著者
青木 学聡
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

オープンサイエンス、研究データ管理の視点から、イオンビーム科学・工学における巨大原子座標を中心とした各種データを扱うための共通基盤の研究を行った。長年の歴史を持つ古典的なイオン衝突シミュレーションの互換性の維持と利便性の向上のため、入出力データに対するプリ・ポストプロセスの開発を行った。また、従来と単原子イオンビームとは異なるクラスターイオンの衝突シミュレーションの事例を収集、整理し、クラスターイオン衝突における解析手法を提示した。
著者
川上 善郎 川浦 康至
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、商店街と商店街に住む人、そして商店街を利用する人々が、私たちにもたらすもの、もたらしたものを研究の対象にしようとする。それらを客観的に把握することで、それらが果たしてきた社会心理学的機能を知ることによって、新しい形の商店街についての構想を生み出すことが可能になる。本研究は、多くの人の成長の過程で体験した商店街のイメージ=心の中のパッサージュを現実の社会の中に再生させる手立てを探り出す試みである。(1)社会調査法による研究からは、商店街の利用意向や利用頻度は、直接地域愛着を高める効果があると同時に、普段商店街を利用する頻度が高いほど、おしゃべりや対人接触といったコミュニケーションを媒介として、地域愛着を高める間接的効果もあることが示された。また、商店街利用頻度の高さが、社会資本を直接促進し、商店街利用頻度の高さは、おしゃべり必要度を媒介としても社会資本を高める間接効果と、買い物の楽しさを媒介として社会資本を低める間接効果も有していることが確かめられた。このことから、商店街の存在が、地域愛着を高めること、また個人の社会資本をも増大させることが確かめられた。(2)2001年時点で存在した商店街のホームページが、その後どのような推移をたどったのかを分析することで、商店街のインターネット利用の問題点を探った。2001年8月時点で運用されていた463のホームページは7年半後の2009年1月で1/4が休止、残り3/4が継続して運用されていた。インターネットでの商店街ホームページの分析結果から、現実の商店街が社会的に成立するためには、個々の商店の存在意義が求められていること、そして商店主と顧客間の個人レベルでの相互作用が欠かせないことが示された。
著者
豊島 邦義
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

双極性障害では、気分が安定した後にも認知機能障害が残存し、様々な場面で生活に支障をきたすことが知られている。認知機能は気分症状の影響を受けやすいため、本研究では気分症状の安定した時期に、事象関連電位、神経心理学的検査、主観的認知機能評価等をおこない、双極性障害の認知機能障害を多角的にとらえることを目的とした。本研究は、双極性障害の認知機能障害に対する新しい治療法の開発に寄与しうるものと考えている。
著者
鰺坂 学 浅野 慎一 岩崎 信彦 杉本 久未子 西田 芳正 西村 雄郎 文 貞實 魁生 由美子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本の大都市では2000年を画期として、長らく続いた人口の郊外化がおわり、人口が都心部に向かう都心回帰といわれる状況がみられる。その原因は、不況により都心地域の地価が下がり、オフィス需要が減少し、余った土地に大型のマンションが建てられ、新しい住民の居住が促進されたためである。本研究では、これらの人口の都心回帰により大阪市における地域社会の構造変容について調査分析を行った。特に都心区における新しい住民と古くから住んでいた住民との関係について、大阪市特有の地域住民組織である「地域振興会」(振興町会や連合振興町会)に焦点をあて、その連合会長らに面接調査を行った。結果として、新住民の地域振興会への参加は少なく、旧住民中心に運営されてきた振興町会の側も新住民への対応に苦慮していること、新旧住民間の交流やコミュニティの形成が課題となっていることが判明した。
著者
葛城 浩一
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究では,ボーダーフリー大学における学士課程教育の質保証の実現可能性について明らかにするために,学部長を対象としたアンケート調査に基づき,ボーダーフリー大学における教育の質保証の実態について明らかにした上で,その実現を促進あるいは阻害する要因についての検討を行った。また,その結果をふまえた上で,教員を対象としたアンケート調査に基づき,教育の質保証の実現を促進あるいは阻害する要因を手がかりに,ボーダーフリー大学及び当該大学教員の教育の質保証の実態について明らかにした。
著者
蓑輪 顕量 林 隆嗣 今水 寛 越川 房子 佐久間 秀範 熊野 宏昭
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

