著者
三村 信男 江守 正多 安原 一哉 小峯 秀雄 横木 裕宗 桑原 祐史 林 陽生 中川 光弘 太田 寛行 ANCHA Srinivasan 原沢 英夫 高橋 高橋 大野 栄治 伊藤 哲司 信岡 尚道 村上 哲
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

気候変動への影響が大きいアジア・太平洋の途上国における適応力の形成について多面的に研究した.ベトナム、タイ、南太平洋の島嶼国では海岸侵食が共通の問題であり、その対策には土地利用対策と合わせた技術的対策が必要である.また、インドネシア、中国(内蒙古、雲南省など)の食料生産では、地域固有の自然資源を生かした持続可能な農業経営・農村改革が必要である.また、本研究を通して各国の研究者との国際的ネットワークが形成されたのも成果である.
著者
中北 英一 田中 賢治 坪木 和久 大石 哲 中川 勝広 鈴木 善晴 大石 哲 坪木 和久 鈴木 賢士 川村 誠治 高橋 劭 田中 賢治 中川 勝弘 市川 温 杉本 聡一郎 鈴木 善晴 出世 ゆかり 大東 忠保 山口 弘誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

豪雨災害の軽減を目指して、次世代型偏波レーダーの降水量推定・降水予測への利用を目的に、偏波レーダーとビデオゾンデの同期集中観測を実施し、その結果、降水粒子の粒径と種類の推定手法を構築することに成功した。さらに、モデル予測への応用や現象の理解を深めることで降水量推定・降水予測の高度化を実現した。
著者
中川 清隆 松山 寛子 原田 元 二神 成一 谷藤 泰正 天木 嘉清 古幡 博
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.83-89, 2006-03-01
参考文献数
12

The Jikei University Hospital is located about 600m from the Tokyo Tower in the central area of Tokyo. This means that the patients and staff members of the hospital may be exposed to strong electromagnetic field intensities (EMFI) radiated from the tower antenna and to various telecommunication EMFI that exist in a large city like Tokyo. EMFI was measured at eight points of the hospital buildings facing the tower. Two types of antenna were used to cover the frequency range from 30MHz to 1.5GHz. EMFI was calculated from every peak value in the frequency spectrum recorded logarithmically. Every peak intensity was less then 2μW/cm at the maximum of the whole spectrum, which is a much lower value than the standard value specified by the Japanese 'Radio Radiation Protection Guidelines For the Human Body in Electromagnetic Fields'. Additionally the total value of the whole spectrum was less than 6μW/cm at all eight points. It is concluded from these actual results of measurement that our hospital does not need to perform any urgent safety measures to protect patients and staff members from the various electromagnetic environments, including strong broadcasting waves from Tokyo Tower.
著者
齊木 久代 広渡 純子 千葉 武夫 上田 哲世 中川 香子 丸尾 喜久子 上田 哲世 中川 香子 広渡 純子 千葉 武夫 丸尾 喜久子 金山 千広 井頭 均 清原 知二
出版者
聖和大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

保育者が問題と考えている自分自身の"対人的不安"傾向と保育者としての熟達とに関連性がみられた。また、短期大学在学中の「保育者としての自己評価」の変化過程を検討したところ、授業や実習によって自己評価が高まるだけでなく、一時的に低下が見られることもあり、その低下は不安傾向の高い者に、より見られる傾向があった。一方、授業の成績の芳しくない学生には、自分自身を過大評価する傾向がみられた。さらに、歌唱指導やストーリーテリング指導時の顔面眉間部の皮膚温を赤外線サーモグラフィで測定した結果、不安感や自律神経系の反応性と皮膚温の変化とに関連がみられた。
著者
青木 幸昌 佐々木 康人 平岡 真寛 名川 弘一 斎藤 英昭 花岡 一雄 中川 恵一 青木 幸昌 澤田 俊夫 小林 寛伊
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

