著者
加藤 弘通 大久保 智生
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.466-477, 2009-12-30

本研究の目的は,学校の荒れが収束する過程で指導および生徒の意識にどのような変化が生じているのかを明らかにすることにある。そこで本研究では,調査期間中に荒れが問題化し収束に向かったB中学校の生徒(のべ1,055名)に対して,学校生活への感情,教師との関係,不良少年へのイメージおよび不公平な指導などをたずねる質問紙調査を3年間行い,その結果を荒れが問題化していない中学校7校の生徒(計738名)と比較した。またB中学校の管理職の教師に対し面接を行い,荒れの収束過程で指導にどのような変化があったのかを探った。その結果,生徒の意識に関しては荒れの収束に伴い不公平な指導の頻度が下がり,学校生活への感情や不良少年へのイメージ,教師との関係が改善していることが明らかになった。また生徒指導に関してはその指導が当該生徒に対してもつ意味だけでなく,他の生徒や保護者に対してもつ意味が考慮された間接的な関わりが多用されるようになっていた。以上のことをふまえ,実践的には指導を教師-当該生徒との関係の中だけで考えるのではなく,それを見ている第三者まで含めた三者関係の中で考える必要性があることを示唆した。
著者
加藤 耕義
出版者
学習院大学
雑誌
言語 文化 社会 (ISSN:13479105)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.113-138, 2008-03
著者
村瀬 嘉夫 加藤 悦朗
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.86, no.993, pp.225-229, 1978-05-01
被引用文献数
1 6

Zr(OH)<sub>4</sub>について沈殿の生成条件, 乾燥条件, 試料の形状及び熱処理ふん囲気などが熱分解により生成するZrO<sub>2</sub>の結晶構造に与える影響を検討し, 水蒸気の作用について新しい知見を得た. Zr(OH)<sub>4</sub>沈殿の生成条件は結果にほとんど影響を与えない. 沈殿の乾燥に長時間を要すると乾燥完了までの沈殿の老化 (γ化) のために熱分解後のZrO<sub>2</sub>に単斜結晶の量が増大する. 塊状試料の熱分解や昇温速度の小さい熱分解では沈殿の老化 (γ化) や自ら発生する水蒸気の影響をうけやすく単斜ZrO<sub>2</sub>の結晶量が増大する. Zr(OH)<sub>4</sub>を水蒸気中で熱処理すると単斜ZrO<sub>2</sub>が結晶化し, 水蒸気の少ない減圧下では正方ZrO<sub>2</sub>のみが結晶化する. この水蒸気の影響は無定形ZrO<sub>2</sub>の生成過程よりそれからの結晶化過程において顕著である. この結果から水蒸気中では正方と単斜ZrO<sub>2</sub>の表面エネルギーの差が小さくなると考えられる.
著者
加藤 典子 河本 慶子 橋本 洋子 為政 大幾 岡本 祐之 堀尾 武
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.244-248, 2005 (Released:2011-05-17)
参考文献数
41

64歳,女性。合併症として橋本病があり,平成14年3月より両手掌に鱗屑を伴う紅斑が出現した。尋常性乾癬と診断されエトレトナート内服,マキサカシトール軟膏の外用を開始したが,皮疹は拡大し、5月末には頭部に脱毛斑が出現した為,当科を受診した。入院の上,PUVA療法を開始し,内服PUVA療法を計28回,計130.5J/cm2照射し,終了時には乾癬,円形脱毛症ともに略治状態となった。尋常性乾癬の病態形成にT細胞性自己免疫が関与することが注目されており,他の自己免疫疾患との合併例が報告されている。本症例は橋本病と円形脱毛症を合併しており,異なる自己抗原に対する細胞性免疫が惹起された結果,3疾患を発症した可能性が考えられた。

1 0 0 0 OA 珠を抛つ

著者
加藤武雄 著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1925
著者
加藤 みゆき 大森 正司 加藤 芳伸
出版者
日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.421-427, 2011-09-15
被引用文献数
2

