著者
四海 公貴 横山 司 絹川 裕次 上岡 奈美 林 知希 中島 幹雄 久保 高行
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E1212, 2008

【はじめに】<BR>(社)広島県理学療法士会(以下、当会)は平成16年から毎年,理学療法週間におけるイベントを開催してきた.今回は過去4回のイベントの企画・運営について報告するとともに,今後の課題について検討する.<BR>【平成16年~19年までの開催実績】<BR>第1回(平成16年7月)は他団体と「脳卒中市民シンポジウム」を共同開催した.第2回(同17年7月)は当会単独でイベントを開催した.社会的背景として介護予防事業が注目されており,理学療法士(以下,PT)はその先駆者となるべきであるという考えのもと,来場者の身体能力のチェックを県下1会場で実施した.また若年層も視野に入れ,アイシング講習会も実施した.来場者は240人で経費は約43万円であった.第3回(同18年7月)はより多くの地域で啓発活動を行うために,県下3会場で身体能力チェック,高齢者疑似体験,車椅子体験を開催した.内容は開催支部で決定した.来場者は275人で経費は約63万円であった.第4回(同19年7月)では,過去の開催は屋外を基本としたものの日中気温が高かったことから,来場者やスタッフの健康面を配慮し3会場とも屋内開催とした.内容は第3回と同様で来場者は247人,経費は約65万円であった.<BR>【開催に伴って浮上した課題とそれらへの対策】<BR>当会では(社)日本理学療法士協会(以下,協会)設立記念日の7月17日を挟む1週間を理学療法週間と位置づけイベントを開催している.その開催時期について7月は気温が高くスタッフや来場者の健康面を考えると妥当とは言いがたい.また当会では2年毎に役員が変わり4月から準備を開始するため,準備への負担があるとの意見が挙がった.当会では企画内容は開催する地区支部ごとに決定している.イベントは県民に対しPTの専門性やこれからPTが何を目指すかの方向性をアピールする場でもあるため,県下の方向性は統一したものでなければならない.また会の活動は会員会費にて行われているため,イベント開催による効果検証が必要と考える.そのためには費用対効果の検討が必要と思われるが,それには非常に複雑な分析が要求される.来場者へのアンケート結果では「理学療法を理解できた」との回答が大多数であったことから,当面は来場者数を指標とするのが現実的かもしれない.次年度の予定として,広島市中心部を主会場とし県下3会場にて開催予定である.当会としてのイベント方針を明確にしたうえで,当会公益事業推進部がまとめ役となって各支部と連携し,企画の立案および実行を計画している.<BR>【協会への要望】<BR>理学療法の啓発活動は都道府県単位ではなく日本全体で発信していく必要がある.そのためには協会も本部開催を実施し,その方向性に準じた内容での都道府県開催という形が望まれる.またイベントの費用対効果についても協会がまとめ役になり,全国のイベントについて集計を行うことでより効率のよい開催が可能になると考える.<BR>
著者
露久保 美夏 石井 克枝
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.15-20, 2011 (Released:2014-08-08)
参考文献数
31
被引用文献数
1

サツマイモ飯やサツマイモ粥の調理において,サツマイモに含まれるβ-アミラーゼが米に及ぼす影響を調べるため,サツマイモ粗酵素液を用いて飯と粥を調理し,糖量測定,官能評価を行った。粗酵素液を用いて調理した飯と粥では,対照(水炊飯)に比して還元糖量およびマルトース量が顕著に多かったことから,粗酵素液中のβ-アミラーゼが米デンプンに作用し,マルトースにまで分解していることが明らかとなった。また,飯と粥の生成糖量について比較したところ,炊飯液の種類に関わらず,粥の還元糖量およびマルトース量が飯よりも多かった。これには,飯と粥の加熱温度履歴や米に対する加水量の違い等が,酵素活性や米デンプンの酵素作用の受けやすさに影響していることなどが考えられた。また,米デンプンの分解は米粒表層部に加えて内層部でも起きていることが示唆された。官能評価の結果から,粗酵素液炊飯を行った飯と粥は水炊飯と比較して有意に甘味が強いと評価された。
著者
大久保 和明 側垣 博明
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.364-370, 1993-06-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
4

