著者
坂本 朋美 芝 正己 川村 誠
出版者
森林利用学会
雑誌
森林利用学会誌 (ISSN:13423134)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.3-10, 2008-04-15

地域森林管理の担い手としての森林組合に期待が高まる中,日吉町森林組合における施業の団地化が注目を集めており,全国から研修が相次いでいる。本研究は,日吉型団地化施業の導入における現状と課題を明らかにし,他の森林組合への普及可能性を考察した。日吉町森林組合で研修を行った9森林組合に対し,日吉型団地化施業の導入状況と導入上の課題,導入に伴う変化を聞き取り調査した。その結果,5組合がほぼ同様の事業に着手,1組合は実践に向け準備中,3組合が導入を見送っていた。導入の有無には,所有者意識や優良材生産の有無など,各地域の林業をめぐる状況が大きく影響していた。導入に至った5組合には,研修前からの準備や他機関との連携などの共通点が見られた。団地化施業導入に伴う主な課題は,人材育成や職員間の連携など森林組合の体制の強化であった。また,団地化施業の導入に伴い,職員の意識や組合の体制に変化も見られ,日吉型団地化施業が単なる団地化促進策にとどまらず森林組合改革のきっかけになる可能性も示唆された。今後は地域の所有者意識や生産目標などを踏まえ,日吉とは異なる独自の施業法や見積りの立て方などを工夫していく必要がある。
著者
坂本 澄彦 晴山 雅人 細川 真澄男 高井 良尋 大川 智彦 堀内 淳一
出版者
東北大学
雑誌
がん特別研究
巻号頁・発行日
1992

基礎研究に於いては低線量全身照射とBRMとの併用によって免疫賦活効果が増強されるか否かの検討が行われた。先ずOK-432に就いてWHT/Htマウスの偏平上皮がんでは、照射2日前に投与した場合に、TD50アッセイによる実験結果は低線量全身照射による免疫賦活効果が増強される事が示された。又、C3H/Heマウスの繊維肉腫を使用し、腫瘍成長曲線を用いてOK-432と低線量全身照射の併用効果を検討した実験でも同しような結果が得られた。一方、放射線照射によるサイトカイン産生能に及ぼす影響を検討しているが、未だ予備実験の段階であるが、IL-2産生能は0.1Gy,1Gy,3Gyの全身照射で何れも強く抑制され、TNF産生能は3Gyで約2倍に増強されていると言う結果を得ている。次にがん細胞膜に於けるYH206矢CEAのような腫瘍関連抗原、主要組織適合抗原の1つであるMHC Class-I及び接着分子の最も代表的なICAM-Iが放射線照射によって高まる事が分かった。次に、臨床研究に於いては、I及びII期の非ホジキンリンパ腫94例の解析を行い、全身及び半身照射と局所照射の併用群と局所照射単独群との効果が比較検討された。その結果は全身または半身照射併用群では、未だ観察期間は十分ではないが、I期、II期共に明らかに良好な結果を予想させるものがある。組織型をintermediate gradeに限定すると併用群と非併用群との間に統計的有意差が認められている。次に、低線量全身または半身照射が行われた肺癌、子宮頚癌、食道癌、悪性リンパ腫などについて、その副作用を検討したが、全例で白血球、リンパ球、血小板の著明な減少とか、悪心、嘔吐などの副作用は認められない事、が明らかになった。次年度には悪性リンパ腫以外の腫瘍に対する全身照射と局所照射の結果が、出てくる予定である。
著者
坂本 美穂 竹葉 和江 笹本 剛生 草野 友子 林 洋 金井 節子 神田 真軌 永山 敏廣
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.51-58, 2011
被引用文献数
13

