著者
佐藤 浩平 金原 数
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.219-223, 2022 (Released:2022-09-25)
参考文献数
12

膜貫通タンパク質の構造を模倣した分子として,親水性ユニットと疎水性ユニットを交互に連結したマルチブロック型オリゴマー分子を設計し,これらの分子が二分子膜中でイオンチャネルを形成することを見いだした.さらに,張力応答性,リガンド応答性,電位応答性など,多様な刺激応答性を付与できることを明らかにした.
著者
佐藤 仁
出版者
国際開発学会
雑誌
国際開発研究 (ISSN:13423045)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.1-15, 2003-06-10 (Released:2020-03-28)
参考文献数
30
被引用文献数
1

Do case studies have broader significance than mere description of a particular event or incidence? How can they be applied to other cases? These are the challenges that most fieldworkers dealing with a small sample face. Small-N studies are often ranked lower in terms of scientific rigor in comparison to Large-N studies and laboratory experiments. However, if appropriately conducted, case studies can reveal processes and mechanisms that large scale statistical analysis often cannot. In other words, in close contacts with the data source and in-depth understanding of the contexts would allow case studies to generate observations with high validity. This is primarily due to its flexible and “grounded” nature of qualitative research. On the other hand, additional effort is needed to enhance their reliability, i.e., increasing the transparency of data sources and collection methods; establishing external linkages with larger issues beyond the boundary of selected samples; and cross checking with quantitative data. Qualitative case studies can provide valid results to questions concerning processes and mechanisms, that are often vital to understanding how development operates. This strength should be explicitly stressed while their possible weaknesses in reliability should also be recognized. One way in which various disciplines related to development can communicate with each other is to discuss methods for analysis in comparative perspective. This should help uplift the academic quality of development studies in general.
著者
中村 誠宏 寺田 千里 湯浅 浩喜 古田 雄一 高橋 裕樹 藤原 拓也 佐藤 厚子 孫田 敏 伊藤 徳彦
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.1816, 2019-11-08 (Released:2020-01-13)
参考文献数
17

北海道中川郡音威子府村から中川町を結ぶ全長 19.0 kmの一般国道 40号音威子府バイパスの建設が 2007年から始まっている。北海道大学中川研究林を通過する区間では、周辺地域のトドマツ及びミズナラ、シナノキ、オヒョウなどが生育する北方針広混交林生態系に対してより影響の少ない管理手法の開発が検討されている。 2010年より検討を開始し、翌年より施工手法や装置の開発、施工対象予定地での事前調査を行った。 2013年に試験施工を行い 2014年よりモニタリングを開始した。本研究では表土ブロック移植に注目して、 1)これまでより安価な表土ブロック移植の簡易工法の開発、 2)すき取り表土と比較して簡易表土ブロック工法が施工初期の草本層植生や土壌動物群集に与える影響、 3)それらの回復について 2014年と 2015年の 8月下旬に調査を行った。本工法では装置開発を最小限にして、一般的に用いられる建設機械を利用したことから、施工費が大幅に削減された。表土ブロック区では在来種の被度がより高かったが、すき取り土区では外来種の被度がより高かったため、植物全体の被度は処理間でそれ程大きな違いはなかった。ヒメジョオンのような 2年生草本の種数はすき取り土区でより多かったが、多年生草本と木本の種数は表土ブロック区でより多かったため、植物全体の種数は表土ブロック区でより多かった。さらに、移植元の植物相との類似度も表土ブロック区でより高くなった。一方、リター層も土壌層も土壌動物の個体数は表土ブロック区でより多く、種数も表土ブロック区でより高かった。リター層を除く土壌層のみ表土ブロック区において移植元の土壌動物相との類似度がより高くなった。本研究の結果から、開発した表土ブロック移植の簡易工法は植物と土壌動物に対して早期の回復効果を持つことが示された。
著者
松下 将典 高橋 秀幸 佐藤 泰貴 岩佐 貴史
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
航空宇宙技術 (ISSN:18840477)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.53-61, 2022 (Released:2022-09-29)
参考文献数
13

Membranes can be applied to deploy high-capacity, lightweight and large structures in space, such as solar sails, occulters, and sunshields. However, it is difficult to predict the shape of the membranes under low tension in orbit, mainly because gravity deflects the membrane on the ground experiments. We propose a ground-based experimental method to simulate the shape of the membrane in weightless conditions by placing the membrane in an aqueous solution. We developed a small experimental system and measured the shape of the curved membrane that floated in a sugar solution. The effectiveness of the experimental method was evaluated by comparing the experimental results with the results of geometrically nonlinear finite element analysis. In addition, these results were compared with the results of the suspended membrane without gravity compensation.
著者
村田 暁紀 佐藤 寛之 高玉 圭樹
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-112, no.3, pp.1-6, 2017-02-20

