著者
周 敬
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 : 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.23, no.7, pp.639-646, 2001-11-30
被引用文献数
1

2001年8月27日(月)から8月31日(金)までの5日間,中国の大連において信頼性・安全性・保全性国際会議(ICRMS'2001)が開催された.1992年の第1回北京での会議以来,今回で第5回目の会議となる.日本から28名が参加し,17編の論文発表と基調講演およびワークショップで発表し,中国の研究者・技術者と多くの討論を行った.その概要と日本側参加者の感想を報告する.
著者
文室 政彦 上田 和幸 沖嶋 秀史
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.364-372, 1999-03-15
被引用文献数
4 6

1995年に, 被覆条件下の根域制限ベッド(培地量160 liter/樹)に植栽した5年生ニホンナシ'幸水'と'豊水'を供試し, 乾物生産および分配の季節的変化を検討した.11月初旬の1樹当たり全樹体新鮮重は, '幸水'が約18 kg(82t/ha), '豊水'が約21 kg(96 t/ha)であった.収量は'豊水'が'幸水'より多かった.2品種とも生育が進むにつれて, 器官別乾物増加量が有意に増加し, 1年間の1樹当たり乾物生産量は, '幸水'が約3.37 kg(15 t/ha), '豊水'が約3.75 kg(17 t/ha)であった.単位葉乾物重当たりおよび単位葉面積当たり乾物生産量は, 生育が進むにつれて有意に増加した.1年間の単位葉乾物重当たり乾物生産量は, '幸水'が約6.33 kg・kg^<-1>, '豊水'が約6.59 kg・kg^<-1>, 1年間の単位葉面積当たり乾物生産量は, '幸水'が0.54 kg・m^<-2>, '豊水'が0.53 kg・m^<-2>で, いずれも品種間差異はなかった.2品種とも生育初期には, 新梢, 葉および細根への分配率が高く, 果実肥大期には果実への分配率が高かった.収穫後は旧枝への分配率が増加した.1年間の乾物分配率については, 品種間差異はなく, 果実に31%前後, 新梢に18%前後, 旧枝に16%程度, 葉に15%程度, 台木部に19%前後であった.2品種とも1日間の単位葉乾物重当たり乾物生産量は生育初期から9月初旬まで高く, その後は徐々に低下した.1日間の単位葉面積当たり乾物生産量も7月初旬から8月初旬まで最も高く, その後は徐々に低下した.'幸水'では1年間の乾物生産量が7月初旬までに42%, 9月初旬までに79%, '豊水'ではそれぞれ44%, 85%が生産された.
著者
大岩 幸太郎 阪井 和男
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

大学における講義・演習で、学生が主体的に調査・報告を義務づけられる課題(レポート)の作成を通して、学生の論理的思考力・抽象的思考力を養われる。本研究の目的は、通常学生が提出するレポートの形式が特定化されたデータベースを作成し、学生がこのレポートをWWWを利用して閲覧できるシステムを提供し、自身がレポート作成の思考過程を、貝体的な評価・解析できる論文作成支援システムの開発を目指すことである。そのために、通常の謙義・演習においてすでに提出されたレポートあるいは新しいレポートを、順次データベースとして蓄積できる学生レポートを入力部を作成した。レポートの課題は、ビデオ(NHK「クローズアップ現代」30分番組)を視聴させ、その内容を[問題提起]、[導入]、[議論]、[結論]の4つのパラグラフ構成とし、[問題提起]・[導入]・[結論]は、40字×5行程度、[議論]は40字×25〜30行程度の形式とした。これをレポート構成時の座標軸と呼ぶ。次に、この提出された学生のレポートから、論理的思考力・抽象的思考力が曖昧な文章を見つけだし、評価した結果を学生に表示できるWWW閲覧システムを開発した。このような、支援システムを通して、客観的なレポートの作成に必要な全体の記述・構成を具体的に習得できるシステム開発を行った。
著者
本橋 豊 金子 善博 三好 美生 佐々木 久長
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