LC-MS/MSを用いて,鮭および蜂蜜中のジメトリダゾール,メトロニダゾールおよびロニダゾールの分析法を検討した.各薬剤を酢酸エチルで抽出した後,シリカゲルカートリッジカラムを用いて精製を行った.測定は各薬剤の安定同位体標識標準品を用いて,SRMモードで行った.鮭および蜂蜜に0.4~2 μg/kgとなるように各薬剤を添加して,添加回収試験を実施したところ, 回収率91.2~107.0%,併行精度1.7~17.1%,室内精度20% 未満であった.鮭および蜂蜜中の各薬剤の検出限界は0.05~0.2 μg/kgであった.本法を鮭3試料,蜂蜜20試料に適用したところ,食品衛生法上,違反になる検体は認められなかった.
著者
坂本 洋子 森本 淳子 藤野 ユリ子
出版者
日本赤十字九州国際看護大学
雑誌
日本赤十字九州国際看護大学intramural research report (ISSN:13478877)
巻号頁・発行日
no.4, pp.160-170, 2005

集中内観法の有効性に関する事例研究は多く見られるが、集団的に調査をした研究は非常に少なく思われる。そこで15ケ月間にM内観研修所を訪れた内観研修参加者のうち研究協力に同意の得られた265名を対象に調査研究を行った。研究の主たる目的は、参加者の参加動機、内観法実施の前後における感情や意識の変化の状況、内観過程中の辛かった時期やその時の感情や意識、気持の変化が現れたときの状況などを検討し、自己変容の心理的要因を明らかにすることにある。結果として、内観参加者は男女ほぼ同率、各年代による参加に大差はないが、やや20代女性が多く、60歳以上の参加は非常に少なかった。内観過程おいて、心理的身体的苦痛は90.2%の人にあり、2日目頃から起こり3日目がそのピークとなる。苦痛は、雑念が浮かんで内観の深まらない辛さが最も多く、他に内観実施に対する疑問、抵抗,被拘禁感、逃げ出したい気持、内観の進展に伴って起こる自分の醜さ、情けなさを知る辛さ等があった。しかし耐えて続けて実施することにより、後期には84.2%の人に心の変化が現れている。気持の安らぎ、自己覚知と他者理解、ものの見方、見え方の変化が現れ、終了後多くが、達成・成就感、清明感、自己肯定を得ることができていた。
著者
江原 由美子 樫村 志郎 西阪 仰 藤村 正之 山崎 敬一 山田 富秋 椎野 信雄 坂本 佳鶴恵
出版者
東京都立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

初年度においては文献研究と研究計画の決定のための研究活動をおこない、第二年度においてはその研究計画に基き調査を実施した。最終年度においては、それらをもとに、研究成果を論文化することを主要な課題とし、研究報告書の作成に着手した。本研究の性格上、収集したデータの分析は、今後も継続して行われると思われるが、報告書作成段階において得られた知見を以下に挙げる。第一に、対面的相互行存状況においては、状況内にある参与者の身体(視線、顔、身体の向き、参与者相互の身体配置等)が相互行存進行の上で非常に重要な意味をもっていること。第二に、特定の制度的文脈においては、特定の相互行存的特徴がみられること.第三に、特定の制度的文脈において発生する会話トピックには、一定の範域があり、その範域をコントロールしようとする参与者の実践がみられること。第四に、それらの特定の制度的な文脈における相互行存の特徴は、相互行存参与者の、「協働的達成」として成立していること。これらの知見は、社会秩序それじたいが、行存者の「協働的達成」として成立していることを明らかにしている。社会秩序の「協働的達成」のための身体技術に関しては、その一部を報告書において明らかにしたが、今後さらに詳細な研究が必要である。
著者
坂本 めぐみ 兼宗 美幸 工藤 里香 那須野 順子 鈴木 幸子 萱場 一則
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.73-77, 2010

【目的】県民の健康づくりの施策として大型ショッピングセンターで展開している埼玉県民の健康支援施設「埼玉県まちなか保健室」の認知度と活用方法と、大型ショッピングセンターを活用した女性の健康支援の方法を明らかにする。【方法】ショッピングセンターを利用する、成人女性および子育て世代の女性233名に対して、自記式質問紙調査を実施した。【結果】まちなか保健室は全体の7.6%が知っていたが今後の利用希望者は55.6%であった。女性の健康事業の希望内容は、マンモグラフィー、骨密度、婦人科疾患相談が多かった。また育児支援希望では、簡単な子ども向け朝食作り、子どもの病気の応急手当、母親のリラックスサービスへの希望が多かった。更年期以降の成人女性と子育て期の女性では希望に差がみられた。【結論】大型ショッピングセンターにおける女性の健康の支援サービスと子育て支援の可能性が示唆された。
著者
坂本 規彰
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (医学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6227号)
著者
坂本 和崇 板倉 直明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.189-198, 2009-02-01
被引用文献数
2

