著者
木原 裕貴 大田 敏之 福原 里恵 藤原 信 岩永 甲午郎 中田 久美子 本田 茜 古田 靖彦 大津 一弘 亀井 尚美 花見 亮治
出版者
The Japanese Society for Pediatric Nephrology
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 = Japanese journal of pediatric nephrology (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.71-76, 2007-04-15
参考文献数
20
被引用文献数
3 3

症例は日齢3の男児。血性嘔吐,腹部膨満,腹腔内遊離ガスを主訴とし,著明な高アンモニア血症,高エンドトキシン血症を認めた。持続的血液濾過透析を施行し,アンモニア値は減少傾向となったが,低血圧は改善しなかった。エンドトキシン吸着療法を施行したところ,血圧の上昇とともに,全身状態は改善し,根治術へつなげることができた。開腹所見は胃破裂であった。体外循環に伴う問題はなく,安全に施行することができた。成人領域においては,本治療法は広く行われているが,新生児では普及するにいたっていない。本症例において有効であったエンドトキシン吸着療法について,その機序と今後の適応基準を考察した。
著者
古屋 喜美代 田代 康子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.252-258, 1989-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14

The present study was carried out to investigate the changes occuring while listening to a picture book. Two picture books based on the book “A DUCK AND A FOX” were made. One was constructed from the viewpoint of the duck, and the other from the viewpoint of the fox. The children could talk freely to each other in the test sessions. The main results were as follows.(1) Both the viewpoint of the book and the personality of the characters affected the viewpoint of the children. But children themselves often changed their point of view.(2) Children talked about many episodes concerning the duck while only a few episodes were given concerning the fox. It seemed that the duck was more appealing to the children showing a certain identification and a more sympathetic feeling with the duck than with the fox.
著者
古西 勇 佐藤 成登志 玉越 敬悟
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】臨床実習を通して学生は成長する。それは,卒業後の生涯学習の基盤として重要であり,指導者の熱意や寛容さにより多大な支援を得て成し遂げられている。しかし,学生の視点から指導者と施設に対して感じたことを評価する信頼性のある尺度は少ない。本研究の目的は,臨床実習で指導者と施設に対して学生が感じたことを評価するための新たな尺度を開発し,信頼性を検討することである。【方法】対象は,理学療法士養成課程のある地方大学の総合臨床実習を終了した4年生の学生とした。10週間の実習後,翌週にGoogleドライブのフォームを用いて実習後アンケートへの回答を依頼した。「問1 実習中に指導者の先生に対して次のようなことを感じたことがどれくらいありましたか?」「問2 実習施設に対して次のようなことを感じたことがどれくらいありましたか?」の設問の下に,それぞれ9問の質問項目を設けた。回答は,順序尺度(『一度もなかった(1点)』~『常にあった(5点)』の5段階)であてはまるものを選択してもらった。得られたデータから因子分析を行い,抽出された因子ごとにアルファ係数を算出して信頼性を検討した。統計解析には,SPSS Statistics 17.0を用いた。【結果】回答者(n=81)のデータから初回の因子分析を行った。前後の因子間の固有値の差を検討し,因子数を4とした。第4因子までの累積寄与率は71.6%であった。続いての因子分析は主因子法でプロマックス回転により分析した。因子抽出後の共通性に著しく低い項目はなかった。第1因子(7項目)は「話しを聴いてくれる」「安心させてくれる」「楽しいと感じさせてくれる」など指導者の包容力を反映していると解釈できる。第2因子(6項目)は「リハビリテーション部門の体制が整っている」「職員の教育・研修の体制が整備されている」など組織や体制の魅力を反映していると解釈できる。第3因子(3項目)は「時間の使い方の指導を受けたことがあった」「日々の目標に関して助言を受けたことがあった」など指導者の教育的配慮を反映していると解釈できる。第4因子(2項目)は在宅ケアと退院後の療養環境の調整に関することが行なわれているという地域包括性を反映していると解釈できる。各因子の項目のCronbachのアルファは第1因子(包容力)で0.896,第2因子(組織や体制の魅力)で0.883,第3因子(教育的配慮)で0.764,第4因子(地域包括性)で0.889と,高い信頼性を示した。今回の対象者について,項目平均値で各因子の下位尺度得点を算出したところ,平均値の降順で第2因子(3.99±0.71),第1因子(3.98±0.78),第4因子(3.75±0.87),第3因子(3.25±0.88)であった。【結論】学生の視点から指導者と施設に対して感じたことを評価する尺度を開発し,高い信頼性が得られた。各因子の下位尺度得点の高い群と低い群で他の得点を比較して実用性を検討するなど,さらなる研究が必要と考える。
著者
上與那原 朝秀 日高 竜宏 白井 要 門 貴司 長澤 敏行 古市 保志
出版者
北海道医療大学歯学会
雑誌
北海道医療大学歯学雑誌 = The dental journal of Health Sciences University of Hokkaido (ISSN:18805892)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.7-19, 2013-06