本研究では,1 つの個体としての解を進化させる通常の多点探索型進化計算 (点 = 個体 = 解候補) ではなく,複数の個体からなる解を進化させる進化計算 (複数の個体を群ととらえると,多群探索型進化計算 (群 = 複数の個体 = 解候補)) を提案するとともに,その有効性を検証することを目的とする.さらに,進化計算において根源的な問題である最適性と多様性のトレードオフを,多群探索型進化計算にて改善することを試みる.具体的には,多目的進化計算手法一つである NSGA-II の評価指標として,「最適性」 を評価する解の良さと 「多様性」 を評価するノベルティサーチを導入した後,(1) 評価値の高い解の近傍を重点的に探索する重点サンプリングと (2) 評価値の高い解から離れる範囲を探索しない多様性制限を組み込む.提案手法の有効性を検証するため,航空機着陸問題 (群 = 複数の航空機の経路集合 = 解候補) に適用し,シミュレーション実験を行ったところ,(1) 提案手法は,各個体を最適化しつつ全体を最適化するとともに,ノベルティのみの評価や Fitness の評価のみの手法に比べ,より最適性の高い解を獲得できることが明らかになった.また,(2) 多群探索型進化計算において,重点サンプリングと多様性制限が最適性と多様性のトレードオフの問題の改善に貢献できることを示した.
著者
川本 祥也 佐藤 臨太郎
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
no.20, pp.95-100, 2011-03

近年、タスクを用いたTBL(Task-Based Language learning)授業が学習者のいわゆるコミュニケーション能力育成に効果的であるとの観点から大いに注目を集めている。しかし、日本のような、教室外での英語使用場面がほとんどないEFL(English as a Foreign Language)環境においては、PPP(Presentation-Practice-Production)の流れに沿った授業の方がよいという指摘もある。本研究では、PPP授業とTBL授業の文法学習における効果を比較検証した。結果から、両授業とも文法学習において一定の効果が見られたが、文法知識の習得や英作文における正確さを重視するならばPPP授業、英作文のおける流暢さや内容の豊かさを重視するならTBL授業の方が効果的ではないかとの示唆が得られた。また、多様な性格や学習への動機づけを持った学習者がいることを考慮し、さまざまな形式の授業を組み合わせて活用すべきであるということが示唆された。
著者
遠山 泰崇 佐藤 雄己 鈴木 陽介 田辺 三思 竹中 隆一 和田 伸介 石井 圭亮 伊東 弘樹
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.594-599, 2015-08-10 (Released:2016-08-10)
参考文献数
18

We report the cases of 10 patients with acute lithium intoxication who were treated over the past 6 years. The range of lithium overdose was 600 mg to 9,600 mg and the lithium concentration of all cases was greater than the toxic concentration. Three of the 10 cases were treated with fluid therapy. Another 3 cases were treated with continuous hemodiafiltration (CHDF). The rest were treated with hemodialysis (HD). The serum lithium concentration of the 3 patients with fluid therapy gradually decreased. However, it took 24 hours after the treatment to reach the therapeutic level in Case 2 since the slope was comparatively loose. In the meantime, the high lithium concentration of patients with CHDF (Cases 4, 8, 10) and HD rapidly decreased and it finally reached the therapeutic level. But a post-dialysis rebound effect in the lithium concentration was detected in Case 9. This report shows that CHDF and HD is an effective and sufficient treatment for lowering the serum concentration of lithium in a short period in acute lithium toxicity. As the serum lithium concentration of a patient with HD often rebounds and repeated or prolonged treatment may be required, we reaffirmed the patient's condition. Thus, completion of HD should be judged based on not only serum lithium concentration but also sufficient observation of the clinical course.
著者
佐藤 寛
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.177-187, 2005-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
1

本研究の目的は、児童の非機能的態度を測定する尺度(DAIC)を作成し、非機能的態度が抑うつ症状と不安症状にどのような影響を与えているか検討することであった。まず、調査1において、小学校4年生から6年生までの451名にDAICを実施した。探索的因子分析の結果、児童の非機i能的態度には、「破局的・絶望的態度」と「賞賛・承認希求的態度」の2因子があることが明らかにされた。また、DAICは、ある程度の信頼性と妥当性を有することが確認された。次に、調査IIにおいて、小学校4年生から6年生までの617名を対象に、児童の非機能的態度が抑うつ症状と不安症状に与える影響について検討した。その結果、破局的・絶望的態度は抑うつ症状と不安症状を促進するものの、賞賛・承認希求的態度は抑うつ症状とは関連をもたず、不安症状に対してのみ促進的影響を及ぼしていることが示唆された。以上のことから、児童の非機能的態度の変容を目標とした認知行動療法的介入についての留意点が議論された。
著者
佐藤 賢一郎 水内 英充 塚本 健一 藤田 美悧
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.100-105, 2004-01-10

