著者
伊藤 直紀 和南城 伸也 野澤 智
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

当該研究期間の研究成果は以下のとおりである。1.銀河団におけるSunyaev-Zeldovich効果に対する多重散乱の寄与の研究標記の寄与について、Fokker-Planck展開を用いた方法、およびBoltzmann衝突項を数値積分する方法の両方により計算を行った。その結果、通常の銀河団については、多重散乱の寄与は1%よりはるかに小さいことが明らかとなった。この研究成果により、本研究代表者たちが以前に発表した1回散乱のみを考慮した計算結果が、通常の銀河団については十分適用できることが判明した。この研究により、銀河団における相対論的Sunyaev-Zeldovich効果の研究は、真の意味で精密科学の段階に到達した。1998年Astrophysical Journalに発表された論文に始まる本研究代表者たちの一連の研究の基礎が最終的に確立したのである。この事実は、宇宙物理学のみならず、統計物理学としての本研究の価値を大いに高めるものである。この研究論文はMonthly Notices of Royal Astronomical Societyに発表された。2.超高温銀河団におけるSunyaev-Zeldovich効果の研究近年25keVを超える超高温ガスを含む銀河団が発見されている。われわれはこれまでのわれわれの計算方法を用いて、このような超高温銀河団における、相対論的Sunyaev-Zeldovich効果を精密に計算した。この際に、結果を詳細な数表と解析的なフィット式によって表現した。これらの結果は将来の観測結果の解析に大いに有効であると考えられる。この研究結果は、Astronomy and Astrophysicsに掲載された。
著者
渡會 兼也
出版者
金沢大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は高校物理の実験にハイスピードカメラ(以下、HSカメラと略す)を利用し、生徒が『観察』と同時に『測定』を行う教材の開発を目的としている。CASIOのデジタルHSカメラは1秒間に最大1000コマの動画撮影が可能である。現象を撮影しておけば、ゆっくり・何度も観察できるだけでなく、コマ送りによる位置測定も可能となる。HSカメラによる位置測定は映像から直接データを取得できるため導入が容易であり、本研究が今後のICT普及に重要な役割を果たす可能性がある。本研究では生徒が実験でHSカメラを使うことを主眼に置き、その様子や実験精度を調べた。生徒実験のテーマは①「物体の自由落下による重力加速度の測定」と②「力学台車の衝突による運動量の保存」の2つを設定した。①については、記録タイマーを使った班(6班)とHSカメラを使った班(2班)との実験を比較した。結果、記録タイマーの班の重力加速度は平均が8.06m/s^2であるのに対し、HSカメラの班の平均は8.70m/s^2になった。これはHSカメラの場合はテープと記録タイマーの摩擦を考慮しなくてよいため、精度が向上したと考えられる。②については、すべての班(10班)でHSカメラを使い、衝突における運動量の保存を確認した。実験は10%以下の精度で運動量の保存を確認できた班もあれば、比較的大きな誤差(20%~30%)を出した班もあった(割合は半々)。これは実験の最初に解析方法や誤差評価について生徒に周知が不十分であったことが一因であると考えている。解析の手法やその周知は今後の課題である。生徒の感想には、本研究のねらい通り「測定が簡単にできる」「何度もくり返し観察と測定ができる」等が多く挙げられた。一方で、「4~5人の班ではカメラの液晶画面が小さい」「視差による誤差評価が難しい」などの意見もあった。今後、視差による誤差が無視できる条件の提示等(例えば、物体のサイズを小さくする)も考える必要がある。現在は生徒実験による反省を元に実験の手順等を学会誌にまとめている。
著者
若松 謙一 西田 実継
出版者
岐阜大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