術中照射専用可動型電子線照射装置が完成した。電子線エネルギーは4,6,9,12MeVのいずれかを選択可能で、出力は最大10Gy/分、照射野は直径3-10cmが可能である。既存の手術場内に設置して、一人による装置の移動が可能である。米国、カルフォルニア大学において、臨床治験を開始した。同施設において、漏洩線量を測定した結果、1週間に12例、2400Gyを照射して、手術室周囲の最大検出線量は、室外のドア表面で72μシ-ベルトであった。従って、室内を放射線管理区域に設定することによって、追加遮蔽を要さないことが確認された。電子線エネルギーが大きくなるに従って、漏洩線量も増加することが示された。実際の運用は以下のようなものとなる。先ず、装置の保管室から手術場へ移送する。装置を規定の場所に設置し、ケーブル類をとりつけた後、QAに関するチェックを行う。この段階で放射線治療スタッフは一旦退出し、外科スタッフが装置にプラスティックキャップとドレープで装置を覆う。外科操作が完了すると、放射線治療スタッフとともに、使用アプリケータを選択する。手術台を照射装置まで移動させる。放射線スタッフがアプリケータを照射装置にドッキングさせ、照射線量と電子線エネルギーを決定する。スタッフは保管室に入り、モニタをテレビで観察しながら、約2分の照射を行う。この後、必要に応じて、手術操作を継続する。本装置を規制する法規として、科学技術庁関係の放射線障害防止法と厚生省関係の医療法について検討を行った結果、放射線障害防止法では装置の移動に関する問題はなく、放射線管理区域設定上の運用が問題となるのみと考えられるのに対して、医療法では、診断用高エネルギー放射線発生装置は決められた使用室で使用するとされており、今後の重大な検討項目となった。
著者
河田 惠昭 林 春男 柄谷 友香 寶 馨 中川 一 越村 俊一 佐藤 寛 渡辺 正幸 角田 宇子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

フィリッピンのイロコス・ノルテ州を流れるラオアグ川を対象として,発展途上国の開発と防災戦略の事例研究を実施した.この州とラオアグ市にとってはコンクリート製の連続堤防はいくつかの点で歓迎すべき構造物である.それは,台風のたびに発生していた洪水や浸水から開放されること,第二に旧河道や氾濫原において氾濫を」前提としない開発が可能になること,第三に頻繁な維持管理を必要としない構造物は,行政の維持管理能力の低さを補うことができることである.しかし,異常な想定外の外力が働いた場合,氾濫を前提としない開発や生活が被災し,未曾有になる恐れがある.援助側の技術者は,非構造物対策,すなわち,1)構造物を長期にわたって維持管理するための対策,2)住民の防災意識を高めるための対策,3)気象情報の収集と伝達,危険地域の把握,避難勧告など被害抑止のための対策,4)救援活動など被害軽減のための対策が含まれることを知らなければならない.すべての対策において,援助が何らかの役割を果たすためには,まず行政や住民の災害への対応の現状と過去を知る必要がある.調査期間中,台風が来襲し,堤防が決壊し被害が発生した.その原因としては,堤防建設技術の未熟さが指摘でき,防災構造物建設のための必要な知識や技術の取得と移転,実際の建設時における遵守など,構造物を根付かせるための対策も援助側は考えなければならないことがわかった.援助側の技術者は,非構造物対策を考慮に入れた上で,どのような構造物が地域に根付くかを計画する必要がある.そのためには社会を研究している専門家の参加を得て,地域の履歴を知ることは開発援助ではとくに重要である.それは,1)記憶の蓄積と共有化,2)被災者像,3)防災意識の向上の過程,4)防災対策の有無,5)被災者の生活・生計を誰が助けたのか,6)復旧における住民の労働力提供の有無を調べることは価値がある.
著者
岩岸 知崇 中村 尚彦 本村 真治 中川 幸二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集B編 (ISSN:18848346)
巻号頁・発行日
vol.77, no.779, pp.1445-1456, 2011 (Released:2011-07-25)
参考文献数
7

A flapping water turbine is a kind of power generating machine which extracts mechanical energy from flowing water by swing of blade motion. In this study, we carried out numerical simulation of blade motion and experiment on river. In the simulation, we made numerical integration of momentum equation about roll angle and compared the result with experiment in water channel. The disagreement in roll angle between the simulation and the result of experiment were discussed by using analytical model and basic data of blade fluid dynamic characteristics. The result of river experiment showed that flapping water turbine can extract energy from stream with rippling surface and turbulence.
著者
中川 朗 羽田 陽一 牧野 昭二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