For reflecting or transmitting object colours, the CIE tristimulus vslues of a colour stimulus are obtained by multiplying, at each wavelength, the value of the weigthing factors by that of each of the spectral reflectance or the spectral transmittance of the object colour. Then each set of products is integrated over the wavelength range corresponding to the entire visible spectrum, 380 to 780nm. The integration may be carried out by numerical summation at a wavelength interval, equal to 5nm. The weigthing factors are obtained by multiplying, at each wavelength, the value of the relative spectral power distribution of the illuminant by the CIE colour-matching functions.In practical applications, all the required data may not be available because of measurement at greater intervals intervals than 5nm, equal to the 10nm or 20nm intervals data. In this paper, the method for the calculation of the weigthing factors for the 10nm or 20nm intervals measurenent data using interpolation is reported.
著者
田淵 真愉美 久保木 真 水道 裕久 河原 和枝 冨岡 加代子 川上 貴代 平松 智子 塚本 幾代
出版者
岡山県立大学保健福祉学部
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.27-37, 2015

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、外来診療や健診で高頻度に認められる疾患である。近年、NAFLD における抗酸化療法が試みられているが、ビタミンC 摂取の効果に関する報告はほとんどない。本研究では、外来受診したNAFLD 患者を対象に、通常の食事に加えて緑色野菜ジュースを8 週間飲用させ、身体状況、臨床検査値、栄養素等摂取状況、血中脂肪酸組成、血漿α−トコフェロール濃度の分析を行い、緑色野菜ジュースの飲用が血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)値および血漿α−トコフェロール濃度に及ぼす影響について検討した。緑色野菜ジュースの飲用により、9 例中6 例にALT の低下が認められた。緑色野菜ジュースの飲用は、ビタミンC の摂取量を増大させ、特に肥満度が軽度(BMI < 30)のNAFLD 患者では血漿α−トコフェロール濃度の上昇によって脂肪酸代謝を改善させ、肝機能を改善させる可能性が示唆された。Nonalcoholic fatty liver disease (NAFLD) is a disease to be found in ambulatory care andhealth check-up frequently. In late years antioxidant therapy in NAFLD is tried, but there are few reports about the effect of vitamin C intake. In this study, NAFLD outpatients were given green vegetable juice in addition to a daily diet to be drunk for eight weeks, and we analyzed anthropometric measurements, clinical data, dietary intakes, fatty acid composition in erythrocyte membrane phospholipid and plasma α-tocopherol concentration to examine the effect of supplementation of green vegetable juice on serum ALT level and plasma α-tocopherol concentration. After the supplementation of green vegetable juice, serum ALT level was decreased in six of nine patients. It is suggested that green vegetable juice supplementation increases intake of vitamin C, and particularly in NAFLD patients that an obesity index is mild( BMI<30), fatty acid metabolism may be improved by the increase in plasma α-tocopherol concentration and liver function may be also improved.
著者
大久保 仁 渡辺 勇 石川 紀彦 渋沢 三伸 石田 博義 大柿 徹 大木 幹文 羽成 敬一
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.495-499, 1985

The Eustachian tube opens and closes in response to swallowing movements. Sonotubometry records these opening and closing movements as changes in sound pressure. Moreover, it shows that the timing of the opening and closing of the Eustachian tube varies with the material swallowed (saliva, Barium, liquid, etc.) even in healthy adults. These differences effect the interpretation of the test results. We considered that the soft palate might have some relationship to nasal closure when the nasopharynx is closed in response to swallowing movements.<br>Since the contribution of the soft palate to nasopharyngeal closing can be estimated by observing pressure changes, its relationship to the tubal opening and closing time was examined by combining various swallowing movements with sonotubometry during Toynbee's maneuver. It was found that the incease in intranasal pressure during saliva swallowing was lower than that during liquid swallowing; however, its decrease was greater. This may indicate that the soft palate is moved more voluntarily during swallowing behavior which requires an increased negative pressure of the pharynx. It was further estimated that the movement of various muscular groups involved in the tubal opening may also be activated, ultimately providing more positive results sonotubometry.
著者
大久保 仁 渡辺 勳 小山 澄子 奥野 秀次 苦瓜 知彦 臼居 洋行 寺邑 公子 小川 明
出版者
耳鼻
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.189-196, 1989