仏教分野は文献を中心に、止観の実践と理論とがどのように形成されたか、実践に伴う負の反応にどう対処したのかを明らかにし、また心理学、脳科学(認知行動科学)との接点を探る。脳科学分野では瞑想時の脳活動を熟練者、中級者を対象に計測し、瞑想時の脳活動を計測し、予想される負の側面について、注意機能に与える影響を検証する。心理学分野ではマインドフルネス瞑想のグループ療法の参加者を対象にランダム化比較試験を実施し、媒介変数の絞り込み、意図通りに進まない場合の対処法、有害事象の有無について検討する。さらに初学者に止と観の瞑想の順番を変えて実習させた場合に生じる問題点、およびその対処方法について検討する。
著者
石下 洋平
出版者
自治医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

ASMR(Autonomous sensory meridian response)は、聴覚や視覚への刺激によって、頭の中がゾワゾワするような心地よさを感じる反応のことである。社会的・医学的にASMRに対する関心は高まっているが、その発生機序は明らかになっていない。その発生には、聴覚野や視覚野、感覚運動野など多領域が相互に関与していると推測される。皮質脳波は脳表から直接脳波を測定するため、時間空間分解能の高いデータが得られる。本研究では、てんかん焦点診断目的に皮質脳波測定を行う脳神経外科患者に協力を仰ぎ、ASMRを惹起しうる動画を視聴させながら皮質脳波を測定し、その発生機序の解明を目指す。
著者
柿崎 裕彦
出版者
愛知医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

目的:本研究は、ミュラー筋の水平方向の延長と眼球周囲平滑筋との連続性を調べることを目的とした。使用標本:10%ホルマリンで固定された日本人の20眼窩(右10眼窩、左10眼窩)。男性8例、女性8例で、年齢は61歳から93歳、平均年齢は78.4歳であった。方法:眼窩縁を360度切開し、骨膜を眼窩先端部まで剥離する。神経、血管や鼻涙管などの骨壁から出ている構造を切開する。眼窩外側壁をはずし、眼窩縁から3cm後方までの眼窩組織を取り出す。その眼窩組織を上眼瞼縁から15mm上方と眼球の3時、9時を含む面で切る。作成された標本は脱水の後、パラフィン処理し、7μmの厚さで切り、マッソントリクロームで染色した。Masson Trichrome.結果:全ての標本でミュラー筋は内側、外側へ伸びていた。内側では、平滑筋を含む内直筋のプリーへ連続していた。外側では、涙腺眼瞼部の被膜を経由して、外直筋のプリーへ連続していたが、12標本では後部で直接に外直筋のプリーへ連続していた。結論:ミュラー筋は内側、外側へ延びて、眼球周囲平滑筋ネットワークに連続していた。本研究によって、ミュラー筋は上眼瞼での独立した構造ではなく、眼球周囲平滑筋ネットワークの一構成要素であることが明らかになった。
著者
李 巍
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

ジンチョウゲ科およびトウダイグサ科植物由来のジテルペノイドは、化学構造と生物活性多様性に富んでいる。本研究では、日本産および中国産のジンチョウゲ科またはトウダイグサ科植物を収集、植物抽出物ライブラリーの構築、系統的な化学成分研究により、強力な抗HIV活性をもつ新規ジテルペノイドを多数単離・構造決定した。さらに、天然物からの半合成により化学誘導体を作製し、これらジテルペノイドの抗HIV活性の構造活性相関を明らかにしたと共に、新規抗HIV薬の創製のための構造最適化を行った。
著者
小池 一男 李 巍
出版者
東邦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