サブバンドエコーキャンセラ(SBEC)は、音声の白色化効果による適応フィルタの収束速度向上、間引きによる演算量の低減が望める。その一方で、帯域分割/合成フィルタ処理による遅延や定常消去量の低下が問題となる。本報告では、図1に示すポリフェーズ型SBECの2つの帯域分割用プロトタイプフィルタA(z)、B(z)のフィルタ長および適応フィルタ長に着目し、収束特性の改善方法について検討した。
著者
中川 允利
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告. 第I部 (ISSN:0470925X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.221-225, 1991-11-30

潜熱移動を伴わない濃縮法として注目されている逆浸透法を醗酵液中の希薄なイタコン酸カリウムを酸として1(g-H_2IA/dl)より約10まで濃縮するのに適用することを検討した。使用した酢酸セルロース膜は、食塩を99%以上分離するタイトな膜で,窒素ガス加圧下で操作された。(1)イタコン酸として1(g-H_2IA/dl)含有するイタコン酸,イタコン酸水素カリウムおよびイタコン酸カリウムの純溶液を容量で9倍迄濃縮したときの分離率の範囲は,濃縮倍数の増加と共に増し遊離酸で60-70%,酸性塩で90-95%および中性塩で99%以上となった。(2)イタコン酸カリウム純溶液の濃縮の過程で,透過液流束が0になったときの,操作圧(kg/cm^2)と溶液濃度(g-H_2IA/dl)は,それぞれ,50と8.6,75と11.5および100と15であった。(3)純および醗酵液中のイタコン酸カリウムの濃縮過程では,塩の分離率は変わらなかったが,透過液流束は,醗酵液では純溶液の約1/2に低下した。なお,あらかじめ限外濾過した醗酵液でも透過液流束の低下は避けられなかった。
著者
渡辺 幹男 中川 潤 鈴木 峰男 西村 允
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.94, no.99, pp.27-32, 1994-06-17
被引用文献数
2

人工衛星には、衛星本体と太陽電池パドルの間ですべり摩擦をしながら電気信号や電力を伝達するスリップリングが用いられている。宇宙用スリップリングには、超高真空中においてトライボロジ及び電気特性に高い信頼性が要求される。ホットプレス法で作製した4種類の銀系複合材の摩擦、摩耗、通電特性をピン, 円板摩擦試験機とスリップリングモデル機を用いて真空中で評価し、宇宙用スリッピングへの適用性を検討した。試作したAg-MoS_2-NbSe_2系複合ブラシ材と銀系リング材の組合せは、通電量1〜20A、通電密度4〜800A/cm^2の全領域にわたって、現在人工衛星で使用されているスリップリングよりも優れた摩擦、摩耗、通電特性を保持しており、電気信号伝達用、電力伝達用、さらには今後の大電力伝達用のいずれのスリップリングにも適用可能である。
著者
中川 隆
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.12, no.11, pp.1159-1178, 1966-11

