解析できる環境を整えた。
著者
岩田 修二 上田 豊 大畑 哲夫
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学加速器質量分析計業績報告書
巻号頁・発行日
vol.4, pp.27-35, 1993-03

タンデトロン加速器質量分析計業境報告 Summaries of Researches Using AMS
著者
池田 克則 落水 浩一郎
出版者
北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科
雑誌
Research report (School of Information Science, Japan Advanced Institute of Science and Technology) (ISSN:09187553)
巻号頁・発行日
vol.IS-RR-96-0010S, pp.1-72, 1996-03-18

本論文では、PCTE(Portable Common Tool Environment)を用いて、商用CASEツールのデータを統合する手段を論じたものである。様々な統合技術の調査及び開発を紹介しつつ、その結果をStP/OMTとObjectCenterの統合にまとめる。上流工程と下流工程のCASEツールをデータ統合することにより、作業の連続性の保証と変更の波及の追跡が容易に分かることが期待される。本論文ではそれを交換するためのスキーマ例の結果も示す。さらに、このツールを用いて実際のソフトウェアの開発を行ない、それに基づいて統合ツールの問題点を分析しつつ、ツール統合のありかたについて提案する。
著者
柳川 浩二
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

Nagel と Reiner の結果を発展させ, Borel fixed ideal の 非標準的 polarization を研究し, その極小自由分解を構成した(岡崎亮太氏との共著)。この自由分解は, 正則なCW複体を台とするが, この現象は Welker らが構築した枠組内で, 離散モース理論を用いて「解釈」できる。また, 半正規なアファイン半群環や toric face ring の双対化複体も研究した。Bruns, Nguyen らの結果を, 導来圏を用いて見直し, 改良している。
著者
迫田 和之 國弘 卓志 藤田 千裕 石見 英輝 鈴木 三博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.435, pp.75-80, 1998-11-27
被引用文献数
9

PDCシステムをベースとしたFrequency Hopping(FD)システムについて検討した。PDCシステム(ハーフレート)のTDMAフレーム長は40[ms]で6TDMAを構成しているが、充分なインターリーブを行っておらず, また強力な符号化がなされていない。そこで, 短いTDMAフレームを定義し, FHを伴うスロット間インターリーブを行うSFHシステムを検討した。なお, 検討したシステムにおいては結合力の強い強力な符号化と精度の高いパワーコントロールを採用する。変更したパラメータを用いてリンクレベルおよびシステムレベルのシミュレーションを行った。実用のためには解決しなくてはならない問題が存在するものの, 原理的にはSFHシステムが従来に比べて大きなシステム容量を実現できる可能性があることが確認できた。
著者
長谷川 公一 町村 敬志 喜多川 進 品田 知美 野田 浩資 平尾 桂子 池田 和弘
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、気候変動政策の政策形成過程と政策ネットワークに関する国際比較研究の日本版である。主要3紙の関連記事を対象としたメディア分析と主要な関係団体に対する質問紙調査とインタビュー調査からなる。後者では、省庁・政府系研究機関・業界団体・民間シンクタンク・NGO・自治体・政党・マスメディア・企業など125団体の気候変動問題担当者に質問紙を用いて面接、72団体から回答を得た(回収率57.6%)経済・業界団体などのように、自主的な削減の取り組みを評価し、大きな削減目標に消極的なグループと、地方自治体・環境NGOなどのように、法的な削減を求め、削減に積極的なグループとに2極化していることがわかった。
著者
中別府 雄作 作見 邦彦 土本 大介 岡 素雅子 盛 子敬
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

