著者
松永 信博 千葉 賢
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

研究代表者は,有明海の環境研究を通して,梅雨期において諫早湾内では,諫早湾全体にわたる大規模な塩淡成層が形成し,ある時は湾奥部は通常海水の半分まで低塩分化し,ある時は通常海水に回復するという現象を見出した.本研究プロジェクトでは,この塩淡成層は有明海に流れ込む河川水によって作られ,成層構造の出現と消失プロセスは局地風に起因するという仮説の下,河川からの淡水供給と風応力を組み込んだ3次元流動モデルを開発し,再現計算を行った.その結果,成層構造は主に筑後川からの河川水に起因しており,諫早湾において卓越する北北東の風と南南西の風が成層構造の出現・消失プロセスに寄与することが明らかとなった.
著者
宮下 志朗
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

16 世紀にアントウェルペン(アントワープ)に移住したフランス人によって作られた、ヨーロッパ随一の印刷・出版工房を中心として、「文芸の共和国」をキーワードに、広い視野で文学・芸術を見るという目的は、一定の成果を収めることができた。プランタンが出版した『フランドル語・フランス語対照ことわざ辞典』にラブレーの短文が引用されていることを新たに発見した。アントウェルペンで活動したブリューゲル(《フランドルのことわざ》の作者だ)とラブレーとが、「ことわざ」を媒介として、間接的ながらつながった。このことをブリューゲル展のカタログで日本語と英語で発表し、確実な反響を得たのが一例といえよう。また、本研究の実践態として、この 10 年間、ラブレーの翻訳に傾注してきたわけだが、2012 年に『第五の書』を上梓して、この苦しい作業を終えたのも、大きな成果だと思う。そして、この《ガルガンチュアとパンタグリュエル》全 5 巻の翻訳に対して、「第64回読売文学賞」「第18回日仏翻訳文学賞」という2つの価値ある賞を受けることができた。研究者としては、科研費による研究の意義をしっかりと確認することができた。
著者
中村 幸男 Nguen Cong Minh 東平 光生 川村 匡弥
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、単体的複体から定まる代数であるStanley-Reisner環を中心として、単体的複体の持つ離散数学的な性質とStanley-Reisner環の持つ代数的な性質の関連を調査することを目的としたものである。成果としては、Stanley-Reisner イデアルの通常べき、及び記号的べきによる剰余環のk-Buchsbaum性に関するものがある。
著者
大沼 雅也
出版者
成蹊大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、ユーザー自らがイノベーションを起こし、それが企業によって製品化され、普及する過程の背後にあるメカニズムを探求することにある。こうした目的に向けて行われた本研究の成果は大別すると二つある。第一に、ユーザーイノベーションをめぐる既存研究を包括的に整理し、ユーザーイノベーションに関して企業が直面する組織・戦略的課題を明らかにしたことがある。第二に、その課題を実証するための定性・定量データの収集および分析の結果、今後の研究の礎となる一定の知見が得られたことがある。
著者
升島 努 津山 尚宏 水野 初 原田 隆範
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

細胞1ヶ生きた様子を見ながら、変化の瞬間、その細胞1ヶの中見たい所を吸引し、10分以内にその分子群を質量分析で網羅的に検出する事に世界で初めて成功した。本手法をアレルギー細胞の細胞質と小器官の一つ顆粒内の分子分布・代謝解析、神経分化細胞の分化時の分子変化、植物の光応答や機能分子生成、薬物の肝臓細胞での代謝直接分析、その超微量性を生かして、汗腺一滴の分子分析に応用し、その豊かな可能性を検証した。
著者
森野 聡子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、ウェールズ語の「グウェリン」こと民衆が、19世紀末においてウェールズ国民のアイコンとして構築されたイデオロギー的背景を考察した。グウェリンはジェントリ・資本家に対する労働者階級ではなく、前産業社会の農村共同体に生きる素朴な民衆という文化概念であり、ポスト産業社会に入った連合王国の構成員としてウェールズ人が体現すべき国民象として創造された。また、民衆の話し言葉をもとにウェールズ語の標準化や正字法の確立がめざされ、民衆向け雑誌を通じウェールズの歴史が編制され、ウェールズ文学作品が紹介されるなど、グウェリン言説がウェールズにおける国語・国文学の制度化に果たした役割も明らかになった。
著者
真島 秀行
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

