著者
本田 美奈子 安藤 充 石倉 直人 相澤 正俊
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.55-56, 1992-09-28

大規模コンピュータシステムの形態の1つとして,複数の独立ホストから構成され,各ホスト間でディスク装置を共有する疎結合システムがある。大規模な疎結合システムについて考察すると,複数ホストシステムを1システムイメージでの運用を可能とする高運用性,その冗長構成を利用した高信頼性,さらには,システムの成長にあわせた構成を可能とする拡張性が要求される。本論文では,オペレーティングシステムACOS-4/XVPにおいてこれらについて提供されている技術と,これら技術を用いた疎結合システムの適用例について紹介する。
著者
山本 哲夫 朝倉 光司 白崎 英明 氷見 徹夫
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.779-788, 2013-07-20 (Released:2013-09-14)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

【目的】札幌周辺や北欧ではシラカバ花粉アレルギーが多く, 交差反応性のため, 果物や野菜に対する口腔咽頭過敏症を有する例が多い. 一方, 原因食物に関しては, リンゴなどの果物は北欧も札幌周辺も多いが, ナッツ類は北欧では多いものの, 日本では少ない. また国内でも, 地域により一部差があり, 花粉飛散や食習慣の差による可能性がある. 今回, 一般成人を対象に, 各食物の摂取歴と過敏症の頻度を調査した.【方法】対象は20歳から67歳の339例で, アンケート用紙を用い, 33種の果物, 野菜, ナッツ類の摂取歴と過敏症の有無を質問した.【結果】摂取歴はブラジルナッツが最も少なく30.1%で, ザクロ80.2%, ヘーゼルナッツ80.8%の順に少なかった. 北海道内の居住歴が20年以上の例は20年未満の例よりプラムの摂取歴が多く, ビワとイチジクとザクロの摂取歴が少なかった. 食物過敏症は53例 (15.6%) があると答えた. 口腔咽頭過敏症が最も多く46例 (13.6%) で, モモ (21例, 6.2%), サクランボ (19例, 5.6%), リンゴ (17例, 5.0%) が多かった. バラ科果物に対する口腔咽頭過敏症は7.7%が有しており, 北海道内の居住歴が20年以上の例では11.0%で, 20年未満の例 (4.2%) よりも多かった. ヘーゼルナッツやブラジルナッツは摂取歴, 過敏症とも少なかった.【結論】食物摂取歴と過敏症に関するアンケート調査を行ったところ, 両者ともナッツ類は少なく, 北海道内の居住歴によって摂取歴や過敏症の頻度に差のある食物があった.
著者
倉増 啓 鶴見 哲也 馬奈木 俊介 林 希一郎
出版者
環境科学会
雑誌
環境科学会誌 = Environmental science (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.401-409, 2010-09-30
参考文献数
10

本研究では,経済指標,社会・人口統計上の指標および性格指標が幸福に与える影響をコントロールした上で,主観的幸福度指標が環境指標とどのような関係性にあるのかについて検証を行う。分析には,東京都および神奈川県で行ったサーベイデータ及び各サンプルの居住地における局所的な環境汚染のモニタリングデータを用いた。本研究で得た推計結果から,光化学オキシダント排出量の低減が主観的幸福度向上の可能性を有していることが示唆された。
著者
熊倉 勇美
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.224-235, 1985
被引用文献数
16 12

舌癌術後の60症例に対し, 聴覚印象による明瞭度の評価ならびに修復後の舌の量とその可動性の直接的観察をおこない, 舌切除後の構音機能に関して以下のような結論を得た.<BR>(1) 舌の切除範囲が広くかつ大きくなるほど, 舌のボリュームは小さくなり, その可動性もまた制限され明瞭度は低下する. (2) いわゆる舌半側切除よりもさらに広範囲な切除になると, PM-MC flapによる再建の方が非再建例に比べて明瞭度は良好である. (3) 一般に術後に一度低下した明瞭度は6ヵ月までに回復し, その後はPlateauとなる.またPM-MC flapによる再建の場合には, 一度改善した明瞭度が, 再び舌容量の減少につれて低下する場合がある. (4) 構音障害の特徴に関しては舌尖や舌背後部による閉鎖が得られず, 構音様式では閉鎖音が摩擦音・破擦音に, 構音点では歯茎音や軟口蓋音が両唇音・声門音などに聞き取られる傾向を示す.その他, 咬合異常, 顔面神経の下顎枝のマヒ, 唾液の貯溜なども明瞭度を低下させる条件となる. (5) 明瞭度が70%以上では社会復帰が可能であるが, それ以下になると実用性は低くなる.
著者
才藤 栄一 小徳 勇人 保坂 隆 浜田 暁子 寺川 ゆかり 中嶋 真須美 豊倉 穣 田中 博 神内 拡行 石田 暉 村上 恵一
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-58, 1989-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
24

