著者
福岡 安都子
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究課題は、主権理論、また信教や思想の自由が歴史上どのように発展したのかを、その重要な舞台をなす17世紀のオランダにつき、特に、国家と教会の関係という当時の同国最大の政治問題に焦点を当てて分析することを試みたものである。聖書からの引用を多用しそこに複雑な解釈を施すという当時の議論スタイルと正面から取り組むことを通じ、「聖書世界において啓示を媒介するのは誰で、それはどのようにであったか、また今日において対応する役割を負うのは誰か」という一連の「啓示の媒介者の問い」が、グロティウスを中心とする1600~1620年のいわゆる「レモンストラント論争」時の理論家に、主権の限界及び教会の自律性を巡って見解が対立する際のまさに分岐点として意識されていたことが明らかとなった。これにより、その後のホッブズやスピノザの世代との議論枠組の連続性が改めて確認された。
著者
松嶋 藻乃
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

ヒトはたかだか4つの物体の情報にしか、一度に注意を向けたり、記憶したりすることが出来ない。さらに記憶や注意の容量は、視覚刺激が左右両視野に呈示されたとき(Across条件)、どちらか一方に呈示された場合(Within条件)にくらべ増大することが知られている。その神経基盤を探るため、サルに2つの認知課題ー複数記憶誘導性サッカード課題および複数物体追跡課題ーを訓練した。課題遂行中の前頭前野ニューロン活動を記録したところ、Across条件のとき、Within条件に比べ増大することを見出した。このことは、対側と同側視野の視覚情報が、解剖学的に分離されて処理されていることを反映していると考えられる。
著者
坪井 伸広 茂野 隆一 首藤 久人 中川 光弘 安藤 義光 小田切 徳美 立川 雅司 後藤 淳子 澤田 守
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は農村地域活性化の方策を提示することを目的に平成12年度に開始した。本年度は、研究の最終年度で、4年間の研究を総括することを課題とした。この4年間の研究実績はつぎのとおりである(カッコ内は平成15年度実績)。カナダ春ワークショップ参加(2名)、秋研究大会参加、カナダ・フィールド共同調査(日本から4名参加)、日本・フィールド共同調査(随時実施。内カナダから1名参加)、東京ワークショップ開催・カナダ研究者招聘、日本・カナダの農村リーダーの交流(カナダから8名招聘)、4年間の研究成果のまとめRevitalizing Rural Hinterlands : Comparative studies in Japan and Canadaを執筆(13章構成の内11章の草稿を科学研究費の報告書としまとめ、印刷公表した)をした。日本側フィールド調査地は、栃木県上都賀郡粟野町、福島県相馬郡飯舘村で、カナダ側のはオンタリオ州Tweed、ケベック州St. Damaseである。この2地区の調査地を比較対象として選定し、共通の調査項日からなる家族調査を実施したことを特徴とする(報告書第4章、第6章)。農村地域の活性化について得られた知見はつぎのとおりである。日本側の農村に開発が短期間に進められたことのひずみが現れていること、両国の農村ガバナンスの構造再編が進行中であること、両国農村にボランティア組織による活性化への期待が大きいこと、日本では地域資源の活用を柱とする内発的発展を敷指向する課題に取り組まれていること、カナダでは資源依存への脱皮を課題としていること。
著者
和田 正人 Dezuanni Michael Burnett Bruce 森本 洋介 田島 知之 斎藤 俊則 Grizzle Alton
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、教員養成大学の学生及び現職教員が、ユネスコが2011年に開発した「教師のためのメディア情報リテラシーカリキュラム(Media and information Literacy Curriculum for Teachers)」を学習することにより、文部科学省が2007年に発表した教員のICT活用指導力がどの程度増加したことを明らかにした。しかし2013年度の調査と2015年度の調査の比較では、増加した項目が半減した。また項目尺度も「わりにできる」までで限定されていた。これらのことより、項目尺度の検討と縦断的研究の必要性が議論された。
著者
多田隈 理一郎 多田隈 建二郎
出版者
山形大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

