著者
佐藤 丙午
出版者
一般財団法人 日本国際政治学会
雑誌
国際政治 (ISSN:04542215)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.205, pp.205_14-205_28, 2022-02-04 (Released:2022-03-31)
参考文献数
35

An economic statecraft is a policy measures utilizing an economic incentives and disincentives to force targeting county to comply with political demand of the sender. It is not a single definable policy measure but multiple measures to attain policy objectives through reflection of the degree and level of economic interaction among states.Economic statecraft is a policy measures by choice. Its political utilities are wide and politically manipulable since it is flexible in imposing and lifting the measures. It is often used to show senders political discontent without harming the formal political relations. It can also be utilized to execute political and tactical pressure by banning the export of the strategic goods and technologies thus deprive access to those items and control the degree of military development of the target. The UN has imposed various forms of economic sanctions under the UN Charter provisions.Despite the multiple utilities of these policy measures, a casual mechanism of the economic statecraft in changing the political decision of target is unknown. It may cause economic pain to the economy of the target and the mounting domestic pressure to concede to the demand of the sender could be a political driver. In opposite, it may harden the reaction of the target since it may unite the country to resist to the external pressure. As for the positive economic incentive, the domestic audience of the target may not induce by the reward given, thus may blur the mechanism of causal relationships.In many cases, economic statecraft is imposed without setting the specific goal or lifted without tangible result and fulfilling the concrete demand of the target. It is a symbolic policy tools to persuade domestic audience of the sender by showing that their government is executing tangible policy measures to exercise power on the target over contested political agenda. At the same token, a defensive economic measure, most notably export controls, may frame economic interaction corresponding to the strategic relationship. The aim of this measure is to shape the political relationship rather than punish or deter specific action.The assessment of utility of the economic statecraft differs when considering short term and long-term effect of the measures. Additionally, the economic statecraft has positive record when an instant reaction to the developing events is necessary to spare time for further consideration of policy appropriate.
著者
春日 郁馬 武田 義次 佐藤 健 森 みゆき
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.317-323, 2022-03-10 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2

【目的】我々は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン接種後の抗体量を調べると共に、抗体量と関連する因子について明らかにすることを目的とした。【対象】2021年5月から7月にファイザー製もしくはモデルナ製のSARS-CoV-2ワクチンを2回接種した当法人職員のうち、SARS-CoV-2抗体量調査に参加した152名を対象とした。【方法】ワクチン2回接種終了日から7日以上経過後にSARS-CoV-2抗スパイクタンパクIgG抗体量を測定した。また年齢、性別、接種後の発熱、ワクチンの種類などが抗体量と関連するかどうかについて併せて調べた。【結果】測定した者全員に抗体量の上昇を認めた(中央値7,314AU/mL)。45歳未満の者は45歳以上の者より有意に高値であった(p<0.01)。接種後に37.5℃以上の発熱を認めた者は37.4℃以下の者より有意に高値であった(p<0.01)。モデルナ製のワクチンを接種した者はファイザー製のワクチンを接種した者より有意に高値であった(p<0.01)。また接種後の日数が経過した者は抗体量がやや低くなる傾向を認めた。【考察】年齢、発熱の程度、ワクチンの種類等が抗体量と関連する可能性が示唆された。また日数の経過に伴い抗体量が低くなる傾向があることから、今後の疫学的動向も踏まえてSARS-CoV-2ワクチンの追加接種を検討する必要があると考えられた。
著者
保谷 芳行 矢部 三男 渡部 篤史 平林 剛 佐藤 修二 岡本 友好 小村 伸朗 矢永 勝彦
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.627-633, 2014 (Released:2015-08-31)
参考文献数
39
被引用文献数
1 2

