著者
田場 聡 大城 篤 高江洲 和子 諸見里 善一 澤岻 哲也 Taba Satoshi Ooshiro Atsushi Takaesu Kazuko Moromizato Zen-ichi Takushi Tetsuya 沖縄県農業試験場 琉球大学農学部 沖縄県農試宮古支場
出版者
沖縄農業研究会
雑誌
沖縄農業 (ISSN:13441477)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.21-28, 2003-07
被引用文献数
1

本研究では,露地における米ぬか混和・太陽熱併用処理のネコブセンチュウに対する効果を検討した.その結果,植物体の成長および収量が良く,最もネコブセンチュウに対する防除効果が高い処理法は,1重被覆・米ぬか混和併用処理であった.太陽熱処理単独,米ぬか混和・太陽熱併用処理の土壌微生物に及ぼす影響を調査した結果では,両処理とも糸状菌数の低下が認められたが,後者では緩和された.また線虫密度に関しても,前者ではネコブセンチュウだけでなく,自活性線虫に対しても影響が強いが,後者ではやや緩和された.以上のことからオクラのネコブセンチュウ防除において最も有効な処理法は1重被覆・米ぬか混和処理であると考えられた.In this study the effect of use of rice bran together with solar heat treatment in the fields on southern root-knot nematode that is one of the important parasite on okra is examined. As a result, the treatment having most effectiveness on controlling the nematode and on the plant growth and on the yield was the combination of the single covering and rice bran mixture method. The effect of single treatment with solar heat and using rice bran and solar heat in combination on the micro flora in soil showed that fungi decreased in number on both treatments but the effect was relieved by the combinational treatment. As for the nematode density, the single solar heating had a strong influence on free-living nematodes as well as on southern root-knot nematode but it was alleviated by the combination. From the results mentioned above, it is conceivable that the best control method of southern root-knot nematode infested on okra is combination method of single covering and rice bran treatments.
著者
古山 英二
出版者
日本経営倫理学会
雑誌
日本経営倫理学会誌 (ISSN:13436627)
巻号頁・発行日
no.6, pp.37-52, 1999-03

Market price is, as Amartya Sen points out, institutional while the prices through which consumer expresses his preference are conceptual. Thus, price may be inadequate as a weight to aggregate goods to measure income when income is used as a yardstick of welfare. Traditionally, economics regards itself as a social science dealing with goods and services. However, economics does not analyze goods and services but only services. Only services are exchanged in the market and physical goods are mere vehicles of services. Material balance approach vis-a-vis traditional market value balance approach will more sharply shed light on the waste problems.
著者
古沢 昌之
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei-gakuso: Journal of Business Studies (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.83-111, 2020-09-30

[要旨]本論文の目的は,東南アジアの中で日本企業の最大の進出先であり,最多の在留邦人を擁するタイにおける「現地採用日本人」(日本人 SIEs)の活用について,「バウンダリー・スパナー」としての可能性と「日本人性」を巡る状況を中心に考察することにある。在タイ日系進出企業に対するアンケート調査の結果,SIEs は駐在員(AEs)と比べて高いタイ語能力とタイでの長い在住・就労経験を有することから,日タイの文化に架橋する「バウンダリー・スパナー」としてのポテンシャルを有した人材集団であると考えられる。また,回答企業が SIEs を雇用する背景には「日本語能力」「日本人の考え方や日本のマナー・ビジネス慣行に対する理解」といった「日本人性」に対する期待があることが分かった。[Abstract] This paper explores the utilization of Japanese self-initiated expatriates (SIEs)in Thailand where Japanese companies have the largest number of subsidiaries and the number of Japanese residents is the highest among Southeast Asian countries from the perspectives of their potential as boundary spanners and Japaneseness. We find that Japanese SIEs seem to have potential as boundary spanners because of their living and working experience in Thailand and fluency in the local language based on our questionnaire survey of Japanese -affiliated companies in Thailand. The research also reveals that the Japanese-affiliates employ Japanese SIEs owing to their Japaneseness such as Japanese language ability and familiarity with Japanese way of thinking, Japanese manners or business customs.
著者
鶴見 みや古 園部 浩一郎 山道 弘美 塚本 洋三
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.136-182, 2014-03-20 (Released:2016-03-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

