著者
武田 賢 角谷 倫之 佐藤 清和 土橋 卓 伊藤 謙吾 千葉 瑞己
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ヒト頭頸部模型をCT撮像したデータをソフトウェア上で加工し、3次元(3D)プリンターに転送して頭頸部固定具を作製した。比較対照として、放射線治療用固定具として実用化されている熱可塑性素材を用いて従来法(手作業)により頭頸部固定具を作成した。3Dプリンターで作製した頭頸部ファントムの固定具は、固定精度と線量特性の点で、従来法で作成した固定具と同等の性能を示し、臨床上、実用化できる可能性が示唆された。然しながら、CT撮像からデータを加工する迄に約2時間、3Dプリンターで出力するまでに約100時間程度の時間を要しており、今後の課題として、固定具の作成過程を効率的に短縮する必要があることが分かった。
著者
成沢 富雄
出版者
秋田大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1985

研究目的:プロスタグランジン合成阻害剤が化学発癌剤誘発ラット大腸発癌のプロモーション期を阻害して、その発生を阻止する。大腸粘膜におけるプロスタグランジン産生の阻害が原因であると考えているが、その確証はない。プロスタグランジン合成阻害剤の抗プロモーター作用の機序を追求する。研究計画:ラットを用いた発癌実験でプロスタグランジン合成阻害剤インドメサシンの抗プロモーター作用の病理学的解析を、ラット大腸粘膜のオルニチン脱炭酸酵素活性を指標として胆汁酸デオキシコール酸のプロモーター作用、インドメサシンの抗プロモーター作用、プロスタグランジン【E_2】のプロモーション誘発作用を解析する。研究成果:発癌剤N-ニトロソウレア注腸投与による発癌イニシエーションを終了したラットにインドメサシン水溶液を飲水として実験終了まで自由に摂取させた。インドメサシン非投与ラットに比べテ、大腸癌発生率、発生個数は有意に減少した。インドメサシン投与は、大腸粘膜の注腸投与デオキシコール酸誘発のオルニチン脱炭酸酵素、プロスタグランジン産生を有意に低下させた。プロスタグランジン産生阻害の代償としてプロスタグランジン【E_2】を注腸あるいは皮下投与したラットでは、本酵素活性はデオキシコール酸注腸投与のみのそれに近い値まで回復、上昇した。以上の結果から、胆汁酸が大腸粘膜におけるプロスタグラン産生とオルニチン脱炭酸酵素活性を亢進させ、プロスタグランジン合成阻害剤が前者を阻害することによって、後者の発現の抑制と大腸発癌のプロモーションを阻止することが明らかとなった。すなわち、プロスタグランジン【E_2】がプロモーション誘発に直接介在していると推論できる。
著者
舟橋 和夫
出版者
京都女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

本研究の成果は以下の通りである。まず、第1は移民個人のデ-タベ-スをはじめてコンピュ-タ上に形成したことである。これにより移民デ-タの処理と分析が自在に行えるようになった。しかも、移民デ-タベ-スは公開するので、他の移民研究者も自在に研究分析が可能になった。従来の移民研究では、明治元年から明治18年までの間に集団的な移民はないという見解であったが、今回明治4年にハワイへの集団移民が新たに見つかった。現時点ではこの移民がどのような移民であったのか詳しいことは不明であるため、今後の研究課題である。日本からの出移民122年間の地域的特徴を簡単に述べると以下の通りである。明治元年から明治18年頃までは、当時開港されていた神奈川県と長崎を中心として、その周辺から多く出ている。行き先はアジアである。明治18年から明治末までは広島、山口、和歌山、熊本、沖縄などからのハワイ行きと、長崎からのアジア行きの2つの移民の流れが見られる。大正年間から第2次世界大戦前までは広島の出移民がもっとも多く、北海道、福島、新潟、静岡、滋賀、和歌山、岡山、山口、福岡、熊本、沖縄など各県に広がった。戦後の出移民を多い順に指摘すれば、沖縄、東京、福岡、北海道、熊本、長崎の順である。戦前の出移民県である広島と山口はそれほど上位にはランクされていないのが特徴である。このように、移民現象はそれぞれ地域の特徴が鮮明に出ている。生活史研究においては、既に移民経験者が非常に少なくなっており、インタビュ-することが極めて困難であったが、今回は夫婦の移民経験者にインタビュ-できた。2人の生活史を掲載し、移民研究の基視資料としたい。
著者
秋庭 裕 川端 亮 稲場 圭信
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

