著者
出口 顕 片岡 佳美 石原 理
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代の欧米で、異性愛の夫婦と彼らの生物学上の子供たちから構成される中流階級の白人核家族は、揺らぎ多様化している。グローバル化の中で国境を越えて親子関係が形成されることも稀ではない。外国から養子をもらうことで形成され国際養子縁組家族もその一例である。本研究は、北欧社会の事例を中心にその特徴を以下の結論をえた。第一に、国際養子縁組家族では、従来の核家族を構成する「文化」と「自然」が反転している。第二に、国際養子自信は受け入れ国の市民として自己規定するのに対して周囲は出生国や生物学的つながりを重視し、それが養子に対する「差別的」ステレオタイプにつながっている。
著者
東 登志夫 菅原 憲一
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

メンタルプラクティス(MP)の実践においては対象者が運動イメージ(MI)を鮮明に想起していることが前提となるが, 1人称MIを想起することは容易ではない.そのため,効果的なMPを実践するには,この1人称MIの鮮明度を十分に確保する必要がある.本研究では対象者が1人称のMIを想起する際に,想起する課題に関する感覚情報を提示することで,1人称MIの鮮明度が強化されるという仮説を立て,大脳皮質運動野興奮性の変化と主観的なMI鮮明度評価の観点から検証した.その結果,動作に関連した聴覚情報や視覚情報の負荷した条件では対象者の主観的なMIの鮮明度を高め,またMI中の大脳皮質運動野の興奮性も高値を示した.
著者
杉山 成
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

溶液中で育成させることが常識とされてきたタンパク質の結晶化を、高温にさらすことなく固化したメビオールゲル中で育成させる、世界で初めての結晶化技術を開発しました。この技術によって、結晶に損傷を与えること無く、再現性のある高精度なX線回折データを得ることが可能となりました。さらにメビオールゲルは、タンパク質結晶の核発生を促進すると共に、メビオールゲル中結晶は、浸透圧ショックにも強いことが明らかとなりました。これらの成果は、固相ゲル中で育成させる結晶化技術の汎用性を高める結果となりました。
著者
津 富宏 小長井 賀與
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の第一の成果は、長所基盤モデルに立った、犯罪者(特に、少年犯罪者)の社会復帰のありようについて、理論的な検討を深めたことである。その結果、専門書及び少年院出院者の手記の二冊の書籍を発刊し、さらに、鍵となる翻訳書が最終校正中である。第二の成果は、アクションリサーチを通じて、少年院出院者の相互支援団体が立ち上がり、運営上の経験を蓄積したことである。同団体の理事長は、非当事者である私から、当事者に間もなく移行し、真の当事者団体へと進化するところである。
著者
郷間 英世 小谷 裕実 池田 友美 落合 利佳 大谷 多加志 鈴木 万喜子 中市 悠 木村 由里 郷間 安美子 川越 奈津子
出版者
京都教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

現代の子どもの発達の様子や問題点を探るため、過去50年間の発達検査の資料の検討、および、保育園幼児の認知発達や社会生活能力の検討を行った。標準化資料の50%通過年齢や項目別の年齢別通過率の検討の結果、1954年から1983年にかけては、子どもの精神発達が促進した時代、1983年から2001年にかけては、発達が遅延してきている時代と考えられた。また、現代の幼児の発達は、認知能力は男女差を認めなかったが、社会生活能力や描画発達は男児で女児より遅れると言う結果が得られ、最近の発達障害や「気になる子」の増加と関連があると考えられた。
著者
谷内田 正彦 石黒 浩 八木 康史
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