酢酸ナトリウム三水和物水溶液を過冷却状態にした後に刺激を加えると、熱を放出しながら急激に結晶化が起こるというホット-アイス現象を用いて、形状・剛性が可変な作業移動ロボットの製作を行った。磁性スライムで構成されたロボットを移動させる手段として、研究開始時には主にネオジム磁石を手で動かす方法を用いていたが、より広範囲にロボットを移動させるために、複数の平歯車により全方向駆動歯車およびネオジム磁石を任意の方向に移動させる全方向搬送テーブルを製作した。また、磁石や刺激のための電極よりも小さな機器を環境側に配置するだけで形状・剛性が変化できる新しいゲル材料によるロボットについても検討した。
著者
榊原 千鶴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は、明治期の女性教育の内実を明らかにすることである。2010年度~2013年度研究期間中の成果は、1.「〈知〉の継承からから考える明治期の女性教育 ―先駆者の気概に学ぶ―」と題した『文部科学教育通信』(ジ アース教育新社)誌上での連載(全14回中、本研究期間分は10回)、2.近代における中世文学の再生に関する論文の執筆、3.1に大幅な加筆を行い『烈女伝 ―勇気をくれる明治の8人―』として三弥井書店より刊行した。
著者
宮内 肇 栗山 繁
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アーチェリーにおいては、射形の変動は得点に大きな影響を及ぼす。このスポーツは、高得点を得るために、同じ射形を繰り返す必要がある。普通はコーチの指導の下で、繰り返しの練習で射形の安定を達成するものである。しかしながら、高校や高専の部活動においては、専門のコーチを置くのは難しい。そこで、我々は、アーチェリーの競技力を工学的な手法で伸ばすことを考えた。この研究においては、フィジカルコンピューティングを用いた様々なトレーニング装置を考案した。この装置によって、射手は、自分の射形の癖などを把握することができる。
著者
二宮 浩彰 工藤 康宏 石澤 伸弘
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、北海道のスポーツ・ツーリズム動態を把握した上で、外国人旅行者を魅了するスポーツ・ツーリズムの観光資源を探るための調査研究を実施することを目的とした。北海道におけるスポーツ・ツーリズムの観光資源を目当てに訪日しているヨーロッパ、北米、アジア、オセアニアからのインバウンド外国人旅行者に焦点を当てることにした。北海道ニセコ地域の訪日外国人スポーツ・ツーリストを調査対象として、スキー/スノーボードの参加と経験、技能と知識、用具と投資、ライフスタイル、スキー/スノーボード旅行の選好、ニセコリゾートへの地域愛着、個人属性について、英語/中国語による質問紙調査を実施してデータを収集した。結果として、外国人スキーヤー & スノーボーダーのスポーツ・ツーリスト行動の実態を明らかにすることができた。そして、ニセコ地域の現状についての聞き取り調査を行い、外国人スキーヤー & スノーボーダーの来訪動向と現地調査の研究成果との検証を行った。
著者
塩谷 孝夫
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

心筋の細胞膜には、細胞膜Caポンプ(PMCA)とNa/Ca交換(NCX)の2種類のカルシウム輸送体が存在する。本課題ではマウス心筋細胞からのホールセルクランプ記録と局所Ca2+濃度分布のコンピュータシミュレーションを用いてこれらの機能連関を調べ、次の結論を得た。1)心筋細胞のPMCAは自身の近傍の細胞内Ca2+濃度を低く維持し、その局所Ca2+濃度をシグナル媒体としてNCXを調節する。2)このNCX調節はリバースECカップリングを抑制し、活動電位の過度な延長を防止する。
著者
芋生 憲司 横山 伸也 海津 裕 岡本 嗣男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

自律走行や,精密農法で必要となるナビゲーションシステムを低コストで実現するために,高精度の超音波速度計,光トランスポンダ方式による測距装置,およびオプティカルフローによる移動ベクトル検出の開発研究を行った。主な研究成果は以下の通りである。超音波速度計については、著者らが以前に開発した超音波ドップラー速度計を改良し,精度を向上させた。これによりコンクリート面のような滑らかな路面でも安定した測定が可能になった。屋外での車載試験でも良好な結果が得られた。また擬似植物を音波の反射対象とした実験を行い,測定が可能なことを確認した。しかし植栽の密度が低い場合は誤差が大きくなった。更に,横滑りも含めた速度ベクトルを測定する可能性を確認した。光トランスポンダによる位置測定については,一方向に限っての,拡散光による高精度の距離測定は可能であり,標準誤差は約3cmであった。しかし全周方向の測定器では方向による位相ずれが生じ,これを調節する必要があった。全周方向での測定では,日射量が少なければ,標準誤差は約5cmであった。日射量が多い時には,測定可能距離が短くなり,測定精度も低くかった。信号増幅等改良の必要がある。固定局2局と車載した移動局による位置測定は可能であったが,温度ドリフトの問題が残された。オプティカルフローによる移動ベクトル検出については、ハフ変換を用いることで計算時間を短縮した2つのプログラムを作成した。一回の計測のための計算に要する時間は,約0.3sであり,従来の二次元相関法に比べて大幅に短縮された。移動距離に対する移動ベクトルの測定誤差の割合の平均値は約5%であった。測定範囲は今回の設定では,DX,DY各±30mm以内であり、リアルタイム測定には更なる改良が必要である。
著者
関根 和江
出版者
東京藝術大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

