著者
壁矢 健司 佐藤 宏樹 堀 里子 三木 晶子 三浦 康正 澤田 康文
出版者
一般社団法人 日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.49-56, 2019-08-31 (Released:2019-10-10)
参考文献数
12

Objective:Marketing specialists (MSs) from pharmaceutical wholesalers might shore up post-marketing surveillance (PMS) by pharmaceutical manufacturers. The purposes of this study were as follows: to research problems in PMS found by market specialists, to find solutions for these problems, and motivating MSs to work on PMS. Methods: We conducted a workshop with 12 MSs, who were already working on PMS operations. Participants were divided into three groups. Each group discussed problems with their PMS operations using the KJ method, discussed the potential solutions for the problems, and finally presented them in a plenary debate session. Questionnaire surveys were conducted for the participants before, immediately after, and 6 months after the workshop. Results: This workshop revealed two crucial and urgent problems on PMS faced by MSs: lack of feedbacks to clinical site and lack of publicity of the significance of PMS by MSs. Several solutions were suggested: browsing system of collected information, publication of the stages of improvement in pharmaceutical preparations and packaging, and distributing leaflets about PMS by MSs. In addition, this workshop conferred a positive influence on the participants: in the post-workshop questionnaires, most of the participants answered that they could well understand the problems (92%) and the solutions (75%) on PMS, and that they could improve their attitudes toward PMS operations (83%). . Conclusion: This workshop was quite effective for most of the participants in searching the problems, considering the solutions, and improving their attitudes. Organization of several such workshops might result in better PMS by MSs.
著者
山本 成一 中村 遼 上野 幸杜 堀場 勝広 関谷 勇司
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_46-3_57, 2015-07-24 (Released:2015-09-24)

インターネット接続が普及し,さまざまな場面でネットワーク技術が利用されるようになった.しかしながら,その運用形態は進化していない.機器毎の固有の設定を個別に実施する旧来からの手法にとどまっている.研究レベルでは,いくつかの提案がされているが,現在のネットワーク利用に対し,実用的な運用レベルの要求を満たすものではない.本研究では,新しい運用管理アーキテクチャGINEW (General Integrated Network EngineeringWorkbox)を提案した.そのプロトタイプ実装の適用結果を報告する.
著者
天野 秀臣 野田 宏行 堀口 吉重
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1279-1282, 1980-10-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

“Hoshinori”, or dried sheet made of the laver Porphyra spp., turns into appetizing green when roasted. The green color usually remains for many days when moistened with seasoned vinegar for “sushi” but, depending upon lots of “yakinori”, changes into unfavorable reddishbrown withim a few hours. In order to elucidate the mechanism of this phenomenon called “iromodori” (a kind of discoloration), some examinations were made. A clear difference was noticed by opal glass spectrophotometry between “iromodori discolored yakinori” and normal “yakinori”: The former exhibited absorption maxima at around 490 and 550 nm, both of which were completely absent in the latter. The responsible pigment was extracted with 8M urea from “iromodori discolored yakinori”, and purified by ammonium sulfate fractionation and Sephadex G-200 gel filtration. The pigment thus obtained exhibited an absorption spetrum having maxima at 495 and 456 nm. It was found by SDS-polyacrylamide gel electrophoresis that the subunit molecular weight of the pigment is about 20, 000. For comparison, some experiments were performed on photosynthetic biliproteins from the laver, and phycoerythrin was found to give comparable results when denatrued. It was concluded therefore that in some lots of “yakinori”, phycoerythrin may have been denatured by unknown reason(s) to much larger extent than in normal lots, resulting in “iromodori discoloration” of the former lots of “yakinori”.
著者
松木 美貴 竹村 浩之 上野 剛 脇田 満 久野 豊 堀井 隆 田部 陽子 大坂 顯通
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.586-589, 2014-09-25 (Released:2014-11-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

