著者
武田 英明 松村 真宏 相澤 彰子 市瀬 龍太郎 相原 健郎 大向 一輝 Cazabet Remy Putzke Johannes 後藤 孝行 朱 成敏 桂井 麻里衣
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

Web上の創作活動は新しい創作スタイル、すなわち大規模かつ物理的接触のないコミュニティにおいてお互いの創作を利用し合うという互恵的関係によって創発的に制作されている。本課題ではこのようなオンラインコミュニティにおける創作活動を分析してモデル化を行い、その支援を行う仕組みについて研究を行った。ニコニコ動画のデータを収集し、そのデータにおける創作の影響関係について、コミュニケーションモデルによって分析し、特徴を明らかにした。またその影響関係を多様な視点で可視化するシステムを構築した。このほか、twitter, 学術論文、Wikipedia 等における共同的作業についての分析も行った。
著者
野尻 伸一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

F(R)、ガリレオン模型、重力子が質量を持つ模型、スピン2の場が重力と相互作用する模型、ドメインウォール模型、ボルン=インフェルト重力、マイメティック模型やユニモジュラー重力など様々な修正重力理論とその拡張を考え、宇宙の発展を記述する模型の構築、また、その検証可能性、理論としての矛盾のなさ等について詳しく調べ、模型に対する制限等を与えた。その結果、ある程度拡張された模型を考え、更にパラメーター等に制限を課すと、ほとんどの模型で宇宙の膨張の歴史を再現することが分かった。ただし、模型としての不自然さを完全に解消する模型はなく、また、量子論的な整合性がそのままでは不十分な模型が多いことも分かった。
著者
岡田 和馬
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

リンゴ品種‘McIntosh’の枝変わりとして発見された‘Wijcik’は,節間が短く,側枝がほとんど発生しないため,細長い円柱状の樹形に生長する.この性質はカラムナー性と呼ばれ,単一の優性遺伝子Coに制御される.本研究では,高精度マッピングによりCo遺伝子と完全連鎖する3つのDNAマーカー(Mdo.chr10.12, 10.13, 10.14)を見出し,Mdo.chr10.12と10.14が信頼性の高いカラムナー性選抜マーカーとして利用できることを示した.また,Co遺伝子座乗領域をDNAマーカー11-1と14-3の間に絞り込み,Co遺伝子座乗領域に挿入変異が生じていることを明らかにした.
著者
渡辺 毅 浜田 穣 渡辺 邦夫 WATANABE Tsuyoshi
出版者
椙山女学園大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1990