秋田県H町に在住する30歳以上の地域住民2287名を対象に、基本的属性、抑うつ度(自己評価うつ病尺度)、家族や地域の支援度、家族に関連する精神的ストレス、ストレス対処行動、心身の自覚的健康度、メンタルヘルスリテラシー(うつ病のモデル的症例を呈示し、病気の知識と対処方法を尋ねる)、医療への近接度、閉じこもり傾向、死にたいと思った経験の有無、自殺に関する態度、周囲の自殺者の有無、心の健康づくりに関する要望等からなる包括的な質問票を無記名・自記式にて実施した。うつ病について的確な知識を持っている人の割合は若い人ほど高く、60歳を境にその割合が低下することが示された。以上より、メンタルヘルスリテラシーが不足しているのは、中高年であり、中高年に対するメンタルヘルスに関する健康教育に必要性が明らかになった。住民のメンタルヘルスデータをもとに、秋田県H町のメンタルヘルスの状態を地理情報システムを用いて解析し、抑うつ尺度得点やその関連要因の地理的分布を示した。抑うつ尺度得点やストレス度には地理的格差が認められ、地域保健対策を立案する上での優先順因の決定に地理情報の提供が効果的であった。地域保健担当者はこのような地理情報をもとに効果的な健康教育を推進することが可能になると考えられた。また、平成18年度より自殺予防の地域介入を開始する予定の能代市の地域自殺リスクを地理情報システムを用いて事前評価した。地域の自殺予防対策の介入を行う際に、どの地区に重点的な対策を講じるべきかを地理情報システムを活用した事前リスク評価により科学的に考慮することができることが判明した。本研究により、地域のメンタルヘルスリテラシーを測定するための標準化された手法が得られ、さらに地理情報システムを利用した統合的な地域診断システムが確立した。本研究の成果は地域の健康政策への応用が期待される。
著者
有馬 哲夫
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本の戦後放送体制成立に関する従来の研究は、SCAPの民間通信局(CCS)と民間情報教育局(CIE)が、日本の放送機関をどのように改造し、戦後の放送体制を規定した放送法の制定にどのように関わったのかについては論じてきが、それがアメリカ合衆国政府の政策、とりわけトルーマン政権の反共産主義政策(対日占領政策を含む)とどのように関係しているのか、連動しているのかについては考察してこなかった。そこで、本研究ではとくに一九四七年八月二七日に日本側に示されたハウギー・メモと一〇月一六日に日本側に渡されたファイスナー・メモのあいだに起こった変化、つまり、日本放送協会独占体制から公共放送・民間放送並立体制への変化に焦点をあて、アメリカの反共産主義政策(対日占領政策を含む)が、戦後の日本の放送体制の形成にどのように影響したのかを検証した。その結果、1)マッカーサーによる早期占領終結の準備(一九四八年大統領選出馬のため)、2)国際放送開始のための準備、3)のちに米対日協議会を結成するジャパンロビーのメンバーと国防次官ウィリアム・H・ドレイパーによる、いわゆる占領政策「逆コース」、の三つが複合してこの変化を生んだことがわかった。この放送立法の「逆コース」から、公共放送・民間放送並立体制、それに続く民間放送設立ラッシュ、小電力他局化政策、日本テレビ放送網を中心とするテレビ導入の動きは生まれたのだと結論づけた。本研究ではとくに一九四七年八月二七日に日本側に示されたハウギー・メモと一〇月一六日に日本側に渡されたファイスナー・メモのあいだに起こった変化、つまり、日本放送協会独占体制から公共放送・民間放送並立体制への変化に焦点をあて、アメリカの反共産主義政策(対日占領政策を含む)が、戦後の日本の放送体制の形成にどのように影響したのかを検証した。
著者
水野 広祐 白石 隆 本名 純 岡本 正明 見市 建 相沢 伸宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

インドネシアでは1998年のスハルト体制崩壊以降、民主化と分権化の進展によって、政治経済構造が大きく変容している。本研究はこうした地殻変動の実態を、特に地方政治に焦点を合わせて分析することを目的とした。地方政治を理解するにあたり、各研究者が各地の地方政治の特徴を分析するのみならず、インドネシア科学院(LIPI)政治学研究所との協力のもと、地方議会議員の社会学的プロフィールの収集にも努めた。2008年3月末までに、1州95県・市の地方議会議員合計3455人のデータ収集に成功した。2007年末時点でインドネシアには33州464県・市の自治体があることから、県・市については総議員数のうち約20.5%のデータを集めることができた。加えて、2004年から、地方議会議員が首長を選出する制度から直接公選制になり、候補者たちの社会学的プロフィールにも変化が見られている可能性があるとの判断から、地方首長選に出馬した正副首長候補者たちのプロフィール収集も行った。2008年初頭までに行われた297の首長選のうち、64の首長選に出馬した正副首長候補者のデータ収集に成功した。一つ明らかに言えることは、民主化後、都市部の若手中間層を基盤として台頭してきたイスラーム政党・福祉正義党が躍進していることである。ジャカルタ地方議会で第1党に躍り出たことに象徴されるように、イスラーム的倫理に基づく清廉潔白さを売りにして地方議会において着実に勢力を拡張し始めただけでなく、地方首長選では他政党同様に、選挙で勝てる俳優・女優などを擁立して「普通の政党」の様相をも見せ始めつつ、高い割合で正副首長の推薦候補を当選させることに成功している。
著者
出馬 圭世
出版者
玉川大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