Dr. Yoshimaro Yamashina (1900–1989) was a Japanese ornithologist and the founder of the Yamashina Institute for Ornithology. His two-volume “A Natural History of Japanese Birds”, published in 1934 and 1941, was an important contribution that had a major influence on the development of Japanese ornithology. One characteristic of the book is the use of figures printed from wood engravings. Indeed, this is thought to be the only Japanese bird book that includes figures made in this way. The Institute has been working on registration and preservation of the old unattended materials. The project revealed materials, such as original drawings, wood blocks and autographed manuscripts that Dr. Yamashina had used in preparing the handbook. A total of 527 related materials were registered, consisting of 51 autographed manuscripts, 448 original drawings, wood blocks, etc., and 28 miscellaneous items such as letters and envelopes. It was evident that Dr. Yamashina had shown a meticulous attention to detail in the preparation of his handbook. Furthermore, he had kept working on writing with a clear intention of publishing a third volume. The materials for the published and unpublished handbooks are important for studying the history of the development of Japanese ornithology, and they are also valuable as a means of showing that Japan at that time had a culture capable of producing such a book. Most of these materials are owned by the Institute.
著者
井手口 健 難波 朋和 古賀 広昭
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J83-A, no.7, pp.924-927, 2000-07-25

音楽聴取時に音源に対応した振動を聴取者の身体に付与した場合,音楽の印象がどのように変化するのか実験的に検討した.その結果,付与する振動の種類や振動の強さ,振動を付与する身体の箇所を選ぶことにより音楽の印象を強調できる見通しが得られた.
著者
井出 留美 五明 紀春 三浦 理代 古川 知子 室園 荘一 松永 勝治 伊藤(藤村) 知子 藤村 知子
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 = Journal for the integrated study of dietary habits (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.102-110, 2004-09-30
参考文献数
15
被引用文献数
2

シリアルは一般にビタミン・ミネラルが強化され, 食物繊維が豊富なものもあり, 体調, 特に便秘や疲れ, 肌の状態を改善することが期待される。このようなシリアルの効果を検証するため, 朝食欠食の習慣がある10~30代男女70名及び, 朝食摂取している10代女性16名, 計86名について, 全粒穀物シリアルの, 体調及び肌に及ぼす影響について調べた。試験データの収集にあたっては, どこでも送受信が可能である利点を考慮して, 一般に普及している携帯電話のメール機能も利用した。
著者
久保田 大輝 Naomi Nazar 大久保 友博 斉藤 咲喜子 粟飯原 萌 古市 昌一
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.877-878, 2017-03-16

英語学習において重要なのは文法と語彙力等であるが,特に語彙力の高さは読解及び会話,そしてTOEIC,TOEFL, IELTS等の得点向上のいずれでも重要である.そのため,我が国には語彙力の向上を目的とした学習用教材が多数あり,ゲーム形式で語彙力を向上する英語学習用ゲームも存在する.しかし,学習用ゲームの多くは学習用教材部分の質と量が十分でないとともに,総ての学習者がそのゲームに対して高い興味を持つわけではない,という問題点がある.そこで,本研究では,学習用教材として広く利用されている商用システムを使用して教材としての質と量を確保し,ゲーム部分については学習者に応じて各種のゲームを利用可能とする,複合シリアスゲーム型学習用教材実現方式を提案し,その一例としてFishyFishyを開発したので報告する.
著者
村井 政史 伊林 由美子 堀 雄 森 康明 古明地 克英 八重樫 稔 今井 純生 大塚 吉則 本間 行彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.34-37, 2016

症例は48歳の女性で,高層ビルで勤務中に地震が発生してビルが大きく揺れ,その後から動揺性めまい感が出現するようになった。陰証で虚証と考え真武湯で治療を開始したところ,動揺性めまい感は改善した。ところで,この患者の職場は入退室管理に指静脈認証によるセキュリティシステムを導入しており,当院を受診する前までは認証エラーが多かったのが,真武湯を服用するようになってからは調子よく認証されるようになった。静脈認証エラーの原因の一つに,冷えで血管が収縮して血流が低下し,血管パターンが変化することが知られている。そのような血流が低下した状態を,陰証の方剤で温めることによって解消し得ると思われた。
著者
福留 和人 古川 幸則 庄野 昭
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造) (ISSN:21856567)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.18-27, 2011 (Released:2011-01-20)
参考文献数
11
被引用文献数
3 2

