著者
加藤 久美
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.209-215, 2010

  小児の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は成人と異なり,眠気よりも学力低下や,多動性・攻撃性などの注意欠陥/多動性障害(AD/HD)様の認知・行動面の問題が生じやすく,発達に影響を及ぼすとされているが,そのメカニズムはまだ明らかではない。脳に器質的な影響を及ぼすとの報告,全例ではないが OSAS 治療後に落ち着きや集中力などが改善することより,小児 OSAS に対する早期介入が重要であると考えられる。小児睡眠診療では AD/HD,広汎性発達障害(PDD)の発達障害を持つ児の受診が多く,未診断のケースも少なくない。小児睡眠診療を行う上では,発達面に留意して診療を行い,保護者の困り感や,脳波所見など気になる所見がある場合に,小児科や児童精神科,療育センターなどにコンサルテーションできる体制を整えておくべきである。小児 OSAS では,発達面を含めた長期視野でのフォローが重要である。
著者
加藤 久美 毛利 育子 谷池 雅子
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.5-10, 2013 (Released:2013-06-17)
参考文献数
22

小児の健やかな発育・発達のためには十分な睡眠が必要である。乳幼児期の睡眠不足は後の多動性や肥満に関連することが知られている。しかし,我が国の小児の睡眠時間は世界一短く,小児の睡眠が軽視されていると言わざるを得ない。また,閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)やレストレスレッグズ症候群(RLS),ナルコレプシーなどの小児の睡眠関連疾患は小児の認知・行動面に影響を及ぼす場合があるが,決して稀な疾患でないにも関わらず,一般的には認知されていない現状があり,適切な治療を受けるのに年月を要するケースも珍しくない。年齢依存的に出現する症状や小児に特有の病態など,小児の睡眠関連病態は成人とは異なる点が多い。本稿では,小児の睡眠の重要性と主たる睡眠関連病態について,小児科の立場より解説する。
著者
井上 俊輔 加藤 久幸 飯塚 康治 山脇 正雄 櫻井 克仁 上野 勇武 小泉 徹 樋山 拓己 浅羽 哲朗 須川 成利 前田 敦 東谷 恵市
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.37-41, 2001
参考文献数
6
被引用文献数
9 5

一眼レフディジタルカメラ用, APS-Cサイズ総画素数325万のCMOSイメージセンサを開発した。画素サイズは10.5μm^□で, 埋め込み型フォトダイオードと4つのトランジスタより構成した, 完全電荷転送構造を採用し, 列毎に設けたノイズ除去回路で画素リセットノイズと固定パターンノイズを低減した。0.35μmルールCMOSプロセスをセンサ向けに専用化したプロセスを用い, 暗電流密度60pA/cm^2(60℃), ランダムノイズ0.27mVrms, 消費電力250mWを達成した。
著者
加藤 久和 杉浦 一孝 森際 康友 中村 真咲 楜沢 能生 松本 恒雄 小長谷 有紀 萩原 守 小長谷 有紀 萩原 守 楜澤 能生 松本 恒夫 蓑輪 靖博 大江 泰一郎 恒川 隆生 奥田 進一 中村 真咲 上村 明 鈴木 由紀夫 B.アマルサナー S.ナランゲレル J.アマルサナー SH.バットスフ
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、モンゴル国における土地法制をめぐる諸問題を法社会学的な観点から研究することにより、モンゴル国の土地をめぐる紛争と環境破壊の防止に貢献することを目指した。日本国内で研究会・シンポジウムを開催するとともに、都市・牧地・定着過程にある牧地・農地・鉱山の5つの研究班による現地調査を実施し、その調査結果をモンゴル国で開催した研究成果報告会で報告した。この調査結果は高く評価され、モンゴル鉱物資源法改正のための参考資料としてモンゴル国会にも提出された。
著者
亘 慎一 加藤 久雄 村田 健史 山本 和憲 渡邉 英伸 久保田 康文 國武 学
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.79-87, 2013-03

人工衛星など社会的なインフラに障害を発生させるような宇宙環境の変動を扱う宇宙天気では, 太陽から地球周辺の宇宙空間までの広大な領域を扱う必要がある. 宇宙機による観測は重要であるが, この広大な領域を観測データだけでカバーするのは困難である. そこで, 観測データと数値シミュレーションデータを統合的に処理してサービスを提供できる情報プラットホームの構築が必要となる. 情報通信研究機構が構築しているGfarmによる大容量分散ディスクシステム,スーパーコンピュータ, AVSやIDLなどをインストールした可視化サーバ群, ジョブサービスを行うRCM(R&D Chain Management)System, 様々な観測データをダウンロードしてプロットや解析を行うSTARS(Solar-Terrestrial data Analysis and Reference System)のサーバなどからなる「宇宙天気クラウド」を利用した宇宙天気の情報サービスについて報告する.
著者
加藤 久典
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