3力年の調査研究によって知り得たところと、今後の研究継続のための作業仮設は以下のとおりである。日本型新宗教の教団として、グローバリゼーションの先進地、アメリカ合衆国でもっとも広く受容されたSGI(創価学会インターナショナル)は、当初、「戦争花嫁」たちの国際結婚によって海を渡った。同時に、結婚によって、その教えは国籍・民族の壁を越えて広まる契機をつかんだ。次の段階は、ロサンゼルスを中心とする西海岸で、カウンター・カルチャーとの出会いをとおし、アイデンティティを模索する若者層に広まった。1970年代のSGIは、日系人とヒッピーの若者を主要な担い手として、「アメリカ化」をとげていった。「アメリカ化」は、経典類の英語への翻訳とそのいっそうの洗練、教団組織の役職への現地の人びとの積極的な登用、組織運営などへのアメリカ的な習慣の採用などからなるが、アメリカ化のプロセスは、直線的に進んだのではない。それは、試行錯誤的で、ときには混乱をともないながら、80〜90年代を通じて徐々に達成された。その結果、人びとが極度の緊張状況を強いるグローバリゼーション化の著しいアメリカ合衆国において、民族や階層を越えて、SGIに入会する人びとに増加につながった。救済論的には、キリスト教的世界観、罪の意識とは正反対の、現世肯定的な救済を強調する、日蓮仏法に立脚するSGIの思想と世界観が、アメリカ合衆国という上昇志向の強い競争社会において、適合性が高いことが重要であろう。
著者
石川 クラウディア
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

近年、関係省や有力な団体が、一貫して、外国高度人材受け入れ政策を主張し続けてきたが、それに並行して、日本の出入国管理法政策のもう一つの特徴は人座育成政策に推進と言える。本研究は、1)外国人留学生、2)外国人技能実習生、そして、3)経済連携協定(EPA)に基づいた外国人看護師・介護士等の受入れ制度を対象に、日本の入国管理法政における国際自在育成施策推進のインパクトと可能性を明らかすることが目的であった。また、ドイツとオーストラリアの外国人育成プログラムとの比較研究を行いながら、移民政策における国際的キャパシティー・ビルヂングの役割を分析しました。
著者
河内 信幸 福島 崇宏
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)は、「アクション・ペインティング」の旗手として知られ、アメリカ抽象表現主義を代表する芸術家といわれている。しかし、ポロックはインディアンの文化やメキシコ壁画運動にも共鳴し、当初は「アクション・ペインティング」とは程遠い作風の芸術家であった。本研究では、ポロックが関わった雇用促進局(Works Progress Administration:WPA)の連邦芸術計画(Federal Art Project:FAP)の意義を明らかにし、ポロックが「抽象」と「具象」を動的に融合させ、独自のアメリカ・モダニズムを追い求めたことを検証した。
著者
米林 甲陽 JONG Foh Sho CHAI Oi Khun LIM Chin Pan 糟谷 信彦 舟川 晋也 金子 信博 犬伏 和之 岡崎 正規 足立 忠司 松本 聰 有賀 祐勝 CAO Van Sung ERNEST Chai YUSUP Sobeng 金子 隆行
出版者
京都府立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1992