DNAおよびRNAの前駆体であるヌクレオチドは放射線や生体内外の環境ストレスにより多様な化学修飾を受けるが、その放射線生物影響における意義は不明で、早急に解決すべき課題である。本研究では、環境ストレスによる修飾ヌクレオチドの生成が引き起こす生体障害を「ヌクレオチドプールの恒常性の破綻」としてとらえ、以下の5つのアプローチで多様な放射線生物応答の制御機構を明らかにする目的で研究を開始した。[1] 放射線照射により生じる修飾ヌクレオチドを同定し、in vivoでの活性酸素や金属等の存在による生成への影響を解析した。[2] 放射線照射等で生成される修飾ヌクレオチドの細胞への影響を解析することで、Bystander effectsのメディエータとして機能する可能性を検討した。[3] 修飾ヌクレオチド分解酵素を網羅的に探索する目的で、新規修飾ヌクレオチドの調製を始めた。[4] DNA中の修飾ヌクレオチド修復酵素を網羅的に探索する目的で、アッセイ系の確立を進めた。[5] 神経変性の病態モデルマウスの導入を進めている。
著者
日高 次吉
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.2, no.12, pp.1303-1320, 1933-03-01
著者
斎藤 哲
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究はヴァイマル時代のドイツ共産党と、第2次世界大戦後の東ドイツにおける社会主義統一党に代表される、20世紀ドイツの共産主義運動の歴虫的な特徴を両性関係に焦点を当てて解明することを目的としていた。この目的を達成するために、次の課題を設定した。1)ドイツ共産党によって女性に対して行われた働きかけを主として担った男性党員たちは、どのような姿勢で女性の抱える問題に向かいあったのか。また、女性たちはそれに対してどのように反応したのか。2)戦後東ドイツにおける消費生活の変化にあわせて、職場や家庭における両性関係に変化が生じたのか。3)ヴァイマル時代から1960年代末に至るまでの時期に、ドイツ人の家庭生活の中で両性関係に根本的な変化は生じていたのか。これらの課題に関する成果は以下の通りである。1)ドイツ共産党の男性党員は一般に、女性は政治に関わるべきではなく、家事と育児に専念すべきであると考え、その点でドイツ社会一般の通念に従っていた。2)ヴァイマル時代のプロレタリア女性にとって、共産党の主張する女性の解放と、女性たちの求める解放との間には大きな齟齬があった。3)以上1)〜2)のような状況は、第2次世界大戦後の東ドイツにおいても見られた。社会主義統一党と東ドイツ政府は家庭や職業における女性の負担を軽減するために、女性に配慮した消費政策の展開を含めて様々な措置を執ったが、女性が家事と育児を担うべきであるという点、社会生活の決定権は男性が握るという点では、きわめて保守的であった。4)ヴァイマル時代及び第2次世界大戦後の東西両ドイツにおける消費生活の発展は、家事に関する限りで、女性の家庭内での地位を強めたように見えたが、それは男女の性別役割分担を廃棄するものではなかった。1)〜3)に述べたようなドイツ共産主義運動における男性中心主義的な特徴は、このようなドイツ社会一般のあり方を反映していた。
著者
森 一郎 森 一郎(1962-) モリ イチロウ
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.1-18, 2009-03

In one passage of his The Gay Science, Nietzsche said that to live a life is to let all the dying parts of us and others' successively go to ruin. This cruel thought has a good deal of truth. Our life is indeed a kind of struggle for existence between the older and younger. The history of philosophy may be illustrative of the battle fought by generation after generation. It is, however, also true that a pair of temporally far located generations can build up a close connection with each other. If a book survives its author by hundreds, or even thousands of years and acquires plenty of new readers again and again, diachronic encounters and cooperative relationships with the far generations are born. Around the text can the temporality of our being-in-the-world temporalizes itself plurally and perpetually. In his posthumous work Contributions to philosophy, Heidegger describes such a hermeneutic event in terms of "playing-forth (Zuspiel)" between the First Beginning (in antiquity) and the Other (for the future). He names a few dead poets and thinkers "the ones to come." The possible revival in different ages implies man's way of attaining immortality by a certain path through generations. The other passages of The Gay Science indicate that Nietzsche was fully aware of this type of reversibility, that is, how to outstrip the generation order.『愉しい学問』の或る断章でニーチェは、「生きるとは、自己や他者における死のうとするものすべてを、絶えず突き放すことだ」と述べた。この残酷な思想はそれなりの真実を蔵している。われわれの生には、老いた人びとと若い人びとの間の生存競争という面があるからである。哲学史とは、世代間の戦場の実例であろう。だが、隔たった世代のあいだにはいっそう緊密な連携が成り立つということも確かである。ある書物が著者の死後、数百年、数千年と読まれ続け、新たな読者を次々に獲得したとすれば、時代を隔てた世代どうしの出会いと共同事業が起こったということになる。テクストをめぐって、世界内存在の時間性が複数的かつ永続的に時熟するということがありうるのである。そのような解釈学的出来事を、ハイデガーは遺著『哲学への寄与』において、(古代の)第一の始まりと(将来の)あらたな始まりとのあいだの「遣り合い」という形で、描いている。ハイデガーは少数の詩人や思索者を、「将来する者たち」と呼ぶのである。別の時代に復活する可能性があるということは、世代を行き来する道を辿って不死性を手に入れる人間的な仕方があることを意味する。『愉しい学問』の他のいくつかの節は、ニーチェがこのタイプの可逆性、つまり世代の乗り越え方を知悉していたことを示している。
著者
末広 潔 末廣 潔 (1994) COFFIN Milla SHIPLEY Thom MANN Paul 篠原 雅尚 平 朝彦 COFFIN Milar
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

