著者
三浦 洋子
出版者
千葉経済大学
雑誌
千葉経済論叢 (ISSN:0915972X)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.51-69, 2012-07-24

北朝鮮は1993年`国連人口基金 (UNFPA)'の援助で最初に人口総調査を実施して以来、15年ぶりに「2008年北朝鮮人口センサス」を発表した。当センサスによって、北朝鮮の食糧難が人口構成に大きく影響していることや、いわゆる「少子高齢化」に接近していることがわかった。また、住環境、トイレや暖房方式、燃料や水道設備、また家事と呼ばれる内容までもが、北朝鮮側から提示されたことは、大変に興味深い。「ベールに包まれた国」と言われてきた国で、脱北者の証言でしか知らなかった一般庶民の暮らしぶりが、この統計から具体的にわかってきたことは非常に意義深い。
著者
今 美香 苫米地 真理子 三浦 雅史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C1440, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】ハイヒール靴は外反母趾の原因の1つとされ、広く知られている。この原因の一つとしては、ヒール高のために足部が前方へ滑り、足尖部が靴とぶつかり、母趾が外反することが挙げられる。そこで今回、ハイヒール靴に対し、足部が前方へ滑らないようにするインソールを作成し、その有効性として足底圧、アンケート調査により検討したので報告する。【方法】対象は外反母趾などの足部疾患の既往がなく、足趾の変形や疼痛がない女子大学生10名とした。対象にはインフォームドコンセントを行い、同意を得た。使用したインソールは一般に市販されているポリエステル素材で、厚さ5mmのものを使用した。踵部分を切り取り、足部の前方への滑りを減少させた。また切り取った3cm幅のインソールを中足部に重ねることで厚くした。次に足部の第1中足趾関節(以下、MP関節)部分に5mmのEVAシートを削りインソールに貼った。これは個々のMP関節部にフィットさせるため、両面テープを用いて自由に位置を変えられるようにした。使用したハイヒール靴は6.5cmのヒール高とした。この靴にインソールを挿入していない状態(以下、インソールなし)と挿入した状態(以下、インソールあり)で、対象にそれぞれ5秒間の片脚立位、10歩の歩行を行った。足底圧の測定は富士フィルム社製圧力測定フィルム富士プレスケールを2cm×2cmに切り取り、母趾球部と踵部に貼り付け測定した。圧力の判定は貼り付けたプレスケールに写し出される赤色痕をもとに行った。また測定終了後にa.つま先の疼痛、b.足の甲の圧迫、c.足の甲と靴の間の隙間、d.足の土踏まずの適合性、e.ヒールの安定感、f.母趾MP関節の圧迫感、といったアンケートを行った。統計学的処理は対応のあるt-検定にて2群間の比較を行った。有意水準を5%未満とした。【結果】片脚立位、10歩の歩行共に、母趾球部の足底圧はインソールありで有意(p<0.05)に低値を示し、踵部ではインソールありで有意(p<0.05)に高値を示した。アンケートの結果、インソールありでおおむね好評な結果であった。【考察・まとめ】今回の結果より、インソールを挿入することで踵部に圧がかかり、それに伴い母趾球部への足底圧が減少し、足部が前方へ滑り込まなくなったことが考えられる。よって、母趾に対する内転方向への外力が減少し、外反母趾を引き起こすような外力は軽減できたのではないかと考えている。またアンケート結果からは、MP関節部のEVAシートの厚さやインソールそのものの厚さ等について改良の余地があることが明らかとなったが、おおむね好評な結果を得ることができた。以上より、外反母趾予防という観点から、ハイヒール靴に対するインソール挿入は有効であることが示唆された。
著者
牧野 憲一郎 三浦 秀敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.363, pp.127-131, 2005-10-18

