著者
阪井 裕太郎 黒倉 壽 多田 智輝 野村 翼 八木 信行
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.22-00041, (Released:2023-02-22)
参考文献数
19

東京都特別区においてランダム抽出した鮮魚販売店で丸のマアジとマイワシをサンプリングし,Fish AnalyzerTM Proを用いて品質を調査した。得られたデータを主成分分析とクラスター分析にかけることで,小売店の販売戦略の類型化を試みた。品質調査から,サンプリングされた魚の大半は生食には適さない鮮度であることや,脂肪度の範囲がマイワシで特に大きいことが分かった。統計解析からは鮮魚販売店の戦略が大きく4つに分類できることが示され,品質を含むデータセットを用いた販売戦略類型化の有用性が示唆された。
著者
板倉 崇泰 松田 良信 岡山 幸子 遠野 かおり 日吉 理恵 吉田 こずえ 木村 祥子 野間 秀樹
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.245-250, 2015 (Released:2015-11-26)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

【緒言】本邦で使用可能なメサドンは内服薬のみで,内服困難となった際の対応はよく知られていない.【目的】メサドン内服困難となった際の鎮痛対応,他のオピオイド鎮痛薬への変換比率を明らかにする.【方法】緩和ケア病棟においてメサドン内服不可能となったのち亡くなった28例の鎮痛対応について後方視的に検討した.【結果】21例(1日以上生存,痛みあり)は他のオピオイド鎮痛薬に切り替え,うち10例はメサドンが血中からほぼ消失したと考えられる7日以上生存した.疼痛評価困難であった3例を除く7例(全例,モルヒネの持続注入)において,メサドン最終内服量から切り替え7日後の経口モルヒネ換算投与量への変換比率は平均6.1であった.【結論】メサドン内服困難となっても,長い血中消失半減期を考慮し,痛みがなければすぐに他の注射オピオイド鎮痛薬に切り替えず経過をみて,必要に応じ,変換比率6.1を目安に切り替えていくとよい.
著者
鶴園 裕 笠井 純一 中野 節子 片倉 穣 Tsuruzono Yutaka Kasai Junichi Nakano Setsuko Katakura Minoru
出版者
金沢大学教養部
雑誌
平成2(1990)年度 科学研究費補助金 一般研究(B) 研究成果報告書 = 1990 Fiscal Year Final Research Report
巻号頁・発行日
1991-03-01

1.研究状況の把握 加賀藩はじめ諸藩における「渡来朝鮮人」の研究状況、史料の残存状況を調査・検討し、「日本近世初期渡来朝鮮人一覧稿」を作成した(研究成果報告書に収録)。 2.史料の調査・翻刻 (1)「家伝」の研究及び翻刻を行なった(報告書に収録)。(2)如鉄に関する(1)以外の史料の翻刻を行なった(報告書に収録)。(3)加賀藩における渡来朝鮮人の研究をすすめ、その成果を「加賀藩における渡来朝鮮人」としてまとめた(報告書に収録)。(4)九州地域他の「渡来朝鮮人」関係史料の調査を続行したが、目下整理中である。 3.加賀藩初期『侍塚』の分析 『加賀藩初期の侍帳』(石川県図書館協会)に収録された藩士の石高・役職等を全てパソコンに入力し、家臣団中における「渡来朝鮮人」如鉄の位置づけを明らかにした(報告書に収録)。 4.比較史的研究 東南アジアにおける「渡来朝鮮人」の研究を行ない、その存在形態を明らかにした(報告書に収録)。 5.研究会を月一回のペ-スで開き、研究成果の報告と問題点の整理を行なって、課題の追究に努めた。 6.総括と報告書の作成 上記の研究諸成に立脚し、総論「近世初期渡来朝鮮人冶究序説」をまとめ、諸成果とともに、研究成果報告書『日本近世初期における渡来朝鮮人の研究ー加賀藩を中心にー』に載録して刊行した。 5. Discussion Meeting were held once a month and members of the study team reported on their progress and problems. This helped to facilitate the individual research of team members. 6. Summary and Publication of the Research We summarized the findings of all the members of the study team and this is reported under the heading "Introduction to the Research on the Koreans brought to Japan in the Early Pre-Modern Period". The publication of this research also included the various reports mentioned above. 1. Literature Review Related to This Area of Research We reviewed and examined existing research and documents relating to these Koreans in the Kaga and the other clans and compiled a name list. This name list included such variables as could be determined, example age, rank etc. (Included in this report) 2. The Review and Rewriting of Documents (1) We reviewed and rewrote "Autobiography of Kim Jotetsu". (Included in this report) (2) We rewrote documents related directly to Jotetsu besides 2 (1) above. (Included in this report) (3) We reviewed and researched the history of these koreans in the Kaga clan and the result of this research is reported under the heading "The Koreans in the Kaga Clan". (Included in this report) (4) We expanded this study and included the Koreans brought to the Kyusyu area and other areas and are at the moment finalizing the details. 3. Analysis of the "Soldier's List" of the Early Kaga Clan With the help a personal computer, we analyzed the "Soldier's List" and was able to trace Jotetsu's movement and rise in rank in the Kaga clan. (Included in this report) 4. Comparative Study We also did a comparative study by researching this area in some South-Asian countries and endeavored to clarify the situation of the Koreans at that time. (Included in this report) 5. Discussion Meeting were held once a month and members of the study team reported on their progress and problems. This helped to facilitate the individual research of team members. 6. Summary and Publication of the Research We summarized the findings of all the members of the study team and this is reported under the heading "Introduction to the Research on the Koreans brought to Japan in the Early Pre-Modern Period". The publication of this research also included the various reports mentioned above.
著者
遠藤 芳徳 林 浩嗣 井川 正道 山村 修 大倉 清孝 濱野 忠則
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.142-145, 2020 (Released:2020-02-27)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