尿中ケトン体測定は,日常検査法としてニトロプルシドナトリウム反応を使用した試験紙が用いられているが,本反応では薬剤による偽陽性が多く報告されている.特に抗リウマチ薬であるブシラミンなどスルフヒドリル基(SH基)を有する薬剤と反応し,偽陽性を示すことが問題となる.「ウロペーパーα III‘栄研’改良ケトン体試験紙」(改良KET試験紙:栄研化学)は,SH基を含む薬剤による偽陽性反応の回避を目的として開発された尿試験紙である.本検討では,従来の「ウロペーパーα III‘栄研’ケトン体試験紙」(KET試験紙:栄研化学)との比較を行い,改良KET試験紙の臨床的有用性について検討した.改良KET試験紙とKET試験紙による尿中ケトン体検出結果の完全一致率は89.4%(261/292)で,不一致を示した検体31件(10.6%)中25件は,改良KET試験紙が陰性,KET試験紙が陽性を示した.この乖離検体の尿中ケトン体を酵素法で測定した結果,全検体が陰性であり,ブシラミン服用中の関節リウマチ患者の尿検体であった.改良KET試験紙は,従来法のKET試験紙で認められたブシラミンによる偽陽性反応を回避し,より正確なケトン体検出が可能であると考えられた.
著者
宇野 敦彦 堀井 新 今井 貴夫 大崎 康宏 鎌倉 武史 北原 糺 滝本 泰光 太田 有美 森鼻 哲生 西池 季隆 猪原 秀典
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.8, pp.960-968, 2013-08-20 (Released:2013-10-09)
参考文献数
24
被引用文献数
5 7

内リンパ水腫の診断にMRIによる画像診断が導入されてきた. 当施設での内耳造影MRIによる内リンパ水腫検出について, 造影剤投与法による違い, また従来からの水腫推定検査である蝸電図, グリセロールテストとの比較を行った.めまい発作の頻度が高い, 一側性メニエール病あるいは遅発性内リンパ水腫例に対し, 造影剤を鼓室内投与 (17例) あるいは経静脈的に投与 (10例) し, 3テスラMRIによる2D-FLAIR像を得た. 内耳の外リンパ液は高信号に描出され, 内リンパ腔は低信号域となる. 蝸牛管に相当する部分に明らかな低信号領域を認めた場合を蝸牛水腫と判断し, 前庭の写るスライスの過半数で大部分に低信号領域がみられた場合を前庭水腫とした. 鼓室内投与法では88% (15/17例) に, 静注法では90% (9/10例) に内リンパ水腫を検出した. 静注法の対側耳では20% (2/10例) に水腫を検出した. 蝸電図やグリセロールテストは, 難聴が進行している例では評価が困難で, それぞれ陽性例は患側耳で15例と6例のみにとどまった. ただ蝸電図は波形の分析が可能であれば陽性率は高く, 患側耳の88% (15/17耳) に相当した. MRIと蝸電図の両者の結果が得られた例では, 静注法で得られた対側耳の結果も含めて78% (21/27耳) が一致した. 定性的な水腫の有無について, 鼓室内投与法と静注法による検出率は同等であった. 内耳造影MRIは内リンパ水腫診断において従来の検査以上に有効と考えられる
著者
小林 潤平 関口 隆 新堀 英二 川嶋 稔夫
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.4E14in, 2014 (Released:2018-07-30)

日本語文章における視点の停留場所は,文を構成する意味のまとまりに対応しているとの報告がある。現在の日本語リーダーには改行を含むレイアウトが多く採用されているが,改行によって意味的まとまりをもった文字列が分断されている場合が多く,読み効率の低下を招いている可能性がある。そこで本研究では,意味的まとまりのひとつである文節を改行で分断しないようにレイアウトする日本語リーダーを開発し,その効果を検証した。
著者
名古屋 春満 武田 英孝 傳法 倫久 加藤 裕司 出口 一郎 福岡 卓也 丸山 元 堀内 陽介 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.59-66, 2011-01-25 (Released:2011-01-26)
参考文献数
23
被引用文献数
7 5