マンモスは1万年前に滅亡したという通説があり、絶滅の原因も自然環境の急変のためか、人類による乱獲の為かわかっていない。2004年8月にNTVの-ファインディング マンモス プロジェクト-調査隊にボランティアとして参加し、極北シベリアの永久凍土下のGPR(地下レーダ)およびMF-EM(多周波数-電磁探査法)を用いた冷凍マンモス探査を行った。探査は、まず、広大な領域をヘリコプターにより上空から地形観察を行い、有望地形を特定してから地表踏査を行い、地表から牙や骨片などの現れた周辺に限定して行われた。今回使用したGPRのアンテナ周波数は250MHzで、調査地点の地中媒質の電磁波速度は、0.095〜0.1m/nsで、透過深度は2.5〜3m程度であった。また、MF-EM(周波数: 0.33〜47KHz 5周波数)測定結果から得られた大地見かけ比抵抗は、40〜60Ω-mであった。
著者
三浦 拓也 山中 正紀 武田 直樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101189, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】体幹の安定性は従来,腹直筋や脊柱起立筋群などの体幹表層筋群の同時収縮により提供されると考えられてきた.しかしながら近年,これらの筋群の過剰な同時収縮はまた腰椎にかかる圧迫力を増加させ,腰痛発症のリスクとなり得るということも報告されており,体幹表層筋への依存は腰椎の安定性に対して負の影響をもたらす可能性が示唆されている.対して,腹横筋や腰部多裂筋を含む体幹深層筋群は直接的に,もしくは筋膜を介して間接的に腰椎に付着するため,その活動性を高めることで腰椎安定性を増加させることが可能であると言われている.しかしながら,増加した体幹深層筋群の活動性が表層筋群の活動性にどのような影響を与えるかについて同一研究内で報告したものは見当たらない.本研究の目的は,体幹深層筋群の活性化が表層筋群の活動性に与える影響について筋電図学的に調査することである.【方法】対象は,体幹や下肢に整形外科学的または神経学的既往歴の無い健常者6名(22.4 ± 1.1歳,166.9 ± 2.0 cm,60.5 ± 3.6 kg)とした.筋活動の記録にはワイヤレス表面筋電計(日本光電社製)を周波数1000 Hzで使用し,対象とする筋は右側の三角筋前部線維,腹直筋,外腹斜筋,内腹斜筋-腹横筋,脊柱起立筋,腰部多裂筋とした.実験プロトコルに関して,立位姿勢にて重量物(2,6 kg)を挙上させる課題を異なる条件にて実施した.条件は特に指示を出さずに行う通常挙上と,腹部引きこみ運動(Abdominal drawing-in maneuvers;ADIM)を行った状態での挙上の2つである.各条件において測定は計5回ずつ行い,得られた筋電データはband-pass filter(15-500 Hz)を実施した後にroot-mean-square(RMS)にて整流化した.全課題を終えた後に各筋における5秒間の最大等尺性収縮(MVIC)を取得し,これを用いて筋電データの標準化を行った.重量物挙上のonsetを加速度計にて決定し,その前後200 ms間の筋電データを解析に使用した.統計解析は各課題(2-N;2 kg-通常挙上,2-A;2 kg-ADIM挙上,6-N;6 kg-通常挙上,6-A;6 kg-ADIM挙上)の比較に一元配置分散分析(SPSS Advanced Statistics 17,IBM 社製)を使用し,post-hocにはFisher’s LSDを用いた.有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】本研究の被験者には事前に書面と口頭により研究の目的,実験内容,考えられる危険性,データの取り扱い方法等を説明し,理解と同意を得られた者のみ同意書に署名し,実験に参加した.本研究は本学保健科学研究院の倫理委員会の承認を得て行った.【結果】外腹斜筋は6-A挙上時,6-N挙上と比較して有意に活動量が減少し(p<0.05), 2-N挙上と比較して6-N挙上では有意に活動量が増加した(p<0.05).内腹斜筋-腹横筋では2,6 kgのそれぞれでADIM挙上時,通常挙上と比較して有意に活動量が増加した(p<0.05).脊柱起立筋では6-A挙上時,6-N挙上と比較して有意に活動量が減少し(p<0.05), 2-N挙上と比較して6-N挙上では有意に活動量が増加した(p<0.05).腹直筋および腰部多裂筋においては有意差は認められなかった.【考察】ADIMを行った状態での挙上課題において,外腹斜筋および脊柱起立筋では筋活動量の減少が認められた.このことは重量物挙上による体幹動揺に抗するための体幹表層筋群への努力要求量が減少したことを示唆するかもしれない.この努力要求量の減少は,ADIMにより体幹深層筋群が活性化され,これに伴う体幹安定性の増加がもたらしたものと推察される.実際に内腹斜筋-腹横筋ではADIM挙上時に有意にその活動量が増加している.腹直筋や腰部多裂筋において有意な差が認められなかったことについては,主に体幹伸展モーメントを必要とする本研究の課題特性が影響したものと考えられる.体幹深層筋群の筋活動計測に対してはこれまでワイヤー筋電計などの手法が用いられてきたが,本研究結果はそれら先行研究と同様の結果が得られたため表面筋電においても体幹深層筋群の活動性を捉えることが可能であると示唆された.また,体幹表層筋群の同時収縮は腰椎に対して力学的負荷増加といったリスクを伴う可能性があるため,その活動性を減少させる体幹深層筋群の活性化は腰椎の安定性に対して重要な働きを持つものと考えられる.この体幹深層筋群の活性化による腰椎安定性増加は,将来的な腰痛発症を予防するという観点から臨床家が取り組むべき課題であると思われる.【理学療法学研究としての意義】本研究により,体幹深層筋群の活性化が体幹表層筋群の活動性を減少させることが示唆された.本所見は将来的な腰痛発症を防ぐためにも重要な知見であり,腰痛に対するリハビリテーションの一助となるものと考える.
著者
三浦 啓二 Miura Keiji
出版者
神奈川大学 国際常民文化研究機構
雑誌
国際常民文化研究叢書4 -第二次大戦中および占領期の民族学・文化人類学-=International Center for Folk Culture Studies Monographs 4 ―Ethnology and Cultural Anthropology during World War II and the Occupation―
巻号頁・発行日
pp.249-267, 2013-03-01