スラウェシマカクに関する調査研究は,日本の調査隊によって,1981年以来継続されてきた。当初の問題点は,いくつの種が分布しているのかにあり,形態学的・行動学的・生化学的・遺伝学的研究の総合の結果,7種であるとの結論に達っした。ところが,オ-ストラリアのGroves(1984)と本研究分担者渡辺(1990)によって,雑種の存在が観察・記載され,新たな問題点が発生するに至った。自然条件下での雑種形成に関する研究が必要となり,本研究が計画されたのである。今回の研究は,以下の3点にわたっておこなわれた。1)スラウェシ島中央部に生息するMacaca tonkeanaと南東部のM.ochreataの分布境界域を確定するため,現地を踏破した。自動車を借用して現地を移動しながら,生息するサルたちの直接観察と,現地住民にペットとして飼育されているサルたちの観察調査により,捕獲地点を特定し,また雑種の有無,その程度を記載することで,分布境界線と雑種のゾ-ンを決定していった。今回の調査により,境界線の南西域にあたる100km相当が確認され,雑種と思われる個体の観察もなされた。調査期間の最後に,分担者の渡辺と浜田の2名は,最南西部のM.ochreataとM.brunescensの分布境界域で同様の調査をおこなったが,日数の関係上,将来への予察的調査となった。2)スラウェシ島南部のカレンタ自然保護区に生息するM.maurus(ム-アモンキ-)の1群が餌づけられていて,長期継続観察が可能となっている。この群れは,分担者渡辺によって個体識別が進められ,今回現地参加の松村が長期観察にとりかかった。研究の目的は,社会構造の解明,行動特性の解明にあるが,長期観察により,繁殖の季節性,個体の成長パタ-ン,個体の移出入などが明らかになりつつある。スラウェシマカク7種のうちで,もっとも特殊化の進んだ種は,M.nigra(クロザル)とされているが,この両種の詳細な行動比較は,スラウェシマカクの種分化を解明する上での,キ-ポイントの一つとなっている。3)スラウェシ島の最北端に生息するクロザルは,激しい人為的環境破壊により,分布が寸断され,存続が危ぶまれている。ハルマヘラ群島の一つであるバチャン島にクロザルが生息しているとの情報があり,その生息状況を調べるために,分担者の浜田がバチャン島へおもむいた。アプロ-チに日数のかかる離島であるが,調査の結果,数千頭のクロザルが生息しており,島民のサルへの態度も敵対的ではないため,クロザルの種の保存や今後の研究にとって良好のフィ-ルドであることが判明した。今回の調査により,スラウェシ島において自然条件下で雑種が形成されていることは,ほぼ間違いなく確認された。しかも雑種が1代限りでないこと,つまり妊性のある雑種が形成されていることも確実だ。これは,いわゆる生物学的種(biological species)の定義に反する。それならば,雑種形成をとげている両種は,別種ではなく同種と分類しなければならないのだろうか?スラウェシ島以外の地域において,自然条件下での雑種が存在しているのだろうか?アフリカのヒヒ類とグエノン類,南米のオマキザルなどで雑種の存在が報告されている。これらすべてをそれぞれ同種に変更すれば,生物学的種と矛盾はしなくなる。しかし,われわれは,形態も行動も社会も異なる2種の霊長類を同種と認めるわけにいかない。ここで生起する大問題は,「種とはなにか?」である。これまでの研究成果をふまえてのわたしの見解は,ヒトという動物が一般の動物とややおもむきを異にしているのと同様に,霊長類というヒトも含む分類群もまた,他の動物とやや異なった存在ではないか,とするものだ。このような見解は,当然のことながら,激しい反論を呼ばずにはいられない。近々,発表する予定のこの見解が議論を惹起し,霊長類学,生物学の発展の一助になれば,と期待している。
著者
垣本 直人
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、リチウムイオン電池を組み込んだ太陽光発電のHEMSを開発した。まず、過去30年間の日射量データを解析することにより太陽光発電の信頼性を検討した。一日の供給量と電池の容量から供給が不足する日数が1年に10日くらいになるよう設定した。解析にはマルコフモデルを用いた。つぎに実験を2年間行い、1年目の不足日数が7日、2年目は2日であることを確かめた。また、電池の劣化特性を測定した。使用した電池では約750回の充放電が可能であった。電池のモデル化を行い、充放電の電荷量によって劣化が進行することを示した。
著者
浅井 博 朝日 透
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

琵琶湖の烏丸半島の湖岸において,原生動物ツリガネムシ種の Zoothamnium arbuscula Lake Biwa の大量採集を行った。Ca2+駆動収縮の本体タンパク質のsupaconnectin のcDNA 分析用ペプチッド一次構造解析のためである。最終年度の2014年にやっと大量採集に成功した。ツリガネムシの採集が不可能な期間には,赤血球のCa2+ 依存膜変形,特に,収縮の研究を始めた。牛赤血球においては,顕著な収縮や変形は観察されなかった。しかし,より原始的なジェノパスの赤血球を用いたところ,Ca2+添加によって顕著な赤血球収縮が起きることを発見した。
著者
小林 俊雄
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

エネルギー約300MeV/u、質量数約100の重RIビームを用いた不変質量法による実験では、同じエネルギー/質量領域の入射核破砕片の質量分離が必要不可欠である。この為には約0.1%の分解能を持つ全エネルギー検出器が必要であり、アルゴンにゼノンを少量混合した液体又は固体検出器を開発した。液体窒素を用いた冷却により、単体ガス又は混合ガスを液化/固化する試作機を製作し測定を行った。アルゴン単体の液化と部分的な固化の段階まで進んだ。
著者
服部 峻
出版者
室蘭工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