2002年8月から2009年10月までの間に埼玉医科大学国際医療センター・埼玉医科大学病院を受診した特発性頸部内頸動脈解離症例10例(年齢は36~70歳,男性8例,女性2例)について臨床的検討を行った.診断にはSASSY-Japan脳動脈解離ワーキンググループの「脳動脈解離の診断基準」をもとに,頭部MRI・MRA,3D-CTA,脳血管撮影,頸動脈超音波検査などの検査を用いて行った.脳虚血発症例は8例,頸部痛のみの症例が1例,無症候性が1例であった.発症時に頭痛または頸部痛を伴った症例は4例(40%)であった.10例中4例で発症後3カ月以内に画像上解離血管の改善が認められた.発症3カ月後のmodified Rankin Scale(mRS)は7例がmRS 1であり,3例がmRS 2と全例で転帰が良好であった.平均観察期間17.2カ月において,全例で脳卒中の再発を認めなかった.本邦においても特発性頸部内頸動脈解離症例は決して稀ではなく,内頸動脈の閉塞または狭窄を来した症例に遭遇した際には,常に本疾患を念頭においた複数の検査を可及的速やかに行う必要がある.
著者
土屋 みさと 堀内 かおる
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第45回日本家庭科教育学会大会
巻号頁・発行日
pp.10, 2002 (Released:2003-04-02)

(目的)近年、制服のブランド化など「制服のファッション化」が進む一方、私服を制服のように着こなす高校生も増えている。高校生の服装規範意識の変化に対応し、被服教育も新たな教育的意義が問われている。そこで本研究では、制服や日常着にみられる服装規範と高校生のファッション観を明らかにし、今後の被服教育への示唆を得ることを目的とした。(方法)制服や服装規範に関するアンケート調査を2001年6月∼7月及び10月に実施した。対象は首都圏の高校生男女2002名である。有効回収率は88.5%、データはパーソナルコンピュータに入力し、集計ソフトSPSSを用いて分析した。(結果と考察)現在の高校生のファッション観の特徴として、(1)今だからこそできる自由な服装への指向、(2)自由さをあえて制限するような「枠」への依拠、の2点が認められた。高校生たちは、「自己主張」の一表現形態としておしやれをとらえながらも、準拠枠となる一定の服装規範を必要としていた。「枠」によって制限され服装が無個性化した中で、あえてその服装をわずかに変えることで個性を表現しようと試行錯誤している姿が見いだされた。したがって今後の被服教育においては 自分らしさを表現する力の育成が重要である。生徒の個性を表現しようとする意欲を尊重し、自らを主張する力の育成を通して、生徒が自己を見つめ直し、ひとりひとりが独自の自己表現力を身につけることが必要だと考える。
著者
堀由蔵編
出版者
名著刊行会
巻号頁・発行日
1974
著者
譚 新平 上田 悦範 今堀 義洋 茶珍 和雄
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.683-688, 1999-05-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
25
被引用文献数
2

本研究ではツルレイシ果実の発育中ならびに貯蔵中の果実および種衣の色素の同定と量的変化を調べた.1. 果実の発育段階におけるカロテノイドの組成は, 果肉では主にルテインで, その他, β-カロテンとα-カロテンから構成されていた.種衣でも少量のカロテノイドを含み, 検出された色素組成は果肉と同じであった.この段階では, 果肉のクロロフィルとカロテノイドともに減少した.2. 果実の成熟段階では, 果肉のクロロフィルはほとんど消失したが, カロテノイドとしてクリプトキサンチンとリコピンが現れ, 特に前者が著しく増加して, 主要な色素になった.種衣の主なカロテノイドはリコピンで, その含量は最高64.7mg/100gに達した.3. 貯蔵中の果実の果肉におけるクロロフィル含量の変化は, 貯蔵温度が高ければ減少が速く, 一方, カロテノイド含量は温度が高いほど増加が大きかった.種子の種衣のリコピン含量は30℃で著しく増大した.
著者
堀 成美 中瀬 克己 中谷 友樹 谷口 清州
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.166-171, 2011-03-20 (Released:2015-04-06)
参考文献数
19

