著者
玉井森彦 永田大地 前中省吾 森下慈也 安本慶一 福倉寿信 佐藤啓太
雑誌
研究報告コンシューマ・デバイス&システム(CDS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-8, 2014-08-20

近年,景観の良さを評価指標とするナビゲーションサービスが提供され始めている.しかし,既存のサービスでは,景観の情報を人手により編纂しているため,あらかじめ決められた特定の時間帯や季節における静的な情報を提供するに留まっており,最新の状況を反映した情報提供が行われていない.また提供される情報もテキストや画像を中心としたものであり,経路選択の判断材料として不十分である.著者らは,参加型センシングに基づき,多数の車両が車載スマートフォンを用いて走行中の経路の動画を撮影し,景観の良い場所の動画を自動的に収集,配信するシステムの研究開発を行なってきた.これにより,広範囲にわたって動画付きの景観情報を様々な時間帯や季節のもとで自動的に収集可能となり,各ユーザのコンテキストを考慮した上で鮮度の高い景観情報を提供可能となる.本稿では,景観の良い場所として桜が見られる経路に着目し,スマートフォンにより撮影された動画から桜の写っている度合い (桜度合い) を数値化する手法を提案する.提案手法では,桜の花びらに出現する色の分布を表すヒストグラムを事前に作成しておき,そのヒストグラムを用いて入力画像における桜度合いを算出する.また,桜の花びらに近い色を持つ建物などが誤検出されることを防ぐため,フラクタル次元解析に基づきフレーム中で木の葉が茂っている場所のような複雑なエッジを持つ領域を特定した後,その領域に対してのみヒストグラムに基づく色解析を行う手法を考案した.提案手法による桜度合い算出結果の妥当性を検証するため,車両走行中に撮影された動画から桜の写っている部分,または写っていない部分の 1 秒間の動画を約 5000 個切出し,各々に対し目視で桜の有りなしを分類したものを正解データとして,提案手法に基づく分類精度を調べた.結果,提案手法は適合率が約 0.87,再現率が約 0.91 で桜の有りなしを分類できることが分かった.
著者
宮前 雅一 寺田 努 塚本 昌彦 平岡 圭介 福田 登仁 西尾 章治郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.44, pp.53-58, 2004-05-13
被引用文献数
2

バイクレースに勝つためには,前を走るバイクからの遅延時間など最新の情報を基に,臨機応変に戦略を変化させることが重要である.しかし,チーム監督やピットクルーはそれぞれ割り当てられた仕事をしているため,情報収集および戦略の立案が困難である.一方,近年常に計算機を身につけて持ち運ぶウェアラブルコンピューティングに対する注目が集まっている.ウェアラブルコンピューティング環境では,ユーザは装着型ディスプレイを用いてハンズフリーで情報を閲覧できるため,他の作業をしながら情報の取得・閲覧が可能である.そこで,本研究ではウェアラブルコンピュータを用いたイベント駆動型バイクレース支援システムを提案する.提案システムを用いることで,ピットクルーは動的に変化するさまざまなレース情報を閲覧でき,最新情報に基づく戦略の立案が可能になる.The exploitation of latest information are very important to win a motorbike race. However, it is difficult for pit crews to acquire the latest information on their working. Meanwhile, the downsizing of portable computers has attracted a lot of attention to the field of wearable computing. In wearable computing environments, users can browse information without hands because they wear the computer. Therefore, we propose a wearable system for supporting motorbike race. This system enables pit crews to browse various race information dynamically.
著者
前川 佳代
出版者
奈良女子大学
雑誌
寧楽史苑 (ISSN:02878364)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.54-84, 2000
著者
天摩 勝洋 前澤 成一郎
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.46, no.410, pp.1191-1198, 1980-10-25
被引用文献数
1

非線形性の大きい本質的非線形強制振動系の近似解法として,非線形復元力を断片線形関数で近似する等価断片線形系の選定の仕方と,さらにこの等価断片線形解を母解として摂動法を適用する近似解法を提案する.この方法による近似解の精度を推定するために,厳密解の知られているだ円形ダッフィング方程式にこれを適用し,漸硬ばねと漸軟ばねの場合について数値計算した結果を厳密解と比較して,満足すべき精度が得られることを示した.
著者
安藤 耕平 前原 孝光 齋藤 志子 青山 徹 足立 広幸 益田 宗孝
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.367-372, 2011-05-15
被引用文献数
2