I. A radioisotope renogram rapidly reflects the changing p attern of plasma isotope-carrier (131I-Hippuran) concentration, dynamic "effective" volume of its distribution in body fluids, and principally its accumulation in renal area and output therefrom. 1. Diffusion and accumulation processes are given as Irpg(t)C,(0o=(/(-R-SPtF)Rd-(RPF)L)C2,(t)d(1t ) where I: injected isotope, Cp(t) : its plasma concentration, Vpo(t): distribution space, RPF: effective rena l plasma flow. 2. Excretion process is given as VwCui(t)=S:C(RPF)tCp(it=).Ro FrL iC u,(0)dt, (2) where 172,4: equivalent volume of urinary tract, : urine flow rate, CvA: urinary con centration. 3. Urinary excre t i on e(t) is given as e(t)=eR (t)+ei(t) ft et(t)=Jo FtCui.(t dt(3) where Ti : transportation lag. 4. Renogram record r t ( t) is given as r i (t)=ko[(jRPF)iC.2,(Stt)FditC ut(t.Ti)dt+(Back(g4r)o und)tj where k: a proportional constant. 5. Background will b e given as (Ba ckground)t=b,. Vp o(t)C2,(t) (5) 1160 中川=RI-Renogramの定量的分析に関する研究第1編 where bi: proportional constant II. The distribution space of 131I-Hippuran. 1) The volume of the blood and body tissues contaminated by 131I-Hippuran by single injection was measured according to the following formula. Trep(t) I. Ce(t + T ) D(t) 2) Table 1 and Fig. 1 show the distribution space measured with a patient of uterine cancer with renal damage and a normal subject. 3) This values of the distribution spa c e was adopted as the fundamental quality which is assumed to be independent of the renal functions and decides CC(t) in equation (1). 4) However, further investigations are necessary to decide whether the dist r i bution space V.(t) is completely independent of personal conditions of individual patients e. g. blood c irculation disturbance, renal function disturbance, etc. III. The renal extraction ratio of 131I-Hip p uran. 1) Renal extraction ratios of 131 I -Hippuran and PAH were compared by means of the venous canulation technique (Fig. 3) with 19 mongolian dogs. (a) The extraction ratio of RISA administered by si n gle intravenous injection, which was 0.00 as is shown in Table 2 (Dog No. 1), confirmed that this technique could not significantly affect the renal circulation. (b) With si n gle injection of 131I-Hippuran (Dogs No. 2, 3, 4, 5, 6), the plamsa extraction ratio decreased with the lapse of time (Tables 3, 4, 5, 6, 7 and Fig. 5). (c) With single injection of PAH (Dogs No. 8, 9, 10, 11, 12, 13 ) , no significant change could be observed in the plasma extraction ratio with the lapse of time. (d) With continuous injection of 131I-Hippuran (Dogs No. 13, 1 4 , 15, 16), the plasma extraction ratio showed no change with the lapse of time. (Tables 14, 15, 16, 17 and Fig. 8). (e) With continuous injection of PAH (Dogs No. 17, 18, 19), no change could be obse r v ed in the plasma extraction ratio (Tables 18, 19, 20 and Fig. 9). 2) According to true RPF=Cx/Ex (Cx : renal clearanc e of PAH or 131I-Hippuran, Es: extraction tatio of PAH or 131I-Hippuran), effective RPF (CI-Hippuran)by single injection (131I-Hippuran by single injection is used in RI-renography) was confirmed to decrea se with the lapse of time, while eff. RPF (C.PAR) by single injection showed no change with the lapse of time. 3) The change of the extraction ratio of 131I-Hippuran with the lapse of time is thought to be accounted for either by the existence of free iodine in 131I-Hippuran or by the penetration of 131I-Hippuran from the plasma into the red blood cell. However, further investigation seem to need on this fact.
著者
中川 亜紀治 倉山 智春
出版者
鹿児島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

VERA電波望遠鏡を用いて高精度位置天文VLBI観測を行ってきた。本申請課題の期間に2件の論文が日本天文学会の査読付き雑誌に掲載された。AGB星の星周現象や銀河系内での運動などが明らかになった。年周視差が計測された天体数は6天体に増え、周期光度関係確立のためのデータが揃いつつある。HIPPARCOS衛星のデータをもとにして、視線速度、距離などのデータベースを整理し、およそ300天体の銀河系内ミラ型変光星について6次元動力学情報が整理された。
著者
中川 貴雄 塩谷 圭吾 小谷 隆行 GUYON Olivier
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

太陽系外惑星(系外惑星)の直接観測は、惑星の誕生から進化、多様性、また究極的には地球外生命の兆候にも迫る、人類の宇宙観に関わる重要な研究テーマである。しかし、主星光と惑星光のコントラストが極めて大きいことが直接観測の障壁となっている。大気の影響のないスペースから、コントラストの点から有利となる赤外線領域で、我々の太陽系外の惑星を直接検出することを目指して、ステラー・コロナグラフの開発に取り組んだ。その結果、今までにない高いコントラスト達成の実証実験に成功し、波面補償の基本アルゴリズムを開発し、赤外線実験用環境を構築し冷却実験に成功するなどの成果を上げられた。これらの成果は、将来のスペースからの系外惑星観測の貴重な基礎技術獲得となる。
著者
中川 清 福田 研二 藤本 登
出版者
九州大学
雑誌
九州大学大学院総合理工学研究科報告 (ISSN:03881717)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.309-315, 1997
被引用文献数
1

This study has been carried out to probe into the availability of using solar power generation as a substitutive power system for the fossil fuel in Japan. The available space the solar cell array could be installed is 10% for the plottage of major buildings, 0.5~2% for the flat land and a certain percentage for the appended facilities for road, etc. The generation capacity of the solar cell is assumed to be 100 W/m2 at peak time (the average value is 1/10).The generating power calculated from the conditions above is about 250GWp and nearly 75% of that is from the building plottage, and the available space for array installation is close to 0.66% of the gross land area. Also, based on the above estimate, the generating power is expected 286 billion kWh a year, which is about 30% of the total power generated (964 billion kWh in 1994), that is about 5% of the total power consumed (5.9trillion kWh in l994).
著者
中川 丈久
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