Human immunodeficiency virus (HIV) 感染症の拡大防止は感染症施策の重要課題であり,流行のフェーズによって有効な介入法,優先順位が異なる.性感染症症例のパートナー (性的接触者) への検査勧奨は低流行国において特に有効とされているが,本邦では制度としては確立しておらず,臨床においてどの程度実施されているのかが明確ではない.そこで,2007 年 9 月から 11 月にエイズ診療拠点病院の HIV 診療担当診療科に所属する医師を対象に郵送での自記式質問紙調査を実施し,その実態および促進因子・阻害因子の検討を行い,エイズ診療拠点病院診療担当科に所属する医師 513 名のうち 257 名から回答が得られた (有効回答率 49.9%).HIV 診療経験を有する群では「ほぼ全員の患者にパートナー健診の話をする」医師は 66.5%,その結果として新規 HIV 症例を把握した経験を有する医師は 37% であり,合計 185 例の新規症例が把握されていた.パートナー健診を実施する際の課題として,時間の不足,法的根拠等の未整備,標準化された説明資料の不足が把握されたが,性感染症のパートナー健診制度が未整備の状況下においても医師の多くは積極的にパートナー健診に関わっていることが把握された.パートナー健診の拡大のためには,根拠となる法律や学会ガイドライン等の整備,および手法や資料の標準化とそれを可能にする研修プログラムの開発,医師の負担を軽減するための他職種の診療への参加が重要と考えられた.
著者
田中 小百合 桝本 妙子 堀井 節子 三橋 美和 徳重 あつ子 福本 恵
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.5_75-5_82, 2010-12-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
23

健康保持能力といわれる首尾一貫感覚(以下,SOCとする)の強化要因の明確化を目的とし,20歳以上の地域住民3,000人を対象に,2003年及び2005年に自記式質問紙による縦断的調査を実施した。両年の回答に不備のない360人を分析対象とした。日本版SOC13項目スケールにてSOCの経年的変化を求め,「性別」「年齢」「学歴」「世帯の年収」「社会との関わり」「ソーシャルサポート」「幼少期体験」「青年期体験」「20歳までの経済状況」「生活ストレス」「緊張処理の成功体験」との関連性をPearson積率相関係数の算出し,相関がみられた項目の重回帰分析を行った。結果,「20歳までの経済状況」「緊張処理の成功体験」が強化要因として抽出された。豊かな「20歳までの経済状況」はSOCを低下させ,「緊張処理の成功体験」はSOCを強化することが示唆された。
著者
赤堀 侃司
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.23-34, 1986-03-20 (Released:2017-10-20)

教育工学の研究領域の1つに,教材開発がある.教材開発の方法は,各教科の独自性に依存しており,教育工学的アプローチによる教材開発の研究は数多くない.本研究では,教科内容の独自性に依存する内容に関する提案と,これを基礎にした教育工学的方法による教材作成の両面について報告する.本研究では,世界各地域に設置されている海外日本人学校の理科の教科における,天体教材を対象としている.すなわち,世界各地域で使用可能な「星座早見盤」の開発における視野の形状や分布について,新しい提案をしている.また,マイコンを用いて各地域ごとに適合できる星座早見盤を作成した.本研究の報告は,現実の問題における解決案の提案であり,その考え方および方法について論じている.
著者
小島 紀徳 堀内 都雄
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-50, 1997 (Released:2013-02-19)
参考文献数
11