近年,卵巣チョコレート嚢腫の癌化が広く知られるようになったが,子宮腺筋症の癌化は稀な病態と思われており,報告例も散見されるのみである.今回,子宮腺筋症の癌化と考えられた腺扁平上皮癌(腺癌部分は低分化型類内膜腺癌)の稀な1例を経験した.症例は50歳,3経妊,2経産で,下腹部痛,腹部膨満,体重減少を主訴に,2002年(平成14年)8月7日に初診した.同年8月27日に診断的開腹術を施行したのち,TJ療法を行ったところ著効したため,2003年(平成15年)3月14日に二次的腫瘍減量術を施行した.開腹所見,病理組織所見より子宮腺筋症の癌化と考えられた. 一般的に,本疾患は術前診断が困難な場合があること,術後の病理組織診においても内膜より発生した体癌との鑑別診断が問題となる場合があること,予後についても同様に考えてよいのかなどの臨床的に重要ないくつかの問題点が存在するため,さらなる症例の積み重ねと知見の集積が望まれる.
著者
佐藤 博俊
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第55回大会
巻号頁・発行日
pp.2, 2011 (Released:2012-02-23)

菌類は、地下部において膨大なバイオマスをもち、しばしば他の生物と密接な共生関係を結んでいる生物群であり、森林生態系の中で中核的な存在となりうる生物群である。その中でも、菌根菌は植物と密接な相利共生関係を結んでいることが知られており、とりわけ重要な機能群である。しかしながら、菌根菌がどういった植物種と共生するのかということ(宿主特異性)については、先行研究では十分に正確な情報が得られていなかった。菌根菌の宿主特異性の解明の妨げとなっている要因の一つは、菌類における隠蔽種の問題が挙げられる。菌類は形態形質に乏しく、人工交配実験を行うのも必ずしも容易ではないため、形態的には識別ができないが生殖的に隔離されている種、すなわち隠蔽種が存在する可能性が高い。従来の研究では、隠蔽種識別のための解析が適切に行われていなかったため、異種混同することによって、宿主特異性が正確に評価できていない可能性があった。宿主特異性の研究でもう一つ重要な課題は、いかに宿主植物を正確な同定するかということであった。先行研究では、菌根菌の宿主植物はその菌の近くにに生育している(優占している)植物種と考える場合が多かったが、この方法では宿主樹種を正確に同定できていない可能性があった。そこで、本研究では、近年発達してきた DNA 解析技術を用いることで、これらの問題を解決し、菌根菌の正確な宿主特性を調べることを目的として研究を進めた。本研究では、菌根菌の中でも、いわゆるキノコ類が多く含まれる外生菌根菌に焦点を絞り解析を行った。研究材料としては外生菌根菌であることが知られているオニイグチ属菌(Strobilomyces, Boletaceae)を用いた。 最初に、オニイグチ属菌に実際にどれほどの隠蔽種が存在しているかを調べた。国内と台湾の森林からオニイグチ属の形態種 4 種の子実体を集め、そこから核 DNA(RPB1, ITS2)・ミトコンドリア DNA(atp6)の塩基配列を解読し、別々に分子系統樹を構築した。その結果、これまでオニイグチ(S. strobilaceus)、オニイグチモドキ(S. confusus)、コオニイグチ(S. seminudus)、トライグチ(S. mirandus)という 4 つの記載種が知られていたオニイグチ属菌で、核 DNA とミトコンドリア DNA の塩基配列で共通する DNA タイプが合計で 14 個識別された。それぞれの形態種ごとでは、オニイグチモドキとコオニイグチの複合種は 4 つのDNA タイプに、オニイグチは 7 つの DNA タイプに、形態形質が顕著に他の 3 種と異なるトライグチは 1 つの DNA タイプに、それぞれ分けられることが分かった。また、2 つの DNA タイプはいずれの形態種とも合致しない特殊な形態をもっていた。これらの DNA タイプは、独立の遺伝様式をもつ 2 つの DNA 情報で支持されたことから、オニイグチ属菌では、互いに生殖的に隔離された隠蔽種が多数存在している可能性が強く示唆された。
著者
中埜 拓 村上 雄二 佐藤 則文 川上 浩 井戸田 正 中島 一郎
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.37-42, 1995-02-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
22

