著者
月本 一郎 塙 嘉之 高久 史麿 浅野 茂隆 上田 一博 土田 昌宏 佐藤 武幸 大平 睦郎 星 順隆 西平 浩一 中畑 龍俊 今宿 晋作 秋山 祐一 櫻井 實 宮崎 澄雄 堺 薫 内海 治郎 黒梅 恭芳 古川 利温 山本 圭子 関根 勇夫 麦島 秀雄 矢田 純一 中沢 真平 小出 亮 加藤 俊一 金子 隆 松山 秀介 堀部 敬三 小西 省三郎 多和 昭雄 筒井 孟 高上 洋一 田坂 英子 植田 浩司
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.1647-1655, 1990 (Released:2009-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
3

Recombinant human granulocyte colony-stimulating factor (rG-CSF), produced by Chinese hamster ovary cells, was administered in 69 chemotherapy-induced neutropenic pediatric patients (pts) with malignant tumors. Each pt received two cycles of the same chemotherapy and had neutropenia with absolute neutrophil counts (ANC) <500/μl in the first cycle. Initiating 72 hours after termination of chemotherapy in the second cycle, rG-CSF (2 μg/kg/day) was given subcutaneously or intravenously to each pt for 10 days. rG-CSF significantly increased ANC at nadir; 72±14 vs. 206±40/μl (data in the first cycle vs. data in the second cycle, respectively), and reduced the period of neutropenia with ANC<500/μl; 9.7±0.6 vs. 5.1±0.6 days, and the period for restoration to ANC≥1,000/μl after initiation of chemotherapy; 25.5±0.6 vs. 17.5±0.9 days. rG-CSF did not affect other components of peripheral blood. The number of days with fever ≥38°C was significantly reduced by rG-CSF treatment. Neck pain and lumbago were observed in one pt, polakysuria in one pt, and elevation of the serum levels of LDH and uric acid in one pt, however these were mild to moderate, transient, and resolved without any specific treatment. We concluded that rG-CSF was effective in neutropenia induced by intensive chemotherapy for malignant tumors without any serious side effects.
著者
赤堀 雅幸
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.165-168, 2009-09-30 (Released:2014-03-31)
被引用文献数
1 1
著者
堀内 進之介
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.169-185, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
45

ビッグデータを解析する情報処理技術の高度化を背景に,評価対象の動向を合理的な精度で予測するアルゴリズムの開発が進んでいる。金融分野では,FinanceとTechnologyを融合させた〈FinTech〉と総称される企業やサービスが,この技術によって顧客の与信管理を自動化したことで,多くの人びとが金融サービスにアクセス可能になった。治安維持や司法の現場でもビッグデータを解析し,将来,誰が被害者や加害者となる蓋然性が高いかを評価する予測アルゴリズムの導入が進んでおり,犯罪予測や予測的ポリシングが常態化しつつある。予測アルゴリズムは多くの恩恵をもたらしているが,他方では,さまざまな人間活動や決定がビッグデータを基にした予測によって影響を受け始めており,自由な活動や決定を委縮させる可能性が増している。そこで,本稿では〈ビッグデータによる予測〉の実態を,特に与信管理との関係を中心にケーススタディとして考察する。この考察では,まず個人のライフチャンスへの影響について,いくつかの事例を取り上げ,それらに共通すると思われる諸問題を整理・検討する。その上で,それら諸問題に関する個人的および社会的な対策にはどのような課題があるかを明らかにする。そして最後に,諸問題の是正には既存の対策に加え,特に何が検討されるべきか,その論点を提示する。
著者
山家 芳子 堀 裕 竹能 清俊
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.383-387, 1992
被引用文献数
10

栽培バラ, 品種インスピレーションとノイバラの種子発芽阻害におけるアブシジン酸 (ABA) の関与を調べた. 25&deg;C, 連続白色光照射下で, 果皮に包まれた種子 (単果) はまつたく発芽しなかったが, 単果から摘出した種子は高い発芽率を示した. 一度分離した果皮を一緒におくと摘出種子の発芽率は低下した. このとき, 単果, 種子, 種子+果皮から発芽床の水に溶出したABAを酵素イムノアッセイで定量したところ, ABA含量は単果で最も高く, 種子で最も低かった. 底部に多数の穴を開けた発泡スチロール製の平底容器に単果を並べ, 容器をビーカー中の蒸留水の表面に浮かべ,スターラーで水を攪拌して, 好気的な条件の下で単果を水洗したところ, 単果の発芽率は著しく高まった.このとき, 水に活性炭を加えると発芽率はさらに高まったが, poly-N-vinylpyrrolidone (ポリクラーAT) を加えても効果はなかった. このような活性炭を使ったリーチングによる単果の発芽率の改善は, 5&deg;Cで行ったときに顕著であった. これらの結果から, バラ単果の発芽は果皮に存在するABAによって阻害されており,活性炭を使ったリーチングは, 果皮からABAを効率よく溶出することによって発芽を促進したものと考えられる.
著者
西堀 正洋
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.151, no.1, pp.4-8, 2018 (Released:2018-01-10)
参考文献数
19
被引用文献数
6