実世界でスマート空間を実現するには、状況を監視し続け、サービスや構造を最適化する必要がある。しかし、従来の物理的なリアルセンサだけでは、ある場所(空間)ある時間に起きた現象に関して、人々がどのように認識しているか、評判や印象までセンスするのは困難である。そこで本研究では、様々な現象に関して大量のウェブ文書から時空間依存データを抽出するウェブセンサ技術を開発し、その可能性や信頼性を多角的に検証した。
著者
浅野 雅樹
出版者
慶應義塾大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-28

主に大学の授業で使用する新しいタイプの語彙学習を中心とした中級中国語テキストの作成に向けた研究を行った。従来の本文(課文)や文法項目中心のテキストから、語レベルの特徴や難易度に応じた語彙の導入や、日本語の漢語語彙との関係性を利用した語彙の提示方法について考察を行った。また「語彙論体系知識」を教育内容に含めることを提起した。「語彙論体系知識」の中で、いくつかある項目のどれを取り入れるのかという問題に対して、学習者に対するアンケート調査も何度か行い、その結果に依拠して、大筋の結論を得ることができた。さらにテキストの試用版を作成し、その一部を授業等の教育現場で使用することができた。
著者
長澤 榮治 鈴木 恵美 松本 弘 岩崎 えり奈 臼杵 陽 飯塚 正人 泉 淳 辻上 奈美江 ダルウィッシュ ホサム 錦田 愛子 横田 貴之 石黒 大岳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

2011年1月に始まるアラブ革命の各国ごとの多様な展開を、憲法改正などの政治改革に成功した事例から、軍事クーデターや運動弾圧による内戦の勃発とその長期化による大量の難民発生の事例まで、実証的に検討し、その背景となるイスラーム運動など地域の基軸的な諸問題との関係を考察した。また、パレスチナ問題の展開や域内の非アラブ国や域外大国の介入など中東域内政治の構造変容についても分析を進めた。以上の研究の成果を社会に向けて公開・発信した。今後の研究発展の基盤整備のために、アラビア語など関連文献資料の収集を行い、政治動向の情報の系統的な収集・蓄積とアーカイブ化に向けた試作的なデータベースの作成も行った。
著者
山岸 正和
出版者
富山高等専門学校
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2014-08-29

有機半導体を用いた有機電界効果トランジスタ(OFET)は,有機エレクトロニクス実用化のために重要な素子の一つである.このOFETでは,有機半導体と絶縁体界面の伝導チャンネルにおけるトラップなど外因的要因が有機半導体本来の優れた伝導性を阻害していることが報告されている.そのトラップを電荷移動によって予め埋めることのできる電荷移動型の絶縁体の構築を目的に新しい電子受容性分子の合成をおこなった.また,自己組織化単分子膜処理のための初期検討や新たな自己組織化単分子膜分子の合成など,絶縁体を変調することによって有機トランジスタの性能の向上を試みた.
著者
井波 輔
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究はニッケル触媒を用い、従来は報告例の少なかった遷移金属触媒による含硫黄複素環化合物の簡便な合成法を確立することを目的として行ってきた。最終年度である今年度は、これまでの2年間で得られた知見を基にして、これまでに報告例のなかった、硫黄を含むヘテロ芳香環の直接的な切断を伴った環化付加反応を2つ見いだした。一つ目は炭素2位にトリフルオロメチル基を有するベンゾチアゾールとアルキンの環化付加反応である。本反応の直接的な生成物は7員環のベンゾチアゼピンであるが、反応系を加熱することで硫黄の脱離が促進され、6員環であるキノリン環を得ることができる。本反応は形式的に硫黄原子とアルキンの置換反応と見なすことができ、非常に興味深い反応である。また、反応機構解明のために当量実験を行った結果、鍵中間体である酸化的付加体を得ることに成功し、その構造を単結晶X線構造解析によって同定することができた。これによって本反応が芳香環の直接的な切断を伴って進行していることを実験的に確認した。さらに。この反応で得られた知見を基にして、ベンゾチオフェンを基質として用いた場合にも同形式の反応が進行することを見いだした。ベンゾチオフェンを基質として用いた場合、7員環生成物であるベンゾチエピンを良好な収率で得ることができた。本反応では、2位の置換基として、一般的に電子供与性の置換基と見なされるメトキシ基や、電子求引性基として見なされるフルオロ基のどちらも用いることができることを明らかとした。これら二つの反応は、これまで全く報告例のなかった芳香環の直接的な切断を経る環化付加反応であり、得られる生成物が重要な構造を有しているだけでなく、学術的にも非常に興味深い反応である。
著者
中俣 尚己
出版者
京都教育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

