著者
高橋 典子 今井 正彦 李 川
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.523-530, 2014

<p>ビタミンAは約200年前に発見されてから,様々な役割を果たす重要な栄養素として認められてきた。現在,活性型ビタミンAであるレチノイン酸は前骨髄性白血病患者に対し分化誘導療法薬(抗がん剤)として使用されているが,他のがんや疾病に対する応用も期待される。近年,レチノイン酸以外のレチノールを含むレチノイドに抗がん作用があることが示され注目が集まっている。そこで本稿では,ビタミンAの供給,及び,生体内でのビタミンAの動態,代謝,作用についての新しい知見を,1)β-カロテンの作用と供給源としてのレッドパーム油,2)レチノイン酸の腸内免疫賦活作用,3)ビタミンAに関連する新技術[レチノイン酸の可視化,レチノイン酸結合タンパク質の分解促進法,レチノイン酸のLC/MS/MSによる新規定量法],4)ビタミンAに関連する新素材[新規レチノイン酸誘導体由来化合物の抗酸化作用と抗がん作用(Non-genomic action)],の内容で紹介する。ビタミンAの補助食品としての活用法の構築や予防薬・治療薬の開発を行い,健常人や患者のQOLの向上に寄与できる研究を目指す。</p>
著者
今井 一郎 原 久美子 有馬 和美 福室 智美 田中 博 菅谷 睦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.E1676, 2008

【はじめに】<BR> 臨床現場において脳卒中患者から標準型2輪自転車(以下自転車)に乗りたいという希望をよく聞く.2年前に実施したアンケート調査から,脳卒中発症後自転車を利用しなくなった人の約7割が自転車に乗りたいと回答し,自転車乗車のアプローチの必要性を認識できた.今回は健常者と脳卒中患者に自転車動作の観察と体力テストを行い自転車動作の機能を検討した.<BR>【対象】<BR> 普段自転車に乗車している健常成人23名(男性7名,女性16名,平均年齢44.9歳)と,脳卒中の既往があり屋外歩行自立の 3名(症例A:74歳男性,右小脳梗塞,Br.stage左右上肢手指下肢全て6,症例B:81歳女性,多発性脳梗塞,Br.stage左上肢手指下肢全て5,症例C:74歳男性,右脳梗塞,Br.stage左上下肢3手指5)とした.対象者には本研究について説明し同意を得た.<BR>【方法】<BR> 自転車動作は,走る(ふらつきを観察)・止まる(目標物の手前で止まる,笛の合図で止まる)・曲がる(ふくらみを観察),体力テストは握力・上体起こし・長座体前屈・開眼片足立ち(最高120秒)・10m障害物歩行・6分間歩行を実施した.症例BとCは自転車乗車前に前提動作として,スタンドをしてペダルを回す・片足での床面支持・外乱に対してブレーキ維持を実施した.<BR>【結果】<BR> 前提動作で症例Cは全て不可能であったため体力テストのみ実施した.自転車動作の観察では,健常者12名と症例Aで走行時ふらつきがみられた.症例Bは走行時ふらつきの観察まではペダルに両足を乗せることができなかったが,以降の止まるからはペダルを回すことが可能となった.止まるは健常者・症例共,目標物手前で止まることができ,笛の合図では健常者・症例共,同様の停止距離であった.曲がるは症例A・Bにふくらみがみられた.体力テストでは,症例全員が6分間歩行,症例B,Cは上体起こし,Cは10m障害物歩行が困難であった.実施できた項目も健常者と比べ低下していた.健常者の自転車動作と体力テストの関係では,開眼片足立ち120秒可能者の割合が,走行時ふらつきのあった群で41.7%,ふらつきのなかった群で100%となった.<BR>【考察】<BR>関根らは高齢者に10日間1日2回片足立位訓練を行い片足立位時間の延長と自転車運転動作の向上を報告し,自転車動作についてのバランス感覚の重要性を指摘している.今回は片足立位時間と自転車走行時のふらつきに関係がみられた.これらのことから片足立位バランスと自転車動作に関係があると考えられる.症例Cは重度の左上下肢の随意性低下と感覚障害があり,それが前提動作を困難にしたと推察され,自転車動作には四肢の分離運動機能や協調運動機能が重要と考えられる.小村はBr.stage上下肢4の脳卒中患者が3輪自転車のペダルを改良し乗車していると報告しており,症例Cも同様の方法による乗車の検討が考えられる.また症例Bは途中から走行が可能となったことから,練習での乗車能力の改善が示唆された.
著者
桐田 忠昭 山川 延宏 上田 順宏 柳生 貴裕 上山 善弘 今田 光彦 今井 裕一郎
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.41-48, 2015-09-15 (Released:2015-10-06)
参考文献数
16
被引用文献数
1