医療者110名へのアンケートにより医療者のリハ患者に対する陰性感情を検討した.(1)回収率75%.問題患者は対象246名中45名18%であった.(2)疾患では脳血管障害,脳外傷で問題率が高く,脳血管障害では重度障害例ほど多数の看護婦が問題視した.(3)全職種が問題とした症例は,陳旧性重度脳血管障害や各医療者の経験の浅い脊損などであった.(4)問題理由のうち,医療者側の因子が15%を占めた.以上の結果は,障害の重篤さやチームの問題などが,陰性感情,即ち陰性逆転移を生じる原因となることを意味している.従って,陰性逆転移の認識,役割論的観点からの検討,チーム構造の明確さ,チームの学習機能の充実などが,より良い医療者-患者関係の樹立に必要であろう.
著者
小倉 徹也 石川 貴一朗 天野 嘉春 橋詰 匠
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2011年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.137-138, 2011 (Released:2012-03-05)

MMSの計測データには対向車など不要なデータが計測される。そのため、使用用途によっては対向車の除去が必要である。筆者らは、これまでに進行方向を向いたカメラとレーザを用いた対向車除手法を提案してきた。本報では、前後方向を計測できる複数のレーザを搭載したMMSに着目し、1回の走行の中で複数のレーザで計測された対向車の点群を検出し、除去する手法を提案する。
著者
芹澤 志保 中澤 理恵 白倉 賢二 大沢 敏久 高岸 憲二 山路 雄彦 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.483, 2003

【目的】我々は、群馬県高校野球連盟(県高野連)からの依頼により第84回全国高校野球選手権群馬県大会においてメディカルサポートを行った。以前より高校野球全国大会ではメディカルサポートによる傷害予防がなされているが、本県では今回が初の取り組みとなった。本研究の目的は、メディカルサポートの内容を紹介すると共に今後の課題を検討することである。【対象及び方法】対象は、第84回高校野球選手権群馬県大会4回戦(ベスト16)以降に出場した延べ32チームとした。メディカルサポートを行うため、群馬県スポーツリハビリテーション研究会を通じ、本県内の理学療法士にボランティア参加を募った。県高野連から依頼のあったメディカルサポートの内容は、投手及び野手別のクーリングダウン(ストレッチング)指導であり、これら指導内容を統一するため事前に3回の講習会を行った。また、高校野球における投手では連投となることが多いため、投球イニング、肩および肘関節の痛みの有無、疲労感等に関するチェック表を作成した。準決勝・決勝戦を除き試合会場は2球場であり、各球場に理学療法士は投手担当2名、野手担当4名以上、医師は1名以上が常駐するよう配置した。【結果及び考察】メディカルサポート参加者は、理学療法士延べ64名(実数40名)、医師9名(実数5名)であった。その内訳は、投手担当が延べ19名、野手担当が延べ46名であった。メディカルサポート内容は、クーリングダウン、試合前および試合中のアクシデントに対するテーピング、熱中症対策であった。準々決勝の1チームと決勝の1チームを除く30チームに対してクーリングダウンを行った。投手は延べ37名であった。投手の肩および肘の痛みについては、肩外転位での外旋で痛みを訴えたもの0名(0%)、水平内転で痛みを訴えたもの1名(2.7%)、肘に痛みを訴えたもの11名(29.7%)であり、肘痛が最も多かった。また、テーピングは延べ13名(実数6名)に実施し、その全員が野手であった。さらに、熱中症に対する応急処置として理学療法士・医師が相当数救護にあたり、過呼吸に対する応急処置の依頼もあった。これらクーリングダウン以外のサポートは、当初県高校野球連盟より依頼されていなかったものであるが、現場では外傷・熱中症などの応急処置は必要不可欠であったためすべてに対応した。今後の課題として、メディカルサポートの内容について県高野連と調整すると共にテーピングを含めた応急処置に関する技術の確認などの必要性が示唆された。
著者
飯倉 茂弘 河島 克久 遠藤 徹 藤井 俊茂
出版者
日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.367-374, 2000-07-15
被引用文献数
4 1 1