平成6年度には双曲面鏡をテレビカメラの前に設置した新たな全方位視覚センサの試作,全方位視覚センサからの情報を用いた環境の大局モデルの作成,大局モデルを用いた移動経路の計画と更新について研究を行った.平成7年度には以下の研究を行った.[1]注視物体の発見:局所視で注視すべき物体を発見する方式の研究を行った。注視物体としては、(1)作業対象となる物体、(2)目的地に移動するときの経路の目印(道しるべ)となるもの、(3)通行を妨げる障害物(狭い通路)、(4)不審物、(5)衝突の危険のある移動体(人など)である。それぞれを発見する専門家モジュールを作成した。これらの専門家モジュールが常に大局モデルを監視し、候補が見つかれば局所視を起動して検証するという方式をとった。[2]局所視による注視物体の詳細な立体形状の認識:発見された注視物体の候補を局所視で注視しながら移動し、その詳細な立体形状を認識する研究を行った。注視すべき物体の3次元位置と形状は大局視により概略分かっているので、物体がカメラの中心にくるようにカメラを回転し、画面いっぱいに写るようにズ-ムを制御し、また鮮明な画像が得られるように焦点調節する。いくつかの視点から対象が観測されるので、三角測量の原理から対象の3次元形状を求めた。[3]統合視覚システムの試作と実環境での評価:大局視、局所視を一体化した視覚システムを作成した。また、大学の廊下や実験室などの実験境下で実験を行ない、良好な結果を得た。
著者
臼井 三平 加藤 和也 中山 能力 今野 一宏 森 重文 齋藤 秀司 並河 良典 藤木 明 大野 浩司 佐竹 郁夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

混合版多変数SL (2)軌道定理を証明した。混合版ボレル・セールコンパクト化、混合版SL (2)-軌道の空間、混合対数的ホッジ構造の分類空間を構成し、これらの成す基本図式を得た。これにより混合版の対数的ホッジ構造の基礎理論がほぼできあがった。以上の結果とホッジ予想や鏡対称性などとの関連も注目されるようになってきた。
著者
井口 聖 奥田 武志 杉本 正宏 浅山 信一郎
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ミリ波帯での高精度モニター観測によって、巨大銀河の中心から周期的に時間変化する強度変動を発見することに成功した。この結果とこれまでの観測結果から、巨大銀河の中心にはバイナリーブラックホールが存在する可能性を示唆できた。ブラックホール同士の合体は宇宙空間において最も壮大な自然現象の内の1つである。さらに、本結果は超巨大ブラックホールへの成長過程の中でブラックホール衝突が深く関わっている可能性を示したと考える。
著者
青柳 暁子
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

小児歯科診療時の小児患者・保護者・歯科医師のストレス反応を同時に評価し、心理特性との関係を相互に検討することとした。非浸襲的な歯科治療において小児自身の歯科恐怖度、治療時間、来院回数は小児のストレスに影響を与えなかったが、特性不安が高い小児ほどストレスを感じていることが示唆された。また母親の歯科恐怖度、不安や歯科医師の不安は小児のストレスに影響しないことが示唆された。
著者
浜名 恵美 近藤 弘幸 楠 楠 明子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

世界シェイクスピア上演(翻訳、翻案も含む)に焦点をあわせて「演劇をとおした異文化理解教育」の研究を行った。シェイクスピアと異文化理解教育の接合に関しては、本研究代表者が実質的にパイオニアである。本研究では、次世代の研究者と共に、異文化理解教育に資する世界シェイクスピア上演を理論と実践の両面から解明する基盤の構築を行なった。3年間で、異文化理解教育に資する世界シェイクスピア上演の多様な実例を見出すと同時に、今後の世界シェイクスピア演劇をとおした異文化理解教育のあり方に有意義な提言を行うことができた。
著者
方 欣
出版者
浜松医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