During the past eighteen months, 49 cases of diving accident were seen in our outpatient unit. Pressure injuries to the middle ear owing to tubal dysfunction occured most frequently as the primary accident sustained in an underwater pressure environment. However, in eleven of our cases (15 ears) of sensory neural deafness, most frequently involving high tone hearing loss, was determine & to be clearly attributable to pressure. In particular, with respect to auditory disturbance in beginner divers, the considerable veriety of dysfunctions, including low tone hearing loss, reflect the variable conditions present at the time of injury. During evaluation of Eustachian tube function in these diving accident victims by means of the sonotubometric function test employing Valsalva's method in which intranasal pressure serves as a parameter at the time of tubal opening, it became apparent that many beginners had no knowledge of or experience with Valsalva's method. It has been known that about 12% of normal adults have no knowledge or experience with this method. Knowledge of the correct application of Valsalva's method is imperative in the proper training of divers. Thus, competence should be demonstrated by all divers' training personnel in the performance of Valsalva's method as a countermeasure for pressure injuries and as a middle ear function test utilizing tympatometry.
著者
原 竜介 伊東 久夫 安田 茂雄 町田 南海男 磯部 公一 宇野 隆 高野 英行 幡野 和男 茂松 直之 久保 敦司
出版者
Japanese Society for Therapeutic Radiology and Oncology
雑誌
The Journal of JASTRO (ISSN:10409564)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.109-115, 1999-06-25 (Released:2011-07-11)
参考文献数
13

放射線治療を行った原発不明頸部リンパ節転移癌患者29例について検討した. N病期はNl: 1例, N2: 14例, N3: 14例で, 組織型は扁平上皮癌25例, 未分化癌4例であった. 11例は放射線と手術が併用され (RT+Ope群), 18例は放射線を主体に治療した (RT群). 頸部リンパ節への総線量は50-78Gyであった. 全体の5年生存率は40%となった. N病期別の5年生存率はN1-2b群61%, N2c-N3群22%となり, N1.2b群が有意に予後良好であった (p=0.003). 治療法ではRT群33%, Ope+RT群59%となり, Ope+RT群において有意に予後良好であった (p=0.004). N1-2b群とN2c-3群の累積局所制御率は, それぞれ73%, 34%となった (p=0.026) 治療法別の局所制御率では, Ope+RT群の76%に対し, RT群は36%となった (p=0.010). 経過中に原発巣が発現した症例は4例であった. 原発不明癌の頸部リンパ節転移では, 転移リンパ節の制御が生存率改善に必要で, 出来る限り転移リンパ節を切除する必要性が示唆された.
著者
島村 剛 宮前 亜紀子 今井 絢美 平栁 こず恵 岩永 知幸 久保田 信雄 澁谷 和俊
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.J141-J147, 2016
被引用文献数
6