原発性自然気胸の再発が予測できるかについて検討するために,初発時に保存的治療を行った218症例を,その後再発した群(74症例)としなかった群(144症例)とに分け,再発に関わる因子について分析した.患者背景は平均年齢24.5歳,男/女199/19症例,対側の気胸の既往あり/なし21/197症例,喫煙歴あり/なし/不明93/75/50症例であった.単変量解析では,25歳未満(再発率42%),女性(63%),対側気胸の既往あり(57%),喫煙歴なし(55%)の症例で有意に再発率が高かった.多変量解析では,喫煙歴がないことのみが独立した再発の予測因子であった(p=0.006,odds比2.410).以上から,非喫煙者の原発性自然気胸は再発率が高いので,初発時でも患者の意向を考慮した上で手術を検討しても良いと考える.また,非喫煙者と喫煙者とでは自然気胸の発生のメカニズムが異なると推測される.
著者
広瀬 直人 前田 剛希 恩田 聡 正田 守幸 宮城 一菜 和田 浩二 太田 英明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.81-89, 2017
被引用文献数
6

<p>シークワシャー搾汁残渣を原料として,市販シークワシャー果汁と同程度の7.5mg/100mLのノビレチンを含有するシークワシャー抽出酢の製造条件を開発した.</p><p> (1)搾汁残渣より種子とじょうのう膜を除去して搾汁果皮を調製し,乾燥処理を行わずに醸造酢で抽出すると,ポリメトキシフラボン類を含有し,リモニンが少なく苦味が弱い抽出酢が得られた.</p><p> (2)搾汁果皮20% (w/w)と醸造酢80% (w/w)を用いると,ノビレチンを7.5mg/100mL含有する抽出酢が得られた.抽出処理の破砕回数は10秒間で4∼5回が適した.</p><p> (3)抽出酢を常温保存すると,ポリメトキシフラボン類は安定であったが,モノテルペン類は急激に減少し,モノテルペンアルコール類は緩やかに減少した.</p>
著者
竹中 和子 藤田 アヤ 尾前 優子
出版者
広島文化学園大学
雑誌
看護学統合研究 (ISSN:13460692)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.24-30, 2004-03-27
被引用文献数
1

子どもの死の概念に関する多くの研究は,学童期以降を対象にしている。しかしながら,3歳児でも死について考えており,死の不安を言葉で表現したという報告もある。病気を持つ子どもへのインフォームド・コンセントやデス・エデュケーションの問題を考えるうえでも,幼児期からの死の概念の発達について明らかにしていくことが必要である。本研究では絵本を基に作成した紙芝居を用いることで,幼児期のうち簡単な質問なら答えることのできる3歳以上の健常幼児における死の概念について明らかにようとした。調査の結果,以下のことが明らかとなった。(1)死の不動性は,4歳7ヶ月から理解し始め,6歳前後でほとんどの幼児が理解していた。(2)の不可逆性は,3歳9ヶ月から理解し始め,6歳前後でほとんどの幼児が理解していた。(3)死の普遍性は,4歳3ヶ月から理解し始め,6歳2ヶ月以上でほとんどの幼児が理解していた。(4)幼児における死の概念の発達には身近な死の経験,アニミズム,マス・メディアなどの要素が関わっていることが予測された。(5)年少の子どもに対しても,生の問題として死を考えるデス・エデュケーションに取り組んでいく必要性が支持された。
著者
前杢 英明
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.747-769, 1988
被引用文献数
5

プレート境界に沿って発生する巨大地震に伴う隆起地域として知られる室戸半島において,石灰質遺骸,海成段丘,離水波食地形を指標として,完新世における海水準の復元を試みた.これらの旧海水準指標は,垂直的に数10cm~数mの間隔を持った間欠的な分布を示し,I~VIの6つの旧海水準(レベル)が識別された.各レベルに対応する旧海水準指標は,<sup>14</sup>C年代から,それぞれ1:6,000~5,000y.B.P,,II:4,000~2,700y.B.P., III:2,600~2,200y. B. P., IV:2,000~1,100y.B.P.,V:1,000~800y.B.P., IV:700~200yB.P.に形成されたことが判った.認められた海水準の不連続的変化から,間欠的な地震隆起 (event 6~event 1)の存在を推定し,各eventについて隆起量の分布を復元したところ,内陸活断層の変位と重合した複雑なパターンを示す場合があることが明らかになった.本地域では,室戸岬における1回の地震による残留隆起量が0.2~0.3m程度の南海道地震(1946年,M=8.1)タイプの地震隆起が累積するような地殻変動が推定されてきたが,完新世においてはそのような地震隆起の累積はみられず,地震1回の残留隆起量がより大きな(最大数m)地震変位の累積が認められた.
著者
前田 一誠 平嶋 宗 市村 広樹
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.42, pp.21-27, 2014-03-24