鉄道を雪崩災害から守るためには, さまざまな雪崩予防工や防護工を設置するハード対策とともに, 場所によっては雪崩の発生を的確に検知し, 列車の運転を確実に抑止するソフト対策も必要である.そこで本研究では, 雪崩発生時の適切な列車の運転抑止と迅速な点検・除雪作業を支援する雪崩発生検知システムを開発した.このシステムの雪崩検知方法は, 雪崩危険斜面を有する線路の脇に検知ポール (小型振動センサ内蔵) を設置し, 雪崩発生時に雪がポールに当たることによって生じる振動をとらえて雪崩を検知するものである.この方法の特徴は, 検知原理が単純であり, その結果, 簡単かつ安価にシステムを構成できることである.本システムは, 雪崩の発生を検知する機能に加えて, 発生した雪崩の規模に応じた4段階のレベルの警報を出力する機能を有しているので, 列車の運転抑止に有用であるのみならず, 警報レベルを保線区等の監視局に伝送することによって, 現地の線路除雪作業や点検作業の必要性の有無およびそれらの作業規模等を早期に判断することができる.本システムを黒部峡谷の雪崩多発地に設置し, 一冬季間を通して稼動試験を行った結果, 発生した全ての雪崩を正常に検知でき, 実用性の高さが確認された.
著者
倉島 敬治 笹原 裕子 KURASHIMA Keiji SASAHARA Yuko
出版者
岩手大学教育学部附属教育工学センター
雑誌
教育工学研究 (ISSN:02852128)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.17-28, 1983-03-01

子どものイメージを育てる指導について初歩的な研究を行なった。静止映像教材を絵本"花さき山"にもとづいてOHP・TP影絵を作成し,1.絵本提示,読み聞かせ,2.TP提示,BGM,ナレーション(TR),3.TP提示,ナレーション,4.BGM,ナレーション(TR)の4群6歳児に対し指導を行ない,1週間後に描画とお話しづくりを実施,比較した。イメージを測定・評価する方法が明確でないうえ,その概念も確立過程という困難な状況のなかで,幾つかの傾向が認められたが,今後一層の検討が必要であった。
著者
黒田 満 倉賀野 哲造 久保 哲夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.602-609, 1998-03-15
参考文献数
14
被引用文献数
3

曲率半径が弧長の折れ線グラフとなる滑らかな対数らせんスプライン補間曲線の導出法を提案している.曲線はスパン曲線長,与点での曲率半径と接線を未知数とする連立方程式を,パラメトリック3次のC2補間曲線からの良い初期値を使ってニュートン・ラプソン法で解いて導く.提案手法は計算機援用の形状設計に有用な次の特長を持っている.(1)弧長,接線,曲率半径といって,設計者の直観になじむ幾何情報だけから形状を設計・制御できる.(2)縮閉線がまた対数らせんスプライン曲線となるし,オフセット曲線と伸開線も対数らせんスプライン曲線で精度良く近似できるので取り扱いやすい.(3)必要なら,導出曲線を許容誤差範囲内で有理多項式近似できる.さらに,クロソイド弧の挿入による変曲点の導入や1スパンを複数曲線分化して表現力を強化する拡張法についても簡単に述べている.This paper presents a method for constructing an interpolating smooth curve composed of logarithmic spirals,whose radius of curvature is piecewise linear with respect to arclength.Using good initial values from the conventional cubic C2 interpolant,the curve is obtained by the Newton-Raphson method from a system of equations whose unkowns are arclengths of spans,tangents and curvature radii at data points.The method has the following three features for computer aided geometric design.(1)It specifies and controls shape of curve by intrinsic geometric quantities familiar with designers,such as arclength,tangent and radius curvature.(2)Its evolute is also expressed by logarithmic spiral splinecurve,and its offset curve and involute are approximated very well by logarithmic spiral spline curve and hence these associate curves are easy to deal with.(3)The derived cruve might be approximated within a tolerance by conventional rational polynomials,if necessary.Extensions of the method are described for introducing an inflection point by use of a clothoid segment and for making the curve more flexible by multi segments per span.
著者
藤原 雅子 今給黎 禎子 安川 千代 松山 光生 飯干 紀代子 山田 弘幸 笠井 新一郎 倉内 紀子 フジワラ マサコ イマキイレ テイコ ヤスカワ チヨ マツヤマ ミツオ イイボシ キヨコ ヤマダ ヒロユキ カサイ シンイチロウ クラウチ ノリコ Masako FUJIWARA Teiko IMAKIIRE Chiyo YASUKAWA Mitsuo MATSUYANMA Kiyoko IIBOSHI Hiroyuki YAMADA Shinichirou KASAI Noriko KURAUCHI
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 = Journal of Kyushu University of Health and Welfare
巻号頁・発行日
vol.6, pp.235-241, 2005-03-25