シモン・ゴールドベルク旧蔵資料が、2010年、東京藝術大学音楽研究センターに一括寄贈され、「シモン・ゴールドベルク文庫」として資料整備が開始された。資料全6524点の整理がほぼ終了し、その内容を広く国内外に紹介し、資料利用に供する準備が整いつつある。本研究では、初年度に、文庫公開の第一歩として展覧会「シモン・ゴールドベルク資料展」を開催し、文庫資料の初公開を果たした。また、次年度には、文庫資料目録を日本語版と英語版で出版し、さらに、センターのホームページ経由で、データを発信することができた。
著者
平田 道憲 今川 真治 正保 正惠 田丸 尚美 八重樫 牧子
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

(1) 「子育て共同化」プログラム実施のための国内,国外のアンケート調査を実施し,「子育て共同化」プログラムに関する母親のニーズを明らかにした。(2) 国内・国外の先行事例を研究した。(3) 「子育て共同化」プログラムを試行し,参加者の育児不安の変化やニーズを明らかにした。(4) 父親の子育て参加のためのワークショップを実施した。(5) 「子育て共同化」プログラムの行政・民間機関との連携についての研究が今後の課題である。
著者
中尾 恭三
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ヘレニズム時代、諸ポリスは自国の安全のため都市・領域・神殿の不可侵(アシュリア)を認める条約を締結するよう諸国に求めた。前 3 世紀アシュリア条約が記録されるようになった当初は、神殿で開催される祝祭期間中の休戦条約から発展したものであった。前 3 世紀半ば以降、この神殿への不可侵が神殿を含むポリスの領域にまで敷衍されていき、付帯条項のよって不可侵を定義していくことによって、ヘレニズム時代におけるポリスの外交上の戦略として用いられるようになる。 このアシュリアが、一国では生存の難しい古代地中海のポリスにとって、他国とのネットワークを形成し、長期的に維持する基盤の 1 つとしてはたらいていた。
著者
丸山 陽子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

歌人兼好周辺の僧侶の歌壇活動に関する研究として、三井寺周辺の和歌活動の考察を進展させた。特に、僧侶の和歌史料に乏しい一三世紀中頃から一四世紀初頭の三井寺周辺の僧侶の和歌を中心に収め、三井寺僧とその周辺のネットワークを知る上で有益な資料となる『新三井和歌集』に着目し、成立と性格を具体的に考察した点に意義がある。昨年度までの研究成果を踏まえ、まずは官位記載や詞書等から成立時期の考証を行い、これを踏まえて人物考証を深め、明らかとなった人物の関係に修正を加えながら系図化した上で、収められた人物や詞書、及び和歌の内容を、より具体的に掘り下げた。その結果、聖護院門跡覚助法親王とその周辺の活発な和歌活動がクローズアップされ、特に覚助はこの時代の有力人物であり、歌人として幅広い活動を行ったことが明らかとなった。一方、三井寺周辺の僧侶の考察と共に、歌人兼好周辺の神官の歌壇活動に関する研究を行った。昨年度までに行ってきた『伊勢新名所絵歌合』の新名所設定の意図や法楽としての歌合の性格等の考察、即ちこれらをまとめた論文及び著書の研究成果を踏まえ、刊行予定の『伊勢新名所絵歌合』の注釈書の執筆を進めた。この歌合には絵と和歌があることから、和歌の注釈に終始せず、今年度は更にフィールドワークを重ねながら、『伊勢新名所絵歌合』の特徴である絵と歌合の関係を視野に入れた学際的な研究を目指した。この研究成果の一部は、「『伊勢新名所絵歌合』-絵と歌合の関係より-」として論文報告する予定である(校正中)。上記神官・僧侶の考察と並行して、『兼好法師』(コレクション日本歌人選・笠間書院)の執筆を行った。兼好の交流やネットワークといった研究成果を踏まえ、どういった歌人と交流し、どういった歌を多く詠んだか、という観点を盛り込み、兼好の和歌の特徴と面白さを引き出すことを目指した。校正中であり、2010年9月に刊行予定である。
著者
東 浩司
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

