著者
四柳 宏 田中 靖人 齋藤 昭彦 梅村 武司 伊藤 清顕 柘植 雅貴 高橋 祥一 中西 裕之 吉田 香奈子 世古口 悟 高橋 秀明 林 和彦 田尻 仁 小松 陽樹 菅内 文中 田尻 和人 上田 佳秀 奥瀬 千晃 八橋 弘 溝上 雅史
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.117-130, 2012 (Released:2012-03-07)
参考文献数
69
被引用文献数
3 3

B型肝炎ワクチンは諸外国では乳児期に全員が接種を受けるユニバーサルワクチンである.しかしながら我が国では任意接種(セレクティブワクチネーション)となっており,母児感染防止の場合のみワクチン接種が健康保険でカバーされている. こうしたセレクティブワクチネーションのみでは我が国のB型肝炎を制圧することは困難である. 本稿では平成23年6月2日に第47回日本肝臓学会(小池和彦会長)において行われたワークショップ「B型肝炎universal vaccinationへ向けて」の内容を紹介しながら,ユニバーサルワクチネーションに関してまとめてみたい.
著者
吉田 綾乃
出版者
東北福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究の成果は以下の3点に集約される.1.ワーキングメモリキャパシティが乏しい者がピースミール処理を志向することは不適応に結びつく.2.キャパシティが乏しい者は対人認知においてカテゴリー依存型処理を行いやすい.3.キャパシティが豊富な者は認知資源が確保可能な場合にはピースミール処理を行うことができる.すなわち、ワーキングメモリキャパシティの個人差が対人的な情報処理過程において重要な機能を果たしていることが明らかになった.
著者
久古 聡美 吉田 曉 中山 正樹
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.313-323, 2006 (Released:2006-09-01)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

国立国会図書館が目指している「国立国会図書館デジタルアーカイブポータル」は,広く国のデジタルコンテンツ全体へのナビゲーションを行うことを目指すものである。平成19年度以降の稼働に先立ち,プロトタイプを構築し「統合検索」のために必要な機能の検証を行ってきた。本稿ではプロトタイプの概要を示し,さらに今後の方向性について述べる。デジタルアーカイブを保有する各機関にWebサービスによるサービス提供機能の実装を呼びかけるとともに,Web2.0時代にふさわしいポータルの構築を目指し,機械的な連携とデジタル情報の一層の利活用を図る。
著者
吉田 一史美
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学 医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.53-62, 2011-09-30 (Released:2018-02-01)

This paper studies a movement in Japan in the 1970s and 1980s for a new adoption system to give women reproductive freedom by providing an alternative to abortion. The study examines why the adoption movement resulted in failure and reveals how concurrent campaigns to restrain abortion influenced this failure. In 1973, Dr. Noboru Kikuta publicly confessed to arranging 100 illegal adoptions using false birth certificates in cases of unwanted pregnancy to protect the mothers and save their fetuses. Subsequently, he started a movement to deny abortion to any woman past her seventh month of pregnancy, when a fetus can survive outside of the womb, and to establish a new adoption system protecting women's privacy in records of childbirth and adoption to provide an alternative to abortion. However, jurists did not embrace the protection of unmarried mothers from stigma and the Special Adoption Law established in 1987 did not reflect Kikuta's proposal. In the 1970s and 1980s, while Kikuta developed his movement, some religious groups and politicians criticized the Eugenic Protection Act, which was enacted in 1948 and allowed abortion within the seventh month. They campaigned to amend the act to prohibit most abortions and include disabled fetuses in eugenic policies instead. However, feminist and disabled people's groups protested against and frustrated the campaigns. As a side effect of this controversy, Kikuta's movement for a new adoption system was seen as being radically pro-life or anti-feminist. Moreover, obstetricians making a living by performing abortion and feminists did not actively support him. Kikuta's new adoption system was a simple proposal to protect fetuses' lives and add to women's choices, but the concurrent anti-abortion campaigns made Kikuta's beliefs and actions seem overly political. Kikuta's failure and the present situation of adoption in Japan are representative of the limitations of women's reproductive freedom in Japan.
著者
井上 貴雄 佐々木 澄美 吉田 徳幸
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.86-98, 2019-03-25 (Released:2019-06-25)
参考文献数
15
被引用文献数
3 1