食道癌切除後の乳糜胸は,比較的稀な合併症であるが,確立された治療法がなく,管理に難渋することが多い.従って,適切な管理ができない場合には死亡することも稀ではない.乳糜胸の一般的な原因は,手術操作による胸管損傷であるので,胸管結紮が最も確実な方法と考えられる.しかし,不必要な再手術は避けるべきであり,症例ごとに病態を把握して,適切な治療を選択することが必要である.食道癌術後の乳糜胸治療として,保存的療法,胸膜癒着療法,リピオドールを用いたリンパ管造影,放射線照射,胸膜腹膜シャント術,インターベンショナル,開胸手術,胸腔鏡下手術などが行われているが,胸管損傷の部位,程度,胸管の走行,乳糜胸水の量,患者の病態や全身状態などを考慮し,適切な治療を適切な順序で行う必要があると考える.
著者
阪本 要一 西澤 美幸 佐藤 富男 大野 誠 池田 義雄
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.38-41, 1993-10-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
14
被引用文献数
5

体脂肪の測定法として,近年いろいろな簡易法が開発されてきている。今回,生体インピーダンス法の応用として,立位で測定した両足間の生体インピーダンスから体脂肪を推定する方法を新たに考案し,皮脂厚法及びBMIとの相関性について検討した。その結果,皮脂厚法及びBMIのいずれとも高い相関性を示し,体脂肪の評価に有用である事が確認された。
著者
瀬川 凌介 及川 真人 花田 匡利 名倉 弘樹 新貝 和也 佐藤 俊太朗 澤井 照光 永安 武 神津 玲
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.110-116, 2022-12-26 (Released:2022-12-26)
参考文献数
19

【目的】肺癌の外科治療では,術後に遷延する呼吸不全によって酸素療法の継続を余儀なくされる患者も存在する.本研究は,退院時に酸素療法を必要とした患者の割合と,その臨床的特徴を明らかにすることを目的とした.【対象と方法】本研究は単施設の後方視観察研究であり,2009年から2018年に長崎大学病院にて肺切除術を施行された肺癌患者を対象とした.診療録より,対象者背景,術前の呼吸機能および身体機能,手術関連項目,術後経過,退(転)院時転帰を調査した.【結果】解析対象者は1,256件で,そのうち46件(3.7%)が酸素療法継続となった.酸素療法継続に対して重要度が高い評価項目を推定するランダムフォレスト解析において,術前の肺拡散能や6分間歩行試験中の酸素飽和度低下が抽出された.【結語】肺切除術後患者において,術前の肺拡散能や6分間歩行試験中の酸素飽和度低下は,術後の酸素療法の必要性を予測する指標となる可能性が示唆された.
著者
山神 彰 山田 武宏 北川 善政 大廣 洋一 佐藤 淳 石黒 信久 今井 俊吾 小林 正紀 井関 健
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.254-261, 2019-05-10 (Released:2020-05-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2 4

Third-generation oral cephalosporins are broad-spectrum antimicrobial agents and constitute one of the most used antibiotic classes in Japan. In the “National Action Plan on Antimicrobial Resistance (AMR),” the Japanese government declared implementation of efforts to reduce the use of oral cephalosporins by 50% by 2020, compared to 2013. Antimicrobial resistance generally occurs due to inappropriate use or low-dosage exposure to antibiotic agents. Therefore, the choice of appropriate antibiotics is essential for implementing antimicrobial stewardship. To evaluate the prophylactic effects of antibiotics in impacted mandibular third molar surgery, we compared the rate of surgical site infection (SSI) in patients who were administered cefcapene-pivoxil (CFPN-PI) orally with that in patients who received amoxicillin (AMPC) orally. We conducted a retrospective study by reviewing the medical charts of patients from Hokkaido University Hospital from April 2016 to March 2017. The patients evaluated were classified into two groups: the AMPC group (n = 164) and the CFPN-PI group (n = 129). The SSI ratio of the CFPN-PI group was significantly higher than that of the AMPC group (CFPN-PI group, 11.6% (15/129); AMPC group, 2.4% (4/164); P = 0.002). Multivariate logistic regression analysis demonstrated that “use of CFPN-PI for prophylactic treatment” and “hospitalization after surgery” were independent factors related to the onset of SSI following impacted mandibular third molar surgery. These results demonstrated that AMPC was more effective than CFPN-PI in the prevention of SSI after impacted mandibular third molar surgery, and its regulated dosage can effectively contribute to the optimal use of antimicrobial prophylactic treatment.
著者
舘内 由枝 島田 隆美子 浦野 洋子 佐藤 エイ子 永塚 智恵 角田 美智子 関根 智子 松坂 利之 樋口 進
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.211-215, 2004-04-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
17