われわれは,腫瘍切除後の下顎再建法の選択について,1997年1月から2012年12月までの症例と特に下顎区域切除後に腓骨皮弁で再建した症例については,1987年7月から2012年12月までの症例について検討を行った。われわれの下顎切除後の下顎再建についての再建方針は,以下の通りである。1.腫瘍の進展が軟組織進展が主で下顎骨欠損が骨高径の1/4~1/3未満で残存骨高径が少なくとも15mm以上と予想される場合は,歯槽骨再建,軟組織再建ともになし,もしくは軟組織再建のみ。2.欠損が下顎骨高径1/3以上1/2未満または残存骨高径が10mm以上15mm未満と予想される場合は,(半側)腓骨または半側橈骨付き前腕皮弁による歯槽骨再建と軟組織再建。3.欠損が1/2以上または残存骨高径が10mm未満または区域切除となる場合は,腓骨皮弁による歯槽骨再建と軟組織再建を行う。症例数は,それぞれ77症例および47症例についてであり,腫瘍切除後の下顎再建におけるわれわれの再建方針と再建法の選択について,その妥当性を検討した。
著者
今井 聖
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.121-138, 2017

本稿の目的は,駅構内での女性への痴漢被疑者に対して行われた警察のワークを,「ワークのエスノ メソドロジー研究」の立場から考察することである.本稿では,被疑者を警察署に任意同行するため の説得と,警察署での実質的な事情聴取という2つのワークを分析する. これらの警察のワークは,警察官と被疑者との会話的やりとりを通して遂行される.従来研究にお いて,「ストリートレベルの官僚」としての警察官による裁量の行使が指摘されていたが,実際の会話 的相互行為に基づいた研究は十分取り組まれてこなかった. 本稿では,ある実際の「痴漢事件」において,交番および警察署で行われた,警察官と被疑者によ る会話的やりとりを分析し,それにより達成される警察のワークを記述する. 分析からは,主として次の2点が示される.第一に,交番警察が被疑者を任意同行する際に,被疑 者にとっての必要性を強調することで「説得」を行っていること.第二に,警察署警察が,被疑者と 痴漢被害を訴える女性の同行者との間の相互行為を推断的に記述していることである.以上の分析知 見を踏まえ,警察のワークが被疑者に困難な「現実」をもたらし得るものであったことを指摘する.
著者
鈴木 廉 森口 昌樹 今井 桂子
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2017年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.583-584, 2017-03-01 (Released:2017-09-01)

本研究では,二つの線画を,それぞれ異なる視点位置ごとにワイヤーを用いて実現するワイヤーアートの生成を行う.二つの線画と二つの視点位置を入力,ワイヤーフレームを出力とする.出力となるワイヤーフレームは連結であり,そのワイヤーフレームを直交投影法を用いて,平面上へと射影したものは入力線画に一致する.そのようなワイヤーフレームが常に存在することを示した.また最大辺長および最小辺長のワイヤーフレームを計算し,比較した.
著者
西森 健太郎 小松原 祥 北尾 光司郎 今井 哲朗 Nishimori Kentaro Komatsubara Sho Kitao Koshiro Imai Tetsuro
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.1159-1170, 2012-09

