著者
瀬戸崎 典夫 佐藤 和紀
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.15-24, 2017 (Released:2017-05-29)
参考文献数
18
被引用文献数
5

戦後70年以上が経過し,被爆体験証言者の高齢化にともなった継承者の減少は,喫緊の課題である。また,若い世代の関心を高めるような平和教育の方法について検討する必要がある。近年,教育現場への普及が推進されているタブレット端末を有効活用したアプリケーションを開発し,学習効果に関する実践的な知見を得ることは意義があると言えよう。そこで,本研究はタブレット型全天球パノラマVR教材を用いた自由な探索活動および,他者への学習内容の発信を取り入れた平和教育を実践し評価すること,さらにノートテイキングの有無を分析の要因として学習効果を検討し,本教材の有効活用についての知見を得ることを目的とした。授業実践による理解度テストの得点変移について分析した結果,知識獲得の観点において,本教材による自由探索的活動は,ノートテイキングと同等の効果が得られることが示された。また,主観評価の結果から,本教材の利用時にノートテイキングをすることで,学習内容に対する関心や意欲を喚起することが示された。
著者
瀬間 徹 佐藤 幹夫
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
燃料協会誌 (ISSN:03693775)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.693-702, 1988-08-20 (Released:2010-06-28)
参考文献数
32

NH3 gas which is injected into flue gas, decompose NOx selectively in non-catalytic conditions under the presence of oxygen and high temperature (900°C-1100°C).This. report describes experimental results about the effects of NH3 gas injection conditions on NOR decomposition process by using the combustion test facility. Main results are as follows.(1) There was an optimum temperature in noncatalytic NOx removal process by NH3 gas injection and it's temperature was about 1050°C.(2) The optimum temperature which gave maximum NOR removal efficiency decreased linearly by the injection of H2 mixed with NH3 gas.(3) NOR removal efficiency increased with increasing of NH3 gas injection ratio, however if NH3/NOx mole ratio was over 2, non reacted NH3 was detected in flue gas.(4) In order to decrease non reacted NH3 and to get high NOR removal efficiency, we recommend NH3 gas injection conditions in which gas temperature at the point of NH3 injection is higher 50°C-60°C than the optimum temperature and NH3/NOR mole ratio is 3-5.(5) In the application of this method to flue gas contained very high NOR concentration, multi stage NH3 gas injection method will be effective.
著者
佐藤 嘉倫
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.632-647, 2009-03-31 (Released:2010-04-01)
参考文献数
35
被引用文献数
8 5

現代日本の階層構造について語るとき,「流動化」と「固定化」という2つのキーワードが浮かび上がる.非正規労働者の増加などの流動化と特定階層における世代間移動の固定化がその典型例である.本稿では,相矛盾するように見える2つのキーワードを階層論の視点から統一的に理解・説明できることを示す.すなわち,階層構造の流動化といっても,すべての階層でそれが生じているわけではなく,特定の階層は依然として保護的な制度に守られているが,別の階層は高まる流動性に巻き込まれている.教育,若年層,転職,世代間移動,収入という5つの領域における,2005年社会階層と社会移動研究プロジェクトの研究成果を検討しながら,この仮説が全体として妥当することを示す.最後に,階層構造の安定性と流動化の共存が社会階層論に与える含意について考察する.
著者
佐藤 喬
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.e30-e41, 2023-05-15

令和3年に大学入試センターより公開された「情報」のサンプル問題の第1問から,東日本大震災と情報分野のかかわりを扱った問1の解説をする.この問題は,震災後にまとめられた報告書から教員と生徒の対話形式で作られている.「情報I」の「1. 情報社会の問題解決」と「4. 情報通信ネットワークとデータの活用」に対応しており,実際に発生した震災をもとに,情報技術の仕組みや情報社会の問題点を考えることができる内容である.
著者
佐藤 譲
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.274-278, 2020-05-05 (Released:2020-10-14)
参考文献数
29