アンチセンスやsiRNAに代表される核酸医薬品は、これまで治療が難しかった遺伝性疾患や難治性疾患に対する新しいモダリティとして注目を集めている。従来の核酸医薬開発では生体内における安定性や有効性に課題があったが、修飾核酸技術やDDS技術が進展したことで状況は一変しており、局所投与のみならず、全身投与でも高い効果を発揮する候補品が次々と開発されている。本稿では、核酸医薬品の分類、性質、構造、作用機序等の基礎知識を解説し、既承認核酸医薬品を例にあげながら、その開発状況や優位性について議論したい。
著者
更科 美帆 吉田 剛司
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.15-26, 2015-05-30 (Released:2017-11-01)
参考文献数
67

本研究では、北海道において4種の国内外来カエルによる捕食被害の実態を明らかにすることを目的とし、近年カエル類の食性調査においても汎用性が期待される胃重要度指数割合を用い食性調査を実施した。その結果、アズマヒキガエル、ツチガエルは地表徘徊性生物、特にアリ類を大量に捕食しており、アズマヒキガエル、トウキョウダルマガエル、トノサマガエルはカエル類を捕食していることが明らかとなった。外来カエルの捕食による北海道独自の生態系ピラミッドへの影響や在来カエルとの競合または駆逐が懸念される。また3種の外来カエルが希少種を捕食していたことが判明した一方で、1種の外来カエルはセイヨウオオマルハナバチなどの他の外来種を捕食していることが判明した。北海道においてアズマヒキガエル、トノサマガエル、トウキョウダルマガエルの3種は分布拡大傾向にあるため、広範囲にわたる捕食影響が懸念される。特に近年、北海道では水稲が盛んであり、水田地域を生息域として利用するトウキョウダルマガエル、トノサマガエルの分布拡大は今後の地域の湿地生態系に大きな影響を与える可能性がある。
著者
富田 純一 藤本 隆宏 賀来 高志 宇佐美 直子 菊池 嘉明 石原 弘大 藤田 大樹 吉田 敏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0200417a, (Released:2020-08-20)
参考文献数
11

本稿の目的は、野村不動産株式会社が手掛けた「Premium Midsize Office」と呼ばれるオフィスビルの開発事例分析を通じて、同社の戦略形成プロセスを検討することにある。同社は、1フロア1テナントという中規模サイズでありながらハイグレードなオフィスビル市場をいち早く開拓した。同社はなぜそうした潜在市場を掘り当てることができたのか。事例分析の結果、同社の創発的な戦略形成プロセスが明らかにされる。
著者
大森 光 安藤 寿男 村宮 悠介 歌川 史哲 隈 隆成 吉田 英一
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.129, no.1, pp.105-124, 2023-02-22 (Released:2023-02-21)
参考文献数
70
被引用文献数
1 3

いわき市アンモナイトセンターの双葉層群足沢層大久川部層(コニアシアン下部)のアンモナイト(主に径40-60 cmのMesopuzosia yubarensis)密集層と直下にある炭酸塩コンクリーション濃集層の,堆積相・産状観察と地球化学分析から形成過程を考察した.M. yubarensisは,沖合いの生息場から死後浮遊で沿岸に達した軟体部の失われた殻が,ストーム波浪で住房部が破壊され,分級・集積・運搬され,下部外浜沖合い側で癒着HCS極細粒砂層のハンモックマウンドに沿って急速に埋積した.炭酸塩コンクリーションは,多様なサイズ(径15-194 cm)の長-扁球形で,密集しながらも比較的一様に分布する.コンクリーションの形成は,ストーム波浪で運搬された有機物と底質中のベントス遺骸の分解に伴って堆積物の浅所で始まり,その後,埋没に伴い堆積物深所におけるメタン生成帯での有機物分解が生じるまで継続した.
著者
吉田 和幸 神田 麻香 林 紘司 大谷 喜一 井関 健 Ain Pharmaciez Inc.
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.10, pp.642-648, 2012-10-10 (Released:2013-10-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