ルーマニア出身の宗教学者ミルチャ・エリアーデは、小説家や神話学者としても知られているが、ルーマニアやバルカンのフォークロアに関心を持った民俗学者であったことは、故国を除き、よく認識されていないので、エリアーデの民俗学研究の重要性を明らかにしたい。 エリアーデは、フォークロア研究は文化の様式やシンボルの解明に資すると認識したが、その背景には、3 年間のインド滞在経験や両大戦間期のルーマニア人の宗教性とアイデンティティーをめぐる知識人の論争があった。エリアーデのフォークロア研究は、建築をめぐる人柱伝説である「マノーレ親方伝説」のバラッドおよび羊飼いの謀殺と死を結婚に擬する儀礼をめぐる口承叙事詩「ミオリッツァ」の研究に集約される。 「マノーレ親方伝説」研究では、伝説の宗教的神話的意味を究明し、人柱となった妻の「犠牲としての死」と建築現場から飛び降りた親方の「非業の死」を、宇宙創造神話における巨人の創造のための犠牲としての死を反復したものであり、「創造性ある死」であるとの解釈を提示した。また、「ミオリッツァ」研究では、羊飼いの死は、死を前にした諦念を表しているとの伝統的解釈を避け、叙事詩に歌われる「神秘的結婚」は、自分の運命を変えたいとする羊飼いの意思を表しており、強大な周りの民族の侵入の恐怖に晒されたルーマニア人は、羊飼いの運命を自己の運命に重ね合わせていると解釈している。 日本の民俗学、民族学との関係については、呪術的植物である「マンドレーク」の伝説研究と、日本の霊魂観に関心を示した著作『永遠回帰の神話』を取り上げる。 エリアーデは、「マンドレーク伝説」研究で、植物学、民俗学者南方熊楠が、1880 年代に英国の雑誌『ネイチャー』において、欧州のマンドレークに関する民俗が、近東、アラブ世界を通じて中国にまで伝播したことを最初に論証したとその先駆的研究を高く評価した。 『永遠回帰の神話』では、民族学者岡正雄の論文『古日本の文化層』を間接的ではあるが参照し、日本の男性秘密結社、来訪者、新年の儀礼につき論じ、特に「タマ」等の日本人の霊魂観に強い関心を示しているが、岡論文の論拠の一つとなった柳田國男や折口信夫の業績には直接触れておらず、その研究は時代的制約を蒙っていたものと思われる。
著者
松田 翔太 政田 尚也 塩澤 大輝 中井 善一 三浦 亮太郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
M&M材料力学カンファレンス
巻号頁・発行日
vol.2013, pp."OS1503-1"-"OS1503-3", 2013-10-12