銀河間衝突が銀河中心核の核活動、特にセイファ-ト現象やクエサ-と深く係わっているのではないかとの仮説は1985年に出され、最近大きな関心を呼んでいる。衝突に依って相棒銀河から剥ぎ取られたガスが銀河中心核へと隆り積もり、爆発的星の形成を引き起こし、ブラック・ホ-ルへガスを供給して中心核を活性化する、と言うのである。銀河間衝突で形成されたことがはっきりしているリング状銀河について、セロトロロ天文台で得たCCD撮像分光デ-タを本研究費で購入したワ-クステ-ションを用いて解析を行い、現在までに以下の結果を得た。1.約40個のリング状銀河の中心核は輝線や強いバルマ-吸収線を示しており,星形成等の激しい核活動が起こっている事を見いだした。2.輝線を示す銀河の大部分はライナ-(LINER)やスタ-・バ-スト型であり,セイファ-ト2型はわずか3個、1型は新たには1個も発見出来なかった。3.また、多くのリング状銀河がIRAS赤外線源であることもつきとめた。4.以上の事より、リング状銀河では予想通りの形成は極めて活発ではあるが、セイファ-ト1型が少なかったことより、銀河間衝突がブラック・ホ-ルへガスを供給して銀河中心核を活性化する、とのシナリオを検証するには至らなかった。5.その理由として、リング状銀河を形成する衝突は銀河ディスクを垂直につっきるタイプなので、ガナを中心核へ落し難しくなっているとも考えられるが、その割にはスタ-・バ-スト型が多いことからそう単純でもなさそうである。6.リングを持った楕円銀河であるHoagーtype銀河ではバルマ-吸収線が強く、10億年以内に激しい星の形成があったと思われる。なお、平成4年7月にもう一度セロトロロ天文台で観測できる事となったため、この問題をより一層突き詰めたいものである。
著者
棚瀬 幸司 小野崎 隆 稲本 文野 上垣 弘子
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

カーネーションは通常の品種では品質保持剤を処理しない場合、花持ち日数が約7日である。我々は花持ち性に優れる品種と系統を作出している。花持ち形質に関与する遺伝子の網羅的な情報を得るためこれらを材料に用いてトランスクリプトーム解析を行った。マイクロアレイ解析により、対照品種と日持ち性の優れる品種の老化時に発現が異なる遺伝子1253個を抽出した。その中で花の老化に伴って発現が上昇する遺伝子群の中にいくつかの興味深い遺伝子が含まれていた。さらに、リアルタイムPCRにより解析したところ、日持ち性の優れる品種と通常品種で発現の差が見られた遺伝子を複数獲得した。
著者
ファン MT
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本研究では,Geometric Algebra(GA)による特徴抽出の統計理論的な検証をすすめる.機械学習の特徴抽出のための空間折り畳みモデルを提案する.提案手法では,同じクラスに属するインスタンス間の距離が小さく,異なるクラスに属するインスタンス間の距離が大きくなるように、クラスラベルと距離とのクロスエントロピーを最小化するように推定する.そして,UCIの他のベンチマークの分類問題を用いて線形判別分析とニューラルネットワーク及びサポートベクターマシンに対しても有効性を示した.そして,GAの一部をみなすConformal GA(CGA)の幾何空間を用いた近似方法および,回転や平行移動の幾何性質を同時に持つデータでのクラスタリング手法を提案した.CGA空間におけるベクトルの内積を用いて超球への近似手法を提案した.次に,データの確率密度関数を定義し,その確率密度関数をクラスタリングのアルゴリズムを提案した.データ分類実験結果では従来手法と比較して高い分類精度が得られたことを示した.また,超球の中心が事前に分かる場合の適用例として,パーティクルフィルタを用いた単一カメラからの物体の関節位置追跡問題に提案手法を適用した.従来手法と比べ,提案手法は回転中の関節を高い精度かつ安定的に追跡することができることを確認した.
著者
金本 龍平
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

可欠アミノ酸の代謝要求量とde novo合成の関係を明らかにする事を目的に、de novo合成の必須性が明らかにされているセリンに着目し、様々な臓器におけるセリン濃度とセリン合成の律速酵素であるPHGDHの発現を異なる栄養状態と糖尿病ラットにおいて解析した。その結果、セリン濃度に最も大きく影響するのはタンパク質栄養であることが示された。また、糖尿病ラットでは血漿、肝臓、腎臓のセリン濃度が顕著に減少した。一方、PHGDHは解析した全ての臓器で発現しており、肝臓、小腸、筋肉ではタンパク質栄養に応答し変動するが、PHGDHの発現量と臓器のセリン濃度との相関は見られなかった。
著者
木村 はるみ
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