A vocabulary is used as one of the indexes of the language development, and it is pmportant meaning to grasping vocabulary development. But, there is a little research that a vocabulary in the 12-23 Month wa investigated. The purpose of this study is to investigate the vocabulary of the child in the 12-23 Month. We analyzed it about the number of average vocabularies, the part of speech atructure, the different in sex. The results is following there were two stages in the vocabulary development as that result. There were many nouns. And it was the result that preceding research was supported with a part of speech. A noun could be thought to occupy an important position in the early vocabulary development. It guessed the matter that it increased after a 24 month. A difference in sex became clearer than 22month. From now on, the vocabulary which becomes the index of the development evaluation, and the number of vocabularies will be examined.
著者
庄司 一郎 倉沢 文夫 安立 清一
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.30, no.8, pp.666-671, 1979-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

米菓を製造するときの蒸煮条件および冷却条件と米菓の品質や生地の糊化, 老化との関係をおもにアミログラム, 焼き上げ生地容積, 硬度等で検討し, 次の結果を得た.1) 焼き上げ生地の品質を容積, 硬度から検討した結果では, 蒸煮条件においては110℃蒸煮は99℃蒸煮よりも容積が大で, 軟らかな焼き上げ生地が得られた.また110℃に蒸煮した生地を冷却した場合では凍結, 流水中冷却の品質がよく, 室温, 冷蔵庫冷却はよくなかった.そして冷却時間では15分冷却がよく, 24時間冷却すると品質が低下した.2) 蒸煮および冷却後脱水乾燥生地のアミログラムからは蒸煮条件においては110℃, 10分以上蒸煮すると初発粘度が高い値を示し, 粘度上昇はみられず, たんに温度変化とともに粘度が多少変化するのみで未糊化生地と考えられるピークはみられず糊化されていることが明らかとなった.99℃は20分蒸煮しても初発粘度が低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられ糊化は完全には行われていなかった.蒸煮後冷却条件を検討した結果, いずれの冷却方法においても110℃蒸煮にみられたような一直線の曲線はみられなかったが, 凍結, 流水中冷却は初発粘度が高い値を示し, 室温冷却は低い値を示した.冷却時間では15分に比して24時間はいずれの冷却方法とも各特性値が低い値を示す傾向がみられた.3) 以上のように米菓の品質は蒸煮条件では糊化が完全に行われた110℃蒸煮のほうが糊化が不十分な99℃蒸煮よりも品質がすぐれており, アミログラムとの関係では品質の良い生地は初発粘度が高く, 未糊化生地と考えられるピークはみられないが, 品質の良くない生地は初発粘度低く, 未糊化生地と考えられるピークがみられた.一方冷却条件では凍結, 流水中冷却の品質が良く, 室温, 冷蔵庫冷却は品質がよくなかった.そして品質の良い生地は初発粘度が高く, 良くない生地は逆に低い値を示した.最高粘度, 冷却最終粘度においてもだいたい同様な傾向を示した.
著者
山本 有子 庭前 京子 地田 千枝 赤壁 節子 星野 一宏 諸橋 昭一 笹倉 寿介
出版者
富山大学
雑誌
富山大学工学部紀要 (ISSN:03871339)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.121-129, 1997-02

