著者
宮下 智 和田 良広 鈴木 正則
出版者
日本橋学館大学
雑誌
紀要 (ISSN:13480154)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.41-51, 2012-03-01

近年、体幹筋に着目したトレーニング方法が注目されている。体幹筋をLocal muscles とGlobal muscles に分類し、Local muscles の活動性を高めるトレーニングが進められている。体幹の安定性を求める理由は、体幹安定が保証されることで、四肢に素早い正確な動きが期待でき、動作能力が向上すると考えられているからである。本研究は超音波診断装置を用い、腰部に違和感を経験し、腹横筋活動に何らかの影響があると考えられる8 名(年齢29.6±6.5 歳)を対象とし、4 つの運動課題下で、主要体幹筋である外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋、それぞれの筋厚を運動開始時と終了時に測定した。本研究で採用した4 つの運動課題のうち、double redcord training 課題の筋厚変化は、運動開始時には外腹斜筋よりも内腹斜筋の方が厚い傾向、運動終了時には腹横筋よりも内腹斜筋の方が厚くなることが認められた(p<0.05)。しかし個々の筋厚比率をdouble redcord training 運動課題の前後で検討すると、内腹斜筋は運動開始時より運動終了時に筋厚が減少する傾向があり、逆に腹横筋は運動開始時より運動終了時に筋厚が増加することが認められた(p<0.05)。このことからdouble redcord training 運動課題により、腹横筋の筋厚は増加し、内腹斜筋の筋厚は減少するというトレーニング効果を期待できる方法であると言える。他の運動課題では腹横筋の筋厚増加に伴い、内腹斜筋の筋厚も増加する(p<0.05)結果となった。運動により内腹斜筋厚が増加することは、Global muscles の活動量が上がることを示し、体幹トレーニングはLocal muscles の活性化が重要であることを考えると、従来の体幹筋トレーニングは、再検討が必要であると思われる。double redcord training 課題の特徴は、上下肢を共に吊り上げることにより、空中姿勢を保ち運動するのが特徴である。すなわち、不安定な運動環境の中で姿勢の安定性を求める高負荷な課題であると言える。この課題を正確に遂行するには、個々の筋肉は、速いスピードでの筋収縮が要求される上、関与する筋肉同士の協調ある筋収縮が求められる。Local Muscle である腹横筋が有効に働く、効果的な体幹トレーニングという観点から、double redcord training は画期的な体幹筋トレーニング方法であると結論づけた。
著者
南 裕介 中川 光弘 佐藤 鋭一 和田 恵治 石塚 吉浩
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.211-227, 2021-09-30 (Released:2021-10-29)
参考文献数
30

Meakandake Volcano is a post-caldera active stratovolcano located on the south-eastern rim of Akan Caldera, eastern Hokkaido, Japan. Recent eruptive activity has occurred in 1955-1960, 1988, 1996, 1998, 2006, and 2008 at Ponmachineshiri, which is one of several volcanic bodies that form the stratovolcano. These events indicate that Ponmachineshiri has a high potential for future eruptions. In order to better understand the hazards posed by Meakandake Volcano, this study focused on the modern eruptive activity of Ponmachineshiri during the last 1,000 years. The authors conducted field observations at outcrops in the summit area, excavation surveys on the volcanic flanks, component analysis for pyroclastic deposits, and radiocarbon dating for intercalated soil layers. As a result, at least four layers of pyroclastic fall deposits derived from Ponmachineshiri during the last 1,000 years were recognized, ranging from Volcanic Explosivity Index (VEI) levels of 1 to 2. In chronological order, the major pyroclastic fall deposits consist of Pon-1 (10th to 12th century; VEI 2), Pon-2 (13th to 14th century; VEI 2), Pon-3 (15th to 17th century; VEI 1), and Pon-4 (after AD 1739; VEI 1), with small-scale (VEI<1) phreatic and phreatomagmatic eruption deposits intercalated within Pon-1, Pon-2, and Pon-3 pyroclastic fall deposits. The presence of scoria and minor pumice in the Pon-1, Pon-2, and Pon-3 pyroclastic fall deposits suggests that these eruptions were phreatomagmatic events. On the other hand, the absence of juvenile materials in the Pon-4 pyroclastic fall deposits suggests that the activity was a phreatic eruption. The decreasing proportion of juvenile materials in eruptive deposits over the last 1,000 years is consistent with a reduced magma contribution and indicates that the development of the hydrothermal system is likely to play an important role in future eruption scenarios for Meakandake Volcano.
著者
仲野 宏紀 明石 直子 和田 知未 井出 恭子 井上 敦介 宮部 貴識 山内 一恭
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.261-265, 2021 (Released:2021-09-16)
参考文献数
15