ソロモン海域ではオントンジャワ海台が北ソロモン海溝に衝突しており対応する島孤の逆(南)側ではサンクリストバル海溝からインドオーストラリアプレートが沈み込み始めているように見える。またインドオーストラリアプレート上でも西方でウッドラーク海盆で海洋底拡大が進行しつつ海溝に衝突しており,この地域は100kmスケールで見ても複雑な様相を呈している。このような場に見られる過程は現在の地球では特異に見えるが地球史の中では繰り返されてきたことが地質学的にわかっている。海台の沈み込みならびに沈み込み開始線(海溝)のジャンプ・逆転の起きているソロモン島孤海溝系において,地殻深部・最上部マントルの地震・地質構造を精密に調査することは,このように複雑な過程の普遍性を明らかにし,プレートの沈み込みがいかに始まるか,沈み込みにくい海台が海溝で衝突してどうなるか理解するために重要である。本研究は,日本の海底地震計技術と米国の反射法探査技術を有機的に結びつけてその目的達成をはかるものである。平成5-6年度の2カ年計画として実験を計画したが,米国側NSFに採択された調査船利用の反射法実験の実施が米国側の調査船のスケジュールが平成7年度にずれこんだため,当初の計画を変更して,6年度に日本側の海底地震計による自然地震観測を行い,反射法・屈折法による日米共同実験は平成7年度に実施することになった。したがって最終的な構造探査結果をあわせたとりまとめはその結果を待つことになる。5年度にはデジタル海底地震計の信頼性を向上させ,また,過去にすでに現地調査を行っている米国側共同研究者と研究対象域のテクトニクスの調査も行った。その結果,南側で開始されているという沈み込みに伴う自然地震活動の実態を把握することが重要との認識を得た。実際,定常的な地震活動はISC(国際地震学センター)による震源分布に頼るしかないが,これは100kmくらいの震源決定位置の誤差があることが今回わかった。6年度にソロモン諸島国地質調査所の協力も得て,海底地震計(OBS)をソロモン諸島に運び,現地傭船により5台用いて,海底微小地震観測を行った。位置および時刻はGPSによっている。期間は8/28日から9/7日までであった。観測ターゲット海域は強い季節風を避けざるを得なかったが,サンクリストバル海溝が浅くなるガダルカナル島西方とした。データは全台から良好に得られ,36ヶの近地地震を決定した。これは,他の観測網では検知されていないイベントである。また,ISCでは今回の観測域で年間平均10ヶの震源決定がなされている。今回の観測は200倍以上の検知能力を持ったことになる。その結果,あたらしく沈み込みを開始したインドオーストラリアプレート沈み込みは少なくとも50kmの深さまで進行しているが意外なことにその沈み込み角度が50度と他では見られない大きな値を示すことがわかった。また,背孤側に小海盆が見られるが,ここには地震が発生していないことが確認された。一方北側からの太平洋プレートの沈み込みの「痕跡?」として深さ60-90kmにも震源が求められた。はたして沈み込みが停止したかどうかこの結果だけからは結論づけられない。ガダルカナル島直下には地震が検知されなかった。これらは,グローバルな観測網の数10年のデータ蓄積をもってしても窺いしれない結果である。今後は陸上にも観測点を増やしてより長期のデータ収集を続ければ,さらに詳しい結果が得られるはずである。ソロモン諸島国と協力して実施したい。沈み込み角度が大きいことは,さらに観測を重ねてデータを増やして確認する必要がある。しかし,事実だとすると,一般に沈み込み初めの角度は10度未満程度であるので,北側からのオントンジャワ海台の衝突が大きな抵抗となっている可能性がある。小海盆部に地震のないことは他の島孤のリフトゾーンに地震の少ないことと合致する。平成7年度に予定している島孤全体を横断する人工地震実験測線から地殻の全貌を明らかにできればテクトニクス,地震活動との因果関係がさらに解明されるだろう。
著者
末廣 潔 末広 潔 COFFIN Milla SHIPLEY Thom MANN Paul 篠原 雅尚 平 朝彦
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