視床下核への脳深部電気刺激術(STN-DBS)の機序を解明するために、MPTPサルパーキンソン氏病モデルにおける分子イメージング研究を行った。サルは、MPTP注射を受け、パーキンソン氏病モデルを作成し、刺激電極留置手術後、行動判定テストでSTN-DBSの効果を確認した。これらのサル(3頭)において、H_2^<15>Oを用いて、サル脳血流の変化を測定した。STN-DBS施行中の、脳血流をPETで測定した結果は、STN-DBS側の運動野、補助運動野、上頭頂葉、視床、と対側の小脳の血流増加であった。次に、有効な電気刺激(刺激頻度145HZ、持続時間60μs、電圧2.8v)又は手運動における、サルのドパミンD^2受容体の変化を、MNPAを用いて測定した。STN-DBS対側の淡蒼球、尾状核の一部におけるMNPAの取り込みが高くなり、前帯状回と刺激側のLIP野の一部では低くなった。これらの結果によって、STN-DBSはパーキンソン病における視床下核の過興奮を抑制し、引き続いて視床を過抑制の状態から解放し、視床から投射している運動野、補助運動野、及び対側の小脳半球等運動相関神経回路を活性化し、パーキンソン氏病モデル動物の運動能力を高めることが推測される。更に、パーキンソン氏病の病態生理として、ドパミン神経の減少に伴い、pre-synaptic dopamine transporter (DAT)およびD^2受容体のdynamicな変化は、STN-DBSの効果に影響する可能性がある。そこで、線条体破壊モデルラットとMFB破壊モデルラットを用いて、DATとpost-synaptic D^2 receptorを反映する放射性トレーサーを使用して、DAT及びD^2受容体の変化パターンを研究した。結果として、ドパミンのreuptake inhibitorであるD-amphetamineによる回転運動とDATを反映する[11C]CFTの取り込みは線条体破壊でもMFB破壊でもほぼ同様の変化がみられ、いずれのモデルでも強度は違うがpre-synaptic機能は障害されているものと考えられた。一方、D^2受容体のagonistであるbromocriptineによる回転運動とD^2受容体トレーサーの取り込みは、線条体破壊とMFB破壊では正反対であり、post-synaptic D^2受容体機能は線条体破壊ではdown-regulateされ、MFB破壊ではup-regulateされているものと考えられた。パーキンソン氏病においては、初期には黒質のドパミン神経の脱落に伴い、線条体におけるpost-synaptic機能はup-regulateされていると考えられており、MFB破壊モデルはこの状態に類似している。一方、線条体の虚血などによって引き起こされるパーキンソン症候群においては線条体のpre-およびpost-synaptic機能の両方が障害されており、線条体破壊モデルはこの状態に類似する。このような違いはパーキンソン病モデルラットを用いる研究において十分に考慮される必要がある。
著者
宮本 和子 米倉 雪子 KOMA Yang Saing
出版者
獨協医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

体重測定調査結果で、乳幼児が徐々に慢性的な低体重になることに村ボランティア・養育者共に気づいた。乳幼児の低栄養‐低体重‐感染症の関連を考える機会にもなった。離乳食の試食で乳幼児が「食べる姿」を目にし、村にある食材で簡易・安価に離乳食が作れると理解したが、農村部ではその習慣が乏しく各家庭で継続的に行うことは容易ではない。生計記録の一例を見ると、農業生産で自給でき、現金収入も得ている家庭では栄養バランスがよく、低体重児・疾病も少ないと推測された。結果報告会に参加した村人の関心も高かった。農村部の乳幼児の低栄養・健康改善には農業生産向上による食糧自給と収入向上が有効かつ実現可能な手段だと考える。
著者
永田 貴聖
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

新しいフィリピン人たちが行う、移動定着というモデルでは捉えられない、移動することそのものを生活基盤とする実践を検討する。この研究を通して、定住を前提とする市民権の在り方、国民国家と個人の関係の在り方を再考する。具体的には、80年代、女性芸能人の来日が急増し、現在まで続いているフィリピン人の移動が変化しながらも関連性をもつ動向であることを解明する。
著者
内田 若希
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

研究1の目的は,中途障害のパラアスリートを対象とし,①自尊感情の多面的階層モデルの検証および②身体的自己知覚とデモグラフィック要因との関連性の検証を行うことであった.この結果,多面的階層モデルは支持されなかったが,スポーツドラマチック体験によって身体的自己知覚が規定されることが明らかになった.研究2では,聴覚障害のアスリートを対象とし,①性および競技レベルによる自尊感情の差異の検証および②自尊感情と年齢,競技年数,およびスポーツドラマチック体験との関連性の検証を目的とした.この結果,スポーツドラマチック体験が有意に自尊感情を規定することが示された.
著者
安井 夏生 高田 信二郎 松井 好人 高橋 光彦 二川 健 谷口 寿章
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