精神疾患患者における, 園芸を用いた作業療法の心理的効果を検討するため, 当院精神科開放病棟入院患者および精神科デイケア通院患者を対象に, 園芸を用いた作業療法前後に感情プロフィール検査(POMS)およびバイタルサイン(血圧, 脈拍)の測定を行った. 一般健康者のPOMS各尺度得点が50点前後を示すのに対し, 患者ではネガティブな感情を表わす5尺度が高く, これらとは負の相関を示す活気の尺度が低いといった谷型のパターンを示した. 園芸を用いた作業療法前後のPOMS得点を疾患別に分類した結果, 統合失調症患者では変化がほとんど見られなかったのに対して, それ以外の患者では, 園芸を用いた作業療法後にネガティブな感情の低下と活気の上昇が見られた. これらの結果から, 1) 精神疾患患者はPOMSにおいて特徴的なパターンを示すこと, 2) 園芸を用いた作業療法は統合失調症以外の患者に短期的な感情・気分の改善傾向をもたらすことなどが示唆された. 今後, より大きな集団での追試と, 繰り返しの介入効果についての検討がなされる必要がある.
著者
平山 英幸 里見 絵理子 木澤 義之 宮崎 万友子 田上 恵太 関根 龍一 鈴木 梢 余谷 暢之 菅野 康二 安保 博文 坂下 明大 佐藤 一樹 中川 左理 中澤 葉宇子 浜野 淳 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.171-180, 2022 (Released:2022-12-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【目的】患者報告型アウトカムを用いて緩和ケアの質をアウトカムの視点から評価するための患者登録システムの実施可能性を検証すること.【方法】電子的データ収集による患者登録システムを2021年に8施設で運用した.1カ月間に緩和ケアチームが新規介入依頼を受けた全入院患者を前向きに登録した.症状評価はIPOSまたはESASを介入時,3日後,介入から1週間ごとに取得した.主要評価項目は患者と医療者による症状評価尺度への回答率である.【結果】318人が登録.患者の回答率は介入時59.1%,介入後37.0%で医療者の回答率は介入時98.4%,介入後70.3%だった.緩和ケアチームからは「患者の回答はサポートが必要で,タブレットよりも紙がよい」,「調査日や全体の管理が負担」などの意見が出た.【考察】実施可能性があると考えられる一方で,システムや運用方法の改善点が明らかになり,実装に向けた貴重な情報が得られた.
著者
妹尾 春樹 佐藤 岳哉 今井 克幸 佐藤 充
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

北緯80度に位置するスバルバール群島(ノルウエー領)にて、知事の許可を得て、以下の哺乳類および鳥類を捕獲して肝臓を、高速液クロによるビタミンAの分析、および形態学的手法(塩化金法、ビタミンAの自家蛍光観察のための蛍光顕微鏡、透過型電顕、石井-石井鍍銀法、アザン染色、HE染色、Sudan III脂肪染色)によって解析した。捕獲した哺乳類は北極グマ(3頭)、北極キツネ(8匹)、ヒゲアザラシ(6匹)、ワモンアザラシ(6頭)、スバルバールトナカイ(7頭)であり、鳥類はシロカモメ(22羽)、ウミガラス(4羽)、ニシツノメドリ(6羽)である。高速液クロによる分析では、北極グマ肝臓が最も高濃度にレチニルエステル(23,300nmole/g wet weight)を貯蔵しており、ついで北極キツネ(18,439±2,314)、ヒゲアザラシ(5,956±5,857)、ワモンアザラシ(1,551±2,486)、スバルバールトナカイ(921±264)であり、鳥類ではシロカモメ(4,710±3,164)、ウミガラス(1,589±225)、ニシツノメドリ(1,183±589)であった。塩化金法では肝臓星細胞が特異的に黒染し、蛍光顕微鏡下にこれらの細胞の脂質滴から強いビタミンAの自家蛍光が発していた。北極グマおよび北極キツネ、ヒゲアザラシの肝臓ではHE染色、Sudan III脂肪染色でも容易に星細胞の脂質滴が認められた。また、これらの動物は自然のなしたビタミンA過剰症といえるが、肝臓には線維化などの病理学的所見は見られなかった。透過型電顕を用いたモルフォメトリーでは、星細胞の数はヒトやラットを含む他の動物と差は無かった。しかし、透過型電顕で星細胞に含まれる脂質滴の占める面積は北極グマおよび北極キツネ、ヒゲアザラシでは有意に大きかった。北極グマおよび北極キツネ、シロカモメ、ヒゲアザラシなど北極圏における食物網(food web)の上位に位置する動物は大量のレチニルエステルを肝臓星細胞に貯蔵している。モルフォメトリーでは、これら動物においては星細胞の数は他の動物と差は無かった。しかし、各細胞に含まれる脂質滴の占める面積が有意に大きかった。すなわち、各々の星細胞のビタミンA貯蔵能が高いことが示唆された。北極圏の食物網の上位に属する哺乳類と鳥類は星細胞にヒトやラットなどの動物の20-100倍高濃度のレチニルエステルを貯蔵していた。さらに興味深いことに北極キツネでは肝臓からビタミンAが溢れ出し、腎臓に貯蔵されていた。このことは内分泌かく乱物質による汚染を示唆している。
著者
佐藤 秀典
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.74-84, 2010-09-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
18

