著者
朝田 隆
出版者
日本医師会
雑誌
日本医師会雑誌 (ISSN:00214493)
巻号頁・発行日
vol.137, no.7, pp.1427-1430, 2008-10
被引用文献数
1
著者
三宅 直之 柳原 幸治 新藤 直子
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.644-648, 1999-10-18
被引用文献数
1

家事動作での能力障害とその自立度との関係を調査した.対象は知的低下のない84名の女性脳卒中患者であった.調査した家事動作は料理・掃除・洗濯・買い物の4項目であった.その結果,16名が4項目全てをこなし,22名が全て行えず,残りの46名は一部分の項目を行っていた.数量化I類による分析では,歩行能力と上肢機能の回復の程度が最も家事動作の遂行度に影響を与えた.また,今回の対象では,高次脳機能障害,加齢自体は,遂行度に与える影響は小さかった.積極的に主婦業をこなすには,屋外歩行の自立,補助手以上の回復が望まれた.多くの対象者が家族内の他のメンバーから援助を受け,また家事動作能力が低いほど,より多くの援助がなされていた.(リハ医学1999;36:644-648)
著者
中井 直正
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本科学研究費補助金による研究の目的は、20GHz帯受信観測システムを開発製作し、筑波大学の近くにある国土地理院つくば32m鏡に搭載して電波望遠鏡として整備し、水メーザーの観測からセイファート銀河中心核の構造を明らかにすることである。特にセイファート銀河の1型(可視光のスペクトル線が極めて広い)と2型(狭い)の違いが従来言われていた降着円盤を見る角度が異なるため(統一モデル)だけではなく、降着円盤の厚さに薄いものと厚いものがあり、降着円盤を同じ斜めの方向から見たとしても薄いものは1型に、厚いものは2型に見えるという我々の仮説を立証することが目的である。研究成果の主なものは以下のとおりである。1.国土地理院32mアンテナに20GHz帯受信観測システムを開発製作し搭載した。アンテナの主ビームの半値幅(角度分解能)はHPBW=100"、主ビーム能率と開口能率は仰角40度付近でそれぞれ50%と42%である。受信機の周波数帯域は19.5-25.2GHzであり、中間周波数は4-8GHzである。大気込みのシステム雑音温度は冬季天頂で60-80K程度と良好な値が得られた。分光計はフーリエ変換型デジタル分光計で周波数帯域幅1GHzを1万6千点の分光を行う。望遠鏡制御ソフトウェアーシステムもVLBI(超長基線電波干渉計)観測とは独立に、単一鏡観測用に独自開発を行った。これらにより、22.235GHzにある水メーザーの定常観測が可能となった。2. 開発した上記観測システムによりセイファート銀河の水メーザーの速度モニターを開始した。またVLBI観測により2型セイファート銀河IC1481の水メーザー円盤が厚いものであることを明らかにし、我々の仮説を証明した。
著者
杉田 治男
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

アユ、ワカサギおよびキンギョの腸管内におけるAHL生産細菌の多くはAeromonas細菌であった。また、Shewanella属はAHLを分解する細菌としてキンギョから分離された。これらの結果は、AHLを分解するShewanella属細菌をプロバイオティクスとして利用することでAeromonas属細菌による日和見感染症が防除できる可能性が示唆された。
著者
坪内 俊二
出版者
名古屋市立大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1993

