著者
柳澤 伸一
出版者
西南女学院大学
雑誌
西南女学院大学紀要 (ISSN:13426354)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.31-39, 2006-02-28

通説は、スイス誓約同盟が、1499年のシュヴァーベン・スイス戦争に勝利することで、神聖ローマ帝国から事実上独立できた、とする。皆川の近著も、この通説を踏襲している。すなわち、誓約同盟のベルン市の一市民、レープリンがシュヴァーベン同盟のウルム市に対して行ったフェーデを例証として、帝国から独立した誓約同盟と帝国内のシュヴァーベン同盟との間には、帝国の司法の場を含めて、いかなる共通の裁判権威も存在せず、紛争を解決するには、政治交渉か暴力の道しか残されていなかったと断じ、両者の関係を国際関係と結論付けるのである。しかし、誓約同盟とシュヴァーベン同盟の間にいかなる共通の裁判権威もなかったと決め付けることは早計である。というのは、皆川が論拠としているレーブリン家のフェーデ自体、仲裁裁判によって解決の道筋を付けられたこと、1495年以降に誓約同盟に加盟した諸邦とその市民の場合、長く帝国最高法院を免れなかったこと、属邦の場合、自己の存立を確保する上で帝国最高法院に依拠し、その維持費の支払いにも進んで応じたことを確認できるからである。また、両者の問では、対立性よりも共通性の方が目立った。というのは、1499年の戦争を除けば、平和共存が常態だったし、帝国都市が本質的な構成部分であり、その寡頭化とオーブリッヒカイト化が進行するという特徴が共通するからである。

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1917年04月19日, 1917-04-19
著者
中山 真 橋本 剛 吉田 俊和
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.61-75, 2017

<p>本研究の目的は,恋愛関係崩壊後のストレス関連成長に影響を及ぼす個人差・状況要因として,愛着スタイルと崩壊形態の影響を検討することであった。参加者である大学生・短大生184名(男性86名,女性98名)は,過去5年以内の恋愛関係崩壊経験について想起し,成長感尺度,愛着スタイルの各尺度へ回答した。まず,崩壊形態については,片思いよりも交際していた関係の破局(離愛)で,拒絶者の立場については,拒絶者があいまいな場合よりも,相手に拒絶された場合に,それぞれ高い成長が見られた。愛着スタイルについては,関係性不安が低いほど高い成長が見られた。</p>
著者
大松 慶子 石井 良和 山田 孝
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.68-80, 2015-09

我が国の作業療法士が使用する意味のある作業,価値を置く作業,重要な作業など(以下,意味のある作業と略)の内容と特性を,内容分析を用いて検討した。対象は国内で1995 年度から2010 年度に発表されたこれらの言葉を用いた26 件の事例報告論文である。結果,生成したのは《自ら意思表示した》《興味がある》《生活史の中にある》《心身機能と行動の改善を促す》《他者との関係に変化をもたらす》《希望をもたらす》《新たな自分につながる》の7 カテゴリーであった。作業療法士はこのうち《自ら意思表示した》《生活史の中にある》《新たな自分につながる》のどれかのカテゴリーを含む作業を,意味のある作業とみなす傾向があると考えられた。意味のある作業は,クライエントの自分に対する理解と人生にかかわり新たな自分を再構築する,作業療法士が援助する作業であると考えられた。
著者
山野 正彦
出版者
The Human Geographical Society of Japan
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.146-167, 1990-04-28 (Released:2009-04-28)
参考文献数
77
被引用文献数
3 3
著者
谷一 尚
出版者
The Society for Near Eastern Studies in Japan
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.124-137, 1997

During the years 1995-1996, the Yuangzhou Archaeological Excavations in China, funded by Japan Ministry of Education Grant-in-Aid for International Scientific Research, was a Joint Project by Japan and China.<br>During 1995, we discovered the Tomb of Shi Daoluo who lived during Tang dynasty, and was buried in 658 A. D. A Byzantine gold coin (Justin II, 565-578 A. D.) was discovered.<br>During 1996, the tomb of the Northern Zhou dynasty prime minister Tian Hong was discovered, who died and was buried in 575 A. D.<br>Five Byzantine gold coins: one Leo I, the Thracian (457-474 A. D.) coin, one Justin I (518-527 A. D.) coin, two Justinian I, co-regent (527 A. D.) coins, and one Justinian I, the Great (527-565 A. D.) coin were found.<br>This thesis 1) describes in detail and lists Byzantine gold coins excavated in China from 1914 to the present, including the coins from the Tomb of Shi Daoluo and from the Tomb of Tian Hong, 2) considers the background of cultural and economic relations between China and the West.