中国語話者が日本語を学ぶ際に必要な文法を効率よく記述するために、中国語話者を対象に習得研究を行った。その際に、従来の日本語学での分類を利用するのではなく、あくまでも中国語との対照を意識した上で日本語の分類を行う。その新しい分類で、難易度に差異が存在することを示すことで、従来の日本語学の記述に従っているだけでは、必ずしも中国語話者のために最適な教材は作れないことを実証した。具体的には、累加を表す「も」、数量表現、漢語サ変動詞の自他というテーマを扱った。
著者
渡邊 学 鈴木 徹
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

水産物の冷凍流通は、未凍結での冷蔵流通に比べて可食期間が遥かに長いため、船舶輸送による輸送エネルギーの低減や、食品廃棄の抑制など、環境面では優位性が期待できる。しかし、多くの消費者が冷凍品は美味しくないというイメージを持っており、冷凍流通品の地位は低い。本研究では、マグロとサンマを用いた官能評価を行い、環境負荷と美味しさを統合的に評価することを試みた。この結果、冷凍品は環境負荷が大幅に小さく、美味しさにはそれほど顕著な違いが無いことが示された。すなわち持続可能な社会を実現するためには、冷凍流通を上手に利用することが有効であると言える。
著者
宮内 裕貴
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

今年度は主に2つに分類される研究を平行して進めてきた。一つ目は昨年に引き続き、D.LewisとP.Griceの言語観を考察するという研究である。2人の言語観を考察するうえでかかせないのは、哲学で「命題的態度」と呼ばれる問題についての考察である。命題的態度は従来、例えば「私はクラーク・ケントは空か飛べないと信じている」のような信念文を分析するうえで、命題的態度の発話者Sが「クラーク・ケントは空か飛べない」という命題pとの間に、信じる(B)という関係に立っている、つまりSBpという構造を命題的態度が持っていると考えられて来た。この命題的態度についてS.Schifferの著書The Things We Meanを手がかりに研究を続けて来た。命題について問われるのはその存在論的身分である。一般的な物と違い、命題は目に見えるわけでも触れるわけでもない。しかしSchifferはPleonastic Propositionという命題を導入する事により、この命題が従来の存在論の中に組み込まれても従来の存在者の数を保存拡大(変化させない)ことにより、命題が存在する事によって生じる問題を排除したうえで、命題が存在するという立場をとる。このSchifferの立場が擁護可能かということを考察するのが今後の課題である。二つ目はD.Lewisが著書Conventionにおいて、conventionという概念を合理的再構成することによってconventionという概念の正当化を行ったことの意味を研究することである。論理実証主義者が算術命題の必然性を説明するために「規約主義(conventionalism)」という考え方をとり、その規約主義への批判がV.O.Quineらによって積極的になされ、その結果言語にconventionが存在するという考え方自体が否定されることを通して、conventionという概念自体が曖昧な概念だとみなされたことに対して、D.Lewisはconventionの概念(特に言語の中に存在する事)を全うな概念であると擁護し、それらの見解に対してアンチテーゼを提出したということができよう。問題はLewisがたとえconventionという概念を合理的再構成することによって正当化できていたとしても、その正当化はあくまで規約主義批判への応答という文脈に立ってなされていることである。これはどのようなことかと言うと、Lewisがconventionの概念を正当化するうえで、合理的再構成という手段をとったのは規約主義批判への応答の手段としてではないかということを明らかにする必要がおるからである。つまりLewisは現実にconvention(規約、慣習)のあり方を見て、実際に人々がどのように慣習にのっとって振る舞っているかを見て、そこから現実に成立しているconventionのメカニズムを探すことによってconventionの概念を正当化するという手段をとらなかった。Lewisはこのように現実的にconventionが成立している地点から出発することも可能だったはずである。しかしLewisはそういった地点からconvention概念の正当化をしようとはしなかった。この点についてもっと研究を進める必要がある。
著者
村山 伸子 石川 みどり 大内 妙子
出版者
新潟県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、現代日本において家庭の経済状況は、子どもの食生活と栄養状態に影響するかについて明らかにすることを目的とした。母子生活支援施設と連携し生活保護受給世帯、NPOフードバンクと連携し生活困窮世帯の子ともの食生活について3つの調査をおこなった。その結果、家庭の経済状態は、子ども食生活に影響することが明らかになった。特に低所得(生活困窮)世帯の子どもの食事について、欠食が多く、主食に偏り、たんぱく質やビタミン、ミネラル等の栄養素摂取量が少ないという課題があることが示された。
著者
佐藤 香苗 山内 太郎
出版者
天使大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