食品を摂取した動物がどのような応答を示すかを、多数の分子を網羅的に解析するオミクス解析という手法で解析した。遺伝子発現量、タンパク質量、代謝物量など、様々な網羅的解析を組み合わせた。この方向の研究を推進するためのデータベースや解析ツールを改良し、その有効性を実証した。食品のみならず、運動や日内リズムなど関係する生活習慣の影響も合わせて解析することに成功した。
著者
加藤 久恵
出版者
全国数学教育学会
雑誌
数学教育学研究 : 全国数学教育学会誌 (ISSN:13412620)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.153-162, 2003

Recently, learning with the portfolio assessment is paid attention to in Japan, because it focuses on the processes of children's learning. The portfolio assessment is one of the way of assessing children's activities and learning processes with their portfolios. The purpose of this study is to discuss the portfolio assessment on mathematical learning to develop the metacognitive ability. For the purpose of this study, this article proposed the framework of a rubric on mathematical learning with metacognitive perspectives. The rubric of portfolios refers to the scale of assessment of portfolios. Using this framework, you will be able to identify children's metacognitive activities, and use the portfolio assessment to develop the metacognitive ability. The characteristics of this framework are the followings; (1) it is two dimensions which are criteria and standards. (2) its criteria include four aspects. (3) its standards include the metacognitive aspects, and 5 levels. : Metacognition requires targets because of its definition (Flavell, 1976). So metacognitive aspects refer to its standers on this framework.
著者
野間 晴雄 野中 健一 宮川 修一 岡本 耕平 堀越 昌子 舟橋 和夫 池口 明子 加藤 久美子 加納 寛 星川 和俊 西村 雄一郎 鰺坂 哲朗 竹中 千里 小野 映介 SIVILAY Sendeaune 榊原 加恵 SOULIDETH DR.MR. Khamamany BOURIDAM MS. Somkhith ONSY Salika CHAIJAROEN Sumalee 岡田 良平 的場 貴之 柴田 恵介 瀬古 万木 足達 慶尚 YANATAN Isara 板橋 紀人 渡辺 一生
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

東南アジア大陸部に位置する天水田農業を主体とした不安定な自然環境における平原地帯(東北タイドンデーン村とラオスのヴィエンチャン平野ドンクワーイ村)における多品種の稲や植物,魚介類や昆虫など様々な動植物資源の栽培・採集・販売などの複合的な資源利用の実態とその変化の態様を地域の学際的・総合的共同調査で明らかにした。両村ともグローバル市場経済の影響が認められるが,ドンデーン村ではかつて存在した複合的な資源利用が平地林の消滅や都市近郊村落化によって失われており,ドンクワーイ村はグローバル化や森林伐採で変容を遂げつつあるが,インフラの未整備によって伝統は保持されている。
著者
若林 隆三 伊東 義景 原田 裕介 北村 淳 杉山 元康 明石 浩司 前田 徹 戸田 直人 土屋 勇満 加藤 久智 池田 慎二 D Mark RYAN
出版者
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター
雑誌
信州大学農学部AFC報告 (ISSN:13487892)
巻号頁・発行日
no.5, pp.107-131, 2007-03

1995年~2004年の10シーズンにわたり,信州大学演習林研究室(現AFC 研究室)では中央アルプスの山岳林標高1300~2700mの比高100m毎の15定点において,毎月積雪全層の断面観測を行った。総数500ピット(深さ平均112㎝,累計558m)のうち,密度を測った雪層数は2610層(平均厚さ15.6㎝)である。観測結果と考察の大要は以下の通りである。1.中央アルプスは厳冬期には麓から気温が低いため,標高にともなう雪質の変化が少なく,造晶系(こしもざらめ,しもざらめ)の雪が多い。多雪年には焼結系(こしまり,しまり)が増加し,寡雪年には造晶系の雪が増加する。2.標高と雪層密度の正相関は液相系のない1月2月の厳寒期に高い。3.積雪が多い厳冬期には,新雪が供給される上層と,長期間の変態を経た下層では,雪質と密度が大きく異なる。下層は圧密により密度が増大し,上層は風成雪により密度が増大する。4.上載積雪荷重と層密度との相関は,焼結系で高く圧密が顕著で,造晶系,液相介在系(氷板,ざらめ)の順に相関が低くなる。5.標高が高いほど,細粒のこしまり雪が出現する。高所では低気温と強風により吹雪で雪粒が粉砕される機会が多いことを,粒度が示している。12~2月の粒度が細かいこしまり雪では,粗いものよりも密度が高い。上載積雪荷重が小さい雪面付近でこの傾向が顕著である。したがって標高が高いほど吹雪頻度が高く,微少な結晶破片の堆積した雪面の隙間に氷の粉塵が充?され,焼結の進行によって高密度の風成雪が生まれると推定される。6.12~6月の月積雪深は標高と1次の正相関を示す(相関係数0.91以上)。一方,積雪の全層密度と標高とは中程度の1次の正相関を示す。これらの結果,毎月の積雪水量は標高との2次曲線関係で増加する。7.積雪深が50㎝をこえると,地面と接する積雪下層の平均温度は0℃に近い。
著者
加藤 久美
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.45-49, 2020-02-01 (Released:2020-02-06)
参考文献数
7