認知症においては、記憶障害・見当識障害などの中核症状と共に、行動・心理的な周辺症状(BPSD)が患者の生活の質を著しく低下する。本研究では、認知症のBPSDに対する漢方薬の有用性を基礎科学的なアプローチにより明らかにすることを研究目的とした。前年度に引き続き、急性認知症モデルのスコポラミン誘発記憶障害モデルマウスにおいて、五苓散の作用を検討した。五苓散はオープンフィールド試験でスコポラミンによる自発運動量の増加を抑制したことに加え、強制水泳試験では、スコポラミン単独投与群よりもさらに無動時間を短縮させたことから、五苓散は急性認知症モデルにおけるBPSDの陰性症状および陽性症状の両方を改善する可能性が示唆された。作用機序については、五苓散の抗コリン作用を中心に現在、解析を行っている。一方、体内の酸化ストレスの亢進は認知症の発症を促進することが知られている。我々は先行研究において、医療用漢方製剤の抗酸化活性を評価した結果、抗お血作用を有する漢方薬は高い抗酸化活性を示すことを明らかにした。今年度においては、抗お血漢方薬の抗酸化作用の詳細を解析した。その結果、実証に用いられる抗お血剤は抗酸化活性の発現に相関が認められるた。漢方薬の中に、通導散と桃核承気湯は最も強い抗酸化活性を示し、構成生薬の中に、ダイオウとオウゴンは最も抗酸化活性に貢献した。現在、これら漢方薬の抗酸化活性を介した認知症のBPSDに対する効果を検討を行っている。
著者
塩谷 剛
出版者
香川大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、「社内外のつながり」と一人の人間が多様な経験と幅広い知見を持つという「個人内多様性」に着目し、経営者(マネジャー)の社内外のつながりが強くなり、個人内多様性が高まるほど彼らの両利き性が高まり、両者は互いにその効果を高め合うという仮説を構築した。この仮説を検証するため、調査対象を戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)に採択されている中小企業の経営者とし、質問調査票及び送付リストを作成した。一方で、組織学会の学術企画に参画し、大企業のミドルマネジャーを対象にした質問票調査プロジェクトに携わり、上記仮説を検証するための質問項目を作成した。このように、本研究では、中小企業経営者と大企業のミドルマネジャーという2方向から仮説検証を行う。また、本研究の前段階として2016年度~2017年度に実施した農業経営者を対象とした質問票調査を用いた研究論文が『組織科学』に採択された。本論文では、企業パフォーマンスに対する経営者の探索2変数(新商品開発及び新市場開拓)と活用の交互作用について検討した。分析の結果、企業パフォーマンスを向上させるためには、経営者は両利きであることが望ましいが、それは探索の内容に左右されることが示された。また、知識源の多様性と異業種経験が探索・活用にもたらす影響についても検討した。知識源の多様化は、農業経営者の選択肢、知識の組み合わせを増大させるが、分析の結果、その効果は活用に限定されていることが示された。また、異業種経験は探索には影響を与えず、活用に対して負の影響を与えることが示された。
著者
堀場 充哉
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

脳卒中後の運動機能や高次脳機能障害に関連する脳領域を評価するとともに、これら関連領域に対して、非侵襲的刺激法の一つである経頭蓋交流電気刺激法(皮膚上から微弱な交流電気刺激を行う方法)を用いたリハビリテーションを実施する。脳卒中の一般的な機能評価およびMRIを用いた脳内のネットワークの変化を収集、解析し、経頭蓋交流電気刺激法を用いたリハビリテーションの効果、回復に寄与する神経基盤について検討する。
著者
北村 明彦 木山 昌彦 野藤 悠 山岸 良匡 横山 友里 谷口 優 清野 諭 新開 省二 西 真理子 村木 功 阿部 巧 山下 真里 陣内 裕成
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