東マレーシア・サラワク州シブのナマン泥炭地自然保護林内において土壌調査,森林植生調査を行った。アッサン川岸から森林内部に入るに従い地下水位は低まり,泥炭に埋没している木質量は表層で減少していた。泥炭湿地林は周辺部から中心部に向けて同心円状に変化し,川に近い周辺部は混合湿地林であるが,3kmより奥はフタバガキ(アラン)の純林となっている。泥炭湿地林の林床は局所的に凹凸を示すため,微地形の定量化と凹地と凸地での落葉分解速度,土壌動物の生息密度を測定した。凹地と凸地の高低差は最大1mであった。凸地は大きな木の周りの根の盛り上がった場所であり,若木は凸地にしか見られない。木の存在が微地形の形成に関与し,さらに微地形が樹木の実生の定着に影響していることが明らかとなった。リターバッグ法で測定した落葉の分解速度は凸地で高く,他の熱帯林と同様の値を示した。凹地ではリターバッグ中のリターはほとんど形態変化しておらず,重量変化はリーチングによるものである。また,凹地には土壌動物はほとんど生息していないことが明らかとなった。泥炭湿地林ではシロアリが比較的少なく,ミミズも採取されていない。一方,小型節足動物であるササラダニは凸地で極めて高い密度を示した。リターフォール量の測定と養分分析を行った結果,リターフォールの季節変化は認められず,年間を通してほぼ一定量のリターが林床に供給されており,その量は8.35トン/年であった。この量は他の熱帯林で報告されている値の範囲内にある。また,養分還元量も他の熱帯林にほぼ匹敵する値を示し,特にリンの還元量は比較的多かった。熱帯湿地林は貧栄養な条件下で有機物分解が抑制されながら成立していると考えられているが,泥炭地の周辺部に位置する混合湿地林では,リターフォール量,養分還元量から考えると,栄養塩類が特に不足しているとは考えられない。養分元素の循環量を評価するため,地下30cm,80cmの土壌間隙水を毎月採水して日本に送付し,無機成分分析を行った。泥炭地周辺部では土壌間隙水中の窒素,リンの濃度は決して低くなく,日本の都市河川水に匹敵する値を示した。しかし,湿地林の奥地のアラン林下では下層のリン濃度が低いことを認めた。森林の自己施肥機能による養分循環量が高いことを示唆する。ムカのタウラ泥炭試験場において,地中探査機を用いてレーダー探査を行ない,20×10mの開墾地を幅1mおきに走査した。探査地点で長さ10m深さ1mのトレンチを掘り,断面を精査しレーダー探査結果と比較した結果,よく一致しており,泥炭土壌における埋没大径木の分布状態の図化が可能となった。泥炭地における持続的開発のための最重点作目としてサゴヤシをとりあげ,タウラ泥炭地試験場サゴ圃場,周辺サゴ栽培農家圃場で、土壌調査,サゴヤシの伐倒調査を行った。サゴヤシの生育測定を行なった結果,泥炭層の厚い圃場では泥炭層の薄い圃場に比べて成長が遅く,幹にデンプンを蓄積するまで時間がかかることを認めた。また,厚い泥炭で生育したサゴヤシ中の銅濃度はきわめて低く,亜鉛濃度は鉱質土壌の場合の2分の1であった。泥炭地のサゴヤシ栽培生態系における微量元素の循環量を,雨水による付加量,排水による流出量,サゴヤシの収穫による搬出量から計算した。銅は系内に蓄積される傾向が見られたが,亜鉛は系外に失われていく傾向にあることが明らかとなった。泥炭地から発生しているメタンをチャンバー法により測定し、湛水下層土から多量のメタン放出を認めた。メタン発生活性は表層付近で高かったが,好気条件での潜在的メタン酸化活性は全層で検出された。泥炭土壌中の微生物バイオマス量は表層で最も高く,下層ほど低下する傾向を示した。タイ国ソンクラ湖南湖で水質分析,プランクトン,クロロフィル測定等を行った。懸濁物質濃度は雨期に高く,乾期に低い傾向が認められた。クロロフィルaを指標とする植物プランクトン量は比較的低レベルであり,顕著な季節変動は認められなかった。さらに,湖底堆積物の性質は,内陸と外洋に接する部分で全く異なり,外洋側底泥土は酸性硫酸土壌であるため,酸化状態で著しい酸性を示すが,内陸側底泥土は陸地還元が可能であることを明らかにした。
著者
井岡 邦仁 郡 和範
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1) GeV から PeV に伸びる宇宙線のスペクトルを AMS-02 実験が精密に観測し、ヘリウムと炭素のスペクトルが水素のスペクトルよりもハードであること、ヘリウムと炭素のスペクトルは同じであること、また、どれもが200GeVに折れ曲がりがあること、が分かった。それらを説明するには、宇宙線がスーパーバブルのコアのような化学的に非一様な環境で加速されたと考える必要があることを議論した。(2) PeV 天体の候補である中性子星連星の合体は、r過程元素の有力な起源の候補でもある。しかし、もしそうだとすると、中性子星連星合体の飛散物質の残骸において r過程元素がほとんど粒子加速されず、r過程元素の宇宙線が異常に弱くなければいけないことを初めて指摘した。これは、超新星残骸の逆行衝撃波での粒子加速が非常に非効率であること、あるいは、中性子星連星の合体はr過程元素の起源ではないことを意味する。(3) PeV 天体の候補である ultra-long GRB(超長期ガンマ線バースト)は起源が分かっていないが、最近非常に明るい超新星が付随していることが判明した。この超新星を説明できるモデルとして、青色超巨星の崩壊、生まれたてのマグネター、白色矮星の潮汐破壊イベントが可能性としてありえることを議論した。(4) 超大質量星が重力崩壊してジェットを放出すると、ジェットが外層を通過する間にエネルギーを外層に渡し、非常に明るい超新星のように輝くことを提案した。
著者
小林 千枝子
出版者
作新学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