腰痛の発生にはいろいろな原因があるが、椎間板性の腰痛は最もよく知られているもののひとつである。現在までに椎間板そのものの神経支配についてはよく調べられており、線維輪の外側3分の1までしか神経の存在が認められないとされている。しかし、椎間板の上下にあたる椎体終板における神経支配はほとんど発表されていない。ここに神経、特に疼痛の伝達物質であるSubstance-Pをふくむ神経の存在を調べれば、腰痛の発生機序並びに椎間板の栄養の調節機構を解明する一助となると考えられ本研究を開始した。15EA02:本研究は免疫組織化学的方法がもとになっている。まずはじめにクライオスタットを用いて凍結切片を作成する技術を習得した。その後、家兎・剖検・手術材料などから得られた椎体終板・椎間板・棘上棘間靱帯・仙腸関節などに存在するであろうと思われる神経週末をsubstance-P,S-100蛋白,neurofilament,PGP9.5などに対する抗体を使いABC法にて染色した。現在までのところ、神経組織がうまく染色されたのはヒトの棘上靱帯のみであり、終板部ではまだみつかっていない。ヒトの骨は動物のものに比べて脱灰しにくく、クライオスタットで切っても軟部組織との境界部で固さの違いにより、うまく切れなかったり、切片を厚くすると染色時にはがれやすいなどの難点を抱えている。これらを試行錯誤により改善しつつ、本来の目標であるヒト椎体終板染色を行っているところである。当然調べられていいはずの椎体終板部での発表がないということは(ラットやマウスでは2-3みられる)、脱灰、染色などで同様の苦労をしていると考えられる。何とかこれを克服して神経終末の存在の有無を明らかにしたい。また、コンスタントに染色して神経の存在を確認することが出来るようになれば、変性を誘発するような処置、椎間板切開・振動させる・adjuvant-induced arthritis modelを作製するなどして神経分布の変化を調べることができる。
著者
井口 洋夫 直江 俊一 田中 桂一 城田 靖彦 中原 弘雄 三谷 忠興 丸山 有成 高塚 和夫 加藤 重樹 大峰 巌 中村 宏樹 諸熊 至治
出版者
岡崎国立共同研究機構
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

1. 分子計算化学に関する討論会に参加ならびに調査、共同研究計画打ち合せ(諸熊、中村、大峰、加藤、高塚)今回の日程は、9月19ー21日は第23回英国量子理論会議に出席して若手の理論化学研究者と交流を深めた後、週末をはさんで、日本側5人、英国側12人出席の小さな合同シンポジウムで、質の高い情報交換と交流打ち合せを2日間行うというもので、いずれも会場、宿舎ともオックスフォ-ド大の古いカレッジの1つであるJesus Collegeが使われた。日英シンポジウムでは、シミュレ-ション、電子状態、動力学の各分野とも現役のトップクラスと新進気鋭をそろえ、英国側の並々ならぬ意気込みがうかがわれた。また、交流を一層巾広くするため、英国側の講演者には比較的なじみのすくなかった若手が起用され、フレッシュなプレゼンテ-ションと高いレベルの討論が行われた。この分野におけるこの数年間の研究協力の成果をふるまえ、今回のシンポジウムは終始きわめてなごやかな雰囲気で行われた。特に、日英とも新しい世代のコンタクトが広がったことは今後の協力の発展の上に意味が大きいと思われる。2. 物質化学に関する日英討論会に参加、並びに大学・研究所訪問の調査、共同研究計画打ち合せ(丸山、三谷、中原、城田)「特異な物性をもつ有機分子性固体及び金属配位化合物」という主題に関する日英討論会が、1991年3月17ー20日の間英国バ-スにおいて開催された。日本側5名、英国側10名の招待者及びオブザ-バ-が参加し、5つにわけられたそれぞれのセッションで日本人1名、英国人2名の講演があり、活発な質疑応答が行われた。“高分子"のセッションでは光機能性ポリマ-の光電変換素子特性、高分子液晶などが報告され、“LB膜"では、膜構造の新しい評価法や機能性について議論がなされた。“分子性結晶"では導電性金属錯体及びその超伝導特性と電子構造との関連が考察された。午後のポスタ-セッションでは、多数の報告がなされ盛会であった。最終日の“フタロシアニン及び薄膜"では薄膜の構造と機能に関する最近の研究が紹介され、さらに新しいフタロシアニンの合成例も報告された。“混合原子価錯体"では、一次元遷移金属錯体のソリトン、ポ-ラロン状態及びそれに関連した光誘起構造相転移の可能性など最新の話題が紹介された。全体的な印象として、英国の現状はそれ程新奇な展開は認められないが独得な執拗さをもって新しい問題にとり組んでいる姿勢が印象に残った。3. 不安定分子の高分解分光法による研究(田中)1)速度変調法による分子イオンの赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光本法は高電圧交流電場を用い放電によりイオンを生成すると同時に荷電子の併進速度に変調を加え選択的にイオン種を検出する方法である。赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法に速度変調を組合せ、H_2O^+,PO^+,CS_2^+イオンの検出を行い充分な経験と成果が得られた。2)金属カルボニル分子の超音速分子噴流中における赤外吸収分光法Ni(CO)_4,Cr(Co)_6,やV(Co)_6などの金属カルボニル化合物は比較的高い蒸気圧を持ち、レ-ザ-光照射による光分解反応との関連により興味が持たれている。これらの金属カル化合物をArガス中に気化させ超音速自由噴流として真空中に噴射し、赤外ダイオ-ドレ-ザ-分光法により主にCO伸縮領域の振動回転遷移を観測した。4. 軟X線分光に関する研究・調査(直江)800〜4000eVのsoft XーRay領域でのビ-ムポ-トの状況、特に調整技術及び測定法について、UVSORの二結晶分光器との比較を含め調査し、さらに半導体試料について測定を行った。上記エネルギ-領域でも特に800〜1500eVの領域は、照射損傷のため分光結晶としてベリルという天然の鉱物を使用する方法が唯一のものとなってきている。第一結晶の水冷や各種薄膜フィルタ-の複合使用によって約1年程度の結晶寿命を実現している。また90%透過の薄膜を10モニタ-として使用し、放射光ビ-ムの変動に対応している点は注目される。試料槽はタ-ボポンプのみの排気により10^<-7>〜10^<-8>torrの真空度とし、測定の迅速化に努めている。しかし、今回の一連の単結晶試料の測定によって試料槽内での表面処理が重要であり、測定の迅速化だけが視点ではないことが判明した。
著者
田中 孝夫 荻田 太 田巻 弘之 浜岡 隆文
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