地域住民の疫学研究により、生活因子(身体活動、食事、喫煙、飲酒、精神的ストレス等)、医学的因子(脳卒中、心疾患、動脈硬化、メタボリックシンドローム等の生活習慣病、及び低栄養、サルコペニア、認知機能低下、うつ等の老年症候群)、社会的因子(社会参加、近隣・地域との交流、ソーシャルサポート等)がフレイルの発症に及ぼす影響を中年後期、前期高齢期、後期高齢期の年齢層別に明らかにする。
著者
栗原 伴佳
出版者
札幌医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳血管における側副血行路は、虚血性脳卒中発症時に順行性血流の不足に対して機能する重要な代償機構である。本研究は、脳血管画像から3Dプリンターを用いて作成した脳血管モデル、流体解析による血流シミュレーションなどの技術を用いて、血管閉塞時の側副血行路による脳血流代償機能を非侵襲的に検出するという点に着目したはじめての研究であり、仮想血管閉塞モデルを作成することで、ある特定の血管閉塞時に低灌流で脳梗塞となりうる範囲の予測を目的としている。この予測をもとに、塞栓症罹患時のリスクを定量化し、抗血栓薬使用の適応決定の1つの指標とすることで、介護負担や医療費を削減することを目的とした。
著者
伊澤 良兼 畝川 美悠紀 滝沢 翼 塚田 直己
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

脳血管障害、血管性認知症の発症には、血液脳関門透過性の亢進が関与することが知られている。当研究は過去に報告した脳血管内皮透過性亢進メカニズムに基づき脳血管障害モデルマウス等を用いてRhoK阻害薬、MLCK阻害薬等によるin vivoでの血管透過性亢進抑制効果、脳浮腫・間質液動態・梗塞体積への影響、神経機能保護効果などを評価する。最終的に、同時進行中であるニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトをターゲットとした臨床・基礎研究成果とあわせ、血管透過性制御による脳血管障害、脳血管性認知症の新規治療法の確立を目指す。
著者
結城 美智子 大槻 美佳
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

脳卒中後病的疲労(Post Stroke Fatigue: PSF)は発症率が高く、機能回復・社会生活復帰の阻害要因となり、慢性的な経過を経てフレイルや寝たきりをもたらす重篤な後遺症の一つである。PSFはそのメカニズムは解明途上にあり、発症時期も一定ではないこと、非薬物療法において有効な介入は十分に証明されていないが先行研究で示されている。そこで本研究では、脳卒中患者のフレイル予防の観点からPSFに着目し、急性期から適切に把握し、その改善にむけて有効なケアプログラムを構築すること、同時に、PSFの重症度に関連する生体指標を探索し、この指標も活用し、ケアプログラム介入効果を評価することである。
著者
松本 省二 小山 裕司 石原 拓磨 安田 あゆ子 中原 一郎 沖田 慎平
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

【背景】脳卒中受け入れ病院では、組織的なチーム医療提供体制の整備が不可欠如である。申請者は、脳卒中のチーム医療をICTで支援する<タスカル/TQM (Total Quality Management)プログラム>を開発してき。【目的】日本の約15-30施設に<タスカル/TQMプログラム>を導入し、 導入前後の診療への影響を評価し、様々な病院での<タスカル/TQMプログラム>の有効性とそれに関連する因子解明する。【予想される結果と意義】病院の状況に即した<タスカル/TQMプログラム>の運用方法が明らかとなることで、様々な病院での脳卒中の診療プロセスの改善に貢献できる。
著者
牛場 潤一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2020-11-19

本研究計画では、標的脳領域に選択的に作用する次世代型BMI技術を脳卒中後の臨界期に経日的に適用して、機能代償回路の形成をガイダンスすることに挑戦し、機能回復臨界期が外因的に延長・増大できることを明らかにする。また、その過程で安静時機能結合MRIを計測し、傷害脳の回復期に誘導できる可塑的変化量を同定する。また、運動機能スコアへの利得を算出し、脳卒中後の機能回復臨界期における潜在的回復量を明らかにする。
著者
立石 洋平 松本 武浩 河野 浩章
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳卒中と心不全や心房細動を始めとした心疾患は互いが強く関連し、いずれも生活の質に影響を及ぼす。これらを共通レジストリに登録し、観察していくことは脳卒中・心疾患の包括的な予防医療の展開につながると思われる。一方、レジストリの構築には人的、経済的負担を伴い、継続が困難になる場合が多い。そこで、我々は、すでに使われている地域医療連携ネットワークシステムを利用して脳卒中・心疾患共通レジストリを構築する。さらにウェアラブル端末を利用し血圧や脈拍なども自動格納する。これらのデータや画像および血液データ、生活の質についてのデータを登録し、脳卒中や心疾患発症や死亡などの発生を予測する因子の探索を試みる。