1960年代の高等学校多様化政策は、一般には、多様な学科の成立を促したことと理解されてきているが、定時制・通信制課程に目を向けると、産業界の要請のもと、修学形態の多様化がもたらされた点が注目される。昼間二交代定時制は産業界の要請のもとに繊維産業の二交代勤務に合わせた定時制である。通信制と定時制を併用する隔週定時制もある。また、戦後各町村に設置された新制中学校のなかには、生徒数は少ないため「貧弱」であるという理由から廃校に追い込まれたケースがある。その背後に市町村合併があった。高度成長期を境に農林漁業から工業へと産業構造が転換したが、そのことは青少年を都市部へ突き動かす役割を果たした。
著者
寺内 直子
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、明治時代以来、現代に至る、これまでの雅楽の「復元」研究と「復元」演奏の目的・方法論・実際を整理し、再評価するとともに、現代日本の音楽文化における雅楽の「復元」の可能性と、その歴史的、社会的意義を明らかにするものである。具体的には、1)明治末から第二次大戦までの20世紀前半、2)1945~1970年代前半、3)1970年代後半~1980年代、4)1990年代以降の四つの時期に分けて、それぞれの時代の「復元」研究と演奏の特徴を、資料批判、音楽的解読、鳴り響く音への実現の手法の観点から考察、整理している。
著者
竹内 和雄
出版者
寝屋川市教育委員会
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

本研究では、小中高等学校において、携帯電話の知識が豊富でない教員でも活用できる教材開発を中心に行った。教材開発にあたり、教材化について教職員、児童生徒、保護者、弁護士等を対象に実態調査(アンケート、インタビュー)を行い、多くの小中高等学校で活用できる教材を開発し汎用性を高めることを目指した。(1)「道徳、特別活動等授業教材」生徒自身が台本を考え出演した「ケータイお助けビデオ」(載せていいの、プロフィール??)を作成した。本作は、小中学生の利用が多いプロフィールサイトの危険について、生徒目線から解説した物である。「寝屋川市ケータイ・ネット問題対策会議」中心に作成したが、小中高等学校の授業、朝礼等で広く、活用されている。(2)「保護者啓発資料作成」保護者へのわかりやすい資料作成を行った。寝屋川市内の全小中学生の保護者に配付しただけでなく、全国各地で利用されている。フィルタリングの必要性、携帯電話依存に陥らないための工夫等をわかりやすく解説している。(3)「DVD教材(ネットいじめ撲滅劇)」寝屋川市中学生サミットで、生徒の意見でネットいじめ撲滅劇を作成して,編集してDVD化した。市内の中学生から、ネットいじめについての実例を募集し、生徒自身でストーリーを考えた。劇は、日本ピア・サポート学会研究大会(奈良教育大学)で上演し、全国の教職員、研究者対象に上演したが、好評であった。以上のように、小中高校生の携帯電話使用についての授業や保護者啓発に活用できる様々な資料を作成することができた。研究成果は、一部ネット上で全国に公開しているので、調査協力校等だけでなく、広く活用されている。特に「ネットいじめ撲滅劇」については、文部科学時報に取り上げられたり、文部科学省フォーラムで取り組み紹介を筆者自身がしたりするなど、反響が大きかった。
著者
福田 忠彦 古荘 雅生 矢野 吉治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では人間工学的手法による実験的検討から、操船者の心理的特性と航行視環境の関係について体系的に示すことを目指した.本研究では,まず操船者の状況認識,行動に与える影響要因について明らかにした.その上で,以下の要因が自船の危険に関わる視対象の検出に与える影響を示した.1.光環境の状態日中・薄明時で視覚心理機能測定実験を行い,色知覚機能の大きな相違を明らかした.色知覚機能は薄明時で低下し,特に日中で相対的な感度が高い黄色の感度が有意に低下することが示された.2.操船者が処理しなければならない情報量と処理し得る情報量(1)誘目性の異なる対象を含んだ場面での知覚の範囲全ての対象が静止しているパターン(静止刺激)とそのうち一つに動きをつけたパターン(運動刺激)を用いて,知覚の範囲の測定実験を行った.運動刺激では精度が高く並列的な処理過程である即刻の把握(subitizing)で処理できる対象の数が,静止刺激よりも少なくなることが示された.(2)交通量の多い狭い水域における操船者の視覚探索特性狭水道や港内において眼球運動測定実験を行った.特に情報量が多い港内では,既に把握している視対象以外の存在や,海図やレーダーの情報を確認する余裕がなく,存在を把握している視対象についても,短くかつ少ない視線配置で情報を受容していることが示された.3.操船者の熟練度の影響水平線への見張りにおける熟練航海士と非熟練者の眼球運動測定実験を行った.熟練航海士は注視成分が非熟練者より多く,水平線へ集中して注視を行っていた.また水平方向への8〜10°の移動距離を「見張りの基本単位」とし,これに基づいて水平線上で広く視線を移動させていることが明らかになった.これらの知見を踏まえ,見張りにおけるヒューマンエラーの要因を示した.
著者
寺崎 英紀 井上 徹
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本課題では、マントル鉱物中のH2Oフルイド三次元分布のその場観察を目指して、中性子線を用いた高圧トモグラフィー測定技術の開発を行った。トモグラフィー測定用に新たに製作した加熱・加圧機構を小型プレス導入した。またJ-PARC中性子施設において中性子イメージングの光学系セットアップの最適化を行い、試料種類・サイズによるイメージ変化についても調べた。以上の最適化したセットアップを用いて、含水鉱物と無水鉱物試料を用いた中性子トモグラフィー測定をおこなった。以上より高温高圧下における中性子イメージングおよびトモグラフィー測定が可能となった。
著者
高久 史麿 平井 久丸 岡部 哲郎 春日 雅人 浦部 晶夫 大沢 仲昭
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1984