症例は22歳の女性である.持続する嘔気を繰り返したため入院した.入院後,失神発作を繰り返し,発作性洞停止を認めた.体外ペーシング挿入後,失神発作は消失したが,回転性めまい,眼振,複視,四肢異常感覚が新たに出現した.MRIでは延髄背側に異常信号をみとめた.血清中抗アクアポリン4抗体が陽性であり,視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)と診断確定した.ステロイドパルス療法を2クール施行したところ,症状は改善した.以上より今回の洞停止はNMOSDの最後野症候群の一つの症状と考えられた.発作性洞停止の原因としてNMOSDの可能性も考慮すべきである.
著者
中山 和弘 朝倉 隆司 宗像 恒次 園田 恭一
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.50-61, 1990 (Released:2020-03-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2

The analyses presented here examine relationships between the use of alternative medicine and health practices as an attitude to health. The sample is individuals aged 20 and older living in Tokyo. Multivariate analyses show that there are two attitudes to the use of alternative medicine and health practices. One is the choice of both alternative medicine and health practice except time of sleep and living a regular life, the other is the choice of either traditional medicine or health practices. Though they don’t almost related with age, education and health status, they associate with sex, the saliency of health, and the consciousness of relationship between body and mind which is a major concept of holistic health.
著者
前田 ひろみ 伊藤 ゆい 吉永 亮 土倉 潤一郎 上田 晃三 井上 博喜 矢野 博美 犬塚 央 山口 昌俊 藤野 昭宏 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.218-222, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
13
被引用文献数
1

ばね指は,手のA1輪状靭帯の部位に狭窄を生じ円滑な指屈伸動作が阻害されることにより発症し,西洋医学的には消炎鎮痛剤,ステロイド剤注入,手術等で治療される。今回温経湯が奏効したばね指の3症例を報告する。症例1は71歳女性。腹部膨満感に対して漢方治療中に右第3指のばね指を発症し,口唇乾燥と手足のほてりを認めた。 症例2は56歳女性。手指の多関節痛に対して漢方治療中に左第4指のばね指を発症し,手のほてりを認めた。症例3は71歳女性。慢性腎不全で加療中に,左第1指のばね指を発症した。手のほてりや口唇乾燥を認めなかったが,皮膚の枯燥感を認めた。温経湯は,手掌煩熱や口唇乾燥を使用目標としており,補血・駆瘀血作用や抗炎症作用,滋潤作用を有する生薬で構成されている。温経湯のこれらの作用が,ばね指改善に寄与した可能性がある。
著者
小倉 次郎
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.142, no.10, pp.1055-1060, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
48

As intermolecular and intramolecular disulfide bridges in proteins play a vital role in the stability of the final protein structure, the disruption of disulfide bridges in proteins may lead to disease development and progression. Therefore, understanding the association of abnormal protein disulfide bond formation with disease development and progression can be useful for developing novel drugs for various diseases. Considering that disulfide-linked protein folding involves redox reactions in the endoplasmic reticulum, this process may be affected by oxidative stress. We hypothesized that oxidative stress-related diseases may be induced by abnormal protein disulfide bond formation. This review introduces the association of abnormal protein disulfide bond formation with disease development and progression.

2 0 0 0 OA ダイヤモンド

著者
戸倉 和
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.212-215, 2012-03-05 (Released:2012-09-05)
参考文献数
5
著者
大倉 研
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.829-837, 1982-11-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
29
著者
金坂 成通 倉本 宜史 赤井 伸郎
出版者
財務省財務総合政策研究所
雑誌
フィナンシャル・レビュー (ISSN:09125892)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.137-157, 2022 (Released:2023-02-10)
参考文献数
45