本稿では,組織が社会的な問題を起こした際に,外部からの要請に積極的に応じることで生じる逆機能のメカニズムを明らかにした.損害保険業における保険金の不払い・払い漏れ問題の事例から,組織は正当性獲得のために近視眼的に行動せざるを得ないが,組織内部と外部の情報の非対称性からくる因果関係の認識の相違から,意図せざる結果として資源配分がゆがみ,新たな問題が発生するというジレンマが生じることが明らかになった.
著者
松本 春信 山本 瑛介 神谷 千明 三浦 恵美 北岡 斎 山本 晃太 出口 順夫 佐藤 紀
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.261-265, 2012-08-25 (Released:2012-08-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

●要 約:ベーカー嚢腫の破裂は,下肢深部静脈血栓症の鑑別のひとつで,偽性血栓性静脈炎(pseudothrombophlebitis)と称される.日常の臨床において,実際にベーカー嚢腫の破裂に遭遇する機会は稀である.今回,当科におけるベーカー嚢腫破裂症例を検討したので報告する.過去5年間に,下肢腫脹を主訴に当科を受診された症例は424例で,深部静脈血栓症163例(38.1%),リンパ浮腫26例(6.1%),ベーカー嚢腫破裂5例(1.2%),その他230例であった.ベーカー嚢腫破裂は,男性2例,女性3例,平均年齢66.4歳(51~80歳)で,発症数日前に膝関節痛を自覚したものが2例,残り3例は以前から変形性膝関節症を指摘されていた.浮腫を2例,腓腹部把握痛を2例に認め,1例で足関節部の皮下出血を認めた.診断は,全例超音波検査で行った.静脈血栓症の合併は認めなかった.治療は,全例消炎鎮痛剤投与による保存的治療により症状は改善した.下肢深部静脈血栓症とベーカー嚢腫破裂の鑑別は臨床症状のみでは困難なことが多く,注意深い問診とエコー所見が診断上重要である.
著者
高橋 淑郎 中島 範昭 佐藤 真実 藤盛 啓成 石田 孝宣
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.203-208, 2019 (Released:2020-02-21)
参考文献数
45

近年,世界的に甲状腺微小乳頭癌に対する過剰診断・過剰治療が問題視されている。欧米のガイドラインでは過剰診断にならないよう1cm以下の結節に対するFNAを推奨しない方向に進んでいるが,我が国では世界に先駆けて微小癌に対する非手術・経過観察(active surveillance)の前向き試験が行われ,この結果,本邦のガイドラインでは微小癌に対するactive surveillanceが認められるようになった。本邦からの微小癌に対するactive surveillanceのエビデンス発信により,諸外国でもactive surveillanceが受け入れられつつあるようであるが,微小癌の治療選択を標準化するために克服しなければならない課題は残っており,そのためには我が国だけでなく諸外国からのエビデンスの蓄積,医療者および一般社会への教育,啓蒙も必要である。
著者
佐藤 秀樹 鈴木 伸一
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.93-102, 2021-03-15 (Released:2021-03-13)
参考文献数
29