白血病においても他の悪性腫瘍の場合と同様に活性化された癌遺伝子、すなわちtransforming geneが存在することが証明されている。transforming geneの証明には、通常、培養NIH3T3細胞を用いるtransfection assayが行われているが、われわれはその方法を用いて32例の白血病症例を対象にして患者白血病細胞DNA中のtransforming geneの有無を検索し、4例でその存在を確認、この中の2例(慢性骨髄性白血病ならびに急性リンパ性白血病各1例)で遺伝子のクローニングを行って、いずれもN-ras oncogeneの34番目のヌクレオチドがguanineからthymineに変わっており、この点突然変異がN-ras oncogeneの活性化すなわちtransforming geneの存在にむすびついていることを明らかにした。また、腫瘍細胞由来のDNAをtransfectしたNIH3T3細胞をヌードマウスに移植して、腫瘍の形成によるtransforming geneの検索をも行い、前白血病状態と呼ばれる病態でも、その半数でtransforming geneを証明した。各種の分化、増殖因子やレセプターと癌遺伝子との密接な関係が注目され、癌遺伝子の質的、量的変化が各種疾患の病態の発現に重要な役割を演じていることが明らかになってきているが、われわれの行った血液細胞における分化・増殖因子とレセプター、癌遺伝子ならびにレトロウイルスなどを中心とする研究は今後、白血病の病態の解明に大きく寄与するものである。
著者
福田 敦夫
出版者
浜松医科大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

1.タウリン作用へのリン酸化/脱リン酸化の関与の検討と細胞内情報伝達分子の同定:すでにリン酸化酵素阻害剤でタウリンによるKCC2機能抑制の解除が起こることを確認していたので、想定されるリン酸化部位に変異を導入したKCC2 mutantを作製して実験に供した。ラットを用い、in vitroでのタウリンによるKCC2蛋白機能抑制は消失し、in vivoではwildでは起こらない細胞移動の抑制を示した。タウリンが活性化するリン酸化酵素と基質であるKCC2のリン酸化部位を同定した。2.Ca^<2+>振動を指標としたモーダルシフトの発生部位の解析:胎齢17.5日のマウス大脳皮質スライスでタウリントランスポーター阻害剤(GES)、GABAトランスポーター阻害剤(ニペコチン酸)を投与して、移動中の細胞(電気穿孔法でmRFP導入)の示す自発的Ca^<2+> transientsに対する影響を比較した。皮質板ではニペコチン酸が、サブプレートではGESがよりCa^<2+>振動の頻度を上昇させる傾向を示したが、中間帯ではCa^<2+> transientsそのものが少なくGESも作用しなかった。GABAイメージングでGABA放出部位は脳室下帯と中間帯に多く、これらの場所に少なくサブプレートに多いタウリンの空間分布とは相反的であった。上の結果から、タウリンとGABAはCa^<2+>振動の変調と移動モードのシフトに各々異なる役割で関与する可能性が考えられた。3.母体拘束ストレスが胎仔脳タウリン量とモーダルシフトに与える影響:妊娠15日目のマウスに、拘束・光刺激ストレスを一日に3回、妊娠17日目まで3日間続けた。胎仔大脳皮質のタウリン含有量がストレス群で減少傾向にあった(p-0.077)。しかし、GABA、グルタミン酸の含有量に変化はなかった。さらに、皮質板細胞の発生や細胞移動を観察したところ、全く影響を受けていなかった。その一方で、GABA細胞は有意にその発生数が減少していた。
著者
紫加田 知幸
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