西太平洋に位置するソロモン海域ではオントンジャワ海台が北ソロモン海溝に衝突しており対応する島弧の逆(南)側ではサンクリストバル海溝から複雑な地形を持ったインドオーストラリアプレートが沈み込んでいる。このような過程は現在の地球では特異に見えるが地球史の中では繰り返されてきたことが地質学的にわかっている。海台の沈み込みならびに海溝のジャンプ・逆転の起きているソロモン島弧海溝系において,地殻深部・最上部マントルの地震・地質構造を精密に調査することは,このように複雑な過程の普遍性を明らかにし,とくに沈み込みにくい海台は海溝でどのような振る舞いをするのか理解するために重要である。本研究は,日本のデジタル海底地震計技術と米国の反射法探査技術を有機的に結びつけてその目的達成をはかったものである。平成7年度に日米共同実験として地震学的反射法・屈折法による地殻構造調査を主に,重力・地磁気観測も行い,当該海域ではじめてコンプリ-トな地殻構造実験が実施できた。7年度の7月には共同実験者とテキサス大学地球物理研究所において綿密な実験打ち合わせを行い,本実験は米国地球物理研究船モ-リス・ユ-イング号にて,10月17日-11月19日に実施した。この間,ソロモン諸島全域の約130チャネルの多重反射法音波探査データ(4050km)を取得し,かつグアダルカナル島西方においてオントンジャワ海台からインドオーストラリアプレート側まで464kmの長大測線に18台の海底地震計を配置した屈折・反射複合探査も行った。人工地震の震源はエアガンアレーで約140リットル,150気圧のエネルギーを約50m間隔でシューティングした。この結果,海底地震観測において地殻深部の情報がかつてない空間的密度で得られる。これまでの反射法の記録の解釈では,オントンジャワ海台は基本的には現在でも沈み込みを続けているという意外な結果である。これまで沈み込みせずに陸側に衝突しせりあがっているという解釈があったが,それは局所的現象のようである。ソロモン島弧のうちマレイタ島,サンタイサベル島の一部はオントンジャワ海台と地質・岩石的に区別が付かないので,せりあがりが起きていることは確かであるが,プレートの大部分は沈み込んでいる。陸側プレートがくさび状に海台を乗せたプレートを割っているか,それともたとえば南海トラフのように付加体を形成しながら沈み込んでいるかのふたつのモデルが考えられていたが後者の可能性が高い。より深部の構造を明らかにして決着をつけるべきであるが,今回得たデータは,まさにそれを可能にする。海底地震計はデジタル型であるのでダイナミックレンジが広くかつ時刻精度も高く,アナログ型では不可能な高品質データを得た。エアガンの信号を見ると,記録は300km以上届いているので,島弧系の全貌が明らかにされるはずである。これまでソロモン島弧はその地殻の厚さも不明であり,上部地殻の一部がしかも一次元的に明らかにされているだけであり,今回2次元的にトランセクトが得られる意義は大きい。これまで海洋性島弧でそのような構造が求められているのは北部伊豆・小笠原島弧だけであり,そこでは海洋性島弧に大陸性カコウ岩質岩石の生成現場としての位置づけがされている。同様な構造がここでも見られれば,海洋性島弧の存在は地球進化においてすなわち大陸地殻の成長に重要な役割を持つことになる。一方,大陸性地殻形成のもうひとつの重要な候補が海台である。海洋リソスフェア中にホットスポットあるいはマントルプルーム活動によって短期的に形成されるとする海台が,沈み込まず大陸に付加すると言う説である。今回の実験はこの両方を同時に検証することになる。プレートの沈み込み角度についてもこの実験により,グローバルな普遍性を検証するものとして位置づけられる。北側と南側とではその沈み込みパラメータは,年代,地殻,移動速度などどれをとってもかなり異なる。にもかかわらず,沈み込み始めは両側とも類似したごく浅い角度であると推定される。その原因はまだ検討中だが,いまのところほかの沈み込み帯の結果も同様であり,地質学的過去よりも単純なダイナミクスで説明できるる可能性が高い。
著者
稲見 正浩
出版者
島根県立国際短期大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