西田明則は江戸時代後期、若い頃に関流の数学の勉強をし、明治時代に国防のために尽くし、その和算蔵書がお茶の水女子大学にある。それらの本、関孝和の伝記と業績の研究を行った。関孝和は江戸初期の日本の数学者で、世界で初めて所謂「終結式と行列式」を研究したことで知られている。関の死後300周年の機会に、筆者は関家、特に養父や最初の仕官に関する重要な記録と事実を発見し、関孝和の履歴書を書けるようになった。関の円周率の計算、行列式についても新たな見解を提示した。
著者
下道 郁子
出版者
東京音楽大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

旧制第一高等学校の寮歌の研究を通して、戦前の日本人の音楽的感性が変化し、洋楽スタイルを指向したこと、また西洋音楽の受容と理論の学習が、これらの変化を進める要因となったことが考察された。そして教養教育による人間教育という教育理念の旧制高等学校においては、学友会や運動部による対抗試合等の課外活動が活発であり、この活動が寮歌という、音楽的にも社会的にも価値ある文化遺産を生み出したことが理解された。
著者
周東 智 嶋脇 健
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

cADPR(1)Ca2+動員を担うセカンドメッセンジャーであるcADPR(1)は非常に不安定であるので、申請者が先に開発したcADPRの安定等価体である炭素環アナログcADPcR(cADPR,2)をプロトタイプとして、ADPR標的タンパク質同定のためのバイオロジカルツールの創出を目指した。バイオロジカルツールを創出する上での鍵化合物として4"α-アジドcADPcR(3)を設計し、その合成を達成した。さらに、3が望みの生物学的機能を有することを確認した。
著者
大石 久史 高橋 智
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、(1)膵内分泌細胞特異的大Maf群転写因子欠損マウス(MafA/MafB二重欠損マウス)を得るために必要な、floxed MafB マウスの作製。(2)In vivo imagingを使ったβ細胞の可視化による新生β細胞の定量的スクリーニング法の確立。(3)マウス肝組織からのインスリン産生細胞の誘導において、MafAとMafBの効果を比較し、MafAがより効率的に誘導可能であること の3つを明らかにした。
著者
宮坂 道夫 鳥谷部 真一 山内 春夫 栗原 隆 後藤 清恵 坂井 さゆり 細見 博志 田澤 立之 足立 智孝 中田 光 甲斐 克則
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、【1】医療倫理学の統合的方法論の構築、【2】統合的方法論の実践可能性の検証、【3】統合的方法論の法制度的整合性の検証を目標にしてきた。5年間の研究により、統合的方法論を「修正版四分割表」および「ナラティヴ検討シート」として完成させた。これらにより、原則論に基づくジョンセンらの方法と我々が構築してきたナラティヴ倫理による方法を統合して、臨床現場で実践可能な方法論を提示することができた。また、ハンセン病問題、終末期医療、遺伝子医療等についての臨床倫理の検討方法や諸外国との比較法制度論に関する成果等が得られた。
著者
鈴木 哲郎 下野 昌人
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

マルテンサイト変態におけるミクロ機構を計算機シミュレーションにより明らかにし、メゾ組織への発展を明らかにするために、変態過程中の個々の原子運動を追跡する分子動力学法を用いて研究を行った。しかし、現在入手可能な如何なる計算機を用いても、巨視的尺度を持つ試料中にある10^<23>個もあるすべての原子の原子を同時に扱う事は出来ない。この分子動力学法における困難を避ける方法として、周期境界条件およぷそのParrinello andRahmanによる拡張が、殆どすべての分子動力学を用いる研究において採用されて来た。我々は、これらの方法をマルテンサイト変態に適用すると如何なる問題が起こるかを詳細に検討した。その結果、現在までに考えられたすべて周期境界条件およびその拡張は、マルテンサイト変態過程を分子動力学法を用いて研究するのに適切な条件を与えない事が明らかになった。このように、現存する周期境界条件はマルテンサイト変態を研究するには用いる事が出来ないとすると、現在入手可能な計算機を用いて直接行える分子動力学法による研究は原子数が10^4個程度如何のクラスターあるいはナノ粒子と呼ばれる金属結晶に限定される事になる。しかし、幸運にも、最近はクラスターあるいはナノ粒子の実験的研究が急速に進展するに従い、それらが示すマルテンサイト変態をふくめて巨視的結晶とは非常に異なる振る舞いが注目される状況になり、我々が周期境界条件を用いずに行うクラスターあるいはナノ粒子に対する計算機シミュレーションの結果が直接最近の実験結果の理解を深めるのに役立つ事になってきた。
著者
重松 陽介 畑 郁江
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