カゼイン組成がカード形成状態や消化性に及ぼす影響を調べた。ウシα-カゼインに酸を添加すると粗大なカードが形成されたが, ウシβ-カゼインならびに人乳カゼインではカードが微細であった。乳児の消化管内を想定したpH 4.0のペプシン分解およびそれに引き続くパンクレアチン分解を行うと, ウシβ-カゼインがウシα-カゼインに比べ速やかに消化された。ラットによる消化試験では, ウシβ-カゼインがウシ全カゼインに比べ分解されやすく, 胃内滞留時間が短かった。以上のことから, カードはβ-カゼインのように微細であるほど, 消化されやすいこと, また胃から速やかに小腸に移行することが示唆された。
著者
佐藤 彰宣
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.43-61, 2016-06-01 (Released:2020-06-27)
参考文献数
20

本稿は、戦後初期における野球雑誌の変容とその社会背景について検討するものである。具体的には『ベースボール・マガジン』での啓蒙志向と娯楽志向をめぐる議論に着目し、編集者や読者がどのような雑誌のあり方を求めたのかについて分析する。その分析を通して、当時の雑誌を取り巻くメディア環境(テレビの登場)や、野球というスポーツに対する社会的な認識を明らかにする。 一九四六年に創刊された『ベースボール・マガジン』は、一流の論者によって読者を教化するという啓蒙志向を打ち出した。「精神修養」や「民主主義」のような社会的な理念をスポーツ批評によって読者に指導しようとするこの規範は、戦時での雑誌のあり方と形式的には連続していた。戦後社会において、こうした啓蒙志向が読者に対して訴求力を持った背景には、大衆レベルでの教養への憧れが存在した。 だが、同誌は一九五三年に「見る雑誌」化を掲げ、啓蒙志向から娯楽志向への転換を図った。出版界では大衆娯楽誌『平凡』が大きな注目を集め、また同時にプロ野球人気が叫ばれる中で、堅苦しい学生野球論などを「読む」ことの魅力は失われ、映画俳優のように人気選手のプライベートを「見る」ことが次第に求められるようになっていった。こうした啓蒙志向から娯楽志向への転換は、「繰り返し読まれる書籍的な月刊誌」から「その日限りで読み捨てられるフローな週刊誌」へのメディアの形式的な変化とも対応するものであった。以上のような野球雑誌のあり方をめぐる議論の変化からは、戦後社会における人々のスポーツに対する意識の変容も透けて見える。
著者
佐藤 成基
出版者
茨城大學政経學會
雑誌
茨城大學政経學會雑誌 (ISSN:02865734)
巻号頁・発行日
no.74, pp.27-43, 2004-03-10
著者
齊藤 奈英 板倉 誠 田井中 一貴 Tom Macpherson 疋田 貴俊 山口 瞬 佐藤 朝子 大久保 直 知見 聡美 南部 篤 笹岡 俊邦
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.100-105, 2022 (Released:2022-09-25)
参考文献数
32

ドーパミン(DA)作動性神経伝達は,運動制御,認知,動機付け,学習記憶など広範な役割を持つ。DAは大脳基底核回路において,D1受容体(D1R)を介して直接路を活性化し,D2受容体(D2R)を介して間接路を抑制する。さらに詳細にD1RおよびD2Rを介したDA作動性神経伝達を理解するため,筆者らは,D1R発現を薬物投与により可逆的に制御できるコンディショナルD1Rノックダウン(D1RcKD)マウスを作製した。このマウスを用いることにより,D1Rを介する神経伝達が,大脳基底核回路の直接路の情報の流れを維持し,運動を促進することを明らかにした。また,D1Rを介したDA伝達が少なくとも部分的に大脳皮質ネットワーク内の神経活動を増加させて嫌悪記憶形成を促進することを明らかにした。本稿では筆者らのこれまでの取り組みも交えD1RcKDマウスを用いた運動制御と嫌悪記憶形成に関する研究を中心に紹介する。
著者
佐藤 裕
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.19-29, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
2

「差別をする」というのはどういうことだろうか.私の研究テーマは差別論であるが,私の関心は差別「されている」実態を明らかにすることではなく,差別を「する」こと,あるいは差別の方法・技術を描くことに向けられている. 差別行為の記述は,差別に対抗するワクチンとしての意味を持つと私は考えている.本論では,具体的な事例の分析を通して,差別行為の記述がどのような意味を持つのかを明らかにしていきたい.