神楽に代表される動作名称の不明な日本の舞の動作特徴を映像資料から抽出することを目的とした。具体的には、春日大社・金刀比羅宮・出羽三山神社・住吉大社の4神社の巫女舞を調査対象とし、身体動作の国際記譜システムであるLabanotation法ならびにYourMove法を使って動作特徴について考察した。さらに、日時・装束・着付け・髪型・道具類など動作以外の情報も重要に機能しているジャンルのため、歴史学的視点からの文献資料・絵画資料・舞譜などの有形資料の収集と伝承形態・現状などのインタビューによる調査を行った。時間的に伸縮する日本音楽の特徴を示す巫女舞の歌を五線譜で採譜し、その流れに沿って舞の概要をYourMove法で記譜すると、舞の構造の中に形式と繰り返しによる所作の特徴が確認できた。編集ソフトを通して30分の1秒での動作観察を行いYM法でスコア化すると舞の動作イディオムのレペティションが様々なヴァリエーションでシンメトリカルに現出する事が確認された。本来家族伝承であった舞の継承には、4神社とも親子のような年齢間隔で指導者的な女性が存在し口頭で伝承しており、3世代にわたる指導形態を維持していた。4神社の舞は類似する同一的な特徴も示しているが、個別性、差異性もあり、神社内では再興や復興の努力が見られたが、廃絶したものや、形を変更したものもある。文字資料や絵画資料・写真などは、当時を思わせるが、数少ない断片からでは、失われた時間を繋ぐのは難しい。舞踊や芸能の発生研究は、現代のなかで希薄になり形骸化してしまった身体文化に過去からもたらされる恩寵であり、叡智である。こうした無形文化遺産を21世紀にふさわしく継承し人間の身体が本来もっている叡智を甦らせることは我々の使命と思われた。継承者不足や廃絶・変形の危機にある神楽などの日本文化の継承・保存・復刻にこの研究が役立てば幸いである。
著者
山森 良枝
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

平成16年度は、<日本語の複数>表現の記述と仕組みの究明を目的に、アトムを基本単位とする意味対象領域を仮定し、質量性と複数性を連続的なものとみなす理論的立場から分析を試みた。その結果、以下が明らかになった。(1)一般的に、名詞述語には、quantized述語とcumulative述語がある。前者は可算名詞に対応し、非等質的集合に属する非連続的部分を増加して得られる外部複数を形成する。一方、後者は質量名詞に対応し、等質的集合を内的に分割して得られる連続的部分の範囲を複数として捉える内部複数を形成する、とされる。(2)しかし、日本語の普通名詞は質量性をその意味特徴とする。そのため、日本語ではquantized vs.cumulativeの対立ではなく、数量詞が結合する名詞の表す集合が等質集合か非等質集合かに応じて、前者の場合に外部複数、後者の場合に内部複数が形成される。(3)内部複数を作る典型的な装置には、単一の単位を表す類別詞、計量句や(計量単位として使用される)容器名詞がある。他方、区分を表す名詞、組織の下位区分を表す名詞は外部複数の装置である。(4)日本語では稀な数詞が直接普通名詞と結合される可算名詞構造は、当該名詞が予め規定され、前提された集合の最大範囲を表す場合にのみ使用される。(5)本質的に可算的アトムとして認定される集合名詞を除けば、日本語では、名詞の表す集合のサイズが規定されている場合には、それを内的に分割した部分の範囲を表す可算名詞構造によって、また、集合が規定されていない場合には、類別詞などを介して、(どちらの場合にも)内部複数を形成し、(可算性を特徴とする英語などの普通名詞と同じ)、アトム・レベルでの複数化を実現している。(6)以上から、日本語のような質量性を特徴とする名詞をもつ言語でも、計算のより容易なアトム・レベルでの計量が選好されていることが裏付けられる。
著者
金谷 利治 西田 幸次 松葉 豪
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

種々の高分子系について、その結晶化過程に生成する非平衡中間体の構造、生成過程、さらにはそれら中間体からの結晶化について、小角.広角X線散乱、小角.広角中性子散乱、光散乱等を用いて調べた。その結果、相互作用の強いポリアミドでの結晶化誘導期の構造形成にはメルトメモリー効果が大きく関与することを明らかにした。流動結晶化においてはシシケバブ前駆体が結晶を含むことをマイクロビームX線により始めて明らかにするとともに、シシケバブ生成に対する分子量効果を詳細に調べ、シシケバブ生成機構の詳細を示した。さらに、アイソタクチックポリプロピレンのメゾ相からの結晶化について、昇温速度を広い範囲で変化させることにより、巨大単結晶形成法を示した。これらは、非平衡中間体を経由する結晶化機構についての新たな知見をももたらすと同時に新たな高分子構造制御への道を開くものである。
著者
吉岡 幸男 岡本 哲治 小鹿 一 林堂 安貴 新谷 智章
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本近海に生息する海洋生物から抽出された化学物質を精製する.精製された化学物質に対しBio assayを行い,活性のある画分の精製を進める.分離された溶解物を構造解析装置にて構造決定し,既知の物質か新規の物質か確認し,新規の物質であれば機能解析や動物実験に必要な量を大量合成するとともに新規の誘導体を化学合成する.口腔扁平上皮癌の幹細胞の表面マーカーとしてCD133は有用である.口腔扁平上皮癌細胞よりCD133陽性細胞を分離し,その幹細胞としての特徴を解析するとともに,新規生理活性物質のCD133陽性細胞の抗腫瘍効果を予定する.
著者
前川 厚子 安藤 詳子 神里 みどり 楠神 和男 新藤 勝久 田澤 賢次 門田 直美
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