タンデムマススクリーニング全国実施にあわせ、スクリーニング指標とそのカットオフ値の妥当性を保証するための精度管理法を検討し、旧来の指標での偽陰性例を回避し、偽陽性率を減じるために、CPT-2欠損症やメチルマロン酸血症を中心として新たな指標を開発した。更に、偽陰性回避で生じる再採血率増加を防ぐために、有機酸代謝異常症スクリーニングでは、初回濾紙血を用いた新たな二次検査法として濾紙血中有機酸高感度測定法を開発した。脂肪酸酸化異常症スクリーニングでは、精密検査法として血清でのアシルカルニチン分析の診断精度を実証し、また末梢リンパ球を用いた脂肪酸酸化能検査法を改良しCPT-1欠損症診断にも対応した。
著者
黒石 いずみ 内田 青蔵 藤谷 陽悦
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

英国田園都市住宅における、20世紀初頭にかけての社会状況と建築空間デザイン理念、郷土主義・社会主義的視点からの近代化批判、女性や家族生活への啓蒙的提案、庶民生活の合理化等の社会背景の影響と空間表現を考察し、その日本での継承過程を検証した。特にドイツやアメリカの住生活思想との融合、「内側から住まいを考える」視点の変容と現代的意味を論考した。インテリアにおける生活様式の表象理論と研究手法の理解を活用し国際的研究交流を行った。
著者
綿貫 茂喜 大箸 純也 佐藤 陽彦 安河内 朗 小林 宏光 大箸 純也 綿貫 茂喜
出版者
九州芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

生体電気現象を主な対象とした、コンピュータによる信号の監視・記録・分析ソフトウェアを開発した。対象としたコンピュータは、一般的に用いられているNEC PC98,IBM PC-ATの互換機および数社のAD変換器とし、一般的な機器のみで構成できる。また分析ソフトウェアについてはMacintoshでも利用できるようにした。本ソフトウェアによって、生体電気現象の波形観察と長時間の変化傾向の観察が同時に可能となり、また分析のためのマークを含めた記録が長時間可能となった。これらの監視記録装置としての機能以外に、時間制御を主とした簡易プログラムが可能であり、実験スケジュールを組み込むことで実験補助としての機能を持つ。また簡単な刺激発生の制御にも利用できるために、実験機器としての機能も有し、特殊な外部プログラムを利用することで、記録と並行して周波数分布の監視も可能である。またノート型のような小型のコンピュータでも利用可能であり、携帯用の記録機としても利用可能である。記録したデータの分析ソフトウエアとして、記録信号の表示、テキストファイル変換、FFT法による周波数分析、心電図のR棘間隔の検出、連続血圧計出力からの最大、最低血圧の読み取り、積分値の算出、APDFの算出、CNVの算出、較正波形の読み取り、単純分布の算出等を作成した。また2つのみであるが、他のソフトウェアのためのファイル変換も行なえる。グラフィカルインターフェースは有しないが、バッチ処理的な利用で効率の良いデータ処理が可能であり、機能的には多くの研究に有効であると考える。本ソフトウエアは無償で提供する。
著者
蛭子 はるか
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