X-ray diffraction contrast tomography (DCT) is a technique for three-dimensional grain mapping of polycrystalline material. Measurement of DCT has been conducted m SPring-8 and shape and location of grain can be determined by DCT technique using the apparatus in BL19B2. For evaluation of plastic deformation by DCT, tensile and cyclic loading was applied to the sample during the measurement of DCT. The diffraction spots belonging to certain grain appear over some continuous projection images. The rotation angle range where diffraction spot appear is defined as grain orientation spread, and the grain orientation spread was counted in tensile tests and fatigue test. In the tensile test, the grain orientation spread increases in the plastic deformation. In the fatigue test, grain orientation spread increases with increasing m the number of cycles. It is possible to evaluate fatigue damage by DCT technique and using the grain orientation spread.
著者
井田 浩正 中川 和美 三浦 昌子 石川 清子 矢倉 尚典
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.101-107, 2012 (Released:2012-06-30)
参考文献数
24
被引用文献数
2 10

目的:出勤している労働者の健康問題による労働遂行能力の低下を表すpresenteeismが企業にもたらす損失は,健康問題全般による休業を表すabsenteeismがもたらす損失や医療費よりも大きいとの報告がある.Presenteeismを測定し評価するツールは米国を中心に開発されているが,本邦で活用できるツールは少ない.Lerner Dらが開発したWork Limitations Questionnaire(WLQ)はpresenteeismによる労働遂行能力の低下率が測定できる質問票で,「時間管理」,「身体活動」,「集中力・対人関係」,「仕事の結果」の4つの下位尺度,25問の質問項目で構成されている.本研究で筆者らは,WLQの日本語版(WLQ-J)の開発を行い,信頼性・妥当性を検討したので報告する.対象と方法:IT企業および医療機関に勤務する21–61歳の男女1,545人を対象として,インターネット調査によるWLQ-J,職業性ストレス簡易調査を実施し,有効回答が得られた710名(回答率46.0%)を解析対象とした.結果:解析対象者の平均年齢は33.2±9.5歳,女性が60.3%であった.WLQ-Jの因子分析の結果,原版と因子数および下位尺度の内容が一致し,構成概念妥当性が支持された.また,Cronbachのα係数は尺度全体で0.97,下位尺度で0.88–0.95を示し,内的一貫性が認められた.職業性ストレス簡易調査票のストレス反応を外的基準として,WLQ-Jの下位尺度とストレス反応との相関を検討した結果,Pearsonの相関係数は0.39–0.60で有意であった(p<0.01).また,ストレス反応が大きくなるにつれ有意にWLQ-Jの下位尺度得点が高くなる量反応関係が確認され(p<0.01),WLQ-Jの基準関連妥当性が支持された.考察:以上の結果から,WLQ-Jの信頼性・妥当性が支持された.WLQ-Jは,本邦の多様な産業において生産性の向上を目的とした健康増進の取り組みや,経営,人事,ライン,産業保健などの管理活動を推進・評価するうえで有用であると考えられる.今後,WLQ-Jについて他の集団との性・年齢・職種での比較,他の評価指標との関連について検討することが課題である.
著者
三浦 宏文
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学短期大学部紀要 = The bulletin of Jissen Women's Junior College (ISSN:21896364)
巻号頁・発行日
no.37, pp.63-78, 2016

本稿では、日本の刑事ドラマである『踊る大捜査線』シリーズの初期の作品に注目して、この作品の社会的・哲学的背景を考察した。『踊る大捜査線』では、90 年代後半のバブル経済崩壊後において「誰かのために」「誰かとともに」生きるという哲学を主人公青島俊作刑事の行動指針として描いていた。これは、自己実現や成果主義とは異なり、仏教哲学者椎尾辨匡の「共生(ともいき)」思想に繋がる新しい生きる指針であった。The purpose of this paper is to consider the philosophy of symbiosis which can be abstructed as philosophical cannotation from a "Bayside Shakedown(Odoru daisousasen)", a Japanese Detective drama series, which has got great popularity in 21st century Japanese society, and to investigate its social background. The thought of symbiosis, which is the style of 'For Somebody' and 'With Somebody', was drawn as principle of Syunsaku Aoshima's behavior of the hero in this drama. This Aoshima's principle of behavior is the new guideline of lifestyle for the Japanese person in the late 90's of the post-bubble-economy collapse. And this Aoshima's philosophy can be connected to the symbiosis-movement (Tomo-Iki-undou) of Benkyo Siio, a Buddhist philosopher.
著者
田中 昌一郎 粟田 卓也 島田 朗 村尾 敏 丸山 太郎 鴨井 久司 川崎 英二 中西 幸二 永田 正男 藤井 寿美枝 池上 博司 今川 彰久 内潟 安子 大久保 実 大澤 春彦 梶尾 裕 川口 章夫 川畑 由美子 佐藤 譲 清水 一紀 高橋 和眞 牧野 英一 三浦 順之助 花房 俊昭 小林 哲郎 日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.65-75, 2011 (Released:2011-03-29)
参考文献数
19
被引用文献数
8