近年,外用爪白癬治療薬が次々に開発・上市され,長年抗真菌薬の経口投与に限られていた爪白癬治療法に新たな選択肢が増えてきている.本研究では,わが国で上市されている5%ルリコナゾール外用液および10%エフィナコナゾール外用液の特性把握のため,薬剤塗布後の爪中薬物濃度および爪中薬物の抗真菌活性を比較した.<I>In vitro</I>ヒト爪薬物透過性試験では,薬剤をヒト爪に単回投与後,爪を表面から薄切したサンプルの薬物濃度を測定し,爪中薬物濃度分布を算出した.また,<I>in vitro</I>ヒト爪スライス阻止円試験では,薬剤を1日1回14日間投与し,爪スライスを含菌培地にのせ,阻止円の有無から阻止円形成率を算出した.その結果,ヒト爪薬物透過性試験では,5%ルリコナゾール外用液は,10%エフィナコナゾール外用液にくらべ,爪全層において高い爪中薬物濃度を示し,測定ポイントごとの比較では,1.7~8.4倍の濃度差が認められた.また,ヒト爪スライス阻止円試験における,5%ルリコナゾール外用液および10%エフィナコナゾール外用液の平均阻止円形成率は,それぞれ71.0%および12.6%を示し,両剤間で統計学的な有意差が検出された.以上の結果から,2つの外用爪白癬治療薬は特性が異なり,5%ルリコナゾール外用液は,爪中への移行性および貯留性の良さが示されるとともに,爪中のルリコナゾールが抗真菌活性を維持していることが確認された.
著者
久保田 晃弘
出版者
多摩美術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2014年2月H-IIAロケットの相乗り衛星として、世界初の芸術衛星「ARTSAT1:INVADER」が高度378kmの太陽非同期軌道に投入された。10cm角、1.85kgの1U-CubeSatのINVADERは、その後軌道上で順調に運用を続け、搭載されたミッションOBC「Morikawa」によって、音声や音楽、詩のアルゴリズミックな生成、チャットボットによる対話といった芸術ミッションを達成した。次いで、同年12月には深宇宙彫刻「ARTSAT2:DESPATCH」(3Dプリントで制作した渦巻き状の造形部を有した50cm立方、約33kgの衛星)を打ち上げ、深宇宙からの宇宙生成詩の送信に成功した。
著者
山下 浩平 吉岡 靖雄 潘 慧燕 小椋 健正 平 茉由 青山 道彦 角田 慎一 中山 博之 藤尾 滋 青島 央江 小久保 研 大島 巧 鍋師 裕美 吉川 友章 堤 康央
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.O-36, 2012 (Released:2012-11-24)

ナノテクノロジーの進歩により、粒子径が100 nm以下に制御されたナノマテリアルが続々と新規開発され、工業品・化粧品・食品など、多くの分野で既に実用化されている。さらに、近年開発されているサブナノ素材(10 nm以下)は、分子とも異なるうえ、ナノマテリアルとも異なる生体内動態や生体影響を示すなど、新たな素材として期待されている。特に医療分野において、ナノ・サブナノ素材を用いた医薬品開発が注目されており、抗炎症作用などの薬理活性を発揮するナノ・サブナノ医薬の開発が世界的に進められている。サブナノ素材の一つであるC60フラーレン(C60)は、ラジカルスポンジとよばれるほどの強い抗酸化作用に起因する抗炎症作用を有するため、炎症性疾患に対する新たな医薬品としての実用化が待望されている。しかし、非侵襲性・汎用性の観点で最も優れた経口投与製剤としてC60を適用した例は無く、医薬品化に必須である安全性情報も乏しいことから、C60の医薬品化は立ち遅れているのが現状である。本観点から我々は、C60の経口サブナノ医薬としての適用に向けて、経口投与時の安全性情報の収集を図った。異なる数の水酸基で修飾された4種類の水酸化C60をマウスに7日間経口投与し、経日的に体重を測定した。また、各臓器・血液を回収し、臓器重量測定・血清生化学的検査・血球検査を実施した。その結果、各種水酸化C60投与群で、マウスの体重、臓器重量に変化は認められず、白血球数などの血球細胞数や、血漿中ALT・AST・BUN値など組織障害マーカーにも大きな変化は認められなかった。以上の結果から、短期間での検討ではあるものの、水酸化C60は、ナノ毒性の懸念が少なく、安全な経口サブナノ医薬となり得る可能性が示された。今後は、腸管吸収性や体内動態を評価するなど、有効かつ安全なナノ・サブナノ素材の開発支援に資する情報集積を推進する予定である。
著者
久保田 聡 白崎 浩隆 西潟 央 藤田 祐之
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.127, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 大腿骨頚部・転子部骨折は早期離床を目的に骨接合術など観血的治療が行われている。しかし全身合併症を有し手術困難と判断される場合や、高齢・認知症を理由に家族が手術を希望しない例も少なくない。保存療法は観血的治療に比べ、痛みの緩和に時間がかかりベッド上で安静になる期間が長く、筋力低下や認知機能低下などの二次的合併症を引き起こすリスクがある。今回当院における大腿骨頚部・転子部骨折保存療法例について調査を行い、現状および今後の課題を検討した。【方法】 2010年11月より2012年4月の間に当院に入院した大腿骨頚部・転子部骨折患者29例中、保存療法13例を対象とした。男性1例、女性12例で受傷時平均年齢は90.8歳であった。骨折型は頚部骨折4例、転子部骨折7例であった。また13例のうち他院からの転院が10例であった。保存療法を選択した理由、入院時の痛みの程度、安静臥床期間、リハビリ治療方法とその開始時期、入院期間、退院時の移動などの日常生活動作を後方視的に調査した。本研究は、当院倫理委員会の承認のもと個人情報の保護に配慮し調査を行なった。【結果】 退院時の生存例は12例、死亡例は1例であった。保存療法を選択した理由は家族の意向が最も多かった。当院入院からリハビリ開始までの期間は平均5.1日、車椅子座位までの期間は平均7.0日、入院期間は平均52.9日であった。退院時移動能力は独歩2例、車椅子自立3例、車椅子介助7例となった。退院先は在宅が2例、介護老人保健施設8例、他病院1例、グループホーム1例であった。また入院中に2例が肺炎を合併した。【考察】 大腿骨頚部・転子部骨折後は受傷が引き金となり全身状態の悪化や心不全や肺炎などの合併症のリスクが高くなることが諸家により報告されている。当院では13例中2例が肺炎を合併した。保存療法では疼痛や骨折部管理をしながら、できるだけ早期離床をすすめ二次的合併を予防することが必要となる。安静臥床から車椅子への離床移行までの期間が平均7.0日間であったが、内科的合併症や強い痛みがあったなどの背景があった。実用歩行獲得は13例中2例で、保存療法患者のほとんどが車椅子レベルとなった。そのうち車椅子介助が7例と多く、認知機能低下の影響が考えられた。また車椅子への離床が遅くなった例では、痛みが原因の一つとして挙げられた。高齢者の場合、認知機能・早期離床の観点から医師と連携し痛みのコントロールが重要である。さらに移動能力の予後を早期に予測し、次の生活の場での移動手段の獲得を考慮したアプローチも必要であると考える。【まとめ】 今回当院に入院した大腿骨頚部・転子部骨折保存療法例を後方視的に調査した。安静臥床から車椅子乗車への離床移行までの期間が約1週間だった。また退院時の実用歩行獲得例は少なく、ほとんどが車椅子レベルとなった。今後は早期離床、移動手段の獲得に向けて検討することが課題として挙げられた。
著者
久保 康之
出版者
アジア経済研究所
雑誌
アジア経済 (ISSN:00022942)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.72-75, 2002-03
著者
北原 糺 堀井 新 近藤 千雅 奥村 新一 久保 武
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.720-727, 2007-11-20
参考文献数
33
被引用文献数
3 7