4 0 0 0 OA 吉田松陰全集

著者
山口県教育会 編
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.第9巻, 1940
著者
遠藤 由美
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.150-167, 2000-02-15 (Released:2010-06-04)
参考文献数
119
被引用文献数
1 1

自尊感情は心理学におけるもっとも重要な概念の一つでありながら, これまで自尊感情とは何かという議論はあまりおこなわれてこなかった。本稿では, これまで明示的に示されることがほとんどなかった自尊感情に関する従来の考え方を探り, 伝統的な「自己」が現実世界の社会的状況や人間関係性から切り離され過ぎていたという問題点を指摘した。次に, 最近提唱されつつある自尊感情への生態学的・対人的視点をとったアプローチを紹介し, これまで整合性のある説明を与えられなかった点について, 新たな観点から議論した。最後に, 今後の研究課題と意義を提唱した。
著者
薬袋 秀樹
巻号頁・発行日
2017-11

本研究の目的は、「公民館の設置及び運営に関する基準」(1959)の解説における『公民館基準の解説』(1962)の意義を明らかにすることである。基準、取扱通達、『公民館基準の解説』の内容を比較し、相互の関係を分析した。その結果、基準を補足する内容を通達で示し、通達の内容を補足する詳しい内容を解説で述べていること、解説では公民館と図書館の連携・協力に関する提案が行われていることが明らかになった。

4 0 0 0 OA 徳川実紀

著者
成島司直 等編
出版者
経済雑誌社
巻号頁・発行日
vol.第七編, 1904

4 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1926年05月04日, 1926-05-04
著者
大竹 政和
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術 (ISSN:04541871)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.1-7, 1980-11-25
被引用文献数
1

関東・東海地域はアジア・太平洋・フィリピン海の各プレートが会合する場所に当たり,3つのプレートの入り組んだ相互作用によって,そのテクトニクスはきわめて複雑な状況を呈している.そのために,地震の発生メカニズムについても不明の点があまりにも多い.しかし,わが国の心臓部を擁しかつ常に大地震の危険にさらされている地域であるだけに,この複雑な場の基本的な構造を解明することば,地震予知研究の立場から見ても第一級の研究課題と言わねばならない.幸い,深層地殻活動観測施設をはじめとする地震観測網の整備が進むに従って,この地域の震源決定精度が格段に向上し,小さな地震の発震機構も精度よく決めることができるようになってきた.こうした良質の地震データを基礎こ,関東・東海地域のテクトニクスを統一的に説明するモデルが生み出された.この統一モデルの概要を紹介し,あわせて,モデルから予測される関東直下の地震の発生メカニズムについて論ずることにしたい.
著者
松田 時彦 由井 将雄 松島 義章 今永 勇 平田 大二 東郷 正美 鹿島 薫 松原 彰子 中井 信之 中村 俊夫 松岡 数充
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大學地震研究所彙報 = Bulletin of the Earthquake Research Institute, University of Tokyo (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.145-182, 1988-11-11

伊勢原断層の両側で試錐調査を行い,試料中の火山灰,14C年代,貝・有孔虫・珪藻・渦鞭毛藻などを調査した.調査地域は,約6000年前頃,内湾性の海域から低湿な陸域に変わった.その海成層の上限の高さ(当時の海抜0m)は,現在標高およそO~-2mにあるが,断層の東側の方が1.6±0.6m高い.この高度差は伊勢原断層の変位によると考えられる.この変位が生じた年代は,地層の厚さの比較から,延暦・貞観年間のテフラ層堆積以後で,宝永スコリア堆積以前である.この""伊勢原地震""の規模は,その変位量などから考えて,M7.0~7.5程度である.また,約6000年前の海成層の上下変位量と約1100年前までのテフラ層の標高差との間に有意の差がないことから,伊勢原地震の再来間隔は約5000年以上である.このような伊勢原地震に最もよく適合する歴史地震は,元慶2年(878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M7.4)である.