ノイズと決定論ダイナミクスの相互作用によって生じる雑音誘起現象は,非線形物理学では古くから研究されてきた問題である.よく知られた例としては「ノイズ同期」,「確率共鳴」,「雑音誘起カオス」があげられる.とくに決定論ダイナミクスがカオス解,あるいは不安定カオス解を持つ場合は,非自明な雑音誘起現象が生じることが知られている.こういった雑音誘起現象は,力学系の自然測度がノイズの影響で極端に変化し,決定論極限で観測されなかった不安定解の一部がノイズ存在下で観測されるようになる現象である.非線形確率現象はランダム力学系理論で扱うことができる.例えば上述の雑音誘起現象のいくつかはランダム力学系の確率分岐現象として理解される.ランダム力学系理論では主に確率微分方程式,ランダム写像などで記述される確率的ダイナミクス,あるいは一般に時間発展する不定外力によって駆動される力学系のダイナミクスを扱う.ランダム力学系のアトラクターはランダムアトラクターとよばれる.ランダム力学系においても,決定論力学系と同様に不変分布,リアプノフ指数,コルモゴロフ–シナイエントロピーといった系を特徴付ける不変量が定義され,性質のよい系ではこれらの不変量は一意に定まる.ランダム力学系にアトラクターと不変分布が存在し,最大リアプノフ指数が正であるとき,そのアトラクターはランダムストレンジアトラクターとよばれ,観測される現象は確率カオスとよばれる.いま系の最大リアプノフ指数をλとすると,「ノイズ同期」はλ<0のランダム点アトラクター,「確率共鳴」はλ<0のランダム周期アトラクター,「雑音誘起カオス」はλ>0のランダムストレンジアトラクターに従う.確率カオスは流体乱流でも観測される.円柱容器中の流体をプロペラで撹拌したときに生じる旋回流である「カルマン旋回流」において,レイノルズ数が非常に大きな発達した乱流状態では,ある旋渦が支配的な準定常状態と,別の旋渦が支配的な準定常状態の間を遷移する現象が観察される.この遷移運動は系の対称性を変化させると,ある領域で不規則運動に変化する.この不規則遷移運動は円柱容器の上下で流れを駆動しているプロペラの回転数の変動を測定すれば直接観測できる.カルマン旋回流の実験時系列データに埋め込み法を適用してアトラクターを再構成し,確率ダフィング方程式でモデル化した.実験時系列データから見積もられたダイナミクスの有効次元は10次元程度であり,これは確率ダフィング方程式のランダムアトラクターの有効次元と概ね一致する.実験系を対称な境界条件から非対称な境界条件へ変化させると,実験時系列データから計算される最大リアプノフ指数が負から正へ変化し,不規則運動への転移が観測される.この分岐現象もモデル解析と実験で定性的に一致した.このように確率ダフィング方程式はカルマン旋回流にみられる不規則遷移運動のよいモデルとなっている.初期の乱流遷移は決定論力学系のストレンジアトラクターへの分岐として解析されてきたが,形式的に無限次元であるランダム力学系とランダムアトラクターの概念を導入することにより,発達した乱流運動についてもランダム力学系理論による解析が可能かもしれない.一般に大自由度の力学系や不定外力で駆動される力学系でみられる様々な非線形現象をランダム力学系理論によって理解することができる.
著者
佐藤正広著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
2015
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 堀田 龍也 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46046, (Released:2022-10-27)
参考文献数
13

本研究は,写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導の効果を検証した.この学習では,①児童が写真の読み取りを行った結果を文章でまとめ,②その内容を児童同士が話し合い,③最後に教師が1名の児童の読み取りの結果を学級に共有した.写真を読み取る力の育成を目指した小学校第6学年児童向けの教材に繰り返し取り組む学習指導を全14回実施した結果,10回目から写真を読み取る力が向上した.
著者
小沢 聡 和久 貴洋 齋藤 実 瀬口 典子 郡秀 香田 一郎 河野 成明 佐藤
出版者
身体運動文化学会
雑誌
身体運動文化研究 (ISSN:13404393)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.83-92, 1999-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
23