【目的】本研究は、一流競泳選手を対象とし、泳成績と生理的、力学的指標との関係からパフォーマンスの規定要因を解明し、さらに年間トレーニングにおける各指標の変化と泳成績の変化との関連性や、技術要因の数値化を試み、国際競技力向上に資するための実践的資料を得ることを目的とした。【方法】被検者は、オリンピック、アジア大会、ユニバーシアードなどの国際大会出場選手を含むインカレ3連覇中のチームに属する女子競泳選手であった。本研究では、生理的指標として最大酸素摂取量、最大血中乳酸濃度、OBLAが、力学的指標として抵抗-泳速関係、抵抗係数・指数、最大推進パワー、および推進効率が計測され、各距離種目の泳成績との関係、縦断的変化が検討された。力学的指標の測定は、本学で開発されたMAD(Measurement of Active Drag)システムを用いて行われた。【結果及び考察】一流選手における各距離種目の泳成績と、生理的および力学的指標との関係を検討した結果、体力の代表指標とされてきた最大酸素摂取量とは必ずしも相関はなく、短距離種目ではより大きな機械的パワー発揮と無酸素性エネルギー供給能力、さらにはそれを生み出すための大きな筋量(体格)が、長距離種目では低い乳酸蓄積と、抵抗係数を小さくする泳技術が重要な要因であることが示唆された。また、縦断的に同一選手の測定を行い、そのときの泳記録の変化との関係を検討した結果、記録の向上は最大努力泳時の抵抗の低下のみと有意な相関が得られ、エリート選手における記録の更新は、体力要因の維持向上はもちろんであるが、特に抵抗を軽減させるような泳技術の改善に起因していたことが示唆された。また、一流選手における規定要因については、年間のトレーニングを通じて有意差が出るほど顕著な変化が得られないこと、さらに本被検者における推進効率は73.2±8.3%であり、これまで報告されている値よりも高く、非常に優れた技術を有していることも明らかとなった。
著者
田口 信教 田中 孝夫 荻田 太
出版者
鹿屋体育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