「ストーマ保有者の生きる意欲とスキンケア行動にストーマ看護サービスが及ぼす影響」について当該3年間にわたり研究した。ストーマケアとそのリハビリテーションは医師からがんや炎症性腸疾患などの病名を告げられ、手術の説明を受けた時が始発であり、回復期、退院後の生活維持期、終末期までのライフスパンを含む。ストーマ保有者への聞き取り、患者会への参加観察と質問紙調査を通して課題を掘り下げ、以下を明らかにした。【成果の概要】1)ストーマ保有者の加齢に伴う課題:65歳以上の比率が60%を超え、生活課題は介護問題から緩和ケアまで拡大していた。虚弱・要介護状態にある高齢ストーマ保有者へのQOL保持、看看連携、訪問看護師と介護職の機能分担、ならびに終末期ケアの在宅基盤整備が重要であった。2)炎症性腸疾患によるストーマ保有者の課題:平成15年全国患者会調査で2,175名中285名(13.1%)、平均年齢39.8±12.9歳で性比1.6:1であった。手術創、ストーマ周囲と肛門周囲皮膚ケアのニーズは81%であった。人生の「生きがいなし」と答えたものが30%を占め、継続ケア提供時にはメンタルサポートが不可欠と考えられた。3)ストーマ保有者のライフサイクルと課題:多様な価値観と人生経験や生活背景について配慮をしながら個別的なケアを提供する必要がある。4)QOL課題:ストーマ造設に関連した治療の成績は向上し、5年無再発生存率は高くなってきたが、主観的な健康状態とストーマの局所状況はQOLと密接な関連を持つので、ケア困難時のマネジメントについては事例の集積と人的資源の整備が必要である。
著者
風間 孝 クレア マリィ 河口 和也 清水 晶子 谷口 洋幸 堀江 有里 釜野 さおり 菅沼 勝彦 石田 仁 川坂 和義 吉仲 崇
出版者
中京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

英米起源のクィア・スタディーズを日本の文化・社会において適用する場合の可能性を明らかにするために研究を行った。その結果、(1)ナショナリズムとグローバリゼーションに関わる問題系が、日本におけるジェンダーやセクシュアリティの政治的・文化的な統御と管理とを考えるにあたっても欠かすことのできない問題として急激に浮上しつつあること、(2)セクシュアリティおよびジェンダーが階層・階級、人種・民族、地域、国籍といった軸と交差しながら存在しているとの視座から研究を進めていくことの重要性、を確認した。
著者
白井 秀明 宇野 忍 荒井 龍弥 工藤 与志文 佐藤 淳
出版者
東北福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.平成16年度(1)物質の基礎概念についての横断的調査:対象は小学校4〜6年生。学年末に物質の基礎概念(重さの保存や加法性など)理解度調査を行った。その結果、6年においても重さ未保存者がおり、さらに体積と重さを混同するというある種の誤概念所持が推測される誤答者も少なからずいた。(2)単元間の相互関連づけを目指す教授プランの開発とその実施及び評価:5年理科の「もののとけ方」単元を対象に単元終了時に、4年単元で既習の実験を再現し体積や重さについて増減同の確認する学習活動を追加した。その結果、物質の基礎概念と単元目標のいずれの理解についても一定の効果しか見られなかった。2.平成17年度(平成16年度(2)と同じ学習者)(1>単元間の相互関連づけを目指す教授プランの開発とその実施及び評価その1:6年「ものの燃えかたと空気」単元終了時に、乾留や燃焼などの化学変化の前後で重さと体積の増減同の確認作業をさせる学習活動を追加。その結果、単元目標のうち「二酸化炭素が火を消す働きがある」と誤答した学習者が授業後にも依然半数いた。さらに物質の基礎概念についても十分理解を促進できなかった。(2)単元間の相互関連づけを目指す教授プランの開発とその実施及び評価その2:6年「水溶液の性質とはたらき」単元内で、物質の仲間分けの手がかりとなる化学現象(水への溶解、燃焼など)や酸性水溶液に対する金属などの溶解現の前後で、物質の重さの変化を判断させた。体積は測定する機会を増やすにとどめた。結果、単元目標のうち水に溶けるか否かと火で燃えるか否かの関係は理解が促進されたが、物質の分類については不十分であった。物質の基礎概念については、体積と重さの混同など依然として十分に理解を深めることができなかった。しかし、これら3つの授業を受けた学習者は、横断的調査の6年生よりも物質の基礎概念についての理解は深まっていた。
著者
前田 一平
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