Most dispensing errors are derived from human error and personality is considered one of the internal factors of such error. This study aimed to reveal the relation between error frequency and personality traits. A questionnaire survey was performed for pharmacists belonging to Ain Pharmaciez in Hokkaido from May to June in 2011. The questionnaire consisted of 20 items which were mainly supposed to reflect the 7 hypothetical personality traits based on previous studies and reports of the Pharmacy Risk Error Management System (PREM-S). The answers were analyzed using Spearman's rank correlation, Mann-Whitney's U-test, factor analysis and structural equation modeling (SEM). We obtained 156 answers. As a result of factor analyses, four factors such as “timidity”, “lack of self-control”, “lack of safety awareness”, and “distraction” were extracted from 12 items relating to personality traits. The analysis of SEM showed that “distraction” caused error frequency was affected by other factors, particularly by “timidity” whose total effect on “distraction” was 0.61. In addition to this, it was affected by external factors of patients and colleagues. The coefficient of determination (R2) of error frequency was 0.25. These results show that personality traits contribute to error frequency at a rate of 25% and it is necessary to improve external factors for the prevention of errors.
著者
伏見 遼平 吉田 成朗 鳴海 拓志 谷川 智洋 廣瀬 通孝
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.100-105, 2016-11-05

発声者が聞き返した時により「自分の声そのものだ」と感じやすい音声を出力する「自分声フィルタ」を提案する。録音した自分の声を聞く不快感の軽減や、ボイストレーニング等への応用を目的とする。実験を通してフィルタを構成し、パラメータの傾向や個人差について検討を加える。あわせて、このフィルタを用いた修正聴覚フィードバックによる発話への影響やその応用についても考察する。
著者
松下 幸誠 和嶋 浩一 吉田 結子 野田 哲朗 尾上 正治 石井 宏
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.13-25, 2015-12-25 (Released:2016-05-27)
参考文献数
19

目的:この論文では疼痛構造化問診票とTMD+OFP診査表(脳神経検査含む)を用いた1人の歯痛を訴える患者の診断過程が述べられている.歯科医療に携わる者にとって歯痛診断は挑戦の連続である.また,その一方で歯痛診断は歯科医にしかできない.よって,他科との共同治療の面からも患者の現症や病歴などの情報としての診断は,その疾患の病態,治療法の知識と理解をも伴った正確なものでなくてはならない.しかしながら,臨床経験の浅い歯科医にとって,あるいは臨床経験豊かな歯科医にとっても複雑な症例を前にしたとき,それは困難な課題として専門家としての決断が揺らぐことも珍しくない.今回著者らは仮説演繹的な臨床診断推論手法と情報収集には疼痛構造化問診票,診査にはTMD+OFP診査表を用いて推論を行いその有効性を試験した.研究の選択:1名の下顎左側臼歯部の歯痛を訴える患者の診断を第1ステップ「包括的病歴採取」,第2ステップ「鑑別診断の列挙」,第3ステップ「鑑別の確認作業」,第4ステップ「鑑別診断の見直し作業」,第5ステップ「最終診断」の5つのステップで行った.また,第1ステップにおいては疼痛構造化問診票を,第3ステップではTMD+OFP診査表を用いた.結果:本症例は確定診断に至り,それによる治療法の選択で完治した.結論:疼痛構造化問診票とTMD+OFP診査表を用いた臨床診断推論により本症例の歯痛診断への有効性を確認した.
著者
吉田 修作
出版者
慶應義塾大学
雑誌
藝文研究 (ISSN:04351630)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.205-219, 1999-12-01