有害赤潮鞭毛藻類シャットネラ・アンティカの日周鉛直移動リズムに及ぼす光環境の影響を調べた。その結果,暗期における微弱なUV-A~青色光(>0.01umol m^<-2>s^<-1>,360~480 nm)の照射により,その後の日周鉛直移動リズムが変化することが判明した。さらに,暗期に回収したシャットネラ細胞について,全mRNAシーケンスを実施したところ,クリプトクロームやオーレオクロームといった青色光受容体の類似配列が検出された。今後,これらの光受容体と日周鉛直移動リズムの光位相変化の関係を解析していく予定である。
著者
千賀 裕太郎 土屋 俊幸 朝岡 幸彦 三橋 伸夫 鎌田 元弘 廣田 純一 柏 雅之 堀口 健治
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地域住民・NPO・企業・行政のパートナーシップを構築することで、多様な地域再生活動を展開する「中間支援型組織」としてのグラウンドワーク組織の普及・定着に関する研究を行った。このなかで、グラウンドワークが農村を含めた全国各地においていかに活動を展開し、地域住民、地域企業等の参加を組織し、環境改善および雇用創出を通じて地域の持続的活性化へと結び付けてきたのか、その構造を明らかにし,特に弱い経済条件の地域におけるグラウンドワークの更なる普及・発展の条件を明らかにした。
著者
竹原 徹郎 巽 智秀 疋田 隼人 田中 聡司 坂根 貞嗣
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

肝細胞株にパルミチン酸を投与するとRubiconの発現上昇を伴うオートファジー抑制を認めた。Rubiconを抑制するとパルミチン酸投与によるアポトーシスと脂肪蓄積は軽減した。Rubiconの発現増加はパルミチン酸投与によるRubiconの分解抑制が生じることによるものであった。高脂肪食摂取マウスにおいてもRubiconの発現増加を伴うオートファジーの亢進を認めた。肝細胞特異的Rubicon欠損マウスでは高脂肪食によるオートファジー抑制が改善し、肝脂肪化とアポトーシスが抑制された。ヒトの脂肪肝検体においてもRubiconの発現増加が確認された。
著者
榎本 千賀子
出版者
新潟大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

新潟県南魚沼市六日町の今成家の写真実践の事例分析を中心としながら、日本における明治初頭の写真受容を、歌舞伎や浮世絵、黄表紙などの庶民文化との関連性と、写真以外への領域への社会・文化的影響に注目しつつ分析した。今成家の事例から、先行する西洋由来の視覚装置への受容を引き継いで生まれた「心を写す写真」や、「声・動きを写す写真」という写真をめぐる定型的イメージを発見し、それらが明治初頭の日本における遊戯的な文化領域に広く共有されていたことを示した。また、「心を写す写真」が文学の近代化に与えた影響と、「声・動きを写す写真」が蓄音機や活動写真などの後続メディアの受容に与えた影響を指摘した。
著者
高久 玲音
出版者
一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会(医療経済研究機構(研究部))
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

調査初年度にあたる平成25年度は、都道府県と市区町村にアンケート調査を行い、1995年以降における助成拡充過程を調査した。2年目にあたる平成26年度では、その調査と既存統計を突合し、医療費助成によって子どもの健康が改善しているという証拠はあるのか検討した。分析の結果、小学生以上の年齢に対する医療費助成については、自覚症状や入院、主観的健康感などすべての健康指標で医療費助成の効果は確認されなかった。一方、未就学児については自覚症状の減少が確認された。ただし医療費助成が健康に与える効果を明らかにするためには、さらなる研究の蓄積の必要性も示唆された。