花の匂い特性の異なる近縁種の雑種個体が両親種とは異なる匂い特性(および花形態)を示すことにより、種分化が起こることが期待される.花の匂い特性が異なるアケビとミツバアケビ、およびそれらの雑種であるゴヨウアケビの匂い特性を調べた.ゴヨウアケビの匂い特性は両親種の中間的であったが、いくつかの個体は親種であるアケビ・ミツバアケビに見られない匂い物質を放出していることが分かった.セキショウは種内分類群として開花期が異なる二つの系統が知られている.両者の匂いを調べた結果、特に違いは無かったが、これまで天然物として知られていない匂い物質を放出していた.
著者
廣瀬 卓治 中尾 慎一
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ケタミンなどの非競合性NMDA受容体拮抗薬は、神経細胞保護作用がある一方で、精神異常誘発作用を有し、脳後帯状・後板状皮質:PC/RS)の神経細胞傷害を引き起こす。一方、バルビツレートにも精神作用があるが、ケタミンの精神作用を抑制し、NMDA受容体拮抗薬によるPC/RSの神経細胞傷害を抑制する。精神異常作用や分裂病の病因としては、ドパミン系の機能亢進がその本体と考えられていている。本研究の目的は、多くの薬物の精神作用や分裂病の責任部位と考えられている脳側坐核ドパミン放出に対するケタミンの作用と、これに対するペントバルビタ-ルの効果を調べること、さらに、ケタミンによるPC/RS(もう一つの薬物の精神作用や分裂病の責任部位と考えられている。)への作用にドパミン系が関与しているかどうか、を調べることである。ケタミンは、濃度依存性に側坐核ドパミン放出を増加させた。最大増加はケタミン投与20-60分後であり、ラットの行動変化と一致していた。ペントバルビタールは側坐核ドパミン放出を抑制し、さらにケタミンによるドパミン放出の増加を抑制した。以上の結果より、ケタミンによる幻覚や妄想などの精神異常誘発作用や神経細胞傷害作用の一因として、中脳辺縁系ドパミン系の活性化が考えられた。一方、ケタミンの精神異常誘発作用や神経細胞傷害作用を反映するPC/RSでのc-Fos発現は、NMDA受容体ノックアウトマウスでは有意に低下すること、ドパミン受容体やシグマ受容体に働く抗精神病薬ハロペリドールでは抑制されないが、他の抗精神病薬リムカゾールでは抑制されることを証明した。この結果は、ケタミンの上記作用には、実際にNMDA受容体の関与があること、ドパミン系やシグマ受容体の関与も有ることを示唆している。
著者
白澤 政和 増田 和高 畑 亮輔
出版者
桜美林大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

コミュニティマネジメント過程を明らかにし、それとケースマネジメントの連結で、ソーシャルワーク論の確立を目指した。その結果、コミュニティマネジメントは、「地域活動の実施とモニタリング」「地域の情報収集」「地域活動実施準備」「地域活動プランニング」「地域アセスメント」の5因子で構造化されていること、コミュニティマネジメントはケースマネジメントと同じPDCAサイクルで展開していること、ケースマネジメントでの個別ニーズへの対応から地域ニーズが抽出され、地域ニーズに対応したコミュニティマネジメントの展開により、ケースマネジメントとコミュニティマネジメントが循環していることを明らかにした。
著者
佐野 和史 大関 覚 木村 和正 橋本 智久 増田 陽子
出版者
獨協医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