担体とヒト歯根膜由来間葉系細胞群(HPDL細胞群)からなる埋植体をヌードマウス背部皮下に移植し、埋植体へのFGF-2およびBMP-2の添加が血管組織形成や骨様組織形成に与える影響について検討した。その結果、HPDL群にFGF-2とBMP-2を併用添加すると、担体のみと比較して血管数および新生骨形成の有意な増加がみられ、内部には新生血管を含む骨新生が形成されることが示された。また、増加した血管および骨形成はHPDL細胞群に由来する可能性が示された。以上より、HPDL細胞群を含むFGF-2およびBMP-2の併用による移植は、組織再生に有用である可能性が示唆された。
著者
古澤 有峰
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:02896400)
巻号頁・発行日
no.22, pp.33-51, 2004

So many suffering and injured people are living with strong needs of physical, emotional and spiritual care in the world today. We have to reach out for such people if we would like to take care of them. However, it should be done without violating their religious and spiritual dignity. How would this be possible in cross-cultural situations? Henri Dunant founded the International Red Cross for this purpose in 1863. The activities by the Red Cross in medical contexts today aim to take care of needs of people regardless of their cultural backgrounds. Theoretically this is what is claimed, but how is it so in reality? This paper focuses on various religions (both traditional and new, including spirituality of individuals) and care in medical contexts beyond cultures, considering the reality of the history of the Red Cross. We have to wedge our way into both historical and practical aspects to solve this difficult and important puzzle. In this paper, I will deal with these issues while giving specific examples of historical claims in articles.
著者
古在 豊樹
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.994-1006, 2014-10

日本の都市における農業の現状(農地・農業就業者・生産額の動態など),多面的機能(生産,環境保全,防災,レクリエーション,市民農園,コミュニティー,教育など),法律(都市計画法,農業振興地域整備法など)・税制などに関しては,数多くの識者により報告され,また都市の農地・農業・緑地のあり方や解決すべき課題が論じられている(たとえば,進士 2003,蔦屋 2005,樋口 2008,東 2011)。本稿では,都市の住民が消費する生鮮食料を都市で生産することの意義を,(1) 都市への有用資源流入と都市からの劣化資源排出,(2) 都市での植物生産による資源内部循環,(3) 輸送に伴うCO2排出(すなわち,石油資源消費),(4) 都市に適した植物生産方式,(5) 都市住民の生活の質の向上,および(6) 都市における農業以外の諸活動との関係などに留意しつつ考察する(古在 2014)。
著者
高橋 由依 隈元 庸夫 世古 俊明 金子 諒介 吉川 文博
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.699-705, 2015 (Released:2015-12-06)
参考文献数
19

〔目的〕ブリッジ運動評価の有用性について検討し,その基準値を得ること.〔対象〕片麻痺者56名とした.〔方法〕対象を起立,「している」移動,「できる」移動で能力別に群分けし両脚,麻痺側・非麻痺側ブリッジ運動時の荷重率と股屈曲角度(角度),膝伸展筋力,ブルンストロームステージについて群間比較し,有意差を認めた項目を独立変数,各動作能力を従属変数とするロジスティック回帰分析を行いROC曲線からcut-off値を算出した.〔結果〕起立が可能となる麻痺側ブリッジ角度は34°,「している」移動が歩行,「できる」移動が非補助具となる麻痺側ブリッジ荷重率は18%であった.〔結語〕麻痺側ブリッジ運動評価は,起立と移動能力を反映する片麻痺者の股関節伸展運動能力を定量評価しうる有用な評価法であることが示唆された.
著者
鈴木 圭 佐川 真由 保田 集 嶌本 樹 古川 竜司 柳川 久
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