It is widely recognized that fluid intake during exercise is effective in preventing heat stroke and maintaining exercise performance in a hot environment. However, kendo players have traditionally restricted fluid intake during training, even in a hot environment, in order to cultivate their spirit.Research involved a study of the fluid intake of kendo players of a college team participating in a summer training camp. Twenty-two kendo players (15 male, 7 female) participated in the summer camp of August in 1997. Trainings in the camp were held twice a day (once in the morning and in the afternoon, respectively). Fluid volume intake of each player in training was measured, as was body weight before and after training, and environmental conditions (i. e. dry-bulb temperature and relative humidity) during training session in the camp.The players took in fluids in a total of 1477. 1 ± 685. 7ml in each training (201. 7 士 256. 1ml, 320. 3 ± 178. 9ml / hr, and 537. 0 土 347. 5ml before, during and after training, respectively). The real body weight loss (i. e. body weight loss corrected by fluid volume intake) was 2. 4 土 1. 1kg, although body weight loss after training was 0. 9 ± 0. 8kg. There was a significant regression between fluid volume intake and the real body weight loss (r = 0. 614, p く 0. 05). The regression analysis showed a regression coefficient of 0. 401, indicating that the rate of fluid volume intake to fluids volume secretion from the body was 40. 1%. It is vital for kendo players to intake fluids much more frequently during training in a hot environment, and their coaches must design training programs in which the players are able to do so.
著者
佐藤 佑樹 島貫 智行 林 祥平 森永 雄太
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.16-31, 2020-09-20 (Released:2020-10-08)
参考文献数
72

本稿は,多様性研究における従業員の創造性喚起という問題について,近年注目されているインクルージョン風土(CI)をとりあげて個人の創造性への影響メカニズムを知覚された組織的支援(POS)の観点から検討した.日本企業の正規従業員を対象とした質問票調査のデータを用いて分析した結果,CIの影響はPOSを媒介して個人の創造性へと結びつくことが確認された.この知見は,個人の創造性喚起に有益な示唆を提供する.
著者
佐藤 和紀 小田 晴菜 三井 一希 久川 慶貴 森下 孟 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.Suppl., pp.117-120, 2021-12-20 (Released:2022-02-02)
参考文献数
6

小学校高学年児童がクラウドサービスの相互参照を用いて,他者の文章を参照して意見文を作成する実践を行った.意見文の評価と意識調査の結果,他者の意見文を参照したグループ児童の意見文の評価は有意に高く,他者の意見文を参照していないグループの児童よりも読み手にどう伝わるか気をつけて書く,自分の考え以外の視点でも書く,主語と述語のつながりを注意して書く,形式的なミスを少なくする,ことを意識していた.
著者
河村 浩孝 佐藤 義雄 木野 健一郎 渡辺 義史 相澤 大和 松浦 正和 橋田 浩二 浜口 俊明 山口 健二郎 一丸 忠志 芥川 大祐 南部 透 梅原 隆司 水野 孝之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.57-63, 2010 (Released:2010-02-15)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

Boron isotope ratios were analyzed in seven domestic analytical labs for boric acid solutions with various compositions of boron isotope abundances, using an Inductively Coupled Plasma–Quadrupole Mass Spectrometer (ICP-QMS). Five sample solutions with different isotope abundances of 10B were prepared in the range of 10 to 20% by mixing two boric acid solutions containing natural B and enriched 11B, respectively. Then, the 10B isotope abundances of each sample were certified by analyzing with thermal ionization mass spectrometry (TI-MS) according to ASTM-C791-04. Results obtained from each lab have indicated good coincidences with TI-MS results. Also, the relative standard deviations of results with ICP-QMS of seven analytical labs were 0.11 to 0.81%. The measurement precision for ICP-QMS would be sufficient in terms of practical use, while taking into consideration a valid requirement required for verifying a depletion of the 10B isotope abundance in the PWR coolant, while this is greater than a nominal analytical error (relative value : 0.22%) for TI-MS shown in ASTM-C791-04.
著者
佐藤 大記 二瓶 真人 堀野 智史 北沢 博 三浦 克志
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.123-128, 2019 (Released:2019-03-31)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