<家兎実験>家兎脛骨を用いて骨延長実験を行い、術直後よりbisphosphonate(minodronate)を腹腔内投与し、延長仮骨における骨吸収を抑制した。また延長終了時に仮骨内にFibroblast Growth Factor(bFGF)などの骨成長因子を局所投与し、骨癒合に及ぼす影響を観察した。それぞれの実験でテトラサイクリン2重標識を行い、骨形態計測にて延長仮骨のリモデリングを観察した。対照群(生理食塩水投与群)では延長仮骨は典型的な3層構造を呈したが、bisphosphonate投与群では骨吸収層(骨改変層)が消失し、延長仮骨は骨透明層とそれをはさむ骨硬化層の2層構造を呈した。FGF投与群では骨癒合が有意に促進された。骨形態計測によるとbisphosphonate投与群では延長仮骨での骨吸収が著明に抑制されているが、骨形成は対照群と比べて差が無かった。FGF投与群では骨形成が著明に充進していた。DEXAおよびp QCTで延長仮骨の骨密度を測定したところ、bisphosphonate投与群もFGF投与群も対照群に比して有意に高い骨密度を示し、結果的に骨癒合期間の短縮が見られた。延長終了後3週間で抜釘し、3点曲げ試験にて延長仮骨の強度測定を行った結果、bisphosphonat投与群の仮骨はコントロール群の仮骨に比して有意に高い骨強度を示した。以上の結果から骨延長における骨吸収の抑制と骨形成の促進は、ともに延長仮骨の骨癒合を促進し、結果的に治療期間を短縮させると結論した(Bone 2006印刷中)。<マウス実験>マウス下腿骨を延長するために小型のリング型創外固定器を独自に開発した。このシステムの確立により遺伝子改変動物の骨延長が可能となった。マウスでも延長仮骨は中央にfibrous interzoneを有する層状構造をとり、延長を停止すると速やかに骨癒合が完成した。またbisphosphonate投与によりマウスでもリモデリングが抑制され、骨癒合が促進される傾向にあった。骨延長に伴う下腿三頭筋の長さや質量の変化を計測したところ、延長量に比例して両者は増加することが分かった。ただし筋肉の断面積は延長中いったん減少し、延長を停止すると元にもど回復する傾向がみられた。Chondromodulineやosteoactivinのノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを用いて行った骨延長の実験結果については論文作成中である。
著者
森山 茂栄 小汐 由介 福田 善幸 竹内 康雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

ニュートリノが出ない二重ベータ崩壊を観測することにより、ニュートリノの性質を決定するとともに、ニュートリノの絶対質量を測定することが期待されている。本研究の目的は、そのための基礎原理及び技術を開発することにある。本研究では、キセノンに含まれる136Xeが二重ベータ崩壊可能な原子核であるとともに、液体キセノンが良いシンチレーターであることを利用する。特にバックグラウンドを低減するために、常温高圧の液体キセノンを透明な容器にいれ、特殊な光学系で測定することにより、感度の向上を図るものである。ここに含まれる研究開発は、1耐圧アクリル容器の開発、2波長変換材の開発、3常温液体キセノンの発光量測定、4ダブルフォーカス型検出器の開発、5バックグラウンドの見積もり、6プラスチックシンチレータを用いた容器の開発である。本研究で最も重要であったのが、2の波長変換材および3の常温液体キセノンの発光量である。1については、アクリル容器からの水の放出が問題となるため、(2)で開発する波長変換材等の膜により保護することとなった。2については、興味ある一定の成果が得られた。ポリスチレンの母材に、TPB(テトラフェニルブタジエン)を4%混合させることで、49±4%の変換効率が得られた。この効率とは、液体キセノンの発光である175nmの真空紫外線が入射した場合に、可視光として放出される光子の数の比である。この変換は、液体キセノンの発光よりも早く、発光の信号の時定数は、液体キセノンの発光の時定数との違いは見られなかった。残念ながら、この波長変換材を液体キセノンにいれて測定した場合、波長変換材が液体キセノンにより浸食されることがわかり、効率として20%程度に下がってしまうことがわかった。アクリルの保護の役割や、長期安定性などを含めて、今後研究が必要である。3常温液体キセノンの発光量については、大変面白い結果が得られた。圧力5.57MPaG、摂氏3度における発光量と、圧力0.06MPaG,摂氏-100度における発光量とを比較すると、前者が後者の0.85倍という結果が得られた。両者で光の収集効率が異なる可能性がありその効果を現在見積もり中であるが、常温高圧での液体キセノンの発光量を測定するのはこれまでに無く、重要な進展である。4については、装置を作成したところ、検出器内面の反射率が低いことがわかった。今後測定・改良を続けていく予定である。5、6については、4までの成果の延長上にあるため、今後の課題となった。
著者
草原 和博 棚橋 健治 溝口 和宏 桑原 敏典 鴛原 進 橋本 康弘 山田 秀和 渡部 竜也 藤本 将人 田中 伸 田口 紘子 後藤 賢次郎 小川 正人 川口 広美
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,社会科教育研究の日米比較を通して,それぞれの学界で確立されてきた研究方法論を抽出し,再構成することで,国際的な研究交流にたえうる「研究法ハンドブック」を開発しようとした。米国の研究者を招いたシンポジウムでの討論と聞き取り調査,ならびに文献調査を踏まえて,効果が期待される以下3つの方法論を導出し,論文作成の手続きを定式化することができた。(1)規範的・原理的な提言(2)実験的・実践的な開発(3)実証的・経験的な研究。
著者
ビアワーゲ アンドレアス
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