日本糖尿病学会1型糖尿病調査研究委員会の緩徐進行1型糖尿病分科会(旧日本糖尿病学会緩徐進行1型糖尿病調査委員会)では委員会委員の所属する施設において発症から5年以内の新規受診糖尿病687例を前向き(2004年4月~2009年12月)に登録し膵島関連自己抗体(glutamic acid decarboxylase[GAD]抗体,insulinoma-associated protein 2[IA-2]抗体およびinsulin autoantibodies[IAA])の測定を行った.2型糖尿病と思われる症例で膵島関連自己抗体が一種でも陽性の場合には緩徐進行1型糖尿病:slowly progressive IDDM(以下SPIDDM)と病型区分した.その結果,1)2型糖尿病と思われる症例の10%(49/474, 95%信頼区間:8-13%)にSPIDDMが認められた.2)膵島関連自己抗体陰性の2型糖尿病に比しSPIDDM例の自己免疫性甲状腺疾患の合併頻度,HbA1c値,初診時のインスリン治療の頻度は有意に高く,BMIは有意に低かった.3)SPIDDMではGAD抗体の頻度(69%,34/49)はIA-2抗体の頻度(39%,19/49)やIAA(29%,14/44)の頻度に比し有意に高かった.4)SPIDDMでは急性発症1型糖尿病に比し膵島関連自己抗体の単独陽性例が高頻度だった.以上の結果から2型糖尿病と思われる症例に高頻度にSPIDDM症例が含まれる可能性があること,SPIDDMは2型糖尿病や急性発症1型糖尿病と異なる臨床的特徴を呈することが全国規模調査で明らかとなった.
著者
三浦 翔平 西村 麻美 小林 範久
出版者
THE SOCIETY OF PHOTOGRAPHY AND IMAGING OF JAPAN
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.134-135, 2005

We studied electrochemical properties of electrochromic materials, which showed reversible color change by electronic stimuli, from a view point of paper-like electronic imaging device. Electrochemical materials showing color changes from clear to the three primary colors such as RGB or CMY should be required to realize full color paper-like electronic imaging decvice. In this paper, we studied electrochromic characteristics of phthalate derivatives from the view point of its color and the electrochromic mechanism for paper-like display.
著者
笹原 英樹 重宗 明子 後藤 明俊 三浦 清之
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.21-25, 2017 (Released:2017-11-27)
参考文献数
18

食味に関する新たな交配母本を選定する目的で日本在来イネ品種の食味および米のアルカリ崩壊性を2004~2005年度にのべ83品種調査した.供試品種の中には「コシヒカリ」以上の食味を持つ品種は存在しなかった.在来品種の中で最も食味が良かったものは,2004年は「かばしこ(JP 10698)」, 2005年は「日の丸」であった.次に,登熟気温,米のアルカリ崩壊性,食味総合評価値との関係を検討した.アルカリ崩壊性は登熟気温が低いほど高くなると考えられた.食味とアルカリ崩壊性には正の相関が認められ,アルカリ崩壊性が高いほど食味が高い傾向がみられた. これらのことから,登熟気温が低い晩生品種では,アルカリ崩壊性が高くなり,良食味となる傾向があると考えられた.したがって,在来品種から交配母本を選定する際には,同じ熟期の品種群内での比較により食味やアルカリ崩壊性が高いものを選ぶ必要があると思われた.「コシヒカリ」よりも食味評価は低いものの,食味評価が比較的良好な在来品種は,「コシヒカリ」の系譜とは異なる新たな食味に関する遺伝資源として期待される.
著者
野崎 賢二 田野崎 隆雄 三浦 啓一 加藤 将裕 石川 嘉崇 長谷川 登
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第17回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.264, 2006 (Released:2006-10-20)