包括的な栄養アセスメントにより、血液透析患者の栄養状態・ QOLの維持向上の方策として、透析日の生活活動と亜鉛摂取量の増加が重要であることを見出し、透析中に行う低強度運動プログラム(ストレッチ・マッサージ)を開発した。このプログラムは、患者の身体能力や意欲に応じて選択可能な段階的コースを用意するとともに、患者が自己の最適ペースで実施できるよう、教育メディア(DVD)を制作した。また、亜鉛強化菓子を考案し、透析後に提供して栄養指導の動機づけとするダイエットプログラムを開発した。これらのプログラムの介入効果として、患者の貧血改善や下肢の筋肉量の増加、身体機能の向上が示唆された。
著者
大森 義明 ライト オードリ
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

Han and Hausman(1990)とMeyer(990)により提案されたのと似た,柔軟なパラメトリック・ベースラインハザードを持つ比例ハザードモデル(PHM)にYamaguchi(198)の固定効果最大尤度法(FEML)を拡張する.この手法を用い,米国の若い男性のサンプルの勤続年数モデルを推定し,観察不可能な固定効果を考慮し損なうと,教育の負の効果に下方バイアスが生じることを示す.
著者
鈴木 秀典
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

Monkeyを用いた脊髄損傷モデル作成のための、全身麻酔や術後管理手法、モデル作成方法など多くの基礎的な知見を得た。またAllodyniaについて、Rat&Mouseを用いて、適切な評価スケールを作成し、客観的なスケールを用いて神経障害性疼痛を示すことに成功した。CFを用いた移植治療では、急性期においてはげっ歯類同様に良好な軸索の再生が確認された。短期評価のため、下肢運動機能の回復については未確認なデータであり、今後の検討課題である。
著者
吉崎 貴大
出版者
東京農業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

本研究は、1) 時計機構の乱れる可能性がある交代制勤務者において、心臓目律神経活動の24時間の概日リズムを評価すること、2) 成人男子学生を対象に食事時刻の違いが心臓自律神経活動の24時間の概日リズムと血中脂質に及ぼす影響について検討することを目的とした。日常生活下における調査では、医療施設に勤務する日勤者(14名)および交代制勤務者(13名)とし、身体活動、自律神経活動、睡眠、食事、眠気、疲労、気分等に関するモニタリングを実施した。その結果、日勤日では、概日リズムに影響する外部刺激(身体活動、睡眠、食事)は交代制勤務者と日勤者との間に有意な差がみられなかった。しかしながら、交代制勤務者は日勤日における概日リズムの頂点位相が日勤者に比べて有意に後退しており、睡眠-覚醒リズムや勤務時間帯との時間関係が適切でない状態であることが示唆された。一方、食事時刻に関する実験的な検証では男子大学生(7名および14名)を対象とした。研究デザインは前後比較試験および並行比較試験とし、2週間にわたって食事時刻を変えることが概日リズムの頂点位相に及ぼす影響を検討した。なお、介入中は1日3回の規定食以外の飲食を禁止し、運動、昼寝の制限を指示した。さらに、起床は6:00、就寝は24:00を維持するよう指示した。その結果、2週間にわたって1日3回の食事時刻を5時間ずつ遅らせたところ、概日リズムの頂点位相が有意に後退した。また、食事時刻を5時間ずつ前進させたところ、食事時刻を変えなかった対照群に比べて概日リズムの頂点位相が有意に前進し、さらには血中脂質が有意に減少した。それゆえ、本研究で得られた知見は、概日リズムの変調を起因とする症状・疾患に対して、食生活を整えることが重要である可能性を示唆しており、将来的に一次予防策を提案する際に、貴重な基礎資料となることが期待される。