米国ワシントン州シアトルの旧・日本街を現地調査し、第二次世界大戦後の歴史に埋もれたシアトル日本街の歴史と地理の復元にあたった。それによって、この街を舞台とする日系アメリカ文学の歴史的地理的背景を具体化することができた。また、作家ヘミングウェイの故郷イリノイ州オークパークを現地調査し、この町のほとんど未詳の歴史についてリサーチをした。それによって、ヘミングウェイの誤解された出自および故郷との確執を明らかにした。
著者
山崎 友子 HALL James 西館 数芽 山崎 憲治 山崎 憲治
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東日本大震災被災地の調査および中・高・保育園で実践的研究を行った。災害サイクル図を析出し、災害を予報,復旧復興も含めて全体系として把握することが,減災・災害弱者を生まない・災害に強い地域作りでも肝要であることを示した。また、学校が組織的避難に加え、地域の復興を意識した教育活動により、子ども達に復興の担い手としての意識を高めていることをフォーラムで明らかにした。防災教育とは「被災地から学ぶ」ことが示された。
著者
横川 洋 CHEN T. CHEN Tinggui
出版者
九州大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

宋敏、陳廷貴、劉麗軍という三人の著者で『中国土地制度の経済学的分析』と題した書籍が中国農業出版社より出版されることになっている。陳廷貴が「農地請負経営制度及び農地流動化」を担当し、中国西部地域における家族請負制、「30年不変」政策および請負農地経営権の譲渡に関する農家の意識並びにその形成要因について分析を行った。第一に、調査地域において、調査農家の農地所有権に対する意向は、多くの専業農家が農地私有制を希望しており、農地制度の現状とやや異なっているものの、農地経営権に視点を当ててみれば、家族請負制は農家の意識とあまり違和感のない農業経営制度である。第二に、専業農家、第一種兼業農家は、より長期の農地請負期間を望んでおり、また、農地に対する長期投資に意欲をもっている。それにもかかわらず、多くの農家は農地の割換え(調整)に強い懸念を持っており、それが農家の農地への長期投資意欲を消極的なものにしている面があることも見逃せない。したがって、政府は「30年不変」政策を着実に実施し、農家に安定かつ長期的な請負農地経営権を保証することが重要である。第三に、特に専業農家にとって農地は生産手段であるとともに生計維持手段でもある。家族人数と請負農地の配分とが大きく乖離することになれば、農地調整の必要が生じ、安定かつ長期的な請負農地経営権の実現にとっては障害となる。このため、農村において、別途、生活保障制度を充実させ、農地の社会保障的機能の側面を低下させていくことが必要である。最後に、一部の兼業農家は農地の貸付けを行い、一部の専業農家は農地の借入れを行っているものの、他産業の就業の不安定さや農産物価格の低迷などにより、これらの農地の貸付け・借入れは必ずしも定着していないことを指摘しなければならない。安定的な農外就業機会の創出が、請負農地経営権の譲渡促進及び農業経営規模の拡大のための必要条件になると考えられる。
著者
南後 守 大倉 一郎 住 斉 野澤 康則 垣谷 俊明 長村 利彦
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本計画の目標は、光合成での光エネルギー変換系でのタンパク質複合体の連動したシステムの構造とその機能について基礎的な研究を行うために広範囲の研究者と意見交換を行うことである。そして、社会的に要請の強いこの分野の研究に対して貴重な情報を提供することである。この分野の研究の進展が目覚ましく、したがって、基礎的な研究情報の交換を継続して行い、さらに、共同研究へと発展させることが必要である。本計画では、光合成での光エネルギー変換システムでの基礎的な研究に焦点を絞り、つぎの3点について研究情報の交換を行う。1)アンテナタンパク質複合体の動的構造と機能の関係、2)光エネルギー変換系での色素の構造と機能との関係 3)光エネルギー変換機能をもつデバイスの開発。講演会を年間5回開催して情報交換を行った。講演会では光合成、光エネルギー変換、タンパク質複合体および色素の構造と機能、核酸、分子モーターのキーワードで互いの最先端の仕事内容を発表していただいた。この研究会に参加していただた方はそれぞれの分野でのスペシアリストなので講演会で情報交換を行うことが本研究の企画を進めることになった。ここで、主な研究費として、会議費、国内旅費、それに伴う消耗費が必要となった。また、必要に応じて研究会のメンバー以外の方に講演、事務処理などの手伝いを依頼した。ここで、謝金が必要となった。さらに、外国人研究者(Prof, Scheer(独)およびProf, Cogdell(英))に来日していただいて臨時セミナーで講演してもらった。ここで、この分野の先導的な欧州の第一線の研究者と交流をもつために外国旅費が必要となった。
著者
岩倉 成志
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