せん妄は終末期がん患者の30〜40%に合併し,死亡直前は患者の90%がせん妄状態にあるとされるが,治療抵抗性で,嚥下困難や静脈確保困難により薬物投与経路が制限される場合も多い.今回,終末期がん患者のせん妄に対しアセナピン舌下錠の使用を経験したので報告する.緩和ケアチームが介入し,アセナピン舌下錠を投与した患者6名を対象とした.アセナピンは,せん妄による不穏に対し,他の抗精神病薬が無効あるいは使用できないために選択され,明らかな有害事象なく一定の鎮静効果を認めた.全例が嚥下あるいは呼吸機能障害のために,制御困難な呼吸困難や窒息感を合併していた.アセナピン舌下錠は,内服や静脈確保困難な終末期せん妄患者において,せん妄による不穏制御の選択肢の一つになりうると考える.
著者
和田 拓郎 五十嵐 圭里 松田 秀喜
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.405-410, 2007-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

塩化ナトリウム及び塩化カリウム濃度差が与えるしょうゆの味への影響について,官能検査と味覚センサーで評価解析し,その相関性について検討を行った。結果,塩化ナトリウム及び塩化カリウムの濃度差は味覚センサーにより識別され,主成分分析による解析で,それぞれの成分濃度の方向性が示された。主成分分析による解析から得られた成分濃度の方向性と,そのユーグリッド距離の計算結果は官能検査を支持した。さらにPLS回帰分析による解析結果においても官能検査との相関が具体的に認められた。このことにより,主成分分析及びユーグリッド距離の解析結果を指標として,減塩しょうゆの味質の違いを客観的に評価することができる可能性が示されたと考えられる。以上の結果を基に,この方法を用いて市販しょうゆに対し評価を実施した結果,官能検査を支持する味覚センサーの解析結果が得られた。
著者
田中 麗子 和田 康夫
出版者
協和企画
巻号頁・発行日
pp.482-487, 2019-05-01

伝染性膿痂疹は小児に好発する表在性細菌感染症である.夏季に多く虫刺されや外傷をきっかけに紅斑,水疱,びらんを生じる.水疱が飛び火するため,別名「とびひ」と呼ばれる.原因菌に黄色ブドウ球菌とA群β溶血性レンサ球菌があるが,近年メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)によるものが増加している.臨床像から水疱性膿痂疹と痂皮性膿痂疹に分類され,痂皮性膿痂疹は全身症状(発熱,所属リンパ節腫脹,咽頭発赤,咽頭痛など)を伴うことがある.従来,水疱性膿痂疹の場合は黄色ブドウ球菌,痂皮性膿痂疹の場合はA群β溶血性レンサ球菌がそれぞれ原因菌とされてきた.しかし,痂皮性膿痂疹では黄色ブドウ球菌とA群β溶血性レンサ球菌の両方が分離されることがあり,臨床像と原因菌は必ずしも一致しないとの報告もある1).また,原因菌がA群β溶血性レンサ球菌の場合は後日,糸球体腎炎を併発することがあるため尿検査が必要である.原因菌を特定することは治療や合併症を考えるうえで重要である. 伝染性膿痂疹はMRSAが原因となることがあり,治療に難渋することがある.起因菌がMRSAの際の抗菌薬選択には感受性試験結果が重要となるが,治療対象は小児である.小児には使用しづらい薬剤も多い.本稿では伝染性膿痂疹の治療として統計学的結果をもとに検討した.(「はじめに」より)
著者
川島 正敏 和田 耕治 久保 公平 大角 彰 吉川 徹 相澤 好治
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.155-161, 2009 (Released:2009-08-10)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