脳神経系の細胞構築には、大脳皮質に代表される「層構造」と脳深部に存在する「神経核構造」の2つがあり、脳神経系の形成メカニズムの統合的理解にはこの両者の理解が必須である。従来、大脳皮質などを用いて層構造の形成メカニズムは集中的に解析されてきたが、神経核構造の形成メカニズムは不明な点が多かった。そこで、申請者は神経核構造に着目し、マウス視床をモデルとして神経核のパターン形成の分子メカニズムを解析してきた。具体的にはこれまでに、予定視床領域で転写因子Foxp2の発現量が前後軸方向に勾配を持つこと、また機能不全型のFoxp2を発現するFoxp2(R552H)ノックインマウス(以下ノックインマウスとする)を用いて、Foxp2が視床パターン形成および視床皮質軸索投射を制御することを示した。さらに、Foxp2を発現制御する上流分子を同定するために子宮内電気穿孔法を用いて、視床の外から分泌され視床パターン形成を制御するFGF8bの発現を操作した。FGF8bを過剰発現した結果Foxp2の発現は抑制されたことから、FGF8bはFoxp2の上流である可能性がある。平成27年度はまず、視床パターン形成におけるFoxp2の視床自律性について検討した。具体的には、子宮内電気穿孔法を用いてFoxp2 shRNAを視床に導入した結果、ノックインマウスで見られた視床パターン変化と同様の変化が観察された。すなわち、視床パターン形成は視床内のFoxp2が制御していることが示唆された。また、ノックインマウスで観察される視床パターンの変化がより早期の胎生期から生じているか検討するために、胎生14.5日齢のノックインマウスで視床亜核マーカーの発現分布を解析した結果、既に視床パターンは変化していた。このことは、胎生期よりノックインマウスの視床パターン形成における表現型は出現していることを示唆している。
著者
武田 展雄 水谷 忠均 水口 周
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、以下CFRP)は、航空機構造の軽量化を図るため、主要な一次構造部材にもCFRPが適用されてきており、かつ日本の製造技術が多く用いられている。しかし、いまだ成形・組立などの製造上の問題および損傷後強度保証の難しさがあり、従来金属製航空機と比較して製造コストが高くまた十分な軽量化にも至っていない。本研究では、ライフサイクルモニタリングによる構造高信頼化技術と,製造技術に課題はあるものの低コスト・高機能性のポテンシャルを有する新規CFRP製造プロセスを融合させる「複合材構造の知的ものづくり科学」を構築することで初めて可能になる、革新CFRP 構造コンセプトを世界に先駆けて提案・実証することを目的としている。[1]光ファイバ援用成形中その場物性評価基盤技術、[2]低圧成形CFRP、[3]熱可塑CFRP、[4]CFRP二次接着接合構造、[5]複雑形状CFRP構造、を主な対象とした光ファイバライフサイクルモニタリング技術を構築し、これらを用いた構造部材の品質保証・保守技術を確立する。最終的には、これら個別要素を最適配置した低コスト・高信頼性革新CFRP構造を実証する。具体的には、これまでに構築した光ファイバひずみ計測技術の計測速度を新規成形プロセスに適用可能なレベルまで向上させ、各製造プロセスにおける材料内挙動を詳細に評価する。光ファイバを考慮した複合材料モデルによる新規成形プロセスシミュレーションおよび損傷発生・進展解析を行い、実際の試験から得られる光ファイバ応答と照らし合わせることでCFRPの品質・健全性を評価する手法を確立する。最終的に補強板構造の部分構造供試体を用いて[6]実用模擬CFRP構造、の実用環境下でのライフサイクルモニタリング実証を行う。
著者
山口 三十四 堀内 久太郎 加賀爪 優 福井 清一 鈴木 宣弘 松田 敏信 藤本 高志 衣笠 智子
出版者
尾道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本科研の研究では人口減少下の農業と食料についての研究成果を行っている。具体的には、「世界のWTO・FTAの潮流」と「農業の新たな構図」の展望、FTA交渉から見えてくるASEANとの「東アジア経済統合」への道、人口減少を含む「人口変化が産業構造に与える影響」、文明転換期にある「人口減少と食料や農業のあるべき姿」、「豪州の食料貿易政策」、「中国農業の全要素生産性」等の計測、地域間の「収束性」の分析、「中国や台湾の人的資本とその経済や社会への影響」、「飼料自給・糞尿循環利用・水田保全」に及ぼす影響、「食料消費の理論的実証的研究」等を行っている。この3年間で、8人の論文が74本、著書が12冊、学会発表は52回にも至っている。
著者
古澤 文江 中村 健治 田中 広樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

熱帯降雨観測衛星TRMMにはマイクロ波帯を使う降雨レーダPRが初めて搭載され、直接降水を観測することにより、精度の高い24時間毎の降水特性の空間分布を導出することが可能となった。1997年11月に打ち上げられ2015年4月に観測を終えるまでの長期データが蓄積されたので、降水特性と地表面特性の長期変動(トレンド)のTRMM観測領域全域の分布を捉えることができた。地方時刻毎に月毎に長期グリッドデータを作成し、降水量、強度、頻度、強い降水、対流性降水と層状性降水の割合、降雨頂高度、雪が雨に変わる融解層高度、晴天時の地表面射出率などの変動を調べ、地表面状態の変化と降水特性の変動の相関を明らかにした。
著者
生坂 政臣 大平 善之 野田 和敬 鋪野 紀好 塚本 知子 鈴木 慎吾 上原 孝紀 池上 亜希子
出版者
千葉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

医学生のProblem-based learning (以下PBL) テュートリアルにおいて、患者再現VTRを用いることにより、プライマリ・ケアの実臨床に即した幅広い領域での診断推論が行われるか否かを、従来の紙媒体を用いたPBLテュートリアルとの比較において検討した。その結果、患者再現VTRを利用しても鑑別疾患数は増加しなかったが、心理・社会面を含めた多方面からアプローチする診療が意識づけられ、さらにテューターへの負担も少ないなど、患者再現VTR利用のメリットを明らかにすることができた。作成コストは小さくないが、このような患者再現VTRは今後の卒前の医学教育に大きく資するものと期待される。