&nbsp;餌動物の捕食者認識能力は,彼らが持つ生態的特徴によって様々に変化する.本研究ではこれまで研究されてこなかった夜行性,樹上性および滑空性という生態的特徴を持つタイリクモモンガ <i>Pteromys volans</i>の捕食者認識能力を,視覚と聴覚に注目して調べた.捕食者の存在が本種の出巣に要する時間を変化させると考え,33個のねぐらで以下の 5実験を行い,出巣に要する時間の変化を調べた.1) 視覚実験: 本種の営巣樹洞木から約1m の距離に,捕食者であるフクロウの剥製を置いた ( N=19)2)視覚実験対照区 : フクロウの剥製の代わりにプラスチックケースを同様の方法で置いた ( N=7).3)聴.覚実験 : 本種が巣から顔を出した際にフクロウの声を聞かせた ( N=18).4)聴覚実験対照区 : フクロウの声の代わりに本調査地に普通に生息するカッコウの声を同様の方法で聞かせた ( N=7)5) 通常行動 : 剥製やプラスチックケースを置かず,いずれの声も聴かせなかった ( N=22).出巣に要し.た時間に影響を与える要因を調べるために,一般線形混合モデルよって解析し,多重比較検定によって群間の差をみた.その結果,本種が出巣に要した時間は,フクロウの声を聞かせた時 (平均 1446秒)に,他の実験に比べて長くなった.それに対し,通常行動 (55秒),カッコウの声を聞かせた時 (275秒),フクロウの剥製(58秒)やプラスチックケース (108秒)を置いた時の 4実験の間で時間に違いはみられなかった.つまり本種は聴覚によって捕食者認識を行い,捕食者と非捕食者の区別も可能であった.それに対し,視覚はほとんど役立っていないことがわかった.本種の様な滑空性リスは樹上性リスから進化し,現存する樹上性リスは視覚および聴覚の両方で捕食者を認識できる.夜行性になったことや滑空能力の獲得に必要な立体視に伴って視野が狭くなったことが,滑空性哺乳類の視覚による捕食者認識能力を低下させるのかもしれない.
著者
古賀 崇
出版者
天理大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は研究課題についての海外調査を実施すると同時に、研究課題に関連するテーマで成果発表を行った。調査としては平成29年7月に、米国オレゴン州ポートランドにて開催された「米国アーキビスト協会(SAA)」年次大会に参加し、あわせて翌月にかけてカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学(UBC バンクーバー)にて研究者らへの聞き取りを行った。これらに共通する主要なテーマのひとつは「デジタル・フォレンジック」(デジタル上の情報・データの復元)であり、アーカイブズの実務への導入状況や、産・官・学の連携がそれを後押ししている現状などを確認することができた。また前年度の研究・調査に引き続き、「一次資料を用いた教育(Teaching with Primary Sources: TPS)」をSAAが力を入れて推進していることを認識した。これらの両面とも、政府情報が前面に出る活動とは限らないが、公文書ほか政府情報の取り扱いが問題視されている日本の現状に鑑みても、「政府情報リテラシー」を考える上での重要な要素と捉えることができる。なお、UBCではデジタル・フォレンジックの詳しい教育内容(シラバス、文献リストなど)を確認することもできたが、その分析については次年度に持ち越している。一方、成果発表としても「デジタル・フォレンジック」が中心であり、上記のような米国・カナダでの調査結果も踏まえ、国際比較をレビューとしてまとめた成果を「研究ノート」(査読あり)として上梓した。また「日本におけるデジタルアーカイブに対する批判的検討(特に政策面を中心に)」も、政府情報と関連づけつつ成果発表を行い、上記の調査を踏まえた国際比較という観点も踏まえ、複数の口頭発表を行った。さらに、「政府情報リテラシー教育」を日本で実践した試みについても、口頭発表を行った。
著者
古沢 常雄 池田 賢市 板倉 裕治 岩崎 久美子 岩橋 恵子 上原 秀一 小林 純子 園山 大祐 高津 芳則 高橋 洋行 夏目 達也 藤井 穂高 堀内 達夫 小野田 正利 藤井 佐知子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、学業失敗や無資格離学、失業など我が国と共通の様々な教育問題を抱えるフランスにおいて、社会統合と公教育の再構築に向けたキャリア教育の取り組みがどのように行われているかを、全教育段階を対象に総合的に明らかにした。フランスでは、我が国のキャリア教育(英語のCareerEducation)に相当する概念はほとんど用いられていないが、先進諸国においてキャリア教育が必要とされる社会的背景を共有しており、フランスにおいてキャリア教育と呼びうる様々な教育活動が義務教育、後期中等教育及び社会教育・継続教育の分野でどのように実際に展開されているのかを総合的に明らかにした。

1 0 0 0 OA 古文書倶楽部

著者
秋田県公文書館古文書班
出版者
秋田県
巻号頁・発行日
no.(16), 2007-06
著者
上岡 龍一 市原 英明 古水 雄志
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.005-010, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
26

We have produced hybrid liposomes (HL) which can be prepared by sonication of a mixture of vesicular and micellar molecules in a buffer solution. Some interesting results are as follows; HL remarkably inhibited the growth of cancer cells along with apoptosis in vitro and in vivo. Anticancer effects increased with a growth in membrane fluidity of HL and fluidity of plasma membranes of cancer cells. In clinical applications, prolonged survival and remarkable reduction of neoplasm were attained in patients with lymphoma after the treatment with HL without any side effects after the approval of the bioethics committee.