汚職は,予算権限を持った個人主体が,ある特定の団体に利益(資金)を誘導・配分する代わりに,個人での利益を得る仕組みであり,公益とは乖離し,社会全体での効率的な資源配分を歪める要因となる。新たな資金を配分する場合には,歳出総額は拡大し,また,資金配分が非効率になる場合には,特定分野の資金が拡大し,歳出の無駄が発現すると考えられる。本稿は,汚職の存在と歳出の増加との関係について,汚職は発覚するまで存在がわからないという点に注意しながら,統計データを用いて明らかにする。 先行研究の多くがクロスカントリーデータを用いており,国家間の財政制度の違いを考慮できていないという限界を踏まえ,日本国内のデータを用いたことが,本稿の新規性である。本稿では,初めて日本の都道府県データを用いて,汚職発覚が歳出(歳出総額,土木費および落札率)に与える影響を検証している。 推定結果から,汚職の発覚後に歳出を抑える可能性がある事が示された。加えて,政治的状況による汚職発覚の影響を分析した結果,選挙において得票率が高かった知事のいる地方自治体ほど(競合する他候補者の得票率が低いほど),汚職発覚による歳出削減の効果は抑制されることを示唆する結果となった。この結果より,政治構造次第では,汚職発覚が直ちに歳出削減に繋がるわけではなく,知事の行動についても注視するべきという含意も得られる。
著者
倉林 正 武村 政春
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.114-121, 2017 (Released:2018-10-29)
参考文献数
14
被引用文献数
2

本研究は,安価で簡単に自作できる簡易電気泳動装置を開発するとともに,電気泳動実験全体の費用を軽減させる方法を考え,授業で実施しやすくする安価な電気泳動実験を開発することを目的とした.本研究では,「弁当用シリコーン容器」,「鉛筆の芯」,「乾電池」,「リード線」を材料に安価で簡単に自作できる簡易電気泳動装置を開発することができた.さらに,使用する試料やゲル,結果確認の方法を工夫することによって,電気泳動実験全体の費用も軽減することができた.授業実践では,生徒たちもスムーズに実験操作を行うことができ,適切な結果を得ることができた.また,生物教員を対象とした質問紙調査では,多数の教員から本研究で開発した電気泳動実験を授業で実施できるという回答が得られた.以上のことから,本研究は,高校生物等の授業で電気泳動実験を実施しやすくするために有効であることが明らかとなった.
著者
瀬之口 潤輔 小畑 崇弘 酒本 隆太 倉橋 節也
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.71-89, 2020-07-15 (Released:2020-07-15)
参考文献数
27

計量モデルを用いた株価予測は多くの研究者や実務家によって行われているが,計量モデルによる株価予測が可能かについては依然として結論は出ていない.予測変数が持つ長期的な情報と短期的な情報がそれぞれ株価に反映される可能性があること,株価と多くの予測変数の関係は単純な線形ではないことなどにより,株式市場の構造をモデル化することが困難であることが理由として挙げられる.本研究では,このような株式市場の複雑な構造を捉えるために,多重解像度解析により複数の要因で異なる周波数特性の変化を抽出したものを説明変数とし,非線形非連続な関係を表現できるxgboostをモデル作成手法として株価予想モデルを作成し,比較的高い予想精度が示されることを確認した.また株価予想モデルが株式市場の局面変化に合わせて変化している様子を示すことにより,大局的な株式市場の構造変化を認識することも可能にした.
著者
山崎 準二 高谷 哲也 三品 陽平 濱田 博文 田中 里佳 高野 和子 高野 貴大 朝倉 雅史 山内 絵美理 村井 大介 長谷川 哲也 栗原 崚
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「省察」それ自体が問い直されぬまま教師の専門性の中核を成す絶対的理念と化す傾向にある今日、大学における教員養成の「省察」言説を相対化し、不可視化された問題状況を明らかにするために、現代日本の大学における教員養成を方向づけてきた「省察」言説とはいかなるものか、またこの「省察」言説が隆盛する中で展開される学びの実態と問題はいかなるものか、という本研究の核心をなす2つの学術的「問い」に応えるため、教師教育における言説の特徴の解明、「省察」が重視される学術的・実践的原理の解明、「省察」による学びの実態把握、そして教員養成における「省察」のあり方の検討、という4つの研究課題に取り組むものである。
著者
小倉 利丸
出版者
経済理論学会
雑誌
季刊経済理論 (ISSN:18825184)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.22-35, 2010-10-20 (Released:2017-04-25)

Ogura proposes the theoretical extension of Marx's theory of exploitation on surplus labor which covers the whole of activities as not only labor but also whole of human life. In the definition of labor by Marx's theory of labor process in the Capital, characteristics of labor is substance metabolism between human and nature based on indivisibility between desire and activity, and also between conception and activity. In capitalist labor process, however, labor depends on capitalist cause to valorization independently of worker's desire and conception. Possibility of such capitalist labor needs to construct not only cause of money but also non-economic meanings on concrete labor. In this point of view, Marx's concept of labor as universal characteristics of human activity is invalid, rather activity called "labor" is historically specific category of human activity in capitalist society. Ogura's alternative view point of labor as history-binded category of human activity makes clear another uncovered view point of labor by Marx's texts from early years to late years. Paying attention to the alternative view point of labor based on Marx, Ogura tries to extend the theory of exploitation. Labor without desire and conception put void of self, which does not mean so called alienation. A structure of meaning of labor in capitalism intends to satisfy a sense of void, which brings happiness and self realization suitable for capitalist human relations. This kind of compensation mechanism does not always good, rather it has to have fundamental contradiction of causes between human being and capital. Ogura suggests a future society after capitalism has to accomplish emancipation of human being from making the worker which dominate a center of the most significant meanings as human beings.