井口樹生, 高山鉄男両教授退任記念論文集序一 「見るなの禁」と喪屋・殯二 産屋と喪屋・殯三 機織と「見るなの禁」結
著者
吉田 英嗣 須貝 俊彦 坂口 一
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.78, no.10, pp.649-660, 2005-09-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
23
被引用文献数
3 3

岩屑なだれをはじめとする大規模土砂供給イベントが,流域の長期的な地形発達に与える影響を評価する事例研究として,約2.4万年前に浅間火山で発生した大規模山体崩壊に由来する前橋泥流が達した利根川・吾妻川合流点付近を対象とし,河川地形発達史を考察した.本地域では最終氷期初頭以降,泥流流下時までの間,気候変動に対応した段丘発達過程がみられた.本地域に達した泥流は,5~6万年前までに段丘化した段丘面に衝突し,段丘面を覆うローム層を削剥しながら,これをのりこえていった.他方,利根川を遡上し,堆積した泥流堆積物は,速やかに河川に侵食されていった.最終氷期最盛期前後には,泥流堆積物が再堆積するなどして,下流側において小規模な谷埋めが生じ,晩氷期には側刻が卓越し,完新世に入ってから下刻が始まった.最終氷期最盛期以降の利根川本流の河床変動は,泥流イベントの影響を残しつつも,再び広域的な気候変動に対応してきたと考えられる.
著者
安井 昌之 吉田 宗人 玉置 哲也 谷口 泰徳 大田 喜一郎
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.745-751, 1997-08-01

カルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)は中枢神経組織(CNS)や骨で重要な役割をもつ。ミネラルが関与すると推定されているCNSの変性疾患として筋萎縮性側索硬化症(ALS)やparkinsonism-dementia(PD)が挙げられ,多発地のグアムや紀伊半島南部の環境分析で,河川,土壌中の低Ca・Mg,高アルミニウム(Al)が指摘されている。今回,低Ca・Mg,高Al食負荷によるラット大腿皮質骨,腰椎骨梁骨やCNSをはじめとする軟部組織と,ALS紀伊症例のCNSと,紀伊半島南部の脊椎靱帯石灰化症の脊椎骨と脊椎靱帯のMg,Ca量を分析し,それらの類似性について検討した。ALSと偏食ラットのCNSを含む軟部組織はCa含有量は増加,Mg量は低下した。また同様に,脊椎靱帯石灰化症の脊椎靱帯はCaは蓄積,Mgは低値であった。一方,偏食ラットの大腿骨,腰椎骨のCa,Mg含有量は対照群に比し有意に低下したが,脊椎靱帯石灰化症の脊椎骨でも対照群に比較し有意にCa,Mg含有量は低値を示した。以上のことから,紀伊半島南部の河川のCa,Mg量が低値であり,ALS同様,多発する脊椎靱帯石灰化症が,環境要因の影響を受けており,さらにミネラル関連疾患が存在する可能性が示唆された。
著者
吉田 啓志 増田 裕里 近藤 駿 井戸田 弦 永井 宏達
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1275-1279, 2021-11-15

要旨 【目的】自立歩行が可能な脳卒中患者における日本語版Physical Activity Scale for the Elderly(PASE)を使用した身体活動量評価の妥当性および信頼性を検証することである.【方法】妥当性は,対象者27名に対し,入院環境と生活環境においてPASEと3軸加速度計にて評価した身体活動量の相関係数にて基準関連妥当性を評価した.信頼性は,対象者19名に対し,級内相関係数(intraclass correlation coefficients:ICC)にて検者内信頼性を評価した.【結果】妥当性は,生活環境において高い妥当性を認めた(ρ=−0.40〜−0.67).信頼性においても,高い信頼性を認めた(ICC=0.98).【結論】自立歩行が可能な脳卒中患者におけるPASEを使用した身体活動量評価は,妥当性および信頼性とも良好であり,生活環境での応用が今後期待される.
著者
吉田義成 訳
出版者
新光社
巻号頁・発行日
1923