The differential effects of rumination on attentional breadth was investigated by experimentally manipulating rumination from the perspective of thought content and valences of thinking-time. We randomly assigned 68 undergraduate and graduate students to negative, neutral, long-, and short-time thinking groups. Then, we administered a questionnaire, conducted a rumination manipulation and the modified Attentional Breadth Task. In this task, there are Close and Far conditions that have a narrow and wide attentional range depending on the location of the target stimulus, and ΔAttentional Narrowing Index (ΔANI) representing the differences between the correct response rate for a target in Close and Far conditions are calculated, such that higher ΔANI values indicate a narrower attention range. Results indicated that state rumination and negative emotions worsened and attentional breadth decreased when participants focused on negative thoughts for a long time. Moreover, a causal relationship between rumination and attentional breadth was suggested. Also, factors narrowing attentional breadth through rumination were identified based on the attentional scope model. It is suggested that future studies should consider whether depression or negative cognitive processing is worsened by narrowing attentional breadth.
著者
斎藤 将樹 佐藤 岳哉
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.153, no.3, pp.117-123, 2019 (Released:2019-03-12)
参考文献数
64

一次繊毛は細胞膜が突出して形成される不動性の繊毛で,一細胞につき一本のみ形成される.当初は細胞外に突出しているだけの静的な細胞小器官だと思われていたが,種々の研究成果により,細胞周期に依存して形成と短縮・消失を繰り返すダイナミックな性質をもつことが明らかとなってきた.一次繊毛は非常に短く表面積も小さいにもかかわらず,一次繊毛膜上には特異的に分布するGタンパク質共役型受容体,増殖因子受容体やイオンチャネルがあるため,選択的な生理活性物質や機械刺激を受容するシグナル受容器として働く.そのため,一次繊毛の形成異常や機能破綻は,小頭症,嚢胞腎,内臓逆位や多指症に代表される種々の臓器形成不全等を所見とする,先天性の遺伝子疾患「繊毛病」の発症につながる.繊毛病に対する有効な治療法は開発されていない.近年,一次繊毛の形成や機能の分子制御機構が解明されるにつれて,多種多様の分子が巧妙な機構によって一次繊毛の形成,シグナル伝達や短縮・消失のサイクルを制御することが明らかになり,一次繊毛の特殊性と重要性が理解されてきた.しかし,それら分子制御機構の全容解明には遠く及ばないのが現状である.繊毛病の病因解明のため,分子制御機構がさらに解明されることが必要であり,また将来,有効な治療法が薬理学研究を中心として開発されることが期待される.
著者
佐藤 和則 井上 正之
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.356-359, 2018-07-20 (Released:2019-07-01)
参考文献数
5

加圧を伴わないサリチル酸の合成(コルベ法)の実験教材化を検討した。ナトリウムメトキシドを塩基としてセライト中でナトリウムフェノキシドを調製することで,中和における水の生成を回避しながら二酸化炭素との反応を円滑に進行させた。またセライト中でサリチル酸を遊離させて昇華することで,サリチル酸と残留フェノールとを分離した。得られたサリチル酸は,塩化鉄(Ⅲ)水溶液および炭酸水素ナトリウム水溶液との反応で検出した。
著者
重松 敬一 佐藤 学
出版者
奈良教育大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13476971)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.61-66, 2010-03-31

本研究は、児童が主体的に取り組む算数学習のあり方を追究するため、教師と学習集団によって協定される算数の学習規範がどのように内面化するのか、児童の様相からとらえていくことを目的としている。本稿では、先行研究を基に、算数の学習規範の枠組み作成に向けた考察を試みる。その結果、低学年という発達段階では算数の学習規範も、教師という権威が強く働くことが明らかになった。その定着については、1つの方法を伝達するよりは、児童の考えをもとにした話し合いの場が設定されることが効果的であった。また、第1学年であっても、内面化し自律的な行為へと向かうに当たって、必要な、数学的価値を見出すことが可能であることも事実として、見て取ることができた。