小学1年生の加減算文章題を対象とした作問学習支援システム「モンサクンTouch」は,一般教室での複数回にわたる利用実験で成果を上げている。本稿では,2年生乗算の領域における課題及びシステムの設計開発について報告する。乗除算文章題の数量は,基準量・割合・比較量で構成されており,問題解決の際にはこれらの適切な抽出および適切な関係づけが重要である。そこで,2年生においては比の第2用法「基準量×割合=比較量」を定着させることを基本とし,課題の設計を行った。We developed the learning environment for problem posing that can be solved by one-step addition or subtraction arithmetic word problems in the first grade of elementary school. We confirmed that the environment is effective for learning word problems by performing experimental use of the software in a standard classroom. In this study, we describe the design of tasks for problem posing in the field of multiplication in the second grade of elementary school, and the development of a learning environment for multiplication. The arithmetic word problems that can be solved by one-step multiplication or division consist of base quantity, ratio, and compared quantity. The learner must elicit these quantities from the problem and consider the relationship between these quantities while solving. Therefore, we designed the task of problem posing for learning the word problem based on "base quantity x proportion = compared quantity" called the "second usage of ratio" in second grade.
著者
前田 豊
出版者
歴研
雑誌
歴史研究 (ISSN:02875403)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.50-54, 2016-12
著者
前田 高輔 高岡 忍 石田 雅人
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.15-33, 2010-02-26

イルカ介在活動を,自閉症を含む発達障害に適用することにより,行動の改善が報告された事例が少なからず存在する。本研究は,ある自閉症児を対象として,香川県さぬき市において継続的に行われたイルカ介在活動の効果に関する実践事例の報告である。今回は,重度知的障害を有する自閉症児が,2008年夏期に3日間(4セッション)の活動プログラムに参加した事例を,行動課題得点,行観察記録,母親との面談記録に基づき分析し,イルカ介在活動の効果を検討した。その結果,行動課題得点については,過去(2002年,2004年,2005年,2007年)及び2008年に参加時のビデオ記録の解析から,6年間の経年変化として有意な上昇が見られた。今回のプログラムでのセッションの進行によっては得点の変化は緩やかであり,一定水準で維持されるという,漸近効果が見られた。しかしながら,行動観察記録等に基づいた質的分析では,昨年に比べて,自発的発語の増加,応答時の反応の適切さ,自己感情表現の適切さが見られ,対人場面でのコミュニケーションのいっそうの促進が見られたことから,イルカ介在活動プログラム全体として本児への療育効果が確認できたといえる。これらの結果に基づき,イルカ介在活動・療法の課題と問題点,活動の今後のあり方について,保護者からの聞き取り結果も勘案して総合的に論議した。A certain amount of case studies has so far reported an improvement in behavior in the dolphin assisted activity (DAA) applied to children with developmental disorders such as autism. The present study examined the effect of the DAA program in Kagawa (City of Sanuki) on an autistic child with mental retardation. The child participated in the 3-day program (4 sessions) of DAA done in August 2008 showed high level performance over the sessions in terms of average scores in the Behavior Evaluation Scales (BES) which consisted of 12 items with 4-point scale each. An additional analysis of video recording for Kagawa's 2002-, 2004-, 2005- and 2007-programs showed a steady improvement in the BES scores on the year-to-year basis. Behavioral observation of a child throughout an entire activity and the interview protocols with a mother of the child suggested conspicuous improvement in the use of words and interpersonal relationship including mother-child relationship. The results suggest the effectiveness of the DAA program as a whole body on developmental disorders and also on the child himself. Further issues and problems on the DAA are discussed.
著者
前田 慎市 青島 亮太 黒澤 哲朗 小原 哲郎
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.846, pp.16-00269-16-00269, 2017 (Released:2017-02-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

Detonation transition was experimentally investigated using flame jetting through the orifice of a small sub-chamber, which was equipped on the side wall near the closed end of the main channel (square inner closs section, 50 mm on a side) filled with a stoichiometric hydrogen-oxygen mixture at an initial pressure of 80 kPa. The number of sub-chambers and orifice diameters were changed as 1, 2, 4 (called as FJ1, FJ2, FJ4, respectively) and 3, 5, 7 mm, respectively, and the facing flame jets were collided with each other in FJ2 and FJ4. Two regimes of detonation transition were observed: (i) deflagration-to-detonation transition (DDT) accompanied by flame acceleration process and (ii) direction initiation of a detonation near the flame jetting section. The flame propagation distance required for detonation transition was one-half to one-third for regime (i) compared to single-spark ignition without flame jet, and below one-sixth for regime (ii). Except for the case of regime (ii), observed for an orifice diameter of 5 or 7 mm of FJ4, the detonation transition distance had no significant effect on the types of flame jetting and orifice diameters. Time-resolved schlieren recordings showed that the choked jet of combustion products drove the shock wave preceding the flame front, and induced multi-dimensional flame motion and repeated shock-flame interactions in the confinement. These behaviors enhanced flame velocity at the ignition end by a factor of 4 to 7 in FJ1 and FJ2, compared to single-spark ignition. The effect of these enhanced flame velocities on DDT distances was consistent with the semi-empirical model of flame acceleration process in a smooth tube. The schlieren recordings and pressure measurements at the closed end indicated that the possible factors for the initiation of detonation in regime (ii) were the mixing of reacted and unreacted gas induced by the repeated strong shock-flame interaction and the hot spot formed by shock-shock interaction driven by the facing flame jetting.