多くの視線入力インタフェースで使われる光学的眼球運動測定装置は一般的に高価であり,使用者の頭部を拘束する必要がある.そこで我々は使用者の頭部拘束を回避し,また安価に構築できる,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)と交流増幅した眼電図(EOG)を用いた視線入力インタフェースを提案してきた.しかし眼球垂直方向移動時の眼電図は雑音に弱いため利用できず,注視領域判定が眼球水平方向移動に限られていた.そこで本論文では,眼球斜め方向移動を用いた新しい注視領域判定手法を開発した.これは垂直方向の眼電図の解析区間を眼球水平方向移動付近に限定することで,雑音に影響されることなく眼球移動によって生じた信号を抽出する方法である.この手法を用いることによって眼球斜め方向移動時の注視領域判定が可能となり,従来のインタフェースに比べて選択肢数を倍増させた視線入力インタフェースの開発に成功した.
著者
坂本 良輔
出版者
東京大学大学院新領域創成科学研究科環境学研究系環境システム学専攻
巻号頁・発行日
2011-03-24

報告番号: ; 学位授与年月日: 2011-03-24 ; 学位の種別: 修士 ; 学位の種類: 修士(環境学) ; 学位記番号: 修創域第3927号 ; 研究科・専攻: 新領域創成科学研究科環境学研究系環境システム学専攻
著者
坂本 鐘期 東条 敏
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.9, pp.1-6, 2009-05-14

音楽理論 Tonal Pitch Space(TPS)¹⁾ では和音間の距離を定量的に求めることができる.本稿では,TPS における和音感の距離が調性や機能によっても変動することに着目した和声解析手法について論じる.The theory of Tonal Pitch Space (TPS) enables us to quantify the distance between chords. In this paper, we present a harmony analysis based on TPS in which the metrical distance of chords reflects the difference of keys and functions.
著者
蒲谷 宏 坂本 恵
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-44, 1991-03-25

日本語教育における待遇表現教育について, その現状と問題点, 「待遇表現」の捉え方, 待遇表現教育のあり方の点から考察した.本稿では「待遇表現」を「表現主体」が, ある「表現意図」を, 「自分」・「相手」・「話題の人物」相互間の関係, 「表現場」の状況・雰囲気, 「表現形態」等を考慮し, それらに応じた「表現題材」, 「表現内容」, 「表現方法」を用いて, 表現する言語行為であると捉えた.このような観点から待遇表現行為の教育のために, 待遇表現に段階性を考え, 表現意図と言葉を繋ぐものとして「表現機能」を考え, さらに具体的な表現を選ぶまでの「方略」を示すという教育方針を提案した.
著者
坂本 友子 由比 顕之介
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 自然科学編 (ISSN:0916216X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.31-40, 1997-03