Alpha-mannosidase is widely distributed in plant seeds and microorganisms. The purification of the enzyme recently received increasing attention because the enzyme was used to determined the carbonhydrate structures of oligo-mannoproteins, which has specific biological activities. An α-mannosidase was purified over 100-fold from Wata callus by successive chromatography with overall yield of 8%. The purified enzyme had a molecular mass of 250 kDa. This enzyme had the same optimum pH at 4.5 and optimum temperature at 50℃ as one from jack bean. This enzyme appeared to be metal enzyme containing Zn^<2+>. The enzyme hydrolyzed p-nitrophenyl- α -mannoside, methyl- α -n-mannopyranoside, benzyl- α -Dmannopyranoside, α(1->2)-mannobiose, α(1->3)-mannobiose, and α(1->6)-mannobiose, with Km of 0.527mM, 0.182mM, 0.190mM, 1.06mM, 0.696mM, 5.10mM, respectively The hydrolysis of various α-linked mannobiose indicated that the enzyme hydrolysizes the α-mannobiose in the order of α(1->6) > α(1->3) > α(1->2), unlike the conventional α-mannosidae.近年,生体細胞の細胞表面あるいは酵素表面に結合した糖鎖が,細胞の生理活性あるいは酵素活性に多大な影響を示すことが報告されている。例えば,maltoseを加水分解するヒトの腸間酵素は重量に対して30-40% の糖を含んでいるが,papainの加水分解に対して抵抗性を示す。一方,酵母の細胞壁と結合したmannoseを多量に含む糖鎖は,酵母の性的凝集反応を引き起こすことが知られている。特に,Saccharomyces cerevisiaeにおける糖鎖の構造は古くから検討されており,糖鎖の構造は,mannoseがα(1→6)結合で結合したoligo-mannose骨格に,側鎖として2,3個のmannoseがα(1→2),または,α(1→3)結合したmannobioseとmannotrioseが結合されていると報告されている。近年,この糖タンパクの生物学的役割を明らかにするため,oligo-mannose型糖鎖の構造を解明することが重要となってきた。そこで,この糖鎖の結合状態を決定するために,特定の結合部位のみを加水分解することが可能なα-mannosidaseが必要とされている。現在まで,jack beanから精製したα-mannosidaseが安価で入手しやすいことから,oligo-mannoseの構造決定に使われてきた。しかし,この酵素は加水分解速度が遅く,さらに,基質特異性としてα(1→2),α(1→3),α(1→6) 結合の順に切断するため,mannose含量を決定するために利用できるが,明確な構造決定に利用できなかった。また,近年,発見された微生物由来のα-mannosidase は,主にα(1→2),α(1→3)結合を特異的に加水分解すると報告されている。従って,oligo-mannose型糖質の構造決定を行うために新しい切断特性を有するα-mannosidaseの検索とその性質を決定することが急務となってきている。そこで我々の研究室では新しい起源からα-mannosidaseを生産回収することを目的として担子菌植物などを用いて検索した結果,綿カルスの細胞内にα-mannosidaseを高濃度に蓄積することを発見した。本研究では,この綿カルスからα-mannosidaseを高純度に精製することを検討した。さらに,精製した酵素の至適pH,反応速度パラメーター,基質特異性等の特性を,従来報告されているα-mannosidaseと比較検討した。
著者
朝倉 俊成 野崎 征支郎 清野 弘明 阿部 隆三
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.537-540, 1999-07-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
6
被引用文献数
4

外食時のインスリン自己注射には, 心理的な要因等によるコンプライアンスの低下が予想される. そこで, 当院でインスリン自己注射している糖尿病患者716名を対象とし, アンケートにより外食時のインスリン注射の実態を検討した. 回答は501名 (年齢55.9±15.5歳: M±SD, 回収率70.0%) から得られた. 結果は, 「他の客が気になる」が63.1%, 「注射時間が気になる」が65.9%で, いすれも若年層で有意に高かった. 注射することを気にしている患者の56.7%が「注射場所の有無」について考慮していた. 注射場所はトイレが46.9%, 洗面所が32.1%, 食事する席が28.9%であった. 本調査により, 注射場所を具体的に想定したインスリン注射指導を取り入れる必要性があると思われた. さらに, 注射操作法の工夫や簡便な注射器の開発, そして自然に自己注射が行える社会的な環境整備を行うよう働きかける必要があると思われた.
著者
小倉 喜一郎
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.341-350, 2000
参考文献数
28
被引用文献数
3

亜鉛(Zn)は必須微量元素の1つであり,生体内の数多くの酵素の構成成分として生理機能に重要な働きを示しており,その欠乏時には味覚異常や成長抑制などの障害を引き起こすことが知られている。本研究はWistar系雄性ラットを用いて,Zn欠乏飼料で4週間飼育し,Zn欠乏における味蕾細胞のターンオーバータイム延長および大腿骨に及ぼす影響を調べる目的で,舌微小血管構築の走査電子顕微鏡観察,大腿骨骨密度および機械的特性について検討した。それらの結果としてZn欠乏群ラットは,対照群に比べて食餌摂取量が減少し,体重増加が抑制されたことや,実験開始3週間頃よりZn欠乏の特徴とされる皮膚症状や立毛などの肉眼所見が観察された。また,血液生化学値に関しては対照群に比べ血清中Zn濃度および血清ALP活性が有意に低値であった。舌中Zn濃度については対照群に比べ有意に低値であり,大腿骨における骨長,骨密度および最大ひずみ,最大曲げ応力は,対照群に比べともに有意に低値であった。さらに,舌微小血管構築像の電子顕微鏡観察により舌微小血管の漏洩像が観察された。これらのことから,Zn欠乏による味覚異常は,味蕾細胞の栄養供給路である舌微小血管の障害が関連しており,かつ大腿骨骨密度の成長障害および骨密度の低下が認められた。これらからZn欠乏が舌乳頭の局部組織障害とともに硬組織への影響が無視できないことが示唆された。