LTE-Advancedにおけるヘテロジーニアスネットワークでは,マクロセルのほかに周波数利用効率の向上を目的として,ピコセルやフェムトセルがマクロセル内でオーバレイされる.しかしながら,こういった同一周波数を用いるセルがマクロセル内に存在すると,セル間干渉が問題となる.マクロセル,ピコセル,フェムトセルでは,アンテナの設置形態(屋外/屋内における置局,アンテナ高など)が異なるため,アンテナの設置環境に応じた干渉量評価が必要となる.この評価のために,WINNERIIやITU-R P.1238-6などの伝搬モデルが提案されているが,例えば,WINNERIIモデルでは,マクロ-フェムトセル間の屋外伝搬特性が見通し外の場合は厳密に評価できない場合がある.そこで,本論文では,ヘテロジーニアスネットワークで想定されるセルサイズが300m以内における屋外-屋外間,屋外-屋内間,屋内-屋内間の電界強度測定を実施する.得られた測定結果より,伝搬損,屋内侵入損/屋内区間における伝搬損,短区間中央値の標準偏差について,WINNERII(屋外,屋外-屋内)/ITU-R P.1238-6(屋内)モデルとの比較を行い,WINNERII/ITU-R P.1238-6モデルと測定結果を用いて,干渉量評価に関するケーススタディを行う.マクロ-フェムトセル間における干渉量として,Signal to Interference plus Noise power Ratio(SINR)特性を評価する.従来モデルに実験で得られた結果を組み合せることで,従来モデルで厳密にカバーできない範囲である,フェムト-マクロセル間の屋外見通し外伝搬特性及び屋内侵入伝搬損を評価できるとともに,これらのパラメータがSINR特性に与える影響が大きいことを明かにする.
著者
鈴木 悠佳 安武 健一郎 中島 香奈子 梶山 倫未 今井 克己
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.201-209, 2019 (Released:2019-03-27)
参考文献数
46

本研究の目的は、若年期からの高血圧予防の基礎資料整備のために、女子大学生の7日間の尿中排泄量から推定されたナトリウム(Na)とカリウム(K)摂取量の分布および個人内変動(CVw)・個人間変動(CVb)を推定することである。対象者には、起床後第1尿の採取と塩分チェックシートの記録を行うよう依頼した。最終解析対象者109名の尿中排泄量推定値は、Naが2,974±390mg/日(食塩摂取量換算値:8.8±1.2g/日)(CVw:17.2%、CVb:13.1%)、Kが1,129±141mg/日(カリウム摂取量換算値:1,467±183mg/日)(CVw:13.3%、CVb:12.4%)、Na/K比4.6±0.8(CVw:18.7%、CVb:16.4%)であった。「日本人の食事摂取基準(2015年版)」と比較した結果、各目標量を達成した者は、Naでは7.3%(n=8)のみであり、Kでは存在しなかった。塩分チェックシートで解析した尿中Na排泄量に影響する食事因子は、みそ汁や漬物など食塩含有量が多い食品をまとめた7項目の合計得点であった(r=0.190、p=0.047)。女子大学生の尿中Na排泄量は高値である一方、K排泄量は低値であり、その変動係数は先行研究による他の世代と比較して低値であった。
著者
田島 邦好 前川 隆 今井 庸二 能勢 之彦
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.38-46, 1973-02-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
22
被引用文献数
2

The cardiac prosthesis utilizing biological tissue has been developed and reported (ASAIO 1971). Bovine aortic valves and pericardium preserved in formardehyde solution for 1 week were used as the inside surface of the device and outside was reinforced by specially treated natural rubber.In the study described here the thromboresistant properties and hemodinamic performance of the device with inflow and outflow valves were evaluated in vitro and in vivo studies.Both in in vitro Kinetic blood Clotting method and intra-thoratic aortic bypass implantation the biolized surface showed excellent antithrombogenecity. One out of 9 calves in which the device was implanted in aorta is still alive 20 months after implantation and device is showing good patency without any evidence of thromboembolism.From the view point of hemodinamic performance the device revealed a similar Starling's reguration to natural heart in a mock system and performed enough cardiac output to keep the animal alive up to 16l/min.Total heart replacement with this cardiac prosthesis have been done in calves intrathoracically. One of them survived 17 days (408 hours) after implantation. The Calf stood up and walked around by himself and took foods and drinks. Couse of death was ruptur of the device in this case.Further study is needed to investigate the endurance of this biolized heart as well as its effect on the body.
著者
今井 必生 白井 丙午郎 白田 剛 浜出 洋平 石田 雄大 堀内 正夫 村上 博昭 石渡 義之
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.281-286, 2010 (Released:2012-03-27)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1) 卒後募集の趣旨を実践しようとする意志は高かったが,現状の学士編入制度の価値への評価,貢献意志は高くなかった.現在の編入学者の自己評価の低さや実践の欠如を反映していると考える.2)募集や試験は,大学が医学教育や医療をどうしたいのかを明確にすることを求める意見が根底にあるものが多かった.3) 自身が将来価値を生み出すと評価した学士編入者は5,6割で,必要とする時間は1年から10年とする者が多かった.具体的な実績を今後さらに厳しく問われることになるだろう.
著者
岸本 宗和 塩原 貫司 萩原 健一 今井 裕景 柳田 藤寿
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.12, pp.931-939, 2012 (Released:2017-12-18)
参考文献数
27