【目的】本研究は、昨年度の成果をもとに、低圧環境下を用いて一流選手にスプリントトレーニングを施し、エネルギー供給能力、泳パフォーマンスに対する有効性について検討することを目的とした。【方法】被検者は、年齢20±2歳、身長165.6±1.7cm、体重57.7±5.1kgの全日本学生選手権3連覇中の水泳部に所属する選手であり(女子4名、男子2名)、うち3名はリレーにおける日本記録保持者、1名はヨーロッパサーキットグランプリ出場、その他も全日本選手権、全日本学生に出場する選手であった。トレーニングは加減圧調整可能流水プールを用い、1日1回、週5回の頻度で4週間、海抜4000m相当の低圧環境下において行われた。トレーニング内容は、5秒の運動を10秒の休憩を挟み5回繰り返す間欠的運動とし、これを20分の休憩をはさんで2セット行った。強度は、常圧環境下において10秒程度で疲労困憊に至る強度とした。トレーニング効果は、常圧環境下における最大酸素摂取量、最大酸素借、最大推進パワー、50m、100m自由形泳記録の変化によって評価した。【結果および考察】4週間のトレーニング後、最大酸素摂取量に有意な変化は見られなかったが、最大酸素借は27%増加(前:2.85±3.57、後:3.57±1.56l)、さらに最大推進パワーも18%増加(前:90.1±45.2、後:106.4±40.4W)し、いずれの有意であった(P<0.01)。さらに泳記録についても50m(前:27.33±1.64、後:26.78±1.46秒)、100m(前:59.40±3.22、後:58.15±2.94秒)ともに有意に向上した(P<0.01)。以上の結果より、低圧環境下におけるスプリントトレーニングは、エリート選手に対してもエネルギー供給能力および泳成績の向上に有効であることが示唆された。
著者
蛇穴 治夫
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、動物園を活用した授業案と教材を作成し、学校現場に提供することを目的とした。授業案作成においては、「実物観察の重要性」、「進化の概念を意識させることの重要性」、「目的を持った観察の重要性」に特に留意した。教材としては、エゾシカとライオンの頭骨レプリカ、ブタ小腸の消化管プラスティネーション、ニワトリの手羽先骨格標本、イヌ・ライオン・ウシの足形レプリカ、脊椎動物の移動方法を比較できるビデオ教材を作製した。これらを用いて、「動物の体のつくりと働き」、「動物のなかま」における授業案を作成した。授業案においては、食性や脊椎動物の移動方法の違いに基づく動物の適応形に着目させるようにして、動物が共通の祖先から進化してきたことを理解させるようにした。そのことを通して、全ての動物には系統的なつながりがあることを実感させ、更には生命の連続性から生命尊重の意識を育てることをねらった。また、観察に目的意識を持たせるために、仮説から演繹的に推論させ、それを観察で確かめるという授業構成にした。一部は附属中学校において実践し、その有効性について検証を加えた。学校現場への研究成果の還元及び教材の普及活動のために、旭山動物園教育研究会の立ち上げと現職教員スキルアップ研修活動を実施し、さらに、平成17〜19年度の教員10年経験者研修を利用した。旭山動物園教育研究会では、動物園スタッフ、小・中学校の教員(現在約45名)と共に年2回のワークショップを行い、ニューズレターの発行も行っている。スキルアップ研修では、物理・化学・地学・理科教育の大学教員と共に、19年度に市内の教員向けの研修を各教科ごとに年1回ずつ開催した。以上の研究により、生物の学習並びに生命尊重の意識を育てることに必須となる、生物を進化という観点から見たり考えたりする力を育てる教材の開発とその普及を行うことができたと考える。
著者
吉川 麻衣子
出版者
九州産業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