緑茶を対象としてretroposon-like sequence DNA (RLS-DNA)塩基配列の比較解析により品種の判別を試みた.実験には,やぶきた品種のチャ葉より製造した緑茶と,市販されている中国,ベトナム,ミャンマー,台湾の緑茶,そして日本の緑茶用40品種の生茶葉を用いて実験した.RLS-DNAの塩基配列を比較解析することにより,おくみどり,べにふうき等の品種の判別が生茶葉と緑茶葉を用いた場合,共に可能であることが認められた.また,中国,ベトナム,ミャンマー,台湾の緑茶についてもRLS-DNAの多型解析により我が国の緑茶と識別可能であることが認められた.今回の実験から,RLS-DNAを指標とした塩基配列の多型解析は,おくみどり,べにふうき品種等の品種を判別するための手法に適用できるものと考える.
著者
伊藤 聖子 岡山 純子 加藤 陽治
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.110, pp.89-92, 2013-10

バクテリアセルロースであるナタデココの微細な網目構造に着目し、その網目構造への分子の浸透性について植物セルロースと比較した。セルロースとナタデココの各試料を、0.1%グルコース溶液およびデキストランT-500(平均分子量50万)溶液100ml に浸し、20分ごとに120分経過するまでの外液の糖量をフェノール硫酸法にて測定し浸透性を調べた。微細な網目構造を有するナタデココへ低分子のグルコースは浸透するが、デキストランT-500(平均分子量50万)のような高分子の物質は浸透しにくいことがわかった。結果を基に、ナタデココの機能性と調理特性などについて考察を加えた。
著者
内海哲史 SalahuddinMuhammadSalimZabir 加藤靖
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.9, pp.1-7, 2012-12-07

2012 年 10 月 PC 遠隔操作事件が発覚し,それに伴う冤罪も明らかになった.今回のような犯罪の場合でも,犯行者のホストの真の IP アドレスが分かれば,真犯人を特定できる可能性が高い.本稿では,(1) コネクション開始時, TCP のように 3 ウェイ・ハンドシェーキングを必ず行うこと, (2) OS のカーネルは (1) をチェックすること, (3) 受け取ったデータパケットに対して必ず確認応答を返すこと, (4) OS のカーネルは (3) をチェックすること, (5) 身に覚えのない確認応答を受け取ったホストは警告パケットを必ず返すこと,を提案し, IP レベルでのなりすましのできない安全なインターネットの実現を目指す.
著者
大塚 基 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.16, pp.94-97, 2000-11-11

可児市では「しなやかで魅力あふれる情報交流都市」という地域像を実現するために市民主体の情報環境の整備に取り組んでいる.そのための一つのコミュニケーションツールとして,ケーブルテレビを光・同軸ハイブリットとし,市全域を網羅した双方向ネットワーク(コミュニティネットかに)を構築している.このネットワークを活用することで,小中学校と教育研究所,社会教育関係の施設,その他市内の公共施設・機関などが連携し,情報交流を行いながら地域社会の中で学校教育を推進していくことが求められている.小学校における授業実践事例をもとに,学習指導における地域の通信ネットワークの利用方法や授業構成のあり方等について提案する.
著者
加藤浩介 安藤 四一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.121-126, 2002-05-18