ダルマキールティの『プラマーナ・ヴァールティカ』プラマーナシッディ章はその思想的重要性にもかかわらず、サンスクリット・テキストが未だ十分な校訂がなされておらず、定本と呼ぶべきものが存在しないのが現状であった。本研究は、同章のサンスクリット・テキストのクリティカル・エディションを作成すべく、以下の様な研究を行なった。1.ラーフラ・サーンクリットヤーヤナ等による各出版本に言及されている写本のヴァリアント、および出版本間のテキストの異同を明確にした。2.スタンダード版とされるサキャパンディタのチベット語訳(sDe dge No.4210)、さらにデーヴェーンドラブッディ、・プラジュニャーカラグプタ、ラヴィグプタ等の注釈書(sDe dge Nos.4217,4221,4224,etc.)に含まれる他の訳者の手になるチベット語訳を検討した。3.デーヴェーンドラブッディ、シャーキャブッティ、プラジュニャーカラグプタ、ラヴィグプタ、マノーラタナンディン等の注釈者の解釈から偈頌のテキストを想定した。4.ジャイナ教やニャーヤ学派等の論書に引用されるテキストを収集し、一覧表を作成したうえで、比較検討を行なった。5.以上の成果をパソコンに入力し、データベースを構築し、その上でサンスクリット・テキストのクリティカル・エディションを作成した。最終的には以上全体の研究成果はウィーン大学チベット学仏教学研究所より出版したりと考えている。
著者
護山 真也
出版者
信州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ダルマキールティの『プラマーナ・ヴァールッティカ』第三章後半ならびにラトナキールティの『多様不二照明論』の解読研究に基づき、外界対象、形象、自己認識という三要素を整合的に理解する方策、ならびに形象真実論と形象虚偽論との対立に絡む概念知の働きを解明した。また、W・セラーズによって提起された「所与の神話」とも重なる論点に関連して、解脱論と結びつく合理性を考える仏教認識論の体系では、形象は経験的知識の基礎づけの役割を担うわけではないことが明らかにされた。
著者
佐々木 英樹 ゴビン ビヌー スリニバサン クリシュナ ダルミナ シダース サンダラム ベンキー スワミナッサン マダハバン トゥマラ ラオ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.874-884, 2006-11-01
被引用文献数
1

本論文では,ミックスドシグナルSOP (System-On-Package)を実現する際の電気的な課題の一つとして,RF回路とディジタル回路を混載したパッケージにおけるノイズ干渉メカニズムについて検討している.SOPとは,ディジタル,アナログ,RF,オプト,MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)などの異種デバイスを一つのパッケージ内に組み込むことで今後の複雑化するシステムをワンパッケージで実現するというコンセプトであり,現状,メモリチップとロジックチップで構成されたシステムインパッケージ(SiP)を包含するものである.本検討では,ディジタル回路と,受動素子を基板に内蔵したRF回路を混載したテスト基板を用いて,ディジタル回路のレイアウトを変えた際のRF回路に与える影響を評価し,二つのノイズ干渉メカニズムを抽出している.
著者
梶原 苗美 瀬口 春道 松本 衣代 デル サス エバ ガルシア 松本 衣代 谷口 洋
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

伝統的食生活で知られるニューギニア高地民族の健康栄養調査を実施した。インドネシア、パプア州高地地区の農山村部に住むパプア州住民の多くは未だサツマイモを主食とする新石器時代の食生活の名残を強く残した食生活を営んでいた。しかし、都市化の進展、或は都市部移住者では食生活の変遷、欧米化傾向が著しく、住民生活の都市化比率に比例してメタボリックシンドロームのリスクが急上昇しつつあることが明らかになった。
著者
橋田 光代
出版者
関西学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は,抽象化した音楽表情のコントローラに基づき,集約したパラメータ制御によって,簡易に実時間で生き生きとした音楽表情を作りだすインタフェースを開発することを課題とした.具体的には,フレーズ表現とアテンションの移動に着目した複数旋律音楽の表情付けモデル(Pop-E)をベースとした,音楽構造解析支援機能の整備と,スライダによるパラメータセット操作により実時間で演奏を生成するシステムの実装を行う.本年度は,以下の項目についての研究・調査を実施した.1.音楽構造解析支援機能の整備外部ファイルに記述された演奏制御パラメータと,MusicXML形式で記述した音楽構造情報(グループ構造,フレージングの頂点,アテンションパート)を入力とし,オフラインで動作するプロトタイプシステムに対し,グループ構造の解析候補機能と演奏制御パラメータのインタラクティブ制御機能,フレーズとその頂点音の編集機能の実装を行った.2.Pop-Eインタラクティブシステムの実装に向けての調査実装済みのプロトタイプシステムを,操作パラメータの記録機能,実時間演奏レンダリング機能を有するリアルタイム動作版に拡張するために,音楽情報科学研究会,エンターテイメントコンピューティング(EC),インタラクション,ACII2007,NIME2007,の各学会に参加し,演奏表現に関するインタラクティブシステムの類似研究の調査と,MIDIコントローラ,テルミン,Wiiコントローラなどのジェスチャ・センサデバイスに関する情報収集と意見交換を実施した.また,本システムの応用・実利用先の検討として,音楽教育支援に関する予備調査として,小〜中学生を対象としたケーススタディの実施,音楽教育学会への参加・情報収集を行った.

1 0 0 0 IR 感官の練習

著者
大槻 快尊
出版者
フレーベル會
雑誌
婦人と子ども
巻号頁・発行日
vol.14, no.8, pp.349-354, 1914-08