平成18年度は,研究課題「沖縄県高齢者の戦争体験に関する臨床心理学的研究-調査研究と実践研究を通して-」の研究成果の報告と,本研究の実践研究の部分にあたる「戦争体験を語ることを中心としたグループ・アプローチ」(平成17年度実施)のフォローアップおよびフィードバックを行った。研究成果の報告に関しては,国内外の学会で口頭発表を行った。沖縄県の戦争体験者の心理構造や,戦争が終わって60年あまり経過した人びとの思いを紹介した。本邦では,戦争体験者に関する学術的研究がほとんど行われておらず,臨床心理学の分野における代表的な学会(日本心理臨床学会)での反響は大きかった。来年度以降,さらに発表の機会を増やし,学術雑誌等での発表にも取り組んでいく予定である。また,ドイツのポツダムで行われた「Person-Centered and Experiential Psychotherapy and Counselng」での発表では,参加者の多くがヨーロッパ諸国の人びとであったが,発表を通して,今なお世界各地で紛争が絶えず多くの尊い命が失われている現状の中,「いま,世界平和のためにできることはなにか」を共に考える機会となった。グループ・アプローチのフォローアップおよびフィードバックは,A地域(参加者11名)で3回,B地域(参加者8名)で3回,C地域(参加者9名)で3回,D地域(参加者12名)で3回,E地域(参加者10名)で3回,F地域(参加者8名)で4回,G地域(参加者15名)で4回実施し,平成19年3月までに全て計画通り終了した。数十ヶ月にもおよんだグループ・アプローチは,これまで戦争体験を安心して語れる機会がなかった参加者にとって有意義な時間となり,グループが終了した今でも,地域の高齢者の居場所として機能している。研究計画の段階で予想していた以上の効果が挙げられたものと考えられる。筆者は,10年間,沖縄県の戦争体験者の研究を継続してきた。これまでに500名以上に関わってきた。その1人1人の語りの中には,戦争の悲惨さや体験した者の悲しみや辛さ,そして,真の平和を願う未来への伝言が多く含まれていた。今後も戦争体験者の研究を継続し,色々な形で発表していくことで,貴重な話を聴かせてくれた人びとへの恩返しになればと考えている。
著者
浅井 圭介 永井 大樹 沼田 大樹 姜 欣 近野 敦 近野 敦 中北 和之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究は,航空機の非線形領域における動安定性を調べる実験技術として,ハイブリッド・アプローチによる次世代動的風洞試験法を開発することを目的としている.従来のシリアルロボットに加えて,新規にHEXA型パラレルロボットとその制御系を開発し,それらを用いて縦運動と横運動が連成する2自由度の加振実験を実施した.これと並行して,非定常感圧塗料や蛍光ミニタフトなどの先進的な光学計測手法を開発し,非定常運動するデルタ翼面上の前縁剥離渦の崩壊や空気力への周波数の影響を実験で明らかにした.これら一連の実験により,非線形飛行力学の研究を行うための基盤技術を構築することができた.
著者
大平 高正 池内 秀隆 伊藤 恵 木藤 伸宏
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.7, pp.420-425, 2004-12-20
被引用文献数
3

本研究の目的は,高齢者を対象に歩行開始時の足圧中心点(以下,COP)の後方移動(以下,逆応答現象)を調べ,1)足指筋力,足関節背屈筋力,歩行開始前後の静的バランス能力との関連性を調べること,2)各パラメータの若年者との相違を調べ,高齢者における逆応答現象の移動距離が減少する要因を調べることである。中枢神経疾患の既往の無い,在宅生活を送っている自立歩行可能な高齢者15名を対象とした。計測パラメータは,(1)逆応答現象の前後方向最大距離:As,(2)逆応答現象の左右方向最大距離:Al,(3)歩行前静止立位バランス:Bd,(4)歩行後静止立位バランス:Ad,(5)逆応答出現までの潜時:Cd,(6)足指最大圧縮力体重比:Fg,(7)足指圧縮力の増加の傾き:Gs,(8)足指圧縮力発生までの潜時:Gd,(9)足指圧縮力発生から最大圧縮力までの時間:Tp,(10)足関節背屈トルク体重比:Dtとした。AsとAlに強い正の相関が認められた。AlとBdに負の相関が認められた。CdとGdに正の相関が認められた。若年者群との比較では,高齢者群はGsが有意に低かった。転倒群に対し運動療法を施行するとAl,Gsの増大,Bd,Gdの短縮が認められた。今回の調査では,高齢者の逆応答現象に関与する因子の明確化には至らなかった。
著者
松岡 延浩 今 久 松田 友義 木村 玲二 神近 牧男 王 秀峰 井上 京
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,砂漠化とは本来気候的に決まる「気候生産要因(Climatic Production Factor)」が,農業・牧畜業による人為的因子(農業形態,牧畜形態)などの「阻害要因(Inhibition Factor)」を上回っている場合に植生は安定しているが,「阻害要因」が「気候生産要因」上回った場合に砂漠化が発生するという仮説を立てた。それの従って,砂漠化の危険度を評価するため,地点毎の「気候生産要因」と「阻害要因」を表現するモデルを作成した。阻害要因としては「土壌水分量」,「放牧強度と土地利用」を取り上げた。研究組織を以下の3班に分けて,砂漠化ハザードマップ作成に必要な「気候生産要因」と「阻害要因」を表現するモデルの妥当性の検討とハザードマツブ作成を行った。メッシュデータ整備班(松岡,王)研究期間に整備された自然的要因に関するデータを用いて,「気候生産要因」メッシュデータの作成を行った。また,メッシュデータの妥当性に問題があると判断される地域現地の気象データの再収集および地表面分類のグランドトゥルースを行った。農作業調査班(今,神近,木村,松田,井上,中野)観測期間内に,「阻害要因」のモデル化とメッシュ化を行った。メッシュデータの妥当性に問題があると判断される地域において,農業形態,特に作物の種類,栽培方法,灌概水量の聞き取り調査を行った。同時に,農業形態には,農家の経営状況が大きく影響するため,経営状況のメッシュ化を松田を中心に再検討した。牧畜調査班(小林,松田,野島)上記に出作成されたメッシュデータの妥当性に問題があると判断される地域において,砂漠化指標の1つである植生量と構成植物種に対する家畜密度の影響を,再度植生調査と聞き取り調査した。以上の結果を取りまとめ,黄河流域の10kmメッシュを作成して,現地地方政府など普及機関に配布するとおもに農牧畜民の砂漠化に対する教育普及に供試することができた。
著者
北村 二朗 嶋 みな子 平塚 京子 浅野 進吾
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.732-736, 1976-06-25