幹線道路沿いの二酸化炭素濃度に及ぼす交通量との要因の関与を解明するために、また北部九州にある2都市の地勢、気象要因、交通量が二酸化炭素濃度に与える影響を解明するために、北九州市31ケ所、福岡市11ケ所におけるテドラバック水酸化バリウム法による二酸化炭素濃度の測定を行い次の結論を得た。1.北九州市の住宅地における幹線道路沿いの二酸化炭素濃度を測定の結果、国道3号線沿いでは384ppm、199号線沿いでは381ppmであった。両国道の値は近似していた。また道路沿いのマンション屋上(30m)での二酸化炭素濃度は406ppmで国道沿いの平地(1.5m〜2.0m)と差が見られなかった。2.交通量に差がある北九州市と福岡市についての昼及び夜の二酸化炭素濃度は、北九州市の昼間の二酸化炭素濃度は375ppm、夜間は432ppmで昼間より夜間に高い値を示した。一方福岡市においては昼間は409ppm、夜間は374ppmであり交通量との間に有意な相関が見られた。北九州市では交通量が減少する夜間に二酸化炭素濃度の有意な増加が見られたことから、交通量の影響は小さいことが考えられ、他の要因が影響したものと考えられた。3.福岡市では風向が東または南東の風のとき二酸化炭素濃度が高値を示し、北九州市では北または北西の風のときに二酸化炭素濃度が高値を示した。風力に関しては両市とも風速2.1m/s以上のときに二酸化炭素濃度は低下し、北九州市では有意の低下を示した。降雨については両市とも降雨の後に有意な低下が見られたが、緑化率が60%の北九州市の方が福岡市より低下が大きかった。福岡市では気象条件による二酸化炭素濃度の変動は少なかったが、北九州市では降雨、風力、風向のすべてと関係が見られた。北九州市と福岡市の変動要因には差があり、都市によってそれぞれ地域特異性があるものと考えられた。
著者
坂本 充
出版者
流通経済大学
雑誌
流通経済大学スポーツ健康科学部紀要 (ISSN:18829759)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.115-122, 2008-03
著者
坂本 つや子 Sakamoto Tsuyako
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
no.27, pp.179-189, 2010

Constance Brown Kuriyama による Christopher Marlowe の伝記研究は、 John Bakeless に始まる、ヴィクトリア期以降マーロウ研究が盛んになって以来、次々に発見される資料をもとにした実証的研究の流れに沿っている。しかしクリヤマは膨大ではあっても、断片的な資料に基づいて過去の人物像を再構築する際に陥りがちな、先入観による事実歪曲の危険性についても認識している。クリヤマはカンタべリにおけるマーロウの一族とキングズ・スクールの教師、ケンブリッジ時代以降の友人や周辺の人々、ケンブリッジの頃から繋がりがあったと考えられる国務長官サー・フランシス・ウォルシンガムおよびバーリー卿父子、ロンドンの劇場関係者たち、およびパトロンであったトマス・ウォルシンガムやストレンジ卿、あるいはサー・ウォルター・ローリーおよびノーサンバランド伯爵等、マーロウの人生にかかわった人々との関係性について綿密に分析を行い、マーロウの人生の謎の部分について、極めて理性的な考証を行っている。
著者
坂本 望 大谷 拓哉 新小田 幸一 前島 洋 吉村 理 飛松 好子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.45-51, 2007-04-20
被引用文献数
1

認知症高齢者の易転倒が認知機能の低下によるものか,運動機能低下によるものか明らかにするために,認知症高齢者の外乱に対する反応を調べた。対象は認知症を有する高齢者(認知症群)10名と認知症を有さない高齢者(対照群)7名であった。外乱は移動速度100mm/s,移動距離50mmの床面の前方向への水平移動とした。この外乱を予告なしに5回加えた時の,足圧中心と前脛骨筋,大腿直筋の筋電図のアナログ信号を2000Hzでサンプリングし,A/D変換を行った。足圧中心データから足圧中心移動距離,足圧中心応答時間,筋電図データから各筋の潜時,潜時から500ms間(O-500ms間),及びその後の500ms間(500-1000ms間)における各筋の%筋電図積分値を算出した。足圧中心移動距離,500-1000ms間の前脛骨筋%筋電図積分値において,認知症群は対照群と比較し,有意に小さい値を示した。一方,足圧中心応答時間,各筋の潜時,0-500ms間における前脛骨筋,大腿直筋,500-1000ms間における大腿直筋の%筋電図積分値において2群間に有意差は認められなかった。これらの結果から,認知症群は対照群と比較し,外乱に対する反応への遅延を引き起こしていないことが明らかとなった。しかし,足圧中心を移動させず,少ない前脛骨筋の活動量で立位保持を行っていた。
著者
有馬 繁治 坂本 安弘
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.127, no.4, pp.234-237, 2007
被引用文献数
4

本記事に「抄録」はありません。