欧州では石炭灰を種々の分野で有効利用している。欧州では法令化と規格化が連動し、ユーロコート゛という体系化の元にフライアッシュの位置づけ、性能仕法により各国間の整合性を取ろうとしている。しかし英国規格を元にしているため、後からの加盟国の実情とそぐわない問題点が残されている。ユーロコート゛は今後地球温暖化等の環境面での配慮、品質ばらつきへの対処等の先進性も認められる。これがISO化された場合、JISもそれとの整合を求められる。
著者
小田 慶喜 池田 みよし 三浦 敏弘
出版者
身体運動文化学会 関西支部
雑誌
身体運動文化論攷 (ISSN:18826598)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.51-66, 2006-03

It is recognized that Miyazawa's literature is not understood easily. But Miyazawa's onomatopoeia is perceived by his words as an expression of the physical sense experienced in his life. In the modernized world,human being forgets human essence and physical sense, and is losing sight of environmental problems in future. The effort to train the sense of the body and to express is important,the physical education helps the expression of the sense of the body. The sense of the body is expressed as words and literature. When the body activity is experienced in physical education, the rythm and the change are drawn out. The education should offer the civilization and nature feel overall,and a lot of expression activities including the body by sense as an important role of the overall education.Expressing the sense of the body by a variety of methods contributes to fostering the sensibility.
著者
乾 彰夫 佐野 正彦 堀 健志 芳澤 拓也 安宅 仁人 中村 高康 本田 由紀 横井 敏郎 星野 聖子 片山 悠樹 藤田 武志 南出 吉祥 上間 陽子 木戸口 正宏 樋口 明彦 杉田 真衣 児島 功和 平塚 眞樹 有海 拓巳 三浦 芳恵 Furlong Andy Biggart Andy Imdorf Christian Skrobanek Jan Reissig Birgit
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、代表者らグループが2007~2012年度に実施した「若者の教育とキャリア形成に関する調査」を踏まえ、①そのデータの詳細分析を行い、現代日本の若者の大人への移行をめぐる状況と課題を社会に公表すること、②他の先進諸国の同種データと比較することで日本の若者の移行をめぐる特徴と課題を明らかにすること、の2点を研究課題とした。①に関してはその成果を著書『危機のなかの若者たち』(東京大学出版会、410 頁、2017年11月)として刊行した。②に関しては海外研究協力者の参加の下、イギリス・ドイツ・スイスとの比較検討を行い、2017年3月国際ワークショップ(一般公開)等においてその結果を公表した。
著者
渡邊 明義 津田 徹英 早川 泰弘 三浦 定俊 淺湫 毅 中村 康 佐野 千絵 斎藤 英俊
出版者
独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

彩色文化財の技法と材料について、日本とドイツの美術史研究者、伝統技術者、自然科学者が共同して研究調査を行った。研究期間中は互いの研究者が双方の国を毎年一回ずつ訪問し、あらかじめ選定しておいた現地で詳細な調査を行い、シンポジウムを開催し討議を行うなどして研究をすすめた。研究対象は、ドイツ側では主に南ドイツ(バイエルン地方)の中世彩色木造彫刻を取り上げたが、日本側では彫刻に限らず、絵画、工芸、建造物など広く関心を持って調査を行った。また彩色文化財そのものだけでなく、彩色に用いる顔料の製造工場や、金箔工房など、また各地の修復工房や作業現場でも調査研究を行い、彩色材料やその技法、修復技術への応用などについても相互の理解を深めるようにした。顔料分析については、ドイツにおいてはサンプリングによる試料の分析を積極的に行ったが、わが国の文化財については試料採取が困難なために、現場で試料を採取しないでそのまま顔料分析できるポータブル蛍光X線装置を開発した。この手法は対象作品表面からの測定になるため、彩色層に顔料を混合して用いているのか複数の顔料層か分析結果からだけでは判別できないが、実体顕微鏡を用いた観察と組み合わせることによって、確度の高い情報を得ることができた。本研究を通して、報告書に示すように多くの研究成果をあげることができた。一例としては、源氏物語絵巻物の顔料分析を初めて行い、白色顔料に従来想定されていた鉛を含む白色顔料(おそらく鉛白)だけでなく、カルシウムを含むもの(おそらく胡粉)、軽元素しか含まないもの(おそらく白土)、それにこれまで知られていなかった水銀を含む顔料の4種類を用いていることや、日本の彫刻彩色に緑色顔料として岩緑青以外に、砒素と銅を含むものや軽元素だけの顔料を用いていることを、初めて明らかにしたなどをあげることができる。