最初の2年間(平成15年度及び16年度)の研究調査の成果は,次のとおりである。第1に,行政法の伝統的な教育が,主として行政官(すなわち国の行政職員)を念頭に,国法体系及びその執行を教授するものであったこと,またそれを克服しようとして提唱された新しい行政法教育が,主として地方行政職員の視点にたつものであったことを踏まえて,法科大学院においては,こうした行政機関の視線ではなく,法曹の視線から行政法教育を行う必要性があるという観点から従来の行政法教育を組み替えるための基礎的研究を行った。第2に,行政訴訟と民事訴訟の通約可能性,憲法論と行政法理論との共通言語化作業、民刑事実体法と行政法(個別法の仕組み)の間の共通言語化作業を行って異なる領域をシームレスに考察するための理論的環境整備である。最終年である平成17年度においては,これらの理論的成果を法科大学院における教育に応用するべく,教材として成果を結実させた。すなわち,法科大学院・における公法系の「実務と理論の融合」のための教育教材案を作成し,授業で試用した。その教材は,政上の紛争が実際に生起し,解決されるプロセスに即して,教材を組み立てて授業を行うというものである。この教材においては,とりわけ,紛争の発端における原告側及び被告側の弁護士の役割及び裁判所の役割という視点を明確に分けて,それぞれの立場において,憲法や民事訴訟とあわせて,行政法・行政訴訟の理論がどのように実務家にとって有効であるのかを示したものである。同時に,実務への導入教育ともなっている。平成18年度においては,この試用経験をもとに,さらに教材案を改定した。
著者
松原 英雄 中川 貴雄 和田 武彦 有本 信雄 児玉 忠恭 川良 公明
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の目的は、最先端のスペース及び地上望遠鏡を用いて、可視光から電波領域にわたる多波長サーベイ観測を連携させることにより、「超極赤銀河」(遠方の大きな赤方偏移を受けたスペクトルを持つ銀河で、宇宙の星形成史を解明する上で重要な天体)を多数発見し、さらにその正体を探ることにある。これにより宇宙誕生から現在にいたる宇宙の星形成の歴史の解明に挑む。そこで本研究では、天空の1-5平方度の領域について可視光域〜電波領域にわたる多波長サーベイを連携的に行った。波長2-160ミクロンでのサーベイは、平成18年2月に打ち上げられた赤外天文衛星「あかり」で行った。この特徴は「広く・かつ深く、地上からできない波長をカバー」であり、これによりこれまでに知られている超極赤銀河の数に比べて桁違いに大きいサンプルを得ることができた。「あかり」は、Spitzer宇宙望遠鏡に比べて多数の連続したフィルターバンドを持つおかげで、「あかり」でしか検出不可能な、「PAH高輝度銀河」、「シリケイトブレーク銀河」といった新天体の発見や、700個にも及ぶ「極赤中間赤外線天体」(ERMOs)を検出した。PAH高輝度銀河は中間赤外線で選択した銀河サンプルの約1%に過ぎないけれども、星形成の年齢の極めて若い大変重要な段階にある銀河と考えられる。一方ERMOsは中間赤外線で選択した銀河サンプルの約10-15%存在し、そのかなりの割合が、星形成銀河というよりもむしろ塵に埋もれた活動的銀河核をエネルギー源とするような天体であることがわかってきた。今後このような天体の正体をさらに詳しく調べていくことで、銀河進化の描像に新たな知見を加えることができるであろう。
著者
吉澤 剛 山内 保典 東島 仁 中川 智絵
出版者
北海道大学 高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.93-106, 2011-06

Science communication now needs extending its activities to engage more various actors in intermediary organization linking science and society. Through a comparative analysis of 4 intermediaries in the UK, including the British Science Association (BA), Sciencewise-ERC, the National Endowment for Science, Technology and the Arts (NESTA), and the Research Information Network (RIN), this article first illustrates the variety of linking in these intermediaries as a motto like "from science to society / from society to science", "dialogue between science and society for policy", "science for society", and "science community as society". It then draws some lessons for the institutionalization and management of the corresponding organizations in Japan. Important might be the demonstration of the relevance of such organizations by collaborating external partners, promoting internal members' private activities and engaging them with formative evaluation.