20世紀末にエンドトキシン血症の致死性メディエーターとして同定されたhigh mobility group box-1(HMGB1)は,その後約15年間の研究で種々の炎症性疾患における病態の形成に重要な働きをすることが明らかにされてきた.現在では,組織損傷に応じて細胞外へ放出され,起炎性の作用を発揮するdamage-associated molecular patterns(DAMPs)の代表と考えられるようになった.本稿では,筆者らが取り組んできたHMGB1の中和活性を有するラット抗HMGB1単クローン抗体の作製をまず紹介する.次いで,本抗体を用いた神経系疾患,具体的には脳卒中(脳梗塞,脳出血),脳外傷,てんかん,神経因性疼痛モデルでの治療効果の解析結果を報告する.これら一見多様な疾患モデルにおいて,障害局所の神経細胞核からHMGB1が細胞質を経て細胞外へ放出されるのが,障害急性期に共通するイベントとして観察された.細胞外へ放出されたHMGB1は,血液脳関門(BBB)の破綻と炎症関連分子群の誘導に働き,脳内炎症を加速させた.末梢投与された抗HMGB1抗体は,いずれの病態モデルにおいてもHMGB1のトランスロケーション,BBBの破綻,炎症関連分子群の発現のすべてを強く抑制し,障害に随伴する神経症状を軽減した.これらの結果は,HMGB1が脳組織障害に際し極めて鋭敏かつ迅速に動員される因子であることを物語るとともに,BBB破綻や炎症性因子の誘導の最上流付近に位置する因子であることを示唆している.従ってHMGB1は,これらの疾患治療の極めて優れた標的であるということができ,HMGB1を標的とする抗体療法は,これまでにない新しい治療法となる可能性がある.
著者
藤田 信子 仙波 恵美子 行岡 正雄 寒 重之 柴田 政彦 高井 範子 堀 竜次 池田 耕二 高橋 紀代
出版者
大阪行岡医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、線維筋痛症患者を対象とした短期集中型運動プログラムが、身体、認知、心理に与える影響を調査するとともに、脳内ネットワークの変化との関連性を検証することにある。平成31年3月までに合計13名の患者の運動療法、評価、計測を終了し、分析を行っている。2018年の第23回日本ペインリハビリテーション学会学術学会では、2演題を報告した。発表では高齢FM患者に対する短期集中型運動プログラムが疼痛、抑うつ、QOLの改善につながり、背外側前頭前野(DLPFC)の血流量の質的、量的な脳活動変化を伴ったこと、理学療法士が患者の不安傾向を踏まえ、運動内容を漸増的に行っていたことや規則正しい生活を守らせたことが運動療法の導入と継続につながったことを報告した。慢性痛改善に対する運動療法の効果(EIH)については、慢性痛患者の広範な脳領域の機能障害の発生機序と運動介入効果の機序を解明していくことが重要である。今年度、慢性痛における脳内ネットワークとEIHの機序について、第40回日本疼痛学会(仙波)、Nep Academy、17th World Congress on Pain(仙波)、第11回痛み研究会(仙波)で講演を行った。また、EIHに関する総説を大阪行岡医療大学紀要(仙波)、ペインクリニック(仙波)、Clinical Neuroscience(仙波)、日本臨床(藤田、仙波)、モダンフィジシャン(仙波)で執筆した。本研究のMRI画像の分析結果については、本研究の研究者間で情報共有のために研修会を開き、「線筋痛症に対する運動療法の効果のrs-fMRIによる検討」(寒)で運動プログラム介入前後の機能的結合について健康成人との比較、また患者の運動プログラム介入前後の比較でみられた頭頂葉や側頭葉の機能的結合の変化などが報告された。
著者
堀内 善信 戸田 眞佐子 大久保 幸枝 原 征彦 島村 忠勝
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.599-605, 1992-05-20 (Released:2011-09-07)
参考文献数
20
被引用文献数
7 8