1.セミヨン種ワイン発酵醪および醸造設備から乳酸菌を分離し,そのリンゴ酸分解能を検討した。前期醪から分離された22菌株中の18菌株に,後期醪から分離された24菌株すべてに,醸造設備から分離された10菌株中の1菌株,合計 43菌株にリンゴ酸の分解能が認められた。2.16S rDNAのPCR-RFLP解析および塩基配列解析の結果から,前期醪から分離されたリンゴ酸分解能を有する乳酸菌は,Lb. plantarumに,後期醪から分離された乳酸菌はO. oeniに,ワイナリー醸造設備から分離された乳酸菌はP. pentosaceusに分類される可能性が極めて高いことが示された。3.リンゴ酸分解率に及ぼすpHの影響について検討したところ,前期醪から分離された09Se-A1-4株はpH 2.9の条件下においても90%以上の高いMLF能を有していた。4.セミヨン種ブドウを原料とする小規模試験醸造において,09Se-A1-4株は速やかにMLFを生起し,さらには,クエン酸の消費が少ない特徴を有する菌株であることが認められた。
著者
今井 靖親 中村 年江
出版者
奈良教育大学教育研究所
雑誌
奈良教育大学教育研究所紀要 (ISSN:13404415)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.25-33, 1990-03-01

幼児の養育にあたっている親が、子育てに関してどのような悩みや不安を抱いているかを、質問紙を用いて調査を行なった。食事に関する悩みと情緒に関する悩みが最も多かった。年齢段階から考えて、正常な発達の姿だと思われるような行動が問題視されている。祖父母との同居の有無によっても親の悩みに違いがあることが明らかになった。
著者
今井 久登 石井 幸子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.139-160, 2007-09

In this article, we report on an experimental investigation of the spontaneous, uncued recall of prospective memories (memories for activities to be performed at a later time). Einstein & McDaniel (1990) developed an experimental paradigm for investigating prospective memory, in which participants were required to perform both an ongoing task (e.g., remembering words presented on the PC screen) and a prospective memory task (e.g., pressing a designated key whenever they saw a particular word, such as rake). They also claimed that there are two types of prospective memory: one is event-based prospective memory recall, which is triggered by another event ("I will give a message to John when I meet him"), and the other is time-based prospective memory recall, which is to be done after a particular period of time has elapsed (I will call Mary in 30 minutes") or at a certain time ("I will watch TV at 7:00 PM"). We examine the nature of the Einstein and McDaniel's paradigm and show that several important aspects of prospective memory have been left unstudied; specifically, spontaneous, uncued recall. We consider that it is caused by the cue-oriented nature of the paradigm. Furthermore, considering the prospective memory function in our everyday life, we cast doubt of the validity of the dissociation between time-based and event-based prospective memory. To investigate these two issues, we conducted a task-content oriented experiment which was a refined version of Einstein and McDaniel's paradigm. Thirteen undergraduates (9 male and 4 female) were presented 4 photographs on the PC screen simultaneously, and were required to judge which one of these four belonged to a different category (ongoing task). They were also required to stop the ongoing task when a photograph of envelopes was presented during the ongoing task and to call the experimenter in order to answer a questionnaire in an envelope before the experiment finished. Six participants were randomly assigned to an uncued condition, in which the photograph of envelopes was not actually presented (a photograph of a compass was presented instead) and 7 participants to a cued condition. The result showed that, although the expected recall cue was not presented, all the participants in uncued condition spontaneously remembered the prospective memory task. Furthermore, it was revealed that spontaneous recall did not occur randomly; instead, it frequently occurred near the end of the ongoing task, which is similar to the U-shaped clock-checking curve in the time-based prospective memory research (Ceci et al., 1988). These results suggest that participants in the uncued condition performed their event-based prospective memory task as a time-based one, and support our claim that prospective memory has both a time-based and event-based nature.