【背景】そばによる即時型食物アレルギーは学童期以降で頻度が高い. また他の食品に比べ, アナフィラキシーを起こしやすく, 寛解しにくいといわれている. そばアレルギーに対する経口免疫療法の論文報告はない. 【方法】アナフィラキシー既往のあるそばアレルギー児のうち文書で同意を得られた患児に対して入院管理下に十割そばの食物経口負荷試験を行い, 安全に摂取可能な量を確認した. 自宅でそばを連日摂取し, 4週間ごとの外来食物負荷試験で20から50%ずつ増量するプロトコルで緩徐経口免疫療法を実施した. 【症例】症例1 : 8歳男児. 7歳時にそば打ちの会場でアナフィラキシーを認め, 当科を受診した. 症例2 : 11歳男児. 5歳時にそば一人前を初めて摂取しアナフィラキシーを認め, 当科を受診した. 【結果】それぞれ1年, 3年の期間をかけてアナフィラキシーをきたすことなく維持量 (150g, 200g) に到達した. 【結語】そばアレルギーにおいても緩徐経口免疫療法が有効な症例が存在することが示唆された.
著者
橋詰 保 谷田部 然治 佐藤 威友
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.96-101, 2014-02-10 (Released:2014-02-19)
参考文献数
13

Interface properties of GaN-based heterostructures have been characterized. Schottky contacts on dry-etched n-GaN layers showed leaky I-V characteristics. An anneal process at 400°C was effective in recovering the rectifying characteristics. To characterize interface properties of Al2O3 insulated gates on AlGaN/GaN structures with and without the inductively coupled plasma (ICP) etching of AlGaN, we have developed a C-V calculation method taking into account electronic state charges at the Al2O3/AlGaN interface and a photoassisted C-V technique utilizing photons with energies less than the bandgap of AlGaN. It was found that the ICP etching caused the monolayer-level interface roughness, disorder of the chemical bonds and formation of various types of defect complexes at the AlGaN surface, resulting in poor C-V characteristics due to high-density interface states at the Al2O3/AlGaN interface.
著者
佐藤 裕 佐藤 清治 広橋 喜美 伊山 明宏 原岡 誠司 溝口 哲郎 片野 光男 樋高 克彦 原田 貞美 藤原 博 山本 裕士 久次 武晴
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.577-584, 1989-03-25 (Released:2010-01-21)
参考文献数
18
被引用文献数
11

1985年5月から1987年12月までの3年7ヵ月の間に,6名のシートベルトに起因する鈍的腸管・腸間膜損傷を経験したので報告する. 症例は男性5名,女性1名の計6名で,平均年齢は51.7歳であった.このうち,盲腸破裂と多発小腸穿孔をきたし,すでにshock状態におちいっていたために,回盲部切除を余儀なくされた女性を術後敗血症で失なった以外は全例軽快退院した.また大腸に損傷のあった5例中,遊離穿孔に至っていたのは2例のみで,あとの3例は腸間膜損傷をともなった腸管壁の漿膜筋層断裂にとどまっており,腸管切除をせずに吸収糸にて縫縮,修復するのみで良好な結果を得た. 診断面においては,腹部CT検査が腹腔内遊離ガスと液体貯留をあわせて同定でき,しかもその性状にも言及できる利点があり非常に有用であった. 交通事故の増加とシートベルト着用の義務化にともない,今後シートベルトによる鈍的な腸管・腸間膜損傷が増加するものと考えられる.シートベルトを着用した交通外傷患者の診療に際しては,常にこのことを念頭おくべきことを強調したい.
著者
佐藤 悟 八木 正自 藤田 達生
出版者
実践女子大学
雑誌
年報 = Nenpo (ISSN:09100679)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.159-187, 2020-03-28

ページ他に口絵あり
著者
西本 真一郎 樋浦 望 佐藤 良一 鈴木 一由 浅野 隆司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.199-202, 2002-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
9
被引用文献数
4 4

ゼラチンの経口摂取による皮膚コラーゲン合成に及ぼす効果をコラーゲンペプチドの場合と比較検討を行った.(1) ラットにゼラチンを経口投与し,皮膚可溶性画分中のヒドロキシプロリン量を測定したところ,無処理および除毛処理いずれの場合においても,Control群に比べ有意な差は認められなかった.(2) ラットにコラーゲンペプチドを経口投与し,皮膚可溶性画分中のヒドロキシプロリン量を測定したところ,無処理および除毛処理いずれの場合においても,Control群に比べ有意に(p<0.05)高値を示した.