茶およびカテキンの百日咳に対する感染防御の可能性を, 百日咳菌に対する殺菌活性, 菌の培養細胞への付着に対する抑制作用および百日咳毒素のリンパ球増多 (Lymphocytosis promoting, LP) 活性に対する不活化作用を指標として検討した.殺菌活性については, いずれも濃度依存的であり, 緑茶, 紅茶およびコーヒーは, それぞれ常用飲用濃度 (5%) で, 百日咳菌に対して強い殺菌活性を示した.プアール茶も比較的弱いながら殺菌活性を示した. (-) エピガロカテキンガレート (EGCg) およびテアフラビンジガレート (TF3) の殺菌活性は強く, 1mg/mlで24時間以内に百日咳菌を完全に殺菌した.HeLa細胞およびCHO細胞への百日咳菌の付着能に対する抑制作用を検討したところ, EGCgやTF3は全く抑制を示さなかった.これに対し, 緑茶および紅茶は, 培養細胞への菌の付着を強く抑制した.百日咳毒素のLP活性不活化作用は, 細胞への百日咳菌の付着抑制とは逆で, 1%で緑茶が全く作用を示さず, また紅茶でもわずかな不活化作用しか示さなかった.一方, EGCgおよびTF3は100μg/mlで強い不活化作用を示し, なかでもTF3の不活化作用は顕著であった.以上の結果から茶, EGCgおよびTF3には百日咳防御に関して, 興味ある活性のあることが示された.
著者
堀尾 佳以
出版者
北見工業大学
雑誌
人間科學研究
巻号頁・発行日
vol.6, pp.59-71, 2010-03

This study is an attempt to solve the problem of the distinction in usebetween the honorific prefixes O- and GO- which have not been studied verymuch before. It is normally said that the prefix GO- must be used with akanji word immediately before it、 but actually there are some kanji wordswith the prefix O-、 which have been thought of as exceptions. In thisstudy we will prove that the semantics of all the exceptional kanji wordswith the prefix O- is considered as a tool or an instrument.
著者
宇都宮 高賢 柴田 興彦 菊田 信一 堀地 義広
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.169-174, 2005-03-01
参考文献数
26
被引用文献数
1

難治性の慢性直腸肛門痛症例,男性19人,女性42人について肛門管内を双極刺激電極を挿入し低周波電気刺激を週1~2回,一回5分間行いその効果について検討した.これら症例のうち男性9人,女性12人について低周波電気刺激前後における左側肛門管組織血流量の測定を行った.症例の肛門内圧検査を行い随意最大収縮圧100mmHg以上の症例(機能正常群)と100mmHg以下(機能低下群)に分けて検討した.男性では,機能正常群が多く,女性では機能低下群が多かったが,慢性直腸肛門痛との関連はなかった.痛みが消失するまでの刺激回数は平均3.5±1.6回であり,98%に効果を認め,59%に痛みの完全消失が得られた.肛門管組織血流量,血流速度は低周波電気刺激により男性で64%,女性で33%の有意な増加がみられた(p<0.Ol).肛門管内低周波電気刺激は,慢性直腸肛門痛症例に対して簡便有効な治療方法であった.
著者
宮田 幹夫 奥 英弘 福島 一哉 堀内 浩史 難波 龍人
出版者
北里大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1990

スギ花粉症の増加が近年種々話題になってきている。今回実験スギ花粉症におよぼす生活環境因子の検討を試みた。その結果身近な環境汚染物質りある、有機燐殺虫剤、有機燐除草剤、トリハロメタン、パラジクロロベンゼン、タバコ煙、食品色素としてタートラジン、および赤色3号、食品酸化防止剤などがスギ花粉によるモルモットのアレルギー性結膜炎を増悪させることが判明した。しかもそれらの増悪を引き起こす濃度はppmまたはppbレベルという極めて微量な濃度であった。むしろ高濃度ではその増悪作用はやや弱い傾向があった。これらの結果は従来の古典的な中毒学の細胞の変性、死を目標とする濃度とはまったく異なり、免疫系への毒性は極めて低濃度でその毒性が発揮されているのが分かる。いまだそれらの混合負荷、すなわちtotal body burdenに関する実験は行っていないが、今後の研究課題も残ったままである。なお実験経過中に化学的環境のみでなく、物理学的環境にも眼を向ける必要性があるかと思われ、VDT作業で問題となるCRT画面曝露の影響を観察したが、機械的は角膜上皮障害のみでなく、CRT曝露によるアレルギー性結膜炎の著しい増悪作用が認められた。CRT画面からは低周波の電磁波が放射されており、各波長による電磁波の影響が今後の研究課題としてのこった。近年の花粉症の増加の原因をスギ花粉の増加に求めようとするのは余りにも非科学的な発想であり、むしろ生活環境の変化に求めるべきである、今回の実験から免疫系に及ぼす環境因子の重要性を明らかになし得た。
著者
堀田 かおり
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度は、研究実施3年目である。昨年度までは、本研究に関連する先行研究の文献検討等を行い、その成果を日本地域看護学会で発表した。また、本年度は、男性高齢者が地域で健康に生活を送るための強みを明らかにし、主体的な健康づくりを支援するあり方を検討するために、7名の男性高齢者を対象にフォトボイスの手法を用いて調査を行った。フォトボイスとは、住民が一定のテーマで写真を撮影して説明を付け、その写真と説明をもとにグループで討議をすることによって地域の強みや課題を共有し、解決方法を住民自らが発見する手法であり、地域住民と研究者がともに取り組む活動である。各対象者が「自分らしい健康的な生活するために取り組んでいることまたは関心を持っていること」を男性高齢者の強みとして定義し、日常生活の中で強みであると考えられる場面を写真撮影した。その後、各自で撮影した写真を持ち寄り、写真を示しながら写真が写し出しているものや生活との関係性を紹介した。それらの紹介をもとに「自分らしく健康的に生活を送るためには何ができるのか」について90分程度のグループ討議を1回行った。このグループ討議の内容を分析し、考察することによって、男性高齢者が主体的な健康づくりを行うために保健師が実施する支援のあり方を検討できると考えられる。また、男性高齢者が健康的で自立した生活を送り、住み慣れた地域社会で活躍することは、生きがいの形成にもつながり健康寿命の延伸にも寄与すると考えられる。
著者
閻 琳 堀内 孝
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.99-108, 2017-11-01 (Released:2017-11-04)
参考文献数
17