潜在クラスモデルを用いてアプリオリに選択行動モデルをセグメンテーションするための方法論を研究した.この方法は期待するパラメータ範囲の初期値を外生的に与えて, EMアルゴリズムによって各セグメントの尤度を最大化するモデルである.観光地の選択行動や列車選択の際の内装色彩の評価,地方部の交通機関選択行動のデータを取得し,提案したモデルの可能性や今後の課題を明らかにした.
著者
矢島 道彦
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

インド各地を訪ねてジャイナ教のマンダラ図像を収集、画像データ化するとともに、ジナの生涯を戯曲的に再現するパンチャ・カリヤーナカの儀礼の調査を二度実施して、写真とビデオで記録した。これらのデータの整理・分析と、新たに入手した儀礼のテキストの解読を行ない、その成果の一部を学会等で報告・発表した。ヒンドゥー儀礼の影響が色濃いジャイナ教儀礼のなかで、パンチャ・カリヤーナカの儀礼はジャイナ教に固有のもので、とくにジナの開悟に伴う「聖なる集い」(サマヴァサラナ)の儀礼は、仏教のいわゆる尊像マンダラの対応物として注目される。
著者
奥村 康 八木田 秀雄 中内 啓光 熊谷 善博
出版者
順天堂大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1986

抑制性T細胞に限らず、T細胞の機能発現のために、標的との結合に不可欠の数々の免疫機能分子の解析、その発現機序等の解析を通し、T細胞の免疫系での調節性の役割を解析した。1)抑制性T細胞株の確立とその細胞膜分子の解析 抗原に得異的な抗体産生抑制性T細胞株を確立し、その抗原レセプターを介するシグナルがいかなるリンフォカインを産生するかを指標に、抑制性T細胞の機能の多面性を解析した。また、この抑制性T細胞膜上の遺伝産物に対する抗体の確立と、その抗体の反応分子の検索を進めた。また、これらの抑制性T細胞の疾患における意義を解析するため、各種の自己免疫病、特にリウマチにおける抑制性T細胞をその細胞膜表面分子を指標に解析した。2)リンパ球機能分子のコードする遺伝子の単離とその分子に対するモノクローナル抗体の確立 T細胞の抗原レセプター以外に、いくつか重要な補助分子としてリンパ球機能分子と総称される膜分子が、リンパ球の分化と機能発現に大きな役割をしていることが明らかになりつつある。マウスのT細胞に焦点をあて、抑制性T細胞、細胞障害性T細胞の機能発現に不可欠な分子CD8、CD2等の遺伝子の単離同定、またそれらの遺伝子導入した細胞を用いて、その分子の免疫反応での役割を解析した。その分子に対するモノクローナル抗体を確立し、これらの機能分子の動きを調べた。3)細胞障害性リンパ球の最終エフェクター分子の解析 T細胞やNK細胞の細胞エフェクター分子のひとつであるperforinの遺伝子の単離に成功し、その分子の免疫応答で果たす役割を分子免疫学的に解析した。