N95マスク(DS2マスク)の選択にあたってはフィットテストが必要である.しかし,40歳以下の女性についてはフィットする割合が低いことが指摘されており,マスクの構造上の改善の余地がある.多くのN95マスクは,ゴム紐のみで頭に固定されている.本研究では,口元の調節紐および立体接顔クッションを付属したN95マスクを40歳以下の女性が装着し,フィットする割合が向上するかを検討した.   20名を対象に,調節紐および接顔クッションを付属したN95マスクと,コントロールとしてゴム紐のみで装着するN95マスクを用いた.装着を行ったあと,マスクフィッティングテスターを用いてフィットテストを行い,漏れ率を測定した.   調節紐および接顔クッションを付属したN95マスクでは,普通呼吸において漏れ率が5.0%未満であった.しかし,ゴム紐のみで装着するN95マスクでは5人の漏れ率が5.0%以上であった.またフィットテストの過程で漏れ率が5.0%以上となったのは,調節紐および接顔クッションを付属したN95マスクでは3人であったが,ゴム紐のみで装着するN95マスクでは,11人であった.   本研究より,調節紐および接顔クッションを付属することにより,N95マスクのフィットする割合を向上できる可能性があると考えられる.
著者
及川 大輝 勝村 玲音 和田 雅樹 島原 広季 相原 貴明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.2F1GS10f04, 2021 (Released:2021-06-14)

現在、NTT東日本管内では年間約6万個のマンホールの点検を実施している。作業者が現地においてマンホール写真(鉄蓋および内部設備)を撮影し、集約センタにおいてそれら写真を用いた設備の良・不良判定を目視で実施している。昨年、私たちは集約センタにおける目視点検稼働の削減に向けて、CNNアルゴリズムの一つであるMask-RCNNを用いたマンホール内部の不良検出AIを作成し、検出精度について報告を行った。本取り組みでは、昨年度の知見を基に、マンホール鉄蓋の種別判定および不良箇所検出AIを作成し、その検出精度を検証した。検証の結果、鉄蓋種別判定ではマクロ平均再現率96%、マクロ平均適合率98%、不良箇所検出ではマクロ平均再現率90%、マクロ平均適合率70%となった。
著者
和田 敦彦
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.45-57, 2000

ここでは、書物対読者という関係を越えて、現代の多様な情報の様式の中で、それを理解、解読してゆく私たちの行為をどのように問題化してゆくべきかを考える。特に、その中でも急速に普及しつつあるビデオゲームと享受者の関係をとりあげ、その享受において見いだすことのできる独自の問題を明確にし、その検討を通して、現在の私たちの読書行為を考えるうえでの有効な視点、方法について考える。
著者
松井 太郎 中川 慶一 山﨑 啓史 和田 大司 角谷 真人 海田 賢一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001085, (Released:2017-12-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

症例は19歳女性.本人,母親にレイノー現象の既往がある.咽頭炎でロキソプロフェン(Loxoprofen; LP)を内服後,頭痛,悪心,発熱を生じ,その後意識障害,項部硬直が出現した.脳脊髄液検査にて単核球優位の細胞増多,蛋白上昇,Q albumin,IgG indexの上昇を認め,培養で病原体を認めなかった.血液・髄液で抗RNP抗体陽性.薬剤リンパ球刺激試験陰性.上記症状のLP中止後の速やかな改善から非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs; NSAIDs)誘発性無菌性髄膜炎と診断した.本例は抗RNP抗体等の自己免疫異常を背景としてLP投与が無菌性髄膜炎を誘発したと考えられた.若年女性の無菌性髄膜炎の鑑別では自己免疫異常の検索に加え服薬歴の聴取が重要である.
著者
和田 光弘 WADA Mitsuhiro
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
no.61, pp.141-163, 2015