パラソムニア (睡眠随伴症) とは, 睡眠開始時, 睡眠中, あるいは睡眠からの覚醒時に生じる望ましくない身体現象であり, ノンレムパラソムニア, レムパラソムニア, その他のパラソムニアに分類されている。ノンレムパラソムニアには小児期に多い錯乱性覚醒, 睡眠時遊行症, 睡眠時驚愕症, 成人女性に多い睡眠関連摂食異常症が含まれる。錯乱性覚醒, 睡眠時遊行症, 睡眠時驚愕症は小児期に最初のエピソードが出現し, 小児期に多く成人では少ない。徐波睡眠からの覚醒で出現しやすいため, 徐波睡眠の多い夜間睡眠の最初の1/3–1/2に発現する。遺伝性が高く, 小児のノンレムパラソムニアの有病率は両親の有病率と関連することが報告されている。睡眠不足, 不規則な睡眠習慣, ストレス, 閉塞性睡眠時無呼吸, アルコール, カフェイン, 発熱疾患が誘因となりうる。近年, 注意欠如・多動症児にノンレムパラソムニアが多いとの報告がある。
著者
伊達 聖伸 渡辺 優 見原 礼子 木村 護郎クリストフ 渡邊 千秋 小川 浩之 西脇 靖洋 加藤 久子 安達 智史 立田 由紀恵 佐藤 香寿実 江川 純一 増田 一夫 小川 公代 井上 まどか 土屋 和代 鶴見 太郎 浜田 華練 佐藤 清子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、加速する時代のなかで西洋社会の「世俗」が新局面に入ったという認識の地平に立ち、多様な地理的文脈を考慮しながら、「世俗的なもの」と「宗教的なもの」の再編の諸相を比較研究するものである。ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の政教体制を規定している歴史的文脈の違いを構造的に踏まえ、いわゆる地理的「欧米」地域における世俗と宗教の関係を正面から扱いつつ、周辺や外部からの視点も重視し、「西洋」のあり方を改めて問う。
著者
加藤 久和
出版者
明治大学政治経済研究所
雑誌
政經論叢 (ISSN:03873285)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5-6, pp.47-76, 2023-03-30
著者
加藤 久子
出版者
ロシア・東欧学会
雑誌
ロシア・東欧研究 (ISSN:13486497)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.36, pp.61-71, 2007 (Released:2010-05-31)

Many studies have focused on the autonomous functions of the Catholic Church under the communist regime in Poland in comparison to other countries in former Eastern Europe. The autonomy of the church is sometimes confounded with the resistance or struggle against the communist party, although the church did not necessarily attempt to fight against the party with concerted effort. Obviously, the church is not a monolithic organization; it has to distinguish the general believers that account for most of the Polish from the leaders of the church. This paper examines how believers became involved with “the struggle, ” referring to the concept of the “collective mentality” proposed by George Lefebvre. He explained that some affairs were composed by the people, who gathered even accidentally, but because of their “collective mentality” they are capable to change the character of the activities into social and political affairs without conscious awareness.I will look, for instance, into an affair that occurred during the establishment of a parish church in an industrial estate around the Lenin Steelworks. I analyze what “collective mentality” was underlying, and how had been changed among people. For 12 years, people in this estate had moderately appealed to the party and to the administration to permit them to have their own church for practical reasons i.e. it was inconvenient to go to other churches as they were too far away, and they did not want to participate in a Mass in the snow and rain outdoors. Meanwhile they had come to clearly distinguish between the party and themselves.Generally, the affair has been recorded as a violent confrontation between the party and the church for freedom of faith. However, the believers that joined in the battle on the street said that at the beginning they only wanted to defend and keep their own cross, which they had built as a symbol of their faith. They changed their attitude gradually because of escalation of violence, and the reaction of the authorities; consequently, many of them began to agitate for freedom of faith and other political ideals. In the process of escalation, however, we can observe some accidental factors, for example misunderstandings, miscommunications and so on. After the incident, clergymen suggested that the battle had been a political fight from the beginning and the believers were motivated by political and social reasons.This case demonstrates how Catholics participated in and were involved in the political field. There were some disconnects between the clergymen and the believers; both had their own stories and values. However, we can say that people shared a “collective mentality” through their relationship with others; that is true not only for the communist party, but also for the leaders of the church. And now the shared “collective mentality” is changing in relation with the others: the different generations, some foreign journalists and us-researchers of history.