数値シミュレーションにより、高エネルギー粒子駆動MHDモードの線形成長率、非線形飽和レベルと非線形発展に対し、プラズマ形状、圧力、圧縮性が重要な影響を与えることを見いだした。一方、粒子輸送はこれらの影響をさほど受けない。粒子輸送に対しては、初期の粒子分布関数形がより重要であると考えられる。分布関数の役割を同定するための新しい数値手法を開発したので、今後、輸送機構の解明を行っていく。
著者
PAUL Close DAVID Askew
出版者
立命館アジア太平洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本年度は、本研究プロジェクト「アジア太平洋の国際政治経済学と人権」の最終年度に当たる。今までの研究を包括する形で、単著『Asia Pacific and Human Rights : A Global Political Economy Perspective』をイギリスの名門出版社Ashgateから出版した。本書では、国際政治経済学という視点に立って、アジア太平洋地域における人権というテーマを検証した。本書同様、本研究プロジェクトでは、グローバルな文脈において、国際経済政治学の方法論・洞察に依拠しつつ、アジア太平洋地域における人権の展開を、個々の具体的なケーススタディを通じて、また普遍主義的な思想史的な視点から、論議してきた。その際、グローバルな文脈では特に政治的・経済的・文化的な過程としてのグローバリゼーション、また人権をめぐる言説における政治的配慮・政治的力学の存在に注目してきた。グローバリゼーション(特に文化的過程としてのグローバリゼーション)と国際政治経済学というテーマについては、上記の著書に加えて、『Football Goes East : Culture and Business of the Global Game in China, Japan and Korea』という共著も出版した。これらの具体的研究成果に加えて、2004年度には、他に、4本の研究論文、2冊の共著を公にしている。
著者
三橋 晃
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本年度実験の目的は,試作されたペースト/ペーストタイプ光硬化型グラスアイオノマーセメント(GIC)の有用性を調べるために,接着界面の形態学的観察ならびにCa分布,Fの歯質拡散性を計測するとともに,接着強さの測定を行った.実験材料には,レギュラー(FR-100)とフロー(FF-101)の2種類の光硬化型GIC、コントロールとして,粉/液タイプ光硬化型GICのFuji II LC(GC)と従来型GICのFuji Type II (GC)を用いた.接着界面の観察およびCa, Fの測定のために、各セメントを充填したウシ歯冠象牙質試料を37℃精製水中に1日保管後,アルゴンイオンエッチングを施し,EPMA-8705(Shimadzu)にて,接着界面のCaとFの点面分析を行った.剪断接着試験ではウシ歯冠部象牙質を#600の耐水研磨紙にて研磨し,接着面積をφ4.6mmに規定し,各歯面処理後に37℃精製水中に1日,1週,1ヶ月保管後インストロン型万能試験機にて,C.H.S.1mm/minで,剪断接着強さを算出した.接着界面の観察では,Fuji II LCに約1μm弱の明瞭な樹脂含浸層様構造物が観察されたのに対し,ペースト/ペーストタイプGICでは,明瞭な構造物は観察されないもののそれぞれ良好な接合状態を示した.象牙質へのFの平均拡散距離は,1週水中保管後で接着界面からFR-100で8.98μm, FF-101で8.53μmと,Fuji II LCの5.09μmを超える値が示された.ペースト/ペーストタイプGICの剪断接着強さは,粉/液タイプGICに比較し有意に高い値が示され,本材料の操作性及びぬれの良さによる優れた窩壁密着性が接着強さを上昇させる要因になっていることが考えられた.以上の結果から,新規2種ペースト/ペーメトタイプ光硬化型GICは,優れた歯質接着性,フッ化物(F)徐放性,操作性を有する修復材料であることが示された.