Examinations were made on the action of anhydromevalonic acid lactone, which inhibits incorporation of mevalonic acid into cholesterol in the cell-free system of rat liver, on microorganisms was studied. Microorganisms examined were mevalonic acid-requiring Lactobacillus acidphilus ATCC 4963 and L. heterohiochii H-1,and Saccharomyces cerevisiae and S. carlsbergensis ATCC 9080 which do not require mevalonic acid and have the ability to synthesize sterol. In the presence of 0.1 μg/ml of mevalonic acid, L. acidophilus required ca. 15 mg/ml of anhydromevalonic acid lactone for 50% suppression and 25 mg/ml for 100% suppression. In the presence of 1.0 or 4.0 μg/ml of mevalonic acid, L. heterohiochii required 0.5 and 20 mg/ml, respectively, of anhydromevalonic acid lactone. In the presence of 15 and 20 mg/ml of anhydromevalonic acid lactone the growth of S. cerevisiae and S. carlsbergensis was completely inhibited. However, there was hardly any effect on the sterol content per unit cell weight.
著者
土井 元章 林 孝洋 細川 宗孝 水田 洋一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

花卉の香り育種に有用な知見を得るため,バラを用いて以下の実験を行った.芳香性品種の花弁からは,モノテルペノイド,セスキテルペノイド,芳香族アルコール,酢酸エステル,ジメトキシトルエンが検出された.また,これらのバラ切り花の香りには鎮静効果と精神的疲労低減効果が認められた.モノテルペノイド合成酵素遺伝子として2遺伝子がクローニングされた.このうちRhMTS2は被子植物の非環式モノテルペノイド合成酵素遺伝子群に分類され,芳香性品種のかたい蕾で高発現していた.ゲラニル二リン酸合成酵素としては,RhGPPS-LSU1,RhGPPS1が単離でき,前者は芳香性品種すべてと非芳香性の1品種で高発現していた.
著者
安藤 宏 GANG Q GANG Q.
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

今年度は、以下の四回にわたる学会・国際シンポジウムで研究発表・講演を行った。1、創価大学日本語日本文学会2006年春季大会発表(2006年5月19日)で、「芥川龍之介の上海・北京観劇」という題で研究発表した。2、「第一回国際芥川龍之介学会・シンポジウム」(2006年9月9日、韓国・延世大学、仁川大学)における講演題目「「南京の基督」における中国表象--同時代的言説の中で--」3、「東アジア日本学研究国際シンポジウム」(2006年10月14日、中国・洛陽)における研究発表題目「芥川龍之介における洛陽という場(トポス)」という題で研究発表した。4、「東アジアで村上春樹を読む国際シンポジウム」(2007年3月30日、韓国・高麗大学)における講演題目「戦後日本の歪みの中の村上春樹」今年度中に活字化した研究成果は、以下の通りである。1、論文「ジブリアニメと2005年の日本」(『日本学研究』2006年11月)2、討論「パネルディスカッション「ジブリアニメの力」」(『日本学研究』2006年11月)3、研究ノート「上海小新聞の一記事から中日文壇交渉を探る」(『日本近代文学』第75集2006年11月)4、論文「芥川龍之介と谷崎潤一郎の中国表象--<支那趣味>言説を批判する『支那游記』」(『国語と国文学』2006年11月)5、論文「芥川龍之介の中国旅行と『支那游記』」(『書品』2006年10月)6、訳書『支那游記』」(中華書局2007年1月)