生体組織を凍結・解凍すると通常では細胞破壊を起こすが、既に食品鮮度を保つために利用されている凍結・解凍時の細胞破壊を極力抑える特殊な冷凍技術(Cell sAlive system, 略称CAS)を用いて切断後凍結保存した動物肢を解凍し顕微鏡下に血管吻合再接着して生着生存させうる技術開発を行った。結果現時点ではCAS凍結により細胞破壊をある程度抑える事ができたが、生着生存させるには至らなかった。今後に繋がる本研究成果として瞬時に組織内をむら無く均一に凍結し得る実験用CAS冷凍装置の冷凍能力を向上と、より組織障害性の少ない細胞凍結保存液の調整調合が鍵である事がわかった。
著者
小川 正人
出版者
道立アイヌ民族文化研究セン
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題は、近現代日本のアイヌ教育史の中でも、〈アイヌ政策〉が可視的だった1930年代以前とアイヌ民族の権利回復・伝統文化の再評価が唱えられるようになった1960年代末以降との"狭間"に当たり、「アイヌ」という言葉すらタブーとされることが多かった1940~50年代を対象として、この時期の教員や地域のアイヌによる取組や活動をあらためて調査し、当時のアイヌと教育に関わる様々な問題の実態を明らかにすることを目的とした。具体的な作業と成果は次のとおりである。(1)先ず北海道大学附属図書館、北海道立図書館、北海道教育大学附属図書館等において、当該時期の教育行政関係文書、教育雑誌、教職員組合関係文献等を調査し、本研究課題に関わる記録資料の所在に関する予備的確認を行った。(4月~6月)(2)その結果を踏まえ、道内各地域での関係資料調査を順次実施したほか、全国的な教育行政・教育研究組織等の動向を掴むため東京都での資料調査、早くからアイヌの教育問題に関心を持ち人的な交流も確認できる被差別部落地域における情報を収集するため京都、奈良、大阪での資料調査を実施した。(7月~12月)(3)並行して、収集した情報のデータベース(文献目録)化を実施。10月に開催された教育史学会第57回大会での口頭研究発表にその成果の一部を援用した。(4)12月以降は補充調査を実施しつつ、収集した情報の整理・分析作業を継続した。(5)以上の作業を通して、確認できた当該時期の関係資料は、数としては前後の時期に比べきわめて乏しい。しかも、タイトルに「単級複式学校」「地域の低所得者層」「非行等の語のみを記したものが目立つ。予て指摘されてきた"見えない問題"とされていた時期だとする把握は、現象としては確かにその通りである。しかしこれらの記録には、地域のアイヌ児童の問題と取組む教職員や、自ら教育研究団体の場で発言するアイヌの存在が確認できる。そして、これらの人々による、問題の所在と打開の方策を模索する営みは、その困難さに行き当たれは当たるほどに、人々自身の意図を超えて、アイヌ児童を取り巻く諸問題が、「貧困」「僻地」「階層」だけではない淵源―先住者ゆえに抱えさせられてきたもの―を持つことを暗示している、というのが筆者の仮説的な結論である。本研究により筆者は、「アイヌ=先住民族」という理解が与件ではない時期に、実態との不断の取り組みによって、その問題が"予感"されたことが重要ではないかと考えるに至った。本研究の成果については、2014年10月に開催される教育史学会大会にて改めて発表する予定である。
著者
新田 秀樹 里見 まり子 吉川 和夫 太田 直道 浅野 治志 桂 雅彦
出版者
宮城教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

教科横断的な表現教育を教員養成教育に導入するため、芸術家や民間芸術教育者を招き、ミュージアム等とも連携し、「美術」「音楽」「言語」「身体表現」などの複数分野を融合する授業の開発研究を下記のとおり行った。1.「表現教育の教育臨床的研究:五感アート・ラボ=共感覚の森」(大学サテライトギャラリー)視覚、聴覚、触覚を総合した描画の臨床心理学的研究、展覧会、ワークショップ。2.「響くことば、黙することば:能・パントマイム・即興ダンスの出会い」(大学サテライトシアター)金春流宗家他の芸能者、音楽家等とのコラボレーションによる授業開発。3.「遊具をデザインする:遊びながら学ぶために」遊具デザイナーを招いて遊具を創作するプロダクトデザインのカリキュラム開発。4.「身体と映像:身体表現演習」映像アーティストと作曲家との協同による、身体、映像、音が融合した表現教育のプログラムの開発。5.「映像・音・からだをつなぐ」(大学サテライトスタジオ)倉庫空間を活用し、映像インスタレーションと音響彫刻「音のかけら」を組み合わせた、からだの諸感覚を覚醒する授業モデルの構築。6.「音具をつくる、音を感じる、音で対話する」(大学サテライトスタジオ)土や竹を使った音具づくり、コントラバス奏者による即興演奏を組み合わせ、ことばを使わないコミュニケーションを創造する実践研究。7.能楽・パントマイム、即興ダンスの融合授業を大学で展開する「ステージアートとクラスルーム」の研究活動。8.国内、米国、ドイツ等の領域横断型芸術表現の教育プログラム事例調査と資料収集。表現教育に関する情報発信ができる仮想研究ラボ「五感アート・ラボ」ウエッブサイトの開設。