建築音響と音楽音響の橋渡しの研究として、音源の時間的なファクターを定量的に評価し、音楽とホール音響の融合を試みる。聴者と演奏者に最適な音場条件が、音源の自己相関関数(ACF)の有効継続時間の最小値(te)minから求まるというAndoの理論[安藤四一著・酒井博之・佐藤伸一共訳,建築音響学?音楽演奏・音響空間と聴衆との融合,シュプリンガーフェアラーク東京,2000]に基づき、声楽の楽譜と演奏スタイルから歌声の(te)minを予測することを本研究の目的とした。特に本稿では、歌詞の違いと演奏テンポの違いがte(遅れ時間ごとの信号の繰り返し成分の減衰)にどの程度影響を及ぼすかに着目し、4人の被験者の歌声を無響室録音してACFの解析を行った実験結果を報告する。最も重要な発見は、1)歌詞の種類によってhumming > melisma singing > lyric singing >non-voiced singingの順に (te)minは短くなる;2)演奏のテンポが3倍になっても(te)minはほとんど変化しない;3)音の高さが変動しないモチーフは、音の高さが変動するモチーフと比べて(te)minが有意に長い(p < 0.05)という点である。Concert halls do not have ideal conditions for all music programs. It is well known that the most preferred conditions for both listener and performer are determined by the minimum value of the effective duration of the running autocorrelation function (ACF) of sound signals, (te)min [Y. Ando 1998 Architectural Acoustics-Blending Sound Sources, Sound Fields, and Listeners. AIP/Springer-Verlag, New York]. An attempt is made here to estimate (te)min of vocal music by rating various kinds of interpretation styles of singers. The present results showed that (te)min of the ACF of a voice source varies with lyrics and fluctuation of pitch but not music tempo. Significant findings are 1) Values of (te)min are relatively longer in order of: humming > melisma singing (singing with "la" syllables) > singing with lyrics > non-voiced (breath noise) singing; 2) Values of (te)min of fast vocal music may not be shorter than those of slow tempo music; 3) Values of (te)min of vocal music with pitch fluctuation is shorter than those of music with constant pitch (p < 0.05).
著者
加藤 千香子 橋本 順光 松原 宏之 小玉 亮子
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、まず世紀転換期における特徴的な国民規範形成のプロセスの検証がなされた。日本における「青年」の構築と組織化、アメリカでの性にかかわる問題、ドイツにおける「少子化」問題、イギリスでの黄禍論や「武士道」概念といった焦点を浮かび上がらせ、それらが同時代の世界との緊密な関係のうえに登場したことが検証された。他方、国民規範が企図した社会秩序の安定化については、必ずしも果たされたわけではないことも明らかにされた。
著者
石川 友哉 Wang Yu 加藤 ジェーン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.471, pp.389-394, 2010-03-08

現在,幼稚園に通う子供たちは非常に多く,1日の大半をそこで過ごしている.幼稚園は家庭とは全く異なる環境であるため,多くの保護者が幼稚園での子供の様子を気にかけている.そこで,幼稚園の日常生活を記録し特定園児の1日ダイジェストを自動生成する手法を提案し,検討する.複数台の監視カメラにより日常生活を記録し,無線タグを併用することで園児の位置情報を得た.そして,幼稚園の日常生活をいくつかのイベントに分け各断片映像がどのイベントを映したものかを識別し,各イベントから均等にダイジェストに加えた.イベントの識別は画像特徴と時間的依存性を利用した.本手法によるダイジェストと一定時間間隔の映像を取り出した単調なダイジェストを比較しイベント識別の有効性を確認した.また,これら2つのダイジェストを保護者に閲覧してもらい,アンケート調査により評価を得た.
著者
伊藤 浩二 加藤 和弘
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.449-452, 2007-03-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
20
被引用文献数
7 7

To clarify the interrelations between various semi-natural grassland types (verge meadows, ditch walls, paddy levees, fallow fields, abandoned rice fields and farm roads) maintained by traditional agricultural management methods, we conducted vegetation investigation in a ‘Yatsuda’ rural landscape, and compared species richness between the grassland types using the rarefaction method. Each grassland type was characterized by indicator species extracted by INSPAN and life-form composition of the grassland types were compared. The results of rarefaction method showed that the paddy levees located between paddy field and hillslope were species-rich grassland habitat, as rich as the verge meadows which were cutting grassland adjacent to woodland. The abandoned rice fields, the verge meadows and the paddy levees were consisted of different species groups, and similarity indices were not large between these grassland types. Therefore, in Yatsuda rural landscapes, we suggested that the different types of grasslands should be maintained by traditional agricultural management methods for conserving plant diversity.
著者
栗原 隆 加藤 尚武 座小田 豊 尾崎 彰宏 野家 伸也 伊坂 青司 山内 志朗 鈴木 光太郎 佐藤 透 城戸 淳
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

「主体」は空間の中で、形の認知に感応する中でこそ自覚されるものであって、自我の自己措定のような機序によって成り立つものではないことが確認された。