[目的] 頭部や身体の動きに応じた平衡適応現象は動的代償と呼ばれ, 一定の治療により回復し得なかった末梢前庭障害患者の日常生活障害度を左右する重要な過程である. 今回, 前庭神経炎 (VN), めまいを伴う突発性難聴 (SDV), メニエール病 (MD), 聴神経腫瘍 (AT) を対象疾患として, 温度刺激検査およびめまい・ふらつきによる日常生活障害度アンケート (めまいアンケート) を施行し, 疾患別および半規管能別にめまいによる日常生活障害度を検討した.<br>[対象と方法] 対象は1997~2002年に大阪労災病院および大阪大学耳鼻咽喉科を受診した患者のうち温度刺激検査で一側半規管麻痺 (CP) を認め, めまいアンケートを施行できたVN34例, SDV25例, MD28例, AT14例.<br>[結果] めまいアンケートによる日常生活障害度は, SDV, VN, MD, ATの順に上昇した. また疾患を軽度CP (25%以上, 45%未満) と高度CP (45%以上, 100%以下) の2群に分けると, VN, SDVでは軽度CP群は高度CP群より有意に日常生活障害度が低かった. 一方, MD, ATでは両群間で有意差を認めなかった.<br>[考察] 末梢前庭障害が固定するVN, SDVは動的前庭代償がMD, ATより進みやすく, 障害の程度が軽い程代償は速やかであるが, 末梢前庭障害が変動し得るMD, ATは動的前庭代償がVN, SDVより進みにくく, 障害の程度が軽くても代償は速やかに進むとは言えないことが示唆された.
著者
大久保 正人
出版者
桃山学院大学
雑誌
桃山法学 (ISSN:13481312)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-28, 2012-03-26