図5、図6は都合により掲載しておりません
著者
和田 菜穂子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.86, no.781, pp.1167-1176, 2021 (Released:2021-03-30)

“Nakagin Capsule Tower Building” established in 1972 is a world well-known architecture as a symbol of Metabolism architecture designed by Kisho Kurokawa. The architect regards capsule as living cell which have to be replaced every 25 years in order to realize the recycle system of Metabolism architecture, but never exchanged. “Nakagin Capsule Tower Building” is apartment house for single man. Total 140 capsules are attached to the core shaft. At the same time, he designed his summer cottage “Capsule K” in Karuizawa consisted by 4 capsules as an experimental house. One of them is a tea room, because tea ceremony is his hobby. However, the metabolism movement came to be ended in the late 1970’s, he has continued to design tea room since he built traditional Sukiya Architecture “Kyoju-so” and tea house “Ritsumei-an” in 1979. Kurokawa put the new word “Hana-Suki” for the concept of new Sukiya architecture. Then, he built his own tea room “Yuishiki-an” in 1984 which named from the philosophy of Buddhism. Finally, his last tea room “Takiminoseki” was completed in 2000 collaborate with Japanese painter Hiroshi Senju which is into a concrete box. The author researched his capsule architecture, tea rooms and his texts to clarify his view of capsule and tea room and concluded the following fourpoints: 1. The expression of spoken and written words by Kisho Kurokawa are equal to the expression of architecture. He often created new words for showing his new concept of architecture and published over 100 books and had lectures. It was necessary for him to spread his new philosophy. 2. The fundamental philosophy of the architect was formed by the experience of young ages in Kanie city of Aichi prefecture during the World War II. He learned the Buddhism at junior and high school. For example, not only the name of his tea room “Yuishiki-an” but his main philosophy “Kyosei” is also inspired from Buddhism. He spent his young ages at tea room “Yoshitsu-an” in Kanie. His grandfather was “Sukisha” which is cultural person and Sukiya collector. His grandfather gave a great impact to young Kurokawa and he got the aesthetic eyes at small tea room of traditional Skiya architecture. It led to the concept of Capsule architecture to spend at the minimum space alone. 3. Japanese tradition gave him the inspiration for his new creation. Especially, tea room was regarded as the symbol of Japanese original culture. The concept of Japanese tradition was translated by Kurokawa and got reborn as contemporary architecture. 4. He prefer to use the word “Kochuu” for the minimum space in his late years around 2000. He designed “Takiminoseki” into the concrete box in 2000 which was similar to Capsule architecture. Although the material was different, the concept was the same as tea room at “Capsule K”. For him, the worldview of “Kochuu” which means to feel universe at minimum space, is important to express his concept. He realized the world view of “Kochuu” was unvarying concept and has continued from the beginning of his carrier since “Capsule K” was completed in 1973.
著者
稲垣 俊介 和田 裕一 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.089-092, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
8

対人依存欲求が高校生のインターネット(以下,ネット)利用の性差に及ぼす影響ついて検討した.ネット利用に関する項目として,ネットの利用時間やその利用内容,例えばLINE のトーク数やグループ数,Twitter のツイート数やアカウント数,ゲームの利用時間,さらにネット依存傾向の高低を調査対象とし,それらと対人依存欲求との関連を検討した.その結果,女子はネット利用と対人依存欲求に関連がみられたが,男子は特にその関連がみられなかった.これらの知見から,ネットでコミュニケーションを取る相手への態度や向き合い方に男女間で質的な違いがみられることが,高校生のネット利用やネット依存傾向の性差につながっている可能性が示唆された.