植物プランクトンによる窒素の取り込み速度と施肥された肥料の海洋表層の水平方向の拡散を考慮した海洋表層の拡散モデルを用いて, 施肥により有効に利用される肥料 (窒素) 分を計算し, さらに船舶による窒素, リン肥料の輸送のエネルギー的評価を行い, 散布方法を検討した. その結果, 船舶からの散布された肥料は施肥1日後には表層中を1km以上まで均一に拡散し, その後徐々に植物プラントンに取り込まれることがわかった.半径10km程度の海域に, 大気に残留する二酸化炭素の約1/500を全量吸収することができる量の溶存無機態窒索を均一に散布した場合には, 散布後1年の間に表層中の溶存無機態窒素はほぼ全量が有機物として取り込まれた. 有機物は半径100kmから200kmのオーダーまで拡散した. その間一部は有機物となる前に溶存無機態窒素として深海に移動するが, その量は1/104以下と非常に小さいことがわかった. このことから, 施肥された肥料は表層の水平方向の混合によりすばやく拡散しながら植物プランクトンにより取り込まれるため, 散布された肥料のほぼ全量が大気中の二酸化炭素の海洋への吸収に寄与することがわかった.また船舶運行に必要なエネルギーから放出される二酸化炭素量は散布範囲を広げても, 施肥による大気中二酸化炭素の固定量の約0.23%であり, 肥料製造に必要なエネルギーから放出される二酸化炭素量と比べると1/50以下程度で無視できるほど少ないことがわかった.以上, 本研究では, 光合成速度, 散布法を仮定し, 光合成による二酸化炭素の取り込みの遅れ, あるいは水平方向に広く散布するための船舶運行のためのエネルギーを算出したところ, いずれも無視できるほど小さく, 多少の光合成速度, あるいは散布条件の違いでは, 既報で得た結論には大きな変更をもたらさないことを明らかにした. 本報では表層中の有機物濃度上昇の環境影響についての評価は行ってはいないが, この点についての危惧を考えると, 本報で仮定したよりもさらに広範囲に均一に散布することが望ましいとの結論にいたるものと考えられる.
著者
大堀 研
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.23-33, 2011

東京大学社会科学研究所の希望学プロジェクト釜石調査グループは,地域活性化に必要な条件の一つとして,「ローカル・アイデンティティの再構築」を掲げた.しかし,調査グループが2009年に調査成果として発刊した書籍では,ローカル・アイデンティティという用語は,地域の個性・らしさという言い換えが示されている以外に,明確な概念規定はなされていなかった.またそれが地域活性化をもたらすという論理は,釜石の事例に関しては検討すべき点が残されている.後者の論点については,筆者の考えでは,岩手県葛巻町,福井県池田町の事例でみてとることができる.葛巻町ではクリーン・エネルギーのまちという新しい要素が導入されたことにより,交流人口が増大している.池田町では,従来の「能楽の里」という自己規定に加え,農村という特性に基づき環境のまちづくりを推進したことから,NPO など各種環境団体が形成されるようになっている.これらの事例を踏まえ,本稿では「地域(社会)」を自治体と規定し,ローカル・アイデンティティは,自治体のキャッチフレーズ等に表示されるものとして捉えた.これを敷衍すれば,ローカル・アイデンティティの再構築とはキャッチフレーズの更新に象徴されるようなものとなり,自治体戦略の一環となる.ただしこの再構築は,自治体行政だけでなく,企業や住民など多様な主体が関与しうるものであり,その意味で偶有的である.
著者
川堀 眞一 荒川 卓哉 田中 研 野中 聡
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.809-815, 1994-06-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
16

The parapharyngeal region of one cadaver was dissected, and enhanced CT scans and T1 weighted MRI of three normal persons from the skull base to the hyoid bone were performed. Three-dimensional reconstruction of the parapharyngeal space was carried out on the basis of CT images. We examined the relationship between the parapharyngeal space which consisted mainly of fatty tissue and the surrounding structures. Our findings seem to be useful for the understanding of the shape and location of the parapharyngeal space and the clinical understanding of parapharyngeal space tumors. We discussed the differences between the parapharyngeal space and the carotid space with the 9th-12th cranial nerves, sympathetic chain, carotid artery and jugular vein.