1 0 0 0 濱口雄幸伝

著者
今井清一著
出版者
朔北社
巻号頁・発行日
2013
著者
星野 澄人 森谷 雅人 今井 直人 佐藤 茂樹 永楽 仁 片場 嘉明 小柳 泰久
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.393-397, 1997-02-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
17

胃石イレウスは比較的稀な疾患であり,術前診断が困難なことが多い.今回われわれは,胃石による小腸イレウスの1手術例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は63歳男性,数日前より嘔気,嘔吐を繰り返し,症状の増悪を認めたため近医受診し,上部消化管造影を施行したところ十二指腸下行脚に陰影欠損を認め,十二指腸腫瘍によるイレウスの疑いで当院紹介入院となった.上部消化管内視鏡を施行したところ,十二指腸下行脚には病変は認めず,鉗子孔からのガストログラフィンによる造影で,空腸に体位にて移動する陰影欠損を2カ所確認した.以上により,異物(胃石)イレウスと診断し自然排出を期待して保存的治療を試みたが9日間経過しても排出されず,外科的療法(胃壁切開)により,計5個の胃石を摘出した.摘出した胃石の成分分析よりタンニン98%の結果を得,柿の常食の嗜好もあることから,柿胃石によるイレウスと診断した.
著者
丸本 龍二 吉岡 義夫 宮下 修 島 俊介 今井 欣一 川添 勝義 本庄 美喜男
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.759-774, 1975-04-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
23 40

A large scale preparation of 2-haloadenosines (1) was attained by acetylation of 2-haloinosines (3), followed by chlorination and amination. 2-Alkoxyadenosines (5) were prepared in fairly good yields by protection of both 2'- and 3'-hydroxyl groups of 2-chloroadenosine (1a) or 2-chloroinosine (3a), followed by substitution of the chlorine atom with alkoxy group. In the reaction of 1a with sodium alkoxide, there were obtained some oligomers of 5, of which the structures were elucidated. The reaction of 5-amino-4-cyano-1-β-D-ribofuranosylimidazole with carbon disulfide afforded 2, 6-di-mercapto-9-β-D-ribofuranosylpurine (15), which was converted to 2-mercaptoadenosine (14e) and its S-substituted derivatives. 2-Phenylaminoadenosine (29e) was prepared with comparative ease via 2-phenylamino-2', 3', 5'-tri-O-acetylinosine (32), the synthesis of which was effected by acetylation of 2-phenylaminoinosine (30) with acetylchloride in acetic acid. Many 2-substituted adenosines including O-substituted 2-hydroxyadenosines, S-substituted 2-mercaptoadenosines, N2-substituted 2-aminoadenosines, 2-alkyl- and -aryl-adenosines were prepared, among which several compounds were found to have a remarkable coronary vasodilating potency. Compound (29e) showed not only a strong potency, but also a longer duration of the effect than that of 1a. The structure-coronary vasodilating activity relationship was also discussed.
著者
今井 龍一 神谷 大介 井上 晴可 田中 成典 櫻井 淳
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.34, pp.407-408, 2018

<p>建設現場では多くの労働災害が発生する.また,エンジニアの高齢化や後継者の不足により労働者の雇用負担が増加しており,労働災害の増加が懸念される.特に,疲労による集中力低下に伴う人為的ミスの確率が増加すると考えられる.したがって,労働者の状態を常に把握できる安全対策の徹底が極めて重要である.既存研究では,血液や心電波による疲労やストレスの度合いを把握する取り組みがいくつか存在する.しかしながら,これらの方法は労働者の状態をリアルタイムに把握するのには適さない.一方,近年のセンサ技術の発展に伴い,心拍を簡単かつ安価に測定できるスマートウォッチが注目されている.スマートウォッチで疲労を検出できると効果的な安全管理が期待できる.そこで,本研究では,スマートウォッチの心拍データを用いて疲労度を検出し,その適用性を確認する.</p>