申請者は平成20年度から行っていた実際の社会的意思決定時(e.g.,人前での寄付をするかどうかの判断)における線条体の役割を検討した研究、他者が自分に対してどのような印象を抱いているかという評判の処理における脳活動を検討した研究をそれぞれ海外学術雑誌に発表した(Izuma,Saito,&Sadato,2010;in press)。単純なギャンブル課題を用いた意思決定中の脳活動を報告した研究は過去にいくつもあるが、申請者の研究は我々が日常的に体験するような実際の社会的意思決定場面中の脳活動を検討し、その際の特に線条体といわれる脳部位の役割を明らかにした世界初の研究と考えられる。また平成21年度より玉川大学脳科学研究所に異動したのち、社会的報酬の処理に関するfMRI実験を新たに立ち上げた。我々ヒトの日常における行動も多くの場合報酬に基づいて行動の選択が行われていると考えられるが、ヒトの場合は食べ物やお金などの物質的報酬だけでなく、他者からの賞賛や良い評判といった抽象的・社会的な報酬も重要な役割を果たしていると考えられる。申請者はfMRIというヒトの脳活動を非侵襲的に計測できる装置を用い、ヒト特有の社会的報酬に対する脳活動をより詳細に検討し、さらにそれが社会的態度の形成にどのような役割を果たしているかを検討した。我々がある特定の他者に対してどのように振舞うかを決定する場合には、その他者に対してどのような印象・態度をもっているかは重要な要因のひとつであり、ヒトの社会性の神経基盤の解明に向けて重要なステップであると考えられる。既に25名ほどの被験者からデータを取得した。現在それぞれデータ解析を終え、論文を執筆中である。
著者
近藤 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

オオバナノエンレイソウの種子が散布から出芽までに21ヶ月もの長期を要する理由を,胚成長,発根および出芽に必要な温度と光要求の側面から明らかにした。オオバナノエンレイソウの胚は,種子の散布時には小さく未発達であり,胚成長と発根のためには第1回目の低温を必要とし,発根した種子が出芽するためには,第2回目の低温が必要であった。種子の発根率は,変温条件よりも恒温条件で,また明条件よりも暗条件で高かった。
著者
何 燕生
出版者
郡山女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

京都学派を中心とするこれまでの哲学的研究の成果に注意を払いながら、『正法眼蔵』思想の宗教学的研究の可能性とその意義を明らかにしようとした。具体的には、応募者のこれまでの研究成果、特に中国語の翻訳を通じて得た成果を踏まえつつ、『正法眼蔵』の成立と中国語(漢文)との関係について再検討すると共に、難解な書物とされてきた『正法眼蔵』の言葉の性格を考察した。また、『正法眼蔵』諸巻の相互間における思想的連関やテキスト全体の思想的整合性の解明を試みた。これらの作業を通じて、宗教学的な観点に基づく『正法眼蔵』思想の体系的な理解を図ると共に、仏教思想史、日本宗教史上における位置づけの解明を目標としている。
著者
鈴木 貢 藤波 順久
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1_65-1_81, 2008 (Released:2008-03-31)

最近公表されるマイクロプロセッサの殆どが具備するようになったメディア処理向けSIMD拡張命令セットは,ベクタ命令セットの特別な場合と考えられるが,従来のベクタ命令にはない特徴や制約があり,そのための最適化技術をそのまま流用するだけでは潜在能力を引き出すことができない.COINSプロジェクトではSIMD拡張命令セット向け最適化を,ベクタ化を軸としたソースコードレベルで可能な最適化と,そのような変換を施されたプログラムに対して適切なSIMD命令を生成する最適化の2段階に分割し,我々が「SIMD並列化」と呼ぶ後者を中心に研究を行った.本稿では,COINSにおけるSIMD並列化について報告する.
著者
佐々木 理喜子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.52-54, 1941-07
著者
広木 正紀 岡本 正志 村上 忠幸
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

探究学習の観点と環境学習の観点から、小中学生の理科学習に重要と考えられる活動を、国内外から発掘・収集するとともに独自にも開発し、各活動をモジュールの形に整えた。それらモジュール群全体を系統的に整理する諸視点を探すと共に、それら視点間の関係を検討した。以上を踏まえ、探究学習の観点と環境学習の観点を2本の柱とした、新しい理科カリキュラムの骨組み案を試作した。
著者
倉橋 惣三
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼児の教育 (ISSN:02890836)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.2-4, 1952-08
著者
内田 九州男 竹川 郁雄 寺内 浩 山川 広司 加藤 好文 川岡 勉 加藤 国安 小嶋 博巳 河合 真澄 関 哲行 弘末 雅士 稲田 道彦 大稔 哲也 野崎 賢也 伊地知 紀子 松原 弘宣 西 耕生 田村 憲治 神楽岡 幼子 黒木 幹夫 菅谷 成子 若江 賢三 藤田 勝久 高橋 弘臣 吉田 正広 木下 卓 矢澤 知行 岡村 茂 石川 重雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

シンポジウム・研究集会を3年開き31本の報告を実現、各発表は報告書に掲載した。巡礼の諸相の解明では、日本の四国遍路、熊野参詣、西国巡礼、海外では10巡礼地を調査し、キリスト教世界(古代東部地中海、中世ヨーロッパ、スペイン中近世、イギリス中世・現代)、古代ギリシア、アジア(中国中世、韓国現代、モンゴル中世、エジプト中世、ジャワ中世)の巡礼で実施。国際比較では、日本の巡礼とキリスト教巡礼での共通性は中近世では来世での霊的救済と現世利益の実現を願うことであることを示した。