コンクリート構造物が硬化後,所要の強度,耐久性,ひび割れ抵抗性等の性能を発揮するためには,硬化初期において適切に養生を行うことが重要である.本研究では,湿潤養生期間および給水養生の実施がコンクリートの性能改善に及ぼす効果を把握するために,普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートを種々の湿潤養生条件下で養生し,圧縮強度発現特性に及ぼす影響を調査した.さらに,保水状態の差異がセメント鉱物の水和反応に及ぼす影響を定量的に評価し,水和生成物の生成量の観点から圧縮強度発現特性を評価した.その結果,保水状態がセメントの水和反応に及ぼす影響を考慮することで,種々の湿潤養生条件下での強度発現特性を評価可能であることを明らかとした.
著者
古本 泰之
出版者
日本国際観光学会
雑誌
日本国際観光学会論文集
巻号頁・発行日
vol.21, pp.71-76, 2014

Museums are a major attraction in tourist areas in Japan. This study paid attention to tourist areas that have a cluster of museums, and the analysis in this paper found that community activities are a key to making museums attractive for tourists. A case study of the Izu-kogen area, Shizuoka Prefecture, and the Azumino area of Nagano Prefecture found that community activities by both long-time residents and newcomers have promoted the profile of their area and thus played an important role in forming a cluster of museums and making art a tourist attraction.
著者
紙谷 浩喜 佐藤 雄太 藤本 邦洋 梅木 駿太 古原 岳雄 七森 和久
出版者
公益社団法人 大分県理学療法士協会
雑誌
大分県理学療法学 (ISSN:13494783)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.1-5, 2020 (Released:2020-07-10)
参考文献数
8