本研究の目的は,自己決定理論に立脚することにより,在日外国人留学生を対象としたアルバイト動機づけ尺度を作成することである。本調査Iでは,予備調査で選定された40項目に対して,在日外国人留学生に回答を求めた。因子分析の結果,アルバイト動機づけ尺度は「内発的調整」「統合的調整」「同一化的調整」「取り入れ的調整」「外的調整」の5つの下位因子から構成されることが示された。また,因子間相関から,理論的に近い動機づけタイプどうしの方が,相関係数が高いことが確認された。さらに,職務満足度尺度との相関係数は,自己決定性の高い動機づけの方が高い値を示した。本調査IIでは,再検査信頼性も一定の水準であることが示された。以上の結果は,本研究で作成した尺度が一定の信頼性と妥当性を有し,職務満足度を予測することを示すものである。
著者
堀江 帰一
出版者
慶應義塾理財学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.17, no.10, pp.1611(1)-1632(22), 1923-12

論説
著者
吉崎 浩一 野瀬 弘之 鈴木 優司 近藤 則央 前田 淳一 堀井 修 飯井 サト子 牧村 士郎 寺井 継男 東 弘志
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.630-637, 1999-11-30 (Released:2011-08-11)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

上部消化管造影検査で高濃度バリウムを使用するにあたっての前調査として, バリウム飲用による副作用及びその服用感がバリウム濃度及びその性状によりどのように変化するかアンケート調査を行い検討した。副作用は, バリウム濃度上昇に伴い増加したが, 何れも一過性のものであり, 医療機関で治療を要した例はなかった。さらに, 便秘群と通常群に分けて検討したが, 便秘群では通常群より低い濃度で副作用の割合が増え, 排泄状況に関しても便の硬化や排泄の遅延などが認められた。バリウム便の排泄は, 基本的には普段の排便状況と一致し, 濃度増加による影響をあまり受けないものと思われた。下剤の有無による排便状況の調査では, 下剤の服用が必ずしも良好な排泄につながっておらず, 今後下剤を服用するタイミングや水分摂取等に関する検討が必要であると思われた。バリウムの飲み易さは, バリウムを選択する際の要素の一つと考えられるため, その服用感に関して調査したが, 濃度の差よりその性状に起因することが明らかになった。これらの結果より高濃度バリウムを使用するに当たり, 副作用出現を抑制するためには特に便秘群において適切な指導をする必要があると思われた。
著者
中西 利典 木村 治夫 松山 尚典 ホン ワン 堀川 義之 越後 智雄 北田 奈緒子 竹村 恵二
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.163-173, 2019-04-01 (Released:2019-06-04)
参考文献数
29

中央構造線活断層系の西端に位置する別府湾は,およそ5Maから沈降場にある.その南縁の府内断層は同堆積盆を構成する主要な正断層である.その活動性を評価するために,断層を挟んで掘削された7本のボーリングコア試料を用いて,堆積相解析,珪藻化石の群集組成解析,合計17試料の陸源植物片と4試料の海生炭酸塩の放射性炭素年代測定を実施した.それらの解析結果を基にして,デルタフロント相,デルタプレーン相,人工盛土相を認定した.これらの堆積構造と変形構造は地中レーダ探査によって可視化された.これらの結果,デルタプレーン相の最上部の泥層の堆積年代と珪藻化石群集を基にして800~400calBPの最新活動を認定した.デルタフロント相の泥層の上下変位量を基にして2,100calBP頃の活動も認定した.これらからおよそ1,700年の再来間隔が計算できる.