【目的】 地域包括ケア病棟における入院患者において,生活機能の改善が高い患者と低い患者において,患者の転帰先に影響を与える要因と担当理学療法士・作業療法士が行った対応方法に関して質的研究法を用いて調査すること.【対象】 対象は2017 年6月~ 2018 年1月に,在宅から入院し当院の地域包括ケア病棟から退院した患者409 名のうち除外基準を満たした202 名とした.【方法】 病院環境におけるFIM 運動項目(以下,mFIM)からFIM effectiveness(以下,emFIM)を算出した.全群におけるemFIM の中央値より高い者を生活機能改善率が高い,中央値より低い者を生活機能改善率が低いと定義した.退院先が自宅でありemFIM が低いもの(以下,自宅低emFIM 群)と,退院先が施設でありemFIM が高いもの(以下,施設高emFIM 群)を調査対象とした.転帰先の決定に重要であった要因と対応方法について担当セラピストより聴取し,分類した.【結果】 自宅低emFIM 群は67 名であった.67 名の転帰先に関する特徴は3種類に分類できた.①病院環境ではemFIM が不十分だが自宅生活が可能な者,②手すりや歩行補助具など物的環境調整によってemFIM が十分となった者,③物的環境を調整してもemFIM が不十分であるが本人や家族の強い希望により自宅に退院した者であった.施設群高emFIM 群2名であった.2名のうち1名は家族関係が不仲,1名は入院前生活以上の介護負担を負えないと家族が判断した.【考察】 自宅低emFIM 群67 名のうち,約9割は適切な物的環境で課題となる動作の評価が重要であった.物的環境,人的環境のいずれにおいても,早期から医療者と当事者の認識の誤差を埋めるような関わり方が重要だと思われる.
著者
藤平 保茂 富樫 誠二 藤野 文崇 久利 彩子 小枩 武陛 村西 壽祥 岸本 眞 古井 透 酒井 桂太
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.GbPI2458, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】臨床実習は、理学療法士(以下、PT)を目指す学生にとって臨床での理学療法を経験できる重要な学外授業であり、 810時間以上(18単位)を受けなければならない必須科目である。臨床実習に臨む学生(以下、実習生)は、臨床実習指導者(以下、指導者)の指導のもと、さまざまな経験を通して成長していく。その中で、実習生が、指導者から「積極性がない」との指摘を受けることがある。これは、臨床実習評価において、しばしば問題視される点である。しかし、実習生の積極性に対する先行研究では、「積極性とは、自ら進んで物事を行う性質」という概念は一致されているものの、実習生の積極的な行動とはどのような行動であるのかを具体的に示した研究は、我々が文献検索した限りでは見当たらなかった。筆者らは、第50回近畿理学療法学術大会にて、指導者が抱く実習生への「積極性がある」因子を報告した。今回の研究目的は、理学療法臨床実習評価において、指導者が抱く「積極性がない」因子とは何かを調査し、検討することである。【方法】<調査表>独自に作成した調査票で、質問内容は、「臨床実習において、『積極性がない実習生』とはどのような学生であるか」であった。自由記載にて回答を求めた。<対象>本学の臨床実習受け入れ施設に勤務する127名のPTであった。そのうち、指導者経験のある臨床経験2年目以上の90名(男性67名、女性23名、平均臨床経験年数9.7年)の調査表を分析の対象とした。<分析方法>得られた回答をキーワードにて細分化し、KJ法を用いてカテゴリーに分類した。 【説明と同意】本研究は、大阪河﨑リハビリテーション大学倫理委員会規則に従うもので、調査にあたっては、対象者に本研究の主旨を説明し、同意を得た。 【結果】細分化したキーワードは、181語であった。これらをカテゴリー別に分類し、さらに社団法人理学療法士協会による「臨床実習教育の手引き」第4・5版を参考に技術教育から生じる行動での分類を行ったところ、態度面を行動目標とする情意領域と、知識、問題解決面を行動目標とする認知領域にあることがわかった。情意領域に属するキーワードは129語で、全体の71.3%を占めた。これらを構成するカテゴリーには、「行動できない・しない」(35語、全体の19.3%)、「目的意識・意欲がない」(32語、17.7%)、「疑問を持たない・考えない」(20語、11.0%)、「質問しない」(17語、9.4%)、「コミュニケーションがとれない」(14語、7.7%)、「反応がない・乏しい」(7語、3.9%)、「その他」(4語、2.2%)があった。また認知領域に属するキーワードは52語で、全体の28.7%であった。これらを構成するカテゴリーには、「意見を言わない」(20語、11.0%)、「課題が遂行できない」(18語、9.9%)、「自主学習しない」(12語、6.6%)、「自己評価(分析)しない」(2語、1.1%)があった。【考察】PTは、対象者としっかりコミュニケーションをとり、十分な関心と責任を持って理学療法業務に取り組むことが必要不可欠かつ重要であることを認識している。そのため指導者は、実習生に対し、実習への目的意識や意欲・関心が低い、実習を受ける態度が悪い、問いかけに対する反応が悪い、対象者や関係スタッフ以外の方と関わらない、わからないことがあっても質問しない、自分の意見を述べない、自分の考えを基に行動できなく指導者からの指示待ち行動をとる、課題ができないことが、「積極性がない」行動と捉えているものと考えられる。今回の調査にて、指導者は、「積極性がない」とは情意領域に問題があること、つまり、実習への取り組み姿勢や態度が良くないことを重大な因子と捉えていることが明確となった。知識や問題解決能力を身につけることは当然重要であるが、実習生が臨床実習に入る前に十分な心構えが出来ているか、理学療法の専門性を理解したうえでどれだけ自ら進んで対象者のために考え行動するのか、といった実習態度への関心の高さを裏付けている結果となった。養成校の教員は、臨床実習において学生指導が円滑になされるよう、学生への学内教育を強化しなければならない。【理学療法学研究としての意義】臨床実習指導者が抱く実習生の積極性について、実習生の積極的な行動とはどのような行動であるのか、その具体的な行動因子を確認することができた。今回の結果は、臨床実習における学生指導において、積極性を評価する上で参考になるものと考える。さらに、臨床実習における客観的に積極性を測定するための積極性評価尺度の作成を試みようと考えているが、その基盤となる意義のある研究である。